第2 【事業の状況】

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等について、当社グループは主に以下の項目を認識しております。

なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 会社の経営の基本方針

当社グループは「情報基盤の創造によって、より豊かな社会の実現に貢献する」ことを理念とし、「サブスクリプションをすべてのビジネスに」をテーマに、サブスクリプション統合プラットフォーム「Bplats®」の開発・提供をしてまいります。また、当社プラットフォームの提供を通じて、事業者の皆さまの事業の変革を支援してまいります。

 

(2) 目標とする経営指標

当社グループが重視している経営指標は売上高及び経常利益であります。特にストック型収益(月額利用料等)の拡大を図り、持続的かつ安定的な成長及び強固な経営基盤の確立を目指しております。

 

(3) 会社の対処すべき課題

① 産業構造の変化とそれに対応する当社への期待貢献

当社の取り巻く環境としては、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、国内景気が厳しさを増している一方、シェアオフィスやカーシェア等に代表されるシェアリングエコノミー、レンタルサービス、会員制サービス等の様々な業界の「所有から利用へ」という新たなビジネスモデルが世界的に広く指向され、「サブスクリプション(継続)」型ビジネスへの転換・事業創出のニーズが高まってきております。当社製品「Bplats®」はこれらのニーズに対応可能なプラットフォームとして稼働実績を有しておりますが、今後より多くのニーズと顧客事業規模の拡大に追従するため、機能の強化と信頼性の更なる向上のために製品開発に積極的な投資を行う必要性があることを対処すべき課題と認識しております。

 

② 拡大する市場に対する対応

サブスクリプション型ビジネスへの転換・事業創出のニーズは各産業に通底するものであり、当社プラットフォームを展開しうる業域は広く、また、今後はデジタル・トランスフォーメーション(DX)への取り組みにより社会生活への変革が一層加速していくものと認識し、事業機会は増加していくものと想定しております。顕在するニーズのみならず、予測されるニーズにも適応しうる商品力の強化・稼働環境の堅牢化や安定化が必要であると認識しております。

 

③ データ流通に対する取り組み

クラウド上に蓄積されたビッグデータをどう流通しビジネスとしていくか、その管理や決済を含む仕組み作りのニーズが今後高まっていく経営環境となるものと当社は想定しております。既に当社製品「Bplats®」では、クラウドコンピューティングのみならず、その上で蓄積されたビッグデータの売買にも対応できる機能を備えておりますが、黎明期にあるこの市場のニーズは、実現手段としての機能のみならず、むしろ、無形のデータに対する値付けのルール等、より前段階のビジネス設計のための啓蒙的なニーズが非常に高いものと認識しております。当社は、これまで顧客と蓄積してきた先行的な知識をフィードバックし、これら新たな市場の拡大を加速する役割を期待されていることを対処すべき課題として捉えており、商品・サービスの価格決定スキーム等に示される「プライシングサイエンス」の研究概念を提唱し、各教育・学術機関と協力して取り組みを進める経営方針を有しております。

 

④ 製品開発への積極的な投資

経営方針として、製品開発に対する積極的な投資による、製品の高付加価値化や品質の向上、新製品の開発を進めてまいります。当社事業の根幹となる製品開発に対する投資は、製品の高付加価値化をもたらし、より多くの顧客を獲得するとともに、製品単価の向上等、より良好な収益構造の構築を可能にするものであり、既に顕在化しているニーズに対応するのみならず、更なる当社業域の拡大を目指すものであります。

 

⑤ 戦略提携を通じた拡販力の強化

成長における時間効率とダイナミズムを実現するため、戦略提携を強化しパートナー戦略(販売協力・OEM)を推進し、様々な顧客の新規事業のニーズを早期に汲んでいき拡販力の強化を図ってまいります。

 

⑥ システム技術・インフラの強化

当社が提供するプラットフォームビジネスは、お客様の契約情報、課金情報等を一元的に管理する目的から、システムの安定的な稼働及びクラウドサービスやIoT等の技術革新への対応が重要な課題と考えております。これに対し、当社ではサーバー等のシステムインフラを安定的に稼働させるべく、継続的なインフラ基盤の強化及び専門的な人員の確保に努めるとともに、必要に応じ他社が提供するサービスを利用し、技術革新にも迅速に対応できる体制構築に努めてまいります。

 

⑦ 海外市場への展開

当社は、国内のみならず、サブスクリプション市場の拡大が見込まれる海外市場にいち早くプラットフォームを提供することが重要な課題であると考えております。現在、当社のプラットフォームを用いた日本国内企業の海外事業展開を実現させております。当社では、今後もより一層の事業拡大を実現させるべく、事業拡大に応じた内部体制の更なる強化、人員の確保及び育成を行い海外市場への更なる展開を行ってまいります。

 

⑧ 優秀な人材の確保と組織体制の強化

当社は、今後の更なる事業拡大のために、優秀な人材の確保及び当社の成長フェーズに応じた組織体制の強化が不可欠であると認識しております。人材の確保においては、当社の企業風土にあった国内・海外の人材の採用・登用に努め、あわせて従業員の入社年数等の段階にあわせた教育プログラムを体系的に実施することによって、各人のスキル向上を図ってまいります。組織体制につきましては、国内及び海外にて事業拡大に応じた内部体制の更なる強化を図り、コーポレート・ガバナンスの充実に取り組んでまいります。

 

⑨ 継続企業の前提に関する重要事象等

当社グループは、当連結会計年度末において営業損失、経常損失及び親会社株主に帰属する当期純損失を計上しており、現時点において、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在しておりますが、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク (6)継続企業の前提に関する重要事象等」に記載のとおり、継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められないと判断しております。

 

 

2 【事業等のリスク】

当社グループの事業展開その他に関し、リスク要因となる可能性があると認識している主な事項を以下の項目に記載しております。また、必ずしも、そのようなリスク要因に該当しない事項につきましても、投資家の投資判断上、重要であると考えられる事項については、投資家に対する積極的な情報開示の観点から以下に開示しております。当社グループは、これらのリスク発生の可能性を十分に認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針ではありますが、当社株式に関する投資判断は、本項及び本書中の本項以外の記載事項を慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。

なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであり、将来において発生の可能性があるすべてのリスクを網羅するものではありません。

 

(1) 事業環境に関するリスクについて

① 情報サービス産業における技術革新について

当社グループが属する情報サービス産業においては、技術革新が激しくそれに伴う市場ニーズの変化に迅速に対応することが求められております。当社としても、技術革新に応じたシステムの拡充・改善及び事業戦略の修正等を迅速に行う必要があるものと考えており、システム開発並びに企業運営においても相応の体制を敷いております。

しかしながら、技術変化の方向性を予測・認識できない場合や、事業環境の変化等により顧客企業のIT投資ニーズが急速かつ大きく変化した場合には、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 情報セキュリティリスクについて

当社グループでは、サービス提供において、業務上、顧客企業が保有する個人情報や顧客企業の機密情報を知り得る場合があります。このため、当社では情報セキュリティ体制の強化に努めるとともに、2017年2月にISO/IEC 27001:2013(情報セキュリティマネジメント)及び2017年3月にISO/IEC 27017:2015(クラウドサービスセキュリティ)の規格に適合する証明を取得しております。しかしながら、コンピュータウイルス、不正アクセス、人為的過失、あるいは顧客システムの運用障害、その他の理由により、これらの機密情報の漏洩が発生した場合、顧客企業等からの損害賠償請求や当社の信用失墜の事態を招き、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 競合について

当社グループが属する情報サービス産業においては、一般的に激しい企業間競争が発生しやすい環境にあります。当社グループは製品における独自性・先行優位性を活かして事業を推進していく所存でありますが、将来において当社グループの製品が顧客のニーズに合致せず、市場から受け入れられない場合には事業計画どおりの売上を達成できず、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) 事業内容に関するリスクについて

① サブスクリプション事業への依存について

当社グループの売上高は、主たる事業であるサブスクリプション事業に依存しており、サブスクリプション管理システムの需要が国内・海外において成長を維持すると見込んでおりますが、事業環境の変化等への対応が適切でない場合には、当社グループの事業展開及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 解約等のリスクについて

当社グループの主力製品であるサブスクリプションプラットフォーム「Bplats®」の利用契約において、利用期間は基本的に1年間としておりますが、その後、顧客の意思に従って契約の更新又は解約がなされます。当社としては顧客に「Bplats®」の利用を継続いただけるよう、顧客ニーズの継続的な把握及び当該ニーズを反映するための機能改善開発に取り組んでおります。しかしながら、顧客の事業変化等により、当社製品のニーズが低くなり解約数が増加した場合や、顧客である事業者の販売高に連動する従量型の利用料が想定どおりに増加しない場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

③ 製品の不具合の発生による影響について

当社は、2017年2月にISO 9001:2015(品質マネジメント)を取得し、これに基づく品質管理基準に従って不具合等の発生防止に最大限の注意を払っております。しかしながら、当社グループ製品の不具合により顧客が損害を被った場合、損害賠償請求を受けたり、当社グループに対する信頼性の喪失により、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

④ 業績の季節変動について

わが国においては、商習慣上3月を期末月とする企業が多く、当社製品は企業向けに事業転換・事業創出を支援するものであることから、当社顧客は新年度である4月に向けて、3月までに当社製品の導入を求める例が多くみられます。そのため、当社の売上高は、当社グループの第4四半期(1月から3月まで)、特に3月に偏在する傾向があり、特定の四半期業績のみをもって当社グループの通期業績見通しを判断することは困難であります。また、当社の期末月でもある3月に売上計上を計画する案件については、販売パートナーや当社顧客の業務その他の要因により、売上計上の実施が4月以降となる等の変更が生じる可能性があります。これらの事項は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) 製品の開発及びシステムの運用等に関連するリスクについて

① 製品の開発について

当社グループは、主力製品であるサブスクリプションプラットフォーム「Bplats®」に代表される製品群の開発・維持に係る投資を継続的に行っておりますが、これらの開発においては、計画どおりの品質を確保できない場合や、開発計画の遅延等によりコスト増大の可能性があり、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、生産能力の確保、コスト効率化、技術力・ノウハウの活用のため複数の業務委託会社を活用しておりますが、期待した生産性や品質が維持できない可能性があり、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

② システム障害について

当社グループの事業はネットワーク環境、特にインターネットへの依存度が高くなっており、当社グループにおいては、インターネット並びに所定のネットワーク環境下で「Bplats®」をはじめとする当社グループ製品群を収容するシステムを安定的かつ継続的に運用していくことが要求されます。当社グループでは、システム障害の発生防止のために、システムの冗長化、脆弱性検査、不正アクセス防御等の対策を講じておりますが、これらの対策を講じているにも拘わらず、自然災害、事故、不正アクセス等によって通信ネットワークの切断、サーバー等ネットワーク機器に作動不能等の障害が発生する可能性があり、これらの障害が発生した場合には、システムの作動不能や欠陥等に起因する取引の停止等について、システムへの信頼性の低下を招き、当社グループの事業展開及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4) 事業運営体制について

① 特定経営者への依存について

代表取締役社長である藤田健治は、当社の創業以来代表取締役を務めております。同人は、経営方針や事業戦略の決定をはじめ、各部門の事業推進、外部との折衝等において重要な役割を果たしております。当社は、同人に過度に依存しない経営体制の構築を目指し、組織の体系化、人材の育成及び強化並びに権限の委譲等組織的な事業運営に注力しておりますが、同人が何らかの理由により業務執行できない事態となった場合、当社グループの事業展開及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 人材の確保及び育成について

当社グループは現時点において小規模な組織であるため、当社グループの事業活動にあっては人材への依存度が大きく、今後更なる事業拡大に対応するためには、継続して優秀な人材の確保・育成が必要であると考えております。しかしながら必要な人材の確保及び育成が想定どおりに進まない場合、当社グループの事業展開及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

③ 内部管理体制について

当社グループは、今後更なる事業拡大を図るために、内部管理体制についても一層の充実を図ることが必要不可欠と考えております。しかしながら、事業拡大により、内部管理体制の構築が追いつかない事態が生じる場合、適切な業務運営が困難となり、当社グループの事業展開及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5) 新型コロナウイルス感染症に関するリスクについて

当社グループは、2020年1月15日に通期業績予想の下方修正を行いました。その後、新型コロナウイルスの感染拡大がありましたが、当社の顧客であるサブスクリプションビジネスを行う事業者は比較的中長期的な視野で取り組んでいることもあり、当期に新型コロナウイルスの感染拡大を理由とする解約や契約の先延ばしはなく、修正後の通期業績予想に関しては、売上高、営業損益、経常損益、親会社株主に帰属する当期純損益、いずれの段階においても、修正後の予想を上回る着地となりました。

このように、現時点においては、新型コロナウイルスの感染拡大の当社グループの業績に与える影響は限定的であるものの、明らかに日本経済には大きくマイナス影響を与えていることから、当面の少なくとも短期的には、事業者の業績が大きく下押しされることなどの結果として、当社の売上についてもマイナス影響を被る可能性があります。

ただし、一方で、中長期的には、社会生活の態様の変化から日本企業によるデジタル・トランスフォーメーション(DX)への取り組みが一層進み、日本企業のビジネスモデルのサブスクリプション型ビジネスへの転換が従来よりも加速していく可能性もあり、その場合には、当社の主力製品である汎用型サブスクリプション統合プラットフォーム「Bplats® Platform Edition」は、より一層の支持を受けるものと期待されます。

当社といたしましては、主力製品「Bplats® Platform Edition」の機能向上を進めつつ、直販営業の強化に加え、販売パートナーの拡充と販売パートナーへの営業支援を強化し新規契約社数の拡大に注力することで、引き続き中長期的な成長を目指して当社グループの顧客基盤及びサブスクリプション収益(ストック型の月額収益、オプション追加収益)の拡大に努めてまいります。

 

(6) 継続企業の前提に関する重要事象等

当社グループは、当連結会計年度末において営業損失、経常損失及び親会社株主に帰属する当期純損失を計上しており、現時点において、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在しております。しかしながら、財務面では、現在の事業見通しにおいても当面の支出予定を充たす現預金を有しており、また、安定的・継続的にストック収入の拡大が見込まれているほか、以下の対応策を実施し収益改善を図っていることから、継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められないと判断しております。

(a)商品力の向上
  機能オプション強化による顧客単価の向上および競合対策の強化

(b)販売力の向上
  強力なパートナー企業との協業による産業深化の提案
 (c)市場展開スピードの向上
  大企業にとどまることなく中堅中小企業や地方企業へと市場拡大

 

(7) その他

① 配当政策について

当社では、財務体質の強化及び積極的な事業展開に備えるための内部留保の充実を優先させるため、当事業年度までの過去において配当を行っておりません。当社は株主への利益還元も重要な経営課題であると認識しており、将来的には、毎期の経営成績並びに繰越利益剰余金のマイナスを含む財政状態を勘案しつつ、将来の事業拡大のために必要な内部留保とのバランスを図りながら配当による株主への利益還元を安定的かつ継続的に実施する方針でありますが、現時点において配当実施の可能性及びその時期につきましては未定であります。

 

② 新株予約権の行使による株式価値の希薄化について

当社は役員及び従業員に対し、長期的な企業価値向上に対するインセンティブとしてストック・オプションを付与しているほか、今後も優秀な人材確保のためのストック・オプションを発行する可能性があり、現在付与している新株予約権等に加え、今後付与される新株予約権等について行使が行われた場合には、保有株式の価値が希薄化する可能性があります。

なお、当事業年度末日現在、新株予約権による潜在株式数は139,760株であり、発行済株式総数2,311,940株の6.0%に相当しております。

 

③ 繰越欠損金について

当社は、事業拡大のための積極的な人材投資等を行ってきたことから、最近5事業年度では第11期事業年度及び当事業年度において当期純損失を計上しており、当事業年度末日現在において216,066千円の繰越欠損金(税務上。以下本項において同じであります。)が存在しております。繰越欠損金は、一般的に将来の課税所得から控除することが可能であるため、繰越欠損金を利用することにより将来の税額を減額することができます。しかしながら繰越欠損金の利用額と利用期間には、税務上、一定の制限も設けられております。よって計画どおりに課税所得が発生しない場合、繰越欠損金を計画どおり利用できないこととなるため、通常の税率に基づく法人税等が課税されることになり、当期純利益やキャッシュ・フローに影響を与える可能性があります。

 

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当社グループは、当連結会計年度より連結財務諸表を作成しているため、前連結会計年度との比較・分析の記載はしておりません。

 

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

① 財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国経済は、期初よりおおむね緩やかな景気回復基調で推移いたしました。しかしながら、期末を迎える2月以降の新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大に伴う影響により、国内景気は急速に悪化するに至りました。

一方、当社グループを取り巻く事業環境としては、近年消費者の価値観が「所有」から「利用」、「モノ」から「コト」へ変化する中で、「サブスクリプションビジネス」がBtoCの分野で先行的に拡大しており、すでに「サブスクリプション」はビジネスモデル変革の一つのキーワードとして広く業界に認知されるに至っております。こうした中で、トヨタ自動車の「KINTO」のように、日本企業、製造業においても「モノ」を中心とした売り切り型のビジネスモデルから、顧客に新たな体験価値を提供し継続的に対価を得る「コト」を中心としたビジネスモデルへと軸足を移そうという動きが具体的に始まっていると思料しております。また、今後は、技術革新に加え、社会生活の態様の変化を踏まえ、日本企業によるデジタル・トランスフォーメーション(DX)への取り組みが一層進んでいく環境が出来上がりつつあるものと思料しております。

このような環境において、当社グループは創業以来「情報基盤の創造によって、より豊かな社会の実現に貢献する」ことを理念とし、「サブスクリプションをすべてのビジネスに」をテーマに、サブスクリプション統合プラットフォーム「Bplats®」の開発・提供を一貫して行っております。サブスクリプション型ビジネスへの転換・事業創出のニーズは各産業に通底するものであり、当社プラットフォームを展開しうる業域は広いため、今後も事業機会は増加していくものと想定しております。

このような環境のもと、当連結会計年度においても、増加していくサブスクリプション型ビジネスのニーズに対応するため、引き続き製品開発に注力するとともに、事業提携・販売パートナーの拡充等を推進してまいりました。2018年3月末には継続的な販売契約に基づく販売パートナーはファイナンス系2社でありましたが、2019年7月には富士通株式会社、2019年9月にはNTTコミュニケーションズ株式会社が、それぞれ当社の「Bplats®」を採用し、「Bplats®」を基盤とするサービス提供を開始、また2019年12月には株式会社電通国際情報サービスが「Bplats®」販売パートナーシップ契約を締結するなど、2020年3月末ではSI系企業へのOEM(相手先ブランドによる提供)やコンサルティングファーム等も含め販売パートナーは8社に大きく増加しております。

また、販売パートナーに依拠しない新規先への当社独自の販売活動に関しましても、今期からの新たな取り組みとして、定期刊行物(「Subscription Now」、「Subscription You」など)の発刊や書籍「SMARTサブスクリプション」の出版、各種サブスクリプションセミナーや講演会への登壇などサブスクリプションビジネスの啓蒙とインバウンドでのリード獲得を期中推進してまいりました。

こうした事業提携・販売パートナーの拡充や啓蒙活動による商談化等を期中推進した結果、商談数は大幅に積み上がっております。しかしながら、当社製品の提供先は売上が相対的に大きく見込まれる大企業が中心となることから商談期間は長期化する傾向にあり、また販売パートナーに対する営業支援活動に注力する必要があることから、商談のスポット売上寄与には相応の期間を要しております。一方でストック収入につきましては、契約社数の増加による月額固定料収入の増加と契約先のサブスクリプション事業の売上増加に伴う従量料収入の増加により期中順調に拡大し、前年比約119% (2020年3月末現在)の伸びとなっております。ストック収入につきましては、今後も契約社数の増加と契約先のサブスクリプションビジネスの伸長に伴い、安定的・継続的に伸びていくものと想定しております。

製品戦略に関しましては、当社は2010年より約8年間当社の主力製品としてまいりました個社ごとのカスタマイズ開発を前提とした旧製品「Bplats® Channel Edition」につきまして、開発に伴う売上が比較的大きく見込まれる一方、製品の拡張性、顧客の継続性、システムメンテナンスの運用性などの観点から、新規の提供を停止いたしました。これに代わりまして、全てのサブスクリプションビジネスを取り込み得る将来的な拡販の可能性とそれに伴う企業成長を目指し、2017年半ばより汎用製品である「Bplats® Platform Edition」を主力製品として当期においてもその拡販に注力してまいりました。この製品戦略転換に関しましては、今年度株式会社KINTOやパナソニック システムソリューションズ ジャパン株式会社など有力企業に採用されるなど実績を着実に積み重ねており、業態・業界を選ばずサブスクリプションビジネス事業者の支持を得ていることから、日本企業のデジタル・トランスフォーメーション(DX)を支援するプラットフォームシステムとして着実な事業進捗を重ねているものと判断しております。また、「Bplats® Platform Edition」で実現する「エコシステムがつながる」という当社の強みの機能を活用し、新しいサービス取引のビジネスモデルを構築する事業者も増え、契約企業数(無償を含む)は、前年比約136% (2020年3月末現在)に増加しております。

当社といたしましては、当社主力製品「Bplats® Platform Edition」の機能向上を進めつつ、販売パートナーの拡充と販売パートナーへの営業支援を強化し新規契約社数の拡大に注力することで、中長期的な成長を目指してまいります。

なお、サブスクリプションビジネスについて中立的な立場で多面的に研究・著作・啓蒙活動を行うことを目的に、2019年4月1日付で株式会社サブスクリプション総合研究所を新規設立するとともに、顧客中心のサブスクリプションエコノミーで重要となる顧客が体験する価値、カスタマーサクセスを支えるサービスの立ち上げを目的に、2019年6月3日付で株式会社サブスコアを新規設立し、両社を連結子会社としました。両社業績は、当連結会計年度の経営成績に含まれております。

 

以上の結果、当連結会計年度における売上高は537,267千円、営業損失は174,642千円、経常損失は174,283千円となり、親会社株主に帰属する当期純損失は184,802千円となりました。

 

また、当連結会計年度末における当社グループの財政状態については下記のとおりとなっております。

(資産)

 当連結会計年度末の総資産は898,369千円となりました。

流動資産は、421,713千円となりました。主な内訳は、現金及び預金が289,527千円、売掛金が88,208千円です。

固定資産は、476,656千円となりました。主な内訳は、ソフトウエアが451,992千円です。

(負債)

 当連結会計年度末の負債合計は540,141千円となりました。

流動負債は、368,173千円となりました。主な内訳は、1年内返済予定の長期借入金が73,344千円、短期借入金が190,000千円です。

固定負債は、171,967千円となりました。主な内訳は、長期借入金が169,982千円です。

(純資産)

 当連結会計年度末の純資産合計は358,228千円となりました。

自己資本比率につきましては、38.0%となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)の残高は、税金等調整前当期純損失を計上した一方、減価償却費、売掛債権の回収、短期・長期借入金による収入等により、289,527千円となりました。当連結会計年度末における各キャッシュ・フローの状況は、次のとおりです。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果増加した資金は、33,734千円となりました。これは主に税金等調整前当期純損失174,283千円、減価償却費154,647千円、売上債権の減少47,005千円等によるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果使用した資金は、278,572千円となりました。これは主にシステム開発に伴う無形固定資産の取得による支出270,723千円等によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果増加した資金は、273,739千円となりました。これは主に短期借入金による収入190,000千円、長期借入金による収入200,000千円、短期借入金の返済による支出50,000千円、長期借入金の返済による支出83,309千円によるものであります。

 

 

③ 生産、受注及び販売の状況

a.生産実績

当社グループで行う事業は、提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。

 

b.受注実績

当社グループのサービス提供の実績は販売実績と一致しておりますので、受注実績に関しては販売実績の項をご参照ください。

 

c.販売実績

当連結会計年度における販売実績を事業別及びサービス別に示すと、次のとおりであります。

なお、連結財務諸表作成初年度のため前年同期比(%)については記載しておりません。

事業及びサービスの名称

販売高(千円)

前年同期比(%)

サブスクリプション事業

523,522

 

初期費用・初期開発等

140,441

 

月額利用料等

383,081

その他の事業

13,744

合計

537,267

 

(注) 1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

2.当連結会計年度の主な相手先の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

当連結会計年度
(自 2019年4月1日
 至 2020年3月31日)

販売高(千円)

割合(%)

東京センチュリー株式会社

54,919

10.2

日本ネットワークイネイブラー株式会社

49,432

9.2

株式会社エヌ・ティ・ティ・データ

33,200

6.2

富士通株式会社

31,880

5.9

 

3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、決算日における財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与えるような経営者の見積り及び予測を必要としております。当社グループは、過去の実績値や状況を踏まえ合理的と判断される前提に基づき、見積り及び予測を行っております。

その他重要な会計方針は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項、2 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項 重要な会計方針」に記載のとおりであります。

 

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

当社グループの当連結会計年度の経営成績等について、当社グループの中長期的な事業戦略に基づき当連結会計年度に実施しました諸施策に関係づけて分析すると、以下のとおりであります。

a.売上高

市場で高まりはじめたサブスクリプション型ビジネスへの転換ニーズ、その先行ニーズを捉え、各業界を代表する企業を中心に導入社数を伸長し、Bplats®の新製品「Bplats® Platform Edition」の順調な立ち上がりによる新規顧客の獲得にも成功しており堅調に推移したことに加え、既存顧客の安定的な売上によるストック収益が増加した結果、537,267千円となりました。

b.売上原価、売上総利益

当連結会計年度においては、「Bplats®」の初期開発(カスタマイズ)の必要性が低減し、よりパッケージ化が進む一方、前事業年度に引き続き製品力の向上を目指した積極的な開発投資、企業運営基盤の整備に引き続き取り組んだこと等により、売上原価が267,455千円となり、売上総利益は269,811千円となりました。

c.販売費及び一般管理費、営業損失

主に体制強化に伴う人員数の増加に伴う人件費の増加等により、販売費及び一般管理費は444,453千円となり、営業損失は174,642千円となりました。

d.営業外損益、経常損失

補助金収入等の結果、営業外収益は2,639千円、営業外費用は2,280千円となり、その結果、経常損失は174,283千円となりました。

e.特別損益、親会社株主に帰属する当期純損失

特別損益は該当ありません。法人税、住民税及び事業税及び法人税等調整額等の結果、親会社株主に帰属する当期純損失は184,802千円となりました。

 

当社グループの将来の経営成績に重要な影響を与える要因のうち、投資者の判断に重大な影響を与える可能性の事項については、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。 

 

資本の財源及び資金の流動性については下記のとおりと考えております。

資本の財源については、当連結会計年度末においては親会社株主に帰属する当期純損失184,802千円を計上したことから自己資本比率は38.0%となりました。

また、資金の流動性については、当連結会計年度末における流動比率は114.5%となりました。

 

経営者の問題意識と今後の方針については次のとおりと考えております。

当社グループは、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおり、当社グループが今後更に成長と発展を遂げるためには、様々な課題に対処していくことが必要であると認識しております。それらの課題に対応するため、経営者は常に市場におけるニーズや事業環境の変化に関する情報の入手及び分析を行い、現在及び将来における事業環境を認識したうえで、当社の経営資源を最適に配分し、最適な解決策を実施していく方針であります。

 

4 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

5 【研究開発活動】

当連結会計年度の研究開発活動として、翌期以降にサブスクリプション・プラットフォームとしてのさらなる機能追加開発を行うための開発調査を行っております。

当連結会計年度における当社グループが支出した研究開発費の総額は18,042千円であります。

なお、当社グループの主たる事業はサブスクリプション事業であり、その他の事業セグメントの重要性が乏しいため、セグメント情報の記載を省略しております。