当社グループは、「新しい価値の創造と機会の拡大」を企業理念として掲げ、株式会社コンヴァノを中核とし、連結子会社である株式会社Convano Consulting、株式会社シンクスヘルスケア、虎ノ門キャピタル株式会社とともに、ネイル事業、ヘルスケア事業、インベストメント&アドバイザリー事業を展開しております。
いずれの事業においても、当社グループは「従来の常識や既成概念にとらわれず、本質を見極めて実行する」という経営姿勢を貫き、各事業領域における社会的課題に対してスピード感をもってソリューションを提供することにより、持続的な企業成長と社会的価値創出の両立を目指しております。
ネイル事業においては、業界における唯一の低価格・高品質モデルを構築し、競争優位性と市場でのリーダーシップの強化を進めております。加えて、コンサルティング、医療支援、投資の各領域においても、顧客の真の課題に応える実行支援型のビジネスモデルを基盤とし、経営資源の分散と収益基盤の多角化を通じて、経営の安定性と成長性を高めております。
当社グループが展開する各事業領域における市場環境および競争構造は以下のとおりであります。
ネイル業界においては、新型コロナウイルス感染症拡大による影響からの回復が進む中で、普及率および利用頻度の両面において中長期的な成長余地が認められます。一方で、安価かつ短時間のサービスを提供する小規模事業者の増加が見られるものの、当社は高効率オペレーションとブランド力を通じて競争優位性を維持しております。
医療支援・ヘルスケア商材市場では、高齢化社会の進行および医療機関における経営効率化ニーズを背景として、医療資材の提供ならびに業務支援サービスに対する需要が拡大しており、当社グループとしても継続的な顧客基盤の拡充を図っております。
中小企業向けM&Aおよび投資市場においては、後継者不足や業界再編の進展により、事業承継ニーズが拡大基調にあります。当社は、虎ノ門キャピタル株式会社を通じて地域に根ざした実行支援型の投資事業に注力し、ファンド運営等を含めた包括的な支援体制を構築しております。
当社は、グループ全体としての企業価値の最大化を図るため、以下の経営指標を重視しております。
全社共通の指標としては、売上収益、営業利益、EBITDAおよびそれらの成長率を基本指標としており、財務的健全性と収益性のバランスを確保することを重視しております。
ネイル事業においては、ネイリスト1人あたりの施術時間、顧客の平均滞在時間、予約率およびキャンセル率といったオペレーション効率に関連する指標を管理指標としており、サービス品質と生産性の両立を目指しております。
ヘルスケア事業においては、医療機関との契約件数および継続率、ならびに商材の取扱高を中心に指標化しており、顧客ロイヤルティと取引規模の拡大に注力しております。
インベストメント&アドバイザリー事業においては、ファンド運用残高ならびにキャピタルゲインおよびインカムリターンの両面から投資成果を評価しており、中長期的な資産収益の最大化を志向しております。
これらの指標は、当社グループの中期的な価値向上に向けたマネジメント判断に資するものとして、モニタリング体制の強化と定期的な見直しを行っております。
ネイル事業は、既存店舗の収益性向上および業務オペレーションの効率化に注力するとともに、関東エリアを中心に出店を進めてまいります。
ヘルスケア事業は、契約院数の増加、顧客あたりの取扱高の向上、厚生労働省承認商品の開発及び独占販売を進めてまいります。
インベストメント&アドバイザリー事業においては、買収案件のバリューアップ及び保有アセットの売却による収益獲得を実現しつつ、シナジーが見込める案件を中心に投資を実行し、自己勘定投資のポートフォリオの拡張を実施してまいります。
① 既存店舗の再構築とブランド価値の再定義
出店から10年を経過する店舗が半数を超え、設備老朽化により顧客体験の質低下が顕在化しています。当面は新規出店を抑制し、収益性の高いフラグシップ店舗の確立と運営ノウハウの標準化を優先します。『FASTNAIL』ブランドの再定義と店舗デザイン・働く環境への投資を通じて、顧客・従業員双方に魅力ある体験を提供します。
② サービス価値とオペレーション体制の再設計
短時間・低価格モデルは一定成果を収めましたが、低単価や稼働率の低迷、ネイリスト不足が慢性的課題です。ターゲット顧客層の見直しや提案型オペレーションの強化、重要KPIの再定義とPDCAサイクルの徹底により、顧客満足度と単価向上を図ります。
③ ITインフラとデータ活用の強化
本社・店舗の業務システムおよびBIツール老朽化により、非効率や分析不足が顕在化しています。店舗業務と連携可能な基幹システム刷新とデータインフラ整備を推進し、業務効率化と迅速な意思決定を実現します。
④ マーケティングおよびCRM機能の強化
現行の外部プラットフォーム依存型集客では、当社ターゲット層とのマッチングに課題があり、ブランド毀損リスクも高まっています。自社アプリやLINE公式アカウントなどCRMツール強化、SNS・デジタル広告による自社集客チャネル拡充、カスタマーサポート体制強化を通じて、マーケティング戦略の再構築を図ります。
⑤ 採用・育成・人事制度の刷新
ネイリスト定着率向上は店舗稼働率・顧客満足度に直結する重要課題です。柔軟な働き方や報酬制度の見直し、生産性・顧客単価連動インセンティブ制度を設計します。教育カリキュラム再構築と研修施設拡充により、採用から育成・配属まで一貫した人材活躍体制を整備します。
⑥ヘルスケア事業の薬機法対応物流体制の強化とリカーリング収益基盤の確立
医薬品・医療機器の輸入代行ビジネス拡大に伴い、薬機法・GDP/GMPガイドライン遵守と温度管理物流体制の強化が急務です。海外サプライヤー管理・院内物流オペレーションの自動化投資を推進し、急増する取扱数量に耐え得る品質保証システムを構築します。また、独占販売品目の拡充に合わせて販路を多角化し、リカーリング型契約比率を高めることで収益の安定化を図ります。
⑦インベストメント&アドバイザリー事業の案件パイプライン拡充とリスク管理
ロールアップ戦略を加速するため、ディールソーシングネットワークの拡大と専門人材確保が不可欠です。デューデリジェンス体制の高度化、投資ポートフォリオの集中度管理、外部投資家向けレポーティング強化により、リスクの可視化とパフォーマンスの安定化を図ります。さらに、ファンド組成スキームの多様化を進め、キャピタルゲイン回収スケジュールの平準化を目指します。
当社グループが、ネイル事業を展開しこれまで成長を遂げてきた背景には、様々な経歴、価値観、性別等を問わない「人材の多様性」が不可欠でありました。今後も企業理念に基づき、「従来の常識や既成概念にとらわれず課題にチャレンジし続ける会社」として成長し続けていくために、当たり前に女性が活躍する職場の環境づくりとして、女性社員の採用強化、キャリアアップ支援により女性社員の活躍を推進するとともに、人材の多様化による組織力向上を図ってまいります。なお、長期継続就労の実現に努め、柔軟なライフステージの変化を意識した、勤務形態を可能にする人事制度の導入と育児の両立に向けた社内セミナーの開催などを行っていく方針であります。また、育児休業からの復職時には、人事担当者及び復帰予定の部署における統括責任者との面談を実施し、長く働きやすい職場環境を整備してまいります。
なお、本文中における将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであり、不確実性を内在しているため実際の結果と異なる可能性があるとともに、将来において発生の可能性があるすべてのリスクを網羅するものではありません。
当社グループは、事業においてサステナビリティマネジメントを推進するにあたり、明確な意思決定手続きを定めております。当社グループにおけるコンプライアンス経営、環境経営、社会貢献活動に関わる事項については、取締役、監査役及び関係する責任部署の上長など、社内横断的なメンバーで構成される経営会議が活動を推進しております。具体的に、経営が必要とするサステナビリティに関する重要事項の意思決定にあたっては、経営会議で審議され、重要事項は取締役会に報告されます。
人口の約半分を占める女性のニーズをキャッチするために、店舗づくりから経営判断に至るまで女性の視点が活かされ、各部署、店舗において女性が活躍していることを前提といたします。
① 女性活躍の阻害要因である、アンコンシャス・バイアス払拭のための継続的な教育を実施
② 仕事と育児の両立支援など、女性がライフイベントを経ながら就業を継続するための制度・環境の整備
③ 男女ともに仕事も育児も楽しめる、育児休暇を取得しやすい風土の醸成
④ ロールモデルの事例共有による女性のリーダーシップを醸成、育休復帰後も平等な役員登用及び管理職への抜擢
⑤ 長時間労働を前提としない管理職としての働き方を構築
当社グループは、リスク管理規程を制定し、社長を委員長とする社内横断的なコンプライアンス委員会を設置してリスク管理を行なうこととしております。
また、社内相談窓口の設置や従業員へのヒアリング及びアンケート等を実施し、リスクの識別、課題認識の徹底を図っております。
(4) 指標及び目標
① 指標 計画は2023年4月1日から2026年3月31日までの3年間といたします。
② 目標 当社グループとして目指すべき将来像を検討しつつも、女性管理職比率に関しては2026年3月31日まで引続き80%以上を目指します。
なお、2025年3月31日時点における当社グループの女性管理職比率は、73%です。
以下において、当社グループの事業展開上のリスクとなる可能性が考えられる主な事項を記載しております。当社グループはこれらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の予防及び発生した場合の迅速な対応に努める方針ではありますが、当社株式に関する投資判断は、本項記載事項及び本項以外の記載内容も併せて慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。
なお、本文中における将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであり、不確実性を内在しているため実際の結果と異なる可能性があるとともに、将来において発生の可能性があるすべてのリスクを網羅するものではありません。
当社が属しているネイル産業は2008年頃までに急成長してきましたが、その当時と比較すると現在は伸び率も鈍化しており、ほぼ成熟期に移行し始めたものと思われます。また、当社がサロンを主に出店している関東地区は競争が激化しており、過当競争である可能性も否定できません。他業界と比較するとネイルサロン事業は投資コストや法規制などにおいて参入障壁が低く、個人商店の開業も含めて当面、継続して出店が発生するものと考えられます。
当社といたしましては、ファストネイルブランドの特徴と強みを一般消費者に、より一層アピールすることによる潜在需要の掘り起こしを強化してまいりますが、競合状態がさらに激化した場合には、既存店舗の売上が減少し当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
・サービスのスピードと効率性重視による低単価な顧客単価と市場競争の激化
当社は、手軽で低価格帯のネイル店舗をコンセプトに3,500円(税抜)から9,000円(税抜)までの7ラインで価格設定をしており、平均的な顧客単価は4,500円~5,000円で、ネイル業界では低価格帯に位置します。また、短時間でのサービスを強みにしており、自社アプリで、ご来店前にデザインを選んでいただくことで、ご来店後のデザイン選定の時間を短縮し、受付担当とネイリストの完全分業制により、ネイリストがお客様の施術にのみ集中できる体制を整えています。しかしながら、このような効率性とスピードを重視したオペレーションに特化した結果、高品質で高単価なサービスの提案機能が著しく低下するという副作用が生じております。
また、新型コロナウイルスによる需要減で市場全体のお客様単価が減少しており、中長期的な市場価格の低迷は避けることができない事態であると想定しております。加えて低価格帯のネイルサロンは競合数が劇的に増加しており、創業当時はブルーオーシャンでありましたが、現在ではレッドオーシャンとなっていると認識しております。
そのため、当社としては、これまでのコンセプトを打開し、高品質で高価格な商材の提案力の強化等によりお客様単価の上昇に踏み込む予定です。
・新規お客様獲得力における他社掲載媒体への依存
当社のネイル事業において、新規お客様獲得数は減少傾向にあります。今後のネイル市場において、限られた広告宣伝だけではお客様の心をつかむことが難しくなってきており、時代に合った効果的な手法への対応が必要であります。当社のネイル事業の2025年3月期における広告媒体別お客様動態によると、新規お客様のうち7割程度(2024年4月1日から2025年3月31日までの事業期間)が他社広告媒体経由で予約がなされており、自社媒体での集客(自社Web、アプリ、電話、直接来店等での予約)は3割程度に留まっています。
現状、ネイル事業における新規お客様の集客は他社広告媒体に依存していると言わざるを得ない状況であり、広告掲載費の変動リスクが伴う状況下、また、ネイル客単価も成熟期への移行による低下が想定されることから、お客様獲得単価の減少及び自社集客力の強化を当社の重要課題として捉えています。
なお、SNSやデジタル広告による情報発信は行っていますが、人材不足によりテストマーケティングが不十分であり、拡散力やデザイン性に乏しく、十分な成果に繋がっておりません。また、お客様との接点となるツールも現状はアプリのみであり、予約までのフローも市場の変化に合わせた対応が不十分であると認識しております。
そのため、当社としては、集客導線においては、美容プラットフォーム・自社サイト・アプリケーションの役割・機能を最適化の上で、新規顧客・既存顧客の予約経路のマルチ化を進めていき、これまでの美容予約プラットフォームによる集客に加えて、自社集客の広告投資比率を高めるための体制強化や施策について実施していく予定です。
当社は、今後、店舗展開を行う上で新たな人材の確保が不可欠となりますが、ネイル業界特有の事情で女性比率が高く、結婚、出産等のライフステージの変化により、平均勤続年数が短く、離職率が高い傾向にあります。ネイリストの技術向上、労働環境の改善・充実を今後も図っていく方針ですが、給与相場の上昇、求人費用の増加、労働力需要の増加などに伴い、採用環境が悪化した場合、あるいは退職者数が想定を大きく上回った場合、当社が必要とする従業員を適切なコストで確保することができなくなり、新規出店の遅延や既存店の売上減少など業績に影響を及ぼす可能性があります。
・ネイリスト不足による店舗収益性の低下、機会損失の増加
当社のネイル事業において、ネイリスト人数の不足による店舗の生産性低下を重要な経営課題として認識しております。現状はネイリスト数の不足により、既存店舗の座席数を十分に活用できておらず、また、お客様からの予約の一部を断らざるを得ない状況であり、本来各店舗が生み出せる最大収益を十分に実現できておりません。加えて、ネイリストの不足は機会損失を生み出すだけでなく、お客様対応の手薄化及び現場での教育不足により、お客様満足度の低下に繋がる可能性があります。しかしながら、これまで、労働人口の変化やネイル業界等の市場変化に合わせた採用・教育・配置戦略の変更が戦略的に行われていなかったことが原因であります。また、ネイリストに長く活躍してもらうための職場環境や就労制度、働き方の柔軟性・多様性について検討が不足しておりました。そのため、当社としては、これまでの人事戦略の抜本的な見直しを行うと共に、ネイリストの採用及び教育の拡充や強化に向けた施策を実施していく予定です。また、ネイリストに長く活躍してもらうための職場環境や就労制度、働き方の柔軟性・多様性について検討を進めてまいります。
当社の基本的な出店方針は、主要駅を基軸とし特定の出店地域ごとに店舗数を拡大していく方式であり、各地域における有力不動産業者や商業施設ディベロッパーなどからの情報に基づき、立地条件、賃貸条件、売上予測、投資採算性などを慎重に検討し、出店地を決定しております。しかしながら、当社のニーズに合致した物件が必ずしも確保できるとは限らず、また仮に確保できたとしても不動産賃料の高騰などにより計画された店舗収益を確保できない可能性もあり、新規出店が計画通り行われず、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社では初期投資を抑えた出店を基本戦略としておりますが、新規出店時には内装工事や什器備品、販売促進に伴う費用が一時的に発生するため、大量の新規出店、期末に近い時点での新規出店は、その期の利益を押し下げる要因となります。また、賃貸物件による出店を基本としているため、出店時には賃貸人に対して敷金及び保証金を預け入れます。契約に際しては、物件所有者の信用状況の確認などを行い、検討しておりますが、賃貸人の経営状況によっては、当該店舗における営業に支障が生じ、契約満了による退店をした際に敷金及び保証金などの全部又は一部が返還されない可能性があります。
また、当社側の都合により不採算店舗の契約を中途解約する場合など、締結している賃貸借契約の内容によっては、敷金及び保証金などの全部又は一部が返還されない場合があり、当社の財務状態に影響を及ぼす可能性があります。なお、第12期連結会計年度末における総資産に占める敷金及び保証金の割合は5.4%となっております。
当社は会員登録の際にお客様から頂く情報、採用した従業員の情報など、多数の個人情報を保有しており、社内規程に則った管理に努めております。しかしながら、個人情報が外部へ漏洩するような事態が発生した場合には、法令違反、損害賠償などにより、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社はインターネット回線を通じてオーダーシステム、予約システム、ホームページなどを専門の外部業者が所有するレンタルサーバーにて、また、売上管理、原材料の受発注、電子帳票類の保管などを、自社内のサーバーにて運用しております。データのバックアップや予備機の設置、定期的なウイルスチェックなどの対策を講じておりますが、災害や機械の故障、回線業者側の不具合など、不測の事態によってシステム障害が発生した場合には、店舗の運営に支障をきたし、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
・店舗オペレーションシステムやデータ分析システムの老朽化
当社のネイル事業において、重要となるネイルサロンにおける業務システムは10年以上前に導入されたシステムが中心であり、十分な改修や見直しの投資がされてこなかったことから老朽化が進んでおります。また、顧客管理・販売管理・シフト管理・予約管理等の店舗業務を一気通貫で管理できる機能が実装されておらず、店舗運営の非効率さへと繋がっております。また、多店舗管理で重要となるKPI管理や業績管理のためのBIシステムが古く、管理業務の非効率化や、分析業務の不足による判断の遅れに繋がっております。
そのため、当社としては、店舗オペレーションに組み込む基幹システム・データインフラ・BIシステム等の構築を実施していく予定です。
当社は、事業に必要な資金を金融機関からの借入により調達しており、借入金利が上昇した場合には、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。なお、第12期連結会計年度末における総資産に対する借入金の割合は11.3%となっております。
のれん及び無形資産の商標権は、当社の資産の相当な部分を占めます。旧㈱コンヴァノの買収により発生したのれん及び無形資産の商標権は、当連結会計年度の末日現在それぞれ650,260千円、488,000千円であり、合わせて当社の総資産の37.9%を占めています。IFRSのもとでは、のれん及び無形資産の商標権は償却の対象とはならず、毎年及び減損の兆候があると認められた場合にはその都度、減損テストが実施されます。また、当社の有形固定資産も、帳簿価額を回収することができない可能性を示す事象や状況変化があった場合には減損テストが実施されます。
外部環境の著しい変化などにより当社の店舗収益が悪化し、事業計画において計画したものと業績が大きく乖離した場合、有形固定資産、のれん及び無形資産の商標権について減損損失を計上することとなり、当社の財政状態及び業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。
当社は関東、関西、東海、中国、九州地区に店舗を展開しております。これらの地区において天候不順や異常気象が発生した場合には、客数が減少し、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、地震や台風などの天変地異により、特定の店舗に留まらず、ある程度のエリアの店舗に跨ってお客様の来店や従業員の出勤が困難になった場合、若しくは店舗の破損・停電・道路の寸断などによって営業が困難になった場合には、店舗の売上が大幅に減少することが考えられます。さらに被害の程度によっては、修繕費などの多額の費用が発生する可能性があり、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
(10) 感染症の影響について
日本国民の多くがその免疫をもっていない新型コロナウイルス等の感染症が国内で拡大した場合、お客様や従業員が感染リスクに晒され、店舗の営業や本社の業務遂行に支障をきたすほか、感染拡大防止のための外出自粛要請等による消費マインドの低下、臨時休業等により営業自粛等の対応を行わざるを得なくなった場合、当社グループの事業及び業績に重大な影響を与える可能性があります。
また、従業員への感染による、店舗の休業や本社の業務の一時的な閉鎖、物流の遅延による店舗の営業への支障、風評被害によるブランドイメージの低下など、当社グループの事業及び業績に重大な影響を与える可能性があります。
当社の展開する「ファストネイル」は、来店前の予約手段や広告宣伝の多くをインターネットに依存しております。そのため、商標などの不正使用や、ソーシャルメディアの急激な普及に伴うインターネット上の書き込み、悪意のあるクチコミ投稿などによる風評被害が発生・拡散した場合、その内容の正確性にかかわらず、当社の事業、業績、ブランドイメージ及び社会的信用に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社の競合他社に対する風評被害であっても、ネイル産業全体の社会的評価や評判が下落することにより、当社の事業、業績、ブランドイメージ及び社会的信用に影響を及ぼす可能性があります。
当社は設立が2013年であり、未だ成長途上にあるため、さらなる事業拡大に対応する上での必要な経験等が十分に蓄積されていないと考えております。よって、今後の事業及び経営成績を予測する上で見込みと異なる推移となった場合は、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。
当社は、今後の事業展開や成長を支えるためにも内部管理体制のより一層の充実を図っていく方針でありますが、事業の拡大及び人員の増加に適時適切に組織的な対応ができなかった場合、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
・本社の専門人材の不足、デジタル化の遅れ
当社の本社従業員は、これまで内部での異動が中心であったため、マーケティングや情報システム、ファイナンス、経営企画機能等の各種専門性の高い人材が不足しております。また、ITインフラの整備やDX化が遅れており、紙面による業務が中心であり、業務システムについても価格の低さを優先して導入してきた結果、システムを活用した効率的で最適な業務フローが構築運用されておらず、人の手作業による生産性や品質が低い構造となっております。
そのため、当社としては、筋肉質な経営管理体制の構築に向けた人材の最適配置及び中途採用も含めた必要人材の補強、DXの推進に関する必要な投資について実施していく予定です。
当社の事業は、その性質上、顧客からの仕上がり品質やサービスに対するご指摘、ご不満などのクレームを受ける可能性があります。また、お客様に店舗に直接ご来店いただくことから、店舗において何らかの重大な事故などが発生した場合、当社の事業、業績、ブランドイメージ及び社会的信用に影響を及ぼす可能性があります。
・店舗老朽化やCS体制の不足による顧客満足度の低下
当社のネイル事業において、2025年3月現在、店舗数は56店舗(直営店)にまで拡大しておりますが、主要エリアの店舗以外では出店後の経年劣化に応じた店舗内装等の補修が十分に行われてきておりませんでした。そのため、開店から10年近い店舗が半数以上を占める中で、店舗の老朽化が進み、お客様に気持ちよくサービスを受けて頂けない店舗環境の改善が課題となっておりました。また、カスタマーサポートの体制が不十分で、お客様からの問合せ窓口が不明瞭であり、かつ迅速な問合せ対応を行えなかったことから、インターネット上の悪評価の口コミへと繋がっており、お客様の離反へと繋がっております。
このような環境は、お客様のみでなく、働くネイリストにおいてもモチベーション低下や退職の要因に繋がっており、当社の人材不足解消のためにも重要な課題として認識しております。
そのため、当社としては、これまでの徹底したコストコントロールによる方針を転換し、顧客満足度を高めるために店舗設備やカスタマーサポート体制へ必要な投資について実施していく予定です。
当社は、新型コロナウイルスの影響による資金繰りの悪化により、当連結会計年度において、長期資金の借入及び当座貸越契約の締結等により、2025年3月末現在、当社の有利子負債は358,326千円(短期借入金50,004千円、長期借入金308,322千円でいずれも運転資金名目)となっております。対して、2025年3月末の手元現預金は806,173千円となります。
今後の経営方針の検討において事業戦略と合わせて財務戦略の重要度が高いことから、2023年9月より各金融機関と今後の経営方針及び足元の資金繰りについて協議を行ってまいりました。当社の経営方針の変更については一定のご理解を頂きましたが、現状の事業規模に対する運転資金の借入過大な状態に対しては改善に向けた対応を要請されております。合わせて、現状の手元資金を成長資金として投資することについては、当社の経営方針及び事業計画を基にその必要性を説明の上で、継続的に協議を進めております。
上述の通り、当社としては運転資金の借入過大な現状を解消すべく引き続き銀行との厳正な協議を継続しておりますが、当該状況を解消すべく資本政策の実行等による財務基盤の安定化に向けた取り組みを検討しております。
当社グループは、医療法人向けに採用支援、広報業務、システム導入支援などの業務支援サービスを提供するとともに、医療消耗品等の提供を行っております。これらの事業は、取引先である医療法人の経営方針や法令遵守体制、ならびに医療政策の変更など外部環境の影響を大きく受ける可能性があります。
また、当該事業は主に業務委託契約に基づくサービス提供であることから、契約条件の見直しや契約終了がなされた場合には、当社グループの収益に影響を及ぼす可能性がございます。さらに、医療分野に関わる事業であることから、薬機法をはじめとした関連法令に抵触しない業務運営が求められており、当社グループでは、法務専門家の助言を得たうえで適切な業務設計・実行に努めておりますが、外部監査機関等による指摘や調査により想定外の問題が判明した場合、契約の継続可否や収益性に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、虎ノ門キャピタル株式会社を通じて、中小企業を対象としたM&Aおよび投資事業を展開しておりますが、当該事業は市場環境の変動、投資先企業の業績悪化、または投資回収見込みの乖離といった事象により、経済的損失を被るリスクを内包しております。
また、投資スキームの設計やファイナンスに関わる契約内容によっては、資金繰りの柔軟性や信用リスクの観点からも、当社グループの財務状況に影響を及ぼす可能性があります。さらに、当社の中長期経営戦略においては、暗号資産等の新たな資産クラスを活用した投資方針の検討も行っており、高ボラティリティ資産の評価損が一時的に業績に与える影響が懸念されます。
こうしたリスクに対しては、投資審査体制の強化や、外部専門家との連携による判断精度の向上を図るなど、戦略的かつ慎重な対応を継続してまいります。
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー (以下「経営成績等」という。)の状況の概要は以下のとおりであります。
当連結会計年度におけるわが国経済は、回復の兆しを見せながらも、国際情勢や資源価格の動向などにより、依然として先行きに不透明感が残る状況となりました。ネイル業界も同様に、価格改定や人材確保に苦慮する厳しい市況下が続いております。
このような環境の下、当社グループでは上期に採用戦略を強化し、下期には業務効率と生産性の向上を目指す施策を展開しました。新規スタッフの確保と定着を図る一方で、予約枠の最適化やメニュー構成の見直しにより、既存店舗の稼働率向上と顧客単価の改善を推進して参りました。
店舗戦略では、「ファストネイル プラス 大宮店」から「ファスト ネイル 大宮西口駅前店」、「ファストネイルプラス 横浜店」から「ファスト ネイル 横浜ANNEX店」、「ファスト ネイル アインズ&トルペ池袋西武店」から「ファスト ネイル 池袋東口駅前店」へのリニューアルオープンをはじめとした、ブランド刷新と立地見直しによる競争力強化を図りました。また、不採算店舗である「ファストネイル ロコ 国立店」「ファスト ネイル ジ アウトレット 湘南平塚店」「ファスト ネイル 京都ポルタ店」「ファスト ネイル 福岡パルコ店」「ファストネイル ロコ 東大和店」を閉店するなど、収益性の改善にも努めました。
また、当連結会計年度より連結子会社として株式会社Convano consulting、株式会社シンクスヘルスケア、虎ノ門キャピタル株式会社の3社を含めております。これら新規連結子会社の堅調な業績が、売上収益の増加と営業利益の黒字転換に大きく寄与しています。
以上の結果、当連結会計年度における当社グループの業績は、売上収益は3,241百万円(前連結会計年度比25.2%増)、営業利益は135百万円(前連結会計年度は59百万円の営業損失)、税引前利益は128百万円(前連結会計年度は70百万円の税引前損失)、親会社の所有者に帰属する当期利益は78百万円(前連結会計年度は親会社の所有者に帰属する当期損失199百万円)となりました。
セグメント別の業績は次のとおりであります。
(店舗数)
(注) ( )内はフランチャイズ店舗であり内数であります。
(新規出店、移転、閉店)
(業績)
(単位:百万円)
② ヘルスケア事業
(業績)
(単位:百万円)
③インベストメント&アドバイザリー事業
(業績)
(単位:百万円)
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ117百万円減少し、806百万円となりました。
各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
営業活動の結果得られた資金は166百万円(前連結会計年度比171百万円の支出増)となりました。これは主に、営業債権及びその他の債権の増減額を△303百万円計上したことなどによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は10百万円(前連結会計年度比72百万円の支出減)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出を10百万円を計上したことによるものであります。
財務活動の結果得られた資金は273百万円(前連結会計年度は269百万円の収入)となりました。これは主に、リース債務の返済による支出△224百万円計上したことによるものであります。
③ 生産、受注及び販売の実績
当社グループで行う事業は提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。
当連結会計年度における仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 金額は、仕入価格によっております。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1.主要な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合について は、総販売実績の10%以上の相手先が無いため記載を省略しております。
2.調整はセグメント間の相殺消去であります。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社の連結財務諸表は、国際会計基準審議会によって公表されたIFRSに基づき作成しております。この連結財務諸表の作成に当たっては、決算日における財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与えるような経営者の見積り及び予測を必要としております。
人件費の高止まりに加え、原材料やエネルギー価格、物流コストなどの物価高の影響は、2025年4月以降もなお継続している状況です。当社では、こうした影響が一定程度続くものと仮定し、会計上の見積りを行っております。ただし、現時点においてもすべての影響を正確に予測することは困難であり、今後の経済動向や政策対応などにより、見積りに反映される影響が変動する可能性があります。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当連結会計年度末における資産、負債及び資本の状況は以下のとおりであります。
(単位:百万円)
(資産)
流動資産は、前連結会計年度末に比べ230百万円増加し、1,384百万円となりました。これは主に、営業債権及びその他の債権が304百万円増加したことなどによるものであります。
非流動資産は、前連結会計年度末に比べ68百万円減少し、1,780百万円となりました。これは主に、使用権資産が58百万円減少したことなどによるものであります。
その結果、資産合計は前連結会計年度末に比べ162百万円増加し、3,164百万円となりました。
(負債)
流動負債は、前連結会計年度末に比べ161百万円増加し、848百万円となりました。これは主に、営業債務及びその他の債務が62百万円、その他の流動負債が92百万円増加したことなどによるものであります。
非流動負債は、前連結会計年度末に比べ98百万円減少し、573百万円となりました。これは主に、長期借入金が50百万円、リース債務が68百万円減少したことなどによるものであります。
その結果、負債合計は前連結会計年度末に比べ63百万円増加し、1,421百万円となりました。
資本合計は、当期利益の計上などにより前連結会計年度末に比べ99百万円増加し、1,743百万円となりました。
当社の経営成績に重要な影響を与える要因につきましては「第1 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載しておりますのでご参照ください。
(ⅲ) 経営戦略の現状と見通し
当社の経営方針・経営戦略の現状と見通しにつきましては「第1 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載しておりますのでご参照ください。
① 資金需要
主として運転資金、設備投資、長期借入金の返済、法人税等の支払に資金を充当しております。
運転資金のうち主なものは、人件費、地代家賃、材料費等であります。
設備投資は主に、ネイルサロン「ファストネイル」の新規出店にかかる有形固定資産の取得、敷金及び保証金の差入等であります。
② 資本の財源
営業活動によるキャッシュ・フローにより得た資金を基本としておりますが、運転資金につきましては、状況に応じて取引銀行から短期借入れを行っております。
③ 資金の流動性
・当座貸越契約
当社は、取引銀行2行との間で貸越極度額合計250百万円の当座貸越契約を締結しております。
当連結会計年度末において、当該契約に基づく借入はありません。
・金銭消費貸借契約
当社は、取引銀行2行との間で借入極度額合計250百万円の金銭消費貸借契約を締結しております
当連結会計年度末において、当該契約に基づく借入の残高は158百万円であります。
・劣後特約付金銭消費貸借契約
当社は、新型コロナウイルス感染症の影響により毀損した財務基盤の中長期的な安定を図り、将来の業績拡大を見据えた事業展開を推進するため、2021年3月31日付で株式会社商工組合中央金庫と劣後特約付金銭消費貸借契約を締結し、200百万円の借入を実行しております。
(1) 金銭消費貸借契約
(2) 劣後特約付金銭消費貸借契約
特記事項はありません。