第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)経営方針

当社グループは、「誠実な社員、理解あるお客様、確実な仕入先、堅実な外注先、その他事業に関係ある方に対し、全てをビジネスパートナーと考え相思相愛の強い信頼関係で、名実共に日本一のリフォーム会社を目指します。」という経営理念の下、顧客である不動産会社の良きパートナーとして、市場のニーズに適応した質の高いサービスの提供に取り組み、持続的な企業価値の向上に努めてまいります。

 

(2)経営戦略等

少子高齢化に伴うニーズや生活様式の変化、環境等に対する意識の高まり、消費者の価値観の多様化により市場構造や規模も大きく変わってきています。市場動向に応じた事業エリア、事業領域の積極的な開拓を展開し、時代のニーズに応える技術力、営業力等を強化し、お客様が満足できるサービスを展開してまいります。また、環境の変化に柔軟に対応し、着実に安定成長することを目指しております。

 

(3)経営上の目標達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループは、持続的な成長と企業価値向上のために、事業規模の拡大を重視しており、売上高と売上総利益を重要な経営指標として位置付けております。リフォーム事業においてはこれらの経営指標に影響する工事受注件数、及び新規顧客数、不動産流通事業においては成約件数及び平均保有期間の推移を、また、不動産建設事業においては受注文住宅の注件数及び分譲・建売の販売件数を把握し、これらの指標を改善する事で、売上高と売上総利益が継続的に向上するための施策を講じております。また、社員が一貫して一顧客を担当するため人員の増加が件数の増加、および売上の増加(売上成長)に直接結びつくため、サービス提供するための人材育成、人材採用が重要であると認識しております。

 

(4)経営環境

事業環境におきましては、コロナ禍からの回復による社会経済活動の正常化が見られるものの、慢性的な建設技能労働者不足に加え、2024年4月から建設業に適用された時間外労働の上限規制の影響が顕在化しており、人手不足が急速に深刻化する状況にあります。また、原油高や円安による原材料コストの上昇等、予断を許さない経営環境が予測されます。一方、物価上昇に伴うコストの上昇を販売価格へ転嫁する動きが広がりを見せており、物価上昇と賃金上昇の好循環が消費活動及び投資活動を後押しすることで、正常な経済活動に進むものと期待されます。

 

(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

① サービス向上について

当社グループはリフォーム事業をサービス業と位置づけ、社員へのマナー教育を徹底しております。また、顧客である中小規模の不動産会社に満足していただけるよう施工品質管理を行っております。顧客に当社のサービスに満足いただけるよう、勉強会等の機会を増やすとともに、今まで以上の施工品質向上に努めてまいります。

 

② 人材の確保と育成について

当社グループでは人材が、事業拡大のための重要な経営資源であると考えており、今後の事業拡大に合わせて、高いスキルと専門知識を持った優秀な人材を増やすことが事業基盤強化につながると認識しております。さらに当社の未来を担う次世代経営者層の育成が重要な課題と認識しております。当社グループにおきましては、中長期的な社員数増強に向けた採用活動の強化を行うとともに、優秀な人材を増やすため、勉強会、知識の共有などを通じて社員のスキルアップを図ってまいります。また、社員の能力に合わせたキャリアアップを推進し、若手のリーダーや管理職登用を積極的に行います。社員が働きやすい職場環境を実現するため職場内のコミュニケーションを活性化させるための活動も行ってまいります。多様な人材を積極的に登用することで社員の能力発現を支援するとともにダイバーシティを活かした経営により企業価値の向上を図ってまいります。

③ 内部管理体制及びコーポレート・ガバナンスの強化について

当社グループでは、内部管理体制及びコーポレート・ガバナンスの体制整備と強化が重要な課題であると認識しております。そのため、事業等のリスクを適切に把握及び対処し、コンプライアンスを重視した経営管理体制に重点をおくことで、引き続き内部管理体制の強化に取り組み、より一層のコーポレート・ガバナンス機能の充実を図り、経営の公正性・透明性の確保及び企業価値の最大化に努めてまいります。

 

④ 施工ネットワーク(施工協力体制)の拡充について

当社グループの事業拡大には外注先である各工事分野の専門施工会社からなる、施工ネットワークの確保・拡充が不可欠であると認識しております。今後、当社グループの理念共有及び安全・品質管理の徹底に十分留意し、施工ネットワークの拡充を図ってまいります。

 

⑤ 事業エリア拡大について

当社グループはリフォーム事業を、首都圏を中心に展開しております。工事件数は東京都近郊に大半が集中しており地域依存リスクが高く、今後の収益拡大が限定的になる可能性があると認識しております。このような課題に対処するため、神奈川県高座郡、横浜市、埼玉県さいたま市、朝霞市、千葉県船橋市及び宮城県仙台市に営業所を設置しており、首都圏を中心に営業活動を強化しております。今後、更なる事業エリアの拡大に努めてまいります。

不動産流通事業においては、子会社である日本リゾートバンク株式会社を中心に、湘南エリアで事業を展開しており、M&Aなどにより新たなエリア展開を進めてまいります。

不動産建設事業においては、子会社である株式会社平成ハウジングにより栃木県那須塩原市を中心に事業展開をしており、今後隣接地域へのエリア展開を進めてまいります。

今後さらなる事業エリアの積極的な開拓を展開し、これらの課題を解決し、活性化を促進しながら子会社等と効率的に連携を図り、サービスを展開してまいります。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 当社グループの事業の特性上、気候変動問題が重要な影響を及ぼすことは当連結会計年度においては想定しておりませんが、一方で人的資本に関しては重要な課題と認識しております。

 

(1)サステナビリティに関する基本方針

 当社グループは、地球温暖化等の環境課題、人権問題等の社会課題及び当社グループを取り巻く事業環境における課題等に対して、企業理念である「誠実な社員、理解あるお客様、確実な仕入先、堅実な外注先、その他事業に関係ある方に対し、全てをビジネスパートナーと考え相思相愛の強い信頼関係で、名実共に日本一のリフォーム会社を目指します。」の実践を通じて、持続可能な環境・社会の実現に向けて取り組み、公正かつ透明性の高い経営の実現と、多様な人材が活躍し、働きやすい環境の整備に取り組み、企業価値の向上を遂げることを目的とします。

 

(2)ガバナンス及びリスク管理

 当社グループは、サステナビリティに関する取組を推進するに当たって、経営会議を主要機関と位置付け、会議の中でサステナビリティに関する提案や執行状況の報告を各部門の責任者が行い、出席者でその提案や報告内容について協議を行っております。その中でも特に重要な事項については、取締役会に付議し、審議を行っております。

 サステナビリティに関するリスクは、リスク・コンプライアンス委員会を定期的に開催し、サステナビリティ関連のリスク及び機会を識別、評価し、必要に応じて取締役会やグループ内関係者に報告しております。

 

(3)戦略

 当社グループは人的資本への投資の重要性を認識しており、従業員の身体的・精神的・社会的な健康を実現することで、中長期的な企業価値向上に寄与するものと考えており、事業の推進力たる従業員を増やし、かつ、従業員の能力を向上させることが欠かせないと認識しております。

 多様な属性、才能、経験等をもった人材を積極的に採用し、業務に必要な知識習得に向けた自己研鑽を促進する事で継続的な人材育成に取り組んでおります。

・人材育成方針

 当社グループが、事業の各種サービスを提供し、持続可能な社会の実現への貢献を果たすに際しては、多様なスキルとバックグラウンドを有する人材が、継続的に成長し、自らの価値を高めることが重要であります。そのため、当社グループでは、性別、年齢、国籍、学歴などにとらわれない採用活動に取り組み、多様性の確保に努めるとともに、能力や適性、実績等を重視した管理職への登用や公正な人事評価を行い、また、従業員が専門性を高め、付加価値の高い人材となるための人材育成に努めることを基本方針としております。

・社内環境の整備

 社員一人ひとりがモチベーションを高め、能力や個性を十分に引き出し、パフォーマンスを発揮できる制度の実現を目指しています。一人ひとりに合わせた指導、育成プログラムを実施し、公正・透明な評価制度や成長と挑戦をサポートするための制度の充実を実施し、働きやすい環境整備に努めています。

 

(4)指標及び目標

 当社グループは、年齢、性別等区分することなく、意欲と能力のある優秀な従業員が平等に管理職登用への機会が得られるような人事制度を整備してまいります。従業員が最大限の能力を発揮できる職場環境や制度設計に努め、意欲と能力のある従業員を育成し、適切な人材を管理職として登用していく方針でありますが、女性、中途採用者等の区分で管理職の構成割合や人数の目標値等を現在は定めておりません。その具体的な目標設定については、今後の課題として検討してまいります。

 

3【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは以下のとおりであります。

 なお、当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期、当該リスクが顕在化した場合に当社グループの経営成績等の状況に与える影響につきましては合理的に予見することが困難なため記載しておりません。当社グループは、これらのリスク発生の可能性を十分に認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針でありますが、当社株式に関する投資判断は、本項及び本書中の本項以外の記載事項を慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社が判断したものであります。

 

(1)市況変動に関するリスク

① 特定業界への依存及び景気動向の影響について

 当社グループの事業は不動産業界に高く依存しているため、不動産業界に当社グループの悪評が広がる等、何らかの理由により案件件数が大きく減少した場合には、売上高が減少し、当社グループの業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 また景気の悪化等に伴う不動産物件の入退去が減少する等により受注件数の減少があった場合には、完成工事高が減少し、当社グループの業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

② 外注費・資材価格の高騰について

 当社グループは外注先・資材の仕入先を複数確保し、価格の抑制に努めております。しかしながら、外注先からの値上げ要請及び資材の需要増加等により価格が高騰した場合は、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 不動産価値下落のリスクについて

 当社グループは販売用不動産を所有しており、国内の不動産市況が悪化した場合には、販売が順調に推移しない、また、販売用不動産の評価減等により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)事業活動・運営体制に関するリスク

① 競合について

 当社グループのリフォーム事業は、一件当たりの工事代金が僅少の場合は許認可も必要なく、参入障壁が低いことから、建築業者・内装業者等大小様々な競合他社が多数存在しております。当社グループでは工期短縮に努め、コスト削減を行うことで顧客のニーズに沿った事業運営を行い、また細かいメンテナンス工事などを積極的に請け負うことにより、他社との差別化を図っております。しかしながら、当社グループの優位性を上回るような競合他社が出現した場合には、次第に顧客からの受注は減少し、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 外注先の確保について

 当社グループでは、受注したリフォーム工事を外注先である各専門施工会社からなる施工ネットワークに発注しております。外注先については、経営状態や技術力及び反社会的勢力との関係の有無を調査して選定しており、外注先との面談等により当社の理念の共有及び安全・品質管理の徹底に十分留意しております。しかしながら、今後、営業地域の拡大や受注件数の増加により、外注先を適時確保できない場合、当社グループの事業運営、業績等に影響を及ぼす可能性があります。また、高齢化、人口減少により外注先の技能労働者が減少した場合も、当社グループの事業運営、業務等に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 人材確保・育成について

 当社グループの事業拡大を行う上で、優秀な人材を適切な時期に確保するとともに、その人材の育成に努める必要があります。当社グループでは求人情報サイト・会社説明会・ホームページ等により採用活動を行っておりますが、雇用情勢や経済環境によっては計画通りの人材確保・育成ができず、当社グループの事業運営、業績等に影響を及ぼす可能性があります。

④ 特定の人物への依存について

 当社の代表取締役社長である前田浩は当社の創業者であり、当社の経営方針や営業戦略の立案・遂行等多岐にわたり当社の経営において重要な役割を果たしております。当社では同氏に過度に依存しない経営体制を構築するため、職務権限の委譲、合議制の推進等により業務運営の実施に努めておりますが、現状では同氏が何らかの理由により当社の経営に携わることが困難になった場合、当社グループの業務の停滞等により、当社グループの事業運営、業績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤ 子会社の管理体制について

 当社は、連結子会社についてその運営にあたり適切な管理及び支援を行っております。しかしながら、当社による連結子会社への管理及び支援が適切に行われず、当該連結子会社の業績の悪化や不祥事等が発生した場合、当社グループの業績及び財務状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑥ 投資等のリスク

 当社は積極的なM&Aを実施し、収益基盤の安定化、多様化に取り組んでおります。しかしながら、新規案件への投資が遅れたり、買収した会社の業績が悪化するなどして、計画していた利益水準を確保できない場合、取得した資産やのれんの減損損失発生などにより当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(3)法的規制及び訴訟等に関するリスク

① 法的規制について

 当社グループは、建設業及び不動産業に属し、建設業法、宅地建物取引業法及び関連する各種法令により規制を受けております。

 現在のところ当該許認可及び免許等が取り消しとなる事由は発生しておりませんが、将来何らかの理由により、当該許認可及び免許が取り消される場合、又は、更新が認められない場合、もしくは、これらの法律等の改廃又は新たな法的規制が今後制定された場合には、当社グループの事業運営、業績等に影響を及ぼす可能性があります。

 また、建設業法では外注先への代金の支払い期日が設けられており、当社グループでは専門施工会社に対して遅延なく支払いを行っております。しかしながら、何らかの理由により支払いが遅延し同法に抵触した場合、当社グループの事業運営、業績等に影響を及ぼす可能性があります。

 なお、当連結会計年度末現在における当社グループの許認可及び免許は、以下のとおりです。

(株式会社ニッソウ)

許認可等の名称

所管官庁

許認可の内容

有効期限

関係法令

主な取消事由

特定建設業許可

国土交通省

国土交通大臣許可

(特-4)第26483号

2027年11月24日

建設業法

同法第29条

一般建設業許可

国土交通省

国土交通大臣許可

(般-3)第26483号

2026年12月20日

建設業法

同法第29条

宅地建物取引業免許

東京都

東京都知事

(2)第098943号

2026年3月25日

宅地建物

取引業法

同法第66条

 

(日本リゾートバンク株式会社)

許認可等の名称

所管官庁

許認可の内容

有効期限

関係法令

主な取消事由

宅地建物取引業免許

神奈川県

神奈川県知事

(1)第32023号

2028年5月8日

宅地建物

取引業法

同法第66条

 

(株式会社ヤナ・コーポレーション)

許認可等の名称

所管官庁

許認可の内容

有効期限

関係法令

主な取消事由

一般建設業許可

埼玉県

埼玉県知事許可

(般-3)第60659号

2026年6月18日

建設業法

同法第29条

 

(株式会社ささき)

許認可等の名称

所管官庁

許認可の内容

有効期限

関係法令

主な取消事由

一般建設業許可

東京都

東京都知事許可

(般-4)第55431号

2027年10月12日

建設業法

同法第29条

 

(株式会社平成ハウジング)

許認可等の名称

所管官庁

許認可の内容

有効期限

関係法令

主な取消事由

一般建設業許可

栃木県

栃木県知事許可

(般-5)第24202号

2028年7月17日

建設業法

同法第29条

二級建築士

事務所登録

栃木県

栃木県知事登録

Bへ第3449号

2026年10月13日

建築士法

同法第26条

宅地建物取引業免許

栃木県

栃木県知事

(7)第3886号

2028年6月14日

宅地建物

取引業法

同法第66条

 

 

② 工事施工における重大な瑕疵や不備について

 当社グループが施工した物件等に不具合が生じ、その施工内容・管理内容に重大な瑕疵や不備が認められた場合には、損害賠償請求を受ける可能性があり、工事請負賠償責任保険・PL保険等の救済を受けられない可能性があります。また、施工中に予期せぬ重大事故が生じた場合にも、同じくその損害賠償請求を受ける可能性があり、当社グループの事業運営、業績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 情報管理について

 当社グループは事業を展開する上で、顧客企業における業務上に必要となる各種情報を取り扱っております。これらの情報管理については、規程の整備及び社員等への周知徹底に努めております。しかしながら、不測の事態によって情報が漏えいした場合には、当社の社会的信用が低下し、またその対応のための費用が発生し、当社グループの事業運営、業績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

④ コンプライアンスについて

 当社グループは、関係法令を遵守し、企業倫理に従って事業を行っておりますが、これらに反する行為が発生し、社会的信頼を損なった場合には、顧客の離反等により、当社グループの業績や財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤ 訴訟等ついて

 当社グループでは、行動規範を定め、コンプライアンスの推進により、誠実な事業活動に努めております。しかしながら、当社グループの役員、従業員の法令違反等の有無にかかわらず、取引先、外注先、仕入先、その他第三者との不測のトラブル、訴訟等の発生のリスクがあるものと考えております。

 訴訟の内容及び結果によっては、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4)その他のリスク

① システム障害について

 当社グループでは顧客情報・施工管理・見積・請求等をコンピューターシステムで管理しております。随時バックアップによりデータ保護しておりますが、当該システムの障害、大規模広域災害、もしくはコンピューターウイルスによる影響等により、システム及びデータベース使用が中断もしくは使用不能になった場合、当社グループの事業運営、業績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 特定地域に対する依存度等について

 当社グループでは主に東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県及び栃木県を中心に事業展開を行っておりますが、これらの地域に地震等の災害が発生し、本社及び営業所の損壊等による営業の一時停止や、道路網の寸断等による材料確保の手段の喪失、さらに外注先の施工能力の喪失により、事業の運営が困難になった場合、あるいは同地域に特定した経済的ダメージが発生し経済環境が悪化した場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 当社株式の流通株式時価総額について

 当社は株式会社東京証券取引所に上場しており、本報告書提出日(2025年10月28日)現在において想定する流通株式時価総額は、同取引所が定める形式要件に近接しております。今後においても同取引所が定める形式要件を充足し続けるために、当社の経営方針・経営戦略に従い、企業価値を継続的に向上させること及び資本政策を検討する事等により、流通株式時価総額の拡大に努める方針でありますが、当社株価の変動及び何らかの事情により、流通株式時価総額が同取引所の定める形式要件を未充足となる可能性があります。なお、株式会社東京証券取引所での上場が廃止となった場合でも、株式会社名古屋証券取引所での当社株式の取引は引き続き可能であります。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、連結子会社である株式会社平成ハウジングのみなし取得日を2024年10月31日としているため、当連結会計年度は株式会社平成ハウジングの2024年11月1日から2025年7月31日までの9ヶ月間を連結しております。

 また、当社グループは前連結会計年度まで「リフォーム事業」及び「不動産事業」の2区分の報告セグメントとしておりましたが、当連結会計年度において株式会社平成ハウジングの株式を取得し、連結子会社化したことに伴い当連結会計年度より「リフォーム事業」、「不動産流通事業」、「不動産建設事業」の3区分へと報告セグメントを変更しております。前連結会計年度との比較・分析は変更後の区分に基づいて行っておりますが、当連結会計年度より新たに報告セグメントとして追加した「不動産建設事業」については、前年同期比較は行っておりません。

 

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

(経営成績の状況)

 当連結会計年度におけるわが国経済は、企業収益や雇用環境の改善に加え、政府による経済対策やインバウンド需要の回復などを背景として、緩やかな回復基調が続きました。消費者マインドも持ち直しを見せ、設備投資や住宅関連支出に一定の前向きな動きが見られるなど、景気は着実に回復の道を歩んでおります。一方で、海外経済の減速懸念や地政学的リスク、円安による輸入コストの上昇など、不確実性を伴う要因も残されており、先行きについては引き続き注視が必要な状況であります。

 当社グループの主力事業をおくリフォーム業界においては、既存住宅の長寿命化や省エネルギー施策の浸透を背景に、断熱改修や設備更新などの需要が着実に拡大しており、高齢化社会を見据えたバリアフリー対応や快適性向上リフォームも堅調に推移いたしました。一方で、資材価格の上昇や人材不足に伴う施工費用の増加が収益環境に影響を及ぼしており、効率的な施工体制の構築が求められております。不動産業界においては、都市部を中心に住宅需要が底堅く推移し、投資用不動産の取引も活発さを維持しております。一方で、金利動向や建築コスト上昇への警戒感から、一部の投資家に慎重な動きも見られるなど、市場には強弱両面の要因が存在しております。

 このような状況のもと当社グループは、新規顧客の獲得や教育体制の強化など既存事業の強化に取り組むと伴にBtoB事業で蓄積した経験を活かし、首都圏、特に世田谷区を中心とした地域に密着し、一般コンシューマを対象としたリフォーム事業として「リフォームプロ」を展開してまいりました。また、不動産建設事業を営む株式会社平成ハウジングを100%子会社化して事業の拡大を図るなど、新たな領域への取組みも図ってまいりました。また、株式会社安江工務店の株式譲渡に伴う関係会社売却益を特別利益として計上しました。

 以上の結果、当連結会計年度の売上高は5,279,959千円(前年同期比12.8%増)、営業利益は72,700千円(同28.9%増)、経常利益は69,571千円(同9.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は202,686千円(同705.8%増)となりました。

 

セグメントの業績は、以下のとおりであります。

(リフォーム事業)

 リフォーム事業については、首都圏、とりわけ世田谷区を中心とした地域密着型の営業体制を強化し、一般消費者を対象としたサービス展開を本格化いたしました。これまでBtoB事業で培った施工ノウハウや協力会社とのネットワークを活かし、迅速かつ高品質な施工体制を整備することで、顧客からの信頼を獲得し、安定した受注基盤の確立に努めたこと等により、前年同期に比べ完成工事件数が減少したものの工事単価が増加、また前連結会計年度に子会社化した株式会社ささきの損益計算書を当期から連結開始し、完成工事高4,787,928千円(前年同期比8.7%増)、セグメント利益82,900千円(同96.5%増)となりました。

 

(不動産流通事業)

 不動産流通事業においては、不動産会社との連携を深めるとともに、情報ネットワークの活用を進め、物件の仕入れから販売までを一貫して行う体制を強化いたしました。地域特性に応じた販売戦略やニーズに沿った物件提案を行うことで、グループ全体の事業シナジーを高め、顧客満足度の向上と安定的な事業展開を行ってきたことにより、前年同期に比べ大型物件の成約はなかったものの仲介件数及び買取再販の件数が増加し、売上高197,391千円(前年同期比28.2%減)、セグメント利益10,508千円(同0.9%増)となりました。

(不動産建設事業)

 不動産建設事業については、2024年8月に株式会社平成ハウジングの株式を取得し、子会社化しました。また、注文住宅や分譲住宅の供給を通じて、地域社会に根差した住まいづくりを推進いたしました。施工品質の確保とデザイン性・機能性の両立を図るとともに、リフォーム事業や不動産流通事業との連携を強化することで、グループ全体として「建てる・直す・流通させる」という循環型の事業モデルの構築を図りましたが、注文住宅や分譲・建売の件数が予想よりも少なかったこと等により、売上高294,638千円、セグメント損失23,316千円となりました。

 

(財政状態の状況)

 (資産)

 当連結会計年度末における流動資産は2,920,513千円となり、前連結会計年度末に比べ、795,550千円増加しております。これは主に、未成工事支出金が17,327千円減少したものの、現金及び預金が547,281千円、販売用不動産が191,933千円、仕掛販売用不動産が64,936千円増加したこと等によるものであります。固定資産は536,806千円となり、前連結会計年度末に比べ、105,609千円減少しております。これは主に、投資有価証券が109,189千円、建物及び構築物が61,123千円、土地が22,784千円、のれんが15,021千円増加したものの、関係会社株式が340,499千円減少したこと等によるものであります。

 この結果、総資産は3,457,320千円となり、前連結会計年度末に比べ、689,940千円増加いたしました。

 (負債)

 当連結会計年度末における流動負債は1,435,235千円となり、前連結会計年度末に比べ、321,104千円増加しております。これは主に、未払法人税等が120,906千円、1年内返済予定の長期借入金が64,865千円、短期借入金が61,000千円、未成工事受入金が28,679千円増加したこと等によるものであります。

 また、固定負債は318,354千円となり、前連結会計年度末に比べ、166,224千円増加しております。これは主に長期借入金が162,316千円増加したこと等によるものであります。

 この結果、負債合計は、1,753,589千円となり、前連結会計年度末に比べ、487,329千円増加いたしました。

 (純資産)

 当連結会計年度末における純資産合計は1,703,731千円となり、前連結会計年度末に比べ、202,610千円増加いたしました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益の計上に伴い利益剰余金が202,686千円増加したことによるものであります。

 

 この結果、自己資本比率は49.3%(前連結会計年度末54.2%)となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)の残高は、前連結会計年度末と比べ543,204千円増加し、1,878,851千円となりました。各キャッシュ・フローの状況とその主な要因は以下の通りであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動により使用した資金は59,576千円(前連結会計年度は68,172千円の使用)となりました。これは主に税金等調整前当期純利益342,881千円等の増加要因があったものの、関係会社株式売却益268,349千円、棚卸資産の増加138,782千円、仕入債務の減少63,241千円、法人税等の支払額30,047千円等の減少要因があったことによるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動により獲得した資金は570,099千円(前連結会計年度は20,486千円の獲得)になりました。これは主に投資有価証券の取得による支出108,155千円、定期預金等の預入による支出55,646千円、有形固定資産の取得による支出29,264千円等の減少要因があったものの、関係会社株式の売却による収入606,300千円、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による収入93,131千円、定期預金等の払戻による収入61,897千円等の増加要因があったことによるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動により獲得した資金は32,681千円(前連結会計年度は228,692千円の獲得)となりました。これは主に長期借入金の返済による支出141,774千円等の減少要因があったものの、長期借入れによる収入161,754千円等の増加要因があったことによるものであります。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当社グループでは生産形態をとらないため、該当事項はありません。

 

b.受注実績

 当社グループでは受注から引渡しまでの期間が短いため、記載を省略しております。

 

c.販売実績

 当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2024年8月1日

至 2025年7月31日)

前年同期比(%)

リフォーム事業(千円)

4,787,928

108.7

不動産流通事業(千円)

197,391

71.8

不動産建設事業(千円)

294,638

合計(千円)

5,279,959

112.8

(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自 2023年8月1日

  至 2024年7月31日)

当連結会計年度

(自 2024年8月1日

  至 2025年7月31日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

株式会社リプライス

556,612

10.5

3.販売実績の総販売実績に対する割合が10%未満の相手先については記載を省略しております。

4.前連結会計年度における株式会社リプライスへの販売実績は総販売実績に対する割合が10%未満のため、記載を省略しております。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は有価証券報告書提出日現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積りによる不確実性のため、これらの見積りと異なる場合があります。

 当社グループが連結財務諸表の作成に際して採用している重要な会計方針につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計の見積り)」に記載しております。

 

② 経営成績に重要な影響を与える要因について

 当社グループは、前記「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおり、事業環境、サービスの性質、コンプライアンス等、様々なリスク要因が当社グループの経営成績に重要な影響を与える可能性があると認識しております。

 そのため、当社グループは常に市場動向に留意しつつ、内部管理体制を強化し、優秀な人材を確保し、市場のニーズに合った事業を展開していくことにより、経営成績に重要な影響を与えるリスク要因を分散・軽減し、適切に対応を行ってまいります。

 

③ キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況の分析については「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載しております。

 当社グループの事業活動における資金需要の主なものは、完成工事原価である材料費及び外注費、人件費及び広告宣伝費等の販売費及び一般管理費であります。これらの資金需要に対して安定的な資金供給を行うための財源については、短期の運転資金につき基本的に内部留保資金により確保し、充当することとしております。現時点では十分な現金及び預金を保有しております。

 当社グループは取引金融機関3行とコミットメントライン契約(借入実行残高600,000千円、借入未実行残高300,000千円)を、また、取引金融機関2行と当座貸越契約(借入実行残高31,000千円、借入未実行残高109,000千円)を締結しており、資金の流動性は十分確保されております。

 

④ 経営者の問題意識と今後の方針について

当社グループは、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおり、当社が今後更に成長と発展を遂げるためには、様々な課題に対処していくことが必要であると認識しております。それらの課題に対応するため、経営者は常に市場におけるニーズや内部環境及び外部環境の変化に関する情報の入手及び分析を積極的に実施し、現在及び将来における内部環境及び外部環境を認識したうえで、当社グループの経営資源を最適に分配し、最適な解決策を実施していく方針です。

5【重要な契約等】

(コミットメントライン契約)

 当社は、運転資金の効率的な調達を行うため、取引金融機関3行と総額900,000千円のコミットメントライン契約を締結しております。

 詳細は、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 (連結貸借対照表関係)」及び「第5 経理の状況 2.財務諸表等 注記事項(貸借対照表関係)」に記載しております。

 

(取得による企業結合)

 当社は、2024年4月15日開催の取締役会において、有限会社平成ハウジング(現 株式会社平成ハウジング)の全株式を取得し、子会社化することについて決議し、同日付で株式譲渡契約を締結するとともに、2024年8月5日付で株式の取得が完了いたしました。

 詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(企業結合等関係)」に記載のとおりであります。

 

6【研究開発活動】

該当事項はありません。