文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において、当社が判断したものであります。
(1)経営方針
当社の経営の基本方針は、先進的で高品質な音声技術を安定的に提供することにあります。企業理念として掲げる「エーアイは音声技術で社会に新しい価値をつくり続けます」を実現するために、独自の音声技術を駆使して様々な分野に新たな価値を提案し、挑戦することが重要であると考えております。
(2)経営戦略等
中長期的な企業価値の向上や競争力の強化に向け積極的に投資を行い、次世代音声合成エンジン開発、音声認識、翻訳との連携、対話ソリューション(多言語含む)を提供する予定であります。
具体的には、コンシューマー向けビジネスにおけるA.I.VOICEの積極展開、法人向けビジネスにおけるインサイドセールスの強化及び車載分野の拡大を実現することが重要課題であると考えております。事業領域の拡大にあたり、音声認識、翻訳、多言語音声合成等の技術を保有している他社との連携を推進し、事業の成長スピードの向上に努めてまいります。
(3)経営環境
当社が属する音声合成市場におきましては、ウィズコロナの下、会社や学校ではテレワーク、在宅学習の取り組みが定着してきており、eラーニング資料・動画におけるナレーション作成といった法人向け製品の需要拡大が見込まれております。また、コンシューマー向け製品では、国内外での需要拡大も見込まれております。さらにはAI分野、eラーニング分野など利用機会が増加傾向にあることから、今後ますます音声技術の業界が重要な役割を担っていくものと想定しております。
当社が今後継続的な発展を実現するために、当社経営陣は、最善の経営方針を立案するよう努めてまいります。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
①新技術の研究開発
音声合成の利用が拡大してきたことに伴い、研究開発のスピードも加速しております。この数年、各分野で深層学習の研究が盛んに行われておりますが、音声合成分野においても、深層学習(DNN:Deep Neural Network)を活用した新しい音声合成技術の研究が進められております。当社においても、最新の技術をキャッチアップし、また、顧客ニーズの変化を捉え、新しい製品・サービスを市場に投入していくことが重要であると考えております。
②人材の確保及び育成
新しい技術、新しい製品・サービスを継続的に研究開発し、販売していくためには、優秀な人材の継続的確保が重要であると考えております。また、音声技術という特殊分野であるため、採用した研究者、開発者及び営業担当者の育成が重要であると考えております。
③安定収入の確保
当社の事業基盤はライセンスビジネスであり、音声合成エンジンの使用許諾を与えることにより、継続的に許諾料を頂くモデルであります。現在は、月額使用料、ロイヤリティ、継続的なクラウドサービスの利用、サポートサービス等で継続的な安定収入を確保しております。今後、事業を拡大していくにあたり、新規事業の開発及び安定的な収入を確保することが重要であると考えております。
④新しいマーケットの創出
音声合成が広く利用される様になり、今後、様々な分野において利用が進むものと考えておりますが、現在、確立されたマーケットは、電話の自動応答システム、防災行政無線、音声対話、eラーニング等、まだまだ限られたものであります。更に、新しいマーケットを創出していくことが重要であると考えております。
⑤内部管理体制の充実
当社は、今後継続的に事業を拡大していくためには、コーポレート・ガバナンス機能の強化は必須であり、内部統制システムの適切な整備及び運用が重要であると考えております。また、成長のステージに応じて人的強化を行い、内部管理体制の構築を図ってまいります。
⑥ブランディング
当社の今後の成長のためには、音声合成技術を世の中に広めるとともに、「音声技術のエーアイ」「音声合成=AITalk®・A.I.VOICE™」と認知されるように、ブランディングしていくことが重要であると考えております。
(5)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
先進的で高品質な音声技術サービスを安定的に提供していくためには、健全な財務基盤の維持が重要であると考えており、営業利益率20%以上の維持を収益性の指標の一つとしております。
当社の経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標は、売上高、営業利益、当期純利益、営業利益率であります。
2023年3月期の目標値は、売上高800,000千円(前期比5.7%増)、営業利益140,000千円(同24.9%増)、当期純利益100,000千円(同19.4%増)、営業利益率17.5%であります。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が提出会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
①音声合成業界の動向について
音声合成業界は、古くは、電話の自動応答システムからスタートし、防災行政無線、カーナビゲーション、スマートフォンでの音声対話へと発展してまいりました。本格的に実用化されてからの歴史は浅く、まだ15年程であります。この間、急速に市場が発展しており、また今後新しい市場としては、観光分野、高齢化社会における福祉用途、大阪万博へ向けた外国人向け音声ガイダンス等々、様々な分野での拡がりが期待できます。
また、新型コロナウイルス感染症などの影響によりテレワーク等の働き方改革が進み、eラーニング等の教材における音声合成の利用が進むことが期待される一方で、各市場が期待通りに拡大しない場合、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。具体的には、積極的な営業が困難になることにより、ロイヤリティ、Custom Voice、基本ライセンスといった法人向け製品の売上が伸び悩むと予想しております。
当該リスクの対応策として、eラーニング資料のナレーション作成や、ガイダンス音声の作成といった法人向け製品、コンシューマー向け製品の売上拡大を目的としたWEB広告出稿や独自ブランド「A.I.VOICE」の販売、新たな試みとして、定期的にユーチューブ生放送を行い、コンシューマー向け製品の認知度向上を目指してまいります。
②技術革新による影響について
音声合成業界において、技術革新が進んでおります。当社が2020年5月より提供を開始しました音声合成エンジン「AITalk®5」は、音声処理部において従来の「波形接続型音声合成方式」とともに「DNNパラメトリック音声合成方式」を提供しており、現時点では合成音声の品質の観点で優位性を確保しております。
しかしながら、当該技術が主流となり、かつ当社の継続的な研究開発が停滞した場合、投資に対する十分な成果を得られず、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
当該リスクの対応策として、名古屋工業大学徳田・南角・橋本研究室との非タスク指向型対話音声合成に関する共同研究及び開発を行ってまいります。
③競合他社による影響について
当社が提供する音声合成エンジン「AITalk®」の主な競合先は、HOYA株式会社(ReadSpeaker)、コエステ株式会社(コエステーション)となります。また、新興企業による事業参入も増えており、競争環境は激化しております。当社は音声合成に特化して事業を展開しており、研究開発、製品開発、販売、サポートを一気通貫で提供することにより、ユーザーの要望にも迅速かつ柔軟に対応し、シェアを確保しております。
しかしながら、競合他社企業のうち、大手企業は要員を拡充し、事業展開を加速した場合、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。また、「Google Cloud Platform(GCP)」の「Cloud Text-to-Speech」あるいは「Amazon Web Services(AWS)」の「Amazon Polly」等の大手企業がクラウドサービスプラットフォームの一部として提供している低価格なサービスにおいて、音声合成エンジンの日本語の品質・技術向上が図られた場合、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
当該リスクの対応策として、定期的に競合他社の動向を調査し、優位性を維持する体制整備を行ってまいります。
④業務提携による影響について
今後、日本語音声合成に加えて、音声認識、意図解釈、翻訳、多言語等と連携した利用が拡大するものと考えております。当社においては、日本語音声合成をコア技術と位置づけ、音声認識、意図解釈、翻訳、多言語等の連携技術については、他社との業務提携を推進していきます。したがって、他社の状況に影響を受ける可能性があり、その結果、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
当該リスクの対応策として、業務提携先との友好な関係とコミュニケーションの維持を行ってまいります。
⑤人材の確保及び育成による影響について
当社は、音声合成という特殊な分野で研究開発、製品開発、販売、サポートを全て自社内で行っておりますが、2022年3月末現在、従業員数51名と少数精鋭で事業を展開しております。特に、研究者、開発者は、育成に時間が要することから、優秀な人材を確保するとともに、人材の流出を防止するための環境構築が重要であると考えております。
しかしながら、IT業界における人材獲得競争が激しく、計画通り人材の採用ができない場合、もしくは優秀な人材が流出してしまった場合、業務運営に支障をきたし、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
当該リスクの対応策として、フレックスタイム制度、在宅勤務制度等の働きやすい環境の整備、優秀な人材を確保すべく採用活動を計画的に行ってまいります。
⑥内部管理体制について
当社は、企業価値の継続的な向上のためには、コーポレート・ガバナンスが有効に機能することが重要であると認識し、適正な業務分担、財務報告の信頼性、法令遵守を徹底するため、内部管理体制の充実を図ってまいります。
しかしながら、業務の拡大に内部管理体制が追いつかない状況が発生した場合、適切な業務運営が困難となり、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
当該リスクの対応策として、管理部門スタッフ、内部監査担当の採用活動を計画的に行ってまいります。
⑦取引依存度の高い業界による影響について
本書提出日現在の当社の売上について、防災分野への依存度が大きくなっております。2022年3月度において、売上高に占める割合は10%以上となっており、今後、様々な理由により、同分野での売上高が減少した場合、当社の事業及び業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。
当該リスクの対応策として、防災メーカーとの継続的、安定的な関係構築に努めてまいります。
⑧取引依存度の高い取引先による影響について
本書提出日現在の当社の売上について、株式会社NTTドコモへの依存度が大きくなっております。2022年3月期において、売上高に占める割合は15.5%となっており、今後、様々な理由により、株式会社NTTドコモとの取引が縮小した場合、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
当該リスクの対応策として、上記以外の売上を伸ばしていく営業体制の整備を行ってまいります。
⑨大規模災害による影響について
当社では、自然災害、事故等に備え、プログラム等の重要なリソースにつき、定期的にバックアップをとっており、また、研究開発部門は関西、製品開発部門は東京と分散して事業を展開しております。
しかしながら、当社本店または研究開発部門の所在地近辺において、大地震等の自然災害が発生し、当社設備の損壊が発生した場合、研究開発もしくは製品開発が滞り、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
当該リスクの対応策として、テレワーク体制の整備を行ってまいります。
⑩システム障害による影響について
当社は、クラウドサービス「AICloud®」を提供しており、大手クラウドサービス事業者を利用し、冗長化構成をとり、また、外部へ委託し、24時間365日の有人監視を行うなど、システムの安定的な運用に努めております。
しかしながら、アクセスの集中による負荷の増加、あるいは、地震などの自然災害等、システムに予期せぬ障害が発生した場合、当社の事業及び業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。
当該リスクの対応策として、バックアップデータを元に早期復旧する体制の整備を行ってまいります。
⑪情報セキュリティによる影響について
当社は、音声合成エンジンをライセンスするにあたり、顧客の機密情報を知りえる立場にあります。「情報セキュリティ基本方針」に基づき、情報の適切な管理に努めておりますが、コンピューターウイルス、不正アクセス等の理由により、これらの機密情報の漏洩や改竄などが発生した場合、顧客企業等から損害賠償請求や当社の信用失墜の事態を招き、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
当該リスクの対応策として、「情報セキュリティ基本方針」に基づいた監視体制の整備を行ってまいります。
⑫法的規制等について
当社は、メールアドレスを始めとする顧客情報を保有しており、「個人情報の保護に関する法律」の適用を受けております。これらの個人情報につきましては、「個人情報保護方針」に基づき適切に管理するとともに、「個人情報保護規程」を定めており、社内教育の徹底と管理体制の構築を行っております。当社は事業を遂行していくうえで、各種法令及び規制等の適用を受けておりますが、現状においては、当社の事業継続に著しく重要な影響を及ぼす法的規制等はないものと認識しております。
しかしながら、今後予期せぬ法令等の制定、既存の法令等の解釈の変更がなされた場合、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
当該リスクの対応策として、法令等の制定、改定を確認し、適宜社内の管理体制を見直してまいります。
⑬知的財産権等に関する侵害による影響について
当社は、第三者の知的財産権を侵害していないことの確認を、研究開発部門、製品開発部門が必要に応じて専門家に相談しながら進めておりますが、チェックが十分でない場合、認識不足等、何らかの不備により、第三者の知的財産権等を侵害する可能性があります。第三者からの損害賠償請求、使用差し止め等の訴えを起こされた場合、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
当該リスクの対応策として、専門家と連携し、知的財産権等に関する事前調査の徹底を行ってまいります。
(1)経営成績等の状況の概要
当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当事業年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響により厳しい状況が続いていたものの、ワクチン接種等による感染状況の改善傾向がみられ、経済活動の再開へ期待が高まっておりましたが、新たな変異株の出現による感染の再拡大など、依然として極めて不透明な状況にありました。
当社を取り巻く環境においては、「緊急防災・減災事業債」における地方交付税措置が、当初令和2年度まで とされていたことに伴い、防災案件が前期、前々期に集中したことによる反動で減少し、また、大型受託案件の終了に伴い、当期は受託案件が縮小したことにより法人向け製品の売上が大幅に減少となった結果、前事業年度を下回る売上高となりましたが、コンシューマー向け製品の需要は引き続き拡大しております。
当社は需要が拡大している分野への拡販に向けて、営業・研究開発体制の強化を進めるとともに、eラーニング教材、動画等のナレーション作成用途での、「AITalk® 声の職人®」、「AITalk® 声プラス®」等のパッケージ製品及び、個人向けオリジナルブランド「A.I.VOICE™」の展開、名古屋工業大学徳田・南角・橋本研究室との共同研究を進めております。
この結果、当事業年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
ⅰ.財政状態
(資産)
当事業年度末の資産合計は、前事業年度末と比較して2,928千円増加し、1,354,931千円となりました。
(負債)
当事業年度末の負債合計は、前事業年度末と比較して44,655千円減少し、75,326千円となりました。
(純資産)
当事業年度末の純資産合計は、前事業年度末と比較して47,583千円増加し、1,279,605千円となりました。
ⅱ.経営成績
当事業年度の売上高は756,568千円、営業利益は112,130千円、経常利益は109,742千円、当期純利益は83,759千円となりました。当社は音声合成事業の単一セグメントであるため、セグメントごとの記載はしておりませんが、特性に応じた3つの区分別の売上高につきましては、法人向け製品339,876千円、法人向けサービス202,948千円、コンシューマー向け製品213,742千円となりました。
なお、当事業年度の期首より「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を適用した後の金額となっており、対前期増減率は記載しておりません。
②キャッシュ・フローの状況
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前事業年度末と比較して78,117千円増加し、1,179,476千円となりました。
当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度において営業活動の結果得られた資金は、130,558千円(前事業年度は180,600千円の収入)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度において投資活動により支出した資金は、8,846千円(前事業年度は11,856千円の支出)となりま
した。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度において財務活動により支出した資金は、43,594千円(前事業年度は31,900千円の支出)となりました。
③生産、受注及び販売の実績
ⅰ.生産実績
当社は生産活動を行っておりませんので、該当事項はありません。
ⅱ.受注実績
当社は、提供する主要なサービスの性格上、受注実績の記載になじまないため、記載を省略しております。
ⅲ.販売実績
当社は音声合成事業の単一セグメントのため、当事業年度の販売実績をサービス区分別に示すと、次のとおりであります。
|
サービスの名称 |
当事業年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
|
法人向け製品 (千円) |
339,876 |
|
法人向けサービス (千円) |
202,948 |
|
コンシューマー向け製品 (千円) |
213,742 |
|
合計 (千円) |
756,568 |
(注)1.当事業年度の期首より「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を適用した後の金額となっており、前事業年度比(%)は記載しておりません。
2.最近2事業年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
|
相手先 |
前事業年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) |
当事業年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
||
|
金額(千円) |
割合(%) |
金額(千円) |
割合(%) |
|
|
株式会社NTTドコモ |
152,633 |
17.2 |
117,152 |
15.5 |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社の当事業年度の財政状態及び経営成績は、次のとおりであります。
ⅰ.財政状態
(資産)
当事業年度末の資産合計は、前事業年度末と比較して2,928千円増加し、1,354,931千円となりました。これは主に、売掛金が84,994千円減少したものの、現金及び預金が78,117千円、商品及び製品が4,223千円、流動資産のその他に含まれる未収消費税が5,661千円増加したことによるものです。
(負債)
当事業年度末の負債合計は、前事業年度末と比較して44,655千円減少し、75,326千円となりました。これは主に、未払法人税等が33,494千円、預り金が6,750千円、未払金が4,509千円減少したことによるものです。
(純資産)
当事業年度末の純資産合計は、前事業年度末と比較して47,583千円増加し、1,279,605千円となりました。これは主に、当期純利益の計上により利益剰余金が83,759千円増加、配当金の支払いにより利益剰余金が42,907千円減少したことによるものです。
ⅱ.経営成績
(売上高)
当事業年度の売上高は756,568千円となりました。これは、コロナ禍の状況が継続する中、個人の巣ごもり需要、企業や学校のテレワーク、オンライン学習対応の推進が継続していること等により、コンシューマー向けパッケージ「A.I.VOICE™」シリーズ、法人向けパッケージ「AITalk®声の職人®」や「AITalk®声プラス®」の販売が堅調に推移した一方で、前期は堅調に推移した防災分野が低調に推移しました。また、「A.I.VOICE™」シリーズの新製品リリースが一部後ろ倒しになったことも、売上高が期初の予定から減少した要因となりました。
(営業利益)
売上高が期初の予定から減少したこと、「A.I.VOICE™」事業の拡大により商品及び製品仕入高が増加したこと、研究開発費の増加等により販売費及び一般管理費が35,045千円増加したことにより、当事業年度の営業利益は112,130千円となりました。
(経常利益)
営業利益の減少及び支払手数料の発生により、当事業年度の経常利益は109,742千円となりました。
(当期純利益)
経常利益の減少、固定資産除却損の計上、法人税等の計上により、当事業年度の当期純利益は83,759千円となりました。
なお、当事業年度の期首より「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を適用した後の金額となっており、対前期増減率は記載しておりません。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社の当事業年度のキャッシュ・フローは、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度において営業活動の結果得られた資金は、130,558千円(前事業年度は180,600千円の収入)となりました。これは主に、法人税等の支払額65,164千円等があったものの、売上債権の減少額84,993千円、税引前当期純利益109,126千円の計上があったことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度において投資活動により支出した資金は、8,846千円(前事業年度は11,856千円の支出)となりました。これは有形固定資産の取得による支出5,194千円、無形固定資産の取得による支出3,651千円があったことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度において財務活動により支出した資金は、43,594千円(前事業年度は31,900千円の支出)となりました。これは主に配当金の支払額42,874千円によるものです。
当社の資本の財源及び資金の流動性については、次のとおりであります。
(資金需要)
当社の運転資金需要の主なものは、多言語のライセンス使用によるロイヤリティ支払や翻訳等のカスタマイズ開発の仕入、スタジオ収録費用の支払のほか、販売費及び一般管理費等に含まれる営業費用、研究活動における機能拡充・強化等に係る費用であります。
(財務政策)
当社の運転資金につきましては、手持資金(利益等の内部留保資金)で賄っております。自己資金で手当できない場合、借入による調達となりますが、借入先・借入金額・条件等は、所定の手続きにより承認後、資金調達を行うことになります。
該当事項はありません。
当事業年度の研究開発活動は、「エーアイは音声技術で社会に新しい価値をつくり続けます」を企業理念に掲げ、「高品質、高付加価値を有する日本語音声合成エンジン」を実現すべく、日々研究・開発を積み重ねております。
当事業年度では、基礎研究として、「日本語音声合成エンジンAITalk®の品質向上」、「名古屋大学との共同研究」ならびに「名古屋工業大学との共同研究」を実施しました。また、製品開発では、「コンシューマー向け音声合成ソフトウエアA.I.VOICE™に関する開発・キャラクターの拡充」に注力しました。当事業年度における当社の支出した研究開発費の総額は
なお、当社は音声合成事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載は省略しております。
当事業年度の研究開発活動の状況は、以下のとおりとなります。
①AITalk®の品質向上
本研究においては、「日本語言語解析の精度向上」及び「DNNパラメトリック音声合成の品質向上」について、以下の研究を行いました。
ⅰ.日本語言語解析の精度向上
日本語言語解析の品質の基本となる言語辞書の継続的な品質向上のほか、より自然な言語的な表現の実現を目指し、DNN(ディープニューラルネットワーク)を利用したポーズ位置推定及び合成音声における文末表現指令の推定技術の研究開発を実施しました。
ⅱ.DNNパラメトリック音声合成の品質向上
音声波形の高品質化を目指し、当社独自のニューラルボコーダ技術の開発に取り組みました。また、DNNパラメトリック音声合成技術を応用し、波形接続音声合成向けの波形データ拡張システムの開発を行いました。これにより従来よりも少ない収録音声で高品質な波形接続方式の音声合成の提供が可能になると見込まれます。
②名古屋大学との共同研究
本共同研究においては、収録におけるコスト軽減、並びに言語辞書作成コストの低減などを目的とし、自然言語処理技術の一つであるテキストスタイル変換技術に関する研究を実施しました。本共同研究については一定の成果に達したため、当事業年度をもって終了としました。
③名古屋工業大学との共同研究
当事業年度より、「ユーザーによる制御を可能とした音声対話システム向け音声合成の開発」を目的とし、名古屋工業大学との共同研究を開始しました。本研究の成果により、将来的に普及が見込まれる音声対話システムにおいて、場面に応じてより適した発話表現を有する自然な応答音声の提供が可能になることが見込まれます。
④A.I.VOICE™に関する開発・キャラクターの拡充
前事業年度より、「コンシューマー向け音声合成ソフトウエアA.I.VOICE™」の販売を開始し、当初は、「琴葉茜・葵」、「伊織弓鶴」の販売を開始しました。当事業年度は、エディタ並びに既存ライブラリのバージョンアップのほか、「結月ゆかり」、「紲星あかり」、「羽ノ華」を製品化しました。また、株式会社テクノスピーチと協業し、日本語合成ライブラリ「琴葉茜・葵」の英語版ライブラリ「A.I.VOICE Kotonoha Akane&Aoi English」を開発、製品化し、引き続き中国語のライブラリの開発、製品化を進めております。