文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。
当社グループの目指す姿として「ビジョン」「ミッション」を以下のとおり定め、企業や製品のファンによるクチコミや購買の促進を支援する様々なサービスを提供しております。
<ビジョン>
世界中の"好き"を加速する
<ミッション>
個の力を最大化し、“小さな経済”を成長させる
当社グループは、持続的な成長と企業価値の向上のため、収益力を高めるとともに、経営の効率化を図ってまいります。売上高及び売上高営業利益率を重要な経営指標と位置づけ、各営業課題に取り組んでまいります。
①不適切な資金流用及び会計処理への再発防止策の徹底
当社は、2021 年6月 16 日付「2021 年 12 月期第1四半期報告書の提出期限の延長(再延長)に係る承認申請書提出のお知らせ」及び同年6月 21 日付「第三者委員会の最終調査報告書公表及び役員報酬の減額に関するお知らせ」にて公表いたしましたとおり、第三者委員会による調査の結果、元役員による不適切な資金流用が行われていたこと、及びその後の社内調査により、ソフトウエア資産において不適切な会計処理が行われていたことが判明いたしました。
当社は、本事案を受け、第三者委員会の最終調査報告書による原因分析及び提言を真摯に受け止め、再発防止策を策定し、継続して運用をおこなっておりました。しかしながら、2022年1月、当社台湾子会社ならびに当社の過去の取引において新たに不適切な会計処理が発覚し、2022年2月1日付「第三者委員会の設置及び2021年12月期決算発表の延期に関するお知らせ」にて開示のとおり、前回調査で発覚しなかった疑義について、再度、第三者委員会を設置し調査を実施いたしました。調査結果については、2022年4月11日付「第三者委員会の調査報告書の公表について」にて開示しております。
これら2回の調査結果では、取締役会や監査役による業務執行に対する監督機能及び牽制機能の機能不全、内部監査の不足、社内規程及び業務フローの不備並びにこれらの運用方法の周知不足、役職員のコンプライアンス意識の欠如など、内部管理体制等の不備が一連の不祥事の原因であることが明らかにされました。また、当社の内部管理体制等に改善の必要性が高いと認められ、2022年6月16日付で、当社株式は東京証券取引所から特設注意市場銘柄の指定を受けました。
当社は、これらの2度にわたる第三者委員会の調査報告の結果と特設注意市場銘柄の指定を重く受け止め、2022年9月30日付「「改善計画・状況報告書」の公表について」にてお知らせのとおり、以下の再発防止策を策定し、コーポレートガバナンスの強化、内部管理体制の整備等、再発防止策の実施に真摯に取り組みました。2023年6月16日、これら再発防止策の実施状況や今後の改善策の運用方針等を取りまとめた「内部管理体制確認書」を東京証券取引所に提出したところ、経営体制の刷新や監査等委員会設置会社への移行を始めとした内部管理体制の改善が認められ、2023年8月30日付で、特設注意市場銘柄の指定を解除されることができました。
当社は、この一連の不祥事により、株主、投資家及び取引先などステークホルダーの皆様には多大なるご迷惑とご心配をおかけしたことを忘れず、今後も内部管理体制を常に見直し、体制の整備・強化を継続するとともに、当社グループ一丸となって、企業価値の向上に向け全力を尽くしてまいります。
(1)コーポレート・ガバナンス体制の強化
① ガバナンス強化委員会の設置
当社の取締役会や監査役会が適切に機能していなかった原因の一つとして、これらを支援する独立した機関がなかったことを鑑みて、2022年より当社のコーポレートガバナンス体制の強化に向けた取り組みを包括的に支援する独立した機関であるガバナンス強化委員会を設置しております。ガバナンス強化委員会の主な役割は、取締役会や監査等委員会の適切な運営や、実効的な内部監査の実施、社内規程や業務フローの見直し改善など本書に記載された改善計画の取り組みを、諮問機関として支援することになります。
② 役員選任基準や適合状況の検討フローの見直し
役員候補者のコンプライアンスに対する意識をより重視し、ガバナンス強化委員会による適正チェックなども活用して役員の適正性をより客観的に把握し、候補者選定に役立てられるように体制を整えました。今後も継続して運用してまいります。
③ 取締役会報告内容の充実
取締役会へ提出する資料について販管費明細の細分化、資料作成方法のマニュアル化、事前提出期限の策定などを行ってまいりましたが、全社的な統制/牽制のさらなる強化、及び取締役会における戦略立案のための議論を深めることを目的に、会計システムから出力される詳細な業績データを添付するなど取締役会へ提出される資料の充実を図ってまいります。
④ 取締役会議事録の内容充実及び作成方法
取締役会での議論をより網羅的に取締役会議事録に記載しており、取締役会の場で発言することや議論への積極的な参加の重要性を改めて確認するとともに取締役会においてより深い議論を行っております。取締役会議事録の充実にあたっては、2022年8月9日開催の取締役会から議論を全て録音する運用を行っております。会議での発言要約を文字おこししたものを別途保管し、取締役会議事録の根拠資料としておりいます。また、ガバナンス強化委員会への諮問事項に加え、取締役会の適正な運営を行っております。
⑤ 経理チームにおける出納担当者・承認者/計上担当者・承認者の明確な分離
出納と計上の分離に関して経理規程などの関連規程を見直すとともに、実際に出納と計上の担当者を分離しました。具体的には出納担当1名、計上担当1名が実施しております。また、更に別の者が承認する体制としております。
(2)情報収集体制の強化
① 外部機関への内部通報窓口の設置
2021年10月に社外監査役を内部通報窓口として社内周知いたしましたが、2022年11月から更に内部通報窓口を安心して利用できるようにするため、社外監査役の内部通報窓口に代えて、完全に中立な立場にある外部の内部通報窓口サービスを設置し、内部通報をより適切に対処する体制を整備いたしました。窓口変更後も、通報内容に関する守秘義務の徹底、通報を理由とする不利益な取扱いの防止等、2022年6月1日に施行した改正公益通報者保護法及びそのガイドラインに則した運営をしております。
② 内部通報制度の周知徹底と信頼性の醸成
内部通報制度について社内研修や全体会などの場での、役職員への周知をより徹底いたします。内部通報窓口の存在とその連絡方法、情報提供者の秘匿及び不利益扱いの禁止について改めて周知することで、コンプライアンス違反を社員が認識した際に、速やかに内部通報窓口に連絡をすることができるような社内環境を作ってまいります。
③ 役職員への定期的なアンケート調査
当社役職員へコンプライアンス違反についての 2022 年 12 月より定期的なアンケートを実施し、情報収集に努めます。
(3)内部監査体制の見直し
① 監査等委員会との連携強化
月に一度、内部監査室から監査等委員会へ内部監査業務の内容を報告させる体制を整備し、必要に応じて監査等委員会の指示に従い、内部監査室が内部監査を実施するなどの体制を整備しました。また四半期ごとの報告では、内部監査のスケジュール、重点監査項目、ヒアリング内容、中間結果及び最終結果といった、四半期ごとの内部監査の計画から実施結果まで取り上げる体制を整備いたしました。
② 内部監査室の専任担当者の確保及び外部専門家によるサポート体制の構築
2022年9月より専任の内部監査担当者を設置しております。内部監査室の専任担当者は内部監査の実務に長期間従事しており、当社及び当社グループの内部監査を実施するにあたり必要な知見を一定程度有しております。また、内部監査の知見のある専門家のある外部専門家の人員1名を内部監査室に追加配置し内部監査体制の強化を図っております。
③ 社内情報へのアクセス権限の見直し
内部監査室が内部監査を遂行する上で必要な社内情報へのアクセス権限は適宜見直されており、内部監査をより機動的に遂行できる体制を確保しております。
(4)監査等委員会における監査の実効性担保
① 内部監査室と監査等委員会の連携強化及び監査等委員間における情報共有の促進
監査等委員会と内部監査室との連携をこれまで以上に強化することで、より実効的な監査体制を構築するため、監査等委員会が内部監査室から監査の方針や進捗について報告を求めることができるように内部監査規程を改定し、報告内容に基づいて内部監査室に対して具体的な指示を行うことができるような体制を整備しております。また、監査等委員間でのコミュニケーションを密にできるような環境を構築しております。
② 社内情報へのアクセス権限の見直し
監査等委員が監査を遂行する上で必要な社内情報へのアクセス権限は適宜見直されており、監査等委員による監査をより機動的に遂行できる体制を確保しております。
(5)社内規程の整備・改定及び業務フローの見直し
① 社内規程の包括的な見直しと社内周知の徹底
当社にある規程全体については一斉に点検が行われ、それぞれの規程について改定の必要性を監査等委員会、内部監査室とも協議しながら判断し、社内改善分科会にて検討した結果を反映する形で必要な改定を行い、改定が済んだ規程に関しては速やかに周知を行いました。ガバナンス強化委員会においても、規程の改定内容も含め規程の改定の必要性及び十分性を確認しました。今後も必要に応じて規程を見直してまいります。
② 経理部門の専門知識の向上
財務経理部において当社に必要な会計専門知識を習得し、個別の会計処理の適否を検討できるよう、また、必要に応じて事業部門の社員への会計処理の指導を行うことができるよう、財務経理部が外部の会計専門家に都度確認したり、外部の会計専門家から研修を受けたりすることのできる体制を確保しております。
(6)コンプライアンス意識の向上
① 役職員に対するリスク・コンプライアンス意識の改革
当社のコンプライアンスに関する施策の最優先課題として、役職員へのリスク・コンプライアンス意識を高め、維持していくことが必要であると認識しています。このため、当社の全役職員(契約社員・派遣社員を含む)に対して、外部の専門家によるリスク・コンプライアンス研修を年 2 回実施し、徹底したコンプライアンス意識の醸成を図っております。
② コンプライアンス専門組織の設置
社内に対しては会社としてコンプライアンスを重視していること、また社外に対してコンプライアンス経営を推進していることを周知していくために、法務・コンプライアンスを担当する独立した組織の設置が必要であると考え、そこで、管理を管掌する取締役の下に法務・コンプライアンス部を設置しております。法務・コンプライアンス部の役割としては、通常の法務業務に加えて、コンプライアンス教育計画の立案、コンプライアンス研修の実施、コンプライアンス研修後アンケートの監修/実施/報告といった役職員に対するコンプライアンス教育や内部通報制度の周知徹底などのコンプライアンスに関わる業務を専門的に担うこととし、当社として、これらを確実に実施、履行できる体制を確保しております。
③ 人事評価における職業倫理チェックシートの活用
2023年1月から職業倫理チェックシートを人事評価の指標の一つとして活用することで、会社としてコンプライアンスを重視していることを全社的に明確にしております。職業倫理を基礎とした評価を人事評価に繋げることで、コンプライアンス意識の向上を図ってまいります。
上記具体策を実行するにあたり、監査等委員会を中心とした定期進捗モニタリングにより、適時に状況を把握し、改善に努めてまいります。
② アンバサダー事業の収益拡大及び事業多角化の推進
イ.顧客基盤の拡大について
当社グループの主力事業であるアンバサダー事業は、これまで大手企業が中心でありましたが、2020年より中小企業向けのサービス提供を開始し、顧客基盤の拡大に取り組んでまいりました。2023年にはさらにここを強化すべく、既存顧客の声に応えた機能の追加やサービスの改善を行ってまいりました。そして、これまでは当社の基幹システム「アンバサダープラットフォーム」を軸としたファンコミュニティの提案が中心となっておりましたが、2024年は、マーケティング戦略上連携が求められやすいSNSアカウント運用やインフルエンサー活用などを組み合わせた提案活動を強化することで、顧客基盤の拡大を図ってまいりました。2024年4月には、インフルエンサー施策とアンバサダー事業のシナジーを見込みインフルエンサーマネジメントサービスの提供を開始し、顧客への提案、webサイトのリニューアル及びセミナーの開催といった営業活動を実施しております。
ロ.アンバサダープログラムのテクノロジー・ノウハウを活かした事業多角化の推進
当社は、主力商品である「アンバサダープログラム」の開発・運用の実績から、アンバサダーのクチコミ効果を分析する独自のテクノロジーや、アンバサダーの行動によるビジネス貢献の分析モデル等のノウハウを保有しています。今後、短期的に収益の黒字化を実現するために、これらのテクノロジーやノウハウとのシナジーが期待できる新しい事業分野への取り組みを推進してまいります。
当社はすでに当連結会計年度において「ECによる小売業」を開始し、また株式会社グローリーの子会社化により「幼児用教育材事業」に進出して、それぞれに成果を上げています。
今後、エンターテインメント、旅行、消費財等の領域でのM&A及び新規事業への投資を通じて、事業の多角化を推進し、新たな収益源確保を推進してまいります。
ハ.アンバサダー事業との連携強化及び個人目線でのサービス展開の拡大
上記のとおり、当社は新たな収益源を確保するため、当社の主力事業であるアンバサダー事業でこれまでに得られたテクノロジーやノウハウを活かし、新規事業分野への取り組みを推進いたします。
例えばECによる小売業においては、小売販売による売上により収益を確保するコンシューマー向けECにおける一般的な形態であるECモール店舗から事業を開始した結果、2024年8月29日付「業績予想の修正に関するお知らせ」にて開示しましたとおり、ECによる小売業の売上が好調に推移しております。
次のステップとして、商品提供元である企業や店舗経営者からの情報だけでなく、アンバサダー事業と親和性の強い「消費者に近い第三者の視点」からの情報であるアンバサダー、インフルエンサーによる「個人目線の推奨、レコメンデーション」による商品・サービス販売へと拡大していく予定です。
当社の主要事業であるアンバサダー事業との連携の強化を行いつつ、サービスの提供先を企業だけでなく一般の消費者・地方自治体等にも広げ「アンバサダー」のさらなる可能性を見出すとともに、当社のテクノロジーと企画・運営ノウハウを活用した販促・購買支援、市場調査、商品開発など新たな収益性の見込めるサービス展開を検討しております。
③ 資本政策による財務基盤の安定化
当社は、当連結会計年度に、第三者割当による第11回、第12回及び第13回新株予約権の発行及び本新株予約権のうち一部の行使により、資本増強を図ってまいりました。
しかしながら依然として当社の資本は脆弱であると言え、業容拡大のための投資や安定的な事業運営のための資金調達の実施が不可欠であります。今後も資本政策について多角的な検討を進めてまいります。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループにおいては、サステナビリティ関連のリスク及び機会を監視し、管理するためのガバナンスに関しては、コーポレート・ガバナンス体制と同様となります。当社のコーポレート・ガバナンスの状況の詳細につきましては、「
当社グループは人材の育成と定着に関する取組を経営上重要な課題であると考えております。
半期に一度の人事評価面談においては職業倫理に関する項目を設定し、コンプライアンス意識を高くもつ人材を積極的に重用することにより、コンプライアンス意識が根付いた企業風土を構築し、不正行為や各種ハラスメントなどが起きないより働きやすい環境整備に努めております。
リスク管理
四半期に一度開催されるリスク管理委員会及びコンプライアンス委員会において、サステナビリティ関連のリスクを含む全社的なリスク項目やコンプライアンスリスクについて、審議、検討及びモニタリングを行っております。委員会の活動内容は取締役会に報告し、必要に応じて取締役会で適切な対策を審議・決定しております。
当社グループでは、本報告書提出日現在においてサステナビリティ関連のリスク・機会を管理するための具体的な指標は設定しておりません。今後、定量的な数値指標や目標の設定要否についてを協議し、必要に応じて策定を検討してまいります。
当社グループの事業展開上のリスク要因となる可能性がある主な事項を記載しております。また、必ずしも事業上のリスクに該当しない事項についても、投資家の投資判断上、重要であると考えられる事項については、投資家に対する情報開示の観点から積極的に開示しております。なお、当社は、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避、発生した場合の対応に努める方針です。
なお、以下の記載のうち将来に関する事項は、別段の記載のない限り、本書提出日現在において当社が判断したものであり、不確実性が内在しているため、実際の結果と異なる可能性があります。
(継続企業の前提に関する重要事象等)
当社グループは、過去継続した重要な営業損失、経常損失、親会社株主に帰属する当期純損失を計上しており、債務超過の解消を目的として、第10回新株予約権の一部の行使、及び当連結会計年度に実施された第11回並びに第13回新株予約権の一部の行使により、資金調達を行った結果、当連結会計年度末において債務超過は解消されています。
しかし、当連結会計年度においても重要な営業損失、経常損失、親会社株主に帰属する当期純損失を計上しております。これにより、継続企業の前提に関する重要な疑義を生じさせる事象または状況が存在しております。
当社グループでは、当該事象または状況を解消するために、以下の施策を実施しております。
① 収益力の向上
(アンバサダープログラムのテクノロジー・ノウハウを活かした事業多角化の推進)
当社は、主力商品である「アンバサダープログラム」の開発・運用の実績から、アンバサダーのクチコミ効果を分析する独自のテクノロジーや、アンバサダーの行動によるビジネス貢献の分析モデル等のノウハウを保有しています。
今後、短期的に収益の黒字化を実現するために、これらのテクノロジーやノウハウとのシナジーが期待できる新しい事業分野への取り組みを行っています。
当社はすでに当連結会計年度において「ECによる小売業」を開始し、また株式会社グローリーの子会社化により「幼児用教育材事業」に進出して、それぞれに成果を上げています。
今後、エンターテインメント、旅行、消費財等の領域でのM&A及び新規事業への投資を通じて、事業の多角化を推進し、新たな収益源確保を推進してまいります。
② 資本政策による財務基盤の安定化
当社は、当連結会計年度に、第三者割当による第11回、第12回及び第13回新株予約権の発行及び本新株予約権のうちの一部の行使により、資本増強を図ってまいりました。
しかしながら依然として当社の資本は脆弱であると言え、業容拡大のための投資や安定的な事業運営のための資金調達の実施が不可欠であります。今後も資本政策について多角的な検討を進めてまいります。
しかしながら、これらの対応策は、今後の経済情勢等により収益が計画通り改善しない可能性があることや、資本政策はご支援いただく利害関係者の皆様のご意向に左右されるものであり、現時点においては継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められます。なお、連結財務諸表は継続企業を前提として作成しており、継続企業の前提に関する重要な不確実性の影響を連結財務諸表には反映しておりません。
(1) 当社グループの事業環境及び固有の法的規制に係わるリスクについて
①再発防止への未徹底による不正の発生とこれに起因したレピュテーション毀損リスク
当社は、事業展開において取引先との業務提携を積極的に促進することで事業拡大を図っています。しかしながら、当社は2021年6月に公表しましたとおり、元役員による不適切な資金流用及び会計処理が発覚し、特設注意市場銘柄に指定されたことからステークホルダーの皆様からの信用を損ね、当社のレピュテーションが毀損した状態と認識しています。2022年9月30日に公表した「改善計画・改善報告書」に基づき再発防止策の整備・徹底を進め2023年8月30日付で特設注意市場銘柄の指定は解除されましたが、当社アンバサダーマーケティング事業の業績は依然として不祥事の影響から抜け出せず低迷を続けております。このような不祥事を二度と生じさせないようガバナンスを徹底しておりますが、再発防止が未徹底であることに起因する新たな不正が発生するなどした場合、投資家からの信用毀損、さらには事業展開における取引先や外部機関との連携が進まないことなどによる当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
② インターネット事業に関する一般的なリスク
当社グループは、インターネット関連事業を主たる事業対象としており、インターネットの活用シーンの多様化、利用可能な端末の増加等のインターネットのさらなる普及が成長のための基本的な条件と考えております。インターネットの普及は引き続き進んでいるものの、技術革新や人々のインターネット活用に対する価値観の動向など、今後どのように進展していくかについては不透明な部分もあります。当社では、アンバサダーマーケティング事業部や技術部を中心に市場環境を注視することでリスクの低減を図っておりますが、インターネットに関する何らかの弊害の発生や利用等に関する新たな規制の導入、その他予期せぬ要因によって、今後の普及に大きな変化が生じた場合、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
③ 競合リスク
当社グループが行うインターネットを活用したマーケティング市場は、マーケティング手法やサービスの形態が日々進化しております。当社の競合が画期的なマーケティング手法を確立する、または当社が取り組んでいるアンバサダーマーケティング事業における革新的なサービスが生まれた場合に当社事業の優位性が毀損することも想定されます。当社は、「当社ASPシステムであるアンバサダープラットフォームの活用」及び「アンバサダーを活かすノウハウの蓄積によるサービスの品質」により他社との差別化を行っておりシェア拡大に努めております。しかしながら、ファンを活用したマーケティング施策を提供する会社が増加し、競争が激化した場合は当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。
④ アンバサダー事業のサービス拡充に関する追加支出発生に対する収益性低下リスク
当社グループでは、多様化する顧客ニーズに対応するためアンバサダーを起点とした新しいサービス提供を常に検討し、実施していく方針でおりますが、競合他社との顧客獲得や差別化競争、市場獲得争いなどに巻き込まれた場合に、これによりシステム投資、宣伝広告などの追加的な支出が発生し、利益率が低下する可能性があります。自社エンジニアの育成や顧客との接点を獲得するためのセミナー開催等を通じて効果的なシステム投資・宣伝広告によりリスクの低減に努めておりますが、予測とは異なる状況が発生し新サービス、新規事業の展開が計画どおりに進まない場合、投資を回収できず、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。
⑤ 景表法規制強化による需要低下リスク
一部のクチコミサイトでのいわゆるやらせ問題及びステルスマーケティング問題が表面化していることを受けて、2023年10月より、景表法の規制強化が施行されました。当社では、ステマ対策ガイドラインを作成し、企業から何らかの便宜を受けた際にはその内容が伝わる様、継続的な周知・確認、事後対応を行いつつ、顧客広告主向けに対外的なセミナ―も実施し啓蒙につとめております。この規制強化を受けて何らかの罰則を受けるなどの事例が発生した場合には、その事例が当社に無関係であっても、ソーシャルメディアを利用した広告市場の拡大に悪影響を与え、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
※ステルスマーケティング:消費者に宣伝と気づかれないように宣伝行為をすること。
⑥ 技術革新による競争力低下リスク
当社グループが事業を展開するインターネット業界においては、事業に関連する技術革新のスピードや顧客ニーズの変化が速く、それに基づく新サービスの導入が相次いで行われております。当社グループは、これらの変化に対応するため、技術者の確保や必要な研修活動を行っておりますが、これらが想定通りに進まない場合等、変化に対する適切な対応に支障が生じた場合、当社グループの業界における競争力が低下し当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。
⑦ システム障害リスク
当社グループは、クライアント企業にインターネットによりサービスを提供しております。システムの安定的な稼働を図るために定期的バックアップ・稼働状況の監視等により、システムトラブルの事前防止又は回避に努めております。しかしながら、サイトへのアクセスの急増等の一時的な過負荷や電力供給の停止、当社グループソフトウエアの不具合、コンピューターウィルスや外部からの不正な手段によるコンピューターへの侵入、自然災害、事故等、当社グループの予測不可能な様々な要因によってコンピューターシステムがダウンした場合、当社グループの事業活動に支障を生ずる可能性があります。また、サーバーの作動不能や欠陥に起因して、当社グループの信頼が失墜し取引停止等に至る場合や、当社グループに対する損害賠償請求が発生する場合も想定され、このような場合には当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
⑧ 個人情報管理によるリスク
当社グループはサービス提供にあたり、アンバサダーなどの個人に関連する情報を取得しております。これらの情報の取り扱いには、外部からの不正アクセスや内部からの情報漏洩を防ぐため、「個人情報保護規程」の制定、セキュリティ環境の強化、従業員に対する個人情報の取り扱いに対する教育等、十分な対策を行っております。また、当社は2012年10月にプライバシーマークの認定を受けております。しかし、個人情報に関する従業員教育の不足ならびに情報管理に関する当社システム上の不備により個人情報が漏洩した場合には、損害賠償や信用力の失墜により、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑨ 情報取得への制限リスク
当社グループは、ソーシャルメディア等により日々大量に生成されるインターネット上のクチコミを、当社グループが顧客に提供するソフトウエアを通じて自動的に収集しております。しかしながら、ソーシャルメディア等の運営者側の方針転換により、情報の自動収集に制限が加わったり、禁止されたりする可能性があります。このような事象が生じた場合、当社グループは独自の方法により同様のデータの入手に努める方針ですが、現在入手できているデータを取得できなくなることでサービスの品質が低下したり、情報の収集に対して追加コストが発生したりする場合等には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑩ 知的財産権侵害リスク
当社グループによる第三者の知的財産権侵害の可能性については調査可能な範囲で対応を行っておりますが、当社グループの事業分野で当社の認識していない知的財産権が既に成立している可能性又は新たに当社グループの事業分野で第三者により著作権等が成立する可能性があります。かかる場合においては、当社グループが第三者の知的財産権等を侵害することによる損害賠償請求や差止請求等、又は当社グループに対するロイヤリティの支払い要求等を受けることにより、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。また、当社グループは必要に応じて商標権等の知的財産権の申請を行っておりますが、当社グループの知的財産権が第三者に侵害された場合には、解決までに多くの時間や費用を要する等により、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
⑪ ソーシャルメディアデータ関連法規制リスク
ソーシャルメディアが益々浸透し、クチコミが日々大量に生成されるようになりました。このような状況において、ソーシャルメディアデータに関する法整備においては、2010年1月に施行された改正著作権法でインターネット上の検索サービスを提供する事業者がその検索サービスに必要な情報を収集する行為が一定の条件下で認められるようになりました。しかしながら、今後の新たな法律の制定や既存の法律の改正により、自主規制が求められるようになる可能性があります。このように当社グループのサービスを提供する上での情報収集やサービスの提供の仕方自体に何らかの制約を受けた場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社のアンバサダープラットフォームはソーシャルメディアが提供するAPI(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)を利用してデータ取得を行なっています。ソーシャルメディアの運用元の方針変更があった場合にアンバサダープラットフォームで使用しているデータを取得できなくなり、サービスの品質に影響を与える可能性があります。
(2) 経営成績及び財政状態に影響を及ぼすリスク要因について
① インターネット広告市場の縮小リスク
マーケティング支援事業及び広告事業が対象とするインターネット広告市場は拡大傾向にあり、インターネット広告はテレビに次ぐ広告媒体へと成長しており、今後も当該市場は拡大していくものと想定されます。当社は、システム開発体制の強化を通じて事業の付加価値向上を図っているものの、景況感の変化や新たなイノベーションの創出により、インターネット広告市場が拡大傾向の鈍化あるいは縮小傾向に転じた場合、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
② 景気動向及び顧客企業の広報・広告宣伝予算の縮小リスク
当社の取引はクライアントの広報・広告宣伝予算に強く影響を受けます。景気低迷の折に、広報・広告宣伝予算は相対的に削減の対象となりやすいと考えられ、クライアントの景気やその他の影響が、当社の事業及び業績に大きな影響を与える可能性があります。
(3) 当社の事業運営体制に係わるリスク
① 小規模組織であることの経営資源不足リスク
当社は小規模な組織であり、業務執行体制もこれに応じたものになっております。当社は今後の急速な事業拡大に応じて、従業員の育成、人員の採用を行うとともに業務執行体制の充実を図っていく方針でありますが、当社のレピュテーションや業績の悪化などの要因によりこれらの施策が適時適切に進行しなかった場合には、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。
② 人材の確保及び育成の進捗不良による人材リソース不足リスク
当社の事業展開においては、利用者向けサイトの構築及び運用面においては高度な技術スキルを有する人材が要求されることから、サイト構築のために必要な人材を適切に確保するとともに、育成を行っていく必要があります。また、今後の事業拡大により受注の獲得機会が増加した場合、受注規模に応じた営業人員の確保が必要となります。当社は今後の事業拡大に応じて必要な人材の確保と育成に努めていく方針でありますが、当社のレピュテーションや業績の悪化などにより必要な人材の確保が計画通り進まなかった場合や、現在在籍する人材の社外流出が生じた場合には、競争力の低下や事業拡大の制約要因が生じる可能性があり、この場合、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。
③ 新株予約権の行使による株式価値の希薄化リスク
当社では、ストック・オプション制度の活用や資金調達のために新株予約権を発行しております。これらが行使された場合には、保有株式の価値が希薄化する可能性があります。
④ 不十分な配当政策による株主構成変動リスク
当社の利益配分につきましては、業績の推移を見据え、将来の事業の発展と経営基盤の強化のための内部留保を意識しつつ、経営成績や配当性向等を総合的に勘案し、安定的かつ継続的な配当を維持することを基本方針としております。しかしながら当社は、成長過程にあり今後の事業発展及び経営基盤強化といった、内部留保の充実を図るため、配当を行っておりません。
現在におきましても、内部留保の充実を優先しておりますが、将来的には、業績及び財務状態等を勘案しながら株主への利益の配当を目指していく方針であります。ただし、配当実施の可能性及びその実施時期等については、現時点において未定であります。
⑤ 調達資金使途の進捗不良による事業成長の低迷リスク
当社は増資による資金について、当社の主力事業であるアンバサダーマーケティング事業との事業シナジーが期待できる相手先との資本業務提携やM&A等に充当する計画としております。しかしながら当社の所属する業界の環境変化や、これに伴う今後の事業計画の見直し等により、投資による期待通りの効果があげられなくなる可能性や、場合によっては充当先の変更が生ずる可能性があります。この場合、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑥ 他社との資本業務提携の進捗不良による業績低迷リスク
当社は、他社との業務提携、資本提携等を通じて事業の拡大、スピードアップに取り組んでいく方針であります。当社と提携先の持つ技術やノウハウ等を融合することにより、事業シナジーを発揮することを目指しますが、当初見込んだ効果が発揮されない場合、またこれらの提携等が何らかの理由で解消された場合、当社の事業展開、業績に影響を及ぼす可能性があります。
(4)その他、自然災害などの一般的なリスク
当社は東京に本社を、大阪に事業所を置き、原則として従業員は当該事業所へ出勤し勤務しています。これらの事業所がある地域において、地震・台風・津波・落雷などの自然災害が発生し、従業員の生命が脅かされる、または事業所での勤務が困難となった場合に、事業活動が遅延または停止するリスクを有しています。これらのリスクに対しては、当社では在宅勤務制度を導入し、事業所以外での勤務を可能とするなどの対策は施しているものの、自然災害の規模が大きい場合には、当社の事業展開、業績に影響を及ぼす可能性があります。
当連結会計年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
当連結会計年度(2024年1月1日から2024年12月31日まで)におけるわが国の経済においては、個人消費やインバウンド需要の回復が見られました。また企業の設備投資も増加傾向にあり、日経平均株価が史上最高値を更新するなど回復基調を維持しました。しかし、円安や人手不足、欧米金融引き締めや中国の成長減速による海外景気の鈍化が逆風となり、経済成長には停滞感が見られます。
このような状況のなか、当連結会計年度においては、前年度までの業績不振から脱却するための諸施策、特にM&A及び新規事業の積極展開が効果を上げたことから、売上高については前年同期と比べて大きく増加いたしました。
利益については、継続的なコスト削減が功を奏し、特に販売費及び一般管理費を前年同期と比べて大きく削減したことで、営業損失は減少しております。
また特別損益区分においては、損害賠償請求訴訟の一部和解による特別利益が発生した一方で、減損損失による特別損失が発生しております。
以上の結果、当連結会計年度の経営成績は、売上高は455,521千円(前年比57.4%増)となりました。営業損失は301,962千円(前期は営業損失427,375千円)、経常損失は320,539千円(前期は経常損失439,211千円)、親会社株主に帰属する当期純損失は337,676千円(前期は親会社株主に帰属する当期純損失491,495千円)となりました。
当社グループのセグメントは前連結会計年度まで単一セグメントでありましたが、2024年12月期中間連結会計期間より、「製造販売業」の量的な重要性が増したことにより、「アンバサダー事業」及び「製造販売業」の2区分により報告セグメントの開示を行っております。また、2024年12月期第3四半期連結会計期間において、EC小売業の量的な重要性が増したことに伴い、新たに「小売業」を独立した報告セグメントとして追加しております。
当連結会計年度におけるセグメント別の状況は次のとおりであります。
営業収益内訳(セグメント別)
(アンバサダー事業)
「アンバサダー事業」では、企業や商品のファンを組織化し、SNSを通じた1人ひとりのクチコミの促進・分析が可能なアンバサダープログラムの提供を行っております。当連結会計年度において、株式会社グローリーの株式を取得し、新たに連結子会社として追加したこと等により、アンバサダー事業の売上高が前年同期より増加することになりました。当連結会計年度の売上高は293,314千円(前連結会計年度比1.7%増)、セグメント損失は106,991千円(前連結会計年度はセグメント損失209,238千円)となっております。
(製造販売業)
「製造販売業」では、酸素カプセル等の高気圧酸素機器及び酸素発生機の設計、開発、製造、販売、並びにレンタルを行っております。当連結会計年度の売上高は45,660千円(前連結会計年度は、―千円)、セグメント損失は46,189千円(前連結会計年度はセグメント損失32,702千円)となっております。
なお、「製造販売業」については、前連結会計年度においては稼働準備及び提案活動を展開したものの納品には至らず、営業費用のみセグメント損失として計上しております。
(小売業)
「小売業」では、当社及び子会社のand health株式会社の運営するECサイトにて、コンタクトレンズ、音楽・映像(CD・DVD)、家電などの小売販売を行っています。当連結会計年度の売上高は116,392千円、セグメント損失は11,113千円となっております。
なお、「小売業」については、EC小売事業を当連結会計年度より開始し、前連結会計年度の実績がないため、比較情報を記載しておりません。
② 財政状態の状況
当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末に比べ208,296千円増加し、557,571千円となりました。これは、流動資産が180,399千円増加し483,964千円となったこと及び固定資産が27,897千円増加し73,607千円となったことによるものであります。
流動資産の主な増加は、現金及び預金が170,470千円増加し、原材料及び貯蔵品が13,500千円増加、未収入金が30,826千円増加および前払費用が33,382千円減少したことなどによるものであります。固定資産の主な増加は、のれんが10,406千円増加、投資有価証券が15,765千円増加、敷金及び保証金が7,215千円減少したことなどによるものであります。
負債については、前連結会計年度末に比べ23,244千円減少し、214,635千円となりました。これは、流動負債が4,619千円増加し104,175千円となったこと及び固定負債が27,864千円減少し110,460千円となったことによるものであります。
流動負債の主な増加は、支払手形及び買掛金33,707千円増加、未払金が13,488千円減少、未払法人税等が8,748千円減少、未払費用が2,911千円減少及び前受金が1,808千円減少したことなどによるものであります。固定負債の減少は、長期借入金が27,864千円減少したことによるものであります。
純資産については、前連結会計年度末に比べ231,540千円増加し342,936千円となりました。これは資本金、資本剰余金が増資及び減資により、それぞれ536,097千円、743,529千円減少したこと、利益剰余金がその他資本剰余金からの振替等により1,476,867千円増加したことによるものです。
③ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という)の残高は前連結会計年度末に比べ170,470千円増加し344,118千円となりました。
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の営業活動の結果減少した資金は266,284千円となりました。これは主に減損損失50,065千円による増加、株式交付費20,064千円による増加、仕入債務の増加22,272千円による増加の一方で、税金等調整前当期純損失を331,655千円計上したこと、和解金78,500千円による減少、棚卸資産の増加15,915千円による減少等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の投資活動の結果減少した資金は79,410千円となりました。これは、主に投資有価証券の取得による支出20,191千円、敷金及び保証金の回収による収入13,052千円、長期前払費用の取得による支出49,129千円、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出12,596千円を計上したことなどによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の財務活動の結果増加した資金は516,164千円となりました。これは主に長期借入金の返済による支出27,864千円、新株予約権の行使による株式の発行による収入509,227千円および新株予約権の発行による収入33,751千円などによるものであります。
a.生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1.金額は、販売価格によっております。
b.受注実績
当社グループが行う事業では、概ね受注から役務提供(納品)までの期間が短いため、当該記載は省略しております。
c. 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社が判断したものであります。
a.財政状態
「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ② 財政状態の状況」に記載のとおりであります。
b.経営成績
(売上高及び売上総利益)
当社グループの主力事業であるアンバサダー事業において、マーケティング戦略上連携が求められやすいSNSアカウント運用やインフルエンサー活用などを組み合わせた提案活動を強化し顧客基盤の拡大を図り、また、インフルエンサー施策とアンバサダー事業のシナジーを見込みインフルエンサーマネジメントサービスの提供を開始する等の施策を実施し、顧客への提案、webサイトのリニューアル及びセミナーの開催といった営業活動を積極的に行ったものの、新規顧客の獲得困難が継続した一方で、特にM&A及び新規事業の積極展開が効果を上げたことから、売上高については前年同期と比べて大きく増加し、売上高は455,521千円、売上総利益は38,969千円となりました。
(販売費及び一般管理費及び営業利益)
前年からコスト削減に取り組みましたが、コーポレート機能強化費用、旧役職員に対する責任追及のための費用、M&Aを実施することにより発生した外部専門家への支払手数料等が発生し販売費及び一般管理費は340,931千円となり、営業損失は301,962千円となりました。
(経常利益)
主に株式交付費の計上により経常損失は320,539千円となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
前年同期には特別利益として主に貸倒引当金戻入益が、また特別損失として主に減損損失、投資有価証券評価損が計上が計上されておりました。また、非支配株主を有する連結子会社として株式会社AGILE ENJIN ENTERTAINMENTを設立したことにより非支配株主に帰属する当期純損失が計上されておりました。これに対して当期には特別利益として和解金が、また特別損失として主に減損損失、貸倒引当金繰入額が計上されました。以上により、親会社株主に帰属する当期純損失は337,676千円となりました。
キャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。
当社の主な資金需要は、運転資金、新規事業投資、M&A資金、マーケティング投資、人材採用・教育投資、借入金返済費用であります。これらの資金需要につきましては、主に自己資金により賄えるものと判断しておりますが、必要に応じ資金調達の実施を多角的に検討してまいります。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。
当社は、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおり、市場動向、競合他社、技術革新、人材の確保育成、様々なリスク要因が当社の経営成績に重要な影響を与える可能性があると認識しております。
そのため、当社は、優秀な人材の採用、新規事業の開拓、セキュリティ対策等により、経営成績に重要な影響を与えるリスク要因を分散し、リスクの発生を抑え、適切に対応していく所存であります。
当社グループを取り巻く環境は、国内におけるデジタルトランスフォーメーションの進行により、生活者の消費行動があらゆるレベルでデジタル・ネットにシフトし、また「推し活」に代表される「ファンの情熱に起因する消費活動」の進展には目覚ましいものがあります。このような環境のもと「アンバサダーマーケティング」「インフルエンサー」「コミュニティ」「ソーシャルメディア」で培ってきた最先端の専門技術とノウハウ、および業務提携先とのリレーションを持つ当社にとって、大きな成長が見込まれます。
当社グループとしては、さらに積極的にM&Aや業務提携に取り組み、製造販売業・ECによる小売業・旅行・エンターテインメントなどの事業の多角化を推進することで、一層の収益拡大を図り、企業価値の向上に努めてまいります。
当社の経営者は、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおり、コーポレートガバナンス体制の強化が最優先の課題だと認識しています。今後、組織体制の見直しや業務フローの改善、コンプライアンス意識のさらなる醸成を通じて、コーポレートガバナンス体制の強化に努めてまいります。
また、収益力の強化も喫緊の課題だと認識しております。
当社は、主力商品である「アンバサダープログラム」の開発・運用の実績から、アンバサダーのクチコミ効果を分析する独自のテクノロジーや、アンバサダーの行動によるビジネス貢献の分析モデル等のノウハウを保有しています。今後、短期的に収益の黒字化を実現するために、これらのテクノロジーやノウハウとのシナジーが期待できる新しい事業分野への取り組みを推進してまいります。
当社はすでに当連結会計年度において「ECによる小売業」を開始し、また株式会社グローリーの子会社化により「幼児用教育材事業」に進出して、それぞれに成果を上げています。
今後、エンターテインメント、旅行、消費財等の領域でのM&A及び新規事業への投資を通じて、事業の多角化を推進し、新たな収益源確保を推進してまいります。
加えて、財務基盤の強化も大きな課題として認識しており、既存事業の成長や業務提携などを通じて収益力の向上を図っていくとともに、エクイティ・ファイナンスなどの資本政策にも注力し、財務基盤の強化を行ってまいります。
1.株式会社グローリーの株式取得
当社は、2024年7月29日開催の取締役会において、株式会社グローリーの全株式を取得し、同社を子会社化することを決議し、同日付で株式譲渡契約を締結し、2024年7月31日付で株式の取得を完了しております。
2.業務提携による合弁会社の設立
当社は、2024年10月31日開催の取締役会において、株式会社miraとの共同出資により、コンタクトレンズの企画、製造、販売事業を行うことを目的とした合弁会社の設立を決議し、同日付で合弁契約を締結し、同日付で合弁会社である株式会社ミライルを設立いたしました。
3.第三者割当増資による第11回、第12回及び第13回新株予約権の発行
2024年10月31日開催の取締役会において、SAMURAI JAPAN INVESTMENTS PTE. LTD、株式会社エムエス商店、JIA証券株式会社、若杉小夜香氏及び百瀬宙成氏を割当予定先とする第三者割当による第11回新株予約権、寺本直樹氏及び野口敦司氏を割当予定先とする第三者割当による第12回新株予約権、並びにLong Corridor Alpha Opportunities Master Fund及びMAP246 Segregated Portfolio, a segregated portfolio of LMA SPCを割当予定先とする第三者割当による行使価額修正条項付第13回新株予約権の発行を決議いたしました。
4.株式会社インプレストラベルの株式取得
当社は、2024年11月22日開催の取締役会において、株式会社クロノス・インターナショナルと共同で、株式会社インプレストラベルの全株式を取得し、同社を子会社化することを決議し、2024年11月25日付で株式譲渡契約を締結し、同日付で株式の取得を完了しております。
5.業務提携による合弁会社の設立
当社は、2024年11月25日開催の取締役会において、株式会社Orb Promotionとの共同出資により、タレントの養成及びマネージメント並びにコンサート等のイベントの企画、制作及び実施等に関連する事業を行うことを目的とした合弁会社の設立を決議し、同日付で合弁契約を締結し、2024年11月26日付で合弁会社である株式会社BEBOPを設立いたしました。
該当事項はありません。