文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループでは、経営上の重要な基本理念、目標等を「パーパス」及び「私たちの信条(Our Credo)」として取りまとめております。
パーパス
「いのちを守り、未来を支える」
経営理念(Our Mission)
(a) 私たちは、製品・サービスを通じて大切な「命」を守ります。
私たちがご提供する製品やサービスは、これらを利用する方々の安全、ひいては命に直結しています。
私たちはそれをいつも心にとどめて活動し、全ての品質に対して決して妥協することはありません。
(b) 私たちは、社員のやる気を応援し、「夢と未来」の実現を支えます。
社員が夢を描き、その実現に向かって、持てる力を存分に発揮できることが重要と考えています。
私たちは、社員が誇りとやりがいをもって仕事に臨み、成果を分かち合い、さらなる成長を目指していくことを全力で支えます。
経営目標(Our Vision)
(a) 私たちは、お客様から信頼される企業を目指します。
私たちの『品質方針』である「安全性」・「品質向上」・「納期厳守」・「価格競争力」のレベルを高めるべく、お客様との対話を大切に、一切の妥協なく努力を続けます。
(b) 私たちは、お客様とともに成長を続けます。
社員の一人ひとりが、日々の活動を通じて人間として成長できるよう、一歩ずつでも前進していきます。
やがて、社員が自分の人生を託すにふさわしい、素晴らしく夢のある企業を自ら創りだせるよう、努力と工夫を怠らない組織となることを目指します。
当社グループは、売上収益、営業利益のほか、EBITDA(※)を経営上の重要な指標としております。
※EBITDA=営業利益(損失) + その他の費用 - その他の収益 + 減価償却費及び償却費
当社グループが属する建設業界において、我が国の建設投資の状況は、2010年度の41.9兆円を底に下げ止まり、2023年度は前年対比2.2%増の70.3兆円の見通しとなっております。(注1)
住宅においては、国土交通省ウェブページ「令和5年度 住宅経済関連データ」によると、居住世帯のある住宅数5,362万戸のうち、1990年以前に建築された住宅が全体の約38%(2,055万戸)を占めており、今後は住宅の改築・リフォーム・耐震工事などの需要が高まるものと認識しております。
また、道路橋などの社会的インフラは、高度経済成長期等に集中的に整備されたため、今後急速に老朽化することが懸念される中、2014年に策定された国土交通省インフラ長寿計画により、インフラの戦略的な維持管理・更新等が推進されております。
建設現場の環境に目を転じると、2015年には厚生労働省「安全衛生規則」が改正され、足場からの転落事故を防止する「手すり先行工法」の推奨など、より一層、安全に配慮した製品が求められております。
また、慢性的な建設技能者の不足問題(注2)や、労務単価の上昇(注3)、労働時間の適正化といった問題が顕在化しており、より一層、工期短縮に資する施工効率の高い製品や、軽量で作業負担の少ない製品、コスト削減に資する保管効率や運搬効率が高い製品が求められております。
(注1)国土交通省(2023年8月発表)「令和5年度(2023年度)建設投資見通し」より
(注2)国土交通省(2024年5月発表)「建設労働需給調査結果」より
(注3)国土交通省プレスリリース(2024年2月発表)「令和6年3月から適用する公共工事設計労務単価について」より
当社が調査依頼した仮設資材市場調査報告書(2021年12月調査実施・非公表)によると、当社が提供する「システム足場」は、2020年度の出荷金額ベースで市場シェア1位となっております。
これは当社グループが、仮設資材のリーディングカンパニーとして「製造力」「マーケティング力」「営業力」の三位一体の総合力で競争力のある製品を開発し、製造・販売することでシェアの拡大に努めた結果であると考えております。例えば、2015年7月の安全衛生規則の改正に対応した「先行手すり」を迅速に開発・販売したところ、多くの顧客より価格と扱いやすさを高く評価いただいております。
また、市場シェア1位を支える当社の土倉工場(岐阜県海津市、敷地面積40,642㎡)では、その生産能力を活かし、顧客の求める仕様に柔軟に対応した多品種対応を行うとともに、原材料の調達コストや外注コストの低減を図ることにより、国内生産でありながら競争力の高い製造原価を目指しております。
当社グループは、これらの「より高く売れるもの」を「より安く作り」「より多く売る」取組みにより、高い収益性の獲得を目指しております。
また、様々な顧客ニーズに対応した製品開発のノウハウを培う中で、自動車産業で使用される特殊パレットなど、顧客の課題解決に特化した特注型の製品開発を実現する技術力とノウハウが蓄積された結果、物流機器部門が仮設資材部門に次ぐ新たな柱として成長しております。
(c) 成長戦略
当社グループは、2024年5月9日に、2029年3月期を最終年度とする中期経営計画を公表いたしました。2029年3月期の売上収益目標として200億円、営業利益として24億円を目標としております。今後、その実現のため、仮設資材部門、物流機器部門において、以下の注力分野を中心とし、事業活動に取り組んでまいります。
橋梁向けシステム吊り足場の拡販(仮設資材部門)
老朽化が進行している社会インフラのうち、特に「道路橋」の老朽化ペースは他を上回る速度で進行しており、その対策は喫緊の課題であります。この状況を背景に、国土交通省やNEXCOでは「システム吊り足場」の採用促進にとどまらず、「システム吊り足場」が指定工法とされるなど、一歩踏み込んだ対応が見られます。当社は2023年に、橋梁補修分野向け製品として、国内大手の仮設資材リース企業、橋梁施工企業と業務提携し、最新式のシステム吊り足場「ラピッドフロア」を共同開発いたしました。当社の製造力、業務提携先の商流・ノウハウを活用し、高い安全性と効率性を誇る本製品の速やかな普及と拡販に注力してまいります。
仮設施工サービスの拡大(仮設資材部門)
建設投資の堅調な推移に対し、その担い手不足が社会問題となっているほか、近年の資源高騰を背景に、顧客の仮設資材調達マインドには大きな変化が生じております。そのような中、当社は2024年4月に、全国有数の仮設施工企業である「ヤグミグループ」を子会社化しました。仮設資材のトップメーカーである当社とのグループ化により「製造から施工まで」強固なバリューチェーンを構築することが可能になりました。国内全体では約4,636億円、東海3県だけでも470億円あるとみられる巨大な「軽仮設工事市場」において、このグループ化は大きな価値とアドバンテージをもたらします。グループ内でシナジーを創出し、販売・施工共にシェアアップを図りつつ、新たな仮設・建設関連サービスを創出してまいります。
物流事業の領域拡大と強化(物流機器部門)
物流はすべての産業・業界に関連しており、ニーズも一様ではありません。顧客それぞれの課題に対し、開発力、営業力、製造力、そして蓄積してきたノウハウを活かし、「新領域への進出」と「既存領域の強化」に取り組んでまいります。新領域では、省人化分野、海外展開、未経験分野への積極的挑戦など、柔軟な対応力で、製品のみならず付帯サービスまで、事業領域を拡大してまいります。また既存領域については、さらなる低コスト・短納期の追求、レンタル事業の拡大による利便性の向上など、今ある製品・サービスに一層の磨きをかけ、収益の基盤をより強固にしてまいります。
当社グループは、2024年5月に2025年3月期から2029年3月期までの5カ年を実行期間とする「中期経営計画」を策定・公表いたしました。今後、強固なバリューチェーンの構築と新たな仮設・建設関連サービスを創出することを通じて、以下の課題にも対応してまいります。
当社グループが持続的な成長を果たすためには、優秀な人材を確保し育成することが不可欠であると考えております。
当社グループでは、積極的な採用活動を推進し、製品開発力の強化や営業力の強化、内部管理体制の強化等に資する優秀な人材を確保してまいります。
また、成長を促す仕組みづくりに取り組み、社内外の研修体制の整備、人材管理体制の構築、外部ノウハウの活用等を推進してまいります。
当社グループは、コンプライアンスの方針・体制・運営方法を定め、企業の社会的責任を深く自覚するとともに日常の業務遂行において関係諸法令を遵守し、社会倫理に適合した行動を実践することが、継続的な企業価値の向上につながると考えております。
全てのステークホルダーを尊重し、企業の健全性、透明性を高めるとともに、長期的かつ安定的な株主価値の向上に努めるため、迅速で合理的な意思決定体制及び業務執行の効率化を可能とする社内体制を構築し、コーポレート・ガバナンスの強化に取り組んでまいります。
また、子会社においても管理体制を強化し、グループ全体でのガバナンスの強化を推進してまいります。
当社製品が顧客に選ばれ続けるための基盤は、製品品質の維持・向上にあるものと考えております。
製造人員、製造設備、製造方法等の変更時などの変化点における特に重点的な品質確認を実施するほか、過去に発生した品質問題を毎日のミーティング時に振り返り、対応策の継続確認や更なる対策の検討を行うことで、同じ問題を繰り返さない体制をさらに強化してまいります。
また、製品自体の品質確認のみならず、製造設備の造り込みやメンテナンスの定期化等の確認、検出された不具合の速やかな情報展開・情報共有を通じ、品質に問題のある個体を造らせない活動も行ってまいります。
当社グループの製造・調達部門においては、従来からの手法をそのまま踏襲し続けるのではなく、常に改善点を模索し、コストダウンを実践しております。
その範囲は、工程短縮だけにとどまらず、設備のランニングコスト、検査コストなど幅広い視点から、様々なコストダウン活動の積み重ねにより大きな効果を目指すものであります。材料調達においても、歩留まり向上を意図した適切なサイズの材料発注や複数社購買の推進などに注力することで、仕入れコスト低減に努めてまいります。
これらの活動は定期的にレビューし、取り組みの効果や方向性などを確認しつつ、コストダウンに対する不変的な姿勢としての定着を図ってまいります。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループにとってサステナビリティとは、事業を通じて社会課題の解決に寄与することであり、当社グループの持続的な成長が、社会の持続的な発展に貢献できることを目指しております。その実現に向けて、サステナビリティを重視した経営を実践しております。
当社グループは、以下の社会課題解決を事業として推進しております。
当社グループにおけるサステナビリティの実践に向けて、重要なサステナビリティ項目として、組織・人材戦略を中心に据え、その向上を図ってまいります。
当社グループは、取締役会を経営方針や重要課題並びに法令で定められた重要事項を決定するための最高意思決定機関と位置づけ、原則として月1回開催するとともに、事業経営にスピーディーな意思決定を可能とするため、社内取締役等が出席するリスク管理委員会を原則月1回開催しております。
当社グループは、社員一人ひとりが持つポテンシャルを引き出し、大きな活力を生み出すとともに、その活力を組織として最大限活かす人的資本経営を目指しております。仕事の達成や社会への貢献を通じて、個人と企業がともに成長する環境と風土づくりを推進していきます。
組織・人材戦略は、中期経営計画(人的資本経営の考え方)の基本構想に基づき、「職場環境の整備」及び「人材の育成強化」を重点施策として取り組んでまいります。なお、各項目に対する施策は以下のとおりです。
■職場環境の整備
・誇りを持てる企業風土を目指した職場環境構築
・従業員の人生が活き活きと輝く明るい雰囲気の醸成
■人材の育成強化
・能力を発揮できるための育成制度、成果に基づく人事評価制度の構築
・「活き活き」「働きがい」を実感できる組織活性活動、福利厚生制度、報酬制度の充実
・人種、性別を問わず活躍できる体制整備、協力し合える職場づくりの推進
当社グループは、グループ経営に関するさまざまなリスク(サステナビリティ関連も含む)を審議するため、取締役会及びリスク管理委員会において、主要なリスクの状況について定期的にモニタリング、評価・分析し、関係者に必要な指示・監督を行っております。また、それぞれの施策効果については、定期的に社員エンゲージメントサーベイを実施することで、社員意識の確認を行っております。
当社グループでは、上記「(4) 戦略」において記載した、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針について、次の指標を用いております。
本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下の事項があります。
なお、本項において将来に関する事項を含んでおりますが、本書提出日現在において当社グループが判断したものであり実現を保証するものでは無く、また、以下の記載は当社株式への投資に関するリスク全てを網羅するものではありません。
(1) 建設投資動向などの影響について
当社グループの主要販売であるシステム足場は、主に建設足場で使用される仮設資材であります。そのため、日本国内の景気動向や当該市場の経済環境の変化により、仮設業界全体が影響を受けた場合、当社グループの事業活動及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(2) 原材料の価格変動等によるリスクについて
当社グループが提供する製品の原材料であるパイプやコイルといった鉄鋼製の部材は、鉄鋼を取り扱う国内外の専門商社やメーカー等から品質を厳選して仕入を行っておりますが、その価格は商品相場、為替、政治情勢、需給ギャップ等の影響を受けて変動いたします。当社グループは、複数の重要な仕入先のルートを確保することにより価格高騰による業績変動リスクや供給リスクを軽減しておりますが、今後、価格変動の可能性は否定できません。
これらの原材料の価格高騰が生じた場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(3) 借入金の期限の利益喪失について
当社は、複数の金融機関とシンジケートローン契約を締結しております。当該契約には、以下の禁止事項及び財務制限条項が定められております。
① 全貸付人及びエージェントの事前の書面による承諾がなく、本契約上の債務以外を担保するため担保提供しないこと
② 全貸付人及びエージェントの事前の書面による承諾なく、本担保契約を除き、一部の貸付人のために、本契約上の債務を担保するために担保提供を行わないこと
③ 2024年3月期決算以降、各年度の決算期の末日において、連結の損益計算書に示される営業損益が2期連続して損失とならないようにすること。なお、最初の判定は、2025年3月決算期の末日及びその直前の期の決算を対象として行われる。
④ 2024年3月期決算以降、各年度の決算期の末日における連結財政状態計算書上の資本合計の金額を2023年3月決算期末日における連結財政状態計算書上の資本合計の金額の75%以上に維持すること。但し、各決算期につき、のれんに関する減損会計にもとづく損失控除額は組戻すものとする。
当該契約においては、以下の資産制限条項が定められております。
① 組織変更(会社法(平成17年法律第86号、その後の改正も含む。)第2条第26号で定義された意味を有する。)、合併、会社分割、株式交換、株式移転、もしくは自己信託の設定
② 事業もしくは資産の全部もしくは一部の第三者への譲渡(セールアンドリースバックのための譲渡を含む。)
③ 第三者の事業もしくは資産の全部もしくは一部の譲受
これらの条項に抵触した場合には、借入金を一括返済する可能性があり、当社グループの財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(4) 総資産に占めるのれんの割合が高いことについて
当社グループは、当連結会計年度末現在において非流動資産にのれんを、9,221,769千円計上しており、総資産に占める割合が44.6%と高くなっております。なお、当該のれんは、2014年9月にリバーホールディングス株式会社が旧信和③を取得したことにより生じたものであります。
当社はIFRSを採用しているため毎期の償却負担は基本的に発生いたしませんが、のれんの対象となる事業の収益力が低下し、減損損失を計上するに至った場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
2024年3月期末においては、減損テストの結果、将来キャッシュ・フローによる使用価値(回収可能価額)は帳簿残高を上回っているものと判断しております。仮に、将来の各期の見積キャッシュ・フローが8.2%減少した場合、または税引前割引率が1.47%上昇した場合、回収可能価額と帳簿価額が等しくなります。
(5) 人材の確保と育成について
当社グループにおいては、優秀な人材の確保と育成が不可欠となりますが、確保と育成ができない場合または社外に流出した場合には、当社グループの事業運営や業績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
(6) 外注管理について
当社グループは、製品の製造過程の一部において外注を活用しております。このうち、製品のメッキ加工、並びに、社内製造における業務請負については、それぞれ1社に当該外注が集中している状況にあります。
当社グループは、供給・価格の安定性の観点から、可能な限り特定の相手先に外注が偏らないよう努めておりますが、依存度の高い外注先からの供給が何らかの理由により不安定になった場合、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、外注先の工場の稼働率や原材料の高騰が外注費の上昇をもたらすことにより当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
(7) 品質の保証について
当社グループが事業を展開する仮設業界においては、製商品の保証期間を明確に定める慣行はありません。しかしながら、当社グループが提供する製品の品質については、製造物責任法、労働安全衛生法、労働安全衛生規則及びその他の法令等により、実質的な品質の保証が求められており、また、当社グループの企業倫理の観点からも、提供した製品の品質の万全性・アフターサービスについては真摯に取り組むべき課題であると認識しております。
当社グループは、提供した製品の不良等による万が一の重大事故の発生に備え、賠償責任保険へ加入しリスクの低減を図っておりますが、当社グループの製品の品質に重大な契約不適合や不備が認められ、重大事故等が発生した場合には、当社グループの社会的信用や業績に影響を及ぼす可能性があります。
(8) 当社グループの製品に係る仮設工業会の認証制度について
当社グループは、一般社団法人仮設工業会の認証制度に基づき、「仮設機材に関する認定制度」及び「承認制度」の認定及び承認を受けております。同会の認証制度は、仮設構造物等に係る労働災害防止とその工事施工の円滑化に寄与することを目的として、仮設構造物の安全性や規格が、同会の定める仮設機材認定基準等に適合していることを検査するためのものであります。
当社グループは、提供する製品及びその製造過程において不測の事態が生じないよう品質管理には万全の体制をとっておりますが、万が一、当該認証制度に合格できないまたは更新できないような状況となった場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(9) 生産拠点の集中と自然災害などについて
当社グループの製品は、その大部分を岐阜県の土倉工場にて生産しており、生産拠点が岐阜県に集中しております。また、物流の中心は岐阜県、愛知県を中心とした東海エリアであります。
したがって、自然災害などの不可抗力及び工場内の事故等の発生によって、工場の罹災や従業員の生活が脅かされることにより土倉工場の生産が停滞し、取引先への製品の安定供給ができない場合、また東海エリアの主要幹線道路や港が寸断され納期に重要な影響が発生する場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(10) 法的規制等について
当社グループにおける仮設資材部門及び物流機器部門においては、仮設資材及び物流機器等の製造・販売を行っております。当社グループは、労働安全衛生法、労働安全衛生規則及びその他の法令等に基づき、従業員の労働災害の防止のための危害防止基準の確立、責任体制の明確化及び自主的活動の促進の措置を講ずる等、その防止に関する総合的な計画に基づく対策を推進することにより職場における労働者の安全と健康を確保するとともに、快適な職場環境の形成に努めておりますが、これらの法的規制が強化された場合、または、製品の安全性について社会的な要求水準が高まった場合、設備投資等の新たな費用が発生・増加すること等により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(11) 知的財産権について
当社グループにおける知的財産権の管理は、研究開発から知的財産の申請及び申請後の登録や維持の事務を営業開発部が担当し、所有する知的財産を管理しております。また、知的財産権の保護に関しては、営業担当者が当社グループの知的財産権が侵害されているか否かの情報を入手し、侵害されていることを発見した場合には、関係部門に報告し、知的財産権の侵害の有無を社内で検討しております。
当社グループは、これまで第三者により知的財産権の侵害に関する指摘等を受けた事実はありませんが、当社グループの事業分野で当社グループの認識していない知的財産権が既に成立している可能性または新たに第三者の知的財産権が成立する可能性があり、当該侵害のリスクを完全に排除することは極めて困難であります。
万が一、当社グループが第三者の知的財産権等を侵害した場合には、損害賠償請求、差止請求や知的財産権の使用に関する対価等の支払い等により、当社グループの事業活動並びに経営成績及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(12) ITへの依存について
当社グループは、受注から出荷までのあらゆる業務について、基幹システム等のITを広い範囲で活用しております。当社グループは、外部からのインターネットを通じた情報システムへのサイバー攻撃や重要なデータの喪失等に備え、適切なファイアウォールの設定やデータのバックアップについての物理的な分散等を講じ、リスクの低減を図っておりますが、予期しないプログラムの不具合等やコンピュータ・ウィルス、外部からのサイバー攻撃等により、当社グループの情報システムに様々な障害が生じた場合には、当社グループの業務が滞り、重要なデータを喪失し、または対応費用が発生すること等により、当社グループの事業活動及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(13) 海外事業展開に関するカントリーリスクについて
当社グループは、事業地域の拡大の一環として中国をはじめとするアジア地域において海外事業を展開しております。当社グループは、各国市場のニーズに適合した製品を投入することにより積極的な販売活動に努めてまいりますが、進出先における景気の後退、為替の大幅な変動、予測し得ない税制や法規制などの急激な変更、政治・経済情勢の混乱、テロ・紛争などの勃発、自然災害などによるリスクが顕在化した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
当連結会計年度における我が国経済は、設備投資など一部には足踏みも見られるものの、緩やかな回復基調が見られた一方で、円安の常態化、物価及び資源価格の高騰、中国経済の先行き懸念、さらに中東地域やウクライナにおける紛争の長期化など、景気の下振れリスクは引き続き顕在化しており、予断を許さない状況が継続しました。
当社製品の主な供給先である建設業界におきましては、国土交通省「建設総合統計」によると、2023年4月から2024年2月の建設投資総額は前年同期比1.7%増の52.1兆円と安定した水準であったものの、同「建築物着工統計」によると、同期間における住居・非住居合計の着工戸数は789,951棟(前年同期比6.6%減)、着工床面積は93,295千平米(前年同期比10.2%減)と、投資額に反して着工規模が小さい状況となっております。要因としては、建設労働者及び建設資材の不足、同じくそれらのコスト増加が挙げられます。
このような厳しい環境下、当社は販売・レンタルともに柔軟な営業提案を展開し、売上収益の獲得に努めました。さらに、都市部における大規模再開発案件の継続見込みを背景とした、超高層ビルでの足場施工に優れた「連層足場」の施工実績積み上げ、社会インフラの老朽化に対する維持補修需要を見据え、大手橋梁工事会社及び大手仮設リース会社と共同開発したシステム吊り足場「ラピッドフロア」の市場投入開始など、今後の中長期的な需要と国土強靭化政策に沿った新製品の拡販に向けた準備を着実に進めました。
物流機器部門においては、製品を提供している業界ごとに需要の強弱がみられ、大型案件が期ずれするなど、必要量や時期に変動が生じた一方で、新たな業界における需要・案件の探索など、今後の営業活動の裾野を広げるべく取り組んでまいりました。
コスト面では、原材料価格が高止まりしていることを踏まえ、一層の抑制に努めましたが、販売シェアを維持するための営業戦略実施や、販売量減少に伴う売上総利益額の減少に加え、協力会社との持続的な協調関係を維持すべく、価格改定を含む取引全般の協力要請に対して誠実に応えてまいりました。また販売費及び一般管理費においては、人的資本への投資・還元の拡充を行ったほか、株主還元の一環としての株主優待制度導入費用が発生いたしました。また、特殊要因として子会社株式取得に伴うアドバイザリー費用を計上いたしました。
以上の結果、当連結会計年度における売上収益は12,678百万円(前期比14.1%減)、営業利益は700百万円(前期比53.4%減)、税引前利益は652百万円(前期比54.5%減)、親会社の所有者に帰属する当期利益は409百万円(前期比59.3%減)となりました。
なお、当社グループは仮設資材及び物流機器の製造・販売事業の単一セグメントであるため、セグメントごとの記載はしておりませんが、事業部門別の業績は、次のとおりであります。
仮設資材部門は、主に戸建住宅などの低層から中層をターゲットにした「くさび緊結式足場」と、中層から高層の大型施設や公共工事をターゲットにした「次世代足場」の2つの製品群を展開しております。
当連結会計年度においては、2023年3月期第3四半期から続く資材価格及び製品価格の高止まり、建設従事者の人件費上昇などを背景に、仮設資材をレンタルで調達する流れが根強く続いております。また、建設従事者の人手不足などにより工事着工が延期するなどの状況も生じております。引き続き仮設資材には一定の需要はあるものの、これらの理由により、主にくさび緊結式足場の顧客において資材調達を先送りにするケースが見られております。また一時的な要因として、2023年3月期には価格改定前の集中的な購買の動きがあったことから、前期比で販売量が減少しました。
これらの結果、仮設資材部門の売上収益は8,981百万円(前期比13.6%減)となりました。
物流機器部門は、建設業界のみならず、自動車や物流倉庫など幅広い産業に向けて、オーダーメイドの製品提供を通じ、運搬・収納の効率化や安全性の向上を実現するソリューションを提供しております。
当連結会計年度においては、各種産業における生産活動の活発化が見られたことを背景に、大型物流倉庫などリピート案件を中心に安定した受注は見られましたが、需要変動に伴う自動車部品用パレットの受注量減少や、電気機器向けをはじめとするスポット案件が来期以降にずれ込んでおります。
これらの結果、物流機器部門の売上収益は3,697百万円(前期比15.3%減)となりました。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は1,843百万円となり、前連結会計年度に比べ220百万円減少しました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において営業活動により獲得した資金は1,973百万円と前年同期に比べ1,287百万円増加しました。主な収入要因は、税引前利益652百万円、減価償却費及び償却費592百万円、棚卸資産の減少223百万円、営業債権及びその他の債権の減少237百万円、営業債務及びその他の債務の増加395百万円であり、主な支出要因は、法人所得税の支払額362百万円であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において投資活動により使用した資金は626百万円となり、前連結会計年度に比べ33百万円支出が減少しました。主な支出要因は、有形固定資産の取得による支出615百万円、無形資産の取得による支出10百万円であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において財務活動により使用した資金は1,569百万円となり、前連結会計年度に比べ145百万円支出が増加しました。主な要因は、シンジケートローンの借り換えに伴う、長期借入金の借入による収入2,500百万円及び、長期借入金の返済による支出3,250百万円であります。
当連結会計年度の生産実績を事業部門ごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.事業部門間の取引については相殺消去しております。
2.金額は製造原価によっております。
3.当社グループは仮設資材及び物流機器の製造・販売事業の単一セグメントであるため、事業部門別の生産実績を記載しております。
当社グループは、需要予測に基づく見込み生産を行っているため、該当事項はありません。
当連結会計年度の販売実績を事業部門ごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.事業部門間の取引については相殺消去しております。
2.当社グループは仮設資材及び物流機器の製造・販売事業の単一セグメントであるため、事業部門別の販売実績を記載しております。
3.前連結会計年度及び当連結会計年度において、総販売実績に対する割合が10%以上の相手先として、物流倉庫向けラックの販売先であるアマゾンジャパン合同会社に対する売上収益は、前年度において801,492千円(5.4%)、当年度において1,367,695千円(10.8%)であります。
4.その他の仮設資材及びパレットには、IFRS第16号に基づくリースから生じる売上収益が前連結会計年度は538,385千円、当連結会計年度は451,760千円含まれております。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループの連結財務諸表は、国際会計基準(IFRS)に基づき、また当社の財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき、それぞれ作成されております。この連結財務諸表及び財務諸表の作成に当たりまして、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。これらの見積りについては、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積りによる不確実性のため、これらの見積りとは異なる場合があります。
特に、のれん及び耐用年数を確定できない商標権及び棚卸資産の評価については重要な会計上の見積りが必要となります。当該見積り及び仮定の不確実性の内容やその変動により経営成績等に乗じる影響などは、「第5 経理の状況」(重要な会計上の見積り)に注記しております。
当社グループの当連結会計年度の経営成績等は、次のとおりであります。
仮設資材部門では、2023年3月期第3四半期から続く資材価格及び製品価格の高止まり、建設従事者の人件費上昇などを背景に、仮設資材をレンタルで調達する流れが続いており、また、建設従事者の人手不足などにより工事着工が延期・遅延するなどの状況も生じております。仮設資材には一定の需要はあるものの、これらの理由により、主にくさび緊結式足場の顧客において資材調達を先送りにするケースが見られたことから売上収益は8,981百万円(前期比13.6%減)となりました。一方、物流機器部門は、各種産業における生産活動の活発化が見られたことを背景に、大型物流倉庫などリピート案件を中心に安定した受注は見られましたが、需要変動に伴う自動車部品用パレットの受注量減少や、次年度に延期されたスポット案件が発生したことから、売上収益は3,697百万円(前期比15.3%減)となりました。これらの結果、当連結会計年度における売上収益は、前連結会計年度に比べ2,078百万円減少し、12,678百万円(前期比14.1%減)となりました。
(売上総利益)
原材料価格が高止まりしていることや、販売量減少に伴う売上総利益額の減少に加え、協力会社との持続な協調関係を維持すべく、価格改定を含む取引全般の協力要請に対して誠実に応えてまいりました。その結果、当連結会計年度における売上総利益は、前連結会計年度に比べ701百万円減少し、2,797百万円(前期比20.1%減)となりました。
(営業利益)
当連結会計年度における販売費及び一般管理費は、人的資本への投資・還元の拡充を行ったほか、株主還元の一環としての株主優待制度導入費用が発生いたしました。また特殊要因として子会社株式取得に伴うアドバイザリー費用を計上いたしました。その結果、前連結会計年度に比べ119百万円増加し、2,078百万円(前期比6.1%増)となりました。
以上の結果、当連結会計年度の営業利益は前連結会計年度に比べ801百万円減少し、700百万円(前期比53.4%減)となりました。
(親会社の所有者に帰属する当期利益)
当連結会計年度における親会社の所有者に帰属する当期利益は前連結会計年度に比べ598百万円減少し、409百万円(前期比59.3%減)となりました。
(資産)
当連結会計年度末の流動資産は7,291百万円となり、前連結会計年度末に比べ670百万円減少しました。この主な要因は、現金及び現金同等物が220百万円減少、営業債権及びその他の債権が224百万円減少、棚卸資産が223百万円減少したためであります。また、非流動資産は13,384百万円となり、前連結会計年度末に比べ51百万円増加しました。この主な要因は、有形固定資産84百万円増加によるものであります。この結果、資産合計は20,675百万円となり、前連結会計年度末に比べ619百万円減少しました。
(負債)
当連結会計年度末の流動負債は2,943百万円となり、前連結会計年度末に比べ2,297百万円減少しました。この主な要因は、営業債務及びその他の債務が381百万円増加した一方、借入金が2,751百万円減少したためであります。また、非流動負債は2,413百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,912百万円増加しました。この主な要因は、借入金が1,963百万円増加したためであります。この結果、負債合計は5,357百万円となり、前連結会計年度末に比べ385百万円減少しました。
(資本)
当連結会計年度末の資本合計は15,318百万円となり、前連結会計年度末に比べ233百万円減少しました。この主な要因は、親会社の所有者に帰属する当期利益の計上409百万円、配当の実施667百万円によるものであります。
当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
当社グループは経営上の重要な指標としてEBITDAを採用しております。当連結会計年度における当社グループのEBITDAは1,311百万円となり、前連結会計年度に比べ 38.6%減少いたしました。
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、原材料の仕入のほか、製造経費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資等によるものであります。
当社グループは、事業運営上必要な資金の流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。
短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達につきましては、金融機関からの長期借入を基本としております。
なお、当連結会計年度における借入金を含む有利子負債の残高は3,666百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は1,843百万円となっております。
「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおり、当社グループが事業活動を展開している仮設業界は、日本国内における建設市場の経済動向により大きな影響を受けております。このため、日本国内の景気動向や当該市場の経済環境の変化により、仮設業界全体が影響を受けた場合、当社グループの経営成績に重要な影響を及ぼす可能性があります。
(取得による企業結合)
当社は、2024年3月14日開催の取締役会において、株式会社CTR(旧 株式会社如月、以下「CTR」といいます。)の株式を取得し、子会社化することについて決議いたしました。
詳細は、「1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 32.後発事象」に記載のとおりであります。
(資金の借入)
当社は、株式会社CTRの株式取得資金として、借入を実行いたしました。
詳細は、「1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 32.後発事象」に記載のとおりであります。
(注) 1.基準金利は、一般社団法人全銀協TIBOR運営機関が公表する日本円TIBORのうち、本金銭消費貸借契約に係る貸付期間に対応した利率であります。
2.連結ベースの会計数値はいずれもIFRSによるものであります。
当社グループにおいて研究開発活動を行っているのは当社のみであるため、当社について記載いたします。なお、当社は仮設資材及び物流機器の製造・販売事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
当社の研究開発活動は、新製品・新技術の開発と既存製品の改良・改善及び応用であり、営業開発部及び特機物流部が担当しております。市場ニーズの収集・分析情報を持つ各営業部と連携しながら、技術の確立、製品化、事業化にスピード感をもって対応できる体制を構築しております。
なお、当連結会計年度における研究開発費の総額は、