第一部【企業情報】

第1【企業の概況】

1【主要な経営指標等の推移】

(1)連結経営指標等

回次

第12期

第13期

第14期

第15期

第16期

決算年月

2020年4月

2021年4月

2022年4月

2023年4月

2024年4月

売上高

(千円)

2,980,673

4,841,640

経常利益

(千円)

216,186

368,859

親会社株主に帰属する当期純損失(△)

(千円)

574,334

1,134,535

包括利益

(千円)

504,422

925,411

純資産額

(千円)

6,080,329

5,143,074

総資産額

(千円)

8,673,048

7,691,233

1株当たり純資産額

(円)

388.97

314.36

1株当たり当期純損失金額(△)

(円)

38.22

75.45

潜在株式調整後1株当たり当期純利益金額

(円)

自己資本比率

(%)

67.4

61.5

自己資本利益率

(%)

9.8

21.5

株価収益率

(倍)

営業活動によるキャッシュ・フロー

(千円)

483,382

464,004

投資活動によるキャッシュ・フロー

(千円)

144,475

1,217,003

財務活動によるキャッシュ・フロー

(千円)

200,785

303,958

現金及び現金同等物の期末残高

(千円)

3,798,391

2,741,433

従業員数

(人)

160

256

(注)1.第15期より連結財務諸表を作成しているため、第14期以前については記載しておりません。

2.潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、1株当たり当期純損失であるため記載しておりません。

3.第15期の自己資本利益率は、連結初年度であるため、期末自己資本に基づいて計算しております。

4.株価収益率は、1株当たり当期純損失であるため記載しておりません。

 

(2)提出会社の経営指標等

回次

第12期

第13期

第14期

第15期

第16期

決算年月

2020年4月

2021年4月

2022年4月

2023年4月

2024年4月

売上高

(千円)

1,544,464

1,556,593

1,482,969

1,572,580

1,747,091

経常利益

(千円)

404,571

285,814

87,790

127,051

101,439

当期純利益又は当期純損失(△)

(千円)

255,382

207,146

49,401

80,303

1,823,086

持分法を適用した場合の投資利益

(千円)

22,319

資本金

(千円)

2,269,373

2,276,959

10,000

10,128

21,784

発行済株式総数

(株)

14,917,428

15,025,582

15,025,582

15,027,181

15,045,152

純資産額

(千円)

6,182,740

6,403,111

6,440,758

6,564,101

4,798,870

総資産額

(千円)

6,408,863

6,546,615

6,635,384

6,772,006

5,129,902

1株当たり純資産額

(円)

414.46

426.13

428.65

434.83

315.05

1株当たり配当額

(円)

(うち1株当たり中間配当額)

(-)

(-)

(-)

(-)

(-)

1株当たり当期純利益又は当期純損失(△)

(円)

17.84

13.85

3.29

5.34

121.24

潜在株式調整後1株当たり当期純利益金額

(円)

17.35

13.67

3.26

5.30

自己資本比率

(%)

96.5

97.8

97.1

96.5

92.4

自己資本利益率

(%)

6.3

3.3

0.8

1.2

32.3

株価収益率

(倍)

194.23

197.33

284.19

216.48

配当性向

(%)

営業活動によるキャッシュ・フロー

(千円)

243,498

360,700

198,146

投資活動によるキャッシュ・フロー

(千円)

78,459

384,522

2,092,027

財務活動によるキャッシュ・フロー

(千円)

3,903,678

15,252

1

現金及び現金同等物の期末残高

(千円)

5,562,719

5,554,149

3,660,270

従業員数

(人)

46

55

61

65

79

株主総利回り

(%)

55.0

43.4

14.8

18.3

22.7

(比較指標:配当込みTOPIX)

(%)

(92.9)

(122.9)

(126.0)

(140.2)

(191.2)

最高株価

(円)

6,110

(20,460)

4,650

2,814

1,636

2,550

最低株価

(円)

2,108

(11,080)

2,407

840

774

1,157

 (注)1.第15期より連結財務諸表を作成しているため、第15期以降においては営業活動によるキャッシュ・フロー、投資活動によるキャッシュ・フロー、財務活動によるキャッシュ・フロー及び現金及び現金同等物の期末残高を記載しておりません。

2.持分法を適用した場合の投資利益については、第13期以前においては関連会社を有していないため、また第15期以降においては連結財務諸表を作成しているため、記載しておりません。

3.1株当たり配当額及び配当性向については、配当を実施していないため記載しておりません。

4.第16期の潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、1株当たり当期純損失であるため記載しておりません。

5.2020年2月1日付で普通株式1株につき2株の株式分割を行っておりますが、第12期の期首に当該株式分割が行われたと仮定し、1株当たり純資産額、1株当たり当期純利益金額又は1株当たり当期純損失金額及び潜在株式調整後1株当たり当期純利益金額を算定しております。

6.第16期の株価収益率については、1株当たり当期純損失であるため記載しておりません。

7.最高株価及び最低株価は、2019年12月24日までは東京証券取引所マザーズ、2019年12月25日以降2022年4月3日までは東京証券取引所市場第一部、2022年4月4日以降2023年10月19日までは東京証券取引所プライム市場、2023年10月20日以降は東京証券取引所スタンダード市場における株価であります。

8.2020年2月1日付で普通株式1株につき2株の株式分割を行っておりますが、第12期の株価については株式分割後の最高株価及び最低株価を記載しており、( )内に株式分割前の最高株価及び最低株価を記載しております。

9.「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を第14期の期首から適用しており、第14期以降の各期に係る主要な経営指標等については、当該会計基準等を適用した後の指標等となっております。

 

2【沿革】

2009年4月

東京都港区において、「驚きを心に」をコンセプトとして、人々の生活が便利に楽しくなるように、インターネットサービスの企画、開発および運営等を目的としてHEROZ株式会社(資本金500万円)を設立

2012年5月

AI(注1)を活用したスマートフォン向けネイティブアプリ(注2)「日本将棋連盟公認 将棋ウォーズ」をリリース

2016年12月

株式会社バンダイナムコエンターテインメントとAIを活用した事業を行うために資本業務提携を実施

2017年7月

株式会社コーエーテクモゲームスとAIを活用した事業を行うために資本業務提携を実施

2017年8月

株式会社竹中工務店とAIを活用した事業を行うために資本業務提携を実施

2018年4月

Netmarble Games Corporation(現 Netmarble Corporation)とAIを活用した事業を行うために資本業務提携を実施

 

東京証券取引所マザーズに株式を上場

2019年12月

東京証券取引所市場第一部に市場変更

2021年9月

バリオセキュア株式会社とAIを活用した事業を行うために資本業務提携を実施

2022年4月

東京証券取引所プライム市場に移行

2022年5月

将棋AIを活用したプロ仕様の将棋AI研究をサポートするプラットフォーム「棋神アナリティクス」の提供を開始

2022年8月

株式会社ストラテジットの株式を取得し、同社を連結子会社とする

2022年9月

バリオセキュア株式会社の第三者割当増資を引き受け、実質支配力基準により同社を連結子会社とする

2023年10月

将棋初段昇段を目指すeラーニングサービス「棋神ラーニング」をリリース

東京証券取引所スタンダード市場に市場区分を変更

2023年11月

株式会社エーアイスクエアの株式を取得し、同社を連結子会社とする

2024年3月

株式会社ティファナ・ドットコムの株式を取得し、同社を連結子会社とする

2024年5月

生成AIを活用したエンタープライズ向けAIアシスタントサービス「HEROZ ASK」を正式リリース

 

(注)1.AIとは、コンピュータープログラムを用いて、人間と同等の知的能力を実現するための基礎技術及びシステムを指します。

   2.ネイティブアプリとは、Google Play StoreやAppStore等のアプリマーケットを通じてダウンロード

     し、端末で直接実行可能なプログラムで構成されたアプリケーションソフトになります。

 

図:HEROZのあゆみ

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3【事業の内容】

当社は「驚きを心に」をコンセプトとして、人々の生活が便利に楽しくなるように、AIを活用したサービスをBtoCおよびBtoB領域で展開しております。第16期は、各領域におけるオーガニックでの成長を目指した取り組みに加え、2024年5月に新規SaaS「HEROZ ASK」を正式リリースし、またグループ全体では、第15期にグループ会社化したバリオセキュア株式会社(以下、「バリオセキュア」という。)及び株式会社ストラテジット(以下、「ストラテジット」という。)との連携強化・シナジー増大に取り組んだほか、AI・SaaS関連領域でさらに事業拡大・成長を成し遂げるべく、2023年11月に株式会社エーアイスクエア(以下、「エーアイスクエア」という。)を、2024年3月には株式会社ティファナ・ドットコム(以下、「ティファナ・ドットコム」という。)を新たにグループ会社化しました。

AI市場においては、OpenAI社による「ChatGPT」のリリースに端を発した、各産業におけるAIトランスフォーメーション(以下、「AIX」という。)に関する投資の加速が続いており、まさに現在進行形で、LLM(Large Language Model:大規模言語モデル)を含むAIの技術競争・需要拡大・社会実装が急激なスピードで進んでおります。なお、当社グループでは、AIXとは、AIを社会に浸透させることにより、その力を通じて既存の業務プロセスやビジネスモデル等を含めて社会全体に抜本的な変革を起こすこと、ととらえております。

また、SaaS市場においても、導入の需要のみならず、「ニーズの多様化に伴うSaaS間連携」「統合管理の複雑化によるセキュリティ要件の高度化」等に関する需要拡大が見込まれるほか、セキュリティ市場においても、サイバーセキュリティ攻撃による脅威が年々増加しており、近年ではランサムウェア(身代金要求型ウイルス)によるサイバー攻撃被害が国内外の様々な企業や医療機関等で続き、国民生活や社会経済に影響が出る事例も発生しています。2023年3月には「Emotet(エモテット)」の活動再開が確認され、国民の誰もがサイバー攻撃の懸念に直面しており、セキュリティ対策は必然となっております。

このように、国内外においてより急激に技術革新やAIXを含むIT関連投資が進む中で、当社グループは、改めてこの時代に求められる「AI革命」とは何かを再定義し、新たにHEROZ3.0としてグループ戦略「AI BPaaS」を掲げました。これは、単なるSaaSツール提供会社にとどまらず、生成AI等を駆使し大幅に自動化されたWorkというかたちで価値提供を行い、社会全体にAIXを起こしていくことを目指しており、AIが人間の仕事を奪うのではなく、AIを活用したWorkの提供により、人がより本質的な意思決定や自己実現等に注力できるようにする、人とAIが当たり前のように協創していく社会を実現するものであります。

 

図:当社が考えるAI革命とは

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図:当社が将棋界で起こしたAI革命

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図:HEROZ3.0のグループ戦略「AI BPaaS」

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 具体的な事業内容としましては、「AI/DX事業」「AI Security事業」の各セグメントにおいて、各企業・業界の

AIX推進やグループシナジーの強化に努めているほか、LLM(Large Language Model:大規模言語モデル)を含む

AI・SaaS・セキュリティ関連分野において積極的に研究開発を進め、グループ全体の事業拡大を目指しておりま

す。その取り組みの一環として、2024年5月に、当社で生成AIを用いたAIアシスタントSaaS「HEROZ ASK」を、ス

トラテジットでSaaS連携プラットフォーム「JOINT iPaaS for SaaS」を正式リリースいたしました。これらのSaaS

のほかにも、エーアイスクエアにおける「QuickSummary2.0」やティファナ・ドットコムにおける「AIさくらさ

ん」シリーズ等、グループ全体で様々なSaaS・プロダクトを展開しており、HEROZ3.0である「AI BPaaS」を推進す

るドライビングフォースとして、今後も機能拡充・強化や新製品の研究・開発等に取り組んでいきたいと考えてお

ります。

 

図: 当社グループの事業セグメント

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図:当社グループの事業全体像

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(1)AI/DX事業

AI/DX事業は、当社グループに蓄積されたAI・SaaS関連技術・ノウハウ・データ等を活用し、AI関連ソリューションの提供やSaaS導入支援・SaaS間連携開発等を提供することにより各企業・業界のAI/DX化推進を目指すセグメントとなります。当セグメントは、「BtoCサービス」と「BtoBサービス」に分類されます。

 

① BtoCサービス

BtoCサービスは、主に当社の将棋アプリ「将棋ウォーズ」を個人ユーザに提供するサービスとなります。

当社のAI技術は、将棋のような頭脳ゲームAIの開発過程で蓄積されました。具体的には、ビッグデータと呼ばれる、従来のデータ処理技術では処理することが困難であると考えられる膨大なデータ群から、機械学習等の技術に基づいて重要な示唆を導き出す技法になります。例えば、将棋AIの開発においては、過去のプロ棋士の棋譜を活用した機械学習の導入以降、評価関数と呼ばれる局面の優劣を判断する関数の精度が大幅に向上し、コンピューター将棋の棋力の向上が見られました。

 

 

図:将棋AI開発について

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上図のとおり、機械学習導入以前の将棋AI開発においては、エンジニアによる手作業、つまり最善と考えられる指し手を規定するためのプログラムを一行ずつ記述することによって、AIを開発することが一般的でした。しかしながら、手作業によるプログラミングでは将棋AIの棋力向上には限界がありました。そこで、より精度が高い将棋AIを高効率に開発するために機械学習が導入されることになりました。機械学習を用いることにより、コンピューターが過去のプロ棋士の棋譜データを自ら反復学習し、パラメーター調整等を自動で行いながら、手作業では記述しきれない精緻なプログラムを構築することが可能となりました。その結果、当社エンジニアが開発した将棋AIが2013年に現役プロ棋士に勝利するなど、AIが日進月歩で進化していることが示されております。また、2015年10月には、情報処理学会から「コンピューター将棋プロジェクトの終了宣言」が出されております。

 

図:将棋AI分野での機械学習の適用とその進歩

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現在は、このような手法に加えて、深層学習(ディープラーニング)(注1)や強化学習(注2)といった手法を実施しながら、日々AIの精度を向上させております。

当社ではこのAIを活用したアプリケーションを、主に、Google Inc.が運営するGoogle PlayやApple Inc.が提供するApp Store等世界標準のプラットフォーム(注3)を通じてBtoCサービスとして展開しており、主な収益はそれらの有料課金収入となります。またアプリケーションの運営効率化のためにもAIを活用しております。現在提供しているアプリケーションの特徴としては、当社の戦略的な重点分野であるAIの活用に加えて、リアルタイムオンライン対戦技術を活用したサービスとしていることが挙げられます。当社では、同時対戦型アプリケーションの豊富な開発経験をもとに、高品質なリアルタイムオンライン対戦をユーザに提供することが可能となっております。主力アプリケーションである将棋ウォーズは、会員数600万人以上を誇る世界最大のスマートフォン将棋ゲームアプリ(日本将棋連盟公認)で、現代特有のAIとグラフィックや音楽により、ユーザは新しい将棋の世界観の中で全世界のプレイヤーとオンライン同時対戦が可能です。本アプリにおいては、ユニークな課金を行っております。これは、ユーザがオンライン対戦しているときに、アプリ内で「棋神」と呼ばれる、当社エンジニアが開発したAIが、ユーザに代わって指し手を進めてくれる機能であり、5手160円でユーザに販売されております。また、終局後にはAIが算出する評価関数に基づいてプレイ中の分析結果を振り返ることもでき、棋力向上に役立てることができます。日本将棋連盟公認の免状・認定状(六段~5級)申請も可能となっており、将棋の全国大会の予選において使われることもあるほか、民放キー局のAIをテーマにしたテレビドラマで使用される等、各種メディアとの連携を強化しています。なお、将棋ウォーズは2024年4月期に通算対局数が9億局を突破するなど、利用拡大が続いているほか、将棋人口最大化の達成に寄与すべく、藤井聡太竜王・名人の八冠達成を受けたキャンペーンにも力を入れております。

また、BtoCサービスにおいては、2022年5月より、当社の将棋AIを活用したプロ仕様の将棋AI研究をサポートするプラットフォーム「棋神アナリティクス」の提供を開始し、2022年12月には同サービスのライト版もリリースいたしました。「棋神アナリティクス」は、ブラウザで手軽に最新の将棋AI解析が出来るサービスであり、高額な初期投資をせずに、誰でも簡単に操作できるUI/UX環境を用意したところに特徴があります。そして、2024年春には、将棋の第82期名人戦七番勝負に関して、毎日新聞社が運営するユーチューブチャンネル「囲碁将棋チャンネル 毎日新聞」での将棋対局中継に、棋神アナリティクスが活用されました。歴史も深く、将棋界の最高峰ともいえる名人戦において、局面の評価値・解析において棋神アナリティクスが用いられ、ライブ配信を通じて「観る将」を含む多くの将棋ファンにお楽しみいただきました。現状、棋神アナリティクスは主にプロ棋士・アマチュア強豪を対象にサービス提供を拡大しておりますが、将来的に将棋人口の最大化に寄与できるよう、より多くの将棋ファンに利用されるサービスとなるべくサービス充実に努めてまいります。

そのほか、2023年10月には、将棋初段昇段を目指すeラーニングサービス「棋神ラーニング」をリリースいたしました。「棋神ラーニング」は、将棋初心者~級位者を対象にした、将棋アマ初段昇格を目指すe-ラーニングサービスであり、「将棋ウォーズ」ならではのカリキュラムを、メディアで活躍級の人気棋士の動画解説と共に楽しめる内容となっております。通常、将棋初心者が初段になるまでは数年かかると言われるところを、将棋初心者が1年で初段になれるサービスとして設計しており、楽しく、短期間で確実に強くなれるコンテンツを多数ご用意しております。

 

図:棋神アナリティクスによる棋譜解析画面(実際の名人戦の配信画面とは異なります)

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図:棋神ラーニング

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 (注)1.深層学習(ディープラーニング)とは、入力に対して出力を決める処理の層を深く(ディープ

に)したニューラルネットワーク(人間の脳機能を模すことで効率の良い学習を施すことができ

る数学モデル)を用いることで、教師データが持つ特徴を手作業ではなくコンピュータープログ

ラムが抽出し、精度向上を目指す機械学習の一手法のことを指します。

 (注)2.強化学習とは、明確な教師データが与えられない環境において、コンピュータープログラムが試

行錯誤によってその価値を最大化するように振る舞う、機械学習の一手法を指します。

 (注)3.プラットフォームとは、ソフトウエアやハードウエアを動作させるために必要な、基盤となるハ

ードウエアやOS、ミドルウエア等のことをいいます。また、それらの組み合わせや設定、環境のことで、Google Inc.が運営するGoogle Play及びApple Inc.が提供するApp Store等が含まれます。

 

② BtoBサービス

BtoBサービスは、HEROZがBtoB向けに提供するAIソリューション関連サービスのほかに、グループ会社である「ストラテジット」「エーアイスクエア」「ティファナ・ドットコム」が展開する各種ビジネスが分類されます。各産業においてAIX・AI革命を巻き起こすべく、個別のソリューション提供とAI SaaSの両軸からビジネスを展開し、成長に向けた取り組みを行っております。

 

(ⅰ)HEROZ

当社は、BtoBサービスとして各産業へ様々なAIソリューションを展開しているほか、2024年5月には生成AIを活用したアシスタントSaaS「HEROZ ASK」も正式リリースし、今後ストック型ビジネスとしての事業成長も目指していきたいと考えております。

当社が提供するBtoB向けのAI関連ソリューションビジネスにおいては、金融、建設、エンターテインメント等の各業界に当社のAI技術を活用してBtoB向けAIを提供しておりますが、精度の高いAIサービスを提供するためには、各業界に蓄積されたデータを継続的に機械学習する必要があります。そのため、当社では積極的にパートナーシップ戦略を実行しております。すなわち、各産業を代表する事業会社と資本を含む提携を実施することで、長期的な視点に立ち、継続的にデータを活用した学習を行うことが可能となっております。

当社では、下記表に掲げた「金融」「建設」「エンターテインメント」を重点領域として設定し、AIシステムの初期設定構築から運用・継続フェーズにおいてAIサービスを提供しております。

 

領域

提供しているAIの内容

金融

株価等の市場予測を行うAIや、ユーザの投資行動を分析し投資パフォーマンス向上に資するフィードバックを行うAI等

建設

物件の構造や類似物件の設計情報等を活用して最適な構造設計を行うAI等

エンターテインメント

機械学習により頭脳ゲームにおいてユーザの対戦相手となるAI、ユーザの行動分析を行いその精度やユーザの継続率を向上させるAI等

 

収益構造については、AIシステムの構築時に、顧客から初期設定フィーを受領し、その後、AIシステムを運用して継続利用する顧客から月次で継続フィーを受領する収益構造を基本としております。すなわち、当社のビジネスモデルはフロー収入となる初期設定フィーに加えて継続フィーを受領しているストック型ビジネスとなります。また、AIの性質上、機械学習を継続するほどその精度が向上することから、顧客にとっては当社のAIサービスを継続使用するインセンティブが働くため、当社は安定した収益基盤を確保することが可能となります。

 

図:当社のAIソリューションの仕組み

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図:AI SaaSの収益性

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また、OpenAI社によるChatGPTのリリースを受けた大規模言語モデルに関する機運の高まりを受け、当社のBtoBサービスにおいても、ChatGPTを含む生成AIに関する取り組みを強化しております。その一環として、先述したとおり、2024年5月に生成AIを活用したAIアシスタントサービス「HEROZ ASK」を正式リリースいたしました。

HEROZ ASKは、ChatGPTを活用したエンタープライズ向けSaaSであり、一般的な対話・作文だけでなく、社内に存在する様々なデータの検索・要約・翻訳や、音声の言語化などを通じて日々の業務をリードします。直観的なUIと合わせて、生成AIを自社独自のドキュメント等を用いて使用するための基本的な機能が備わっており、1ユーザ月額900円~とお気軽に生成AIの世界を体験・お試しいただくことが可能となっています。

そのほか、徹底したセキュリティ対策による安心安全な生成AI利用環境の提供や、組織・目的別のユーザ管理機能も備えており、目的に応じたカスタマイズも簡単に設定可能です。また、これまで各種領域・分野における様々なAIソリューション提供の中で培ってきたノウハウ・経験を持つメンバーも携わっており、多種多様な観点からのビジネスソリューション提供力・実践力も活用しつつ開発・運用を行っております。

 

    図:HEROZ ASKの特長

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HEROZ ASKは、単なる生成AIツールにとどまらず、「AI BPaaS」の基幹となるSaaSとしてAIXを推進するドライビングフォースであると捉えており、今後も、積極的で妥協のない機能拡充や新製品開発に取り組んでまいります。

 

(ⅱ)ストラテジット

ストラテジットは、「戦略(Strategy)」と「IT」を統合し経営改善に貢献するというVisionと、SaaSのチ

カラを全ての企業にというMissionを掲げ、SaaSの活用・価値向上を進めるうえで課題となる穴を埋める存在と

して、SaaS事業者向けシステムの開発や、SaaS連携アプリストアの運営、および、SaaS導入コンサルティング

事業を展開しております。また、2024年5月には、より簡単でシームレスなSaaS間連携の実現と、ストック型ビジネスへの転換を目指し、SaaSベンダー向け連携プラットフォーム「JOINT iPaaS for SaaS」を正式リリースいたしました。

 ストラテジットが提供するSaaS導入支援サービスでは、Oracle社が提供するクラウドERP「NetSuite」等の導入に関して、様々な企業に支援を行っております。ERPとは、「Enterprise Resource Planning(企業資源計画)」の略で、統合基幹業務システム、基幹システムと言われております。ERPは、企業の「会計業務」「人事業務」「生産業務」「物流業務」「販売業務」などの基幹となる業務を統合し、効率化、情報の一元化を図るためのシステムであり、企業全体の業務を効率化し、敏速に適切な経営判断をくだすために重要な基幹となるシステムです。従前はオンプレミス型ERPの導入が主流でしたが、近年ではクラウド環境で使用できる「クラウドERP」の普及が進んでおり、オンプレミス型よりも短期間かつ低コストで導入でき、メンテナンスが不要であるなどメリットが多く、大企業のみならず中小企業の需要も急速に拡大しております。

 

 

図:SaaS市場の外観と当社グループが考える大きなトレンド

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また、同様にストラテジットが提供するAPI連携開発サービスに関しては、近年大企業のみならず中小企業においても、急速に、会計・人事だけでなく様々なSaaSプロダクトを活用する状況となっております。一方で、企業においては会計・人事等の各SaaSプロダクトを単独で利用する場合は、各SaaSでのデータ管理が必要となり、重複したデータ登録等が発生し、業務効率の向上が困難となる事象が発生しており、SaaS間のデータ連携が重要になってきております。ストラテジットにおいては、これらのSaaS間のデータ連携において、API(Application Programming Interface)を活用したAPI連携開発サービスを提供しております。APIを活用することで、互いのSaaSのデータ連携を行うことが可能となり、各SaaSプロダクトが保有する機能を拡張させ、双方のSaaSプロダクトを更に便利に利用することが可能となります。

特にストラテジットにおいては、SaaS連携開発に必要なノウハウを結集した開発プラットフォームに関した特許を保有しており、一般的な受託開発に比べ、高品質なシステム連携を低コストで提供し、安定的に運用することが可能となっております。

そして、2024年5月には、SaaSベンダー向けの連携プラットフォーム「JOINT iPaaS for SaaS」(以下、「JOINT」という。)を正式リリースいたしました。複数のSaaSを利用している場合、各種SaaSが連携されていないことによる手作業の発生や業務効率・利用満足度の低下等が起こりやすく、かつ連携を実現するに際しても主に技術的な面でハードルを抱えがちですが、JOINTは、国内外50以上の主要なSaaSとの連携を実装してきた実績を活かし、各種SaaSの連携開発・管理・運用までを、効率的に、簡単に対応できるプラットフォームとなっております。JOINTの活用により、「①連携アプリの構築」「②アプリストアの構築」「③アプリ提供後の管理の標準化」等を簡単に実現可能となっているほか、ChatGPTなどのLLM外部連携についても、本来数カ月かかる連携アプリ開発を最短1週間で実装できるなど、実装期間の大幅な削減が可能となっております。

SaaS市場は今後も拡大を続けると見込まれており、生成AI等も急激に広まっていく中で、各種SaaS間のシー

ムレスな連携は今後も重要なニーズ・トレンドとなるものと想定しております。今後、JOINTの拡販・機能拡充・新製品の開発等を通じて、ストック型ビジネスとしての更なる事業成長・ARR拡大を目指してまいり

ます。

 

 

図:JOINT iPaaS for SaaS

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(ⅲ)エーアイスクエア

 エーアイスクエアは、「最先端の自然言語処理AIによる業務の高度化の実現」を掲げ、機械学習やディープラーニングを自然言語処理へ応用し、コンタクトセンター領域において、自動応答システムや自動要約・分類システムをはじめとする業務自動化ソリューションを展開しております。同社が展開するコンタクトセンター向けの生成AIを活用したソリューションとして、各種AIツールの提供を行っております。

 また、コンタクトセンター領域における周辺サービスとして、高度なAI開発力やサービス実装のノウハウを活かし、AIモデルの作成や、業務の高度化に向けたコンサルティング等のサービスも展開しております。

コンタクトセンター領域、その中でも特にコールセンター領域においては、今後も市場規模は引き続き成長す

ることが想定されている一方で、継続的な採用の難しさと高い離職率により慢性的な人手不足が大きな課題と

なっています。

 

 

図:コンタクトセンターが抱える課題

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 昨今、ChatGPTをはじめとする生成AIの進化は著しいものがありますが、コールセンター白書の調査におい

ても、現時点においてはコールセンターでの生成AIの活用は依然として非常に低い状況となっております。

 

図:生成AIのコールセンターでの活用について

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 コールセンター領域においてはより一層の生成AI活用が進むものと考えられることから、今後、当社とエ

ーアイスクエアにおいては、コールセンター領域へ継続的なソリューションを提供してきたエーアイスクエアの知見を活かしながら、当社が2024年5月に本格的にサービスを開始した「HEROZ ASK」を組み合わせた、コールセンター領域における統合的な生成AI活用に向けたサービスの提供を進めていく予定です。

 

 

図:当社とエーアイスクエアによる統合的な生成AI活用のサービス提供図

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(ⅳ)ティファナ・ドットコム

 ティファナ・ドットコムは、「WebとAIの力で、世の中を笑顔にしたい」という思いのもと、主に、法人

向けAIを用いてDXソリューションの開発・販売事業を行うAI事業を展開しております。

 具体的には、現在多数の駅や商業施設で導入され、案内・接客対応で活躍中のDXソリューション「AIさく

らさん」シリーズを提供しております。AIさくらさんは、駅や空港などにおいてアバターを通じた接客や受

付として活躍しているほか、社内ヘルプデスクや窓口等でのお客様対応、企業の業務改善、メンタルヘルス

のモニタリング等、企業のニーズに合った様々なシリーズを展開し、各社に適したサービスを通じて顧客の

業務自動化を実現しております。

 

図:AIさくらさん

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図:AIさくらさんシリーズ(一部)

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図:AIさくらさんの導入実績(一部)

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  JR東日本     横浜相鉄ジョイナス   最高裁判所     羽田エアポートガーデン

 

 LLMを含む先端AI技術が更に社会に浸透・実装されることが推進される一方で、現在の日本のビジネスの現

場では、情報の精度の低さや情報統制の観点からLLMを信頼しきれないという声や、LLMの活用方法のイメー

ジが湧きづらく、難しくとっつきにくい・検索ツールとしての使い方しかできていないという声が上がって

おります。このような状況を踏まえ、LLMのポテンシャルをビジネスの現場でフルに活用していくには、LLM

の情報の精度やセキュリティ面を整備する事はもちろん、業務における活用イメージの解像度を上げる分か

りやすさや、日本の企業に特化した使用感の改善が急務であると考えられます。

 このような環境の中で、ティファナ・ドットコムは、AIさくらさんシリーズの展開を通じて、生成AIを誰

にでもわかりやすく、親しみやすいかたちで社会実装し、人とAIが当たり前のように共存・協創する社会の

実現を目指しております。本報告書提出日現在も、AIさくらさんの利活用に関して多くのお問い合わせ・引

き合いをいただいており、今後も様々なAIさくらさんシリーズの開発・展開を通じて事業拡大に努めるとと

もに、グループ内の各種SaaSとのシナジー創出・増大にも取り組み、AIの社会実装・AIXを推進してまいりま

す。

 

[事業系統図]

AI/DX事業の事業系統図は、以下のとおりです。

 

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(2)AI Security事業

AI Security事業は、バリオセキュアが提供するインターネットセキュリティ関連の事業となります。同社は、「インターネットを利用する全ての企業が安心で快適にビジネスを遂行できるよう、日本そして世界へ全力でサービスを提供する。」という経営理念のもと、インターネットに関するセキュリティサービスを提供する企業として、インターネットからの攻撃や内部ネットワークへの侵入行為、またウィルスの感染やデータの盗用といった各種の脅威から企業のネットワークを守り、安全にインターネットを利用することができるようにする総合的なネットワークセキュリティサービスを提供しております。

 

(1)事業の特徴

 a.独自のビジネスモデル

 バリオセキュアは、セキュリティサービスで利用する機器の調達、機器にインストールする基幹ソフトウエ

アの開発、機器の設置/設定、機器設置後の監視/運用までをワンストップで行っております。

 エンドユーザは、機器の選定や運用サービスを個別に検討する必要がなく、手間がかからずにサービスを

利用することが可能となります。また、バリオセキュアがワンストップでサービスを提供しているため、問題

が発生した際に原因の究明と対応が行い易く、エンドユーザは、問い合わせやトラブルに対するサポートを迅

速に受けることができます。

 

 b.リカーリングレベニューの構造

 バリオセキュアは、監視/運用サービスを基本に各種セキュリティサービスを月額費用により提供しており

ます。導入企業が増加すれば、年々収益が積み上がる「リカーリングビジネス」と呼ばれるモデルであり、収

益の安定化と継続的な拡大に大きく貢献しております。2024年2月末で、全国47都道府県に7,796拠点(VSR設

置場所数)のマネージドセキュリティサービスを提供しており、継続的な収益の安定化を実現しております。

バリオセキュアの第9期事業年度の「リカーリングビジネス」であるマネージドセキュリティサービスによる

売上収益の売上収益全体に占める比率は87.4%です。

 

[リカーリングレベニューモデル]

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 c.ビジネスパートナー(販売代理店)モデル

 バリオセキュアの販売モデルは、販売代理店を介した間接販売及びバリオセキュアによる直接販売に分類で

きますが、間接販売が中心となっております。通信事業者やインターネットサービス事業者、データセンター

事業者など、バリオセキュアのサービスを付帯することでお客様へ付加価値を提供することを期待する販売代

理店と契約しております。これら販売代理店と日本全国をカバーする販売網を構築し、継続的な営業案件の創

出が可能となっております。

 販売代理店は、「相手先ブランド提供パートナー(以下、「OEMパートナー」という。)」及び「再販売

パートナー」に大別されます。「OEMパートナー」とは、販売代理店自らのブランドでセキュリティサービ

スを提供し、顧客(エンドユーザ)と直接、契約を締結するパートナーを指します。「再販売パートナー」

とは、バリオセキュアの代理店として顧客(エンドユーザ)の開拓、営業活動を行い、顧客(エンドユーザ)

との契約主体はバリオセキュアとなるパートナーを指します。

 バリオセキュアでは、さらに営業活動を推進するためにセキュリティの専門家であるバリオセキュアが、販

売代理店の代わりにお客様に対して直接技術面の説明をする営業同行や、サービスの導入から設置までワンス

トップで支援することも実施しております。

 

(2)サービスの概要

 バリオセキュアは、インターネットセキュリティサービス事業の単一セグメントであることから、セグメン

ト別の記載は省略しており、サービス毎に記載しております。バリオセキュアが提供しているサービスは次の

とおりであります。

 

a.マネージドセキュリティサービス

 マネージドセキュリティサービスで提供している商品は、VSRを利用した統合型インターネットセキュリテ

ィサービス、データのバックアップサービス(VDaP)、エンドポイントセキュリティサービス(Vario EDR)

及びVarioマネージドLAN/Wi-Fiサービスの4種類があります。

 

(a)VSRを利用した統合型インターネットセキュリティサービス

 インターネットからの攻撃や内部ネットワークへの侵入行為、またウィルスの感染やデータの盗用とい

った各種の脅威から企業のネットワークを守り、安全にインターネットの利用を行えるようにする総合的

なネットワークセキュリティを提供するものです。

 バリオセキュアの統合型インターネットセキュリティサービスでは、ファイアウォール、IDS(不正侵入

検知システム)、ADS(自動防御システム)などの多様なセキュリティ機能を1台に統合した自社開発のネ

ットワークセキュリティ機器VSRをインターネットとユーザの社内ネットワークとの間に設置し、攻撃や侵

入行為、ウィルスといった脅威を取り除くいわばフィルタとして作動します。VSRは、バリオセキュアデー

タセンターで稼働する独自の運用監視システムにより自動的に管理・監視され、運用情報の統計情報や各

種アラートが人手を介することなくリアルタイムに処理されます。統計情報やアラートはコントロールパ

ネルと呼ぶレポーティング機能により、インターネットを介してユーザ企業の管理者にリアルタイムに提

供されます。また、バリオセキュアでは24時間365日のサポートセンターを構築しており、国内全都道府県

に対応した保守網並びに機器の設定変更等の運用支援体制を構築しております。

 従来は、前述のようなセキュリティシステムを導入するには、各種のセキュリティ機器を購入し、これ

らを自社で導入、メンテナンスする必要がありました。そのためには高度な技術を有する技術者や、高額

な投資を要求されることから多くの企業では十分なネットワークセキュリティ対策を導入することが困難

な状況でした。また、セキュリティシステム導入後も監視やアラートへの迅速な対応、ソフトウエアのア

ップデートなどの運用面での負担は非常に大きい状況でした。

 バリオセキュアのサービスではVSRが1台で多様なセキュリティ機能を提供します。機器の購入は不要で

レンタル機器にてセキュリティシステムを導入することができます。また、セキュリティ機能ごとに月額

費用が設定されており、ユーザ企業は多様なセキュリティ機能の中から必要なオプションを選択すること

ができ、VSRは様々なニーズに対応可能です。ユーザは、契約の開始時点のみ発生する初期費用及び月額費

用を払うだけで、コントロールパネルの利用や設定変更、ソフトウエアのアップデート、監視や出張対応

による現地での保守など、ネットワークセキュリティの運用に際して必要となる殆どの工数をバリオセキ

ュアに委託することができ、業務負担を低減することができます。

 このように、バリオセキュアの統合型インターネットセキュリティサービスは、ネットワークセキュリ

ティの導入から管理、運用・保守までをサービスとしてワンストップで提供し、ユーザから初期費用及び

定額の月額費用を徴収する積み上げ型のビジネスモデルとなっております。

 ユーザは、自社で専門技術を持つIT責任者を設置することが困難な中堅、中小企業がメインです。

2024年2月末で2,865社に導入され、7,796拠点(VSR設置場所数)の日本全国で稼働しております。

 

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 バリオセキュアのVSRは自社開発品です。自社の技術者やシステムインテグレーター(SIer)(*1)を

通じてセキュリティ機器を導入・運用する企業は、海外の仕様書を見ながら初期設定やカスタマイズを施

し、自社で定期的なソフトウエアのアップデートを行い、トラブル発生の際には海外メーカーに数日間か

けて問い合わせるなど、一般的には多大な労力と時間を必要とします。バリオセキュアは自社開発品を初

期導入から運用・保守までワンストップで提供しているため、迅速な対応が可能となっております。不具

合やトラブルは、顧客(エンドユーザ)からバリオセキュア又は販売代理店への問い合わせのほか、バリ

オセキュアがリモート監視により能動的に検知してサポートを行っております。運用・保守は、バリオセ

キュアのエンジニアが可能な限り、遠隔操作により対処します。ハードウエア等の故障については、業務

委託先の倉庫等全国68か所(2024年2月末)に在庫を配備し、4時間以内の駆け付け目標により機器交換

に迅速に対応しております。

(*1)システムインテグレーター(SIer)とは、情報システムの設計、構築、運用等の業務を顧客より

請け負う情報通信企業を言います。

 

(b)データのバックアップサービス(VDaP)

 一般的に企業の大切なデジタルデータが、インターネットの脅威から隔離され、障害が発生した場合で

もそれまでの事業の継続性を担保することが、企業の大きな課題となっております。

 バリオセキュアのバックアップサービスは、ハードウエアの機器にバックアップデータが保存される

VDaPとデータセンターへの保存を組み合わせたバックアップサービスとなっております。一時的に企業の

デジタルデータをVDaPにバックアップした後に、自動的にデータセンターへもデータを転送することで、

より一層の耐障害性を高めております。バックアップデータの保持は、最新及び過去のデータがバージョ

ン管理されたデータとして保持されております。データの復旧を行う際にも、お客様が利用しやすいイン

ターフェースを提供することで、必要なデジタルデータを簡単に選択して、復旧することができます。

 VSRを利用した統合型インターネットセキュリティサービスの監視/運用サービスにおける経験を活か

し、機器の設置、障害時の対応に関しても、その仕組みを活かすことで効率的に全国をカバーしたサービ

ス提供を実施しております。

 

(c)エンドポイントセキュリティサービス(Vario EDR)

 サイバー攻撃が巧妙になり、従来のウィルス対策ソフトでは検知できないウィルスやマルウェアによる

企業のセキュリティ被害の拡大が懸念されます。

 バリオセキュアのマネージド型EDRサービス「Vario EDR」では、社内やテレワーク利用PCのセキュリテ

ィリスクを検知し安全な業務環境を実現します。EDR(Endpoint Detection & Response)は、ウィルス対策

ソフトが検知できずに侵入したウィルスやマルウェアの行動を監視し、サイバー攻撃の実行を阻止する仕

組みです。サイバー攻撃対策に有効なEDRですが、リスク判定や判断後の対応が難しいことから運用負担が

大きくなる傾向にありますがVario EDRサービスでは、リスクレベルのスコア化と、サイバー攻撃の発見と

対応を支援する仕組みにより、セキュリティ対策を少ない運用負担で実現します。

 

(d)VarioマネージドLAN/Wi-Fiサービス

 企業のDX化に伴い情報システム担当者への業務負担は増加傾向にあります。

 バリオセキュアのVarioマネージドLAN/Wi-Fiサービスでは、オフィスLAN/Wi-Fi環境の管理負担やセキュ

リティ強化をマネージドサービスとして機器の管理や脆弱性対応を行うことで、オフィス内のネットワー

ク環境の安全性を維持します。オフィスのネットワークは、構成するネットワークスイッチやWi-Fiアクセ

スポイントの安定稼働が前提に成り立っています。現在のネットワーク環境をより安定的に運用するため

に必要不可欠な脆弱性対応をはじめとするセキュリティリスクの軽減や、不測の事態に備えた迅速な障害

特定に対応する仕組みをマネージドサービスとして提供することで、安心のビジネスインフラを最小限の

管理負担で実現します。

 

b.インテグレーションサービス

 バリオセキュアのインテグレーションサービスには、中小企業向け統合セキュリティ機器(UTM)である

VCR(Vario Communicate Router)の販売とネットワーク機器の調達や構築を行うネットワークインテグレー

ションサービス(以下、IS)があります。

 

(a)VCR

 サイバーセキュリティ基本法の改定といった法規制の影響もあり、より小規模(従業員数50名未満)の

事業者やクリニックなどでセキュリティ意識が高まっていることを受け、セキュリティアプライアンス機

器であるVCRの販売も行っております。VCRは、マネージドセキュリティサービスと異なり、UTM製造の世界

有数の企業であるSOPHOS Ltd.の製品を自社ブランドとして輸入し、中小企業を専門とする販売代理店を通

じてエンドユーザに販売する事業として実施しております。なお、販売した機器、ハードウエア障害など

については、バリオセキュア又は販売代理店のサポート窓口経由で、メーカーが保証期間に亘りサポート

しております。

 

(b)ネットワークインテグレーションサービス(IS)

 統合型インターネットセキュリティサービスでは、外部へのアクセスを可能にするインターネットと社

内のネットワークの境界を監視するゲートウェイとしてバリオセキュア機器を設置することから、企業よ

りゲートウェイ周辺で利用するネットワーク機器の調達や設定、インターネットへの接続全般の設計や構

築のニーズがあります。そのため、通信ネットワーク及び機器等の導入のための設計、調達、構築を専門

に行う人員を配置し、ネットワークの設計/調達/構築全般を実施し、企業ネットワーク領域全般への業容

拡大を図っております。なお、販売した機器、ハードウエア障害などについては、バリオセキュア又は販

売代理店のサポート窓口経由で、メーカーが保証期間に亘りサポートしております。

 

[事業系統図]

 AI Security事業(バリオセキュア)の事業系統図は以下のとおりです。

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注:販売代理店との間の契約では、一部、顧客(エンドユーザ)とバリオセキュアが直接代金の授受及びサポートを行う契約があります。また、Vario EDRについては定額の月額利用料のみ発生いたします。

 

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4【関係会社の状況】

名称

住所

資本金

(千円)

主要な事業の内容

議決権の所有割合

(%)

関係内容

(連結子会社)

 

 

 

 

 

バリオセキュア㈱

(注)1、2、3

東京都

千代田区

750,868

マネージドセキュリティサービス、インテグレーションサービス

直接

42.8

資本業務提携、役員の兼任3名

㈱ストラテジット

(注)2

東京都

港区

34,998

SaaS導入支援

API連携開発

「JOINT」の提供

直接

92.4

役員の兼任2名

㈱エーアイスクエア

(注)2、4

東京都

港区

90,000

AIを活用した各種ITサービス提供及びコンサルティング

直接

50.1

役員の兼任4名

㈱ティファナ・ドットコム

(注)2、4

東京都

目黒区

200,000

AI事業(「AIさくらさん」シリーズの提供)

直接

100.0

役員の兼任3名

(注)1.有価証券報告書を提出しております。

2.特定子会社に該当しております。

3.バリオセキュア株式会社については、売上高(連結会社相互間の内部売上高を除く。)の連結売上高に占める割合が10%を超えておりますが、同社は、有価証券報告書を提出しており、またセグメント情報の売上高に占める同社の売上高(セグメント間の内部売上高又は振替高を含む。)の割合が100分の90を超えているため、主要な損益情報等の記載を省略しております。

4.株式取得を行ったため、第3四半期連結会計期間より株式会社エーアイスクエア、第4四半期連結会計期間より株式会社ティファナ・ドットコムを連結子会社としております。

 

5【従業員の状況】

(1)連結会社の状況

 

2024年4月30日現在

セグメントの名称

従業員数(人)

AI/DX事業

141

AI Security事業

74

報告セグメント計

215

全社(共通)

41

合計

256

(注)1.グループ会社の従業員数は、各社の直近の決算日に準拠しております。

2.従業員数は、正社員及び契約社員の数であります。なお、臨時従業員の総数が、従業員数の100分の10未満であるため記載を省略しております。

3.全社(共通)として記載されている従業員数は、管理部門に所属しているものであります。

4.連結会社の従業員数は、前連結会計年度末に比べ96人増加したのは、当連結会計年度より株式会社エーアイスクエア及び株式会社ティファナ・ドットコムが連結の範囲に加わったことによるものです。

 

(2)提出会社の状況

 

 

 

2024年4月30日現在

従業員数(人)

平均年齢(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(千円)

79

37.6

3.6

7,413

 

セグメントの名称

従業員数(人)

AI/DX事業

59

報告セグメント計

59

全社(共通)

20

合計

79

(注)1.従業員数は、正社員及び契約社員の数であります。なお、臨時従業員の総数が、従業員数の100分の10未満であるため記載を省略しております。

2.従業員数は、当社から他社への出向者を除き、他社から当社への出向者を含む就業人員数であります。

3.平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。

4.全社(共通)として記載されている従業員数は、管理部門に所属しているものであります。

 

(3)労働組合の状況

 当社の労働組合は結成されておりませんが、労使関係は安定しております。

 

(4)管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異

 提出会社及び連結子会社は、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)及び「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定による公表義務の対象ではないため、記載を省略しております。