文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において、当社が判断したものであります。
(1)経営方針
当社の経営の基本方針は、先進的で高品質な音声技術を安定的に提供することにあります。企業理念として掲げる「エーアイは音声技術で社会に新しい価値をつくり続けます」を実現するために、独自の音声技術を駆使して様々な分野に新たな価値を提案し、挑戦することが重要であると考えております。
(2)経営戦略等
中長期的な企業価値の向上や競争力の強化に向け積極的に投資を行い、次世代音声合成エンジン開発、音声認識、翻訳との連携、対話ソリューション(多言語含む)を提供する予定であります。
具体的には、防災分野におきまして、翻訳、多言語合成を組み合わせたソリューションを提供してまいります。また、車載分野、CTI、コールセンター分野の拡大を実現することが重要課題であると考えております。事業領域の拡大にあたり、音声認識、翻訳、多言語音声合成等の技術を保有している他社との連携を推進し、事業の成長スピードの向上に努めてまいります。
(3)経営環境
当社が属する音声合成市場におきましては、新型コロナウイルス感染症による緊急事態宣言により、テレワーク、在宅学習の取り組みが拡大しており、e‐ラーニング資料の作成や、ガイダンス音声の作成といった法人向け製品の需要拡大が見込まれます。また、外出自粛が長引くことにより、コンシューマー向けダウンロード製品の需要が拡大するものと予想しております。AI分野、インバウンド分野、e-ラーニング分野など利用機会が増加傾向にあることから、今後ますます音声技術の業界が重要な役割を担っていくものと想定しております。
当社が今後さらなる成長と発展を遂げるためには、様々な課題があると認識しております。これらの課題に対応し、今後継続的な発展を実現するために、当社経営陣は、最善の経営方針を立案するよう努めてまいります。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
①新技術の研究開発
音声合成の利用が拡大してきたことに伴い、研究開発のスピードも加速しております。この数年、各分野で深層学習の研究が盛んに行われておりますが、音声合成分野においても、深層学習(DNN:Deep Neural Network)を活用した新しい音声合成技術の研究が進められております。当社においても、最新の技術をキャッチアップし、また、顧客ニーズの変化を捉え、新しい製品・サービスを市場に投入していくことが重要であると考えております。
②人材の確保及び育成
新しい技術、新しい製品・サービスを継続的に研究開発し、販売していくためには、優秀な人材の継続的確保が重要であると考えております。また、音声技術という特殊分野であるため、採用した研究者、開発者及び営業担当者の育成が重要であると考えております。
③安定収入の確保
当社の事業基盤はライセンスビジネスであり、音声合成エンジンの使用許諾を与えることにより、継続的に許諾料を頂くモデルであります。現在は、月額使用料、ロイヤリティ、継続的なクラウドサービスの利用、サポートサービス等で継続的な安定収入を確保しております。今後、事業を拡大していくにあたり、新規事業の開発及び安定的な収入を確保することが重要であると考えております。
④新しいマーケットの創出
音声合成が広く利用される様になり、今後、様々な分野において利用が進むものと考えておりますが、現在、確立されたマーケットは、電話の自動応答システム、防災行政無線、音声対話等、まだまだ限られたものであります。更に、新しいマーケットを創出していくことが重要であると考えております。
⑤内部管理体制の充実
当社は、今後継続的に事業を拡大していくためには、コーポレート・ガバナンス機能の強化は必須であり、内部統制システムの適切な整備及び運用が重要であると考えております。また、成長のステージに応じて人的強化を行い、内部管理体制の構築を図ってまいります。
⑥ブランディング
当社の今後の成長のためには、音声合成技術を世の中に広めるとともに、「音声技術のエーアイ」「音声合成=AITalk®」と認知されるように、ブランディングしていくことが重要であると考えております。
(5)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
先進的で高品質な音声技術サービスを安定的に提供していくためには、健全な財務基盤の維持が重要であると考え
ており、営業利益率20%以上の維持を収益性の指標の一つとしております。
当社の経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標は、売上高、営業利益、当期純利益、営業利益率であります。
2021年3月期の目標値は、売上高840,000千円、営業利益280,000千円、当期純利益205,000千円、営業利益率33.3%であります。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が提出会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
①音声合成業界の動向について
音声合成業界は、古くは、電話の自動応答システムからスタートし、防災行政無線、カーナビゲーション、スマートフォンでの音声対話へと発展してまいりました。本格的に実用化されてからの歴史は浅く、まだ10年程であります。この間、急速に市場が発展しており、また今後新しい市場としては、観光分野、高齢化社会における福祉用途、東京オリンピックへ向けた外国人向け音声ガイダンス等々、様々な分野での拡がりが期待できます。
また、新型コロナウイルス感染症などの影響によりテレワーク等の働き方改革が進み、e-ラーニング等の教材における音声合成の利用が進むことが期待される一方で、各市場が期待通りに拡大しない場合、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。具体的には、積極的な営業が困難になることにより、ロイヤリティ、Custom Voice、基本ライセンスといった法人向け製品の売上が伸び悩むと予想しております。
当該リスクの対応策として、e-ラーニング資料の作成や、ガイダンス音声の作成といった法人向け製品、コンシューマー向けダウンロード製品の売上拡大を目的としたWEB広告の出稿を拡大してまいります。
②技術革新による影響について
音声合成業界において、技術革新が進んでおります。当社が2020年5月より提供を開始しました音声合成エンジン「AITalk®5」は、音声処理部において従来の「波形接続型音声合成方式」とともに「DNNパラメトリック音声合成方式」を提供しており、現時点では合成音声の品質の観点で優位性を確保しております。
しかしながら、当該技術が主流となり、かつ当社の継続的な研究開発が停滞した場合、投資に対する十分な成果を得られず、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
当該リスクの対応策として、名古屋大学戸田教授との次世代技術の共同研究及び開発を行ってまいります。
③競合他社による影響について
当社が提供する音声合成エンジン「AITalk®」の主な競合先は、HOYA株式会社(Voice Text)、東芝デジタルソリューションズ株式会社(ToSpeak)となります。当社は音声合成に特化して事業を展開しており、研究開発、製品開発、販売、サポートを一気通貫で提供することにより、ユーザーの要望にも迅速かつ柔軟に対応し、シェアを確保しております。
しかしながら、競合他社企業は大手企業であるため、要員を拡充し、事業展開を加速した場合、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。また、「Google Cloud Platform(GCP)」の「Cloud Text-to-Speech」あるいは「Amazon Web Services(AWS)」の「Amazon Polly」等の大手企業がクラウドサービスプラットフォームの一部として提供している低価格なサービスにおいて、音声合成エンジンの日本語の品質・技術向上が図られた場合、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
当該リスクの対応策として、定期的に競合他社の動向を調査し、優位性を維持する体制整備を行ってまいります。
④業務提携による影響について
今後、日本語音声合成に加えて、音声認識、意図解釈、翻訳、多言語等と連携した利用が拡大するものと考えております。当社においては、日本語音声合成をコア技術と位置づけ、音声認識、意図解釈、翻訳、多言語等の連携技術については、他社との業務提携を推進していきます。したがって、他社の状況に影響を受ける可能性があり、その結果、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
当該リスクの対応策として、業務提携先との友好な関係とコミュニケーションの維持を行ってまいります。
⑤人材の確保及び育成による影響について
当社は、音声合成という特殊な分野で研究開発、製品開発、販売、サポートを全て自社内で行っておりますが、2020年3月末現在、従業員数40名と少数精鋭で事業を展開しております。特に、研究者、開発者は、育成に時間が要することから、優秀な人材の確保するとともに、人材の流出を防止するための環境構築が重要であると考えております。
しかしながら、IT業界における人材獲得競争が激しく、計画通り人材の採用ができない場合、もしくは優秀な人材が流出してしまった場合、業務運営に支障をきたし、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
当該リスクの対応策として、テレワーク等の働きやすい環境構築、優秀な人材を確保すべく採用活動を計画的に行ってまいります。
⑥内部管理体制について
当社は、企業価値の継続的な向上のためには、コーポレート・ガバナンスが有効に機能することが重要であると認識し、適正な業務分担、財務報告の信頼性、法令遵守を徹底するため、内部管理体制の充実を図ってまいります。
しかしながら、業務の拡大に内部管理体制が追いつかない状況が発生した場合、適切な業務運営が困難となり、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
当該リスクの対応策として、管理部門スタッフ、内部監査担当の採用活動を計画的に行ってまいります。
⑦業績の季節変動性による影響について
例年、防災関連、受託案件において、2月から3月の期末に納品が集中する傾向があります。防災関連においては、注文が経済環境の変化等により縮小した場合、あるいは受託案件の集中により、納期の遅延が発生した場合、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
当該リスクの対応策として、第1四半期及び第2四半期の売上高を拡大させる施策を検討し、行ってまいります。
なお、第17期(2020年3月期)中における各四半期業績の推移は以下の通りであります。
|
|
第17期 第1四半期会計期間 |
第17期 第2四半期会計期間 |
第17期 第3四半期会計期間 |
第17期 第4四半期会計期間 |
|
売上高(千円) |
138,840 |
172,493 |
196,936 |
310,857 |
|
営業利益(千円) |
11,592 |
51,834 |
69,487 |
140,745 |
(注)売上高には消費税等は含まれておりません。
⑧取引依存度の高い取引先による影響について
本書提出日現在の当社の売上について、株式会社NTTドコモ及び株式会社AHSへの依存度が大きくなっております。2020年3月期において、売上高に占める割合は、株式会社NTTドコモが20.2%、株式会社AHSが8.1%となっており、今後、様々な理由により、株式会社NTTドコモ、あるいは、株式会社AHSとの取引が縮小した場合、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
当該リスクの対応策として、上記2社以外の売上を伸ばしていく営業体制の整備を行ってまいります。
⑨大規模災害による影響について
当社では、自然災害、事故等に備え、プログラム等の重要なリソースにつき、定期的にバックアップをとっており、また、研究開発部門は関西、製品開発部門は東京と分散して事業を展開しております。
しかしながら、当社本店または研究開発部門の所在地近辺において、大地震等の自然災害が発生し、当社設備の損壊が発生した場合、研究開発もしくは製品開発が滞り、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
当該リスクの対応策として、テレワーク体制の整備を行ってまいります。
⑩システム障害による影響について
当社は、クラウドサービス「AICloud®」を提供しており、大手クラウドサービス事業者を利用し、冗長化構成をとり、また、外部へ委託し、24時間365日の有人監視を行うなど、システムの安定的な運用に努めております。
しかしながら、アクセスの集中による負荷の増加、あるいは、地震などの自然災害等、システムに予期せぬ障害が発生した場合、当社の事業及び業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。
当該リスクの対応策として、バックアップデータを元に早期復旧する体制の整備を行ってまいります。
⑪情報セキュリティによる影響について
当社は、音声合成エンジンをライセンスするにあたり、顧客の機密情報を知りえる立場にあります。「情報セキュリティ基本方針」に基づき、情報の適切な管理に努めておりますが、コンピューターウイルス、不正アクセス等の理由により、これらの機密情報の漏洩や改竄などが発生した場合、顧客企業等から損害賠償請求や当社の信用失墜の事態を招き、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
当該リスクの対応策として、「情報セキュリティ基本方針」に基づいた監視体制の整備を行ってまいります。
⑫法的規制等について
当社は、メールアドレスを始めとする顧客情報を保有しており、「個人情報の保護に関する法律」の適用を受けております。これらの個人情報につきましては、「個人情報保護方針」に基づき適切に管理するとともに、「個人情報保護規程」を定めており、社内教育の徹底と管理体制の構築を行っております。当社は事業を遂行していくうえで、各種法令及び規制等の適用を受けておりますが、現状においては、当社の事業継続に著しく重要な影響を及ぼす法的規制等はないものと認識しております。
しかしながら、今後予期せぬ法令等の制定、既存の法令等の解釈の変更がなされた場合、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
当該リスクの対応策として、法令等の制定、改定を確認し、適宜社内の管理体制を見直してまいります。
⑬知的財産権等に関する侵害による影響について
当社は、第三者の知的財産権を侵害していないことの確認を、研究開発部門、製品開発部門が必要に応じて専門家に相談しながら進めておりますが、チェックが十分でない場合、認識不足等、何らかの不備により、第三者の知的財産権等を侵害する可能性があります。第三者からの損害賠償請求、使用差し止め等の訴えを起こされた場合、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
当該リスクの対応策として、専門家と連携し、知的財産権等に関する事前調査の徹底を行ってまいります。
(1)経営成績等の状況の概要
当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当事業年度におけるわが国経済は、企業の働き方改革による雇用・所得環境の改善、オリンピック関連工事の増加、ラグビーワールドカップの日本開催、消費税増税前の駆け込み需要などにより、内需は堅調に推移していました。しかし、新型コロナウイルス感染症が世界的に大流行すると状況は一変し、海外からの観光客の激減、国内イベントの中止、外出自粛などの影響により個人消費が減少、企業収益の悪化が避けられない状況となりました。
当社が属する音声合成市場は、電話自動応答システム、カーナビゲーション、防災行政無線などの情報伝達手段としての利用用途から、AI(人工知能)の品質向上により、コミュニケーションロボット、車載器の対話システムなど、対話型の利用用途へと変化し、更に、海外からの観光客の増加、東京オリンピック開催に向け、外国人への情報提供手段としての利用用途として音声合成市場は順調に推移してきましたが、昨今の働き方改革、新型コロナウイルス感染症の拡大によるテレワーク、在宅学習の推進等により、e-ラーニング用途での利用が拡大している状況にあります。音声合成市場は、様々な企業参入により競争が激化しており、より品質の高い技術を投入するために研究開発費、製品開発費が増加する傾向にありますが、当社は今後更なる成長機会と捉え、「エーアイは音声技術で社会に新しい価値をつくり続けます」の企業理念のもと、積極的かつ堅実に事業を進めてまいります。
当事業年度の音声合成事業は、コンシューマー向け製品の売上が苦戦しましたが、法人向け製品の売上、法人向けサービスの売上は順調に推移しました。
この結果、当事業年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
ⅰ.財政状態
(資産)
当事業年度末の資産合計は、前事業年度末と比較して22,828千円減少し、1,189,149千円となりました。
(負債)
当事業年度末の負債合計は、前事業年度末と比較して32,820千円増加し、141,214千円となりました。
(純資産)
当事業年度末の純資産合計は、前事業年度末と比較して55,649千円減少し、1,047,934千円となりました。
ⅱ.経営成績
当事業年度の売上高は819,128千円(前年同期比11.1%増)、営業利益は273,659千円(同29.6%増)、経常利
益は273,236千円(同35.1%増)、当期純利益は172,578千円(同14.9%増)となりました。
なお当社は音声合成事業の単一セグメントであるため、セグメントごとの記載はしておりませんが、特性に応じた3つの区分別の売上高につきましては、法人向け製品499,337千円(前年同期比17.8%増)、法人向けサービス229,450千円(同9.9%増)、コンシューマー向け製品90,339千円(同13.5%減)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前事業年度末と比較して5,595千円減少し、964,515千円となりました。
当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度において営業活動の結果得られた資金は、217,309千円(前事業年度は135,800千円の収入)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度において投資活動の結果得られた資金は、6,452千円(前事業年度は59,202千円の支出)となりま
した。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度において財務活動により支出した資金は、229,357千円(前事業年度は257,475千円の収入)となりました。
③生産、受注及び販売の実績
ⅰ.生産実績
当社は生産活動を行っておりませんので、該当事項はありません。
ⅱ.受注実績
当社は、提供する主要なサービスの性格上、受注実績の記載になじまないため、記載を省略しております。
ⅲ.販売実績
当社は音声合成事業の単一セグメントのため、当事業年度の販売実績をサービス区分別に示すと、次のとおり
であります。
|
サービスの名称 |
当事業年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) |
前年同期比(%) |
|
法人向け製品 (千円) |
499,337 |
117.8 |
|
法人向けサービス (千円) |
229,450 |
109.9 |
|
コンシューマー向け製品 (千円) |
90,339 |
86.5 |
|
合計 (千円) |
819,128 |
111.1 |
(注)1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2.最近2事業年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
|
相手先 |
前事業年度 (自 2018年4月1日 至 2019年3月31日) |
当事業年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) |
||
|
金額(千円) |
割合(%) |
金額(千円) |
割合(%) |
|
|
株式会社NTTドコモ |
167,238 |
22.7 |
165,215 |
20.2 |
|
株式会社AHS |
75,228 |
10.2 |
66,400 |
8.1 |
3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社の当事業年度の財政状態及び経営成績は、次のとおりであります。
ⅰ.財政状態
(資産)
当事業年度末の資産合計は、前事業年度末と比較して22,828千円減少し、1,189,149千円となりました。これは主に、売掛金が29,020千円増加したものの、投資有価証券が45,134千円減少したことによるものです。
(負債)
当事業年度末の負債合計は、前事業年度末と比較して32,820千円増加し、141,214千円となりました。これは主に、未払法人税等が19,219千円、買掛金が10,050千円増加したことによるものです。
(純資産)
当事業年度末の純資産合計は、前事業年度末と比較して55,649千円減少し、1,047,934千円となりました。これは主に、自己株式が199,680千円増加したこと、及び、当期純利益の計上により利益剰余金が172,578千円増加、配当金の支払いにより利益剰余金が40,287千円減少したことによるものです。
ⅱ.経営成績
(売上高)
当事業年度の売上高は819,128千円(前年同期比11.1%増)となり、前事業年度より、81,963千円の増加となりました。これは、e-ラーニング用途において、音声収録の代わりに音声ファイル作成パッケージソフト「AITalk®声の職人®」や「AITalk®声プラス®」の利用が増加、防災分野における翻訳機能付多言語案件の増加、放送業界における音声合成の活用の拡がり等により、法人向け製品の売上が前年同期比17.8%増となったこと、及び、(株)NTTドコモを始めとする法人向けに「AITalk®WebAPI」の利用が増加したこと等により、法人向けサービスが前年同期比9.9%増と順調に推移したことによるものであります。一方で、コンシューマー向けパッケージ「VOICEROID®」シリーズの販売減等により、コンシューマー向け製品は前年同期比13.5%減となりました。
(営業利益)
売上高の増加及び外注費の内製化等により製造原価が減少し、当事業年度の営業利益は273,659千円(前年同期比29.6%増)となりました。
(経常利益)
売上高及び営業利益の増加により、当事業年度の経常利益は273,236千円(前年同期比35.1%増)となりました。
(当期純利益)
投資有価証券評価損の計上があったものの、売上高及び営業利益の増加がそれを吸収し、当事業年度の当期純利益は172,578千円(前年同期比14.9%増)となりました。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社の当事業年度のキャッシュ・フローは、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度において営業活動の結果得られた資金は、217,309千円(前事業年度は135,800千円の収入)となりました。これは主に、売上債権の増加額29,019千円、法人税等の支払額56,114千円等があったものの、投資有価証券評価損45,134千円、売上増加に伴う税引前当期純利益243,147千円の計上があったことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度において投資活動の結果得られた資金は、6,452千円(前事業年度は59,202千円の支出)となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出7,764千円等があったものの、投資有価証券の売却による収入15,400千円があったことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度において財務活動により支出した資金は、229,357千円(前事業年度は257,475千円の収入)となりました。これは主に自己株式の取得による支出200,079千円、配当金の支払額40,227千円によるものです。
当社の資本の財源及び資金の流動性については、次のとおりであります。
(資金需要)
当社の運転資金需要の主なものは、多言語のライセンス使用によるロイヤリティ支払や翻訳等のカスタマイズ開発の仕入、スタジオ収録費用の支払のほか、販売費及び一般管理費等の営業費用等、研究活動における機能拡充・強化等によるものであります。
(財務政策)
当社の運転資金につきましては、手持資金(利益等の内部留保資金)で賄っております。自己資金で手当できない場合、借入による調達となりますが、借入先・借入金額・条件等は、所定の手続きにより承認後、資金調達を行うことになります。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成にあたっては、財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与えるような見積り、予測を必要としております。当社は、過去の実績値や状況を踏まえ合理的と判断される前提に基づき、継続的に見積り、予測を行っており、財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりです。
(投資有価証券)
当社が保有するその他有価証券は、時価のないものであります。時価の見積り方法として、毎期、超過収益力が継続しているか、今後も超過収益力が見込まれるかを、発行体の実行可能かつ合理的な事業計画に基づいて一定期間内(概ね5年以内)に回復可能性が十分にあるか否かを検討し、その結果、減少した超過収益力を反映した実質価額が著しく低下した判定結果となった場合は、減損処理を行うこととしております。
当社の減損処理を判断する基準は合理的なものであると考えておりますが、予測できない今後の発行体の業績の見通しとその結果により予想される財政状態の変化によって、回復可能性の判断は影響を受け有価証券の評価に影響を与える可能性があります。なお、2020年3月期において、特別損益に投資有価証券評価損を45,134千円認識しております。
当社の財務諸表の作成に当たって採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 重要な会計方針」に記載しております。
該当事項はありません。
当事業年度の研究開発活動は、「エーアイは音声技術で社会に新しい価値をつくり続けます」を企業理念に掲げ、「高品質、高付加価値を有する日本語音声合成エンジン」を開発すべく、日々研究を積み重ねております。
2020年3月31日現在の研究開発体制は11名となっており、当事業年度における当社の支出した研究開発費の総額は
なお、当社は音声合成事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載は省略しております。
研究活動の状況は、言語処理、音声処理、エンジン開発の3グループにて、以下の研究開発活動を行いました。
<言語処理>
音声合成向け日本語処理技術の向上を目指し以下の活動を行いました。
①日本語形態素解析Mecabの辞書エントリーの追加により形態素解析の解析精度の向上を図りました。
②日本語言語解析におけるポーズ位置推定に深層学習技術の導入を検討し、実験において従来のポーズ位置推定と比較して高精度なポーズ位置推定を実現できることを確認しました。
③日本語言語辞書の効率的な整備を実現するために辞書作成関連ツールの整備を実施しました。また、今後は製品開発部門と密に連携し、言語辞書の効率的な品質向上を進めていきます。
<音声処理>
新しい高品質な音声合成エンジンの開発を進めるにあたり、以下の活動を行いました。
①DNNパラメトリック音声合成において、音声の統計的な特徴を考慮した学習法を開発し、従来のDNN音声合成と比較して品質が大幅に改善することを確認しました。また、この成果は国内学会や査読付き国際ワークショップにおいて発表を行いました。
②DNNパラメトリック音声合成の次世代応用技術のため、18名の新規話者の収録を実施しました。現在、これらの話者を用いて次世代技術の開発を進めています。
③名古屋大学との共同研究にて、昨年度成果の対外発表を実施しました。またリアルタイムニューラルボコーダーの基礎的な検証を完了し、技術移転を実施しました。
<エンジン開発>
研究開発された言語・音声の新規アルゴリズムの早期実用化を進めるため、以下の開発を行いました。
①AITalk®5向け音声合成エンジンの開発を実施しました。本エンジンではDNNパラメトリック音声合成方式を搭載し、従来よりも品質が高くなめらかな合成音声の生成を実現しています。
②昨年度に引き続き、Cerence社多言語音声合成エンジンの日本語エンジンとして弊社の合成エンジンを統合可能にするために、エンジンAPIの改良及び新規機能を追加しました。