第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)会社の経営の基本方針

 当社グループは、「新たな価値を生みだす世界的なマーケットプレイスを創る」をミッションに掲げ、スマートフォンやWEBにおいて個人間で簡単に不要品を売買できるCtoCマーケットプレイス「メルカリ」を中心に、「メルペイ」「MERCARI(US)」などのサービスを提供しております。

 

(2)目標とする経営指標

 当社グループは、日本及び米国で事業展開をしており、各地域によって成長ステージが異なりますが、流通総額及び売上高の成長、MAU(注)やブランド認知度などの指標を通じて、企業価値の向上を図って参ります。

(注)MAUは「Monthly Active User」の略。1ヶ月に1回以上アプリ又はWEBサイトをブラウジングしたユーザの四半期平均の人数。

 

(3)中長期的な会社の経営戦略

 当社グループは、以下の強みを背景に中長期的な経営戦略を立案しております。

当社グループの強み

① 中古品市場の拡大をけん引するCtoCマーケットプレイスのパイオニア

当社グループは、使いやすく楽しく、かつ安心・安全なCtoCマーケットプレイスの提供を通じて、フリマアプリ市場を作り上げ、オフライン店舗やインターネットオークションに限定されない日本の中古品市場全体の拡大をけん引して参りました。2020年に行った当社調査によると、フリマアプリ及びオークションサイトの利用経験者のうち当社サービスの利用者数が最も多く、他社のサービスを上回る支持を獲得しております。当社グループは、CtoCマーケットプレイスのパイオニアとしての圧倒的なポジショニングを活用することで、上記の中古品市場の高い市場成長を享受できる立場にあると自負しております。

更に、米国をはじめとする海外においても、個人による中古品売買のニーズは高く、「メルカリ」を通じて中古品市場の成長に貢献して参ります。

 

② エンゲージメントの高いユーザ基盤及びこれを通じて得られる高付加価値のデータ

 出品者・購入者双方にとって簡単で使いやすく、楽しく夢中になれるユーザ体験を提供することで、「メルカリ」は高いユーザエンゲージメントを実現しております。「メルカリ」のMAUは2022年6月期第4四半期において20.4百万人であり、2020年に実施した当社調査によると、フリマアプリ及びオークションサイト4社のうち、売れやすさ、使いやすさの利用満足度において、当社サービスの満足度が最も高くなっております。当社は、上記のような高いエンゲージメントを誇るユーザ基盤を通じて、ユーザの取引情報やユーザ間における取引評価情報等、利用価値の高いデータを大量に収集することができます。これらのデータと当社が注力して取り組むAI技術の活用により、購入者の嗜好にあわせた商品提案等による購入転換率の向上や、売れやすい出品価格提案等による出品転換率の向上、カスタマーサポートの効率化等に取り組んで参ります。そのような取り組みによって、既存のサービスにおけるユーザ体験の向上に加え、今後の成長に資する新規サービスの開発につなげることができると考えております。

 

③ CtoC特有のネットワーク効果による高いロイヤルティの獲得

 CtoCマーケットプレイスである「メルカリ」は、ネットワーク効果が強く働くサービスです。すなわち、出品者・出品数が増えれば、購入したい商品が増えるため購入者・購入数が増加し、これにより商品の流動性が高まり、更に出品者・出品数が増加していきます。更に「メルカリ」では、多くの出品者・購入者が高い頻度でサービスを利用しており、ネットワーク効果による自走的成長が促進されています。また、商品を販売して得た売上金をもとに別の商品の購入が可能なため、「メルカリ」で商品を販売した出品者が次の購入者となることが促進されています。その結果、ユーザの大部分は、出品者と購入者の双方として「メルカリ」を利用しています。

 このようなネットワーク効果による出品者や購入者からの高いロイヤルティ獲得につながり、リピートユーザによる継続的な取引への参加が流通総額の成長に大きく貢献しています。更に、ユーザの過去の取引評価の蓄積により、他のユーザが安心して取引を行うことができるとともに、ユーザ獲得競争において他の競合サービスへの流出を抑制する効果を有しています。

 

④ 高い収益性を実現するビジネスモデル

 当社グループは、「メルカリ(メルカリJP)」において既に高い収益性を実現しています。この背景は、一定の事業規模に達するとその後の更なる事業規模拡大に際してコストを適切に管理できるというビジネスモデルにあります。具体的には、当社のコスト構造の相当の割合は広告宣伝費により構成されていますが、一般的にモバイルアプリの初期成長段階では売上高に占める広告宣伝費の割合は高くなるものの、ユーザ基盤が拡大し安定するにつれて広告宣伝費の比率を抑えることが可能になります。その結果高い収益性を実現することが可能となります。

 

⑤ イノベーションを推進する経営陣及び企業文化

 創業者で代表取締役 CEO(社長)である山田進太郎が率いる当社グループの経営陣は、革新的なスタートアップ企業の創設者や経営幹部としての経験、豊富なエンジニアリング経験等を有する多くの起業家により構成されています。ソーシャルメディアやモバイルサービスにおいて、ユーザのエンゲージメントを高め、収益化し、規模を拡大させる豊富な経験を当社グループの経営に活かしています。

 当社グループの成功は、当社グループのエンジニアやその他のプロフェッショナル人材の質の高さにも起因しています。これは、採用と継続雇用に対する投資や、「Go Bold」、「All for One」、「Be a Pro」の3つの行動指針(バリュー)を尊重する企業文化を反映しています。日本及び米国それぞれの現地チームにおいて、経営陣及びその他の主要なプロフェッショナル人材の採用・育成強化に積極的に取り組んで参ります。

 

当社の具体的な経営戦略

 2022年6月期は、メルカリJP/メルペイ/メルカリUSの3事業においてユーザ基盤が着実に拡大し、過去最高売上高を更新したことに加え、2021年10月にはBtoCのマーケットプレイスである「メルカリShops」の本格提供を開始するなど、当社グループの更なる成長・ミッションの達成に向けた種まきも行いました。また、当社グループの事業基盤をより強固にすべく、2022年1月1日よりグローバル開発促進、日本事業(Japan Region)の連携強化を目的とした新たな経営体制の強化を行いました。Japan Region内の個社をMarketplace /Fintechに括り、横軸の事業連携を強化することで、シナジー創出、事業効率化、生産性の向上を推進していきます。外部環境が目まぐるしく変化する中で、中長期の目線で投資の優先順位を明確にしつつ、既存事業においては事業環境を踏まえ機動的に内容の見直しを行いながらもグロースを優先した投資を行い、新規事業においてはグループシナジーを最大化する事業を創出することで、グループとして持続的な成長及び将来利益の最大化を進めて参ります。

 

① Marketplace:CtoCとBtoCの連携による持続的な成長の促進

 Marketplaceでは、主力事業であるメルカリJPのCtoCマーケットプレイスと、ソウゾウによるBtoCマーケットプレイス「メルカリShops」の連携強化による出品の増加を推進し、持続的な成長を目指して参ります。

・CtoCの更なる利用拡大

 2021年4月に株式会社電通マクロミルインサイトが実施した調査に基づく分析によれば、2022年6月期第4四半期MAU20.4百万人に対し、「メルカリ」の認知と出品意向はあるが未出品のユーザはおよそ36百万人いると試算されています。「メルカリ」の利用経験の無いあるいは少ないユーザに対する使い方等に関する講習会の開催や、梱包・発送場所の増強を始めとするオフラインUXの進化等、様々なオフライン施策と効果的なマーケティング施策の組み合わせにより、潜在出品顧客の取り込みを推進して参ります。

 また、AIの活用を通じた、過去の閲覧履歴をもとに購入者ごとにカスタマイズされたおすすめ商品の提案や、一次流通との連携によるカテゴリーの強化などを通じて、既存ユーザにより利用頂けるサービスの改善も行って参ります。

・BtoCにおける「売れる体験」の創出

 2021年10月に本格提供を開始した「メルカリShops」を中心とするBtoC事業においては、小規模の事業者・生産者を対象に、慣れ親しんだ「メルカリ」のUXで簡単にネットショップの開設・運営ができる体験を提供して参ります。また、各ショップが自分達でファンを獲得し、リピーターを増やすことができる機能の追加などを行うことで、月商の拡大をサポートするプロダクト基盤の構築を進めて参ります。

 

② Fintech:グループシナジーを活かした金融サービスによる循環型金融の促進

 Fintechでは、主にPayment(決済)とCredit(与信)の分野において事業を展開しており、それぞれにおいて、利便性やユーザ体験の向上を目指したサービスの提供・改善に努めております。2021年6月期以降、独自のロジックにて与信付与を行うCredit分野を中心に、収益力の強化に取り組んでおり、その結果、2022年6月期には初の通期調整前営業黒字を達成しました。また、eKYC等による本人確認を積極的に推進しており、本人確認済みユーザ比率は86.2%となり、ユーザにとってより安心・安全な利用環境の実現とともに、今後の事業拡大を円滑に推進すべく準備を進めております。今後も、Pay(支払い)、Buy(購入)、Sell(出品)の連携強化とCredit事業の更なる拡大を通じてメルカリ内のメルペイ利用を促進し、グループシナジーを活かした総合的な金融サービスの提供を行って参ります。

・Payment事業における利便性強化、利用促進

 Payment分野においては、既存の決済手法である「iD」「コード」「バーチャルカード」の利用促進に向け、認知度の拡大やユーザの日常生活導線に沿った加盟店開拓を推進し、更なる利用機会の創出を目指します。また、新サービスや機能の開発により、利便性の強化にも取り組んで参ります。

・Credit事業を中心とした収益基盤の確立

 2020年7月より提供を開始した「メルペイスマート払い(定額払い)」等、「メルカリ」の利用履歴に基づく独自の与信を活用したサービスを中心に収益基盤を確立いたしました。またこれらのサービス利用や安心・安全な利用環境の構築に不可欠な本人確認を引き続き促進するとともに、AI与信を活用したユーザ体験の向上を推進して参ります。

・暗号資産・NFT領域における組織基盤の構築

 株式会社メルコインでは、2023年6月期のサービス本格提供に向けて、NFTや暗号資産という専門性の高い領域における経験や知見のある人材の採用を進め、組織基盤の構築を進めております。また、NFT領域においては、将来的なNFT業界全体の活性化に不可欠な大衆化を見据えてデジタルコンテンツを販売する「パ・リーグ Exciting Moments β」を開始し、暗号資産の領域においては、暗号資産交換業のライセンスを取得するなど、サービスの本格開始に向けて準備を粛々と進めております。

 

③ US:出品と購入両方の促進に向けたプロダクト施策に注力

 USは、簡単で安全に商品を取引できるマーケットプレイスを目指し、規律を持ちつつも効果的なマーケティング投資によるブランド認知度向上とユーザ獲得、プロダクト機能や配送方法の改善に取り組んで参りました。出品の簡便化やパーソナライゼーションをはじめ、出品と購入の両方をバランスよく促進するプロダクト施策を中心に取り組み、米国においてCtoCといえばメルカリと言われるサービスとしての技術的な優位性の確率を通じて成長の再加速を目指して参ります。

・使いやすさの向上

 商品の写真を撮るだけで基本情報が自動で入力される機能のカテゴリー拡大や、アプリ/WEBのデザインシステム統一等引き続き機能改善に注力する他、分割払い等ユーザの支払の利便性を向上させるような施策を行って参ります。

・オートメーションパーソナライゼーション

 AIやデータを活用した検索エンジン改善によるオートメーションの強化と、個人の好みや行動履歴に基づいてユーザの購入と出品を促すパーソナライゼーションの進化を目指します。

・配送イノベーション

 地域の人々とつながることで、あらゆるモノの購入や出品を安全で簡単に行えるローカル配送には大きな可能性があると考えております。即日配送サービスMercari Local(旧:Mercari Now)の対象地域やカテゴリーの拡大などを通じてローカル配送を強化し、新規出品者の開拓を行って参ります。

 

(4)会社の課題

① サービスの安全性及び健全性の確保

 Eコマースサービスやソーシャルメディア等の普及と、それに伴う不正利用の巧妙化の流れを受け、インターネット上のサービスの安全性維持に対する社会的要請は一層高まりを見せております。当社グループは、安全・安心な取引の場を提供するため、サービスの安全性・健全性確保を最重要課題として、個人情報保護や知的財産権侵害品対策等に継続的に取り組んで参ります。

 

② 人材の育成

 サービスのグローバル展開を含めた今後の成長を推進するにあたり、人材の育成は重要な課題と認識しております。従業員が高いモチベーションをもって働けるよう、育成の仕組みや人事制度の整備、ダイバーシティ&インクルージョンの推進等を積極的に進めて参ります。

 

③ 技術力の強化

 当社グループはインターネット上でサービスを提供しており、サービス提供に係るシステムを安定的に稼働させることが事業運営上重要であると認識しております。出品数の増加に伴うアクセス数の増加を考慮したサーバー設備の強化、並列処理システムの導入等による負荷分散等、継続的にシステムの安定性確保に取り組んで参ります。

 また、先端技術への投資に注力し、更なるユーザ体験の向上に取り組んで参ります。例えば、過去の取引履歴や評価情報等の膨大なデータを元にしたAIや機械学習技術の活用により、サービスの利便性向上や、安全性及び健全性の維持・強化を推進して参ります。更に、自動翻訳による異なる言語間での取引の推進や、ブロックチェーン、VR/AR、量子コンピュータ、IoT(モノのインターネット)等の先端技術への投資を行う等、技術力の強化に向けて取り組んで参ります。

 

④ 海外展開への対応

 当社グループは、ミッションに掲げる「新たな価値を生みだす世界的なマーケットプレイスを創る」の実現に向け、2014年に米国へ進出し、2019年には日本における「メルカリ」に出品された商品を海外から購入できる越境販売を開始するなど、海外展開にも着手して参りました。米国で提供する「Mercari」の着実な成長や越境販売における海外ユーザの購買ニーズを通じ、まだ進出していないエリアにも潜在的な事業機会が広がっていると考えております。メルカリUSの更なる拡大に加え、規律のある投資を意識しつつも積極的に新たな海外展開を図っていく方針であります。

 

⑤ コーポレート・ガバナンスの強化

 当社グループは、経営の監督機能及び内部統制機能の充実、コンプライアンス経営の徹底を通じて、企業価値の向上に努めることをコーポレート・ガバナンスの基本方針として定め、ステークホルダーのみなさまの信頼に応えるべく、今後もこの基本方針のもと、経営の効率性、透明性を高め、企業価値の最大化と持続的な成長、発展に努めていく方針であります。

 

⑥ 内部管理体制の拡充並びにコンプライアンスの徹底

 当社グループは今後もより一層の事業拡大を目指しており、社会的責任を果たし、持続的な成長と企業価値向上を図るために、当社グループの成長に見合った人材の確保、育成及びコンプライアンスの徹底を重要な課題と考えております。内部監査、法務、財務、経理、情報セキュリティ等、それぞれの分野で高い専門性や豊富な経験を有している人材を採用することに加え、社員に対する継続的な啓蒙活動及び研修活動を行うことで、更なる内部管理体制の強化を図ると共に、コンプライアンスの徹底に努めて参ります。

 

⑦ 財務規律の強化

 当社グループが継続的に成長・拡大していくにあたっては、更なる収益基盤の強化・拡大と、それをレバレッジさせた資金調達力が必要になります。メルカリJP、メルペイ、メルカリUSの主力3事業を、適切な財務規律でコントロールし、収益性を向上させることで、その基盤をしっかり整えて参ります。

 

(5)サステナビリティに関する取り組み

 当社グループは、2013年の設立以来、誰もが簡単に売り買いできるCtoCマーケットプレイスを提供しています。このマーケットプレイスを通じてリユースが促進されることにより、循環型社会の実現に寄与するだけでなく、人々の行動がよりサステナブルに変化し、モノの生産や販売のあり方がアップデートされていくことで、環境負荷は軽減し、気候変動への対応にも繋がると考えています。

 地球資源の限界を意味する「プラネタリー・バウンダリー」という概念が広がるなか、当社グループは、事業を通じて環境課題の解決に貢献し、限りある地球資源が世代を越えて共有され、人々が新たな価値を生み出し続けることができる「プラネット・ポジティブ」(注)な世界を目指していきたいと考えています。

(注)「事業の成長を通じて地球環境に対してポジティブなインパクトを生み出し続けていく存在でありたい」というメルカリの企業姿勢を表現した、プラネタリー・バウンダリー(地球の限界)という概念をベースにした当社グループの造語

① 当社グループのマテリアリティ

 より豊かな社会を目指すため、ESGに関わる各種ガイドラインを参考にしながら、自社及びステークホルダーにとっての重要度を総合的に評価した上で、「循環型社会の実現/気候変動への対応」「ダイバーシティ&インクルージョンの体現」「地域活性化」「安心・安全・公正な取引環境の実現」「コーポレートガバナンス/コンプライアンス」の5つのテーマをマテリアリティ(本業を通じて解決するべき最も重要な課題)として特定し、取り組みを推進しています。

・循環型社会の実現 / 気候変動への対応

 当社グループが与える環境への負荷を最小化するだけでなく、限りある資源が大切に使われる循環型社会を実現し、事業を通じて環境課題解決に貢献する「プラネット・ポジティブ」を追求していきます。

・ダイバーシティ&インクルージョンの体現

 多様なバックグラウンドを持つ人材がポテンシャルを最大限に発揮して働ける環境を整え、社会全体の課題である構造的差別や不平等の課題に取り組みます。また、より多くのお客さまにとって使いやすいサービスのアクセシビリティ実現を目指します。

・地域活性化

 地域が抱える課題解決と経済への貢献を通じて、個人や企業が活躍できる社会を目指します。

・安心・安全・公正な取引環境の実現

お客さま、加盟店さま、パートナーさまに「安心感」を持ってサービスをご利用いただけるよう、安全で公正な取引を目指します。

・コーポレートガバナンス / コンプライアンス

 健全で透明性の高い意思決定プロセスを構築し、お客さまやパートナーさま、ひいては社会から強い信頼を得られる企業を目指します。

 

② TCFDに基づく開示

 当社グループでは、気候変動問題を事業に影響をもたらす重要課題の1つと捉え、経営戦略に取り入れ、グループ全体で気候変動対策に積極的に取り組んでいます。このような背景から、2021年6月にはTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)への賛同を表明しました。

 TCFD提言は、すべての企業に対し、「ガバナンス」「リスク管理」「戦略」「指標と目標」 の4つの項目に基づく情報の開示を推奨しています。当社グループは、TCFD提言の4つの開示項目に沿って、気候関連情報を開示しております。

 

・ガバナンス

 気候変動の影響等、ESGの視点を経営の意思決定および業務の執行プロセスに組み込む体制を構築するために、 上級執行委員会の諮問機関としてESG委員会を2021年12月より設置しています。

経営における重要アジェンダの一つとして、ESGや気候変動関連について十分な議論の時間を定期的に確保することで、より質の高い議論を可能にし、上級執行委員会での意思決定の質の向上を目的としています。

 また、各カンパニーごとにESG担当役員を選任し、ESG視点から事業に関する各種経営判断に関与することで、メルカリの各事業とマテリアリティごとのESG施策を両立し、かつスピーディーな実行・推進を可能とする体制を構築しています。また、ESG担当役員は、ESG委員会のメンバーとして、当社グループ全体のサステナビリティ戦略に関する議論及び意思決定にも関与します。これまでのESG委員会の議事概要は当社ホームページで公開しています。

 

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 ESG委員会では、代表取締役 CEO 山田進太郎を委員長とし、各カンパニーのCEOやESG担当役員など、委員長が指名したメンバーとともに、年に4回、マテリアリティごとの実行計画策定や進捗状況のモニタリングなどに取り組んでいます。

・戦略

 当社グループ全体を対象として、気候変動に関連する「移行リスク」「物理的リスク」「機会」を特定するためにシナリオ分析を実施しました。

シナリオ分析では、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)や国際エネルギー機関(IEA)等の科学的根拠等に基づき2つのシナリオ(1.5℃/2℃シナリオ、4℃シナリオ)を設定し、当社グループの2030年以降の社会を考察しています。

 シナリオ分析に基づく、気候変動に関連する主なリスクと機会は以下の通りです。

区分

気候変動が当社グループに及ぼす影響

事業インパクト

当社の対応策

リスク

物理的リスク

急性

自然災害の激甚化によるデータセンター等のダウン

 

自然災害の激甚化により、データセンターや電力会社が被災した場合、電気及びネットワークの中断、データーセンターのダウン等を引き起こし、顧客(売り手・買い手)がオンラインで販売および購入できなくなる

・操業停止期間を減少させるBCPの構築

・災害復旧計画の検討

移行リスク

政策

法規制

カーボンプライシング導入等による燃料価格上昇による商品の配送コストの増加

 

カーボンプライシングの導入等、燃料価格上昇による商品の配送コストの増加は、顧客(売り手・買い手)に影響を与え、マーケットプレイスで販売される商品の需要に影響する

・サプライヤーエンゲージメントの強化の推進

移行リスク

評判

気候変動対応が不十分なことによる金融機関・投資家からの評判低下

 

投資家や金融機関から気候変動関連の対応や情報開示への要請が高まる中、対応が不十分であった場合、株価低下のリスクや資金調達への影響が想定される

・情報開示の充実化

・2030年までのScope1+2 100%削減

機会

 

評判

環境意識の高まりによる、消費者選好の変化における競争力の強化

 

プラネット・ポジティブな消費者行動の浸透に伴うメルカリ利用者の増加と、メルカリを利用する新たな動機(環境貢献)を創出

・プラネット・ポジティブな消費者行動の浸透に伴うメルカリ利用者の増加

事業/財務的影響評価

・大(30億円以上):事業戦略への影響または財務的影響が大きいことが想定される

・中(1億円以上、30億円未満):事業戦略への影響または財務的影響が中程度と想定される

・小(1億円未満):事業戦略への影響または財務的影響が小さいことが想定される

 

 上記の通り、当社グループの事業活動にとっては、気候変動に伴う環境意識の高まりや消費者行動の変化によって創出される市場機会の方が気候変動リスクがもたらす影響よりも大きいと評価しています。また、「環境意識の高まりによる、消費者選好の変化における競争力の強化」に関しては、プラネット・ポジティブな消費者行動の浸透に伴うメルカリ利用者の増加と、メルカリを利用する新たな動機(環境貢献)を創出しうる機会と捉えています。

・リスク管理

 当社グループでは、事業が気候変動によって受ける影響を把握し評価するため、シナリオの分析を行い、気候変動リスク・機会を特定しています。特定したリスクと機会は、ESG委員会含むサステナビリティ推進体制において管理しています。案件に応じて、取締役会に報告・提言を行うフローも構築しています。

・指標と目標

 2030年までにScope1+2は2020年比で100%削減、Scope3は2020年比で付加価値あたり51.6%削減を目指します。この目標値にて、2023年6月までにSBT認定を取得する予定です。

 

2022年6月期(2021年7月〜2022年6月) GHG排出量実績

 2022年6月期の当社グループ全体のGHG排出量は約3.8万トンで以下の結果となりました。

Scope1+2は75%削減達成、Scope3は原単位ベースで昨年度と比較し17%削減しました。2030年の目標達成に向け、引き続きアクションを実施して参ります。

Scope1

192トン

Scope2

1,006トン

Scope3

37,558トン

合計

38,756トン

 

2【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。また、当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期、当該リスクが顕在化した場合に当社の財政状態、経営成績等に与える影響の内容につきましては、合理的に予見することが困難であるものについては具体的には記載しておりません。なお、当社はリスク管理(リスクの特定、評価、対応策の策定)の実施により、以下のリスクに対してその発生可能性を一定水準まで低減していると考えております。

 当社グループは、これらのリスク発生の可能性を十分に認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針ではありますが、当社株式に関する投資判断は、本項及び本書中の本項以外の記載事項を慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、将来において発生の可能性があるすべてのリスクを網羅するものではありません。

 

(1)事業環境に関するリスク

① 業界の成長性について

 当社グループは、個人間で簡単かつ安全に不要品を売買できるCtoCマーケットプレイス「メルカリ」を展開しております。近年の中古品市場の世界的な広がり、また、スマートフォンの高機能化及び普及拡大、Eコマース市場の拡大等を背景として、CtoCマーケットプレイス「メルカリ」の流通総額、ユーザ数等は順調に拡大を続けており、今後もこの傾向は継続するものと認識しております。

 また株式会社メルペイでは「メルカリ」アプリを通じてスマホ決済サービス「メルペイ」を提供しております。キャッシュレス決済市場の拡大を追い風に利便性の強化に取り組んでおり、決済分野における「メルペイ」の決済総額、利用者数は順調に拡大し、注力している与信分野においても「メルペイスマート払い(翌月払い・定額払い)」の利用者数や利用残高について順調に拡大しています。

 しかしながら、中古品市場やEコマースを制限するような法規制、景気動向、個人の嗜好等の変化等により、当該市場の成長が鈍化し、それに伴い当社グループの売上の大部分を占めるCtoCマーケットプレイス「メルカリ」全体の流通総額や注力する商品カテゴリーの流通総額が順調に拡大しない場合、これらの要因によりユーザ離れが生じ、当社グループのビジネスモデルを長期的に維持できない場合、又は「メルペイ」等の当社グループが提供するCtoCマーケットプレイス「メルカリ」以外のサービスが順調に成長しない場合には、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 競合について

 現在、多くの企業がスマートフォンを利用したCtoCサービスに参入しており、商品カテゴリーやサービス形態も多岐に渡っております。また、インターネットオークションやリサイクルショップも存在しており、中古品市場の競争環境は厳しさを増しております。更に、決済・金融関連事業についても、電子決済サービス、及び電子決済サービスに関連するサービスを提供する複数の競合他社が存在しております。

 当社グループは、今後とも顧客ニーズへの対応を図り、サービスの充実に結び付けていく方針ではありますが、これらの取り組みが予測通りの成果をあげられない場合や、より魅力的・画期的なサービスやより競争力のある条件でサービスを提供する競合他社の出現等が、当社グループが提供するサービスからのユーザ離れ、出品の減少、手数料水準の低下等につながる場合には、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 法的規制について

 当社グループが展開するCtoCマーケットプレイス「メルカリ」においては、出品者が商品を販売して得られる売上金でポイントを購入し、当該ポイントで商品を購入することを可能としています。そのため、株式会社メルペイは、資金決済に関する法律(以下、「資金決済法」という。)の第三者型前払式支払手段の発行者及び資金移動業者として登録を受けており、関連法、関連政令、内閣府令等の関連法令を遵守して業務を行っております。なお、現状において取消事由となるような事象は発生しておりません。

 また、スマホ決済サービス「メルペイ」においては購入者にマンスリークリア取引及び分割払取引である「メルペイスマート払い(翌月払い・定額払い)」や、少額融資サービス「メルペイスマートマネー」を提供しています。そのため、株式会社メルペイでは割賦販売法(以下、「割販法」という。)のクレジットカード番号等取扱契約締結事業者及び包括信用購入あっせん業者(認定包括信用購入あっせん業者としての認定を含む)並びに貸金業者としての登録を行っており、関連法、関連政令・省令等の関連法令を遵守して業務を行っております。株式会社メルコインにおいては、資金決済法に基づく暗号資産交換業者の登録を行っており、関連法、関連政令・省令等の関連法令の適用を受けています。なお、現状においていずれも取消事由となるような事象は発生しておりません。

 米国においては、決済関連の規制対応のため、必要とされる州においてMoney Transmitter Licenseの申請を行っており、全ての州において既に取得が完了しております。

 当社グループは、税務当局を含む規制当局の動向及び既存の法規制の改正動向等を踏まえ、適切に対応しておりますが、かかる動向をすべて事前に正確に予測することは不可能又は著しく困難な場合もあり、これに適時かつ適切に対応できない場合には、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。当社グループが、これらの法規制等に抵触しているとして何らかの行政処分を受けた場合、及び新たな法規制の適用又は規制当局の対応の重要な変更等により、CtoCマーケットプレイス「メルカリ」の運営又はその他の既存若しくは新規の事業展開に何らかの制約が生じた場合には、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

④ 自然災害等について

 大地震、台風等の自然災害及び事故、火災等により、開発・運用業務の停止、設備の損壊や電力供給の制限、配送網の分断、混乱等の不測の事態が発生した場合には、当社グループによるサービス提供に支障が生じる可能性があり、ひいては当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。その他、気候変動に係るリスクについては、「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照ください。

 

⑤ 新型コロナウイルス感染症について

 新型コロナウイルスの世界的な流行は終息しておらず、当社グループの従業員や取引先で感染者が発生することで、開発・運用業務が遅延するような場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。当該リスクの発生時期や発生可能性は不明であるものの、感染拡大防止の取組みとして、職域接種による任意のワクチン接種の実施、リモートワーク(在宅勤務)の積極的な活用や時差出勤の推奨、オフィス入室時の検温による健康状態の確認やアルコール消毒、会議室における座席間隔の確保等の施策を実施しています。

 

(2)事業に関するリスク

① サービスの健全性の維持について

 当社グループが展開するサービスは、取引の場であるプラットフォームを提供することをその基本的性質としております。プラットフォームの健全性確保のため、当社グループでは、サービス内における禁止事項を明記するとともに、監視・通報制度の整備やブランド等の権利者との連携等により、偽造品その他の出品禁止物の排除に努めております。また、当社グループは、ユーザとの関係で売買契約又は役務提供契約の当事者とはならず、また、サービスの利用規約においても、ユーザ間で生じたトラブルについて、当社グループは責任を負わず、当事者間で解決すべきことを定めております。

 しかしながら、当社グループのサービスにおいて、第三者の知的財産権、名誉、プライバシーその他の権利を侵害する行為、詐欺その他の法令違反行為等が行われた場合や、サービス内の不適切な行為を取り締まることができないことにより、プラットフォームの安全性及び健全性が確保できない場合には、当社グループ又は当社グループが提供するサービスに対する信頼性が低下し、ユーザ離れにつながる可能性があります。更に、問題となる行為を行った当事者だけでなく、当社グループもプラットフォームを提供する者としての責任を問われた場合、当社グループの企業イメージ、信頼性の毀損、ひいては当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 不正利用に関するリスクについて

 当社グループが展開するCtoCマーケットプレイス「メルカリ」では、プラットフォーム上の取引においてクレジットカード決済による決済手段を提供しております。フィッシング詐欺といった不正なアカウント乗っ取りを防止するため、プラットフォームへのログイン時には多要素認証等により第三者による不正ログイン対策を強化しております。また、購入者による第三者のクレジットカード不正利用を防止するために本人認証サービス(EMV-3Dセキュア)の導入や、取引状況の人的監視およびシステム監視を行うことで総合的にリスクを判定し不正利用を防止しております。

 しかしながら、プラットフォーム上における不正取引を防止できなかった場合、不正取引に関するユーザへの補填、当社グループの信用の下落等による損害が発生し、万が一損害が拡大した場合、業績及び今後の事業展開に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 海外展開に関するリスク

 当社グループは、収益機会の拡大に向けて米国でも簡単で安全に様々なモノが売れるマーケットプレイス「Mercari」を展開しており、今後とも海外展開の強化を図っていく予定であります。

 なお、海外展開にあたっては、広告宣伝費や人件費等の投資を今後も相当規模で行う可能性があります。また、言語、地理的要因、法制・税制を含む各種規制、経済的・政治的不安、文化・ユーザの嗜好・商慣習の違い、為替変動等の様々な潜在的リスク、事業展開に必要な人材の確保の困難性、及び展開国において競争力を有する競合他社との競争リスクが存在します。当社グループがこのようなリスクに対処できない場合、当社グループの海外展開に影響を及ぼす可能性があります。

 

④ システムについて

 当社グループが展開するCtoCマーケットプレイス「メルカリ」の利用に際しては、ユーザのインターネット及びモバイルネットワークへのアクセス環境が不可欠であると共に、当社グループのITシステムも重要となります。

 当社グループは、システムトラブルの発生可能性を低減するために、安定的運用のためのシステム強化、セキュリティ強化を徹底しており、万が一トラブルが発生した場合においても短時間で復旧できる体制を整えております。また、当社の財務諸表における様々な財務数値は当社のITシステムから取得されており、これらは自社開発の複数の業務処理システムから構成されております。これらのシステム処理の適切性を担保するために適切な業務処理統制を整備・運用しております。

 しかしながら、システムへの一時的な過負荷や電力供給の停止、ソフトウエアの不具合、コンピューターウィルスや外部からの不正な手段によるコンピューターへの侵入、自然災害、事故等、当社グループの予測不可能な要因によってシステムがダウンした場合や、当社グループのシステム外でユーザのアクセス環境に悪影響を及ぼす事象が発生した場合には、当社グループの事業、業績及び財政状態、適正な財務報告体制等に影響を及ぼす可能性があります。

 また、当社グループは、サービスの安定稼働及び事業成長のために、継続的にシステムインフラ等への設備投資が必要となります。当社グループの想定を上回る急激なユーザ又はトラフィックの拡大や、セキュリティ強化その他の要因によるシステム対応強化が必要となった場合、追加投資等を行う可能性があり、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤ 訴訟等の可能性について

 ユーザによる違法行為やトラブル、第三者の権利侵害があった場合等には、当社グループに対してユーザその他の第三者から訴訟その他の請求を提起される可能性があります。

 一方、当社グループが第三者に何らかの権利を侵害され、又は損害を被った場合には、訴訟等による当社グループの権利保護のために多大な費用を要する可能性もあります。

 このような場合には、その訴訟等の内容又は請求額によっては、当社グループの事業、業績、財政状態並びに企業としての社会的信用に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑥ 知的財産権に関するリスク

 当社グループは、当社グループが運営する事業に関する知的財産権の取得に努め、当社グループが使用する商標・技術・コンテンツ等についての保護を図っておりますが、当社グループの知的財産権が第三者の侵害から保護されない場合、又は知的財産権の保護のために多額の費用が発生する場合には、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループが使用する技術・コンテンツについて、知的財産権の侵害を主張され、当該主張に対する防御又は紛争の解決のための費用又は損失が発生し、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑦ 事業基盤の拡充について

 当社グループは、事業規模の拡大と収益源の多様化を実現するため、メルカリIDにより統合された当社グループのエコシステムの構築を含め、事業基盤の拡充や新規事業に取り組んでいく方針であります。今後も新規サービスの開始や第三者のサービスの導入等を行う可能性がありますが、エコシステムの構想はいまだ初期段階であり、競合するサービスとの競争、収益性、規制上のリスク、オペレーションへの負荷、レピュテーションへの影響等、不確定要素が多く存在するため、当社グループの想定通りにエコシステム構築が進捗しない可能性や、当社グループがエコシステムを構築した場合にもエコシステムから十分な利益を得ることができない可能性があります。

 また、株式会社メルペイでは前払式支払手段(第三者型)発行者登録、資金移動業者登録、クレジットカード番号等取扱契約締結事業者登録、包括信用購入あっせん業者登録(認定包括信用購入あっせん業者としての認定を含む)、貸金業者登録、株式会社メルコインでは暗号資産交換業者の登録を行っておりますが、今後提供するサービスの内容や性質等に応じたリスクが発生する可能性があります。

 事業基盤の拡充や新規事業展開については、既存サービスとのシナジーやリスク等について企画及び開発段階において十分な検討を行うことによりリスク低減を図る方針であります。また、これら事業基盤の拡充及び新規事業展開に際しては、M&A、ジョイント・ベンチャー、資本業務提携及び投資活動も有効な手段であるものと認識しており、今後も検討を実施していく方針であります。

 一方、事業基盤の拡充や新規事業展開においては、不確定要素が多く存在することから、当社グループがこれらを実施する場合には、当社グループの想定通りに進捗しない、期待するシナジーが得られない又は法的若しくは事業上の新たなリスク要因が発生するなどの可能性があります。また、想定外の費用・のれんの減損等の負担や損失計上が発生し又はこれらの取り組みに付随した追加投資が必要となる可能性があります。更に、M&A等については、デュー・ディリジェンスの限界等から想定外の事象が発生するリスクを有しており、これらに起因して当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑧ 第三者への依存について

 当社グループは、ユーザにスマートフォン向けアプリを提供していることから、Apple Inc.及びGoogle Inc.が運営するプラットフォームを通じてアプリを提供することが現段階の当社グループの事業にとって重要な前提条件となっております。また、当社グループは、ユーザの決済手段として、クレジットカード決済、コンビニ決済、ATM決済等の外部の事業者が提供するサービスを導入しています。したがって、これらの事業者の動向、事業戦略及び当社グループとの関係等により、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 また、当社グループは商品の配送についてヤマト運輸株式会社や日本郵便株式会社等の配送業者に依存していることから、今後これらの配送業者について取引条件の変更、事業方針等の見直し及び配送状況の変化等があった場合、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑨ 決済・金融関連事業について

 決済・金融関連事業について、今後、規制要件等の遵守のために多額の費用を要する、又は規制要件の追加等により当社グループ事業に影響を及ぼすリスクが生じる可能性があります。

 当社グループは、サービスや決済・金融関連事業が発展する過程で日本国内外において、送金、決済、電子商取引、マネーロンダリング、本人確認及びテロファイナンス防止、割賦販売、貸金等の様々な法令の対象となる可能性があります。社内体制整備がサービスの成長速度に追いつかない等の理由により、万一、そうした法律又は規制上の義務に違反していることが判明した場合、罰金その他処罰又は業務停止命令等の制裁を受けたり、サービス変更を余儀なくされたりする可能性があり、いずれの場合にも当社グループの事業、財政状態及び経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。

 さらに、スマホ決済サービスやその他の決済・金融関連事業に関して、以下を含む様々な追加リスクが生じる可能性があります。

a.不正取引や取引の失敗への対応・顧客対応・委託先管理等に係る運用費・管理コストの増加

b.既存の決済処理サービス提供会社との関係に与える影響

c.インフラ構築に伴う資本コストの増加

d.ユーザ、プラットフォーム提携先、従業員又は第三者による潜在的な不正や違法行為

e.顧客の個人情報の漏えい、収集した情報の利用及び安全性に関する懸念

f.決済処理のための顧客資金の入金額に対する制限

g.開示・報告義務の追加

 

(3)会社組織に関するリスク

① 人材に関するリスク

 当社グループは、当社グループ全体の事業戦略の立案及び実行について、当社グループの経営陣に相当程度依存しており、かかる経営陣が欠けた場合には当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 また、当社グループが今後とも企業規模を拡大し社会に求められるサービスを提供していくためには、スマートフォンのアプリ開発、設計等に関する技術的な専門性を有する人材をはじめ、セキュリティ部門、コーポレート部門やカスタマーサポート部門においても、当社グループの理念に共感し高い意欲を持った優秀な人材を確保することが必要不可欠であります。また、海外展開においては、現地の市場動向・ビジネスに精通した人材を確保していく必要があります。

 当社グループは、規模拡大やサービス向上に必要な優秀な人材の確保のため、今後も必要に応じて採用活動を行っていく予定ではありますが、人材獲得競争の激化や市場ニーズの変化等により、想定通りの採用が進まない等優秀な人材の獲得が困難となる場合や、現在在職する人材の社外への流出が生じた場合には、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 事業体制及び内部管理体制について

 当社は2013年2月に設立され、未だ社歴が浅く成長途上にあり、今後の事業運営及び事業拡大に対応するため、当社グループの事業体制及び内部管理体制について一層の充実を図る必要があると認識しております。事業規模に適した事業体制及び内部管理体制の構築に遅れが生じた場合、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループは法令に基づき財務報告の適正性確保のために内部統制システムを構築し、運用しておりますが、当社グループの財務報告に重大な欠陥が発見される可能性は否定できず、また、将来にわたって常に有効な内部統制システムを構築及び運用できる保証はありません。更に、内部統制システムに本質的に内在する固有の限界があるため、今後、当社グループの財務報告に係る内部統制システムが有効に機能しなかった場合や財務報告に係る内部統制システムに重大な不備が発生した場合には、当社グループの財務報告の信頼性に影響が及ぶ可能性があります。

 

③ 個人情報の管理について

 当社グループはCtoCマーケットプレイス「メルカリ」のサービス展開にあたって、住所、氏名、電話番号等の利用者個人を特定できる情報を取得しております。これらの個人情報については、個人情報保護方針に基づき適切に管理するとともに、社内規程として個人情報保護規程を定め、社内教育の徹底と管理体制の構築及び改善を行っております。

 当社グループは、利用者のプライバシー及び個人情報の保護に最大限の注意を払い、適切な情報管理を行っておりますが、何らかの理由で利用者のプライバシー又は個人情報が漏えいする可能性や不正アクセス等による情報の外部への漏えい又はこれらに伴う悪用等の可能性は皆無とは言えず、そのような事態が発生した場合には、当社グループの事業、業績、財政状態並びに企業としての社会的信用に影響を及ぼす可能性があります。

 また、当社グループが事業を運営する各法域における利用者のプライバシー及び個人情報の保護に係る法規制に改正等があった場合にも、当社グループの事業、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(4)経営成績及び財政状態等について

① 経営成績について

 当社は2013年2月に設立されており、設立後の経過期間は9年程度と社歴の浅い会社であります。過年度の連結業績については、CtoCマーケットプレイス「メルカリ」の立ち上げ段階であったことや米国における「Mercari」や国内におけるスマホ決済サービス「メルペイ」を中心とする新規事業への投資等により親会社株主に帰属する当期純損失を計上しております。当連結会計年度は、親会社株主に帰属する当期純損失を計上しておりますが、当社グループは将来利益の最大化を見据えた規律ある投資を行っており、今後も継続的な連結黒字を達成できる保証はありません。また、当社グループは急速な成長過程にあるため、過年度の経営成績は期間業績比較を行うための十分な材料とはならない可能性があります。

 流通総額、MAU(注)その他の指標については、当社グループ内において合理的と考える方法により算定したものであり、他社との比較可能性が必ずしもあるとは限らないことに加えて、上記のような事情から過去の数値が今後の動向を判断する十分な材料とはならない可能性があります。

 (注)MAUは「Monthly Active Users」の略。1ヶ月に1回以上アプリ又はWEBサイトをブラウジングしたユーザの四半期平均の人数。

 

② 継続的な投資について

 当社グループは、継続的な成長のため、認知度、信頼度を向上させることにより、より多くのユーザを獲得し、また既存のユーザを維持していくことが必要であると考え、会社設立以降積極的にプロダクトの改善や梱包発送等の利便性の向上、マーケティング施策等に投資を行って参りました。今後も、規律を保ちながら、成長につながる投資を行う方針であります。

 しかしながら、事業環境の変化や広告宣伝効果が十分に得られない場合、コスト上昇等が生じた場合、投資が想定よりも長期に及ぶことにより計画通りの収益が得られない場合等には、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 海外連結子会社の業績について

 当社グループは、2014年1月に米国にて連結子会社であるMercari, Inc.を設立し、簡単で安全に様々なモノが売れるマーケットプレイス「Mercari」を運営しております。2014年9月にサービスを開始し、2016年10月より商品の購入代金に応じた販売手数料、2020年10月より決済手数料の徴収を開始いたしました。

 手数料の徴収開始後も、サービスの更なる発展やユーザ層の拡大のための投資を行っており、想定通りに事業拡大が進捗せず、継続的な広告宣伝費用や追加投資等その他の負担により損失計上が長期に及ぶ若しくは拡大する場合には、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼし、短期的な連結業績における損失計上額が拡大する可能性があります。

 

④ 配当政策について

 当社グループは、株主に対する利益還元と同時に、財務体質の強化及び競争力の確保を経営の重要課題として位置づけております。現時点では、当社グループは成長過程にあると考えており、内部留保の充実を図り、事業拡大と事業の効率化のための投資に充当していくことが株主に対する最大の利益還元につながると考えております。このことから、創業以来配当は実施しておらず、今後においても当面の間は内部留保の充実を図る方針であります。将来的には、各事業年度の経営成績を勘案しながら株主への利益還元を検討していく方針ですが、現時点において配当実施の可能性及びその実施時期等については未定であります。

 

(5)その他

株式の追加発行等による株式価値の希薄化について

 当社グループは取締役、監査役及び従業員に対し、中長期的な企業価値向上に対するインセンティブとして新株予約権及び譲渡制限株式ユニット(RSU)の付与を行っております。また、上記の制度は、優秀な人材を採用するために利用する可能性があります。加えて、当社は取得条項付転換社債型新株予約権付社債の発行をしております。これらの新株予約権の権利行使及び譲渡制限株式ユニット(RSU)に係る新株式の発行並びに当該取得条項付転換社債型新株予約権付社債が株式に転換された場合には、既存の株主が有する株式の価値及び議決権割合が希薄化する可能性があります。

 

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

① 経営成績の状況

 当連結会計年度は、当社グループのミッションである「新たな価値を生みだす世界的なマーケットプレイスを創る」の実現に向け、メルカリJP、メルペイ、メルカリUSの三本柱の継続的な成長とともに、ソウゾウ、メルコイン、メルロジ、グローバルなど国内外の新たな領域の開拓を推進し、グループの更なる成長機会の創出に取り組んで参りました。日本、米国におけるCOVID-19の流行からの経済再開の動きや、米国で急速に進行するインフレなど、外部環境が大きく変化する中、当社グループでは投資方針をアップデートし、優先順位を明確にし厳選した投資を行うことで第4四半期では連結営業黒字となり、持続的な成長に向けた準備を推進した一年となりました。

 また、限られた資源が大切に使われ、誰もが新たな価値を生みだせる社会を目指し、脱炭素中期目標であるScope1及び2を達成(注1)、多様な働き方を尊重した「メルカリ・ニューノーマル・ワークスタイル “YOUR CHOICE”」導入など、気候変動への対応やD&I等の領域で様々なアクションプランを実施いたしました。

 主力事業であるメルカリJPでは、新規ユーザ獲得や出品強化及びそのリテンションに取り組んだ結果、MAU(注2)は2,040万人となりました。一方、人々の在宅時間の減少や不正対策の影響に加え、中長期の成長に向けて成果が着実に積みあがる投資を優先したことで短期的なGMV(注3)成長率は鈍化いたしました。この結果、メルカリJPのGMVは当連結会計年度において8,816億円となり、前年同期比で970億円増加となりました。

 ソウゾウでは、2021年10月よりBtoCマーケットプレイス「メルカリShops」の本格提供を開始し、好調なスタートを切りました。下期はプロダクト改善に注力しつつ、出店者獲得に向けてマーケティングを実施した結果、出店数は20万(注4)を突破するなど好調に進捗しております。

 スマホ決済サービスを提供するメルペイでは、Payment事業及びCredit事業(注5)が順調に成長しました。特にスマート払い(定額払い)が伸長したことで収益力が向上し、初の通期調整前(注6)営業黒字を達成いたしました。また、継続的に推進してきた本人確認において、全利用者数における本人確認済み比率が86%を突破するなど、利便性と安心・安全な利用環境の構築の両立も推進しております。

 メルカリUSでは、効果的なマーケティング施策が功を奏し、MAUが伸長いたしました。また、中長期でのブランド構築に向けたキャンペーンを展開し、認知度(注7)は過去最高を更新しております。一方、前連結会計年度のハードルの高さに加えて、インフレ等の外的要因もあり短期的なGMV成長率は鈍化しました。この結果、「Mercari」のGMVは当連結会計年度において1,145百万米ドル(1,344億円。為替レートについては、期中平均為替レート117.40円にて換算)となり前年同期比で28百万米ドル減少し、MAUは490万人となりました。

 以上の結果、当連結会計年度の業績は、売上高147,049百万円(前年同期比38.6%増)、営業損失3,715百万円(前年同期は5,184百万円の利益)、経常損失3,896百万円(前年同期は4,975百万円の利益)、親会社株主に帰属する当期純損失7,569百万円(前年同期は5,720百万円の利益)となりました。

 なお、当社グループはマーケットプレイス関連事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載は省略しております。

 

(注)1.オフィス電力を100%再生可能エネルギーとすることで75%削減。

2.「Monthly Active Users」の略。1ヶ月に1回以上アプリ又はWEBサイトをブラウジングしたユーザの四半期平均の人数。

3.「Gross Merchandise Value」の略。流通取引総額のことを指す。

4.2022年4月19日時点。

5.メルペイにおける事業内容「決済」「与信」を指す。

6.メルカリJP・メルペイ間の内部取引(決済業務委託に関わる手数料)を控除前の営業損益を指す。

7.外部機関による調査で、当社サービス名を「知っている」と答えた回答者の割合。

 

 

② 財政状態の状況

(資産)

 当連結会計年度末における資産につきましては、前連結会計年度末に比べ77,332百万円増加し、339,862百万円となりました。

 主な増減理由は以下のとおりです。

・現金及び預金は、前連結会計年度末に比べ39,942百万円増加しております。主な増減理由は「③ キャッシュ・フローの状況」に記載しております。

・未収入金は、主に「メルペイスマート払い(翌月払い・定額払い)」の利用増加に伴い、前連結会計年度末に比べ33,285百万円増加しております。

(負債)

 当連結会計年度末における負債につきましては、前連結会計年度末に比べ79,347百万円増加し、301,864百万円となりました。

 主な増減理由は以下のとおりです。

・短期借入金は、主に翌月払い及び定額払い債権の流動化を実施したことにより、前連結会計年度末に比べ34,652百万円増加しております。

・長期借入金(1年内返済予定の長期借入金を含む)は、主に返済により前連結会計年度末に比べ24,449百万円減少しております。

・預り金は、主に「メルカリ」及び「メルペイ」の利用金額の増加に伴い、前連結会計年度末に比べ21,995百万円増加しております。

・転換社債型新株予約権付社債は、既存事業の成長加速及び新たな事業機会創出に向けた投資資金並びに財務基盤の強化のために発行し、前連結会計年度末に比べ50,000百万円増加しております。

(純資産)

 当連結会計年度末における純資産につきましては、前連結会計年度末に比べ2,014百万円減少し、37,998百万円となりました。

 主な増減理由は以下のとおりです。

・資本金は、新株発行に伴い、前連結会計年度末に比べ1,998百万円増加しております。

・資本剰余金は、新株発行に伴い、前連結会計年度末に比べ1,997百万円増加しております。

・利益剰余金は、主に親会社株主に帰属する当期純損失の計上に伴い、前連結会計年度末に比べ7,607百万円減少しております。

・為替換算調整勘定は、為替相場の変動に伴い、前連結会計年度末に比べ1,308百万円増加しております。

 

③ キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下、「資金」という)は、前連結会計年度末に比べ39,942百万円増加し、当連結会計年度末には211,406百万円となりました。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動により使用した資金は、26,217百万円(前連結会計年度は3,367百万円の獲得)となりました。これは主に、預り金の増加額19,934百万円、未収入金の増加額33,133百万円、また、法人税等の支払額9,339百万円によるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動により使用した資金は、671百万円(前連結会計年度は6,907百万円の獲得)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出669百万円によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動により獲得した資金は、62,065百万円(前連結会計年度は19,773百万円の獲得)となりました。これは主に短期借入金の純増減額34,652百万円、社債発行による収入49,876百万円、また、長期借入金の返済による支出25,449百万円によるものであります。

 

④ 生産、受注及び販売の実績

a. 生産実績

 当社グループで行う事業は、提供するサービスの性質上、生産実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。

 

b. 受注実績

 当社グループで行う事業は、提供するサービスの性質上、受注実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。

 

c. 販売実績

 当連結会計年度の販売実績は、次のとおりであります。なお、当社グループはマーケットプレイス関連事業の単一セグメントであるため、セグメントごとの記載はしておりません。

 

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年7月1日

至 2022年6月30日)

販売高(百万円)

前年同期比(%)

マーケットプレイス関連事業

147,049

138.6

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたり、見積りが必要な事項につきましては、合理的な基準に基づき、会計上の見積りを行っておりますが、実際の結果は特有の不確実性があるため、見積りと異なる場合があります。連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりです。

 

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a. 売上高

 当連結会計年度における売上高は、147,049百万円となりました。これは主に流通総額が増加したことによるものであります。

b. 売上原価

 当連結会計年度における売上原価は、51,905百万円となりました。これは主に売上高が増加したことによるものであります。

c. 販売費及び一般管理費、営業利益

 当連結会計年度における販売費及び一般管理費は、98,859百万円となりました。これは主に広告宣伝費37,712百万円、支払手数料22,259百万円、給料及び手当10,257百万円によるものであり、この結果、営業損失は3,715百万円となりました。

d. 営業外収益、営業外費用、経常利益

 当連結会計年度における営業外収益は110百万円となりました。これは主に、受取利息50百万円、還付消費税等28百万円によるものであります。営業外費用は主に為替差損及び支払利息の計上により290百万円となり、この結果、経常損失は3,896百万円となりました。

e. 特別損益、親会社株主に帰属する当期純利益

 投資有価証券売却益等により特別利益32百万円の計上、投資有価証券評価損及び固定資産除却損により特別損失133百万円の計上があったため、税金等調整前当期純損失は3,997百万円となり、法人税等合計3,642百万円の計上により、親会社株主に帰属する当期純損失は7,569百万円となりました。

 

③ キャッシュ・フローの分析

 キャッシュ・フローの分析につきましては、前記「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要」をご参照ください。

 当社グループの資本の財源及び資金の流動性につきましては、次のとおりであります。

 当社グループは、継続的な成長のため、認知度、信頼度を向上させることにより、より多くのユーザを獲得し、また既存のユーザを維持していくことが必要であると考え、会社設立以降積極的に広告宣伝等にコストを投下してきており、今後も継続して国内外における広告宣伝等を進めていく方針であります。当社グループの運転資金需要のうち主なものは、当社グループのサービスを効果的に拡大していくための広告宣伝費及び開発に係る人件費であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資等によるものであります。当社グループは、必要な資金を主に自己資金及び金融機関からの借入、社債の発行、債権流動化で賄っております。

 

④ 経営成績に重要な影響を与える要因について

 当社グループは、前記「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおり、事業環境、サービスの性質、国際事業展開、コンプライアンス等、様々なリスク要因が当社グループの経営成績に重要な影響を与える可能性があると認識しております。

 そのため、当社グループは常に市場動向に留意しつつ、内部管理体制を強化し、優秀な人材を確保し、市場のニーズに合ったサービスを展開していくことにより、経営成績に重要な影響を与えるリスク要因を分散・低減し、適切に対応を行って参ります。

 

 

4【経営上の重要な契約等】

(債権流動化)

(1)翌月払い債権の流動化

 当社グループは、2020年7月16日付の取締役会決議に基づき、2020年7月31日付で、下記の翌月払い債権の流動化に関する契約を締結いたしました。

 

 ① 債権流動化の目的

 当社の連結子会社である株式会社メルペイにおいて、同社の持つ翌月払い債権の流動化を行うことで、保有資産の効率的活用及び財務基盤の強化を図るものです。

 

 ② 債権流動化の内容

  a. 取引先      金融機関

  b. 極度額      50,000百万円

  c. 利率       変動金利

  d. 初回実行日    2020年8月13日

  e. 契約期間     5年

  f. その他重要特約等 無し

 

(2)定額払い債権の流動化

 当社グループは、2021年2月4日付の取締役会決議に基づき、2021年3月1日付で、下記の定額払い債権の流動化に関する契約を締結いたしました。その後、2021年12月23日付の取締役会での決議に基づき、同契約の極度枠の増額に関する契約を締結いたしました。

 

 ① 債権流動化の目的

 当社の連結子会社である株式会社メルペイにおいて、同社の持つ定額払い債権の流動化を行うことで、保有資産の効率的活用及び財務基盤の強化を図るものです。

 

 ② 債権流動化の内容

  a. 取引先      金融機関

  b. 極度額      60,000百万円

  c. 利率       変動金利

  d. 初回実行日    2021年4月12日

  e. 契約期間     5年

  f. その他重要特約等 無し

 

(ユーロ円建取得条項付転換社債型新株予約権付社債の発行)

 当社は2021年6月28日開催の取締役会において、2026年満期ユーロ円建取得条項付転換社債型新株予約権付社債及び2028年満期ユーロ円建取得条項付転換社債型新株予約権付社債の発行を決議し、2021年7月14日に払込みが完了しております。詳細につきましては、「第4 提出会社の状況 1 株式等の状況 (2)新株予約権等の状況 ③その他の新株予約権等の状況」をご参照ください。

 

5【研究開発活動】

 当社は2017年12月に、社会実装を目的として、研究開発組織であるmercari R4Dを設立いたしました。mercari R4Dでは、あらゆる価値の循環によって人やモノの持つ可能性がより発揮される社会の実現のために、既存の在り方に囚われず、科学技術の力で価値交換システムだけでなく社会基盤をもアップデートしていくことを目指しています。研究領域として、現在は、価値交換工学、量子情報技術、アクセシビリティ、Blockchain、Mobilityといった自然科学系のみならず、ELSI(Ethical, Legal and Social Issues)やコミュニケーション・言語学といった人文社会学系の研究にも取り組んでいます。なお、当連結会計年度の研究開発費の総額は398百万円であります。