第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)会社の経営の基本方針

 当社グループは、「新たな価値を生みだす世界的なマーケットプレイスを創る」をミッションに掲げ、スマートフォンにおいて個人間で簡単に中古品を売買できるCtoCマーケットプレイス「メルカリ」等のサービスを提供しております。

 

(2)目標とする経営指標

 当社グループは、日本、米国及び英国で事業展開をしており、各地域によって成長ステージが異なっております。そのため、流通総額及び売上高の成長を通じて企業価値の向上を図って参ります。

 

(3)中長期的な会社の経営戦略

 当社グループは、以下の強みを背景に中長期的な経営戦略を立案しております。

当社グループの強み

① 中古品市場の拡大をけん引するCtoCマーケットプレイスのパイオニア

平成30年4月の経済産業省の「平成29年度我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備(電子商取引に関する市場調査)」によると、経済産業省が推定した1年のうちに不要になるものの価値は日本だけでも約7.6兆円にのぼるのに対し、平成29年の中古品市場規模(自動車、バイクを除く。)は総額約2.1兆円であり、そのうち「メルカリ」などのフリマアプリ市場はわずか4,835億円となっております。上記のとおり、日本の中古品市場には高い成長ポテンシャルがあり、当社グループは、「メルカリ」の更なる普及によって、家庭で生み出される不要品を消費者がより簡単・手軽に売買するようになれば、中古品市場を更に拡大させることができると確信しております。

当社グループは、使いやすく楽しく、かつ安全・安心なCtoCマーケットプレイスの提供を通じて、フリマアプリ市場を作り上げ、これによりオフライン店舗やインターネットオークションに限定されない日本の中古品市場全体の拡大をけん引して参りました。株式会社マクロミルが平成29年5月に実施した調査によれば、日本でフリマアプリを利用したことがある利用者の約94%は、当社サービス「メルカリ」の利用経験があるとされており、他社のサービスを上回る支持を獲得しております。当社グループは、このようなCtoCマーケットプレイスのパイオニアとしての圧倒的なポジショニングを活用することで、上記の中古品市場の高い市場成長を享受できる立場にあると自負しております。

更に、米国をはじめとする海外においても、個人による中古品売買のニーズは高く、「メルカリ」を通じて中古品市場の成長に貢献して参ります。

 

② エンゲージメントの高いユーザ基盤及びこれを通じて得られる高付加価値のデータ

  出品者・購入者双方に楽しく夢中になれるユーザ体験を提供することで、「メルカリ」は高いユーザエンゲージメントを実現しております。「メルカリ」の登録MAUは平成30年6月期第4四半期において約11.0百万人であり平成30年1月に実施されたニールセンの調査によれば、同月の「メルカリ」の月間ユニークユーザ当たりの平均月間利用時間は5.3時間となっております。これは日本のEコマースサービスの中で最も高い数値となっており、また、世界的なSNSサービスであるFacebookやInstagramをも上回る数値となっております。当社は、上記のような高いエンゲージメントを誇るユーザ基盤を通じて、ユーザの取引情報やユーザ間における取引評価情報等、利用価値の高いデータを大量に収集することができます。これらのデータを有効活用することで、既存のサービスのユーザ体験の向上や、今後の成長に資する新規サービスの開発につなげることができると考えて、広範なユーザデータとAI技術を活用していくことで、購入者の嗜好にあわせた商品の提案等による購入転換率の向上、売れやすい出品価格の提案等による出品転換率の向上、カスタマーサポートの効率化等の実現に取り組んでおります。

(注)1登録MAUは「登録Monthly Active User」の略であり、「メルカリ」に登録しているユーザのうち、1ヶ月に一度以上「メルカリ」を利用したユーザを集計しております。また、登録MAUの四半期平均を記載しております。

2.月間ユニークユーザは、平成30年1月において「メルカリ」のモバイルアプリに一度以上利用した

ユーザ数をニールセンが推計した数値を集計しております。

 

③ CtoC特有のネットワーク効果による高いロイヤルティの獲得

  Ctoマーケットプレイスである「メルカリ」は、ネットワーク効果が強く働くサービスです。すなわち、出品者・出品数が増えれば、購入したい商品が増えるため購入者・購入数が増加し、これにより商品の流動性が高まり、更に出品者・出品数が増加していきます。更に「メルカリ」では、多くの出品者・購入者が高い頻度でサービスを利用しており、ネットワーク効果による自走的成長が促進されています。また、商品を販売して得た売上金をポイントに交換することで別の商品の購入に充てられるため、「メルカリ」で商品を販売した出品者が次の購入者となることが促進されています。その結果、ユーザの大部分は、出品者と購入者の双方として「メルカリ」を利用しています。このようなネットワーク効果による出品者や購入者からの高いロイヤルティ獲得につながり、リピートユーザによる継続的な取引への参加が流通総額の成長に大きく貢献しています。更に、ユーザの過去の取引評価の蓄積により、他のユーザが安心して取引を行うことができるとともに、ユーザ獲得競争において他の競合サービスへの流出を抑制する効果を有しています。

 

④ 高い収益性を実現するビジネスモデル

 当社グループは、日本事業において既に高い収益性を実現しています。当社単体ベースでは、平成29年6月期の営業利益4,471百万円、及び平成30年6月期の営業利益7,411百万円と営業利益が大幅に増加しました。この背景は、一定の事業規模に達するとその後の更なる事業規模拡大に際してコストを適切に管理できるというビジネスモデルにあります。具体的には、当社のコスト構造の相当の割合は広告宣伝費により構成されていますが、一般的にモバイルアプリの初期成長段階では売上高に占める広告宣伝費の割合は高くなるものの、ユーザ基盤が拡大し安定するにつれて広告宣伝費の比率を抑えることが可能になります。当初は、オンライン広告やTVCMを通じて市場プレゼンスの拡大を図ったため、広告宣伝費が収益を圧迫し、当社単体ベースで営業損失を計上しました。しかし、日本市場での規模拡大に伴い、コスト効率を向上させながら売上高の急速な成長を実現したことで、当社単体ベースでは採算性を確立しております。米国市場を中心とする海外事業及び日本国内における新規事業への先行投資に伴い、平成30年6月期は引き続き連結ベースで営業損失を計上しましたが、今後も、新規事業の拡大、採算性確保に向けて取り組んで参ります。

 

⑤ イノベーションを推進する経営陣及び企業文化

 創業者で代表取締役会長兼CEOである山田進太郎が率いる当社グループの経営陣は、ソーシャルゲームなどの革新的なスタートアップ企業の創設者や経営幹部としての経験、豊富なエンジニアリング経験等を有する多くの起業家により構成されています。当社グループの経営陣は、ソーシャルメディアやモバイルサービスにおいてユーザのエンゲージメントを高め、収益化し、規模を拡大させることに関する豊富な経験を有しています。

 当社グループの成功は、当社グループのエンジニアやその他のプロフェッショナル人材の質の高さにも起因しています。これは、当社グループの採用と継続雇用に対する投資や、「Go Bold」、「All for One」、「Be Professional」の3つの行動指針(バリュー)を尊重する企業文化を反映しています。当社グループは、日本及び米国それぞれの現地チームにおいて、経営陣及びその他の主要なプロフェッショナル人材の戦略的な拡大を継続しています。平成29年6月に、John Lagerling(現:当社取締役CBO兼米国子会社CEO)を採用し、米国の組織を強化しています。John Lagerlingは、Facebook社のヴァイスプレジデントとして新規事業開発や渉外業務を担当した経験を有しています。

当社の具体的な経営戦略

① 日本における「メルカリ」の更なる成長

 中古品売買の需要は引き続き増加しており、フリマアプリ市場における当社の圧倒的なポジショニングを活用することで、日本における「メルカリ」のユーザ基盤及び流通総額を一層拡大させることができると考えています。例えば、「メルカリ」の登録MAUは平成30年6月期第4四半期において約11.0百万人であり、Facebook、ヤフー、Twitter、LINEなどの既存のオンラインサービスのMAUと比較すると相対的にまだ小さく、今後の成長余地が大きいと考えています。

 更に、当社の依頼により平成30年2月に実施されたニールセンの調査によれば、20代、30代、40代、50代の男女いずれにおいても、「メルカリ」の潜在ユーザの数が、既存のアクティブユーザの数を上回っております。とりわけ、30代、40代、50代の男性、及び40代、50代の女性については、潜在ユーザがアクティブユーザの数を大幅に上回っており、ユーザ基盤の拡大余地が大きいことを示唆しています。

(注)1.潜在ユーザは、「メルカリ」を知っているが、過去1ヶ月以内に「メルカリ」を利用しておらず、機能・サービスの改善・追加次第では「メルカリ」を利用したいと回答した個人を集計しております。

2.アクティブユーザは、過去1ヶ月以内に「メルカリ」を利用したことがあると回答した個人を集計しております。

 

(a)ユーザ体験の更なる向上

 「メルカリ」のユーザ基盤及び流通総額を維持及び拡大するために、ユーザ体験の継続的な改善に注力して参ります。当社は、「メルカリ」のサービス開始以来、様々な革新的な機能・サービスを提供することにより、これまでは困難だった中古品の売買を、誰もが簡単に行えるという新しいユーザ体験を提供してきました。例えば、配送に関しては、ヤマト運輸株式会社や日本郵便株式会社との提携を通じ、QRコードやバーコードを利用した簡単な配送や、個人情報を相手に知られずに取引ができる匿名配送機能を提供しております。また一部のユーザ向けに提供を開始している後払いサービスを含む多様な決済手段の開発・提供や、「メルカリチャンネル」といった新機能の開発・提供も行ってきました。今後も、当社サービスの競争力の更なる向上に向け、特にAI等の先端技術への投資に注力し、ユーザ体験の更なる向上を目指して参ります。具体的には、画像認識等のAI技術を活用した商品情報の自動入力による出品プロセスの簡略化や、膨大な取引データに基づく適正価格帯の提案による出品転換率の向上や、ユーザの過去の閲覧履歴等に基づくレコメンデーション機能の提供、検索機能の強化に伴う購入転換率の向上を図って参ります。更に、AIや機械学習技術の活用により、利用規約に違反した出品の検知率向上やユーザからの問い合わせへの自動返答等によるカスタマーサポート業務の効率化を目指します。

 

(b)女性関連カテゴリー以外の商品カテゴリー強化

「メルカリ」において、女性関連カテゴリー(「レディース」、「ベビー・キッズ」及び「コスメ・美容」)以外の商品カテゴリーを更に成長させることで、ユーザ基盤の拡大に加え、単価や購入頻度の向上による流通総額の拡大を目指して参ります。

平成26年6月期(自 平成25年7月1日 至 平成26年6月30日)と平成30年6月期(自 平成29年7月1日 至 平成30年6月30日)におけるカテゴリー別流通総額を比較すると、女性関連カテゴリーが52%(平成26年6月期)を占めておりましたが、平成30年6月期時点では39%となり、女性関連以外の商品カテゴリーが伸長しております。今後も、マーケティング施策や特定カテゴリーに特化した機能の開発などにより、女性関連カテゴリー以外の商品カテゴリーの成長を更に促進していきます。

具体的には、TVCMなどのオフライン広告により、特定の商品カテゴリーにおけるユーザ認知を拡大して参ります。更に、特定の商品カテゴリーの出品・購入をより簡単・便利にする機能の開発に取り組んで参ります。例えば、ライブ配信での商品販売機能「メルカリチャンネル」、スマートフォン本体の簡単出品機能など、様々な新機能の提供を開始いたしました。当社は、今後も新しい機能・サービスの導入等を通じて、特定の商品カテゴリーの拡大を推進して参ります。

② 当社グループのエコシステムの構築

 当社グループは、「メルカリ」の有するユーザ基盤を活用し、「メルカリ」のユーザID(メルカリID)を通じてオンライン・オフラインの様々なサービスを連携したエコシステムを構築することにより、更なる成長の実現を企図しております。同エコシステムには、当社グループが提供するサービスに加え、事業提携先のサービスも取り入れ、例えば、CtoC及びBtoCのオンラインマーケットプレイス、オフラインでのショッピングや食事での支払い等、ユーザの日常生活における様々なニーズに対応していくことを目指します。当社は、エコシステムの基礎となるメルカリIDを通じ、ユーザの取引履歴や評価情報といった貴重なデータの活用、及び当社グループが提供予定の決済プラットフォーム「メルペイ」の利用を可能にしていくことを考えております。「メルペイ」は、様々な場面において利用可能なモバイル決済機能を提供していくと共に、ユーザの取引履歴・評価情報等の信用情報の活用により、将来的には総合的な金融サービス等の提供も視野に入れております。当社グループは、「メルカリ」の高いエンゲージメントを有するユーザ基盤に加え、ユーザが「メルカリ」アカウント上で既に保有している売上金を決済資金の源泉とすることで外部口座からの入金が不要であるという点、及び過去の取引履歴・評価情報といった付加価値の高いデータを有しているという点において、決済事業における他社と差別化された競争優位性を有していると考えております。当社グループは、上記エコシステムを通じ、メルカリIDが日常生活の様々な場面に利用され、ユーザとの接点が拡大することによって、ユーザエンゲージメントの向上とともに更なるユーザ基盤の強化に繋がると考えております。エコシステムの拡大に向けて、投資先やその他の事業パートナーとの連携についても可能性を探求していきます。

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 (注)エコシステムは初期的な構想段階にあり、図中に記載があるサービスは将来的に提供される可能性があるサービスの例示です。

 

③ 海外市場への進出

世界中で中古品売買のニーズが高まっている中で、「メルカリ」のユニークな提供価値は、日本のみならず海外においても支持されるものと考えています。当社グループは、投資の規律を意識しつつも、戦略的に海外展開を図っていきます。

当社グループは、海外戦略の第一歩として、平成26年9月に米国事業を開始しました。オールジャンル、モバイルフォーカス、事業者ではなく個人中心のCtoCマーケットプレイスという特徴を活かし、簡単・楽しくかつ安全・安心なユーザ体験を提供することによって、米国市場においてもユニークなポジショニングを実現できるものと考えています。現在、米国のオンラインCtoC市場ではeBayがインターネットオークションサービスを提供していますが、同社のサービスはモバイルに特化しておらず、また多くの商業目的の事業者が参加するマーケットプレイスとなっています。また、他の潜在的な競合は、特定の地域を対象としたクラシファイドサービスや、特定の商品カテゴリーのみを対象とするCtoCモバイルアプリなど、「メルカリ」とは異なるビジネスモデルとなっています。

当社グループは、日本において、個人間中古品売買のためのフリマアプリ市場を新たに創り出したことと同じように、米国においても「Mercari」を拡大させていける事業機会が存在すると考えています。また、巨大かつ多様性に富む人口基盤を有する米国での成功は、「新たな価値を生みだす世界的なマーケットプレイスを創る」という当社グループのミッションを実現する上で重要なマイルストーンであると認識しております。平成30年6月期第4四半期には、米国における経営体制やプロダクトの強化を行う等、着実な成長に向けて取り組み、流通総額は6,508百万円を達成しています。米国事業の更なる拡大に向けた当社グループの戦略は以下のとおりです

 

米国のユーザに向けたユーザ体験の最適化

 当社グループは、米国のユーザのニーズや嗜好をより適切に反映するため、米国の「Mercari」のUI及びUXの改善を行ってきました。平成29年6月にデザインと機能の仕様変更を行い、米国のユーザの嗜好を反映してより高度のパーソナライゼーション機能を導入し、様々なカテゴリーをより簡単に検索できるように改良しております。更に、平成30年3月には米国におけるより効果的なブランド認知の構築を目指し、アプリロゴのデザイン変更を含む「Mercari」のリブランディングを行いました。更なる認知拡大に向け、幅広いターゲットへリーチ可能なオンライン広告を中心に、リブランディング後はラジオ広告等のオフライン広告のトライアルも開始いたしました。また、米国市場の地理的規模と人口密度を考慮した革新的な配送オプションを提供する方法を模索しています。米国のユーザに固有のニーズと嗜好を取り入れることで、「Mercari」のユニークな提供価値を引き続き構築して参ります。

  (注)1.UI(User Interface)とは、アプリケーションソフトウェアをユーザが操作する方法を指します。

2.UX(User Experience)とは、製品、システム、サービスなどの利用を通じてユーザが得るユーザ体験を指します。

 

優れた経営メンバーの確保

 当社グループは、経営リソースを積極的に米国市場に投下して参りました。平成29年6月には、当社グループの米国戦略を強化するため、Facebook社の経営メンバーであった経歴を持つJohn Lagerlingをはじめとする優れた経営メンバーを雇用し、経営体制の強化を行いました。当社グループは、事業拡大と米国ユーザに合わせたローカライゼーションを可能とするべく、現地の優秀な人材を積極的に採用して参ります。

 

成長段階に応じた規律ある戦略の実行

 当社グループの米国事業は投資段階にあり、平成30年6月期において営業利益の計上には至っていません。しかし、当社グループのビジネスモデルの採算性を示した日本事業での実績を踏まえ、米国市場においても採算性の確保に取り組んで参ります。具体的には、米国事業においても一定の事業規模を達成することができれば、米国事業の売上高の範囲内に広告宣伝費などのコストを抑えることができると考えております。

 

(4)会社の対処すべき課題

① サービスの安全性及び健全性の確保

 Eコマースサービスやソーシャルメディア等の普及につれて、インターネット上のサービスの安全性維持に対する社会的要請は一層高まりを見せております。当社グループは、安全・安心な取引の場を提供するため、サービスの安全性・健全性確保を最重要課題として、個人情報保護や知的財産権侵害品対策等に継続的に取り組んで参ります。

 

② 優秀な人材の採用と育成

 グローバル展開を含めた今後の成長を推進するにあたり、優秀で熱意のある人材を適時に採用することが重要な課題と認識しているため、採用の強化及び従業員が高いモチベーションをもって働ける環境や仕組みの整備・運用を進めて参ります。今後も優秀な人材の採用と更なる育成に投資を行っていく方針です。

 

③ 技術力の強化

 当社グループはインターネット上でサービスを提供しており、サービス提供に係るシステムを安定的に稼働させることが事業運営上重要であると認識しております。出品数の増加に伴うアクセス数の増加を考慮したサーバー設備の強化、並列処理システムの導入等による負荷分散等、継続的にシステムの安定性確保に取り組んで参ります。

 また、先端技術への投資に注力し、更なるユーザ体験の向上に取り組んで参ります。例えば、過去の取引履歴や評価情報等の膨大なデータを元にしたAIや機械学習技術の活用により、サービスの利便性向上や、安全性及び健全性の維持・強化を推進して参ります。更に、自動翻訳による異なる言語間での取引の推進や、ブロックチェーン、VR/AR、量子コンピュータ、IoT(モノのインターネット)などの先端技術への投資を行う等、技術力の強化に向けて取り組んで参ります。

④ 海外展開への対応

 当社グループは世界中の人々の消費行動の変化を背景とした中古品市場の拡大に対応し、投資の規律を意識しつつも積極的に海外展開を図っていく方針であります。

 平成26年1月に米国に設立した連結子会社Mercari, Inc.及び平成27年11月に英国に設立した連結子会社Mercari Europe Ltd.においては、当社グループが保有するノウハウの移管を推し進め、ユーザの獲得を進めて参ります。これまで日本で蓄積したプロダクトとマーケティングのノウハウを活かしながら、各地域のユーザ特性とニーズにあわせてサービスをカスタマイズし、まずはユーザ数の拡大を目指していく方針です。

 

⑤ コーポレート・ガバナンスの強化

 当社グループは、経営の監視機能及び内部統制機能の充実、コンプライアンス経営の徹底を通じて、企業価値の向上に努めることをコーポレート・ガバナンスの基本方針として定め、ステークホルダーのみなさまの信頼に応えるべく、今後もこの基本方針のもと、経営の効率性、透明性を高め、企業価値の最大化と持続的な成長、発

展に努めていく方針であります。

 

⑥ 内部管理体制の拡充並びにコンプライアンスの徹底

 当社グループは今後もより一層の事業拡大を目指しており、社会的責任を果たし、持続的な成長と企業価値向上を図るために、当社グループの成長に見合った人材の確保、育成及びコンプライアンスの徹底を重要な課題と考えております。内部監査、法務、財務、経理等、それぞれの分野で高い専門性や豊富な経験を有している人材を採用することに加え、社員に対する継続的な啓蒙活動及び研修活動を行うことで、更なる内部管理体制の強化

を図ると共に、コンプライアンスの徹底に努めて参ります。

2【事業等のリスク】

 本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項については、以下のようなものがあります。

 当社グループは、これらのリスク発生の可能性を十分に認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針ではありますが、当社株式に関する投資判断は、本項及び本書中の本項以外の記載事項を慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、将来において発生の可能性があるすべてのリスクを網羅するものではありません。

 

(1)事業環境に関するリスク

① 業界の成長性について

 当社グループは、個人間で簡単かつ安全に中古品を売買できるCtoCマーケットプレイス「メルカリ」を展開しております。近年の中古品市場の世界的な広がり、また、スマートフォンの高機能化及び普及拡大、Eコマース市場の拡大等を背景として、当社グループが展開するCtoCマーケットプレイス「メルカリ」の流通総額、ユーザ数等は順調に拡大を続けており、今後もこの傾向は継続するものと認識しております。

 しかしながら、中古品市場やEコマースを制限するような法規制、景気動向、個人の嗜好等の変化等により、当該市場の成長が鈍化し、それに伴い当社グループの売上の大部分を占めるCtoCマーケットプレイス「メルカリ」全体の流通総額や当社グループが注力する商品カテゴリーの流通総額が順調に拡大しない場合、これらの要因によりユーザ離れが起きたり、当社グループのビジネスモデルを長期的に維持できない場合、又は当社グループが提供するCtoCマーケットプレイス「メルカリ」以外のサービスが順調に成長しない場合には、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 競合について

 現在、多くの企業がスマートフォンを利用したCtoCサービスに参入しており、商品カテゴリーやサービス形態も多岐に渡っております。また、インターネットオークションやリサイクルショップも存在しており、中古品市場の競争環境は厳しさを増しております。

 当社グループは、今後とも顧客ニーズへの対応を図り、サービスの充実に結び付けていく方針ではありますが、これらの取り組みが予測通りの成果をあげられない場合や、より魅力的・画期的なサービスやより競争力のある条件でサービスを提供する競合他社の出現により、当社グループが提供するサービスのユーザ離れ、出品の減少、手数料水準の低下等につながる場合には、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 法的規制について

 当社グループが展開するCtoCマーケットプレイス「メルカリ」においては、出品者が商品を販売して得られる売上金でポイントを購入し、当該ポイントで商品を購入することを可能としています。そのため、当社は、資金決済に関する法律(以下、「資金決済法」という。)の第三者型前払式支払手段の発行者として内閣総理大臣による登録を受けており、同法、関連政令、内閣府令等の関連法令を遵守して業務を行っております。なお、現状において取消事由となるような事象は発生しておりません。

 

許認可等の名称

第三者型前払式支払手段発行者登録

所管官庁等

金融庁

取得年月

平成29年11月

許認可等の内容

関東財務局長 第00704号

有効期限

取消事由

資金決済法第27条

 

また、当社の子会社である株式会社ソウゾウは、東京都公安委員会から古物営業法の古物商許可を取得しております。

米国においては、決済関連の規制対応のため、必要とされる州においてMoney Transmitter Licenseの申請を行っており、41州(平成30年8月末現在)において既に取得が完了しております。英国においては決済関連の規制対応のため、Merpay Ltd. を設立し、同社がe-money licenseを取得しております。また、株式会社メルペイは、資金決済法上の資金移動業者として登録を受けております。

 

 当社グループは、税務当局を含む規制当局の動向及び既存の法規制の改正動向等を踏まえ、適切に対応しておりますが、かかる動向をすべて事前に正確に予測することは不可能又は著しく困難な場合もあり、当社グループがこれに適時かつ適切に対応できない場合には、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。当社グループが、これらの法規制等に抵触しているとして何らかの行政処分を受けた場合、及び新たな法規制の適用又は規制当局の対応の重要な変更等により、当社グループが展開するCtoCマーケットプレイス「メルカリ」の運営又はその他の既存若しくは新規の事業展開に何らかの制約が生じた場合には、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

④ 自然災害等について

 大地震、台風等の自然災害及び事故、火災等により、開発・運用業務の停止、設備の損壊や電力供給の制限、配送網の分断、混乱等の不測の事態が発生した場合には、当社グループによるサービス提供に支障が生じる可能性があり、ひいては当社グループの事業、業績及び財政状態に支障をきたす可能性があります。

 

(2)事業に関するリスク

① サービスの健全性の維持について

 当社グループが展開するサービスは、取引の場であるプラットフォームを提供することをその基本的性質としております。このため、当社グループでは、プラットフォームの健全性確保のため、サービス内における禁止事項を明記するとともに、監視・通報制度の整備やブランド等の権利者との連携等により、偽造品その他の出品禁止物の排除に努めております。また、当社グループは、ユーザとの関係で売買契約又は役務提供契約の当事者とはならず、また、サービスの利用規約においても、ユーザ間で生じたトラブルについて、当社グループは責任を負わず、当事者間で解決すべきことを定めております。

 しかしながら、当社グループのサービスにおいて、第三者の知的財産権、名誉、プライバシーその他の権利を侵害する行為、詐欺その他の法令違反行為等が行われた場合や、サービス内の不適切な行為を取り締まることができないことにより、プラットフォームの安全性及び健全性が確保できない場合には、当社グループ又は当社グループが提供するサービスに対する信頼性が低下し、ユーザ離れにつながる可能性があります。更に、問題となる行為を行った当事者だけでなく、当社グループもプラットフォームを提供する者としての責任を問われた場合、当社グループの企業イメージ、信頼性の毀損、ひいては当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 海外展開に関するリスク

 当社グループは、収益機会の拡大に向けて米国及び英国でもCtoCマーケットプレイス「Mercari」を展開しており、今後とも海外展開の強化を図っていく予定であります。

 他方、海外展開にあたっては、広告宣伝費や人件費等の投資を今後も相当規模で行う可能性があります。また、言語、地理的要因、法制・税制を含む各種規制、経済的・政治的不安、文化・ユーザの嗜好・商慣習の違い、為替変動等の様々な潜在的リスク、事業展開に必要な人材の確保の困難性、及び展開国において競争力を有する競合他社との競争リスクが存在します。当社グループがこのようなリスクに対処できない場合、当社グループの海外展開に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ システムについて

 当社グループが展開するCtoCマーケットプレイス「メルカリ」の利用に際しては、ユーザのインターネット及びモバイルネットワークへのアクセス環境が不可欠であると共に、当社グループのITシステムも重要となります。

 当社グループは、システムトラブルの発生可能性を低減するために、安定的運用のためのシステム強化、セキュリティ強化を徹底しており、万が一トラブルが発生した場合においても短時間で復旧できる体制を整えております。

 しかしながら、システムへの一時的な過負荷や電力供給の停止、ソフトウェアの不具合、コンピュータウィルスや外部からの不正な手段によるコンピューターへの侵入、自然災害、事故等、当社グループの予測不可能な要因によってシステムがダウンした場合や、当社グループのシステム外でユーザのアクセス環境に悪影響を及ぼす事象が発生した場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 また、当社グループは、サービスの安定稼働及び事業成長のために、継続的にシステムインフラ等への設備投資が必要となります。当社グループの想定を上回る急激なユーザ又はトラフィックの拡大や、セキュリティ強化その他の要因によるシステム対応強化が必要となった場合、追加投資等を行う可能性があり、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

④ 訴訟等の可能性について

 ユーザによる違法行為やトラブル、第三者の権利侵害があった場合等には、当社グループに対してユーザその他の第三者から訴訟その他の請求を提起される可能性があります。

 一方、当社グループが第三者に何らかの権利を侵害され、又は損害を被った場合には、訴訟等による当社グループの権利保護のために多大な費用を要する可能性もあります。

 このような場合には、その訴訟等の内容又は請求額によっては、当社グループの事業及び業績並びに企業としての社会的信用に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

⑤ 知的財産権に関するリスク

 当社グループは、当社グループが運営する事業に関する知的財産権の取得に努め、当社グループが使用する商標・技術・コンテンツ等についての保護を図っておりますが、当社グループの知的財産権が第三者の侵害から保護されない場合、又は知的財産権の保護のために多額の費用が発生する場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループが使用する技術・コンテンツについて、知的財産権の侵害を主張され、当該主張に対する防御又は紛争の解決のための費用又は損失が発生し、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑥ 事業基盤の拡充について

 当社グループは、今後、事業規模の拡大と収益源の多様化を実現するため、メルカリIDにより統合された当社グループのエコシステムの構築を含め、事業基盤の拡充や新規事業に取り組んでいく方針であります。

 エコシステム構築に向けた取り組みの一環として、当社グループでは、平成30年2月にはシェアサイクルサービス「メルチャリ」を開始しており、今後もその他の新規サービスの開始や第三者のサービスの導入等を行う可能性がありますが、エコシステムの構想はいまだ初期段階であり、競合するサービスとの競争、収益性、規制上のリスク、オペレーションへの負荷、レピュテーションへの影響等、不確定要素が多く存在するため、当社グループの想定通りにエコシステム構築が進捗しない可能性や、当社グループがエコシステムを構築した場合にもエコシステムから十分な利益を得ることができない可能性があります。

 また、株式会社メルペイでは資金移動業者登録を行い、将来的に金融関連事業を展開することを検討しておりますが、現在は構想段階であり具体的な事業の開始には至っておらず、今後提供するサービスの内容や性質等に応じて固有のリスクが発生する可能性があります。

 事業基盤の拡充や新規事業については、既存サービスとのシナジーやリスク等について企画及び開発段階において十分な検討を行うことによりリスク低減を図る方針であります。また、これら事業基盤の拡充及び新規事業展開に際しては、M&A、ジョイント・ベンチャー、資本業務提携及び投資活動も有効な手段であるものと認識しており、今後検討を実施していく方針であります。

 事業基盤の拡充及び新規事業展開においては、不確定要素が多く存在することから、当社グループがこれらを実施する場合には、当社グループの想定通りに進捗しない、期待するシナジーが得られない又は法的若しくは事業上の新たなリスク要因が発生する等の可能性があります。また、想定外の費用・のれんの減損等の負担や損失計上が発生し又はこれらの取り組みに付随した追加投資が必要となる可能性があります。更に、M&A等については、デュー・ディリジェンスの限界等から想定外の事象が発生するリスクを有しており、これらに起因して当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 なお、当連結会計年度末現在において、M&A等について具体的な計画はありません。

 

⑦ 第三者への依存について

 当社グループは、ユーザにスマートフォン向けアプリを提供していることから、Apple Inc.及びGoogle Inc.が運営するプラットフォームを通じてアプリを提供することが現段階の当社グループの事業にとって重要な前提条件となっております。また、当社グループは、ユーザの決済手段として、クレジットカード決済、コンビニ決済、ATM決済等の外部の事業者が提供するサービスを導入しています。したがって、これらの事業者の動向、事業戦略及び当社グループとの関係等により、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 また、当社グループは、商品の配送についてヤマト運輸株式会社及び日本郵便株式会社等の配送業者に依存していることから、今後これらの配送業者について取引条件の変更、事業方針等の見直し及び配送状況の変化等があった場合、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(3)会社組織に関するリスク

① 人材に関するリスク

 当社グループは、当社グループ全体の事業戦略の立案及び実行について、当社グループの経営陣に相当程度依存しており、かかる経営陣が欠けた場合には当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 また、当社グループが今後とも企業規模を拡大し社会に求められるサービスを提供していくためには、スマートフォンのアプリ開発、設計等に関する技術的な専門性を有する人材をはじめ、コーポレート部門やカスタマーサポート部門においても、当社グループの理念に共感し高い意欲を持った優秀な人材を確保することが必要不可欠であります。また、海外展開においては、現地の市場動向・ビジネスに精通した人材を確保していく必要があります。

 当社グループは、規模拡大やサービス向上に必要な優秀な人材の確保のため、今後もより一層積極的な採用活動を行っていく予定ではありますが、人材獲得競争の激化や市場ニーズの変化等により、想定通りの採用が進まない等優秀な人材の獲得が困難となる場合や、現在在職する人材の社外への流出が生じた場合には、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 事業体制及び内部管理体制について

 当社は平成25年2月に設立され、未だ社歴が浅く成長途上にあり、今後の事業運営及び事業拡大に対応するため、当社グループの事業体制及び内部管理体制について一層の充実を図る必要があると認識しております。事業規模に適した事業体制及び内部管理体制の構築に遅れが生じた場合、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループは法令に基づき財務報告の適正性確保のために内部統制システムを構築し、運用していますが、内部統制システムのもとで当社グループの財務報告に重大な欠陥が発見される可能性は否定できず、また、将来にわたって常に有効な内部統制システムを構築及び運用できる保証はありません。更に、内部統制システムに本質的に内在する固有の限界があるため、今後、当社グループの財務報告に係る内部統制システムが有効に機能しなかった場合や財務報告に係る内部統制システムに重大な不備が発生した場合には、当社グループの財務報告の信頼性に影響が及ぶ可能性があります。

 

③ 個人情報の管理について

 CtoCマーケットプレイス「メルカリ」のサービス展開にあたっては、住所、氏名、電話番号等の利用者個人を特定できる情報を取得しております。これらの個人情報については、個人情報保護方針に基づき適切に管理するとともに、社内規程として個人情報保護規程を定め、社内教育の徹底と管理体制の構築を行っております。

 当社グループは、利用者のプライバシー及び個人情報の保護に最大限の注意を払い、適切な情報管理を行っておりますが、何らかの理由で利用者のプライバシー又は個人情報が漏えいする可能性や不正アクセス等による情報の外部への漏えいやこれらに伴う悪用等の可能性は皆無とは言えず、そのような事態が発生した場合には、当社グループの事業及び業績並びに企業としての社会的信用に影響を及ぼす可能性があります。

 また、当社グループが事業を運営する各法域における利用者のプライバシー及び個人情報の保護に係る法規制に改正等があった場合にも、当社グループの事業、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(4)経営成績及び財政状態等について

① 社歴が浅いことについて

 当社は平成25年2月に設立されており、設立後の経過期間は5年程度と社歴の浅い会社であります。また、過年度の連結業績については、事業立ち上げ段階であったことや米国での赤字計上等により親会社株主に帰属する当期純損失を計上しており、将来連結ベースでの黒字化を適時に達成できる保証はありません。また、当社グループは急速な成長過程にあるため、過年度の経営成績は期間業績比較を行うための十分な材料とはならず、過年度の業績のみでは今後の業績を判断する情報としては不十分な可能性があります。

 また、流通総額、登録MAUその他の指標については、当社グループ内において合理的と考える方法により算定したものであり、他社との比較可能性が必ずしもあるとは限らないことに加えて、上記のような事情から過去の数値が今後の動向を判断する材料としては不十分な可能性があります。また、海外事業については未だ投資段階であることからこれらの数値自体が限定的なものとなっています。

② 継続的な投資について

 当社グループは、継続的な成長のため、認知度、信頼度を向上させることにより、より多くのユーザを獲得し、また既存のユーザを維持していくことが必要であると考え、会社設立以降積極的に広告宣伝等にコストを投下してきており、今後も継続して国内外における広告宣伝等を進めていく方針であります。

 しかしながら、広告宣伝効果が十分に得られない場合やコスト上昇等が生じた場合、投資が想定よりも長期に及ぶことにより計画通りの収益が得られない場合等には、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 海外連結子会社の業績について

 当社グループは、平成26年1月に米国にて連結子会社であるMercari, Inc.を、平成27年11月に英国にてMercari Europe Ltd.を設立し、米国及び英国にてCtoCマーケットプレイス「Mercari」を運営しております。米国においては、平成26年9月にサービスを開始し、平成28年10月に商品の購入代金に応じた手数料の徴収を開始いたしました。

 有料化後も、サービスの更なる発展やユーザ層の拡大のための投資により、一定期間においては赤字計上の継続を想定しておりますが、想定通りに事業拡大が進捗せず、継続的な広告宣伝費用や追加投資その他の負担により米国及び英国における赤字計上が想定よりも長期に及ぶ若しくは拡大する場合には、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼし、短期的な連結業績における損失計上額が拡大する可能性があります。

 

④ 配当政策について

 当社グループは、株主に対する利益還元と同時に、財務体質の強化及び競争力の確保を経営の重要課題として位置づけております。現時点では、当社グループは成長過程にあると考えており、内部留保の充実を図り、事業拡大と事業の効率化のための投資に充当していくことが株主に対する最大の利益還元につながると考えております。このことから、創業以来配当は実施しておらず、今後においても当面の間は内部留保の充実を図る方針であります。将来的には、各事業年度の経営成績を勘案しながら株主への利益還元を検討していく方針ですが、現時点において配当実施の可能性及びその実施時期等については未定であります。

 

(5)その他

① 新株予約権の行使による株式価値の希薄化について

 当社グループは取締役、監査役及び従業員に対し、長期的な企業価値向上に対するインセンティブとして新株予約権を付与しているほか、今後も優秀な人材確保のため新株予約権その他のエクイティ・インセンティブプランを発行する可能性があります。これらの新株予約権が権利行使された場合等には、当社株式が新たに発行又は交付されることにより、既存の株主が有する株式の価値及び議決権割合が希薄化する可能性があるとともに、かかる株式が一度に大量に市場へ流入することとなった場合等には、適切な株価形成に影響を及ぼす可能性があります。提出日の前月末(平成30年8月31日)現在でこれらの新株予約権に係る潜在株式数は21,616,120株であり、発行済株式総数及び潜在株式数の合計162,639,272株の13.3%に相当します。

 

② 資金使途について

 株式上場時の公募増資による調達資金の使途につきましては、当社グループのサービスを効果的に拡大していくための広告宣伝費及び借入金の返済等に充当する予定です。しかし、当社グループが属する業界は急速に事業環境が変化することも考えられ、当初の計画に沿って資金を使用した場合においても想定した投資効果が得られない可能性があります。

 

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループの経営成績、財政状態及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。

① 経営成績の状況

平成30年4月に経済産業省が発表した「平成29年度我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備(電子商取引に関する市場調査)」によると、平成29年における中古品市場規模(自動車、バイクを除く。)の総額約2.1兆円(前年比11.7%増)のうち、「メルカリ」などのフリマアプリ市場は4,835億円とされており、前年比58.4%の成長を遂げています。

このような事業環境において、当社グループは、CtoCマーケットプレイス「メルカリ」の継続的な成長に向けて、TVCMやオンライン広告を中心としたマーケティング施策を実施すると共に、ライブ配信での商品販売機能「メルカリチャンネル」、スマートフォン本体の簡単出品機能や本・DVD等におけるバーコード出品機能など、様々な新機能の提供を開始いたしました。それに伴い、「メルカリ」の国内累計ダウンロード数は平成30年6月末には75.7百万件に達し、前連結会計年度末比で20.2百万件の増加となりました。また、平成30年7月13日時点でサービス開始日(平成25年7月2日)からの日本国内累計出品数が10億品を突破いたしました。

一方、米国ではCtoCマーケットプレイス「Mercari」の拡大に向けて、経営陣の強化を実施いたしました。新たな経営陣のもと、現地でのアプリ開発推進や配送機能の向上を進め、平成30年3月には米国におけるより効果的なブランド認知の構築を目指し、アプリロゴのデザイン変更を含む「Mercari」のリブランディングを行いました。「Mercari」の米国累計ダウンロード数は、前連結会計年度末比で11.6百万件増加し、平成30年6月末には39.9百万件に達しております。更なる認知拡大に向け、幅広いターゲットへリーチ可能なオンライン広告を中心に、リブランディング後はラジオ広告等のオフライン広告のトライアルも開始いたしました。

 以上の結果、当連結会計年度の業績は、売上高35,765百万円(前年同期比62.0%増)、広告宣伝費の使用等に伴い営業損失4,422百万円(前連結会計年度は2,775百万円の損失)、経常損失4,741百万円(前連結会計年度は2,779百万円の損失)、親会社株主に帰属する当期純損失7,041百万円(前連結会計年度は4,207百万円の損失)となりました。

 なお、当社グループはマーケットプレイス関連事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載は省略しております。

 

② 財政状態の状況

(資産)

 当連結会計年度末における総資産につきましては、前連結会計年度末に比べ63,262百万円増加し、117,752百万円となりました。これは主に、平成30年6月19日に東京証券取引所マザーズへ新規上場したことに伴い公募による新株式の発行(ブックビルディング方式による募集)等を行い、現金及び預金が58,294百万円増加したこと

に加え、未収入金が1,641百万円増加したことによるものであります。

(負債)

 当連結会計年度末における負債合計につきましては、前連結会計年度末に比べ13,256百万円増加し、63,329百万円となりました。これは主に、短期借入金が2,500百万円減少した一方で、新規借入の実施により長期借入金(1年内返済予定の長期借入金を含む)が9,128百万円増加したことに加え、未払金が2,613百万円増加したこと

によるものであります。

(純資産)

 当連結会計年度末における純資産につきましては、前連結会計年度末に比べ50,005百万円増加し、54,422百万円となりました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純損失の計上により利益剰余金が7,041百万円減少した一方で、東京証券取引所マザーズ上場時の公募による新株式の発行(ブックビルディング方式による募集)により資本金及び資本準備金がそれぞれ28,516百万円増加したことによるものであります。

 

 

③ キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ58,294百万円増加(前年同期比114.6%増)し、当連結会計年度末には109,157百万円となりました。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動により使用した資金は、3,437百万円(前連結会計年度は6,351百万円の獲得)となりました。これは主に、税金等調整前当期純損失4,935百万円に、未払金の増加額2,217百万円を調整したことによるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動により使用した資金は、1,944百万円(前連結会計年度は936百万円の使用)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出692百万円、敷金の差入による支出738百万円によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動により獲得した資金は、63,617百万円(前連結会計年度は21,323百万円の獲得)となりました。これは主に、東京証券取引所マザーズ上場時の公募による新株式の発行(ブックビルディング方式による募集)による収入52,026百万円、運転資金拡充のための長期借入れによる収入16,000百万円によるものであります。

 

④ 生産、受注及び販売の状況

a. 生産実績

 当社グループで行う事業は、提供するサービスの性質上、生産実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。

 

b. 受注実績

 当社グループで行う事業は、提供するサービスの性質上、受注実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。

 

c. 販売実績

 当連結会計年度の販売実績は、次のとおりであります。なお、当社グループはマーケットプレイス関連事業の単一セグメントであるため、セグメントごとの記載はしておりません。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 平成29年7月1日

至 平成30年6月30日)

販売高(百万円)

前年同期比(%)

マーケットプレイス関連事業

35,765

162.0

 (注)上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計方針及び見積り

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたり、見積りが必要な事項につきましては、合理的な基準に基づき、会計上の見積りを行っておりますが、実際の結果は特有の不確実性があるため、見積りと異なる場合があります。

 

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a. 売上高

 当連結会計年度における売上高は、35,765百万円となりました。これは主に流通総額が増加したことによるものであります。

b. 売上原価

 当連結会計年度における売上原価は、6,806百万円となりました。これは主に売上高が増加したことによるものであります。

c. 販売費及び一般管理費、営業利益

 当連結会計年度における販売費及び一般管理費は、33,381百万円となりました。これは主に広告宣伝費16,851百万円によるものであり、この結果、営業損失は4,422百万円となりました。

d. 営業外収益、営業外費用、経常利益

 営業外収益は主に受取保険金の計上により37百万円、営業外費用は主に上場関連費用の計上により355百万円となり、この結果、経常損失は4,741百万円となりました。

e. 特別損益、親会社株主に帰属する当期純利益

 投資有価証券評価損により、特別損失193百万円の計上があったため税金等調整前当期純損失は4,935百万円となり、法人税等合計2,106百万円の計上により、親会社株主に帰属する当期純損失は7,041百万円となりました。

 

③ キャッシュ・フローの分析

 キャッシュ・フローの分析につきましては、前記「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」をご参照ください。

 当社グループの資本の財源及び資金の流動性につきましては、次のとおりであります。

 当社グループは、継続的な成長のため、認知度、信頼度を向上させることにより、より多くのユーザを獲得し、また既存のユーザを維持していくことが必要であると考え、会社設立以降積極的に広告宣伝等にコストを投下してきており、今後も継続して国内外における広告宣伝等を進めていく方針であります。当社グループの運転資金需要のうち主なものは、当社グループのサービスを効果的に拡大していくための広告宣伝費及び開発に係る人件費であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資等によるものであります。当社グループは、必要な資金を主に自己資金及び金融機関からの借入で賄っております。

 

④ 経営成績に重要な影響を与える要因について

 当社は、前記「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおり、事業環境、サービスの性質、国際事業展開、コンプライアンス等、様々なリスク要因が当社の経営成績に重要な影響を与える可能性があると認識しております。

 そのため、当社は常に市場動向に留意しつつ、内部管理体制を強化し、優秀な人材を確保し、市場のニーズに合ったサービスを展開していくことにより、経営成績に重要な影響を与えるリスク要因を分散・低減し、適切に対応を行って参ります。

 

 

4【経営上の重要な契約等】

 (会社分割)

 当社は、平成30年8月9日開催の取締役会において、平成30年12月1日(予定)を効力発生日として、当社の決済サービス事業に関して有する権利義務等の一部を、当社の完全子会社である株式会社メルペイに吸収分割により承継することにつき決議し、同日を以て契約を締結いたしました。

 詳細は、「第5 経理の状況 2 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 (重要な後発事象) 3.重要な会社分割」に記載のとおりであります。

 

 

5【研究開発活動】

 当社は平成29年12月に、社会実装を目的として、研究開発組織である mercari R4Dを設立いたしました。mercari R4Dでは①外部の企業・教育機関など共同研究パートナーによる基礎・応用研究、②mercari R4Dによる研究開発・実装、③当社及び当社グループでの事業化といった取り組みにより、それぞれの組織の強みを活かし、スピーディーな研究開発と社会実装を目指します。なお、当連結会計年度の研究開発費の総額は85百万円であります。