第2 【事業の状況】

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等について、当社グループは主に以下の項目を認識しております。

なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 会社の経営の基本方針

当社グループは「情報基盤の創造によって、より豊かな社会の実現に貢献する」ことを理念とし、「サブスクリプションをすべてのビジネスに」をテーマに、サブスクリプション統合プラットフォーム「Bplats®」の開発・提供をしてまいります。また、当社プラットフォームの提供を通じて、事業者の皆さまの事業の変革を支援してまいります。

 

(2) 目標とする経営指標

当社グループが重視している経営指標は売上高及び経常利益であります。特に契約社数の増加によるストック型収益(月額利用料等)の拡大を図り、持続的かつ安定的な成長及び強固な経営基盤の確立を目指しております。

 

(3) 会社の対処すべき課題

 

① 産業構造の変化とそれに対応する当社への期待貢献

当社を取り巻く環境としては、雇用・所得環境の改善やインバウンド需要の増加により回復基調が継続しているものの、米国による関税引き上げ発表に伴う物価高騰や急激な為替変動により世界的に景気後退への警戒感が強まり、先行き不透明な状況が続く一方、シェアオフィスやカーシェア等に代表されるシェアリングエコノミー、レンタルサービス、会員制サービス等の様々な業界の「所有から利用へ」という新たなビジネスモデルが世界的に広く指向され、「サブスクリプション(継続)」型ビジネスへの転換・事業創出のニーズが本格化しております。当社製品「Bplats®」はこれらのニーズに汎用的に対応可能なプラットフォームとして稼働実績を有しておりますが、今後より多くのニーズと顧客事業規模の拡大に追従するため、機能の強化と信頼性の更なる向上のために製品開発に継続的な投資を行う必要性があることを対処すべき課題と認識しております。

 

② 拡大する市場に対する対応

 サブスクリプション型ビジネスへの転換・事業創出のニーズは各産業に通底するものであり、当社プラットフォームを展開しうる業域は広く、また、今後はデジタル・トランスフォーメーション(DX)への取り組みにより社会生活への変革が一層加速していくものと認識し、事業機会は増加していくものと想定しております。顕在するニーズのみならず、予測されるニーズにも適応しうる商品力の強化・稼働環境の堅牢化や安定化が必要であると認識しております。

 

③ データ流通に対する取り組み

 クラウド上に蓄積されたビッグデータをどう流通しビジネスとしていくか、その管理や決済を含む仕組み作りのニーズが今後高まっていく経営環境となるものと当社は想定しております。既に当社製品「Bplats®」では、クラウドコンピューティングのみならず、その上で蓄積されたビッグデータの売買にも対応できる機能を備えておりますが、黎明期にあるこの市場のニーズは、実現手段としての機能のみならず、むしろ、無形のデータに対する値付けのルール等、より前段階のビジネス設計のための啓蒙的なニーズが非常に高いものと認識しております。当社は、これまで顧客と蓄積してきた先行的な知識をフィードバックし、これら新たな市場の拡大を加速する役割を期待されていることを対処すべき課題として捉えております。

 

④ 製品開発への継続的な投資

 経営方針として、製品開発に対する継続的な投資による、製品の高付加価値化や品質の向上、新製品の開発を進めてまいります。当社事業の根幹となる製品開発に対する投資は、製品の高付加価値化をもたらし、より多くの顧客を獲得するとともに、製品単価の向上等、より良好な収益構造の構築を可能にするものであり、既に顕在化しているニーズに対応するのみならず、信頼性の更なる向上により当社業域の拡大を目指すものであります。

 

⑤ 戦略提携を通じた拡販力の強化

 成長における時間効率とダイナミズムを実現するため、戦略提携を強化しパートナー戦略(販売協力・OEM)を推進し、様々な顧客の新規事業ニーズを早期に汲んでいき販売力の強化を図ってまいります。また、それら販売パートナーが有効な販売活動を実現するために必要なサポートを継続して行っていくことが当社にとっても意義あるものと理解しております。

 

⑥ システム技術・インフラの強化

 当社が提供するプラットフォームビジネスは、お客様の契約情報、課金情報等を一元的に管理する目的から、システムの安定的な稼働及びクラウドサービスやIoT等の技術革新への対応が重要な課題と考えております。これに対し、当社ではサーバー等のシステムインフラを安定的に稼働させるべく、継続的なインフラ基盤の強化及び専門的な人員の確保に努めるとともに、必要に応じ他社が提供するサービスを利用し、技術革新にも迅速に対応できる体制構築に努めてまいります。

 

⑦ 海外市場への展開

 当社は、国内のみならず、サブスクリプション市場の拡大が見込まれる海外市場にいち早くプラットフォームを提供することが重要な課題であると考えております。当社のプラットフォームを用いた日本国内企業の海外事業展開の実現例もあります。当社では、今後もより一層の事業拡大を実現させるべく、事業拡大に応じた内部体制の更なる強化、人員の確保及び育成を行い海外市場への更なる展開を行ってまいります。

 

⑧ 優秀な人材の確保と組織体制の強化

 当社は、今後の更なる事業拡大のために、優秀な人材の確保及び当社の成長フェーズに応じた組織体制の強化が不可欠であると認識しております。人材の確保においては、当社の企業風土にあった国内・海外の人材の採用・登用に努め、あわせて従業員の入社年数等の段階にあわせた教育プログラムを体系的に実施することによって、各人のスキル向上を図ってまいります。組織体制につきましては、国内及び海外にて事業拡大に応じた内部体制の更なる強化を図り、コーポレート・ガバナンスの充実に取り組んでまいります。

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)サステナビリティに関する考え方

当社グループは、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (1) 会社の経営の基本方針」に記載の通り、「情報基盤の創造によって、より豊かな社会の実現に貢献する」ことを理念とし、「サブスクリプションをすべてのビジネスに」をテーマに、サブスクリプション統合プラットフォーム「Bplats®」の開発・提供を行っております。当該プラットフォームの提供を通じて、事業者の皆さまの事業の変革を支援しており、それにより持続可能な社会の実現に向けて貢献してまいります。

一方、そのような事業活動を継続的に推し進める上で、当該プラットフォームの品質の維持・向上や安定的な運用体制の確保、また当社グループの成長ステージに応じた多様な人材の確保・育成を含む人的資本に対する積極的な投資が不可欠であり、重要な経営課題として認識しております。

 

(2)具体的な取組

①ガバナンス

当社グループは、品質マネジメントシステム(ISO9001)、情報セキュリティメネジメントシステム(ISO27001)およびISMSクラウドセキュリティ認証(ISO27017)を統合マネジメントシステム(IMS:Integrated Management System)として統合的に運用しており、これを実質的なサステナビリティ推進体制として位置づけております。IMSは、代表取締役社長をトップとし、管理本部及び各本部の幹部代表者を中核とするIMS事務局および各本部のISO推進担当者、全担当者により構成しております。週次の事務局会議、月次の推進会議、全社報告会、取締役会への活動状況報告などを通じて、サステナビリティに関するガバナンスを実効的に運用しながら推進しております。

特に人的資本に関しては、管理本部人事総務部が所管しており、管掌役員である取締役副社長の下で、各事業年度の事業計画策定の際に採用及び重要な人的諸施策の実行計画について予算として織り込み、取締役会にて討議、承認を得ることとしております。事業計画に基づく年度内の個別の採用や人的諸施策に関しては、所管する管理本部人事総務部が詳細企画立案及び運用実行を行いますが、同時に、常勤取締役4名及び執行役員2名による週次の経営会議において、企画立案された人的諸施策や採用・人事異動、育成・教育方針などに関する個別の事案を必要に応じて組織横断的に討議し、採用活動の進捗管理と活性化を図り、また、偏りのない適材適所の人員配置や適切な人材育成を実現することで人材の多様性の確保に努めております。

また、当社グループでは、IMSの方針・プロセスの見直しから、目標設定・計画策定、運用、パフォーマンス評価、是正処置に至るまでのプロセスを文書化・体系化しています。以下の図は、当社が運用するIMSプロセスの全体像を示したものです。この統合的な運用体制により、品質、運用体制、人的資本に関するガバナンスを全社的に実行しています。

<IMSプロセス全体概略図>


②戦略

当社グループでは、IMSの活動指針として、以下を定めておりトップマネジメントである代表取締役社長が定期的に全社員に対して周知徹底することで、その適切な運用の実現を推進しております。

 

本マネジメントシステムは、IMSの目的を達成するために、以下の活動指針を掲げる。

 

「情報基盤の創造によって、より豊かな社会の実現に貢献する」ことを理念とする当社は、施設・設備を含めた情報資産の適切な保護のもと、高品質な製品とサービスを提供することを通じて、当社の信頼を維持し顧客ならびに社会に貢献することを目的にこの「統合マネジメントシステム※基本方針」を定め、事業活動に取り組んでゆきます。

 

1.統合マネジメントシステムのもとで、製品・サービスを提供し、顧客ならびに社会に貢献いたします。

2.統合マネジメントシステムに関連する法令・規制、社会的な規範及び義務を遵守いたします。

3.統合マネジメントシステムのもとで、適切な品質保証、情報セキュリティ、個人情報保護を推進いたします。

4.生産性、品質及びセキュリティの向上のために、統合マネジメントシステムを継続的に改善いたします。

 

※品質マネジメントシステム、情報セキュリティマネジメントシステム、クラウドセキュリティ認証を統合的に運用し、統合マネジメントシステムと呼称いたします。

2016/11/1 代表取締役社長 藤田健治

 

 

 

また、個別方針として、品質マネジメントシステム(QMS)方針、情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)方針およびISMSクラウドセキュリティサービス方針をそれぞれ定め、それらの適用範囲について、QMSについては「コンピュータアプリケーション事業に関わるサブスクリプションプラットフォームの開発・運用・保守」、ISMSについては「コンピュータアプリケーション事業に関わるサブスクリプションプラットフォームの開発・運用・保守」、ISMSクラウドセキュリティサービスについては「サブスクリプションプラットフォーム『Bplats Platform Edition』の提供に係るクラウドサービスプロバイダとしてのシステム開発・運用・保守、及びMicrosoft Azureのクラウドサービスカスタマとしての利用におけるISMSクラウドセキュリティマネジメントシステム」「サブスクリプションプラットフォーム『Bplats Channel Edition』の提供に係るクラウドサービスプロバイダとしてのシステム開発・運用・保守、及びアマゾンウェブサービスのクラウドサービスカスタマとしての利用におけるISMSクラウドセキュリティマネジメントシステム」、としており、それらの方針に従ってIMSの年間活動を運営することにより、品質、運用体制及び人的資本に関するサステナビリティの推進活動を行っております。年間活動に際しては、期初に年間目標として目標項目、目標値および達成計画を定め、それぞれ責任者や監視期間(チェック時期)を明確に定めることにより活動の実効性を確保しております。

特に人的資本に関しては、単年度計画に加え中長期的な視点も踏まえて、以下の通り対応しております。

 

(a)計画的かつ多様な人材採用による組織の活性化

 採用計画については、中期的な経営計画(概ね3年)において予算として定め、各事業年度において適正化を図りながら多様な人材の確保を進めております。また、若手から中堅クラスの人材を積極的に採用することにより組織の活性化に努めております

 

(b)各種研修・自己啓発機会の提供及びメンター制度その他組織的体制の整備による成長の実現やキャリア形成の支援

 社員の成長の実現やキャリア形成の支援策として、体系的で多彩な研修プログラムへの参加奨励を積極的に行っております。新入社員に対しては、業務単位でマンツーマンによる指導教育を行うメンター制度を導入し、早期の職場定着や業務習熟によるエンゲージメント向上に努めております。

 

(c)成長ステージに応じた柔軟な組織運営と適材適所の人材配置

 当社グループでは、開発部門(運用を含む)、事業推進部門、営業部門、管理部門の4つの大きな組織建てのもと、部単位レベルの比較的フラットな組織体制とすることで、人的交流の活性化や風通しのよい職場の実現に努めております。また、会社の成長ステージに合わせて部門の改変を柔軟に行うと共に、部門間の人事異動も含め社員の適材適所の配置に努めております。

 また、社員の成長と共にその役割期待の変化に応じて若手層からの管理者層への登用も柔軟に行っております。開発部門(運用を含む)、事業推進部門、営業部門、管理部門、それぞれの部門において女性も含めた多様な人材が活躍できる業務を用意しております。

 

(d)従業員処遇の改善や福利厚生の充実

 従業員の処遇に関しては、制度化された公正・公平な人事評価を行い処遇に反映させるとともに、給与のベースアップや賞与の見直しなど必要な処遇改善を行っております。また、在宅勤務制度の導入、半日休暇・時間休暇の制度の導入や育児・介護休業制度の充実などの諸施策により、柔軟で多様な働き方の実現に努めております。

 福利厚生に関しては、社員の資産形成をサポートするため企業型確定拠出年金制度や従業員持株会制度を導入しております。

 

③リスク管理

当社グループでは、IMSの運用に従い、年1回定期的に、組織の課題分析、当社グループを取り巻くステークホルダーのニーズ分析、および全社リスクアセスメントを実施しております。リスクアセスメントにおいては、環境変化を踏まえたリスクの特定、リスクマップの見直し、リスク対応計画の策定等を実施しております。それらの分析の結果を踏まえIMS方針や体制等の定期的見直しを行うことにより、PDCAを回すことで、品質、運用体制及び人的資本に関する課題の解決やリスクの顕在化の抑止を図っております。

また、組織の運営に必要な社員のスキル管理のため、全社員に共通で必要となるスキルと担当業務毎に必要となる固有のスキルを知識、技術、経験、資格・試験といった区分ごとに明確化するとともに、それぞれ必要となる年間教育プログラムを策定し、運用を行っております。

特に人的資本に関しては、当社グループは現時点において従業員数が100名に満たない比較的小規模な組織であり、事業活動における人的資本への依存度が相対的に大きいため、従業員一人ひとりが持てる能力と個性を最大限発揮できる組織環境の構築が当社グループが持続的に発展し社会的貢献を果たしていく上で重要であると認識しております。

また、人材の流動性が高まる中、採用競争力が低下して計画通りの人材獲得が進まなくなることや社員の離職増加により組織拡大の可能性が低下することが大きなリスクであると認識しております。

そのため、当社グループの成長ステージに応じた柔軟な組織運営、計画的かつ多様な人材採用による組織の活性化、適材適所の人材配置と各種研修・自己啓発機会の提供及びメンター制度その他組織的体制の整備による成長の実現やキャリア形成の支援、従業員処遇の改善や福利厚生の充実、に努めております。

採用計画や重要な人的諸施策については、中期的な経営計画(概ね3年)において予算として定め、各事業年度において適正化を図りながら管理本部人事総務部が所管部門としてその実行を図るとともに、必要に応じて経営会議において計画の進捗などの日常的なモニタリングを実施することで、実効性の担保を図っております。また、離職状況やストレスチェックの結果など組織の健康に関する状況についても定期的に取締役会に報告するなど必要な対策を講じるよう努めております。

 

④指標及び目標

多様な人材の確保や柔軟な登用などに関する指標として、全社員に占める女性社員の割合及び中核管理者層に占める女性社員の割合を重視し、それぞれ中期的な目標に向けて人的投資を進めてまいります。全社員に占める女性社員の比率につきましては、既に2025年3月末時点において58.8%と半分以上を占めておりますが、引き続き50%程度の維持を目指します。会社の成長を支えリードする原動力となる中核管理者層(マネージャーから部長クラス)に占める女性社員の割合は2025年3月末時点において40.9%でありますが、30%程度以上を目指します。

また、品質の維持・向上や情報セキュリティを含む安定的な運用体制の確保のため、知識のブラッシュアップと向上を目的に毎年定期的に全役職員および協力会社社員を対象に社内情報セキュリティ研修と試験を実施しております。当該試験における初回合格率は2025年3月末時点で96.6%でありますが、中期的には96%以上を目指します(当該試験については合格するまで再研修・再試験を繰り返します)。

指標

2025年3月末実績

(参考)

中期的な目標

全社員に占める女性社員の割合

58.8

50%程度の維持

中核管理者層〔(注)1〕に占める女性社員の割合

40.9

30%程度以上

情報セキュリティ試験初回合格率〔(注)2〕

96.6

96%以上

 

(注)1.マネージャー、シニアマネージャー、部長の役職の社員(上位職位との兼務者は除く)

 2.毎年定期実施する社内情報セキュリティ試験に初回で合格した受験者数/受験者数

 

3 【事業等のリスク】

当社グループの事業展開その他に関し、リスク要因となる可能性があると認識している主な事項を以下の項目に記載しております。また、必ずしも、そのようなリスク要因に該当しない事項につきましても、投資家の投資判断上、重要であると考えられる事項については、投資家に対する積極的な情報開示の観点から以下に開示しております。当社グループは、これらのリスク発生の可能性を十分に認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針ではありますが、当社株式に関する投資判断は、本項及び本書中の本項以外の記載事項を慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。

なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであり、将来において発生の可能性があるすべてのリスクを網羅するものではありません。

 

(1) 事業環境に関するリスクについて

① 情報サービス産業における技術革新について

当社グループが属する情報サービス産業においては、技術革新が激しくそれに伴う市場ニーズの変化に迅速に対応することが求められております。当社としても、技術革新に応じたシステムの拡充・改善及び事業戦略の修正等を迅速に行う必要があるものと考えており、システム開発並びに企業運営においても相応の体制を敷いております。

しかしながら、技術変化の方向性を予測・認識できない場合や、事業環境の変化等により顧客企業のIT投資ニーズが急速かつ大きく変化した場合には、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 情報セキュリティリスクについて

当社グループでは、サービス提供において、業務上、顧客企業が保有する個人情報や顧客企業の機密情報を知り得る場合があります。このため、当社では情報セキュリティ体制の強化に努めるとともに、2017年2月にISO/IEC 27001:2013(情報セキュリティマネジメント)及び2017年3月にISO/IEC 27017:2015(クラウドサービスセキュリティ)の規格に適合する証明を取得し、また、2025年2月に改訂規格である27001:2022(情報セキュリティマネジメント)についても適合する証明を取得しております。しかしながら、コンピュータウイルス、不正アクセス、人為的過失、あるいは顧客システムの運用障害、その他の理由により、これらの機密情報の漏洩が発生した場合、顧客企業等からの損害賠償請求や当社の信用失墜の事態を招き、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 競合について

当社グループが属する情報サービス産業においては、一般的に激しい企業間競争が発生しやすい環境にあります。当社グループは製品における独自性・先行優位性を活かして事業を推進していく所存でありますが、将来において当社グループの製品が顧客のニーズに合致せず、市場から受け入れられない場合には事業計画どおりの売上を達成できず、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) 事業内容に関するリスクについて

① サブスクリプション事業への依存について

当社グループの売上高は、主たる事業であるサブスクリプション事業に依存しており、サブスクリプション管理システムの需要が国内・海外において成長を維持すると見込んでおりますが、事業環境の変化等への対応が適切でない場合には、当社グループの事業展開及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 解約等のリスクについて

当社グループの主力製品であるサブスクリプションプラットフォーム「Bplats®」の利用契約において、利用期間は基本的に1年間としておりますが、その後、顧客の意思に従って契約の更新又は解約がなされます。当社としては顧客に「Bplats®」の利用を継続いただけるよう、顧客ニーズの継続的な把握及び当該ニーズを反映するための機能改善開発に取り組んでおります。しかしながら、顧客の事業変化等により、当社製品のニーズが低くなり解約数が増加した場合や、顧客である事業者の販売高に連動する従量型の利用料が想定どおりに増加しない場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります

 

③ 製品の不具合の発生による影響について

当社は、2017年2月にISO 9001:2015(品質マネジメント)を取得し、これに基づく品質管理基準に従って不具合等の発生防止に最大限の注意を払っております。しかしながら、当社グループ製品の不具合により顧客が損害を被った場合、損害賠償請求を受けたり、当社グループに対する信頼性の喪失により、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります

 

④ 業績の季節変動について

わが国においては、商習慣上3月を期末月とする企業が多く、当社製品は企業向けに事業転換・事業創出を支援するものであることから、当社顧客は新年度である4月に向けて、3月までに当社製品の導入を求める例が多くみられます。そのため、当社の売上高は、当社グループの第4四半期(1月から3月まで)、特に3月に偏在する傾向があり、特定の四半期業績のみをもって当社グループの通期業績見通しを判断することは困難であります。また、当社の期末月でもある3月に売上計上を計画する案件については、販売パートナーや当社顧客の業務その他の要因により、売上計上の実施が4月以降となる等の変更が生じる可能性があります。これらの事項は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります

 

(3) 製品の開発及びシステムの運用等に関連するリスクについて

① 製品の開発について

当社グループは、主力製品であるサブスクリプションプラットフォーム「Bplats®」に代表される製品群の開発・維持に係る投資を継続的に行っておりますが、これらの開発においては、計画どおりの品質を確保できない場合や、開発計画の遅延等によりコスト増大の可能性があり、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、生産能力の確保、コスト効率化、技術力・ノウハウの活用のため複数の業務委託会社を活用しておりますが、期待した生産性や品質が維持できない可能性があり、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります

 

② システムの運用について

当社グループの事業はネットワーク環境、特にインターネットへの依存度が高くなっており、当社グループにおいては、インターネット並びに所定のネットワーク環境下で「Bplats®」をはじめとする当社グループ製品群を収容するシステムを安定的かつ継続的に運用していくことが要求されます。当社グループでは、システム障害の発生防止のために、システムの冗長化、脆弱性検査、不正アクセス防御等の対策を講じておりますが、これらの対策を講じているにも拘わらず、自然災害、事故、不正アクセス等によって通信ネットワークの切断、サーバー等ネットワーク機器に作動不能等の障害が発生する可能性があり、これらの障害が発生した場合には、システムの作動不能や欠陥等に起因する取引の停止等について、システムへの信頼性の低下を招き、当社グループの事業展開及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、システムの運用については、クラウドインフラ環境の利用を行っており、多数の顧客向け環境の安定的かつ継続的な運用体制の確保に努めておりますが、適切なインフラ環境の構築や整備に係る技術的な問題の発生や環境維持・改善に係るクラウド通信費の上昇による想定外のコスト増加が発生し、当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります

 

(4) 事業運営体制について

① 特定経営者への依存について

代表取締役社長である藤田健治は、当社の創業以来代表取締役を務めております。同人は、経営方針や事業戦略の決定をはじめ、各部門の事業推進、外部との折衝等において重要な役割を果たしております。当社は、同人に過度に依存しない経営体制の構築を目指し、組織の体系化、人材の育成及び強化並びに権限の委譲等組織的な事業運営に注力しておりますが、同人が何らかの理由により業務執行できない事態となった場合、当社グループの事業展開及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります

 

② 人材の確保及び育成について

当社グループは現時点において小規模な組織であるため、当社グループの事業活動にあっては人材への依存度が大きく、今後更なる事業拡大に対応するためには、継続して優秀な人材の確保・育成が必要であると考えております。しかしながら必要な人材の確保及び育成が想定どおりに進まない場合、当社グループの事業展開及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります

 

③ 内部管理体制について

当社グループは、今後更なる事業拡大を図るために、内部管理体制についても一層の充実を図ることが必要不可欠と考えております。しかしながら、事業拡大により、内部管理体制の構築が追いつかない事態が生じる場合、適切な業務運営が困難となり、当社グループの事業展開及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります

 

(5) 感染症や自然災害等に関するリスクについて

2020年2月以降の新型コロナウイルスの感染拡大に伴う影響はほぼ収束し、各種経済活動も概ね感染拡大前の水準に戻りました。しかしながら、今後、ウイルスの再度の感染拡大により、国内企業の企業活動の抑制や事業者の業績が大きく下押しされることなどの結果として、当社グループの売上についてもマイナス影響を被る可能性があります。また、大規模な自然災害等の発生に備え、BCP(事業継続計画)その他の体制整備に努めておりますが、不測の事態が発生した場合には、当社グループの事業や財政状態に影響を及ぼす可能性があります

 

(6) その他

① 配当政策について

当社では、財務体質の強化及び積極的な事業展開に備えるための内部留保の充実を優先させるため、当事業年度までの過去において配当を行っておりません。当社は株主への利益還元も重要な経営課題であると認識しており、将来的には、毎期の経営成績並びに繰越利益剰余金の残高を含む財政状態を勘案しつつ、将来の事業拡大のために必要な内部留保とのバランスを図りながら配当による株主への利益還元を安定的かつ継続的に実施する方針でありますが、現時点において配当実施の可能性及びその時期につきましては未定であります。

 

② 新株予約権の行使による株式価値の希薄化について

当社は役員及び従業員に対し、長期的な企業価値向上に対するインセンティブとしてストック・オプションを付与しているほか、今後も優秀な人材確保のためのストック・オプションを発行する可能性があり、現在付与している新株予約権等に加え、今後付与される新株予約権等について行使が行われた場合には、保有株式の価値が希薄化する可能性があります。

なお、当事業年度末日現在、新株予約権による潜在株式数は21,040株であり、発行済株式総数2,467,441株の0.85%に相当しております。

また、当社は今後の事業戦略の実現を目指し2025年4月14日にグロースパートナーズ株式会社が管理・運営を行うファンドであるGP上場企業出資投資事業有限責任組合に対して第三者割当の方法により新株予約権及び無担保転換社債型新株予約権付社債を発行しました。当該新株予約権について行使が行われた場合又は当該新株予約権付社債について転換が行われた場合には、保有株式の価値が希薄化する可能性があります。

当該新株予約権がすべて行使された場合に交付される株式数1,388,800株及び当該新株予約権付社債がすべて下限転換価額で転換されたと仮定した場合に交付される株式数993,300株を合算した総株式数は2,382,100株であり、発行済株式総数2,467,441株の96.54%に相当しております。

 

③ 税務上の繰越欠損金について

当社は、前事業年度より2期連続で当期純損失を計上しており、当事業年度末日現在において467,222千円の税務上の繰越欠損金が存在しております。繰越欠損金は、一般的に将来の課税所得から控除することが可能であるため、繰越欠損金を利用することにより将来の税額を減額することができます。しかしながら繰越欠損金の利用額と利用期間には、税務上、一定の制限も設けられております。よって計画どおりに課税所得が発生しない場合、繰越欠損金を計画どおり利用できないこととなるため、通常の税率に基づく法人税等が課税されることになり、当期純利益やキャッシュ・フローに影響を与える可能性があります。

 

④ 継続企業の前提に関する重要事象等

当社グループは、前連結会計年度において、営業損失、経常損失及び親会社株主に帰属する当期純損失を計上し、当連結会計年度においても、207,489千円の営業損失、217,402千円の経常損失及び298,069千円の親会社株主に帰属する当期純損失を計上しております。また、投資キャッシュ・フローの大幅マイナスを上回る営業キャッシュ・フローの創出に至っておらず、経常的に資金が減少し、当連結会計年度末の現金及び預金残高は68,058千円となり、短期借入金残高300,000千円及び1年内返済予定の長期借入金残高239,826千円を大幅に下回る水準となっております。

以上により、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在しております。当社グループでは、これらの状況を解消するため、以下の対応策を実施してまいります。

 

(a)収益力の向上

短期的には、2025年4月より既存顧客に対する月額固定料の20%値上げを行うなど「Bplats®Platform Edition」の提供価格の改定、顧客専用環境運用に係る業務委託費の確保、オリックス・レンテック株式会社との再販パートナー契約を締結したSaaSサービスの一元管理プラットフォーム「サブかん®」の拡販などにより、売上高拡大を図ってまいります。また、翌期首より営業所管部門を再編することにより営業力の増強を実施し、当期剥落した大型開発案件の獲得に注力してまいります。中長期的には、中核事業としております主力製品汎用型サブスクリプション統合プラットフォーム「Bplats® PlatformEdition」の展開に加え、IoT事業やDX事業を自社事業の取組みの一部として取り組む企業などとの連携による「Bplats® Platform Edition」を活用した新ビジネス創出等により、収益ポートフォリオの拡大を検討してまいります。

 

(b)各種コスト削減施策の強化及び推進

売上原価において、前期の主力製品バージョンアップに伴い、新旧環境移行による影響もあり通信インフラコストが大幅に増加したことに対して、前第4四半期連結会計期間より当該コスト削減策の策定とその実行を順次実行中であり、既に直近月においては大幅な削減効果が実現しており(前第4四半期連結会計期間の1か月平均クラウド通信費29.8百万円/月→当第4四半期連結会計期間の1か月平均クラウド通信費13.9百万円/月)、今後一層の当該コスト削減に取り組みます。また、厳選採用や組織統合・人員配置換え等による労務費・人件費・採用教育費の削減、開発案件に応じた外注加工費(SES)の削減、常勤取締役報酬の減額、外注費の削減、広告宣伝費の削減など、具体的なコスト削減を既に開始しておりますが、翌期以降も更にコスト管理を強化することにより、営業黒字体質への転換を目指してまいります。

 

(c)戦略的事業パートナーとの資本業務提携による経営基盤強化

当社は、2025年3月28日開催の取締役会において、グロースパートナーズ株式会社との間で事業提携契約を締結すると共に、グロースパートナーズ株式会社が管理・運営を行うファンドであるGP上場企業出資投資事業有限責任組合に対して第三者割当の方法により最大で901,350千円の資金調達となる新株予約権及び無担保転換社債型新株予約権付社債を発行することについて決議し、このうち2025年4月14日に301,388千円の払い込みが完了したことによりキャッシュ・フローの改善を図っております。グロースパートナーズ株式会社からは、前述の事業提携契約により、当社グループの成長のための情報提供・各種分析、M&Aによる事業基盤の拡充・強化、IR強化など、ハンズオンによる業務支援等を受ける予定です。この提携により、キャッシュ・フローの改善を含めた経営基盤の安定化と「Bplats® Platform Edition」の一層の拡販や事業シナジーによる効率化等の推進を図ってまいります。

 

しかしながら、これらの対応策は進捗の途上であり、今後の事業計画における売上高及び営業キャッシュ・フローの獲得は外部環境要因に依存する部分も大きく、現時点では継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められます。

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中における将来に関する事項は、当連結会計年度の末日現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国経済は、雇用・所得環境の改善やインバウンド需要の増加により回復基調が継続しているものの、米国による関税引き上げ発表に伴う物価高騰や急激な為替変動により世界的に景気後退への警戒感が強まり、先行き不透明な状況が続いております。

当社グループを取り巻く事業環境としては、近年消費者の価値観が「所有」から「利用」、「モノ」から「コト」へ変化する中で、「サブスクリプションビジネス」がBtoCの分野で先行的に拡大しており、すでに「サブスクリプション」はビジネスモデル変革の一つのキーワードとして広く業界に認知されるに至っております。また、近年は、技術革新に加え、社会生活の態様の変化を踏まえ、日本企業によるデジタル・トランスフォーメーション(DX)への取り組みが一層進んでいく環境が出来上がりつつあるものと思料しておりますが、加えて、新型コロナウイルス感染症の感染拡大を契機に、コンタクトレス・エコノミーへの対応が求められる時代にもなりました。

このような環境において、当社グループは創業以来「情報基盤の創造によって、より豊かな社会の実現に貢献する」ことを理念とし、「サブスクリプションをすべてのビジネスに」をテーマに、サブスクリプション統合プラットフォーム「Bplats®」の開発・提供を一貫して行っております。サブスクリプション型ビジネスへの転換・事業創出のニーズは各産業に通底するものであり、当社プラットフォームを展開しうる業域は広いため、今後も事業機会は増加していくものと想定しております。また、新型コロナウイルスの感染拡大により社会経済活動が制約を受けたことを契機として、中長期的には、社会生活の態様の変化から日本企業によるデジタル・トランスフォーメーション(DX)への取り組みが一層進み、日本企業のビジネスモデルのサブスクリプション型ビジネスへの転換が従来よりも加速していく可能性もあり、その場合には、当社の主力製品である汎用型サブスクリプション統合プラットフォーム「Bplats® Platform Edition」は、より一層の支持を受けるものと期待されます。

当社グループでは、全てのサブスクリプションビジネスを取り込み得る将来的な拡販の可能性とそれに伴う企業成長を目指し、2017年半ばより汎用製品である「Bplats® Platform Edition」を主力製品として、当期においても引き続きその拡販に注力しており、日本企業のデジタル・トランスフォーメーション(DX)を支援するプラットフォームシステムとして着実な事業進捗を重ねているものと判断しております。

また、「Bplats® Platform Edition」で実現する「エコシステムがつながる」という当社の強みの機能向上を推進し、多様なニーズに対応すべく、新たなオプション機能の開発を継続的に進めております。特に、自社のサブスクリプションサービスを他事業者のサブスクリプションマーケットプレイスを通じて提供できる新サービス「Bplats® Connect」を活用すると、大手のサブスクリプションマーケットプレイスを展開する事業者に自社のサブスクリプションサービスを登録し新しい顧客層にサービスや商品を提供することや、複数の「Bplats®」の利用者が集まって一つのマーケットプレイス型サイトを新たに開設することによりスマートシティやスマートビルディングといった個々の目的にあった新たなマーケットプレイスに参加する各企業のサブスクリプションを簡単に取りまとめ新規のビジネスを立ち上げることが可能になります。

また、当社では国内の各種法令に適合した機能群を準備し、適切に対応しておりますが、2023年10月には、「Bplats® Platform Edition v3」は、公益社団法人 日本文書情報マネジメント協会(JIIMA)が認証する「電子取引ソフト法的要件」を取得いたしました。

2024年12月には、新たにGMOペイメントサービス株式会社が提供する「GMO掛け払い」を「Bplats® Platform Edition」で利用できる「GMO掛け払い連携モジュール」を提供開始いたしました。

当社といたしましては、このように主力製品「Bplats® Platform Edition」の機能向上を進めつつ、直販営業の強化に加え、販売パートナーの拡充と販売パートナーへの営業支援を強化し新規契約件数の拡大に注力しております。

それらの結果、当連結会計年度末における契約社数(無償版契約社数を含む)は257社(前連結会計年度末比+5社)と着実に契約は伸長しております。

当社といたしましては、こうした販売戦略を通じ新規契約社数の拡大、アップグレード案件獲得とそれに伴う1社あたりの顧客単価拡大に注力することで、引き続き中長期的な成長を目指して当社グループの顧客基盤及びサブスクリプション収益(ストック型の月額収益、オプション追加収益)の拡大に努めてまいります。当連結会計年度においては、売上高に占めるストック収入の割合は、82.0%(前年同期67.0%比+15.0pt)、スポット収入に占めるオプション機能の提供を含む初期費用等の割合は、74.9%(前年同期63.1%比+11.7pt)、となりました。

市場の拡大に向けた取り組みの強化としては、企業向けSaaSサービス市場の拡大に伴い、企業内でのSaaSサービスの社内での利用申請などの業務ワークフロー、システム担当者による煩雑な社外調達手配業務のオンライン化、企業内で多様化する働き方や職種に合わせて従業員に割り当てるSaaSサービスを一元管理するクラウドサービス「サブかん®」の大幅な機能強化を実施しました。2024年5月より提供開始した「サブかん」の新バージョンより、新たに「Subkan Connect(サブかんコネクト)」機能を搭載することにより、主力製品「Bplats® Platform Edition」のマーケットプレイスやマイページとデータがつながることを可能としました。これにより、「Bplats® Platform Edition」を活用する事業者によるSaaSサービスやサブスクリプションのオンライン販売サイト(「Bplats® Platform Edition」側)とそれらを購入した企業側の管理サービス(サブかん側)の、「売り手と買い手」がつながることを実現しています。「サブかん」とSubkan Connect(サブかんコネクト)機能を活用して連携可能な第一弾のマーケットプレイスとして、「サブかんストア」も同時に開設し、数百種類にも拡大している国内で流通するSaaSサービス商材の取り扱いを順次充実させ、2024年10月からはシステムの管理者と利用者をつなぐコミュニケーション機能「Subpass(サブぱす)」をリニューアルし提供開始する等、「サブかん」の利便性の拡充を継続的に実施しております。また、オリックス・レンテック株式会社と「サブかん®」販売パートナー契約を締結し、拡販にむけた体制構築が進捗しております。

 

以上の結果、当連結会計年度における売上高については、契約社数は引き続き増加し、ストック収入は堅調に推移したものの、前期の大型開発案件の効果が剥落したこと等によりスポット収入が伸び悩み、706,256千円(前年同期比21.3%減)となりました。また、損益面については、売上原価において、前期の主力製品バージョンアップに伴い、新旧環境移行による影響もあり通信インフラコストが大幅に増加したことに伴い前第4四半期連結会計期間より当該コスト削減策の策定とその実行を順次進行し、直近では環境移行前のコスト水準に減退しているものの、当期の前半において前年同期数値を上回った水準で推移したこと、加えて減価償却費の増加があったこと等により、営業損失は207,489千円(前年同期は76,749千円の営業損失)、経常損失は217,402千円(前年同期は78,730千円の経常損失)、また、減損損失42,260千円、投資有価証券評価損23,326千円、法人税等調整額11,558千円を計上したこと等により、親会社株主に帰属する当期純損失は298,069千円(前年同期は98,013千円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。

 

また、当連結会計年度末における当社グループの財政状態については下記のとおりとなっております。

(資産)

当連結会計期間末の総資産は1,087,543千円となり、前連結会計年度末に比べ280,040千円の減少となりました。

流動資産は195,271千円となり、前連結会計年度末に比べ240,292千円の減少となりました。これは主に、現金及び預金が164,153千円減少したこと、売掛金が59,938千円減少したこと等によります。

固定資産は892,272千円となり、前連結会計年度末に比べ39,748千円の減少となりました。これは主に、ソフトウエア及びソフトウエア仮勘定の無形固定資産が27,139千円増加したこと、投資有価証券が50,000千円減少したこと等によります。

(負債)

当第連結会計期間末の負債合計は803,039千円となり、前連結会計年度末に比べ2,239千円の減少となりました。

流動負債は644,618千円となり、前連結会計年度末に比べ164,830千円の増加となりました。これは主に短期借入金が300,000千円増加したこと、1年内返済予定の長期借入金が63,687千円減少したこと、未払金が28,655千円減少したこと等によります。

固定負債は158,421千円となり、前連結会計年度末に比べ167,069千円の減少となりました。これは主に、長期借入金が167,072千円減少したこと等によります。

(純資産)

当連結会計期間末の純資産合計は284,503千円となり、前連結会計年度末に比べ277,801千円の減少となりました。これは主に、株式報酬及び新株予約権行使の払込みにより資本金及び資本剰余金がそれぞれ10,133千円増加したこと、親会社株主に帰属する当期純損失の計上により利益剰余金が298,069千円減少したこと等によります。

株主資本は284,503千円となり、前連結会計年度末に比べ277,801千円の減少となりました。自己資本比率につきましては、26.2%(前連結会計年度末は41.1%)となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)の残高は、前連結会計年度末に比べ164,153千円減少し、68,058千円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
 営業活動の結果得られた資金は48,092千円(前年同期は116,976千円の獲得)となりました。これは主に減価償却費250,671千円、売上債権の減少額59,938千円等で資金が増加したことに対し、税金等調整前当期純損失285,147千円等で資金が減少したことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
 投資活動の結果支出した資金は291,799千円(前年同期は321,083千円の支出)となりました。これは主にシステム開発に伴う無形固定資産の取得による支出307,751千円等で資金が減少したことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
 財務活動の結果得られた資金は79,553千円(前年同期は86,258千円の獲得)となりました。これは主に短期借入れによる収入300,000千円等で資金が増加したことに対し、長期借入金の返済による支出230,759千円等で資金が減少したことによるものであります。

 

③ 生産、受注及び販売の状況

a.生産実績

当社グループで行う事業は、提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。

 

b.受注実績

当社グループのサービス提供の実績は販売実績と一致しておりますので、受注実績に関しては販売実績の項をご参照ください。

 

c.販売実績

当連結会計年度における販売実績を事業別及びサービス別に示すと、次のとおりであります。

事業及びサービスの名称

販売高(千円)

前年同期比(%)

サブスクリプション事業

695,793

78.8

 

初期費用・初期開発等

82,030

30.3

 

月額利用料等

613,762

100.2

その他の事業

10,463

68.3

合計

706,256

78.6

 

(注) 当連結会計年度の主な相手先の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自 2023年4月1日

2024年3月31日)

当連結会計年度
(自 2024年4月1日
 至 2025年3月31日)

販売高(千円)

割合(%)

販売高(千円)

割合(%)

エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社

111,541

12.4

89,771

12.7

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計方針及び重要な会計上の見積り

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、決算日における財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与えるような経営者の見積り及び予測を必要としております。当社グループは、過去の実績値や状況を踏まえ合理的と判断される前提に基づき、見積り及び予測を行っております。

なお、連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 重要な会計上の見積り、2 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項 重要な会計上の見積り」に記載のとおりであります。

その他重要な会計方針は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項、2 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項 重要な会計方針」に記載のとおりであります。

 

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

当社グループの当連結会計年度の経営成績等について、当社グループの中長期的な事業戦略に基づき当連結会計年度に実施しました諸施策に関係づけて分析すると、以下のとおりであります。

a.売上高

契約社数は引き続き増加しストック収入は堅調に増加したものの、前期の複数大型開発案件の効果が剥落しスポット収入が伸び悩み、売上高は706,256千円(前年同期比21.3%減)となりました。

b.売上原価、売上総利益

前期の主力製品バージョンアップに伴い、新旧環境移行による影響もあり通信インフラコストが大幅に増加したことに伴い前第4四半期連結会計期間より当該コスト削減策の策定とその実行を順次進行し、直近では環境移行前のコスト水準に減退しているものの、当期の前半において前年同期数値を上回った水準で推移したこと、加えて減価償却費の増加があったこと等により、売上原価が550,455千円(前年同期比1.6%減)となり、売上総利益は155,801千円(前年同期比53.9%減)となりました。

c.販売費及び一般管理費、営業損失

適正な費用コントロールを継続したことにより、販売費及び一般管理費は363,290千円(前年同期比12.4%減)となり、営業損失は207,489千円(前年同期は76,749千円の営業損失)となりました。

d.営業外損益、経常損失

営業外収益は3,993千円、営業外費用は13,906千円となり、その結果、経常損失は217,402千円(前年同期は78,730千円の経常損失)となりました。

e.親会社株主に帰属する当期純損失

投資有価証券評価損を23,326千円、投資有価証券売却損を2,158千円、減損損失を42,260千円、それぞれ特別損失として計上しました。また、法人税、住民税及び事業税、法人税等調整額等を計上した結果、親会社株主に帰属する当期純損失は298,069千円(前年同期は98,013千円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。

当社グループの将来の経営成績に重要な影響を与える要因のうち、投資者の判断に重大な影響を与える可能性の事項については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。 

 

資本の財源及び資金の流動性については下記のとおりと考えております。

資本の財源については、当連結会計年度末においては親会社株主に帰属する当期純損失298,069千円を計上したことから自己資本比率は26.2%となりました。

また、資金の流動性については、当連結会計年度末における流動比率は30.3%となりました。

 

経営者の問題意識と今後の方針については次のとおりと考えております。

当社グループは、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおり、当社グループが今後更に成長と発展を遂げるためには、様々な課題に対処していくことが必要であると認識しております。それらの課題に対応するため、経営者は常に市場におけるニーズや事業環境の変化に関する情報の入手及び分析を行い、現在及び将来における事業環境を認識したうえで、当社の経営資源を最適に配分し、最適な解決策を実施していく方針であります。

 

5 【重要な契約等】

(グロースパートナーズ株式会社との業務資本提携契約締結)

 当社は、2025年3月28日付にて、グロースパートナーズ株式会社との間で事業提携契約を締結しました。また、同日付にて、グロースパートナーズ株式会社が管理・運営を行うファンドであるGP上場企業出資投資事業有限責任組合との間で第6回新株予約権及び第1回無担保転換社債型新株予約権付社債に関する第三者割当契約を締結し、2025年4月14日にその発行手続が完了しました。

 

<事業提携契約の内容>

本事業提携契約に基づき当社グループがグロースパートナーズから受ける支援の概要は以下のとおりです。

① 当社グループにおける営業生産性の改善・強化に係るサポート

② M&A案件の紹介、及びターゲットをリストアップした上での能動的なアプローチに係る提案

③ IRに関するアドバイスの提供、IR支援、投資家の紹介

④ 成長戦略策定支援、新規事業提案、事業計画策定支援

⑤ 上記以外の、当社及びグロースパートナーズが別途合意する業務

当社は、上記の支援の対価として、本事業提携契約に定める報酬をグロースパートナーズに支払います。

 

<第三者割当契約の内容>

1.第6回新株予約権発行の概要

割当日

2025年4月14日

発行新株予約権数

13,888個

発行価額

総額1,388,800円(本新株予約権1個当たり100円)

当該発行による潜在株式数

1,388,800株

調達資金の額

601,350,400円(注)

(内訳)

本新株予約権発行分 1,388,800円

本新株予約権行使分 599,961,600円

行使価額及び行使価額の修正条件

当初行使価額は、432円とします。

但し、2025年10月14日、2026年10月14日、2027年10月14日、2028年10月14日及び2029年10月14日(以下、本⑥において個別に又は総称して「修正日」という。)において、修正日まで(当日を含む。)の20連続取引日(東京証券取引所において売買立会が行われる日をいう。但し、東京証券取引所において当社普通株式のあらゆる種類の取引停止処分又は取引制限(一時的な取引制限も含む。)があった場合には、当該日は「取引日」に当たらないものとする。以下同じ。)の東京証券取引所における当社普通株式の普通取引の終値の平均値(計算の結果1円未満の端数が生じる場合は、その端数を切り上げた金額。以下、本⑥において「修正日価額」という。)が、修正日に有効な行使価額を1円以上下回る場合には、行使価額は、修正日以降、修正日価額に修正されます。但し、上記の計算の結果算出される金額がかかる修正における下限行使価額である302円を下回る場合には、修正後の行使価額は下限行使価額とします。

行使請求期間

2025年4月15日から2030年4月14日

募集又は割当方法

第三者割当の方法によります。

割当先

GP上場企業出資投資事業有限責任組合

資金使途

事業拡大のためのM&A資金に充当

その他

当社は、割当先との間で、2025年3月28日付で、本新株予約権及び本新株予約権付社債に関する引受契約書を締結いたしました。当該引受契約書において、本新株予約権の行使について以下のとおり合意しております。

(a)割当先は、2025年4月15日から2026年4月14日までの期間は、本新株予約権を行使しません。

(b)(a)にかかわらず、①当社が本引受契約上の義務又は表明・保証の重要な違反をした場合、又は②当社が割当予定先による本新株予約権の行使に合意した場合、割当予定先は、その後いつでも本新株予約権を行使できます。

 

(注) 調達資金の額は、本新株予約権の発行価額の総額と、すべての本新株予約権が当初行使価額で行使されたと仮定して算出された行使価額の合計額です。行使価額が修正又は調整された場合には、調達資金の額は減少します。また、本新株予約権の権利行使期間内に行使が行われない場合及び当社が取得した新株予約権を消却した場合には、調達資金の額は減少します。

 

2.第1回無担保転換社債型新株予約権付社債発行の概要

払込期日

2025年4月14日

新株予約権の総数

30個

社債及び新株予約権の発行価額

本社債の金額100円につき金100円

但し、本転換社債型新株予約権と引換えに金銭の払込みを要しないものとします。

当該発行による潜在株式数

当初転換価額(432円)における潜在株式数:694,400株

下限転換価額(302円)における潜在株式数:993,300株

調達資金の額

300,000,000円

転換価額及び転換価額の修正条件

当初転換価額は、432円とします。

但し、2025年10月14日、2026年10月14日、2027年10月14日、2028年10月14日及び2029年10月14日(以下、本⑥において個別に又は総称して「修正日」という。)において、修正日まで(当日を含む。)の20連続取引日の東京証券取引所における当社普通株式の普通取引の終値の平均値(計算の結果1円未満の端数が生じる場合は、その端数を切り上げた金額。以下、本⑥において「修正日価額」という。)が、修正日に有効な転換価額を1円以上下回る場合には、転換価額は、修正日以降、修正日価額に修正されます。但し、上記の計算の結果算出される金額がかかる修正における下限転換価額である302円を下回る場合には、修正後の転換価額は下限転換価額とします。

募集又は割当方法

第三者割当の方法によります。

割当先

GP上場企業出資投資事業有限責任組合

利率及び償還期日

利率:年率1.5%

償還期日:2030年4月14日

償還価額

本社債の金額100円につき金100円

その他

当社は、割当先との間で、2025年3月28日付で、本新株予約権及び本新株予約権付社債に関する引受契約書を締結いたしました。当該引受契約書において、本新株予約権の行使について以下のとおり合意しております。

(a)割当先は、2025年4月15日から2026年4月14日までの期間は、本転換社債型新株予約権を行使しません。

(b)(a)にかかわらず、①当社が本引受契約上の義務又は表明・保証の重要な違反をした場合、又は②当社が割当予定先による本転換社債型新株予約権の行使に合意した場合、割当予定先は、その後いつでも本転換社債型新株予約権を行使できます。

 

 

6 【研究開発活動】

該当事項はありません。