第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

 

(経営方針)

 当社グループは、「Empower Data, Innovate the Business, Shape the Future.情報に価値を、企業に変革を、社会に未来を。」というビジョンを掲げており、社会に存在する様々なデータを活用することで、多くの企業にイノベーションをもたらし、その結果として、より良い社会を実現することを目指しております。現在、スマートフォンやIoTの普及により、日々生み出されるデータは加速度的に増加して、働き方改革等による業務の効率化のニーズも高まっております。当社グループは、この様々なデータ(ビッグデータ)を「新しい資源」として捉えており、この資源を活用して企業や社会に様々な価値をもたらすソフトウェア及びサービスの提供を行っております。

 

(当社グループの強みと経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

・独自のテクノロジー

 当社グループは、創業以来、企業の情報活用に特化した独自の技術開発に取り組んできました。超高速集計、データの仮想統合、IoTデータのリアルタイム処理は代表的な特長的技術であり、当社グループの競争力の源泉となっています。それぞれ技術は高度で難解なものですが、「誰でも簡単」に利用することができ、素早く効果をあげられるようにシンプルで直観的に使用できるユーザーインターフェイス(UI)を備えたソフトウェア及びサービスとして提供しております。なお、研究開発活動及びソフトウェア開発のコア部分は、すべて自社グループ内で行っております。

 

・強力なビジネスチャネル

 当社グループの販売モデルは、パートナーを介した間接販売が主となっております。大都市圏で大企業や官公庁の大型案件を得意とするSIerや地方を拠点とするSIer、特定領域に特化したコンサルティングファームやクラウドシステムの構築を専業とするクラウドSIer等多くのパートナー企業と契約しており、日本全国のシステム開発案件をカバーするソリューション/サービス提供体制を構築しております。これにより、継続的な案件創出と営業コストの抑制が可能となり、効率的な販売活動が可能となっております。

-契約パートナー数推移(注)                                 (社)

 

旧ウイングアーク1st株式会社

ウイングアーク1st株式会社

決算年月

2015年2月

2016年2月

2017年2月

2018年2月

2019年2月

2020年2月

契約パートナー数(累計)

220

279

347

439

479

507

(注)当社パートナー向けプログラム「WingArc1st Relationship Platform(WARP)」において、各区分(インテグレーション、プロダクト、WARP-Associate等)での期末時点における解約パートナーを除いた契約パートナー数の合計。

 

・厚いリカーリングレベニュー

 当社グループが提供するソフトウェア及びサービスについては、ソフトウェアライセンスや導入時のサービス提供等継続的な契約を前提としない取引と、ソフトウェアの保守サポート契約、サブスクリプション契約やクラウドサービスの利用契約のような継続的な契約を前提とした取引により構成されています。継続的な契約を前提とした取引は、導入企業が増加するにつれて年々売上収益が積みあがるリカーリングビジネスと呼ばれる収益モデルであり、これらのビジネスから得られる収益(リカーリングレベニュー)は、当社グループの収益の安定化と継続的な拡大に大きく貢献しております。

-リカーリングレベニュー                               (単位:百万円)

決算年月

2017年2月

(注)3

2018年2月

2019年2月

2020年2月

2021年2月

第3四半期累計

ライセンス/サービス(注)1

6,255

7,162

7,652

8,224

5,136

リカーリング(注)2

7,029

8,403

9,634

10,453

8,331

売上収益合計

13,284

15,566

17,287

18,677

13,468

リカーリング比率

52.9%

54.0%

55.7%

56.0%

61.9%

(注)1.ソフトウェアライセンスや導入時のサービス提供等継続的な契約を前提としない取引に係る売上の合計。

2.保守、サブスクリプション(ソフトウェアの購入ではなく、利用期間に応じて料金を収受する契約形態)、クラウド等、継続契約を前提とした取引に係る売上の合計。

3.2017年2月期につきましては、当社の設立は2016年3月7日でありますが、2016年4月14日付で全株式を取得した旧ウイングアーク1st株式会社の事業年度開始の日は2016年3月1日であるため、旧ウイングアーク1st株式会社の2016年3月1日から同年4月13日までの期間の実績及び2016年4月14日から2017年2月28日までの期間の当社の実績を合算し、概算値を記載しております。なお、当該概算値は、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づく監査を受けておりません。

 

 なお、2021年2月期第3四半期連結累計期間(自 2020年3月1日 至 2020年11月30日)における売上収益は、13,468百万円(前年同期比3.4%減)とコロナ禍の影響を受けた一方、ソフトウェア保守の継続的な積み上がりに加え、クラウドが前年同期比3割程度増加した結果、リカーリングは、8,331百万円(同7.6%増)と堅調に成長しております。

 四半期毎のライセンス/サービスにつきましては、第1四半期が1,538百万円(前年同期比33.7%減)、第2四半期が1,766百万円(同18.6%減)、第3四半期が1,831百万円(同7.0%増)、リカーリングは第1四半期が2,700百万円(同7.7%増)、第2四半期が2,771百万円(同7.3%増)、第3四半期が2,860百万円(同7.9%増)となりました。

 

(単位:百万円)

収益モデル区分

2021年2月期

第1四半期

2021年2月期

第2四半期

2021年2月期

第3四半期

2021年2月期

第3四半期累計

帳票・文書管理

ソリューション

ライセンス/

サービス

1,033

1,166

1,224

3,425

リカーリング

1,700

1,718

1,758

5,177

小計

2,734

2,885

2,982

8,602

データエンパワーメント
ソリューション

ライセンス/

サービス

505

599

606

1,711

リカーリング

999

1,052

1,102

3,154

小計

1,504

1,652

1,709

4,865

合計

ライセンス/

サービス

1,538

1,766

1,831

5,136

リカーリング

2,700

2,771

2,860

8,331

小計

4,238

4,537

4,692

13,468

(注)上記表に記載の各数値は金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づく四半期レビューを受けておりません。

 

(帳票・文書管理ソリューション)

 ライセンス/サービスについては、コロナ禍での企業の新規IT投資の抑制や対面活動の制限、既存案件の遅延等により、第1四半期が1,033百万円(前年同期比29.4%減)、第2四半期が1,166百万円(同17.4%減)となりました。一方、第3四半期は、経済活動の正常化、企業のIT投資の再開、当社のオンライン営業体制の確立等によって、1,224百万円(同16.8%増)となりました。

 リカーリングについては、保守の高い契約継続率及びリモートワークの拡大によるクラウド帳票需要が増加した結果、第1四半期が1,700百万円(前年同期比4.7%増)、第2四半期が1,718百万円(前年同期比3.0%増)、第3四半期が1,758百万円(前年同期比3.3%増)となりました。

 

(データエンパワーメントソリューション)

 ライセンス/サービスについては、コロナ禍での企業の新規IT投資の抑制や対面活動の制限、既存案件の遅延等により、第1四半期が505百万円(前年同期比41.1%減)、第2四半期が599百万円(前年同期比20.9%減)、第3四半期は606百万円(前年同期比8.5%減)となりました。

 リカーリングについては、保守の高い契約継続率及びDX投資をターゲットとする新たなクラウドビジネス展開の結果、第1四半期が999百万円(同13.2%増)、第2四半期が1,052百万円(同15.3%増)、第3四半期が1,102百万円(同16.1%増)となりました。

 

 また、当社グループは契約継続率をリカーリングビジネスの最も重要なKPIの一つとしております。高い契約継続率を維持することによって、既存の契約は最大限維持しつつ、新規契約を積み上げ、持続的な成長を実現してまいります。

-契約継続率(注)1

決算年月

2017年2月

(注)2

2018年2月

2019年2月

2020年2月

2021年2月

第3四半期累計

契約継続率

93.1%

93.4%

94.4%

93.0%

93.5%

(注)1.「SVF」「SPA」「Dr.Sum」「MotionBoard」の保守契約において、当該期間の更新対象契約の総数に対して実際に契約が更新された金額ベースでの割合。

2.2017年2月期につきましては、当社の設立は2016年3月7日でありますが、2016年4月14日付で全株式を取得した旧ウイングアーク1st株式会社の事業年度開始の日は2016年3月1日であるため、旧ウイングアーク1st株式会社の2016年3月1日から同年4月13日までの期間の実績及び2016年4月14日から2017年2月28日までの期間の当社の実績を合算し、概算値を記載しております。なお、当該概算値は、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づく監査を受けておりません。

 

 当社グループは、日本国外に拠点を置く多くの外資系ソフトウェアベンダーと異なり、自社内に営業、開発、サポートすべての機能を有しております。これにより、営業部門やサポート部門が収集した様々な顧客ニーズを開発部門が素早く製品化するといったことが可能となり、当社グループの強みの一つとなっております。

 

(経営環境)

 当社グループの主要な市場である国内ソフトウェア市場は、企業の働き方改革や競争力強化のためのDXへの投資が拡大しており(注1)、2019年度から年平均7.7%と堅調に増加し、2024年度には1兆9,936億円となることが見込まれております(注2)。また、企業においても所有から利用の動きが進んでおり、ソフトウェアを一括で購入するのではなく、ソフトウェアの機能をサービスとして利用し、その対価を月々支払うサブスクリプション型のビジネスが大きく拡大しております。特にサブスクリプションビジネスの代表例であるクラウドサービスにつきましては、2019年度から年平均13.2%成長し、2024年度には1兆1,178億円に達することが見込まれております(注3)。

(注)1.株式会社富士キメラ総研「ソフトウェアビジネス新市場2020年版(はじめに)」

2.株式会社富士キメラ総研「ソフトウェアビジネス新市場2020年版(ソフトウェア市場規模推移)」

3.株式会社富士キメラ総研「ソフトウェアビジネス新市場2020年版(提供形態別動向)」

 

(成長戦略)

 日本の企業や官公庁のITシステムは構築してから長年が経過したものが多く、処理性能の向上や機能追加、新技術への対応等が必要とされており、新しいシステムへの更新需要が高まっています。また、AIやIoTなどの先進技術を用いたデータ活用基盤の導入によるDXに取り組む動きが加速しています。このような状況において、当社グループは電子帳票の管理、流通基盤の機能強化を図るとともに、これまで様々な顧客へソフトウェア及びサービスを提供することで培った知見を活かし、製造、小売、運輸、医療、公共、金融といった「業種・業界」や営業活動のような「業務」に最適化したソリューションの提供を進めております。今後は、顧客の多様化、高度化するニーズに応えながら、提携先とのシナジーを発揮して、主力製品・ソリューションのプラットフォーム型クラウドサービスにも一層注力していく方針です。

 

(対処すべき課題)

(1)業種・業務に特化したソリューションの推進

 これまで当社グループの売上は、基幹システム開発における帳票ソフトウェアの提供を中心とした「帳票・文書管理ソリューション」が大半を占めておりました。しかし、現在では基幹システムへの投資が一巡し、IT投資の主体が、基幹システムを管理する比較的ニーズの画一的な情報システム部門から、業種や業務ごとに多種多様なニーズが存在する事業部門へ移りつつあります。この状況の変化に伴い、当社グループでは、ソフトウェアの提供だけではない、データの価値を最大化する最適なソリューション提案を目的とした「データエンパワーメントソリューション」に注力しております。2020年2月期における「データエンパワーメントソリューション」の売上全体に占める比率は37.1%であり、売上の拡大と共に当該比率の向上に努めてまいります。


①体制の強化

 製造、金融、公共といった特定の業種や業務のノウハウ・知見を持った人材を積極的に採用しており、業種ごとにビジネスユニットとして組織しております。当該組織において、業種ごとのソリューション開発を行っており、現在は製造業向けのIoT工場可視化ソリューションや金融業向けの営業改革ソリューションを提供しております。今後は、他の業種につきましても随時ソリューション化を進めてまいります。
 

 

②アライアンスの推進

 特定の業種での先進的な企業や多くの顧客を抱える企業、また特徴的な技術を持つ企業と共同でのソリューション開発や提供を推進してまいります。当社と共同で自社向けのソリューションを開発した企業が、当社のパートナーとして、当該ソリューションを同業他社向けに提供するといった従来と異なる例も出てきており、今後も積極的に進めてまいります。
 

(2)リカーリングビジネスの拡大

 当社グループは、製品、サービスの一度限りの提供ではなく、継続的に顧客にサービス提供を行い、その対価をサービスの提供期間に応じて受け取る「リカーリングビジネス」を推進しております。「リカーリングビジネス」の利点は、業績の安定化、業績の予見性の向上、顧客とのリレーションシップの維持等ですが、一方で、顧客の維持管理コストの増加等のデメリットもあります。そのため、当社は「リカーリングビジネス」に特化した部署を組織し、上述したシステムによる効率的な顧客管理と専任チームによる離脱防止対策を行うとともに、顧客への追加商材の提案による売上の向上を目指しております。また、2020年2月期における「リカーリングビジネス」に係る売上である「リカーリングレベニュー」の売上全体に占める比率は56.0%であり、売上の拡大と共に当該比率の向上に努めてまいります。
 

①契約継続率の維持向上

 「リカーリングビジネス」は一度契約して頂いた顧客に如何に継続的にご利用頂くかが最も重要となるため、当社グループでは、「契約継続率」をKPIとしております。専門部署にて顧客の利用状況や課題をヒアリングし、きめ細やかな対応を行うことにより、当該数値の維持向上に努めております。2020年2月期における「契約継続率」は93.0%となります。

 

②クラウドビジネスの拡大

 現在のIT市場では、システムの開発やソフトウェアの購入を伴わない勤怠管理や経費精算といった特定業務でのクラウドサービスの利用が主流となっております。当社グループも様々なクラウドサービスを展開しておりますが、契約ユーザー数及び契約企業数の拡大に努めるとともに、今後もクラウドベースでの展開を前提としたソリューション開発を進めてまいります。

 

(3)グループ経営基盤の強化

 当社グループは2013年9月の非上場化以来、経営基盤の強化に取り組み、グループの再編(子会社の統合、非コア事業の売却)、社内基幹システムの再構築、経営管理システムの高度化、各種顧客管理業務のシステム化等を推し進めてまいりましたが、今後、成長を加速させるべく、業種・業務に特化した複数の新規事業を立ち上げていく予定となっており、さらなる精緻な業績管理が求められます。また、業容拡大を目的としてM&Aで獲得した海外を含む子会社についても、当社グループの経営方針のもと、一体となった管理体制が求められます。これに対応すべく、グループ各社と密に連携し、タイムリーに経営状況を把握でき、適切な対策を早期に打てる体制の強化に取り組んでまいります。

 

(4)新型コロナウイルス感染症(COVID-19)への対応

 2019年末頃より報告され始めた新型コロナウイルス感染症は、世界的に感染が拡大し、世界保健機関(WHO)は、2020年3月11日にパンデミックを宣言しました。この感染拡大により、各国の経済活動は大きな制限を受け、企業収益にも大きな影響を及ぼしています。当社グループでは、この危機に対応するため、以下のような対応を行っております。

 

①売上収益の維持拡大

-帳票・文書管理ソリューション

 当ソリューションは、「SVF」を中心に企業の重要な業務を担う基幹システムでの採用が大部分を占めることから、ソフトウェアライセンスの受注や関連する保守契約が直ちに減少することはありませんが、企業の意思決定スピードが低下しており、受注や契約時期が遅延する可能性があるため、販売パートナーと連携し、適時適切な受注と契約継続に努めてまいります。また、多くの企業ではリモートワーク環境下での業務生産性の向上が喫緊の課題であるため、「SPA」を軸に帳票に関する業務効率化の提案を推進し、業績の拡大に努めてまいります。

 

 

-データエンパワーメントソリューション

 当ソリューションは、基幹システム中心の帳票・文書管理ソリューションとは異なり、様々なデータを用いて付加価値を生み出すことを目的にしているため、明確な効果を得られていると感じていない企業ではコスト削減の対象となる可能性があります。そのため、当社グループではカスタマーサクセス専門の部署を設置し、利用状況を分析し、ステータスに応じた適切なサポートを実施しております。また、多くの企業ではリモートワーク環境下での業務生産性の向上が喫緊の課題であるため、導入や運用が容易でリモートワークと親和性の高いクラウドサービスへの投資を増加させております。当社グループもすでに多くのお客様にご利用頂いている「Dr.Sum」や「MotionBoard」のクラウドサービス提案をさらに推し進めるとともに、2020年4月にリリースした新サービスである「DEJIREN」を中心に企業のDXを促すソリューション展開を進めてまいります。

 

②迅速なリモートワーク対応

 当社では、新型コロナウイルス感染症拡大に伴い、2020年2月26日に原則在宅勤務が指示され、2020年3月26日には全社員出社禁止となりました。この状況に対応するため、自社サービスを最大限活用しつつ、以下の取り組みを行っております。

-IT部門 一部の社員向けの在宅勤務のシステムを全社員向けに急遽拡大し、セキュリティを担保しつつ、オフィス勤務と変わらない、業務環境を構築しました。

-経理部門 業務上最大のネックである請求書等紙文書のやり取りを自社の電子帳票管理サービスである「SPA」を用いて、完全にペーパーレス化し、全社員がリモートで経費申請等可能な体制を実現しました。

-業務部門 顧客への請求書の発行等多くの業務に紙文書を使用していましたが、自社の請求書Web配信・郵送サービスである「SVF TransPrint」を利用し、従来と同等の業務をペーパーレスで実現しました。

 

③手元流動性の確保

 当社グループは、継続的な取引である「リカーリングビジネス」が売上収益の過半を占めているため、キャッシュフローが安定していると認識しております。しかしながら、今後、新型コロナウイルス感染症の収束が見通せない状況であることから、手元流動性の積み増しを目的として、2020年5月に総額45億円の借り入れを実施しました。今後も事業環境の変化に合わせ、経営管理体制の強化とともに柔軟な財政政策を実施してまいります。

 

2【事業等のリスク】

 以下においては、当社グループの事業展開等に関してリスク要因となる可能性があると考えられている主な事項を記載しております。また、必ずしもそのようなリスク要因に該当しない事項についても、投資家の投資判断上重要であると考えられる事項については、投資家の皆様に対する積極的な情報開示の観点から記載しております。また、以下の記載は当社株式の投資に関連するリスクのすべてを網羅するものではありません。

 なお、本項中の記載内容については、特に断りがない限り、本書提出日現在の事項であり、将来に関する事項は本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)情報通信業における技術革新等への対応について

 当社グループの属する情報通信業は、技術革新が絶え間なく起こり、これにより新しいソフトウェアやサービスが次々に生み出される、変化の激しい業界となっております。近年においても、AI、IoT、Fintechなどの新しい技術が注目されておりますが、それらの新技術に対応したソフトウェアやサービスの提供ができるよう、当社グループとしても研究開発を続けております。しかしながら、これら新技術が普及せず、また、今後新しい技術への対応が遅れた場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 また、当社グループの帳票・文書管理ソリューションの主力製品である「SVF」は、企業の基幹業務に必須である請求書や納品書等の帳票類の設計・運用を行うソフトウェア及びサービスであり、企業における帳票類の使用頻度が減少した場合には、これらの製品の需要が減少する可能性があります。

 

(2)競合について

 各種調査レポートによると、帳票市場及び電子帳票市場に位置づけられる「SVF」及びビジネスインテリジェンス市場に位置づけられる「Dr.Sum」「MotionBoard」は、類似製品と競合する状態にあります。当社グループは、機能の強化や品質の向上を目的としてバージョンアップ製品の市場投入を継続的に行っていくことを予定しておりますが、当社グループの開発方針の策定に当たり市場動向を的確に捉えることができなかった場合には、競合製品に対し当社グループ製品の優位性が相対的に低下する、あるいは競合各社の価格戦略によりシェアが縮小する等、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3)製品の不具合(バグ等)の発生可能性について

 当社グループは、新製品開発及び既存製品の性能向上、機能追加等の研究開発に当たり、品質管理の向上を念頭に置いて活動しており、品質管理部の設置等により品質管理の徹底を図り、不具合等の発生防止に努めております。一般的にソフトウェアは高度化、複雑化すると不具合を完全に解消することは不可能と言われており、当社グループのソフトウェアにおいても、各種不具合が発生する可能性は否定できません。また、当社グループにて提供するクラウドサービスにおいても、同様に各種不具合が発生する可能性は否定できません。現時点まで当社グループの責任による不具合の発生により、業績に多大な影響を与えたことはありませんが、当社グループの製品やサービスに致命的な不具合が発生することにより、コストが発生するとともに、その不具合を適切に解決できない場合、当社グループの信用力が低下し、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4)製品開発について

 当社グループにおいては、技術部門を中心に開発計画を立案し、当該計画に基づき製品開発を進めております。しかしながら、「(3)製品の不具合(バグ等)の発生可能性について」に記載のとおり、ソフトウェアには何らかの不具合が発生する可能性があり、顧客に販売するのに十分な品質が確保されていないと判断した場合、追加の開発・検証作業等を要することとなり、ソフトウェアの販売開始時期が遅延し、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。上記以外にも、市場のニーズに合致していない等の理由により当社グループの新製品が市場で受け入れられない場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 また、開発期間は長期間に及ぶこともあるため、その間の顧客の需要動向又は当社グループの販売戦略の変化、若しくは当初想定していた機能の実装が技術的に困難であることが明らかとなった場合等、当該製品の販売開始前に開発を中止することもあります。その場合には、開発に要したコストを回収することができなくなるため、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5)販売方法等について

 「SVF」、「SPA」、「Dr.Sum」、及び「MotionBoard」といったソフトウェアの販売先はSIerが中心となっており、システム開発の過程において当社グループのソフトウェアを組み込む、若しくは当社グループのソフトウェアを利用してシステムを構築する形で使用されております。売上の大半を占めるSIerの法令違反や情報漏洩等により正常に事業活動を行うことが難しい場合や緊急事態宣言等経済活動の停止を伴う措置が講じられる場合等、SIerが十分に活動することが難しい場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループは、機能強化や品質向上を目的として当該製品のバージョンアップを継続的に行っていくことを予定しておりますが、このためにはSIerだけではなくエンドユーザーのニーズも適時・適切に把握することが必要になります。しかしながら、当社グループの販売先はSIerが中心となっていることから、直接エンドユーザーに販売する場合と比較してエンドユーザーのニーズを適時・適切に把握できない可能性があり、その場合には、市場動向を適切に把握できず、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。このような状況に対処すべく当社グループでは、営業、開発及びサポートのすべての部署でエンドユーザーと直接対話する機会を増やし、エンドユーザーとのニーズギャップ解消に努めております。

 また、当社グループの製品を販売するSIerと当社グループとの間では、原則として販売に係るパートナー契約を締結することとしております。パートナーにとっても販売メリットの高い製品、サービスを提供できるよう努めるとともに、パートナーとの相互協力により販売推進することを前提としてパートナーとの関係強化に努めておりますが、当社グループにとって重要なパートナーとの契約が解除された場合や、販売条件の大幅な変更を余儀なくされた場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6)クラウドサービスの提供について

 当社グループは、インターネット環境への接続が可能なユーザーを対象としたクラウドサービスの開発、運営を行っております。このため、クラウドサービスの前提となる利用契約が継続されない等により想定したリカーリングレベニューが得られない場合や、サポートコスト等クラウドビジネスの運営に関する費用が事前の想定を上回って増加した場合、自然災害、戦争、テロ、事故等による通信インフラの破壊や故障、Amazon Web Services Inc.や株式会社セールスフォース・ドットコムといったクラウドサービスの運営に欠くことのできないアライアンスパートナー及び当社グループにおけるシステムダウンや障害、コンピュータウイルスやハッカーからの攻撃等により、当社グループが運営するクラウドサービスが正常に稼働しない状態となった場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(7)経済情勢及び新型コロナウイルス感染症に関するリスクについて

 当社グループの収益の大部分は、現時点では、日本国内のエンドユーザーへの販売に依存していることから、当社グループのビジネスは、日本の経済状況により影響を受ける可能性があります。日本経済の停滞、日本企業による技術への投資の大幅な減少、又はその他の市場環境の悪化は、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 また、2019年末頃より報告され始めた新型コロナウイルス感染症は、世界的に感染が拡大し、世界保健機関(WHO)は、2020年3月11日にパンデミックを宣言しました(コロナ禍)。この感染拡大により、各国の経済活動は大きな制限を受け、企業収益にも大きな影響を及ぼしています。IT投資に関しましても、コロナ禍での意思決定スピードの低下やウィズコロナを見据えた設備投資の見直しが多くの企業で見られることから、受注や契約時期の遅延が発生し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループは、2020年1月に社員向けに新型コロナウイルス感染症に関する注意喚起を行い、その後代表取締役主導の下、リスク評価及び対応方針を策定しました。これに基づき、原則在宅勤務、社内会議・外部取引先とのテレビ会議の推進及び当社主催イベントのオンライン開催等を行ってまいりました。また、原則在宅勤務としたことから、オフィスの使用率が大幅に低下したため、2020年12月に本社オフィスの一部執務エリアの契約を解除しました。これにより、賃借料は従前より約6割程度減少する見込みです。

 なお、2020年11月以降大都市圏を中心に感染が拡大し、2021年1月7日に1都3県(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県)、同年1月13日に2府5県(栃木県、愛知県、岐阜県、京都府、大阪府、兵庫県、福岡県)に二度目の緊急事態宣言が発令され、今後さらに対象地域は拡大する可能性があります。現時点では、変異株の流入等により、感染終息の見通しは立っていないため、日本経済及び当社グループの連結業績への影響が拡大する可能性がありますが、企業のリモートワーク推進により市場が拡大しているクラウドビジネスのさらなる強化と社内管理体制の強化により、業績向上に取り組んで参ります。

 

(8)人材の確保及び育成について

 当社グループの事業運営は、経験豊富な経営陣や営業、開発等の専門人材に依存しており、人材の確保と育成が重要な課題であると考えております。また、業種や業務に特化したクラウドサービスの提供を進めるため、各業界に精通した人材の確保や顧客により直接的にアプローチするチームの組成、サービスごとのサポート体制の構築等有能な人材へのニーズは、さらに増加しております。

 当社グループは、今後も継続的に人材の確保・育成に努めていく方針でありますが、人材市場の需給逼迫等の事情により当社グループの必要とする人材をタイムリーに確保できない場合は、当社グループの事業及び将来戦略に制約を受けることとなり、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(9)知的財産権及びその他第三者の権利侵害について

 当社グループのビジネス上、当社グループの開発した独自の方法や技術及び当社グループが開発し又はライセンスを受けている特許その他知的財産権は重要であり、当社グループの知的財産権が十分に保護されない場合には、当社グループの事業に影響を及ぼす可能性があります。

 また、当社グループでは、自社製品の企画、開発、販売及び他社製品の利用など、事業活動によって第三者の知的財産権、その他の権利を侵害しないようにあらかじめ調査を行い、必要に応じて実施許諾を受ける等の措置を講じております。しかしながら、第三者から知的財産権、その他権利を侵害したとして訴訟を提起される等、第三者との間に紛争が生ずることがないという保証はなく、第三者の権利を侵害したとして、多額の損害賠償金や和解金の支払又は代替的な技術の開発を余儀なくされた場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(10)個人情報等の取扱いについて

 当社グループでは、事業において知り得た個人情報につき、個人情報保護規程を制定し、適切な管理・保護の徹底を図っております。この他、当社では、2007年5月に情報セキュリティマネジメントシステムの公的認証であるISO27001を取得し、ICカードによる執務室の入退室管理、社外に持ち出す可能性のあるノートパソコンのハードディスク暗号化等の対応策を実施する等、情報資産全般について、適切な管理・保護を行うように努めております。また、現在当社では全社員在宅勤務を原則としており、新たなセキュリティリスクとなっていることから、社内システムを強化するとともに、リモートワークに関するガイドラインを定め、社員に周知徹底し、情報の流出を防ぐ体制を整えております。

 しかしながら、万一個人情報が漏洩した場合、顧客から損害賠償を請求される、又は個人情報保護法に基づく罰金等が科される可能性があるほか、顧客からの信用や社会的信用が低下することにより、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(11)M&A、資本業務提携について

 「(1)情報通信業における技術革新等への対応について」に記載のとおり情報通信分野の変化は激しく、同業他社に対するM&Aや資本業務提携を実施することにより当社グループの事業領域を補完・強化していくことも、事業規模拡大のための有効な手段の一つであると位置づけております。M&A等の実行に際しては、対象企業に対して財務・税務・法務・ビジネス等に関する詳細なデューデリジェンスを行い、各種リスク低減に努める方針であります。但し、これらの調査で確認・想定されなかった事象が実行後に判明あるいは発生した場合や、買収後の事業環境の急変や想定外の事態の発生等により、当初期待していた投資効果が得られない場合は、当社グループの業績及び財政状態に悪影響が及ぶ可能性があります。また、M&A等の結果、事業領域が変化することによって、当社グループの収益構造が変化する可能性があります。

 

(12)海外展開について

 当社グループはグローバルな事業展開を進めておりますが、海外市場への事業進出には、各国政府の法律又は規制への対応、保護貿易諸規則の発動、為替制限や為替変動、輸送・電力・通信等のインフラ障害、各種法律又は税制の不利な変更、移転価格税制による課税、社会・政治及び経済情勢の変化や我が国との関係の悪化、異なる商慣習による取引先の信用リスク、労働環境の変化や現地での人材を確保できないリスク等、海外事業展開に共通で不可避のリスクがあります。この他、投資の回収が当初の事業計画案どおりに進まないリスクや、撤退等のリスクがあります。これらリスクが発現し、当社グループの対応が遅れた場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(13)大株主がファンドであること等について

 当社は、グローバルなプライベート・エクイティファームである、カーライル・グループに属するカーライル・ジャパン・エルエルシーが投資助言を行うファンドからの出資を受け入れており、同ファンドは、本書提出日現在において当社の大株主となっております。また、カーライル・ジャパン・エルエルシーより取締役1名が派遣されております。

 当社グループは、独立性、自主性に基づき企業運営を行っておりますが、カーライル・グループの利害と、当社の一般株主の利害は異なる可能性があります。

 

(14)財務報告に係る内部統制に関するリスクについて

 当社グループは、財務報告の信頼性に係る内部統制の整備及び運用を重要な経営課題の一つとして位置づけ、グループを挙げて管理体制等の点検・改善等に継続的に取り組んでおりますが、内部統制報告制度のもとで当社グループの財務報告に係る内部統制に重要な不備が発見される可能性は否定できず、また、将来にわたって常に有効な内部統制を整備及び運用できる保証はありません。さらに、内部統制には本質的に内在する固有の限界があるため、今後、当社グループの財務報告に係る内部統制が有効に機能しなかった場合や財務報告に係る内部統制に重要な不備が発生した場合には、当社グループの財務報告の信頼性に影響が及ぶ可能性があります。

 

(15)のれん及びその他の無形資産の減損について

 2016年4月14日に旧ウイングアーク1st株式会社の全株式を取得した際に発生したのれん及びその他の無形資産は、その後の企業買収により発生したものを含め、第4期連結会計年度末現在それぞれ27,172百万円及び18,213百万円であり、合わせて当社グループの資産の78.4%を占めております。当該のれん及び一部の耐用年数を確定できない無形資産(商標権)については、償却を行わず、毎期又は減損の兆候が存在する場合には、その都度減損テストを実施し、当社グループの事業の収益性が低下したと認められる場合には減損損失を計上する必要が生じ、当社グループの業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。また、IFRSでは、日本において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準と異なり、のれん及び耐用年数の確定できない無形資産の償却を行いません。そのため、当該のれん及びその他の無形資産について減損損失を計上した場合は、日本基準に比べて当社グループの業績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 なお、当社グループにて実施しているのれん及び耐用年数を確定できない無形資産の減損テストについては「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 13. のれん及びその他の無形資産(4)のれん及び耐用年数を確定できない無形資産の減損テスト」をご参照下さい。のれん及び耐用年数を確定できない無形資産の回収可能価額は、過去の経験と外部からの情報を反映させて作成され、経営陣により承認された翌事業年度の予算及びその後4年の業績予測を基礎とする使用価値に基づき算定しております。これを超える期間におけるキャッシュ・フローについては、日本の長期的なインフレ率予想を勘案し成長率を1%に設定しております。

第4期連結会計年度末における回収可能価額は、のれん及び耐用年数を確定できない無形資産が含まれる資金生成単位の資産の帳簿価額を40,072百万円上回っておりますが、割引率が当連結会計年度における7.6%から5.8%上昇した場合、又は将来キャッシュ・フローの見積りが45.1%減少した場合、回収可能価額と帳簿価額が等しくなる可能性があります

 また、当社グループでは、のれんの減損に係るリスクを逓減するため、事業の収益力強化に努めており、主に以下の取組みを実施しております。

・リカーリングビジネスの拡大

ソフトウェアライセンスの保守、サブスクリプションやクラウドサービスの利用料等のリカーリングレベニューは、契約が継続される限りは毎年継続的に売上が計上され、契約数が増加すればその分売上も増加します。当社グループは、事業の安定と収益力の強化のため、このリカーリングビジネスの拡大を図っております。

・業種・業務に特化したソリューションの推進

当社グループは、単なるソフトウェアやクラウドサービスの提供ではなく、業種ごとのノウハウを組み合わせた顧客の業務に即したソリューションを提供しております。特にデータエンパワーメントソリューションは、製造業向けのIoT可視化ソリューションや金融業向けの営業生産性向上ソリューション等の提供により成長してまいりました。新ソリューションによるさらなる売上拡大のため、継続的な技術開発と業種ノウハウの蓄積に努めております。

 

(16)有利子負債への依存と資金調達について

 当社グループは、金融機関を貸付人とする借入契約を締結しており、有利子負債への依存度が比較的高い水準にあります。そのため、金融市場の急激な変化等により、当社グループの資金調達能力、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 なお、当該借入金につきましては、2016年4月に実施した当初借入額31,500百万円から返済が進んでおり、第4期連結会計年度末における連結有利子負債(短期借入金及び長期借入金の合計)の残高は18,131百万円、資産合計に対する有利子負債残高の比率は31.3%となっております。

 また、当該借入金については複数の金融機関とシンジケートローン契約を締結しております。当該契約には財務制限条項が付されており、これに抵触した場合、貸付人の請求があれば同契約上の期限の利益を失うため、ただちに債務の返済をするための資金の確保が必要となり、当社グループの財政状態及び資金繰りに影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループでは、上記の金融機関からの借入に関係した、金利上昇に係るリスクと財務制限条項への抵触による一括返済リスクに対応するため、主に以下の取組みを実施しております。

・収益性を重視した経営管理

当社グループは、事業の持続的成長のためリカーリングビジネスを推進するとともに、EBITDAを重要な経営指標としており、利益率の維持向上を図っております。

・財務バランスを意識した資金計画

当社グループの資金計画は、リカーリングビジネスにより安定している営業キャッシュ・フローをベースにしており、借入金の返済及び配当金の支払いを見込んだ上で、投資の計画を策定しております。投資及び財務キャッシュ・フローは、営業キャッシュ・フローの範囲内となるよう管理し、手元資金の増加に努めます。

・金利条件及び財務制限条項に係る金融機関との交渉

 金融機関と随時交渉を行っており、経済環境や当社グループの事業の進捗状況を共有した上で、金利条件及び財務制限条項の削除及び縮小につき、協議しております。なお、2017年2月期におきまして、ネット・レバレッジ・レシオが契約書に定める基準値を下回ったため、2017年6月に金利条件を改善した契約を締結しており、さらに2019年9月にはリファイナンスを実行し、金利条件を改善しております。

 

(17)新株予約権の行使による株式価値の希薄化について

 当社は、当社グループ役員及び従業員に対するインセンティブを目的とし新株予約権を付与しております。本書提出日現在、新株予約権による潜在株式総数は4,450,500株であり、発行済株式総数31,198,000株の14.3%に相当します。これらの新株予約権が権利行使された場合、当社株式が新たに発行され、既存の株主が有する株式の価値及び議決権割合が希薄化する可能性があります。また、上場エグジット事由(「第4 提出会社の状況 1 株式等の状況 (2)新株予約権等の状況 ① ストックオプション制度の内容」の注記に記載)に該当する場合、2022年2月期までに権利行使可能な新株予約権は、本書提出日現在、4,300,500株となっております。

 

(18)過年度の業績推移について

 (はじめに)に記載のとおり、当社は、カーライル・グループが運営する投資ファンドであるCJP WA Holdings, L.P.の出資により、2016年3月7日にWACホールディングス株式会社として設立されました。その後、2016年4月14日に旧ウイングアーク1st株式会社の全株式を取得して完全子会社化した上で、同年6月1日に吸収合併し、同日にWACホールディングス株式会社からウイングアーク1st株式会社に商号変更を行い、実質的に事業を継承しました。そのため、当社は社歴が浅く、過去の業績については、財政状況及び経営成績を比較するための継続的な情報提供が困難な状況となっております。

 そこで、旧ウイングアーク1st株式会社の株式取得前の業績(2016年3月1日から同年4月13日)を当社の業績(2016年4月14日から2017年2月28日)に合算した2017年2月期の概算値は以下のとおりとなります。

 

 

(概算値)

(実績値)

売上収益

13,284百万円

11,655百万円

営業利益

4,227百万円

2,746百万円

税引前利益

3,908百万円

1,712百万円

継続事業からの当期利益

2,565百万円

1,524百万円

基本的1株当たり当期利益

8,223.26円

 

5,051.23円

 

 ソリューション別の売上収益は以下となります。

 

(概算値)

(実績値)

帳票・文書管理ソリューション

9,173百万円

8,064百万円

データエンパワーメントソリューション

4,110百万円

3,590百万円

合計

13,284百万円

11,655百万円

 

 契約区分別の売上収益は以下となります。

 

(概算値)

(実績値)

ライセンス/サービス

6,255百万円

5,457百万円

リカーリング

7,029百万円

6,198百万円

合計

13,284百万円

11,655百万円

 

(概算値の算定方法)

 当社の設立は2016年3月7日でありますが、2016年4月14日付で全株式を取得した旧ウイングアーク1st株式会社の事業年度開始の日は2016年3月1日であるため、旧ウイングアーク1st株式会社の2016年3月1日から同年4月13日までの期間の実績及び2016年4月14日から2017年2月28日までの期間の当社の実績を合算し、概算値を記載しております。また、当該概算値の算定にあたっては企業結合に伴うファイナンスコスト、デューデリジェンスコスト等1,270百万円を除外しております。なお、当該概算値は、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づく監査を受けておりません。

 

(19)伊藤忠商事株式会社及び東芝デジタルソリューションズ株式会社との関係について

 伊藤忠商事株式会社が親会社であるIW.DXパートナーズ株式会社は、本書提出日現在、当社の議決権の24.90%を保有しているため、伊藤忠商事株式会社は当社のその他の関係会社に該当いたします。同社とは2019年11月5日付で資本・業務提携契約を締結しており、同社から社外取締役、執行役員及び出向社員(それぞれ1名)を受け入れております。当社は同社に対して当社ソフトウェア等の販売を行っておりますが、他の企業の取引条件との比較等により取引条件の適正性等は確保しております。

 また、東芝デジタルソリューションズ株式会社は、本書提出日現在、当社の議決権の15.00%を保有しているため、当社のその他の関係会社に該当いたします。同社とは2020年11月17日付で資本・業務提携契約を締結しており、同社から社外取締役1名を受け入れております。同社は当社の販売パートナーとして、当社ソフトウェア等の販売を行っておりますが、他のパートナー企業の取引条件との比較等により取引条件の適正性等は確保しております。

 なお、当社グループと伊藤忠商事株式会社及び東芝デジタルソリューションズ株式会社との事業領域は相違しており、当社の意思決定において両社による事前承認を必要とする事項等もないことから、当社の独立性及び自律性は保たれていると認識しております。

 しかしながら、将来において、何らかの要因により両社が経営方針や事業戦略(当社株式の保有方針も含む。)を変更した場合、当社株式の流動性及び株価形成等に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

1.経営成績等の状況の概要

 当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 当社グループは、「Empower Data, Innovate the Business, Shape the Future.情報に価値を、企業に変革を、社会に未来を。」というビジョンを掲げており、社会に存在する様々なデータを活用することで、多くの企業にイノベーションをもたらし、その結果として、より良い社会を実現することを目指しております。

 

 当社グループは、「データエンパワーメント事業」を単一の報告セグメントとしておりますが、提供しているソフトウェア及びサービスの性質により、企業の基幹業務を支える「帳票・文書管理ソリューション」と、様々なデータを活用し、今までにない新たな価値を生み出す「データエンパワーメントソリューション」の2つに売上収益を区分しております。

 

(1)経営成績の状況

第4期連結会計年度(自 2019年3月1日 至 2020年2月29日)

 当連結会計年度における我が国の経済環境は、個人消費や所得の改善により、緩やかな回復基調にあったものの、2019年10月に実施された消費税増税の影響により、2019年10月-12月の実質GDPは大幅なマイナスとなりました。さらに2019年末頃より報告され始めた新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的な蔓延により、感染防止の観点から企業や個人の活動自粛が求められる事態となっており、国内外での経済活動の停滞が懸念されております。

 

 一方、当社グループが属する企業向けIT市場では、働き方改革や企業の競争力強化を目的としたDXへの投資が進展しました。特に経済産業省が提唱する「2025年の崖」(注1)の克服に向けた投資が活発になっており、2019年までは企業の好調な業績を背景として、多くの企業におけるシステム刷新/更新需要やビジネス強化のための新規投資が行われました(注2)。2020年は、コロナ禍の影響により、顧客企業に出向いて行う形態のサービスは影響を受けていると思われますが、クラウドで提供されるWeb会議システムやビジネスチャットのようなリモートワークに関するサービスに対する需要は急増しており(注3)、提供されるサービスの種類によって影響は大きく異なっております。

(注)1.経済産業省「DXレポート ITシステム「2025年の崖」の克服とDXの本格的な展開(2018年9月)」

2.インターナショナルデーターコーポレイションジャパン株式会社「国内エンタープライズIT市場予測、2020年~2024年 エグゼクティブサマリー(2020年4月)」

3.インターナショナルデーターコーポレイションジャパン株式会社「2020年 国内企業のIT投資におけるCOVID-19の影響 2020年度(あるいは現在の会計年度)におけるIT予算において、支出が増加する見込みのものにはどのようなものがありますか?に対する回答(2020年5月)」

 

 このような環境のもと、当社グループは、クラウド上でも超高速集計を実現するDr.Sum Cloudを2019年8月に、紙文書からのデータ抽出機能をさらに強化したSPA Cloudを2019年9月に、帳票のデータ化・保管・配信・印刷・配送をトータルで提供する文書流通サービス「SVF TransPrint」を2020年1月にリリースし、クラウドビジネスの強化を進めております。また、2019年11月に伊藤忠商事株式会社及びSansan株式会社と資本業務提携を締結しました。各々の業界トップの知見と当社グループが持つデータ活用のノウハウを組み合わせ、DXにおけるソリューション開発を軸とした協業を強化してまいります。

 

 売上収益は18,677百万円(前期比8.0%増)、営業費用(その他の営業収益を控除後)はクラウドビジネスやマーケティング、グローバル体制強化を目的とした専門人員の採用などによる人件費の増加、品質管理業務などの内製化による外注・業務委託料の抑制を行いつつ、技術開発強化をしていることに伴う研究開発費の増加や、企業プロモーション制作等広告宣伝に伴うその他の営業費用の増加により、前期比592百万円増加の12,992百万円(同4.8%増)、営業利益は5,684百万円(同16.3%増)、税引前利益は5,523百万円(同16.6%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益は4,076百万円(同23.8%増)となりました。

 

 当社グループは、「データエンパワーメント事業」を単一の報告セグメントとしておりますが、提供しているソフトウェア及びサービスの性質により、企業の基幹業務を支える「帳票・文書管理ソリューション」と、様々なデータを活用し、今までにない新たな価値を生み出す「データエンパワーメントソリューション」の2つに売上収益を区分しております。

 

 ソリューション別の売上収益につきましては、帳票・文書管理ソリューションは11,739百万円(前期比6.0%増)、データエンパワーメントソリューションは6,937百万円(同11.7%増)となりました。

 

≪ソリューション別売上収益≫                             (単位:百万円)

ソリューション区分

2019年2月期

2020年2月期

増減

増減率

帳票・文書管理

ソリューション

SVF

10,677

11,200

522

4.9%

SPA

251

389

137

54.7%

その他

147

150

2

1.8%

小計

11,076

11,739

662

6.0%

データエンパワーメント
ソリューション

Dr.Sum

2,617

2,804

186

7.1%

MotionBoard

2,174

2,554

379

17.5%

その他

1,418

1,579

160

11.3%

小計

6,210

6,937

727

11.7%

合計

17,287

18,677

1,389

8.0%

 

(帳票・文書管理ソリューション)

 当ソリューションは、企業の基幹業務に必須である請求書や納品書等の帳票類の設計・運用を行うソフトウェア及びサービスである「SVF」及び電子データの保管や紙文書の電子化を行う「SPA」が主な構成要素となっております。「SVF」は、基幹システムのリプレイス需要の増加に伴い、ソフトウェアライセンスの受注が好調に推移したことに加え、金額は小さいもののクラウドサービスが大きく成長したため、売上収益は11,200百万円(前期比4.9%増)となりました。「SPA」につきましては、導入事例の増加やクロスセルによる顧客獲得が順調に推移し、売上収益は389百万円(同54.7%増)となりました。

 この結果、当ソリューションの売上収益は11,739百万円(同6.0%増)となりました。

 

(データエンパワーメントソリューション)

 当ソリューションは、企業が保有するデータを統合・処理・分析・可視化する事により、業務の効率化や生産性の向上を実現するソフトウェア及びサービスである「Dr.Sum」「MotionBoard」が主な構成要素となっております。「Dr.Sum」は、企業のDXへの強い投資意欲からソフトウェアライセンスの受注が好調に推移し、売上収益は2,804百万円(前期比7.1%増)と前年と同程度の結果となりました。「MotionBoard」は、ソフトウェアライセンスは前年と同程度となったものの、契約ユーザー数の増加によりクラウドサービスが大きく成長したため、売上収益は2,554百万円(同17.5%増)となりました。

 この結果、当ソリューションの売上収益は6,937百万円(同11.7%増)となりました。

 

第5期第3四半期連結累計期間(自 2020年3月1日 至 2020年11月30日)

 当第3四半期連結累計期間における我が国の経済環境は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大(コロナ禍)の防止のために2020年4月に発出された緊急事態宣言により大幅に悪化しておりましたが、同年5月の緊急事態宣言解除後は、徐々に経済活動が再開されました。その後、政府のGoToキャンペーン等の政策的な後押しもあり、コロナ禍による経済活動の停滞から急速な回復を見せ、7~9月期の実質GDP成長率は年率換算で20%を超える水準となっております。しかしながら、同年11月から再度感染拡大が進んでおり、当面は不透明な状況が続くと思われます。

 

 当社グループが属する企業向けIT市場においても、設備投資計画見直しの影響を受け、今年度は成長が鈍化する見通しとなっております。一方、当該市場のうちクラウド市場につきましては、導入や運用の容易さ、高いユーザビリティ、安価な初期導入コスト等により、採用が進んでおりましたが、外出自粛対応としてリモートワークが拡大するに従い、Web会議システムやチャットサービス等の業務環境の整備に関するクラウドサービスが急速に拡大しております。今後は営業やマーケティング等既存業務でのクラウドサービスの導入も進むと考えられ、クラウド市場の拡大は加速すると想定されております。

 

 このような環境に対応するため、当社グループは、2020年3月に全社員のリモートワーク環境の整備を完了し、合わせて、受注・出荷業務や経理業務を始め、営業やマーケティング活動もオンラインへ急速にシフトさせており、一部の業務を除き完全なリモートワーク体制へ移行しております。同年10月末には、本社オフィスの来客・イベントエリア以外の執務エリアを閉鎖し、大幅なオフィスの縮小を行いました。

 2020年4月には、新たなサービスとして、異なるシステムやクラウドサービスを連携・接続し、業務を自動化できるクラウドサービス「DEJIREN(デジレン)」をリリースしました。コロナ禍の影響で企業のクラウドサービスの利用増加やリモートワークの標準化で働き方が多様化する中、「DEJIREN」で既存システムと新たなクラウドサービスを連携させ、業務の自動化による生産性向上を実現します。

 

 2020年11月には、株式会社PKSHA Technology(PKSHA社)及び東芝デジタルソリューションズ株式会社(TDSL社)とそれぞれ資本・業務提携契約を締結いたしました。PKSHA社とは、「DEJIREN」やBIダッシュボード「MotionBoard」等、当社の様々なソリューションとPKSHA社のアルゴリズム技術の連携により、共同プロダクト/ソリューションの開発及び営業連携を目的としております。TDSL社とは、両社の人材や技術の交流を通じて、IoTやスマートファクトリー等製造業向けソリューションのさらなる強化を図るとともに、これまで培ってきた両社の業種ノウハウやデータ分析の知見・技術を用いて、プラットフォーム上のデータから新たな価値を生み出すデータサービスの開発を目的としております。両提携を通じて、新たなソリューション開発を進め、企業価値の向上を目指しております。
 

 当第3四半期連結累計期間における売上収益は13,468百万円(前年同期比3.4%減)、営業費用(その他の営業収益を控除後)は、営業活動のオンライン化や全社員へのリモートワークの拡大により、海外渡航費や交通費、交際費などの費用の減少があったものの、本社オフィス縮小のため一部を解約することに伴い発生する違約金や使用権資産の早期償却費の計上、人員の採用による人件費の増加などで、前年同期比1,923百万円増加の11,264百万円(前年同期比20.6%増)、営業利益は2,204百万円(前年同期比52.1%減)、税引前四半期利益は2,157百万円(前年同期比51.8%減)、親会社の所有者に帰属する四半期利益は1,585百万円(前年同期比50.4%減)となりました。

 

 ソリューション別の売上収益につきましては、帳票・文書管理ソリューションは8,602百万円(前年同期比3.6%減)、データエンパワーメントソリューションは4,865百万円(前年同期比3.1%減)となりました。

(単位:百万円)

ソリューション区分

2020年2月期

第3四半期

2021年2月期

第3四半期

増減

増減率

帳票・文書管理

ソリューション

SVF

8,541

8,136

△405

△4.7%

SPA

292

408

116

39.7%

その他

88

58

△29

△33.7%

小計

8,921

8,602

△319

△3.6%

データエンパワーメント
ソリューション

Dr.Sum

2,081

1,942

△138

△6.7%

MotionBoard

1,891

2,047

155

8.2%

その他

1,050

875

△174

△16.6%

小計

5,023

4,865

△157

△3.1%

合計

13,945

13,468

△476

△3.4%

 

(帳票・文書管理ソリューション)

 当ソリューションは、企業の基幹業務に必須である請求書や納品書等の帳票類の設計・運用を行うソフトウェア及びサービスである「SVF」及び電子データの保管や紙文書の電子化を行う「SPA」が主な構成要素となっております。「SVF」は、ソフトウェア保守及びクラウドサービスは前年を上回ったものの、コロナ禍の影響により、上半期のソフトウェアライセンスの受注が落ち込み、売上収益は8,136百万円(前年同期比4.7%減)となりました。一方、「SPA」は、リモートワークに伴うペーパーレス需要等から、ソフトウェアライセンス及び保守、クラウドサービス全て好調に推移し、408百万円(前年同期比39.7%増)と前年から大きく成長しました。

 この結果、当ソリューションの売上収益は8,602百万円(前年同期比3.6%減)となりました。

 

(データエンパワーメントソリューション)

 当ソリューションは、企業が保有するデータを統合・処理・分析・可視化する事により、業務の効率化や生産性の向上を実現するソフトウェア及びサービスである「Dr.Sum」「MotionBoard」が主な構成要素となっております。「Dr.Sum」は、ソフトウェア保守は堅調に推移したものの、コロナ禍の影響により、ソフトウェアライセンスの受注が前年同期比8割程度となり、売上収益は1,942百万円(前年同期比6.7%減)となりました。「MotionBoard」は、ソフトウェアライセンスは前年同期比9割程度となったものの、ソフトウェア保守及びクラウドサービスがともに好調に推移した結果、売上収益は2,047百万円(前年同期比8.2%増)となりました。「その他」につきましては、主にソフトウェアライセンス導入時に利用されるプロフェッショナルサービスがコロナ禍の影響により、前年同期比6割程度と大きく落ち込んだ結果、売上収益は875百万円(前年同期比16.6%減)となりました。

 この結果、当ソリューションの売上収益は4,865百万円(前年同期比3.1%減)となりました。

 

(2)財政状態の状況

第4期連結会計年度(自 2019年3月1日 至 2020年2月29日)

(資産)

 当連結会計年度末における資産は、57,923百万円(前期末比3,219百万円増)となりました。流動資産は7,093百万円(前期末比2,056百万円増)、非流動資産は50,829百万円(前期末比1,163百万円増)となりました。流動資産の増加の主な要因は現金及び現金同等物1,524百万円の増加によるものです。非流動資産の増加の主な要因は、顧客関係・技術関連資産の減価償却などに伴うその他の無形資産983百万円の減少があったものの、当連結会計年度よりIFRS第16号「リース」を適用したことに伴って、使用権資産を計上したことなどによる有形固定資産1,883百万円の増加があったことによるものであります。

 

(負債)

 当連結会計年度末における負債は、34,394百万円(前期末比1,056百万円減)となりました。流動負債は11,964百万円(前期末比2,299百万円増)、非流動負債は22,429百万円(前期末比3,355百万円減)となりました。流動負債の増加の主な要因は、IFRS第16号「リース」適用に伴うリース負債の計上などによるその他の金融負債の増加781百万円及び一年内返済長期借入金の増加498百万円によるものです。非流動負債の減少の主な要因は、IFRS第16号「リース」適用に伴うリース負債の計上によるその他の金融負債の増加1,143百万円があったものの、長期借入金4,310百万円の減少があったことによるものであります。

 

(資本)

 当連結会計年度末における資本は、23,529百万円(前期末比4,275百万円増)となりました。資本の増加の主な要因は当期利益の計上により利益剰余金4,113百万円の増加によるものであります。

 

第5期第3四半期連結累計期間(自 2020年3月1日 至 2020年11月30日)

(資産)

 当第3四半期連結会計期間末における資産は、61,787百万円(前期末比3,864百万円増)となりました。流動資産は12,630百万円(前期末比5,536百万円増)、非流動資産は49,157百万円(前期末比1,672百万円減)となりました。流動資産の増加の主な要因は、コロナ禍に起因する事業環境の不確実性に対応するための手元流動性の確保を目的とした、金融機関からの借入による現金及び現金同等物5,251百万円の増加によるものです。非流動資産の減少の主な要因は、本社オフィス縮小のため一部を解約することに伴う使用権資産など有形固定資産1,297百万円の減少、顧客関係・技術関連資産の償却に伴うその他の無形資産756百万円の減少があったことによるものであります。

 

(負債)

 当第3四半期連結会計期間末における負債は、37,014百万円(前期末比2,620百万円増)となりました。流動負債は16,330百万円(前期末比4,365百万円増)、非流動負債は20,684百万円(前期末比1,745百万円減)となりました。流動負債の増加の主な要因は、コロナ禍に起因する事業環境の不確実性に対応するための手元流動性の確保を目的とした、金融機関からの借入による短期借入金4,500百万円の増加によるものです。非流動負債の減少の主な要因は、借入金返済に伴う長期借入金977百万円の減少、本社オフィス縮小のため一部を解約することに伴うリース負債などその他の金融負債824百万円の減少によるものであります。

 

(資本)

 当第3四半期連結会計期間末における資本は、24,772百万円(前期末比1,243百万円増)となりました。資本の増加の主な要因は、自己株式取得に伴う650百万円の減少があったものの、親会社の所有者に帰属する四半期利益の計上に伴う利益剰余金1,585百万円の増加によるものであります。

 

(3)キャッシュ・フロー

第4期連結会計年度(自 2019年3月1日 至 2020年2月29日)

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、4,962百万円(前期末比1,524百万円増)となりました。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況と要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果獲得した資金は、6,555百万円(前期は3,337百万円の獲得)となりました。これは主に営業利益の増加に伴う税引前利益の増加784百万円、IFRS第16号「リース」の適用などに伴う減価償却費及び償却費の増加673百万円、営業債務及びその他の債務の増加762百万円や、法人所得税の支払額の減少による増加709百万円があったことによるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果使用した資金は、418百万円(前期は1,648百万円の使用)となりました。これは主に、SALES ROBOTICS株式会社の投資有価証券の売却による収入73百万円があったものの、BMX(自転車競技の一種でBicycle Motocrossの略)練習用施設建設などの有形固定資産の取得による支出341百万円、投資有価証券の取得による支出50百万円、セキュリティ強化や顧客の利便性向上を目的としたサポートサイトのリニューアル開発などに伴う無形資産の取得による支出79百万円を計上したことによるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果使用した資金は、4,593百万円(前期は2,958百万円の使用)となりました。これは主に、借入金の返済による支出3,750百万円、当連結会計年度よりIFRS第16号「リース」を適用したことに伴うリース負債の返済による支出751百万円を計上したことによるものであります。

 

第5期第3四半期連結累計期間(自 2020年3月1日 至 2020年11月30日)

 当第3四半期連結会計期間末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、10,214百万円(前期末比5,251百万円増)となりました。

 当第3四半期連結累計期間における各キャッシュ・フローの状況と要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果獲得した資金は、3,300百万円(前年同期は4,619百万円の獲得)となりました。これは主に、法人所得税の支払額1,743百万円の計上があったものの、税引前四半期利益2,157百万円の計上、減価償却費及び償却費の計上2,728百万円があったことによるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果使用した資金は、353百万円(前年同期は176百万円の使用)となりました。これは主に、サーバーのリプレイスに伴うネットワーク機器の購入など、有形固定資産の取得による支出407百万円を計上したことによるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果獲得した資金は、2,293百万円(前年同期は3,401百万円の使用)となりました。これは主に、借入の返済による支出1,000百万円、自己株式の取得による支出650百万円があったものの、コロナ禍に起因する事業環境の不確実性に対応するための手元流動性の確保を目的とした、金融機関からの借入による収入4,500百万円を計上したことによるものであります。

 

2.生産、受注及び販売の実績

(1)生産実績

 当社グループは、ソフトウェアの販売及びサービスの提供が主体であり、生産活動を行っていないため、該当事項はありません。

 

(2)受注実績

 当社グループは、ソフトウェアの販売及びサービスの提供が主体であり、受注生産を行っていないため、該当事項はありません。

 

(3)販売実績

 第4期連結会計年度及び第5期第3四半期連結累計期間の販売実績は、次のとおりであります。

ソリューションの名称

第4期連結会計年度

(自 2019年3月1日

至 2020年2月29日)

第5期第3四半期連結累計期間
(自 2020年3月1日

至 2020年11月30日)

金額(百万円)

前期比(%)

金額(百万円)

帳票・文書管理ソリューション

11,739

106.0

8,602

データエンパワーメントソリューション

6,937

111.7

4,865

合計

18,677

108.0

13,468

(注)1.当社グループの事業セグメントは、「データエンパワーメント事業」を単一の報告セグメントとしているため、ソリューション別の販売実績を記載しております。

2.最近2連結会計年度及び第5期第3四半期連結累計期間の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、以下のとおりであります。

相手先

第3期連結会計年度

(自 2018年3月1日

至 2019年2月28日)

第4期連結会計年度

(自 2019年3月1日

至 2020年2月29日)

第5期第3四半期連結累計期間

(自 2020年3月1日

至 2020年11月30日)

金額

(百万円)

割合(%)

金額

(百万円)

割合(%)

金額

(百万円)

割合(%)

日本電気株式会社

1,835

10.6

1,708

9.1

1,418

10.5

注)第4期連結会計年度は、当該割合が10%未満となりましたが、継続して記載をしております。

3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

3.経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。

 

(1)重要な会計方針及び見積り

 当社グループの連結財務諸表はIFRSに基づき作成しております。この連結財務諸表の作成に当たっては、過去の実績や状況に応じ合理的と考えられる様々な要因に基づき、見積り及び判断を行っておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるために、これらの見積りと異なる場合があります。

 なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要な会計方針」及び「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 4.重要な会計上の判断、見積り及び仮定」に記載しております。

 

(2)財政状態の分析

 第4期連結会計年度及び第5期第3四半期連結累計期間における財政状態の分析につきましては、「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 1.経営成績等の状況の概要 (2)財政状態の状況」を参照ください。

 

(3)経営成績の分析

 第4期連結会計年度及び第5期第3四半期連結累計期間における経営成績の分析につきましては、「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 1.経営成績等の状況の概要 (1)経営成績の状況」を参照下さい。

 

(4)キャッシュ・フローの分析

 第4期連結会計年度及び第5期第3四半期連結累計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因については、「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 1.経営成績等の状況の概要 (3)キャッシュ・フロー」に記載しております。

 

(5)資本の財源及び資金の流動性

 当社グループにおける主な資金使途は人件費、研究開発費、外注・業務委託料等の営業費用、主に社内インフラ用のソフトウェア・サーバ等の設備投資、M&Aや出資に係る投資、借入金の返済、配当の支払となっております。これらの資金需要につきましては、営業キャッシュ・フローを源泉とする自己資金で賄っております。

 上述のとおり、運転資金及び設備投資資金につきましては、全て自己資金で賄っておりますが、柔軟かつ安定的な流動性の確保を目的として、2019年9月25日付けで総額25億円のコミットメントラインを設定しております。なお、コロナ禍における不透明な経済環境に対応するため、手元流動性の積み増しを目的として、2020年5月29日付で当該コミットメントラインを全額実行しております。

 

(6)目標とする指標の分析

・調整後EBITDA及び調整後当期利益

(単位:百万円)

 

2019年2月期

2020年2月期

増減

増減率

調整後EBITDA

6,520

7,128

607

9.3%

調整後当期利益

3,553

4,199

646

18.2%

(参考)売上収益

17,287

18,677

1,389

8.0%

 調整後EBITDAにつきましては、主に製品開発関連の外注費を削減したことから費用全体の増加が抑制され、売上収益の増加を上回る前期比9.3%の増加となりました。調整後当期利益につきましては、税制優遇等により実効税率が低下した結果、前期比18.2%と大幅な増加となりました。なお、2021年2月期の調整後EBITDA及び調整後当期利益は、それぞれ6,440百万円(前期比9.6%減)、3,636百万円(前期比13.4%減)とコロナ禍の影響により前年から減少する計画となっておりますが、2022年2月期の調整後EBITDA及び調整後当期利益は、それぞれ7,180百万円(前期比11.5%増)、4,118百万円(前期比13.3%増)と前年から増加する計画となっております。

 

・契約継続率

 

2019年2月期

2020年2月期

増減

契約継続率

94.4%

93.0%

△1.4ポイント

 契約継続率は、主に顧客の業務システム自体の利用終了の影響により解約が若干増加したため、前期比1.4ポイント減の93.0%となりました。今後も顧客満足の向上に取り組み契約継続率の向上に努めてまいります。

 

(経営成績等の状況の概要に係る主要な項目における差異に関する情報)

 IFRSにより作成した連結財務諸表における主要な項目と連結財務諸表規則(第7章及び第8章を除く。以下「日本基準」という。)により作成した場合の連結財務諸表におけるこれらに相当する項目との差異に関する事項は、以下のとおりであります。

 

(商標権に対する調整)

 日本基準においては、商標権は、商標登録の有効期間にわたって償却を行いますが、IFRSでは耐用年数の確定できない商標権について、償却を行っておりません。この結果、IFRSでは日本基準に比べて、「減価償却費及び償却費」が第4期連結会計年度において611百万円、第5期第3四半期連結累計期間において458百万円減少しております。

 

(のれんに対する調整)

 日本基準においては一定期間にわたりのれんの償却を行いますが、IFRSでは規則的な償却を行わず、毎期減損テストを実施することが要求されます。この影響により、IFRSでは日本基準に比べて、「減価償却費及び償却費」が第4期連結会計年度において1,784百万円、第5期第3四半期連結累計期間において1,337百万円減少しております。

 

4【経営上の重要な契約等】

(株式会社三菱UFJ銀行等と締結しているタームローン契約)

 当社は2019年9月25日付で株式会社三菱UFJ銀行をエージェントとする変更後金銭消費貸借契約(2017年6月30日付金銭消費貸借契約の変更契約)(以下「タームローン契約)という。)を締結しております。当該タームローン契約の主な契約内容は、以下のとおりであります。

 

① 契約の相手先

株式会社三菱UFJ銀行、その他6社

② 借入金額

タームローンD 当初借入金額 14,000百万円

タームローンE 当初借入金額 5,250百万円

③ 返済期限

タームローンD:2026年8月末日を最終返済日とする分割返済

タームローンE:2024年8月末日に一括返済

④ 利率

TIBOR(東京銀行間取引金利)+スプレッド

スプレッドは、タームローン契約において予め定められた料率

⑤ 主な借入人の義務

イ.借入人グループ会社の決算書類を提出する義務

ロ.当該契約上の権利及び義務並びに地位は、他の当事者の書面による事前の同意なく、第三者に対して譲渡その他の移転、担保権設定その他の処分を行わないこと

ハ.財務制限条項を遵守すること

 

 当社の借入金について財務制限条項が付されており、当該条項に抵触した場合、当社は期限の利益を喪失し、借入先の要求に基づいて借入金を一括返済する可能性があります。

 当社の借入金に付されている財務制限条項は、以下のとおりであります。

・2019年2月期以降(2019年2月期含む。)の各決算期末(いずれも直近12ヶ月)において当社グループの連結ベースで営業損益を二期連続で赤字としないこと。

・2019年2月期以降(2019年2月期含む。)の各決算期末の当社グループの連結ベース及び単体ベースでの貸借対照表上の純資産の部(但し、新株予約権、非支配株主持分及び繰延ヘッジ損益を控除する。以下、同じ。)の合計金額を、直前の各決算期末における当社グループの連結ベース及び単体ベースでの純資産の部の合計金額の75%以上に維持すること。

 

 

5【研究開発活動】

 当社グループは、「データエンパワーメント事業」を単一の報告セグメントとしておりますので、セグメント別の記載はしておりません。

 

第4期連結会計年度(自 2019年3月1日 至 2020年2月29日)

 当社グループは、主に企業向けソフトウェア及びサービスの開発に係る研究開発を行っており、市場の拡大や技術の進歩により多様化、高度化し、広汎な範囲にわたる顧客ニーズに応える製品を研究、開発し、提供することを基本方針としております。当連結会計年度における研究開発費は2,178百万円であります。

 

(1)研究の目的

 クラウド、ビッグデータ、IoT、AI、働き方改革といった市場の変化に対応した、当社グループ独自のソフトウェア及びサービスの開発を目的としております。

 

(2)主要な研究課題

 集計速度の向上やストリーミングデータのリアルタイム処理、紙文書の電子化、他のソフトウェア及びサービスとの連携等当社グループの事業方針を実現する上で必要となる技術開発に取り組んでおります。

 

(3)研究体制

 本社、札幌、新潟の各拠点の開発部門において、研究開発活動を行っております。

 

(4)研究成果

 研究開発活動の成果として、新機能や性能を向上させたソフトウェア及びサービスのリリースを随時行っております。

 

第5期第3四半期連結累計期間(自 2020年3月1日 至 2020年11月30日)

 当社グループは、主に企業向けソフトウェア及びサービスの開発に係る研究開発を行っており、市場の拡大や技術の進歩により多様化、高度化し、広汎な範囲にわたる顧客ニーズに応える製品を研究、開発し、提供することを基本方針としております。当第3四半期連結累計期間における当社グループの研究開発活動の金額は、1,690百万円であります。

 なお、当第3四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況について重要な変更はありません。