第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)会社の経営の基本方針

 当社グループは、「新たな価値を生みだす世界的なマーケットプレイスを創る」をミッションに掲げ、スマートフォンやWEBにおいて個人間で簡単に不要品を売買できるCtoCマーケットプレイス「メルカリ」等のサービスを提供しております。

 

(2)目標とする経営指標

 当社グループは、日本及び米国で事業展開をしており、各地域によって成長ステージが異なっております。そのため、流通総額及び売上高の成長を通じて企業価値の向上を図って参ります。

 

(3)中長期的な会社の経営戦略

 当社グループは、以下の強みを背景に中長期的な経営戦略を立案しております。

当社グループの強み

① 中古品市場の拡大をけん引するCtoCマーケットプレイスのパイオニア

 当社グループは、使いやすく楽しく、かつ安心・安全なCtoCマーケットプレイスの提供を通じて、フリマアプリ市場を作り上げ、オフライン店舗やインターネットオークションに限定されない日本の中古品市場全体の拡大をけん引して参りました。2020年に行った当社調査によると、フリマアプリ及びオークションサイトの利用経験者のうち当社サービスの利用者数が最も多く、他社のサービスを上回る支持を獲得しております。当社グループは、CtoCマーケットプレイスのパイオニアとしての圧倒的なポジショニングを活用することで、上記の中古品市場の高い市場成長を享受できる立場にあると自負しております。

更に、米国をはじめとする海外においても、個人による中古品売買のニーズは高く、「メルカリ」を通じて中古品市場の成長に貢献して参ります。

 

② エンゲージメントの高いユーザ基盤及びこれを通じて得られる高付加価値のデータ

 出品者・購入者双方にとって簡単で使いやすく、楽しく夢中になれるユーザ体験を提供することで、「メルカリ」は高いユーザエンゲージメントを実現しております。「メルカリ」のMAU(注)は2021年6月期第4四半期において19.5百万人であり、2020年に実施した当社調査によると、フリマアプリ及びオークションサイト4社のうち、売れやすさ、使いやすさの利用満足度において、当社サービスの満足度が最も高くなっております。当社は、上記のような高いエンゲージメントを誇るユーザ基盤を通じて、ユーザの取引情報やユーザ間における取引評価情報等、利用価値の高いデータを大量に収集することができます。これらのデータと当社が注力して取り組むAI技術の活用により、購入者の嗜好にあわせた商品提案等による購入転換率の向上や、売れやすい出品価格提案等による出品転換率の向上、カスタマーサポートの効率化等に取り組んで参ります。そのような取り組みによって、既存のサービスにおけるユーザ体験の向上に加え、今後の成長に資する新規サービスの開発につなげることができると考えております。

(注)MAUは「Monthly Active User」の略。1ヶ月に1回以上アプリ又はWEBサイトをブラウジングしたユーザの四半期平均の人数。

 

③ CtoC特有のネットワーク効果による高いロイヤルティの獲得

 CtoCマーケットプレイスである「メルカリ」は、ネットワーク効果が強く働くサービスです。すなわち、出品者・出品数が増えれば、購入したい商品が増えるため購入者・購入数が増加し、これにより商品の流動性が高まり、更に出品者・出品数が増加していきます。更に「メルカリ」では、多くの出品者・購入者が高い頻度でサービスを利用しており、ネットワーク効果による自走的成長が促進されています。また、商品を販売して得た売上金をもとに別の商品の購入が可能なため、「メルカリ」で商品を販売した出品者が次の購入者となることが促進されています。その結果、ユーザの大部分は、出品者と購入者の双方として「メルカリ」を利用しています。

 このようなネットワーク効果による出品者や購入者からの高いロイヤルティ獲得につながり、リピートユーザによる継続的な取引への参加が流通総額の成長に大きく貢献しています。更に、ユーザの過去の取引評価の蓄積により、他のユーザが安心して取引を行うことができるとともに、ユーザ獲得競争において他の競合サービスへの流出を抑制する効果を有しています。

 

④ 高い収益性を実現するビジネスモデル

 当社グループは、メルカリJPにおいて既に高い収益性を実現しています。この背景は、一定の事業規模に達するとその後の更なる事業規模拡大に際してコストを適切に管理できるというビジネスモデルにあります。具体的には、当社のコスト構造の相当の割合は広告宣伝費により構成されていますが、一般的にモバイルアプリの初期成長段階では売上高に占める広告宣伝費の割合は高くなるものの、ユーザ基盤が拡大し安定するにつれて広告宣伝費の比率を抑えることが可能になります。その結果高い収益性を実現することが可能となります。

 

⑤ イノベーションを推進する経営陣及び企業文化

 創業者で代表取締役CEO(社長)である山田進太郎が率いる当社グループの経営陣は、革新的なスタートアップ企業の創設者や経営幹部としての経験、豊富なエンジニアリング経験等を有する多くの起業家により構成されています。ソーシャルメディアやモバイルサービスにおいて、ユーザのエンゲージメントを高め、収益化し、規模を拡大させる豊富な経験を当社グループの経営に活かしています。

 当社グループの成功は、当社グループのエンジニアやその他のプロフェッショナル人材の質の高さにも起因しています。これは、採用と継続雇用に対する投資や、「Go Bold」、「All for One」、「Be a Pro」の3つの行動指針(バリュー)を尊重する企業文化を反映しています。日本及び米国それぞれの現地チームにおいて、経営陣及びその他の主要なプロフェッショナル人材の採用・育成強化に積極的に取り組んで参ります。

 

当社の具体的な経営戦略

 2021年6月期は、メルカリJP/メルペイ/メルカリUSの3本柱に加え、当社グループのさらなる成長・ミッションの達成を目指し、新規事業に取り組む子会社である株式会社ソウゾウ、株式会社メルコインを設立いたしました。今後も、既存事業においては事業環境を踏まえ機動的に内容の見直しを行いながらもグロースを優先した投資を行い、新規事業においてはグループシナジーを最大化する事業を創出することで、グループとして持続的な成長及び将来利益の最大化を進めて参ります。

 

① メルカリJP:新規ユーザの獲得によるMAUの増加と、既存ユーザへのパーソナライゼーションやカテゴリー強化によるARPU(注)の向上

 メルカリでは、コアユーザの若年層だけでなく、中高年層も含めた幅広い層からも利用して頂くことで新規ユーザ獲得によるMAU増加を目指して参りました。加えて、これからはAIを活用したパーソナライゼーションやカテゴリ強化を通じて、既存ユーザがより利用して頂けるサービスの改善も行って参ります。

 2021年4月に株式会社電通マクロミルインサイトが実施した調査に基づく分析によれば、2021年6月期第4四半期MAU19.5百万人に対し、「メルカリ」の認知と出品意向はあるが未出品のユーザはおよそ36百万人いると試算されています。このような潜在出品者に向けた施策を通じて、「メルカリ」の更なる成長に注力して参ります。

・リアルタッチポイントの強化

 「メルカリ」の利用経験の無いあるいは少ないユーザに対する「メルカリ」の使い方等に関する講習会や、梱包・発送場所の増加等のオフラインUXの進化等、様々なオフライン施策を活発化することで、潜在出品顧客の取り込みに取り組んで参ります。

・既存ユーザに対してAIを活用したパーソナライゼーションやカテゴリー強化によるARPUの向上

 過去の閲覧履歴をもとに購入者ごとにカスタマイズされたおすすめ商品の提案や、思ってもみなかった商品を提案することで「メルカリ」をもっと使いたくなるサービスにしていきます。カテゴリー強化施策としては、特定カテゴリーとの戦略的連携やWEB強化によるカテゴリーごとの購入体験の最大化によってカテゴリーを強化して参ります。

・一次流通、二次流通の連携による新しい売買体験

 一次流通企業が保有する商品データ等と、当社が保有する二次流通データを連携することで、商品の検索、比較、出品時の情報入力等がより簡易化するほか、一次流通への購入導線の設置等、よりスムーズでシームレスな売買体験の提供を行って参ります。

(注)ARPUはAverage Revenue Per Userの略ユーザ一人当たりの平均購入金額。

 

② メルペイ:収益基盤の確立と循環型金融の促進

 メルペイでは、「決済」「与信」「ふえるお財布」の3つの分野において事業を展開しており、それぞれにおいて、利便性やユーザ体験の向上を目指したサービスの提供・改善に努めております。2021年6月期以降、独自のロジックにて与信付与を行う「与信」分野を中心に、収益力の強化に取り組んでおり、その結果、2021年5月には一時的ではありますが、単月営業利益(黒字)を実現いたしました。また、eKYC等による本人確認を積極的に推進しており、本人確認済みユーザ比率は8割を超え、ユーザにとってより安心・安全な利用環境の実現とともに、今後の事業拡大を円滑に推進すべく準備を進めております。今後も、収益基盤をより強固なものにすると同時に利便性の高い新たなサービスや機能の追加に取り組み、グループシナジーを活かした総合的な金融サービスの提供を行って参ります。

・「決済」における利便性強化、利用促進

 「決済」分野においては、既存の決済手法である「iD」「コード」「バーチャルカード」の利用促進に向け、認知度の拡大やユーザの日常生活導線に沿った加盟店開拓を推進し、さらなる利用機会の創出を目指します。また、新サービスや機能の開発により、利便性の強化にも取り組んで参ります。

・「与信」を中心とした収益基盤の確立

 2020年7月より提供を開始した「メルペイスマート払い(定額払い)」や2021年8月に開始した「メルペイスマートマネー」等、「メルカリ」の利用履歴に基づく独自の与信を活用したサービスを中心に収益基盤の確立を推進します。またこれらのサービス利用や安心・安全な利用環境の構築に不可欠な本人確認を引き続き促進するとともに、ライセンスを取得予定であるAI与信を活用したユーザ体験の向上にも取り組んでいく予定です。

・「ふえるお財布」におけるユーザ体験の向上

 メルペイ残高を利用した資産運用ができる「ふえるお財布」では貸付投資サービス「funds」を活用した取り組みの第3弾を予定するとともに、2021年4月に設立した株式会社メルコインと連携し、ビットコインを活用した資産運用サービスの提供を検討しております。これに伴い、株式会社メルコインでは「暗号資産交換業者」のライセンス取得を目指します(注)。メルペイでは、これらのサービスを一つのウォレットで提供することで、すべての人が必要な時に必要な金融サービスを利用できる環境の構築に努めて参ります。

(注)ライセンスの取得時期は未定

 

③ メルカリUS:パーソナライゼーションの推進等、2023年6月期以降の更なる成長に向けた準備に注力

 メルカリUSは、簡単で安全に商品を取引できるマーケットプレイスを目指し、規律を持ちつつも積極的なマーケティング投資によるブランド認知度向上とユーザ獲得、プロダクト機能や配送方法の改善に取り組んで参りました。その結果、流通総額は高い成長を実現しています。また、2021年6月期第2四半期より新たに徴収を開始した決済手数料等により収益基盤が改善し、第4四半期には初めての四半期営業利益(黒字)を達成いたしました。2022年6月期も安定成長を堅持しつつ、2023年6月期以降の成長再加速に向けた利便性の向上に関わる新機能の開発や優秀な人材の確保等への投資を行って参ります。

・オートメーション & パーソナライゼーション

 AIやデータを活用した検索エンジン改善によるオートメーション強化と、個人の好みや行動履歴に基づいてユーザの出品を促すパーソナライゼーションへの進化を目指します。

・配送イノベーション

 地域の人々とつながることで、あらゆるモノの購入や出品を安全で簡単に行えるローカル配送には大きな可能性があると考えております。即日配送サービスMercari Local (旧:Mercari Now)を拡大することでローカル配送を強化し、新規出品者の開拓を行って参ります。

・使いやすさの向上

 アプリ/WEBのデザインシステム統一等引き続き機能改善に注力する他、分割払い等ユーザの支払の利便性を向上させるような施策を行って参ります。

 

(4)会社の課題

① サービスの安全性及び健全性の確保

 Eコマースサービスやソーシャルメディア等の普及に伴い、インターネット上のサービスの安全性維持に対する社会的要請は一層高まりを見せております。当社グループは、安全・安心な取引の場を提供するため、サービスの安全性・健全性確保を最重要課題として、個人情報保護や知的財産権侵害品対策等に継続的に取り組んで参ります。

 

② 人材の育成

 サービスのグローバル展開を含めた今後の成長を推進するにあたり、人材の育成は重要な課題と認識しております。従業員が高いモチベーションをもって働けるよう、育成の仕組みや人事制度の整備、ダイバーシティ&インクルージョンの推進等を積極的に進めて参ります。

 

③ 技術力の強化

 当社グループはインターネット上でサービスを提供しており、サービス提供に係るシステムを安定的に稼働させることが事業運営上重要であると認識しております。出品数の増加に伴うアクセス数の増加を考慮したサーバー設備の強化、並列処理システムの導入等による負荷分散等、継続的にシステムの安定性確保に取り組んで参ります。

 また、先端技術への投資に注力し、更なるユーザ体験の向上に取り組んで参ります。例えば、過去の取引履歴や評価情報等の膨大なデータを元にしたAIや機械学習技術の活用により、サービスの利便性向上や、安全性及び健全性の維持・強化を推進して参ります。更に、自動翻訳による異なる言語間での取引の推進や、ブロックチェーン、VR/AR、量子コンピュータ、IoT(モノのインターネット)等の先端技術への投資を行う等、技術力の強化に向けて取り組んで参ります。

 

④ 海外展開への対応

 当社グループは、ミッションに掲げる「新たな価値を生みだす世界的なマーケットプレイスを創る」の実現に向け、2014年に米国へ進出し、2019年には日本における「メルカリ」に出品された商品を海外から購入できる越境販売を開始するなど、海外展開にも着手して参りました。米国で提供する「Mercari」の着実な成長や越境販売における海外ユーザの購買ニーズを通じ、まだ進出していないエリアにも潜在的な事業機会が広がっていると考えております。メルカリUSの更なる拡大に加え、規律のある投資を意識しつつも積極的に新たな海外展開を図っていく方針であります。

 

⑤ コーポレート・ガバナンスの強化

 当社グループは、経営の監視機能及び内部統制機能の充実、コンプライアンス経営の徹底を通じて、企業価値の向上に努めることをコーポレート・ガバナンスの基本方針として定め、ステークホルダーのみなさまの信頼に応えるべく、今後もこの基本方針のもと、経営の効率性、透明性を高め、企業価値の最大化と持続的な成長、発展に努めていく方針であります。

 

⑥ 内部管理体制の拡充並びにコンプライアンスの徹底

 当社グループは今後もより一層の事業拡大を目指しており、社会的責任を果たし、持続的な成長と企業価値向上を図るために、当社グループの成長に見合った人材の確保、育成及びコンプライアンスの徹底を重要な課題と考えております。内部監査、法務、財務、経理、情報セキュリティ等、それぞれの分野で高い専門性や豊富な経験を有している人材を採用することに加え、社員に対する継続的な啓蒙活動及び研修活動を行うことで、更なる内部管理体制の強化を図ると共に、コンプライアンスの徹底に努めて参ります。

 

2【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。また、当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期、当該リスクが顕在化した場合に当社の財政状態、経営成績等に与える影響の内容につきましては、合理的に予見することが困難であるものについては具体的には記載しておりません。なお、当社はリスク管理(リスクの特定、評価、対応策の策定)の実施により、以下のリスクに対してその発生可能性を一定水準まで低減していると考えております。

 当社グループは、これらのリスク発生の可能性を十分に認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針ではありますが、当社株式に関する投資判断は、本項及び本書中の本項以外の記載事項を慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、将来において発生の可能性があるすべてのリスクを網羅するものではありません。

 

(1)事業環境に関するリスク

① 業界の成長性について

 当社グループは、個人間で簡単かつ安全に不要品を売買できるCtoCマーケットプレイス「メルカリ」を展開しております。近年の中古品市場の世界的な広がり、また、スマートフォンの高機能化及び普及拡大、Eコマース市場の拡大等を背景として、CtoCマーケットプレイス「メルカリ」の流通総額、ユーザ数等は順調に拡大を続けており、今後もこの傾向は継続するものと認識しております。

 また株式会社メルペイでは「メルカリ」アプリを通じてスマホ決済サービス「メルペイ」を提供しております。キャッシュレス決済市場の拡大を追い風に利便性の強化に取り組んでおり、決済分野における「メルペイ」の決済総額、利用者数は順調に拡大し、注力している与信分野においても「メルペイスマート払い(翌月払い・定額払い)」の利用者数や利用残高について順調に拡大しています。

 しかしながら、中古品市場やEコマースを制限するような法規制、景気動向、個人の嗜好等の変化等により、当該市場の成長が鈍化し、それに伴い当社グループの売上の大部分を占めるCtoCマーケットプレイス「メルカリ」全体の流通総額や注力する商品カテゴリーの流通総額が順調に拡大しない場合、これらの要因によりユーザ離れが生じ、当社グループのビジネスモデルを長期的に維持できない場合、又は「メルペイ」等の当社グループが提供するCtoCマーケットプレイス「メルカリ」以外のサービスが順調に成長しない場合には、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 競合について

 現在、多くの企業がスマートフォンを利用したCtoCサービスに参入しており、商品カテゴリーやサービス形態も多岐に渡っております。また、インターネットオークションやリサイクルショップも存在しており、中古品市場の競争環境は厳しさを増しております。更に、決済・金融関連事業についても、電子決済サービス、及び電子決済サービスに関連するサービスを提供する複数の競合他社が存在しております。

 当社グループは、今後とも顧客ニーズへの対応を図り、サービスの充実に結び付けていく方針ではありますが、これらの取り組みが予測通りの成果をあげられない場合や、より魅力的・画期的なサービスやより競争力のある条件でサービスを提供する競合他社の出現等が、当社グループが提供するサービスからのユーザ離れ、出品の減少、手数料水準の低下等につながる場合には、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 法的規制について

 当社グループが展開するCtoCマーケットプレイス「メルカリ」においては、出品者が商品を販売して得られる売上金でポイントを購入し、当該ポイントで商品を購入することを可能としています。そのため、株式会社メルペイは、資金決済に関する法律(以下、「資金決済法」という。)の第三者型前払式支払手段の発行者及び資金移動業者として登録を受けており、関連法、関連政令、内閣府令等の関連法令を遵守して業務を行っております。なお、現状において取消事由となるような事象は発生しておりません。

 また、「メルペイ」においては購入者にマンスリークリア取引及び分割払取引である「メルペイスマート払い(翌月払い・定額払い)」や、少額融資サービス「メルペイスマートマネー」を提供しています。そのため、株式会社メルペイでは割賦販売法(以下、「割販法」という。)のクレジットカード番号等取扱契約締結事業者及び包括信用購入あっせん業者並びに貸金業者としての登録を行っており、関連法、関連政令・省令等の関連法令を遵守して業務を行っております。なお、現状において取消事由となるような事象は発生しておりません。

 米国においては、決済関連の規制対応のため、必要とされる州においてMoney Transmitter Licenseの申請を行っており、全ての州において既に取得が完了しております。

 当社グループは、税務当局を含む規制当局の動向及び既存の法規制の改正動向等を踏まえ、適切に対応しておりますが、かかる動向をすべて事前に正確に予測することは不可能又は著しく困難な場合もあり、これに適時かつ適切に対応できない場合には、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。当社グループが、これらの法規制等に抵触しているとして何らかの行政処分を受けた場合、及び新たな法規制の適用又は規制当局の対応の重要な変更等により、CtoCマーケットプレイス「メルカリ」の運営又はその他の既存若しくは新規の事業展開に何らかの制約が生じた場合には、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

④ 自然災害等について

 大地震、台風等の自然災害及び事故、火災等により、開発・運用業務の停止、設備の損壊や電力供給の制限、配送網の分断、混乱等の不測の事態が発生した場合には、当社グループによるサービス提供に支障が生じる可能性があり、ひいては当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤ 新型コロナウイルス感染症について

 新型コロナウイルスの世界的な流行は終息しておらず、当社グループの従業員や取引先で感染者が発生することで、開発・運用業務が遅延するような場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。当該リスクの発生時期や発生可能性は不明であるものの、感染拡大防止の取組みとして、職域接種による任意のワクチン接種の実施、リモートワーク(在宅勤務)の積極的な活用や時差出勤の推奨、オフィス入室時の検温による健康状態の確認やアルコール消毒、会議室における座席間隔の確保等の施策を実施しています。

 

(2)事業に関するリスク

① サービスの健全性の維持について

 当社グループが展開するサービスは、取引の場であるプラットフォームを提供することをその基本的性質としております。このため、当社グループでは、プラットフォームの健全性確保のため、サービス内における禁止事項を明記するとともに、監視・通報制度の整備やブランド等の権利者との連携等により、偽造品その他の出品禁止物の排除に努めております。また、当社グループは、ユーザとの関係で売買契約又は役務提供契約の当事者とはならず、また、サービスの利用規約においても、ユーザ間で生じたトラブルについて、当社グループは責任を負わず、当事者間で解決すべきことを定めております。

 しかしながら、当社グループのサービスにおいて、第三者の知的財産権、名誉、プライバシーその他の権利を侵害する行為、詐欺その他の法令違反行為等が行われた場合や、サービス内の不適切な行為を取り締まることができないことにより、プラットフォームの安全性及び健全性が確保できない場合には、当社グループ又は当社グループが提供するサービスに対する信頼性が低下し、ユーザ離れにつながる可能性があります。更に、問題となる行為を行った当事者だけでなく、当社グループもプラットフォームを提供する者としての責任を問われた場合、当社グループの企業イメージ、信頼性の毀損、ひいては当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 海外展開に関するリスク

 当社グループは、収益機会の拡大に向けて米国でも簡単で安全に様々なモノが売れるマーケットプレイス「Mercari」を展開しており、今後とも海外展開の強化を図っていく予定であります。

 なお、海外展開にあたっては、広告宣伝費や人件費等の投資を今後も相当規模で行う可能性があります。また、言語、地理的要因、法制・税制を含む各種規制、経済的・政治的不安、文化・ユーザの嗜好・商慣習の違い、為替変動等の様々な潜在的リスク、事業展開に必要な人材の確保の困難性、及び展開国において競争力を有する競合他社との競争リスクが存在します。当社グループがこのようなリスクに対処できない場合、当社グループの海外展開に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ システムについて

 当社グループが展開するCtoCマーケットプレイス「メルカリ」の利用に際しては、ユーザのインターネット及びモバイルネットワークへのアクセス環境が不可欠であると共に、当社グループのITシステムも重要となります。

 当社グループは、システムトラブルの発生可能性を低減するために、安定的運用のためのシステム強化、セキュリティ強化を徹底しており、万が一トラブルが発生した場合においても短時間で復旧できる体制を整えております。また、当社の財務諸表における様々な財務数値は当社のITシステムから取得されており、これらは自社開発の複数の業務処理システムから構成されております。これらのシステム処理の適切性を担保するために適切な業務処理統制を整備・運用しております。

 しかしながら、システムへの一時的な過負荷や電力供給の停止、ソフトウエアの不具合、コンピューターウィルスや外部からの不正な手段によるコンピューターへの侵入、自然災害、事故等、当社グループの予測不可能な要因によってシステムがダウンした場合や、当社グループのシステム外でユーザのアクセス環境に悪影響を及ぼす事象が発生した場合には、当社グループの事業、業績及び財政状態、適正な財務報告体制等に影響を及ぼす可能性があります。

 また、当社グループは、サービスの安定稼働及び事業成長のために、継続的にシステムインフラ等への設備投資が必要となります。当社グループの想定を上回る急激なユーザ又はトラフィックの拡大や、セキュリティ強化その他の要因によるシステム対応強化が必要となった場合、追加投資等を行う可能性があり、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

④ 訴訟等の可能性について

 ユーザによる違法行為やトラブル、第三者の権利侵害があった場合等には、当社グループに対してユーザその他の第三者から訴訟その他の請求を提起される可能性があります。

 一方、当社グループが第三者に何らかの権利を侵害され、又は損害を被った場合には、訴訟等による当社グループの権利保護のために多大な費用を要する可能性もあります。

 このような場合には、その訴訟等の内容又は請求額によっては、当社グループの事業、業績、財政状態並びに企業としての社会的信用に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤ 知的財産権に関するリスク

 当社グループは、当社グループが運営する事業に関する知的財産権の取得に努め、当社グループが使用する商標・技術・コンテンツ等についての保護を図っておりますが、当社グループの知的財産権が第三者の侵害から保護されない場合、又は知的財産権の保護のために多額の費用が発生する場合には、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループが使用する技術・コンテンツについて、知的財産権の侵害を主張され、当該主張に対する防御又は紛争の解決のための費用又は損失が発生し、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑥ 事業基盤の拡充について

 当社グループは、事業規模の拡大と収益源の多様化を実現するため、メルカリIDにより統合された当社グループのエコシステムの構築を含め、事業基盤の拡充や新規事業に取り組んでいく方針であります。今後も新規サービスの開始や第三者のサービスの導入等を行う可能性がありますが、エコシステムの構想はいまだ初期段階であり、競合するサービスとの競争、収益性、規制上のリスク、オペレーションへの負荷、レピュテーションへの影響等、不確定要素が多く存在するため、当社グループの想定通りにエコシステム構築が進捗しない可能性や、当社グループがエコシステムを構築した場合にもエコシステムから十分な利益を得ることができない可能性があります。

 また、株式会社メルペイでは資金移動業者登録、クレジットカード番号等取扱契約締結事業者登録、包括信用購入あっせん業者登録、貸金業者登録を行っており、金融関連事業の更なる展開を検討しておりますが、今後提供するサービスの内容や性質等に応じたリスクが発生する可能性があります。

 事業基盤の拡充や新規事業展開については、既存サービスとのシナジーやリスク等について企画及び開発段階において十分な検討を行うことによりリスク低減を図る方針であります。また、これら事業基盤の拡充及び新規事業展開に際しては、M&A、ジョイント・ベンチャー、資本業務提携及び投資活動も有効な手段であるものと認識しており、今後も検討を実施していく方針であります。

 一方、事業基盤の拡充や新規事業展開においては、不確定要素が多く存在することから、当社グループがこれらを実施する場合には、当社グループの想定通りに進捗しない、期待するシナジーが得られない又は法的若しくは事業上の新たなリスク要因が発生するなどの可能性があります。また、想定外の費用・のれんの減損等の負担や損失計上が発生し又はこれらの取り組みに付随した追加投資が必要となる可能性があります。更に、M&A等については、デュー・ディリジェンスの限界等から想定外の事象が発生するリスクを有しており、これらに起因して当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑦ 第三者への依存について

 当社グループは、ユーザにスマートフォン向けアプリを提供していることから、Apple Inc.及びGoogle Inc.が運営するプラットフォームを通じてアプリを提供することが現段階の当社グループの事業にとって重要な前提条件となっております。また、当社グループは、ユーザの決済手段として、クレジットカード決済、コンビニ決済、ATM決済等の外部の事業者が提供するサービスを導入しています。したがって、これらの事業者の動向、事業戦略及び当社グループとの関係等により、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 また、当社グループは商品の配送についてヤマト運輸株式会社や日本郵便株式会社等の配送業者に依存していることから、今後これらの配送業者について取引条件の変更、事業方針等の見直し及び配送状況の変化等があった場合、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑧ 決済・金融関連事業について

 決済・金融関連事業について、今後、規制要件等の遵守のために多額の費用を要する、又は規制要件の追加等により当社グループ事業に影響を及ぼすリスクが生じる可能性があります。

 当社グループは、サービスや決済・金融関連事業が発展する過程で日本国内外において、送金、決済、電子商取引、マネーロンダリング、本人確認及びテロファイナンス防止、割賦販売、貸金等の様々な法令の対象となる可能性があります。社内体制整備がサービスの成長速度に追いつかない等の理由により、万一、そうした法律又は規制上の義務に違反していることが判明した場合、罰金その他処罰又は業務停止命令等の制裁を受けたり、サービス変更を余儀なくされたりする可能性があり、いずれの場合にも当社グループの事業、財政状態及び経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。

 さらに、スマホ決済サービスやその他の決済・金融関連事業に関して、以下を含む様々な追加リスクが生じる可能性があります。

a.不正取引や取引の失敗への対応・顧客対応・委託先管理等に係る運用費・管理コストの増加

b.既存の決済処理サービス提供会社との関係に与える影響

c.インフラ構築に伴う資本コストの増加

d.ユーザ、プラットフォーム提携先、従業員又は第三者による潜在的な不正や違法行為

e.顧客の個人情報の漏えい、収集した情報の利用及び安全性に関する懸念

f.決済処理のための顧客資金の入金額に対する制限

g.開示・報告義務の追加

 

(3)会社組織に関するリスク

① 人材に関するリスク

 当社グループは、当社グループ全体の事業戦略の立案及び実行について、当社グループの経営陣に相当程度依存しており、かかる経営陣が欠けた場合には当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 また、当社グループが今後とも企業規模を拡大し社会に求められるサービスを提供していくためには、スマートフォンのアプリ開発、設計等に関する技術的な専門性を有する人材をはじめ、セキュリティ部門、コーポレート部門やカスタマーサポート部門においても、当社グループの理念に共感し高い意欲を持った優秀な人材を確保することが必要不可欠であります。また、海外展開においては、現地の市場動向・ビジネスに精通した人材を確保していく必要があります。

 当社グループは、規模拡大やサービス向上に必要な優秀な人材の確保のため、今後も必要に応じて採用活動を行っていく予定ではありますが、人材獲得競争の激化や市場ニーズの変化等により、想定通りの採用が進まない等優秀な人材の獲得が困難となる場合や、現在在職する人材の社外への流出が生じた場合には、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 事業体制及び内部管理体制について

 当社は2013年2月に設立され、未だ社歴が浅く成長途上にあり、今後の事業運営及び事業拡大に対応するため、当社グループの事業体制及び内部管理体制について一層の充実を図る必要があると認識しております。事業規模に適した事業体制及び内部管理体制の構築に遅れが生じた場合、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループは法令に基づき財務報告の適正性確保のために内部統制システムを構築し、運用しておりますが、当社グループの財務報告に重大な欠陥が発見される可能性は否定できず、また、将来にわたって常に有効な内部統制システムを構築及び運用できる保証はありません。更に、内部統制システムに本質的に内在する固有の限界があるため、今後、当社グループの財務報告に係る内部統制システムが有効に機能しなかった場合や財務報告に係る内部統制システムに重大な不備が発生した場合には、当社グループの財務報告の信頼性に影響が及ぶ可能性があります。

 

③ 個人情報の管理について

 当社グループはCtoCマーケットプレイス「メルカリ」のサービス展開にあたって、住所、氏名、電話番号等の利用者個人を特定できる情報を取得しております。これらの個人情報については、個人情報保護方針に基づき適切に管理するとともに、社内規程として個人情報保護規程を定め、社内教育の徹底と管理体制の構築及び改善を行っております。

 当社グループは、利用者のプライバシー及び個人情報の保護に最大限の注意を払い、適切な情報管理を行っておりますが、何らかの理由で利用者のプライバシー又は個人情報が漏えいする可能性や不正アクセス等による情報の外部への漏えい又はこれらに伴う悪用等の可能性は皆無とは言えず、そのような事態が発生した場合には、当社グループの事業、業績、財政状態並びに企業としての社会的信用に影響を及ぼす可能性があります。

 また、当社グループが事業を運営する各法域における利用者のプライバシー及び個人情報の保護に係る法規制に改正等があった場合にも、当社グループの事業、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(4)経営成績及び財政状態等について

① 社歴が浅いことについて

 当社は2013年2月に設立されており、設立後の経過期間は8年程度と社歴の浅い会社であります。過年度の連結業績については、CtoCマーケットプレイス「メルカリ」の立ち上げ段階であったことや米国における「Mercari」や国内におけるスマホ決済サービス「メルペイ」を中心とする新規事業への投資等により親会社株主に帰属する当期純損失を計上しております。当連結会計年度は、親会社株主に帰属する当期純利益を計上しておりますが、当社グループは将来利益の最大化を見据えた規律ある投資を行っており、今後も継続的な連結黒字を達成できる保証はありません。また、当社グループは急速な成長過程にあるため、過年度の経営成績は期間業績比較を行うための十分な材料とはならない可能性があります。

 流通総額、MAU(注)その他の指標については、当社グループ内において合理的と考える方法により算定したものであり、他社との比較可能性が必ずしもあるとは限らないことに加えて、上記のような事情から過去の数値が今後の動向を判断する十分な材料とはならない可能性があります。

 (注)MAUは「Monthly Active Users」の略。1ヶ月に1回以上アプリ又はWEBサイトをブラウジングしたユーザの四半期平均の人数。

 

② 継続的な投資について

 当社グループは、継続的な成長のため、認知度、信頼度を向上させることにより、より多くのユーザを獲得し、また既存のユーザを維持していくことが必要であると考え、会社設立以降積極的にプロダクトの改善や梱包発送等の利便性の向上、マーケティング施策等に投資を行って参りました。今後も、規律を保ちながら、成長につながる投資を行う方針であります。

 しかしながら、事業環境の変化や広告宣伝効果が十分に得られない場合、コスト上昇等が生じた場合、投資が想定よりも長期に及ぶことにより計画通りの収益が得られない場合等には、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 海外連結子会社の業績について

 当社グループは、2014年1月に米国にて連結子会社であるMercari, Inc.を設立し、簡単で安全に様々なモノが売れるマーケットプレイス「Mercari」を運営しております。2014年9月にサービスを開始し、2016年10月より商品の購入代金に応じた販売手数料、2020年10月より決済手数料の徴収を開始いたしました。

 手数料の徴収開始後も、サービスの更なる発展やユーザ層の拡大のための投資を行っており、想定通りに事業拡大が進捗せず、継続的な広告宣伝費用や追加投資等その他の負担により損失計上が長期に及ぶ若しくは拡大する場合には、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼし、短期的な連結業績における損失計上額が拡大する可能性があります。

 

④ 配当政策について

 当社グループは、株主に対する利益還元と同時に、財務体質の強化及び競争力の確保を経営の重要課題として位置づけております。現時点では、当社グループは成長過程にあると考えており、内部留保の充実を図り、事業拡大と事業の効率化のための投資に充当していくことが株主に対する最大の利益還元につながると考えております。このことから、創業以来配当は実施しておらず、今後においても当面の間は内部留保の充実を図る方針であります。将来的には、各事業年度の経営成績を勘案しながら株主への利益還元を検討していく方針ですが、現時点において配当実施の可能性及びその実施時期等については未定であります。

 

(5)その他

 株式の追加発行等による株式価値の希薄化について

 当社グループは取締役、監査役及び従業員に対し、中長期的な企業価値向上に対するインセンティブとして新株予約権及び譲渡制限株式ユニット(RSU)の付与を行っております。また、上記の制度は、優秀な人材を採用するために利用する可能性があります。加えて、当社は取得条項付転換社債型新株予約権付社債の発行をしております。これらの新株予約権の権利行使及び譲渡制限株式ユニット(RSU)に係る新株式の発行並びに当該取得条項付転換社債型新株予約権付社債が株式に転換された場合には、既存の株主が有する株式の価値及び議決権割合が希薄化する可能性があります。

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループの経営成績、財政状態及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

① 経営成績の状況

 当社グループのミッションである「新たな価値を生みだす世界的なマーケットプレイスを創る」の実現に向け、今年度においても幅広い層に愛されるサービスを目指し、安全性の強化や利便性の向上を進めて参りました。新型コロナウイルス(以下、「COVID-19」という)状況下にて一時的に投資を抑制しておりましたが、当社の提供するサービスにおけるユーザ動向等を勘案し、第2四半期後半より投資を再開しました。マーケティング施策を中心に、規律を保ちながら、今後の成長につながる投資を行っております。その結果、メルカリJP・メルカリUSにおける流通総額は高い成長を実現するとともに、メルカリJP・メルカリUS・メルペイの主力3事業の収益力が着実に向上しております。これに伴い、創業来初の通期連結営業利益(黒字)となりました。また今年度は、当社グループのさらなる成長・ミッションの達成を目指し、新規事業に取り組む子会社である株式会社ソウゾウ、株式会社メルコインを設立いたしました。今後も、既存事業においては事業環境を踏まえ機動的に内容の見直しを行いながらもグロースを優先した投資を行い、新規事業においてはグループシナジーを最大化する事業を創出することで、グループとして持続的な成長及び将来利益の最大化を進めて参ります。

 主力事業であるメルカリJPでは、中長期での成長を図るため、継続的な出品の強化に取り組むとともに、プロダクトの改善や梱包発送等の利便性の向上、マーケティング施策により、MAU(注1)の増加に取り組んで参りました。この結果、「メルカリ」の流通総額は、当連結会計年度において7,845億円となり、前年同期比で1,586億円増加し、MAUは1,954万人となりました。

 スマホ決済サービスを提供するメルペイは、与信分野を中心に収益力の強化に取り組んで参りました。注力している「メルペイスマート払い(定額払い)」において利用者や残高が着実に増加しており、「メルペイ」の利用者数は1,067万人(注2)となりました。メルペイでは、今後も「決済」「与信」「ふえるお財布」それぞれにおいて新機能や新サービスを提供していく予定です。その上で重要となる本人確認を推進するとともに、不正利用対策等の安心・安全な利用環境の構築に取り組んで参ります。

 メルカリUSでは「Mercari: Your Marketplace」として、誰もがより簡単で安全に様々なモノが売れるマーケットプレイス「Mercari」の浸透・成長に向けて、マーケティング施策を中心とした認知度向上及び新規ユーザ獲得に加え、出品及び配送の最適化を推進し、これにより高い成長を実現いたしました。この結果、「Mercari」の流通総額は当連結会計年度において1,238億円(為替レートについては、期中平均為替レート106.53円にて換算)となり、前年同期比で501億円増加し、MAUは461万人となりました。また、今年度は、販売手数料(Selling Fee)に加え、決済手数料(Payment Processing Fee)の徴収を開始したことにより、収益基盤が向上し、初の四半期営業利益(黒字)となりました。

 以上の結果、当連結会計年度の業績は、売上高106,115百万円(前年同期比39.1%増)、営業利益5,184百万円(前年同期は19,308百万円の損失)、経常利益4,975百万円(前年同期は19,391百万円の損失)、親会社株主に帰属する当期純利益5,720百万円(前年同期は22,772百万円の損失)となりました。

 なお、当社グループはマーケットプレイス関連事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載は省略しております。

 

(注)1.「Monthly Active Users」の略。1ヶ月に1回以上アプリ又はWEBサイトをブラウジングしたユーザの四半期平均の人数。

2.メルペイ「電子マネー」の登録を行ったユーザと、「メルペイコード決済」、「ネット決済」、「メルペイスマート払い(翌月払い・定額払い)」等の利用者の合計(重複を除く)2021年6月末時点。

 

 

② 財政状態の状況

(資産)

 当連結会計年度末における資産につきましては、前連結会計年度末に比べ64,515百万円増加し、262,529百万円となりました。

 主な増減理由は以下のとおりです。

・現金及び預金の主な増減理由は「③ キャッシュ・フローの状況」に記載しております。

・未収入金は、主に「メルペイスマート払い(翌月払い・定額払い)」の利用増加に伴い、前連結会計年度末に比べ31,388百万円増加しております。

・有価証券は、保有する金融商品の償還に伴い、前連結会計年度末に比べ5,260百万円減少しております。

・投資有価証券は、主に保有する株式を売却したことに伴い、前連結会計年度末に比べ5,665百万円減少しております。

・差入保証金は、主に「メルカリ」及び「メルペイ」の利用金額の増加に伴い、法令に基づいた供託を実施したことにより、前連結会計年度末に比べ10,168百万円増加しております。

(負債)

 当連結会計年度末における負債につきましては、前連結会計年度末に比べ59,871百万円増加し、222,516百万円となりました。

 主な増減理由は以下のとおりです。

・短期借入金は、主に翌月払い及び定額払い債権の流動化を実施したことにより、前連結会計年度末に比べ19,602百万円増加しております。

・未払法人税等は、主に税金等調整前当期純利益の増加に伴い、前連結会計年度末に比べ4,712百万円増加しております。

・預り金は、主に「メルカリ」及び「メルペイ」の利用金額の増加に伴い、前連結会計年度末に比べ33,145百万円増加しております。

(純資産)

 当連結会計年度末における純資産につきましては、前連結会計年度末に比べ4,644百万円増加し、40,013百万円となりました。

 主な増減理由は以下のとおりです。

・資本金は、新株発行に伴い、前連結会計年度末に比べ1,189百万円増加しております。

・資本剰余金は、新株発行に伴い、前連結会計年度末に比べ1,189百万円増加しております。

・利益剰余金は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上に伴い、前連結会計年度末に比べ5,720百万円増加しております。

・その他有価証券評価差額金は、主に保有する株式を売却したことに伴い、前連結会計年度末に比べ3,995百万円減少しております。

 

③ キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下、「資金」という)は、前連結会計年度末に比べ30,454百万円増加し、当連結会計年度末には171,463百万円となりました。なお、現金及び現金同等物には、現金及び預金と有価証券が含まれております。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動により獲得した資金は、3,367百万円(前連結会計年度は12,533百万円の獲得)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益11,874百万円に、減価償却費及びその他の償却費845百万円、投資有価証券売却益6,942百万円、貸倒引当金の増加額1,011百万円、未収入金の増加額31,388百万円、未払金の増加額1,531百万円、預け金の減少額3,466百万円、預り金の増加額32,908百万円、その他3,006百万円を調整し、また、差入保証金の増加額10,168百万円、及び法人税等の支払額2,429百万円によるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動により獲得した資金は、6,907百万円(前連結会計年度は2,653百万円の使用)となりました。これは主に、投資有価証券の売却による収入6,942百万円によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動により獲得した資金は、19,773百万円(前連結会計年度は465百万円の獲得)となりました。これは主に短期借入金の純増減額19,602百万円によるものであります。

 

④ 生産、受注及び販売の実績

a. 生産実績

 当社グループで行う事業は、提供するサービスの性質上、生産実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。

 

b. 受注実績

 当社グループで行う事業は、提供するサービスの性質上、受注実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。

 

c. 販売実績

 当連結会計年度の販売実績は、次のとおりであります。なお、当社グループはマーケットプレイス関連事業の単一セグメントであるため、セグメントごとの記載はしておりません。

 

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2020年7月1日

至 2021年6月30日)

販売高(百万円)

前年同期比(%)

マーケットプレイス関連事業

106,115

139.1

 (注)上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたり、見積りが必要な事項につきましては、合理的な基準に基づき、会計上の見積りを行っておりますが、実際の結果は特有の不確実性があるため、見積りと異なる場合があります。連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりです。

 

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a. 売上高

 当連結会計年度における売上高は、106,115百万円となりました。これは主に流通総額が増加したことによるものであります。

b. 売上原価

 当連結会計年度における売上原価は、24,312百万円となりました。これは主に売上高が増加したことによるものであります。

c. 販売費及び一般管理費、営業利益

 当連結会計年度における販売費及び一般管理費は、76,617百万円となりました。これは主に広告宣伝費31,485百万円、支払手数料17,549百万円、給料及び手当8,762百万円によるものであり、この結果、営業利益は5,184百万円となりました。

d. 営業外収益、営業外費用、経常利益

 当連結会計年度における営業外収益は177百万円となりました。これは主に、助成金収入74百万円、受取利息30百万円、還付消費税等27百万円によるものであります。営業外費用は主に支払利息及び社債発行費の計上により387百万円となり、この結果、経常利益は4,975百万円となりました。

e. 特別損益、親会社株主に帰属する当期純利益

 投資有価証券売却益等により特別利益7,008百万円の計上、投資有価証券評価損により特別損失109百万円の計上があったため、税金等調整前当期純利益は11,874百万円となり、法人税等合計6,349百万円の計上により、親会社株主に帰属する当期純利益は5,720百万円となりました。

 

③ キャッシュ・フローの分析

 キャッシュ・フローの分析につきましては、前記「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要」をご参照ください。

 当社グループの資本の財源及び資金の流動性につきましては、次のとおりであります。

 当社グループは、継続的な成長のため、認知度、信頼度を向上させることにより、より多くのユーザを獲得し、また既存のユーザを維持していくことが必要であると考え、会社設立以降積極的に広告宣伝等にコストを投下してきており、今後も継続して国内外における広告宣伝等を進めていく方針であります。当社グループの運転資金需要のうち主なものは、当社グループのサービスを効果的に拡大していくための広告宣伝費及び開発に係る人件費であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資等によるものであります。当社グループは、必要な資金を主に自己資金及び金融機関からの借入、社債の発行、債権流動化で賄っております。

 

④ 経営成績に重要な影響を与える要因について

 当社グループは、前記「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおり、事業環境、サービスの性質、国際事業展開、コンプライアンス等、様々なリスク要因が当社グループの経営成績に重要な影響を与える可能性があると認識しております。

 そのため、当社グループは常に市場動向に留意しつつ、内部管理体制を強化し、優秀な人材を確保し、市場のニーズに合ったサービスを展開していくことにより、経営成績に重要な影響を与えるリスク要因を分散・低減し、適切に対応を行って参ります。

 

 

4【経営上の重要な契約等】

(債権流動化)

(1)翌月払い債権の流動化

 当社グループは、2020年7月16日付の取締役会決議に基づき、2020年7月31日付で、下記の翌月払い債権の流動化に関する契約を締結いたしました。

 

 ① 債権流動化の目的

 当社の連結子会社である株式会社メルペイにおいて、同社の持つ翌月払い債権の流動化を行うことで、保有資産の効率的活用及び財務基盤の強化を図るものです。

 

 ② 債権流動化の内容

  a. 取引先      金融機関

  b. 極度額      50,000百万円

  c. 利率       変動金利

  d. 初回実行日    2020年8月13日

  e. 契約期間     5年

  f. その他重要特約等 無し

 

(2)定額払い債権の流動化

 当社グループは、2021年2月4日付の取締役会決議に基づき、2021年3月1日付で、下記の定額払い債権の流動化に関する契約を締結いたしました。

 

 ① 債権流動化の目的

 当社の連結子会社である株式会社メルペイにおいて、同社の持つ定額払い債権の流動化を行うことで、保有資産の効率的活用及び財務基盤の強化を図るものです。

 

 ② 債権流動化の内容

  a. 取引先      金融機関

  b. 極度額      30,000百万円

  c. 利率       変動金利

  d. 初回実行日    2021年4月12日

  e. 契約期間     5年

  f. その他重要特約等 無し

 

(ユーロ円建取得条項付転換社債型新株予約権付社債の発行)

 当社は2021年6月28日開催の取締役会において、2026年満期ユーロ円建取得条項付転換社債型新株予約権付社債及び2028年満期ユーロ円建取得条項付転換社債型新株予約権付社債の発行を決議し、2021年7月14日に払込みが完了しております。詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な後発事象)ユーロ円建取得条項付転換社債型新株予約権付社債の発行」をご参照ください。

 

 

5【研究開発活動】

 当社は2017年12月に、社会実装を目的として、研究開発組織であるmercari R4Dを設立いたしました。mercari R4Dでは①外部の企業・教育機関等共同研究パートナーによる基礎・応用研究、②mercari R4Dによる研究開発・実装、③当社及び当社グループでの事業化といった取り組みにより、それぞれの組織の強みを活かし、スピーディーな研究開発と社会実装を目指します。なお、当連結会計年度の研究開発費の総額は418百万円であります。