文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
当社グループは、「新たな価値を生みだす世界的なマーケットプレイスを創る」をミッションに掲げ、スマートフォンにおいて個人間で簡単に不要品を売買できるCtoCマーケットプレイス「メルカリ」等のサービスを提供しております。
(2)目標とする経営指標
当社グループは、日本及び米国で事業展開をしており、各地域によって成長ステージが異なっております。そのため、流通総額及び売上高の成長を通じて企業価値の向上を図って参ります。
(3)中長期的な会社の経営戦略
当社グループは、以下の強みを背景に中長期的な経営戦略を立案しております。
当社グループの強み
① 中古品市場の拡大をけん引するCtoCマーケットプレイスのパイオニア
経済産業省が発表した「我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備(電子商取引に関する市場調査)」によると、経済産業省が推定した1年のうちに不要になるものの価値は日本だけでも約7.6兆円にのぼるのに対し、2017年の中古品市場規模(自動車、バイクを除く。)は総額約2.1兆円であり、そのうち「メルカリ」などのフリマアプリ市場は2017年時点で4,835億円、2018年時点で6,392億円となっております。上記のとおり、日本の中古品市場には高い成長ポテンシャルがあり、当社グループは、「メルカリ」の更なる普及によって、家庭で生み出される不要品を消費者がより簡単・手軽に売買するようになれば、中古品市場を更に拡大させることができると確信しております。
当社グループは、使いやすく楽しく、かつ安全・安心なCtoCマーケットプレイスの提供を通じて、フリマアプリ市場を作り上げ、これによりオフライン店舗やインターネットオークションに限定されない日本の中古品市場全体の拡大をけん引して参りました。株式会社マクロミルが2017年5月に実施した調査によれば、日本でフリマアプリを利用したことがある利用者の約94%は、当社サービス「メルカリ」の利用経験があるとされており、他社のサービスを上回る支持を獲得しております。当社グループは、このようなCtoCマーケットプレイスのパイオニアとしての圧倒的なポジショニングを活用することで、上記の中古品市場の高い市場成長を享受できる立場にあると自負しております。
更に、米国をはじめとする海外においても、個人による中古品売買のニーズは高く、「メルカリ」を通じて中古品市場の成長に貢献して参ります。
② エンゲージメントの高いユーザ基盤及びこれを通じて得られる高付加価値のデータ
出品者・購入者双方に楽しく夢中になれるユーザ体験を提供することで、「メルカリ」は高いユーザエンゲージメントを実現しております。「メルカリ」の登録MAUは2019年6月期第4四半期において13.5百万人であり、2018年1月に実施されたニールセンデジタル株式会社の調査によれば、同月の「メルカリ」の月間ユニークユーザ当たりの平均月間利用時間は5.3時間となっております。これは日本のEコマースサービスの中で最も高い数値となっており、また、世界的なSNSサービスであるFacebookやInstagramをも上回る数値となっております。当社は、上記のような高いエンゲージメントを誇るユーザ基盤を通じて、ユーザの取引情報やユーザ間における取引評価情報等、利用価値の高いデータを大量に収集することができます。これらのデータを有効活用することで、既存のサービスのユーザ体験の向上や、今後の成長に資する新規サービスの開発につなげることができると考えて、広範なユーザデータとAI技術を活用していくことで、購入者の嗜好にあわせた商品の提案等による購入転換率の向上、売れやすい出品価格の提案等による出品転換率の向上、カスタマーサポートの効率化等の実現に取り組んでおります。
(注)1.登録MAUは「登録Monthly Active User」の略であり、「メルカリ」に登録しているユーザのうち、1ヶ月に一度以上「メルカリ」を利用したユーザを集計しております。また、登録MAUの四半期平均を記載しております。
2.月間ユニークユーザは、2018年1月において「メルカリ」のモバイルアプリを一度以上利用したユーザ数をニールセンデジタル株式会社が推計した数値を集計しております。
③ CtoC特有のネットワーク効果による高いロイヤルティの獲得
CtoCマーケットプレイスである「メルカリ」は、ネットワーク効果が強く働くサービスです。すなわち、出品者・出品数が増えれば、購入したい商品が増えるため購入者・購入数が増加し、これにより商品の流動性が高まり、更に出品者・出品数が増加していきます。更に「メルカリ」では、多くの出品者・購入者が高い頻度でサービスを利用しており、ネットワーク効果による自走的成長が促進されています。また、商品を販売して得た売上金をもとに別の商品の購入が可能な為、「メルカリ」で商品を販売した出品者が次の購入者となることが促進されています。その結果、ユーザの大部分は、出品者と購入者の双方として「メルカリ」を利用しています。このようなネットワーク効果による出品者や購入者からの高いロイヤルティ獲得につながり、リピートユーザによる継続的な取引への参加が流通総額の成長に大きく貢献しています。更に、ユーザの過去の取引評価の蓄積により、他のユーザが安心して取引を行うことができるとともに、ユーザ獲得競争において他の競合サービスへの流出を抑制する効果を有しています。
④ 高い収益性を実現するビジネスモデル
当社グループは、日本事業において既に高い収益性を実現しています。この背景は、一定の事業規模に達するとその後の更なる事業規模拡大に際してコストを適切に管理できるというビジネスモデルにあります。具体的には、当社のコスト構造の相当の割合は広告宣伝費により構成されていますが、一般的にモバイルアプリの初期成長段階では売上高に占める広告宣伝費の割合は高くなるものの、ユーザ基盤が拡大し安定するにつれて広告宣伝費の比率を抑えることが可能になります。当初は、オンライン広告やTVCMを通じて市場プレゼンスの拡大を図ったため、広告宣伝費が収益を圧迫し、当社単体ベースで営業損失を計上しました。しかし、日本市場での規模拡大に伴い、コスト効率を向上させながら売上高の急速な成長を実現したことで、当社単体ベースでは採算性を確立しております。米国市場を中心とする海外事業及び日本国内における新規事業への先行投資に伴い、2019年6月期は引き続き連結ベースで営業損失を計上しましたが、今後も、新規事業の拡大、採算性確保に向けて取り組んで参ります。
⑤ イノベーションを推進する経営陣及び企業文化
創業者で代表取締役CEO(社長)である山田進太郎が率いる当社グループの経営陣は、ソーシャルゲームなどの革新的なスタートアップ企業の創設者や経営幹部としての経験、豊富なエンジニアリング経験等を有する多くの起業家により構成されています。当社グループの経営陣は、ソーシャルメディアやモバイルサービスにおいてユーザのエンゲージメントを高め、収益化し、規模を拡大させることに関する豊富な経験を有しています。
当社グループの成功は、当社グループのエンジニアやその他のプロフェッショナル人材の質の高さにも起因しています。これは、当社グループの採用と継続雇用に対する投資や、「Go Bold」、「All for One」、「Be a Pro」の3つの行動指針(バリュー)を尊重する企業文化を反映しています。当社グループは、日本及び米国それぞれの現地チームにおいて、経営陣及びその他の主要なプロフェッショナル人材の戦略的な拡大を継続しています。
当社の具体的な経営戦略
国内メルカリ事業/メルペイ事業/米国メルカリ事業の3本柱に経営資源を集中し、ミッション達成にむけた強固な基盤を構築することを当面のゴールと定め、グロースを最優先した投資を継続して参ります。
① 国内メルカリ事業:出品の拡大による更なる成長
2019年6月期第4四半期登録MAU13.5百万人に対し、2019年4月に株式会社電通マクロミルインサイトが実施した調査に基づく分析によれば、「メルカリ」の認知と出品意向はあるが未出品のお客様はおよそ36百万人いると試算されています。この潜在出品顧客に訴求した出品者増加に向けた取り組みを、「メルカリ」の更なる成長のために実施して参ります。
• AIテクノロジーを活用した圧倒的なユーザ体験
例えば、出品予定の商品を撮影するだけでAIによって売れ筋の価格帯が分かるなど、AIテクノロジーによるUXの向上は出品者拡大施策の1つです。テクノロジーを活用してユーザ体験をより便利に、より快適にし続けることは差別化の源泉であると考えています。
• リアルタッチポイントの強化
もう一つの出品者拡大施策は、顧客層とのリアルタッチポイントの強化です。「メルカリ」の利用経験の無いあるいは少ないお客様に対する「メルカリ」の使い方等に関する講習会や、梱包・発送場所の増加などのオフラインUXの進化など様々なオフライン施策を活発化することで、潜在出品顧客の取り込みを狙います。
② メルペイ事業:キャッシュレス市場で確固たるポジション獲得
多くの決済サービスがひしめくキャッシュレス市場の勃興期において、「メルペイ」はそのポジションを確固たるものにするべく、お客様及び加盟店の拡大への先行投資と、「メルカリ」とのシナジー創出に特に注力して参ります。
• 「OPENNESS」戦略による様々な協業によってキャッシュレス化を促進
キャッシュレスの普及促進のために、「メルペイ」は業種・業界を超えたオープンなパートナーシップを進めて参ります。LINE Pay株式会社、株式会社NTTドコモ、及びKDDI株式会社との相互に加盟店拡大を補完しあう「Mobile Payment Alliance(MoPA)」はその1つです。また、三井住友カード株式会社が提供を行っている非接触型決済サービス「iD」、株式会社ジェーシービーが推進を行っているコード決済基盤「Smart Code」等とのサービス間連携により、「メルペイ」が利用可能な加盟店を拡大しております。
• 「メルカリ」とのシナジーを最大化しメルカリエコシステムを構築
「メルペイ」のあと払い・与信の増大により「メルカリ」でのお客様の出品や購買意欲が向上、「メルカリ」での売上金の増加により「メルペイ」で使える残高が増える、といった「メルカリ」と「メルペイ」間のシナジーは、キャッシュレス市場における「メルペイ」の大きな特長であると考えています。今後も「メルカリ」と「メルペイ」で相互に高め合うエコシステムの構築を進めて参ります。
③ 米国メルカリ事業:月間米国内流通総額1百万米ドル達成
米国メルカリ事業の確立にむけて、月間米国内流通総額1百万米ドルの達成をひとつのマイルストーンと位置付けております。ブランド認知向上や外部コミュニティとの連携強化等により、マーケティングコストの適正化などの限界利益率改善にも同時に取り組んで参ります。
• 「売ること」を「買うこと」より簡単に
米国の「Mercari」では「売ること」を「買うこと」より簡単にすべく、売上金の引き出しが数分で可能なInstant Payや、梱包や配送の簡略化、適正価格提案などの出品者向けの機能拡充に一層注力して参ります。
(4)会社の対処すべき課題
① サービスの安全性及び健全性の確保
Eコマースサービスやソーシャルメディア等の普及につれて、インターネット上のサービスの安全性維持に対する社会的要請は一層高まりを見せております。当社グループは、安全・安心な取引の場を提供するため、サービスの安全性・健全性確保を最重要課題として、個人情報保護や知的財産権侵害品対策等に継続的に取り組んで参ります。
② 優秀な人材の採用と育成
グローバル展開を含めた今後の成長を推進するにあたり、優秀で熱意のある人材を適時に採用することが重要な課題と認識しているため、採用の強化及び従業員が高いモチベーションをもって働ける環境や仕組みの整備・運用を進めて参ります。
③ 技術力の強化
当社グループはインターネット上でサービスを提供しており、サービス提供に係るシステムを安定的に稼働させることが事業運営上重要であると認識しております。出品数の増加に伴うアクセス数の増加を考慮したサーバー設備の強化、並列処理システムの導入等による負荷分散等、継続的にシステムの安定性確保に取り組んで参ります。
また、先端技術への投資に注力し、更なるユーザ体験の向上に取り組んで参ります。例えば、過去の取引履歴や評価情報等の膨大なデータを元にしたAIや機械学習技術の活用により、サービスの利便性向上や、安全性及び健全性の維持・強化を推進して参ります。更に、自動翻訳による異なる言語間での取引の推進や、ブロックチェーン、VR/AR、量子コンピュータ、IoT(モノのインターネット)などの先端技術への投資を行う等、技術力の強化に向けて取り組んで参ります。
④ 海外展開への対応
当社グループは世界中の人々の消費行動の変化を背景とした中古品市場の拡大に対応し、投資の規律を意識しつつも積極的に海外展開を図っていく方針であります。
2014年1月に米国に設立した連結子会社Mercari, Inc.においては、当社グループが保有するノウハウの移管を推し進め、ユーザの獲得を進めて参ります。これまで日本で蓄積したプロダクトとマーケティングのノウハウを活かしながら、各地域のユーザ特性とニーズにあわせてサービスをカスタマイズし、まずはユーザ数の拡大を目指していく方針であります。
⑤ コーポレート・ガバナンスの強化
当社グループは、経営の監視機能及び内部統制機能の充実、コンプライアンス経営の徹底を通じて、企業価値の向上に努めることをコーポレート・ガバナンスの基本方針として定め、ステークホルダーのみなさまの信頼に応えるべく、今後もこの基本方針のもと、経営の効率性、透明性を高め、企業価値の最大化と持続的な成長、発
展に努めていく方針であります。
⑥ 内部管理体制の拡充並びにコンプライアンスの徹底
当社グループは今後もより一層の事業拡大を目指しており、社会的責任を果たし、持続的な成長と企業価値向上を図るために、当社グループの成長に見合った人材の確保、育成及びコンプライアンスの徹底を重要な課題と考えております。内部監査、法務、財務、経理等、それぞれの分野で高い専門性や豊富な経験を有している人材を採用することに加え、社員に対する継続的な啓蒙活動及び研修活動を行うことで、更なる内部管理体制の強化を図ると共に、コンプライアンスの徹底に努めて参ります。
本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項については、以下のようなものがあります。
当社グループは、これらのリスク発生の可能性を十分に認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針ではありますが、当社株式に関する投資判断は、本項及び本書中の本項以外の記載事項を慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、将来において発生の可能性があるすべてのリスクを網羅するものではありません。
(1)事業環境に関するリスク
① 業界の成長性について
当社グループは、個人間で簡単かつ安全に不要品を売買できるCtoCマーケットプレイス「メルカリ」を展開しております。近年の中古品市場の世界的な広がり、また、スマートフォンの高機能化及び普及拡大、Eコマース市場の拡大等を背景として、当社グループが展開するCtoCマーケットプレイス「メルカリ」の流通総額、ユーザ数等は順調に拡大を続けており、今後もこの傾向は継続するものと認識しております。
また株式会社メルペイでは「メルカリ」アプリを通じてスマートフォン決済である「メルペイ」を提供しております。最近のキャッシュレス決済市場の拡大を受けて、「メルペイ」の決済総額、ユーザアカウント数などについては順調に拡大しています。
しかしながら、中古品市場やEコマースを制限するような法規制、景気動向、個人の嗜好等の変化等により、当該市場の成長が鈍化し、それに伴い当社グループの売上の大部分を占めるCtoCマーケットプレイス「メルカリ」全体の流通総額や当社グループが注力する商品カテゴリーの流通総額が順調に拡大しない場合、これらの要因によりユーザ離れが生じ、当社グループのビジネスモデルを長期的に維持できない場合、又は「メルペイ」等の当社グループが提供するCtoCマーケットプレイス「メルカリ」以外のサービスが順調に成長しない場合には、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
② 競合について
現在、多くの企業がスマートフォンを利用したCtoCサービスに参入しており、商品カテゴリーやサービス形態も多岐に渡っております。また、インターネットオークションやリサイクルショップも存在しており、中古品市場の競争環境は厳しさを増しております。更に、決済・金融関連事業についても、電子決済サービス、及び電子決済サービスに関連するサービスを提供する複数の競合他社が存在しております。
当社グループは、今後とも顧客ニーズへの対応を図り、サービスの充実に結び付けていく方針ではありますが、これらの取り組みが予測通りの成果をあげられない場合や、より魅力的・画期的なサービスやより競争力のある条件でサービスを提供する競合他社の出現等が、当社グループが提供するサービスからのユーザ離れ、出品の減少、手数料水準の低下等につながる場合には、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
③ 法的規制について
当社グループが展開するCtoCマーケットプレイス「メルカリ」においては、出品者が商品を販売して得られる売上金でポイントを購入し、当該ポイントで商品を購入することを可能としています。そのため、株式会社メルペイは、資金決済に関する法律(以下、「資金決済法」という。)の第三者型前払式支払手段の発行者としての登録、及び資金決済法上の資金移動業者として登録を受けており、関連法、関連政令、内閣府令等の関連法令を遵守して業務を行っております。なお、現状において取消事由となるような事象は発生しておりません。
当社グループが提供する「メルペイ」においては購入者にマンスリークリア取引である「メルペイあと払い」を提供しています。そのため、株式会社メルペイでは割賦販売法(以下、「割販法」という。)のクレジットカード番号等取扱契約締結事業者としての登録を行っており、関連法、関連政令、経済産業省令等の関連法令を遵守して業務を行っております。なお、現状において取消事由となるような事象は発生しておりません。
米国においては、決済関連の規制対応のため、必要とされる州においてMoney Transmitter Licenseの申請を行っており、全ての州において既に取得が完了しております。
当社グループは、税務当局を含む規制当局の動向及び既存の法規制の改正動向等を踏まえ、適切に対応しておりますが、かかる動向をすべて事前に正確に予測することは不可能又は著しく困難な場合もあり、当社グループがこれに適時かつ適切に対応できない場合には、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。当社グループが、これらの法規制等に抵触しているとして何らかの行政処分を受けた場合、及び新たな法規制の適用又は規制当局の対応の重要な変更等により、当社グループが展開するCtoCマーケットプレイス「メルカリ」の運営又はその他の既存若しくは新規の事業展開に何らかの制約が生じた場合には、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
④ 自然災害等について
大地震、台風等の自然災害及び事故、火災等により、開発・運用業務の停止、設備の損壊や電力供給の制限、配送網の分断、混乱等の不測の事態が発生した場合には、当社グループによるサービス提供に支障が生じる可能性があり、ひいては当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(2)事業に関するリスク
① サービスの健全性の維持について
当社グループが展開するサービスは、取引の場であるプラットフォームを提供することをその基本的性質としております。このため、当社グループでは、プラットフォームの健全性確保のため、サービス内における禁止事項を明記するとともに、監視・通報制度の整備やブランド等の権利者との連携等により、偽造品その他の出品禁止物の排除に努めております。また、当社グループは、ユーザとの関係で売買契約又は役務提供契約の当事者とはならず、また、サービスの利用規約においても、ユーザ間で生じたトラブルについて、当社グループは責任を負わず、当事者間で解決すべきことを定めております。
しかしながら、当社グループのサービスにおいて、第三者の知的財産権、名誉、プライバシーその他の権利を侵害する行為、詐欺その他の法令違反行為等が行われた場合や、サービス内の不適切な行為を取り締まることができないことにより、プラットフォームの安全性及び健全性が確保できない場合には、当社グループ又は当社グループが提供するサービスに対する信頼性が低下し、ユーザ離れにつながる可能性があります。更に、問題となる行為を行った当事者だけでなく、当社グループもプラットフォームを提供する者としての責任を問われた場合、当社グループの企業イメージ、信頼性の毀損、ひいては当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
② 海外展開に関するリスク
当社グループは、収益機会の拡大に向けて米国でもCtoCマーケットプレイス「Mercari」を展開しており、今後とも海外展開の強化を図っていく予定であります。
なお、海外展開にあたっては、広告宣伝費や人件費等の投資を今後も相当規模で行う可能性があります。また、言語、地理的要因、法制・税制を含む各種規制、経済的・政治的不安、文化・ユーザの嗜好・商慣習の違い、為替変動等の様々な潜在的リスク、事業展開に必要な人材の確保の困難性、及び展開国において競争力を有する競合他社との競争リスクが存在します。当社グループがこのようなリスクに対処できない場合、当社グループの海外展開に影響を及ぼす可能性があります。
③ システムについて
当社グループが展開するCtoCマーケットプレイス「メルカリ」の利用に際しては、ユーザのインターネット及びモバイルネットワークへのアクセス環境が不可欠であると共に、当社グループのITシステムも重要となります。
当社グループは、システムトラブルの発生可能性を低減するために、安定的運用のためのシステム強化、セキュリティ強化を徹底しており、万が一トラブルが発生した場合においても短時間で復旧できる体制を整えております。
しかしながら、システムへの一時的な過負荷や電力供給の停止、ソフトウエアの不具合、コンピューターウィルスや外部からの不正な手段によるコンピューターへの侵入、自然災害、事故等、当社グループの予測不可能な要因によってシステムがダウンした場合や、当社グループのシステム外でユーザのアクセス環境に悪影響を及ぼす事象が発生した場合には、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループは、サービスの安定稼働及び事業成長のために、継続的にシステムインフラ等への設備投資が必要となります。当社グループの想定を上回る急激なユーザ又はトラフィックの拡大や、セキュリティ強化その他の要因によるシステム対応強化が必要となった場合、追加投資等を行う可能性があり、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
④ 訴訟等の可能性について
ユーザによる違法行為やトラブル、第三者の権利侵害があった場合等には、当社グループに対してユーザその他の第三者から訴訟その他の請求を提起される可能性があります。
一方、当社グループが第三者に何らかの権利を侵害され、又は損害を被った場合には、訴訟等による当社グループの権利保護のために多大な費用を要する可能性もあります。
このような場合には、その訴訟等の内容又は請求額によっては、当社グループの事業、業績、財政状態並びに企業としての社会的信用に影響を及ぼす可能性があります。
⑤ 知的財産権に関するリスク
当社グループは、当社グループが運営する事業に関する知的財産権の取得に努め、当社グループが使用する商標・技術・コンテンツ等についての保護を図っておりますが、当社グループの知的財産権が第三者の侵害から保護されない場合、又は知的財産権の保護のために多額の費用が発生する場合には、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループが使用する技術・コンテンツについて、知的財産権の侵害を主張され、当該主張に対する防御又は紛争の解決のための費用又は損失が発生し、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑥ 事業基盤の拡充について
当社グループは、事業規模の拡大と収益源の多様化を実現するため、メルカリIDにより統合された当社グループのエコシステムの構築を含め、事業基盤の拡充や新規事業に取り組んでいく方針であります。今後も新規サービスの開始や第三者のサービスの導入等を行う可能性がありますが、エコシステムの構想はいまだ初期段階であり、競合するサービスとの競争、収益性、規制上のリスク、オペレーションへの負荷、レピュテーションへの影響等、不確定要素が多く存在するため、当社グループの想定通りにエコシステム構築が進捗しない可能性や、当社グループがエコシステムを構築した場合にもエコシステムから十分な利益を得ることができない可能性があります。
また、株式会社メルペイでは資金移動業者登録を行っており、金融関連事業の更なる展開を検討しておりますが、今後提供するサービスの内容や性質等に応じたリスクが発生する可能性があります。
事業基盤の拡充や新規事業展開については、既存サービスとのシナジーやリスク等について企画及び開発段階において十分な検討を行うことによりリスク低減を図る方針であります。また、これら事業基盤の拡充及び新規事業展開に際しては、M&A、ジョイント・ベンチャー、資本業務提携及び投資活動も有効な手段であるものと認識しており、今後も検討を実施していく方針であります。
一方、事業基盤の拡充や新規事業展開においては、不確定要素が多く存在することから、当社グループがこれらを実施する場合には、当社グループの想定通りに進捗しない、期待するシナジーが得られない又は法的若しくは事業上の新たなリスク要因が発生する等の可能性があります。また、想定外の費用・のれんの減損等の負担や損失計上が発生し又はこれらの取り組みに付随した追加投資が必要となる可能性があります。更に、M&A等については、デュー・ディリジェンスの限界等から想定外の事象が発生するリスクを有しており、これらに起因して当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑦ 第三者への依存について
当社グループは、ユーザにスマートフォン向けアプリを提供していることから、Apple Inc.及びGoogle Inc.が運営するプラットフォームを通じてアプリを提供することが現段階の当社グループの事業にとって重要な前提条件となっております。また、当社グループは、ユーザの決済手段として、クレジットカード決済、コンビニ決済、ATM決済等の外部の事業者が提供するサービスを導入しています。したがって、これらの事業者の動向、事業戦略及び当社グループとの関係等により、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループは商品の配送についてヤマト運輸株式会社や日本郵便株式会社等の配送業者に依存していることから、今後これらの配送業者について取引条件の変更、事業方針等の見直し及び配送状況の変化等があった場合、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑧ 決済・金融関連事業について
決済・金融関連事業について、今後、規制要件等の遵守のために多額の費用を要する、又は規制要件の追加等により当社グループ事業に影響を及ぼすリスクが生じる可能性があります。
当社グループは、サービスや決済・金融関連事業が発展する過程で日本国内外において、送金、決済、電子商取引、マネーロンダリング、本人確認及びテロファイナンス防止、割賦販売、貸金等の様々な法令の対象となる可能性があります。社内体制整備がサービスの成長速度に追いつかない等の理由により、万一、そうした法律又は規制上の義務に違反していることが判明した場合、罰金その他処罰又は業務停止命令等の制裁を受けたり、サービス変更を余儀なくされたりする可能性があり、いずれの場合にも当社グループの事業、財政状態及び経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。
さらに、モバイル決済サービスやその他の決済・金融関連事業に関して、以下を含む様々な追加リスクが生じる可能性があります。
a.不正取引や取引の失敗への対応・顧客対応・委託先管理等に係る運用費・管理コストの増加
b.既存の決済処理サービス提供会社との関係に与える影響
c.インフラ構築に伴う資本コストの増加
d.ユーザ、プラットフォーム提携先、従業員又は第三者による潜在的な不正や違法行為
e.顧客の個人情報の漏えい、収集した情報の利用及び安全性に関する懸念
f.決済処理のための顧客資金の入金額に対する制限
g.開示・報告義務の追加
(3)会社組織に関するリスク
① 人材に関するリスク
当社グループは、当社グループ全体の事業戦略の立案及び実行について、当社グループの経営陣に相当程度依存しており、かかる経営陣が欠けた場合には当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループが今後とも企業規模を拡大し社会に求められるサービスを提供していくためには、スマートフォンのアプリ開発、設計等に関する技術的な専門性を有する人材をはじめ、コーポレート部門やカスタマーサポート部門においても、当社グループの理念に共感し高い意欲を持った優秀な人材を確保することが必要不可欠であります。また、海外展開においては、現地の市場動向・ビジネスに精通した人材を確保していく必要があります。
当社グループは、規模拡大やサービス向上に必要な優秀な人材の確保のため、今後も必要に応じて採用活動を行っていく予定ではありますが、人材獲得競争の激化や市場ニーズの変化等により、想定通りの採用が進まない等優秀な人材の獲得が困難となる場合や、現在在職する人材の社外への流出が生じた場合には、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
② 事業体制及び内部管理体制について
当社は2013年2月に設立され、未だ社歴が浅く成長途上にあり、今後の事業運営及び事業拡大に対応するため、当社グループの事業体制及び内部管理体制について一層の充実を図る必要があると認識しております。事業規模に適した事業体制及び内部管理体制の構築に遅れが生じた場合、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループは法令に基づき財務報告の適正性確保のために内部統制システムを構築し、運用しておりますが、当社グループの財務報告に重大な欠陥が発見される可能性は否定できず、また、将来にわたって常に有効な内部統制システムを構築及び運用できる保証はありません。更に、内部統制システムに本質的に内在する固有の限界があるため、今後、当社グループの財務報告に係る内部統制システムが有効に機能しなかった場合や財務報告に係る内部統制システムに重大な不備が発生した場合には、当社グループの財務報告の信頼性に影響が及ぶ可能性があります。
③ 個人情報の管理について
当社グループはCtoCマーケットプレイス「メルカリ」のサービス展開にあたって、住所、氏名、電話番号等の利用者個人を特定できる情報を取得しております。これらの個人情報については、個人情報保護方針に基づき適切に管理するとともに、社内規程として個人情報保護規程を定め、社内教育の徹底と管理体制の構築を行っております。
当社グループは、利用者のプライバシー及び個人情報の保護に最大限の注意を払い、適切な情報管理を行っておりますが、何らかの理由で利用者のプライバシー又は個人情報が漏えいする可能性や不正アクセス等による情報の外部への漏えい又はこれらに伴う悪用等の可能性は皆無とは言えず、そのような事態が発生した場合には、当社グループの事業、業績、財政状態並びに企業としての社会的信用に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループが事業を運営する各法域における利用者のプライバシー及び個人情報の保護に係る法規制に改正等があった場合にも、当社グループの事業、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(4)経営成績及び財政状態等について
① 社歴が浅いことについて
当社は2013年2月に設立されており、設立後の経過期間は6年程度と社歴の浅い会社であります。また、過年度の連結業績については、事業立ち上げ段階であったことや米国での赤字計上等により親会社株主に帰属する当期純損失を計上しており、将来連結ベースでの黒字化を適時に達成できる保証はありません。また、当社グループは急速な成長過程にあるため、過年度の経営成績は期間業績比較を行うための十分な材料とはならない可能性があります。
また、流通総額、登録MAUその他の指標については、当社グループ内において合理的と考える方法により算定したものであり、他社との比較可能性が必ずしもあるとは限らないことに加えて、上記のような事情から過去の数値が今後の動向を判断する十分な材料とはならない可能性があります。
② 継続的な投資について
当社グループは、継続的な成長のため、認知度、信頼度を向上させることにより、より多くのユーザを獲得し、また既存のユーザを維持していくことが必要であると考え、会社設立以降積極的に広告宣伝等に投資してきており、今後も継続して国内外における広告宣伝等を進めていく方針であります。
しかしながら、広告宣伝効果が十分に得られない場合やコスト上昇等が生じた場合、投資が想定よりも長期に及ぶことにより計画通りの収益が得られない場合等には、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
③ 海外連結子会社の業績について
当社グループは、2014年1月に米国にて連結子会社であるMercari, Inc.を設立し、米国にてCtoCマーケットプレイス「Mercari」を運営しております。米国においては、2014年9月にサービスを開始し、2016年10月に商品の購入代金に応じた手数料の徴収を開始いたしました。
有料化後も、サービスの更なる発展やユーザ層の拡大のための投資により、一定期間においては赤字計上の継続を想定しておりますが、想定通りに事業拡大が進捗せず、継続的な広告宣伝費用や追加投資その他の負担により赤字計上が想定よりも長期に及ぶ若しくは拡大する場合には、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼし、短期的な連結業績における損失計上額が拡大する可能性があります。
④ 配当政策について
当社グループは、株主に対する利益還元と同時に、財務体質の強化及び競争力の確保を経営の重要課題として位置づけております。現時点では、当社グループは成長過程にあると考えており、内部留保の充実を図り、事業拡大と事業の効率化のための投資に充当していくことが株主に対する最大の利益還元につながると考えております。このことから、創業以来配当は実施しておらず、今後においても当面の間は内部留保の充実を図る方針であります。将来的には、各事業年度の経営成績を勘案しながら株主への利益還元を検討していく方針ですが、現時点において配当実施の可能性及びその実施時期等については未定であります。
(5)その他
株式の追加発行等による株式価値の希薄化について
当社グループは取締役、監査役及び従業員に対し、中長期的な企業価値向上に対するインセンティブとして新株予約権及び譲渡制限株式ユニット(RSU)の付与を行っております。また、上記の制度は、優秀な人材を採用するために利用する可能性があります。これらの新株予約権の権利行使及び譲渡制限株式ユニット(RSU)に係る新株式の発行が行われた場合には、既存の株主が有する株式の価値及び議決権割合が希薄化する可能性があるとともに、かかる株式が一度に大量に市場へ流入することとなった場合には、適切な株価形成に影響を及ぼす可能性があります。なお、当連結会計年度末において、これらの新株予約権及び譲渡制限株式ユニット(RSU)にかかる潜在株式数は13,325,377株であり、発行済株式総数及び潜在株式数の合計164,080,724株の8.1%に相当します。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの経営成績、財政状態及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
なお、「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準第28号 平成30年2月16日)等を当連結会計年度の期首から適用しており、財政状態については遡及適用後の前連結会計年度末の数値で比較を行っております。
① 経営成績の状況
2019年5月に経済産業省が発表した「平成30年度我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備(電子商取引に関する市場調査)」によると、2018年における「メルカリ」などの日本国内フリマアプリ市場は6,392億円とされており、拡大を続けております。
このような事業環境において、当社グループは、CtoCマーケットプレイス「メルカリ」の継続的な成長に向けて、TVCMやオンライン広告を中心としたマーケティング施策に加え、CRM施策(注1)やカテゴリー強化施策を行ったことでMAU(注2)及び購入単価が着実に増加しております。カテゴリー強化施策の一環として「あんしん・あんぜんに」「手間なく」自動車の売買ができる「メルカリあんしん自動車保証」制度と「車検証2次元コード出品」機能を自動車本体カテゴリーの商品を対象に導入する等、カテゴリー強化に取り組んでおります。また潜在的な顧客層を開拓すべく、「メルカリ」の利用方法を学べる教室を開催するなど新しい試みを行っております。更に「メルカリ」が今後も持続的な成長を遂げるためには出品数の増加が重要であると考え、出品や梱包をより手軽に行える取り組みを進めております。その一環として、AI出品(注3)の継続的な改善に加え、バーコード出品の対象カテゴリの拡大、無償で使える梱包資材を用意した梱包コーナー「つつメルすぽっと」の拡大などを進めております。2019年6月にはコインランドリーにて洗いたての洋服などを出品用に撮影できる撮影ブースを設置した実証実験を開始しました。これらの結果、「メルカリ」の日本国内流通総額(注4)は当連結会計年度において4,902億円となり、前年同期比で1,434億円増加しております。
一方、米国ではCtoCマーケットプレイス「Mercari」の拡大に向けて、サービスの利便性向上を目指し、機能開発及び改善等に継続的に注力しております。最適な出品価格を提案する機能の実装や出品に特化したUIへの変更などにより利便性を高める一方、更なる認知及び利用者数の拡大に向け、新たにオンラインメディアやTVCM等でも出品者や購入者を増やすためのキャンペーンに取り組んで参りました。この結果、「Mercari」のMAUは200万人を突破し、米国内流通総額は当連結会計年度において402億円(為替レートについては、期中平均為替レート111.11円にて換算)となり、前年同期比で167億円増加しております。
2018年4月に経済産業省が発表した「キャッシュレス・ビジョン」では、2025年までに日本のキャッシュレス決済比率を40%にするという目標が掲げられ、産官学によるキャッシュレス化に向けた取り組みが進められております。当社グループは、「メルカリ」で培った技術力と膨大な顧客・情報基盤をもとに、スマホ決済サービス「メルペイ」の提供を2019年2月に開始しました。業種・業界を超えた中立でオープンなパートナーシップを推進していく「OPENNESS」戦略によって加盟店を拡大してきたことに加えて、「メルペイあと払い」の外部加盟店への開放やネット決済への対応などサービスの拡充に取り組んだ結果、2019年6月18日には「メルペイ」登録者数(注5)が200万人を突破し、継続して順調に増加しております。また「2019年7月QRコード決済の満足度調査」(注6)において「総合満足度」で1位となるなど、利用者の高い支持を得ております。
以上の結果、当連結会計年度の業績は、売上高51,683百万円(前年同期比44.5%増)、広告宣伝費の使用や人件費の増加等に伴い営業損失12,149百万円(前連結会計年度は4,422百万円の損失)、経常損失12,171百万円(前連結会計年度は4,741百万円の損失)、親会社株主に帰属する当期純損失13,764百万円(前連結会計年度は7,041百万円の損失)となりました。
なお、当社グループはマーケットプレイス関連事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載は省略しております。
(注)1.CRM(Customer Relationship Management)施策:ユーザ活性化を図る施策
2.MAU(Monthly Active Users):1カ月に一度以上「メルカリ」又は「Mercari」を利用するユーザ
3.AI出品:出品画像を認識し、リアルタイムに商品のタイトルやブランドを表示する出品サポート機
能
4.メルカリ カウル(2018年12月で終了)、メルカリ メゾンズ(2018年8月で終了)、CARTUNEを経由
した購入を含む
5.メルペイ「電子マネー」の登録を行ったユーザの累計。コード払いは除く
6.MMDLabo株式会社が運営するMMD研究所が2019年7月に発表
② 財政状態の状況
(資産)
当連結会計年度末における総資産につきましては、前連結会計年度末に比べ45,933百万円増加し、163,685百万円となりました。これは主に、2019年6月28日に新規借入れを実行したこと等により、現金及び預金が16,420百万円増加したことに加え、未収入金が11,401百万円、預け金が4,597百万円増加したことによるものであります。
(負債)
当連結会計年度末における負債合計につきましては、前連結会計年度末に比べ49,419百万円増加し、112,748百万円となりました。これは主に、「メルペイ」のサービス開始に伴い預り金が22,088百万円増加したことに加え、新規借入れにより長期借入金(1年内返済予定の長期借入金を含む)が24,691百万円増加したことによるものであります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産につきましては、前連結会計年度末に比べ3,485百万円減少し、50,936百万円となりました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純損失の計上等により利益剰余金が13,809百万円減少した一方で、当社普通株式の東京証券取引所マザーズへの上場に伴い、当社普通株式2,840,500株のオーバーアロットメントによる売出しを行ったこと等による新株の発行により資本金及び資本準備金がそれぞれ5,306百万円増加したことによるものであります。
③ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、新規連結及び連結除外の調整に伴う現金及び現金同等物の減少額96百万円を合わせて、前連結会計年度末に比べ21,616百万円増加し、当連結会計年度末には130,774百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により使用した資金は、7,289百万円(前連結会計年度は3,437百万円の使用)となりました。これは主に、税金等調整前当期純損失12,567百万円に、預り金の増加額22,077百万円、未収入金の増加額11,405百万円、預け金の増加額4,608百万円、未払金の増加額2,442百万円、貸倒引当金の増加額946百万円、株式報酬引当金の増加額905百万円を調整し、また、法人税等の支払額2,491百万円、及び差入保証金の増加額3,929百万円によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により使用した資金は、2,805百万円(前連結会計年度は1,944百万円の使用)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出1,699百万円、及び敷金の差入による支出940百万円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により獲得した資金は、32,200百万円(前連結会計年度は63,617百万円の獲得)となりました。これは主に、長期借入れによる収入50,000百万円、長期借入金の返済による支出25,308百万円、及び当社普通株式の東京証券取引所マザーズへの上場に伴い、当社普通株式2,840,500株のオーバーアロットメントによる売出しを行ったこと等による株式の発行による収入8,665百万円によるものであります。
④ 生産、受注及び販売の状況
a. 生産実績
当社グループで行う事業は、提供するサービスの性質上、生産実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。
b. 受注実績
当社グループで行う事業は、提供するサービスの性質上、受注実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。
c. 販売実績
当連結会計年度の販売実績は、次のとおりであります。なお、当社グループはマーケットプレイス関連事業の単一セグメントであるため、セグメントごとの記載はしておりません。
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セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2018年7月1日 至 2019年6月30日) |
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販売高(百万円) |
前年同期比(%) |
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マーケットプレイス関連事業 |
51,683 |
144.5 |
(注)上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたり、見積りが必要な事項につきましては、合理的な基準に基づき、会計上の見積りを行っておりますが、実際の結果は特有の不確実性があるため、見積りと異なる場合があります。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a. 売上高
当連結会計年度における売上高は、51,683百万円となりました。これは主に流通総額が増加したことによるものであります。
b. 売上原価
当連結会計年度における売上原価は、12,864百万円となりました。これは主に売上高が増加したことによるものであります。
c. 販売費及び一般管理費、営業利益
当連結会計年度における販売費及び一般管理費は、50,968百万円となりました。これは主に広告宣伝費19,317百万円、支払手数料9,130百万円、給料及び手当7,518百万円によるものであり、この結果、営業損失は12,149百万円となりました。
d. 営業外収益、営業外費用、経常利益
営業外収益は主に受取利息の計上により91百万円、営業外費用は主に支払利息の計上により112百万円となり、この結果、経常損失は12,171百万円となりました。
e. 特別損益、親会社株主に帰属する当期純利益
主に投資有価証券評価損及び事業整理損により、特別損失396百万円の計上があったため税金等調整前当期純損失は12,567百万円となり、法人税等合計1,197百万円の計上により、親会社株主に帰属する当期純損失は13,764百万円となりました。
③ キャッシュ・フローの分析
キャッシュ・フローの分析につきましては、前記「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要」をご参照ください。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性につきましては、次のとおりであります。
当社グループは、継続的な成長のため、認知度、信頼度を向上させることにより、より多くのユーザを獲得し、また既存のユーザを維持していくことが必要であると考え、会社設立以降積極的に広告宣伝等にコストを投下してきており、今後も継続して国内外における広告宣伝等を進めていく方針であります。当社グループの運転資金需要のうち主なものは、当社グループのサービスを効果的に拡大していくための広告宣伝費及び開発に係る人件費であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資等によるものであります。当社グループは、必要な資金を主に自己資金及び金融機関からの借入で賄っております。
④ 経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループは、前記「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおり、事業環境、サービスの性質、国際事業展開、コンプライアンス等、様々なリスク要因が当社グループの経営成績に重要な影響を与える可能性があると認識しております。
そのため、当社グループは常に市場動向に留意しつつ、内部管理体制を強化し、優秀な人材を確保し、市場のニーズに合ったサービスを展開していくことにより、経営成績に重要な影響を与えるリスク要因を分散・低減し、適切に対応を行って参ります。
(会社分割)
当社は、2018年8月9日開催の取締役会において、2018年12月1日を効力発生日として、当社の決済サービス事業に関して有する権利義務等の一部を、当社の完全子会社である株式会社メルペイ(以下「メルペイ」といいます。)に吸収分割(以下「本吸収分割」といいます。)により承継することにつき決議し、同日を以て契約を締結いたしました。また、本吸収分割については、2018年9月28日開催の定時株主総会において関連議案が承認されました。なお、本吸収分割については2018年11月8日開催の取締役会において、メルペイが本事業を承継し実行するために必要な組織体制及びシステムの整備に要する時間を確保すべく、会社分割の効力発生日を2019年2月1日に変更することを決議しております。なお、本吸収分割については2019年2月1日に履行されております。
(1)吸収分割の目的
当社は、金融関連の新規事業を行うことを目的に、2017年11月20日に、当社の100%子会社としてメルペイを設立いたしました。メルペイは、「信用を創造して、なめらかな社会を創る」をミッションに、新たな決済手段の提供に留まることなく、当社の強みである技術力に加え、CtoCマーケットプレイス「メルカリ」に蓄積する膨大な顧客・情報基盤をもとに、新たな信用を生み出し、様々な金融サービスを提供していくことを目指しております。
この度、当社が保有する決済サービス事業の一部をメルペイに移転することによって、当社グループの提供する金融サービスのメルペイへの集約をより一層進め、従前以上にスピード感をもって、効率的に金融サービス事業の拡大を実現して参ります。
(2)吸収分割の方法
当社を吸収分割会社とし、メルペイを吸収分割承継会社とする吸収分割です。
(3)分割の日程
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株主総会基準日 |
2018年6月30日 |
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吸収分割契約 取締役会決議日 |
2018年8月9日 |
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吸収分割契約 締結日 |
2018年8月9日 |
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吸収分割契約 株主総会決議日 |
2018年9月28日 |
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効力発生日変更 取締役会決議日 |
2018年11月8日 |
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効力発生日 |
2019年2月1日 |
(4)吸収分割に係る割当の内容
本吸収分割に際して、メルペイから当社への株式の割当て、金銭その他の財産の交付はありません。
(5)吸収分割に係る割当の内容の算出根拠
該当事項はありません。
(6)承継会社が承継する権利義務
メルペイは、効力発生日における当社の決済サービス事業に属する資産、負債及びこれらに付随する権利義務等の一部を、当社とメルペイの間で締結する吸収分割契約書に定める範囲において承継します。なお、当社は、メルペイが承継する債務を重畳的に引き受けます。
(7)承継会社が承継する資産・負債の状況
① 分割又は承継する部門の事業内容
決済サービス事業
② 分割又は承継する部門の経営成績
当該事業部門単位での業績は集計していないため、経営成績は記載しておりません。
③ 分割する資産、負債の項目及び金額(2019年2月1日現在)
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資産 |
負債 |
||
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項目 |
帳簿価額 |
項目 |
帳簿価額 |
|
流動資産 |
26,468百万円 |
流動負債 |
26,468百万円 |
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固定資産 |
- |
固定負債 |
- |
(8)本吸収分割後の承継会社の概要(2019年2月1日現在)
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吸収分割会社 |
吸収分割承継会社 |
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名称 |
株式会社メルカリ |
株式会社メルペイ |
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所在地 |
東京都港区六本木六丁目10番1号 |
東京都港区六本木六丁目10番1号 |
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代表者の役職・氏名 |
代表取締役会長兼CEO 山田 進太郎 |
代表取締役 青柳 直樹 |
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事業内容 |
CtoCマーケットプレイス関連事業 |
資金移動業等の金融関連事業の企画・開発・運営 |
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資本金 |
39,565百万円 |
4,100百万円 |
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決算期 |
6月30日 |
6月30日 |
(株式交換)
当社は、2018年10月18日開催の取締役会において、当社を株式交換完全親会社とし、マイケル株式会社を株式交換完全子会社とする株式交換を実施することを決議し、同日に両社の間で株式交換契約を締結いたしました。その後当社は、2018年11月8日の株式交換効力発生日においてマイケルを完全子会社といたしました。詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (企業結合等関係)」をご参照ください。
(取得による企業結合)
当社は、2019年7月30日付け取締役会において、日本製鉄株式会社より株式会社鹿島アントラーズ・エフ・シーの発行済株式61.6%を取得することを決議し、日本製鉄株式会社と株式譲渡契約を締結し、2019年8月30日に株式取得に関する手続きが完了いたしました。
詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な後発事象) 取得による企業結合」に記載のとおりであります。
当社は2017年12月に、社会実装を目的として、研究開発組織であるmercari R4Dを設立いたしました。mercari R4Dでは①外部の企業・教育機関など共同研究パートナーによる基礎・応用研究、②mercari R4Dによる研究開発・実装、③当社及び当社グループでの事業化といった取り組みにより、それぞれの組織の強みを活かし、スピーディーな研究開発と社会実装を目指します。なお、当連結会計年度の研究開発費の総額は