第2【事業の状況】

1【事業等のリスク】

 当中間連結会計期間において、新たに発生した事業等のリスクはありません。

また、前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについて重要な変更はありません。

 

2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当中間連結会計期間の末日現在において判断したものであります。

 

(1)財政状態及び経営成績の状況

①経営成績の状況

 当中間連結会計期間における我が国経済は、堅調な企業業績などを背景に、雇用・所得環境についても緩やかに改善が進んでおります。一方で、原材料・エネルギー価格の高騰や人件費等の上昇による物価上昇、為替変動、アメリカの今後の政策動向、中東やロシア・ウクライナ情勢の長期化等、先行き不透明な状況が続いております。

 このような環境の中、輸入販売を行う原薬販売事業では国際情勢の緊迫化による物流面での遅延等のリスクに備えて、医薬品製造業者やサプライヤーとの連絡を密に行い、早期に在庫や物流手段を確保すること等により原薬を必要な時期に納入できるように努めております。

 医薬品業界におきまして、ジェネリック医薬品使用促進策が引き続き進められております。厚生労働省は、現下の医薬品の供給不安に係る課題への対応を基本としつつ、ジェネリック医薬品を適切に使用していくための取組みを整理するため「安定供給の確保を基本として、後発医薬品を適切に使用していくためのロードマップ」を2024年9月30日に改定し、数値目標として「医薬品の安定的な供給を基本としつつ、後発医薬品の数量シェアを2029年度末までに全ての都道府県で80%以上」を主目標に、「後発医薬品の金額シェアを2029年度末までに65%以上」と明記しました。また、2024年10月1日より長期収載品(ジェネリック医薬品のある先発医薬品)に対して、選定療養の仕組みが導入され、長期収載品と最も薬価の高いジェネリック医薬品との差額の4分の1を選定療養として保険適用外とし、患者が負担を求められることとなり、導入時点で1,096品目の長期収載品が対象となっております。これらの促進策により、ジェネリック医薬品の数量シェアは2023年度80.2%から2024年度85.0%、金額シェアは2023年度56.7%から2024年度62.1%と順調に拡大しております。一方で2021年度から2年に1度の薬価改定に加え、中間年においても改定が実施されております。2025年度は安定供給確保が特に求められる基礎的医薬品、安定確保医薬品(カテゴリーAとB)に対して、臨時的に不採算品再算定を実施するとともに、最低薬価を消費者物価上昇率などの指標を踏まえ3%引き上げるとされているものの、薬価と市場実勢価格がどれだけかけ離れているのかを表した数値である平均乖離率5.2%を基準として、それを超える乖離率の医薬品を対象に改定が行われるとされており、一層の経営効率化への努力が求められております。

 当社グループでは、2030年をターゲットとした長期事業計画を策定し2030年のなりたい姿として、原薬販売事業は「原薬輸入商社から、医薬品専門商社へ」、医薬品製造販売事業は「注射剤を主としたジェネリック医薬品メーカーから、特長のある注射剤国内トップメーカーへ」を掲げ、取り組んでまいりました。この2つのテーマに向けた戦略を推進していくことで長期事業計画の実現を目指してまいります。

 

2030年6月期財務目標

項目

目標

連結売上高

400 億円

連結営業利益

80 億円

 

 当中間連結会計期間において、原薬販売事業では、前期改修工事を行った大阪医薬分析センターの活用を進め、さらなる取引量拡大への対応を進めております。医薬品製造販売事業では、安定供給責任を果たし、今後さらなる需要拡大に対応するため蔵王第二工場の新設を2027年7月の稼働に向けて計画通り進めております。本建設により、医薬品現場からのニーズの高いプレフィルドシリンジ製剤の増産と、検討を進めている新規受託案件を獲得することで、さらなる事業拡大を目指してまいります。

 

 このような状況の下、当中間連結会計期間の経営成績は、売上高12,259百万円(前年同期比7.7%増)、営業利益3,063百万円(前年同期比28.0%増)、経常利益3,065百万円(前年同期比25.6%増)、法人税等の合計額1,016百万円を差し引いた結果、親会社株主に帰属する中間純利益2,049百万円(前年同期比31.1%増)となりました。

 

 

セグメント別の経営成績は、次のとおりであります。

原薬販売事業

 原薬販売事業におきましては、「中枢神経用薬」用原薬や「感覚器官用薬」用原薬の販売が近年上市した品目の拡販等により増加したことや、「腫瘍用薬」用原薬の一部で在庫調整が解消し取引量が増えたものがあった一方で、「外皮用薬」用原薬や「その他代謝性医薬品」用原薬、「循環器官用薬」用原薬が前期から発生している得意先での在庫調整や、競合の参入、顧客の購入タイミングの影響等により減少したものの、当中間連結会計期間の売上高は8,012百万円(前年同期比1.7%増)、セグメント利益は1,596百万円(前年同期比14.1%増)となりました。なお、売上高には、セグメント間の内部売上高603百万円を含んでおります。

 

医薬品製造販売事業

 医薬品製造販売事業におきましては、受託製造しているプレフィルドシリンジ製剤の販売が堅調に推移したこと等により、当中間連結会計期間の売上高は4,851百万円(前年同期比10.9%増)となりました。セグメント利益は収率や稼働率の向上による生産性の改善や売上構成の変化等により、1,385百万円(前年同期比34.4%増)となりました。

 

②財政状態の状況

 当中間連結会計期間末における資産、負債及び純資産の状況は次のとおりであります。

 総資産は33,575百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,571百万円増加いたしました。これは主に、建設仮勘定の増加1,524百万円、受取手形及び売掛金の増加1,344百万円、商品及び製品の増加365百万円等があった一方で、現金及び預金の減少1,429百万円、建物及び構築物の減少106百万円、仕掛品の減少89百万円等があったことによるものであります。

 負債は7,017百万円となり、前連結会計年度末に比べ65百万円増加いたしました。これは主に、未払法人税等の増加269百万円、支払手形及び買掛金の増加144百万円等があった一方で、長期借入金の減少174百万円、その他流動負債の減少79百万円、電子記録債務の減少62百万円、退職給付に係る負債の減少18百万円等があったことによるものであります。

 純資産は26,558百万円となり、前連結会計年度末と比べ1,506百万円増加いたしました。これは主に、親会社株主に帰属する中間純利益2,049百万円の計上による増加があった一方、配当金支払による減少547百万円があったことによるものであります。

 これらの結果、自己資本比率は前連結会計年度末より0.8ポイント増加し、79.1%となっております。

 

(2)キャッシュ・フローの状況

 当中間連結会計期間末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ3,444百万円減少し、9,751百万円となりました。

 当中間連結会計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果獲得した資金は1,008百万円となりました。これは主に、税金等調整前中間純利益3,065百万円、減価償却費338百万円、仕入債務の増加額81百万円等があった一方で、売上債権の増加額1,471百万円、法人税等の支払額714百万円等があったことによるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果使用した資金は3,705百万円となりました。これは主に、定期預金の預入による支出2,649百万円、固定資産の取得による支出1,687百万円等があった一方で、定期預金の払戻による収入634百万円があったことによるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果使用した資金は737百万円となりました。これは主に、配当金の支払額547百万円、長期借入金の返済による支出174百万円等があったことによるものであります。

 

(3)会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。

 

(4)経営方針・経営戦略等

 当中間連結会計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。

 

(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当中間連結会計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。

 

(6)研究開発活動

 当中間連結会計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は、68,458千円であります。

 なお、当中間連結会計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。

 

3【経営上の重要な契約等】

当社の連結子会社であるコーアイセイ株式会社は、2024年9月20日付で蔵王第二工場の新設に係る工事監理及び工事請負契約を締結いたしました。

 

(1)蔵王第二工場新設の理由

当社の連結子会社であるコーアイセイ株式会社では、中長期成長戦略として特長のある注射剤トップメーカーを目指し事業活動を推進しております。現在、蔵王工場にて、市場で高評価を頂いている主要製品につきまして原薬の複数ソース化や生産体制の見直し、医薬品倉庫や試験設備への設備投資等を行い、増産対応を進めておりますが、今後さらなる需要拡大に対応し、安定供給責任を果たすために蔵王工場の敷地内に第二工場を新設することを決定いたしました。

 

(2)物件の概要

名称

蔵王第二工場

所在地

山形県山形市蔵王松ヶ丘二丁目1番7(蔵王工場敷地内)

規模

鉄骨ALC造2階建

延床面積

3,296㎡

生産能力

シリンジ製剤1,200万本/年

竣工予定

2026年6月

稼働予定

2027年7月

投資金額

約6,500百万円(見込み)

資金調達

自己資金、当社及び金融機関からの借入金等