文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであります。
(1)経営方針
当社は、経営理念である、
私たちは
信頼される金融グループとして
みなさまの期待に応えるサービスを提供し
地域社会の発展に貢献し続けます
変化に果敢に挑戦し
新たな価値を創造します
を実践し、金融仲介機能及び情報仲介機能の発揮による新たな価値の創造と、経営の効率化を進め、地域の発展に貢献し続けることで、お客さまや地域から圧倒的に支持される金融・情報サービスグループを目指しております。
この経営理念は、「行動の規範(プリンシプル)」「使命(ミッション)」「あるべき姿・方向性(ビジョン)」から構成されており、当社の活動の根源、拠って立つ基盤であります。全役職員が経営理念を理解し、常に行動に反映させることで、当社の持続的成長へつなげてまいります。

(2)経営環境に対する認識
当社グループを取り巻く経営環境は、加速する少子高齢化を伴う人口減少や、生成AIに代表されるデジタルテクノロジーの急速な進展・普及と相まった新たな異業種との競合の激化、更には、米国をはじめとする主要国の政策を巡る世界経済の不確実性の高まりや、近年頻発する大規模災害など、類例のないリスクイベントが複雑性・変動性を増しながら絡み合って、先行き不透明感を増幅している現状にあります。一方、わが国では長年続いたデフレ経済からの脱却と新たな成長局面に向けた動きも加速し、これまでのコストカット型経済から付加価値創出型の経済へ移行しつつあるなど、地域の持続的成長に向けた新たなチャンス到来の兆しもあらわれております。
このような環境変化が当社の経営に与える影響を見極めたうえで、適切な経営戦略を実行していく必要があると認識しております。
(3)中期経営計画
2024年4月よりスタートした第三次中期経営計画は、第一次・第二次中期経営計画を礎に、新潟県を代表する金融・情報サービスグループとして「グループ全役職員が志を一つに、強い気持ちで変化に挑戦し、勇ましく飛躍するステージ」と位置付けております。
第三次中期経営計画は、計画が順調に進捗していることに加え、国内市場金利が想定を上回って推移しているほか、政策保有株式の縮減方針に基づく株式売却益の計上や、信用リスクの計測手法を「基礎的内部格付手法」へ変更したことに伴う精緻なリスク管理態勢のもとでの貸出等の資産積上げによる収益効果を新たに織り込み、計画最終年度(2026年度)における経営指標目標を上方修正し、連結当期純利益目標を400億円としております。
全役職員の合言葉である「一志勇躍(いっしゆうやく)」のもと、引き続き、グループ一丸となって、第三次中期経営計画の目標達成に取り組んでまいります。

<経営指標目標の上方修正>

①最重要経営課題及び基本戦略
第三次中期経営計画では、取り巻く経営環境を踏まえた当社の最重要経営課題として、環境・社会からの視点による「環境・社会課題」及び当社の財務の視点による「財務的課題」を設定しております。
このうち「財務的課題」は「収益力の強化」、「生産性の向上」、「健全性の維持・向上」の3点、「環境・社会課題」は、E(Environment:環境)、S(Social:社会)、G(Governance:ガバナンス)の各分野で具体的な課題を特定し、これらの実現に向けて、「4つの基本戦略」と全戦略共通のテーマとして「TSUBASAアライアンスの深化」を掲げ、グループ一体となって各種施策に取り組んでまいります。
第三次中期経営計画では、これらの双方の最重要経営課題を解決し、地域と当社が持続的に成長する好循環を実現するためのサステナビリティ経営を一層深化させてまいります。
<最重要経営課題>

<基本戦略>
②経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
第三次中期経営計画の経営指標は、当社の最重要経営課題の解決に向けた基本戦略の達成度を測る指標として、「財務的課題」及び「環境・社会課題」に関する指標を設定しており、2025年度の目標は以下のとおりであります。
※1 親会社株主に帰属する当期純利益
※2 2021年度以降の累計
※3 2024年度以降の累計
※4 だいしほくえつID保有者(りとるばんく・マイページの利用者等)及び個人eネットバンキング利用者数
※5 2019年10月の日本橋店舗開設以降の累計
※6 女性管理職(代理級以上)比率(第四北越銀行単体)
※7 当社グループ各社と経常的にお取引いただいている法人先数(延べ数)
(4)対処すべき課題
当社グループを取り巻く経営環境は、加速する少子高齢化を伴う人口減少や、生成AIに代表されるデジタルテクノロジーの急速な進展・普及と相まった新たな異業種との競合の激化、更には、米国をはじめとする主要国の政策を巡る世界経済の不確実性の高まりや、近年頻発する大規模災害など、類例のないリスクイベントが複雑性・変動性を増しながら絡み合って、先行き不透明感を増幅している現状にあります。一方、わが国では長年続いたデフレ経済からの脱却と新たな成長局面に向けた動きも加速し、これまでのコストカット型経済から付加価値創出型の経済へ移行しつつあるなど、地域の持続的成長に向けた新たなチャンス到来の兆しもあらわれております。
このような環境認識のもと、当社グループは、2024年4月からスタートさせた第三次中期経営計画を「グループ全役職員が志(=経営理念)を一つに、強い気持ちで変化に挑戦し、勇ましく飛躍するステージ」と位置づけ「一志勇躍(いっしゆうやく)」をスローガンに、取り組んでまいりました。取り組みの成果は着実に実を結び、当初掲げた2026年度(計画最終年度)の連結当期純利益目標(270億円)を計画初年度である2024年度に達成いたしました。
第三次中期経営計画では、当社グループが克服すべき最重要経営課題を、下図の通り、従来からの「財務的課題」に、地域社会が抱える「環境・社会課題」を加え、2つの側面から捉えた課題(ダブルマテリアリティ)としています。それら課題の同時解決に向けて、引き続き、地方銀行最大規模となる広域連携「TSUBASAアライアンス」や「群馬・第四北越アライアンス」を最大限活用しながら、4つの基本戦略「Ⅰ グループ総合力の発揮」、「Ⅱ 生産性向上の追求」、「Ⅲ 人的資本価値の向上」、「Ⅳ リスクマネジメントの深化」にグループ一丸となって取り組んでまいります。
第三次中期経営計画における最重要経営課題
とりわけ「人的資本価値の向上」につきましては、当社グループは、これまでも人材の材を財産の「財」と表現し、「人財」こそが地域への貢献に向けた価値創造の源泉であると捉えて、全職員が能力を最大限発揮できる職場環境の整備をはじめ、職員のウェルビーイング(心身の健康や幸福)を今後も徹底的に追求してまいります。
また、地域経済の活性化に向けた面的な地域創生にも全力で挑戦します。「佐渡島(さど)の金山」や伝統的酒造りなど、新潟が誇るコンテンツの魅力を一層高めていくための多面的なご支援や、妙高地区での大規模リゾート開発をはじめとする大型プロジェクトなどに、行政とも連携しながら当社グループが有する国内外との幅広いネットワークを最大限活用し積極的に取り組んでまいります。
資本政策につきましては、当社株式への投資魅力を一層高めていくため、株主還元方針を「1株当たりの配当金を原則として累進的とし、配当性向は40%程度」とする内容へ見直しました。今後も収益基盤の強化に向けた内部留保の充実を考慮しつつ、本方針に沿った株主還元を継続いたします。
また、皆さまからの当社グループへの信頼を揺るぎないものとしていくため、経営の根幹であるコンプライアンス(法令等遵守)最優先の業務運営をグループ一体で実践し、より高い倫理観の確立を図るとともにコーポレートガバナンス・コードの趣旨に基づいた質の高いグループガバナンス態勢の構築に引き続き努めてまいります。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取り組みは、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1)第四北越フィナンシャルグループ サステナビリティ基本方針
国内外において気候変動や自然資本、人的資本への対応をはじめとしたサステナビリティに関する動きが一層加速するなか、当社グループの姿勢・取り組みを明確化するため、「第四北越フィナンシャルグループ サステナビリティ基本方針」(以下、「サステナビリティ基本方針」という。)を制定し、グループ一体となって地域を取り巻く環境課題や社会課題の解決に向けたサステナビリティへの取り組みを推進しております。

(2)サステナビリティへの取り組み
近年、世界各国で異常気象や大規模な自然災害による被害が甚大化しており、日本においても豪雨や台風等により大きな被害が発生するなど、気候変動が企業の事業活動に及ぼす影響は大きくなっております。
また、近年では、気候変動と並び、自然資本や生物多様性保全への対応も企業にとって重要な取り組みのひとつとされており、当社グループ、および取引先の自然資本への影響や依存を把握し、リスクの適切な管理やビジネス機会の獲得に繋げていく必要があると認識しております。
さらには、2024年1月に発生した能登半島地震をはじめとした大規模地震や、高まる地政学的リスクなど、当社グループや取引先の事業継続に影響を及ぼす様々なリスクへの対応が急務となっております。
こうしたことを背景に、当社グループでは、環境・社会を維持、向上させながら、同時に、経済と企業の成長を実現するサステナビリティ経営を積極的に実践しております。
なお、情報開示にあたっては、2022年3月期より、TCFD※1(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言のフレームワークに基づいた情報開示の充実化に取り組んでおります。また、2024年2月にTNFD※2(自然関連財務情報開示タスクフォース)が公表した開示提言(TNFD提言)に賛同するとともに、同年9月にはTNFD Adopter※3として登録しており、今後、TNFD提言に基づいた情報開示を進めてまいります。
※1.TCFD(Task Force on Climate-related Financial Disclosures):2015年12月に金融安定理事会(FSB)により設立された、気候関連情報開示を企業へ促す民間主導のタスクフォース。なお、TCFDは、2023年10月をもって解散しており、企業の情報開示に関する監督業務は国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)に移管されております。
当社は、今後、ISSBおよび、日本におけるサステナビリティ基準委員会(SSBJ)が示すサステナビリティ開示基準に基づいた情報開示の充実化に向けた準備を進めてまいります。
※2.TNFD(Taskforce on Nature-related Financial Disclosures):2021年6月に国連環境計画・金融イニシアチブ(UNEP FI)、国連開発計画(UNDP)、イギリスの環境NGO Global Canopy、および世界自然保護基金(WWF)により正式に発足した、自然資本や生物多様性に関連した幅広い情報開示の枠組みの開発・提供を目指すイニシアチブ。
※3.TNFD Adopter:TNFD提言に基づく開示を行う意向をTNFDのウェブサイトで登録した企業等のことで、登録企業は2024年または2025年会計年度のいずれかにおいて、TNFD提言に基づいた開示を行うことが求められる。
① ガバナンス
社長を委員長とし、担当役員、グループ各社社長、第四北越銀行の部長などの主要メンバーに加え、オブザーバーとして当社および第四北越銀行の社内監査等委員が参加するサステナビリティ推進委員会を設置し、サステナビリティに関するリスクと機会の分析と分析結果に基づいた戦略等についての審議を行っております。
同委員会は毎月開催(2024年度は12回開催)し、サステナビリティに関する取り組みに対してPDCAを実践するとともに、その内容を取締役会で審議する体制を構築しております。これにより、取締役会がサステナビリティにかかる意思決定および監督に主体的に関与する仕組みを構築しております。
また、2024年7月には社長を委員長とする「人的資本価値向上委員会」を設置し、サステナビリティ推進委員会や地域創生推進委員会と連携し、営業戦略と連動した人財戦略の策定、実行を推進する体制としております。
(2025年6月25日改正)

<サステナビリティ推進委員会の役割>
サステナビリティ推進委員会では、気候変動への対応のみならず、大規模災害時などでの事業継続に向けたリスクマネジメントや、人的資本価値向上への取り組みの深化に向けて、「ビジネスへの活用」、「リスクマネジメント」、「人的資本価値の向上」、「情報開示」の4つのカテゴリーごとに下部組織となる部会やWG(ワーキンググループ)を設置し、各部会・WGで企画、実施した活動に対するPDCAを実践しております。



②戦略
(気候変動)
<気候変動に伴うリスクに対する認識>
気候変動リスクについて、短期(5年)、中期(10年)、長期(30年)の時間軸で物理的リスク・移行リスクと機会を認識し、当社グループへの影響を定性的・定量的に分析しており、それらの分析結果に基づいた当社グループのリスク管理体制の強化ならびにお客さまへの情報提供やコンサルティングサービス、ソリューション提供の充実に取り組んでおります。

<気候変動に関するシナリオ分析>
2021年度に第四北越銀行が参加した「TCFD提言に沿った気候変動リスク・機会のシナリオ分析パイロットプログラム支援事業(環境省)」で得た分析ノウハウを活用し、物理的リスクと移行リスクの分析を行いました。分析の結果は以下のとおりであります。
(物理的リスク)
気候変動に起因する大規模水害が発生した場合の担保毀損およびお客さまの事業停滞による業績悪化の影響を分析しております。お客さまの事業停滞に伴う売上減少額につきましては、お客さまの本社所在地、および工場や店舗などの重要拠点を対象に分析しております。
(移行リスク)
移行リスクは、第四北越銀行の融資ポートフォリオにおいて気候変動リスクの影響度が高い電力セクター、食品セクター、不動産管理・開発セクター、および自動車セクターを対象に分析しております。
(自然資本・生物多様性)
<当社グループの自然資本・生物多様性との関わり>
自然資本とは、森林・土壌・水・大気・生物多様性など、自然によって形成される資本全体を指し、自然資本から生まれる生態系サービスの恩恵を受けることで、私たちの生活や経済、社会が成り立っています。
当社グループが主たる営業基盤とする新潟県は、日本一長い信濃川をはじめとする多くの川や山々に囲まれ、四季の移ろいを肌で感じられるほど豊かな自然に恵まれており、様々な動植物が生息・生育する地域です。当社グループは、自然資本や生物多様性が持続可能な社会を実現するための大前提と考え、「環境問題への取り組み」を「第四北越フィナンシャルグループ サステナビリティ基本方針」のひとつとして掲げております。
このような認識のもと、当社グループは、2024年2月に、企業が自然に関連した情報開示を行うことにより資金の流れを「ネイチャー・ポジティブ(自然に対して良い影響)」へ転換させることを目指すステークホルダー組織である「TNFDフォーラム」に参画するとともに、2024年9月にはTNFD Adopterに登録しました。また、生物多様性に関連する各種イニシアチブに加盟し、自然資本・生物多様性への取り組みを積極的に進めております。さらには、植林による「森づくり活動」や、特別天然記念物に指定されているトキの生息地域を保護するボランティア活動など、職員による自然保護活動にも取り組んでおります。
当社グループは、今後も自然資本や生物多様性保全への取り組みを継続・発展させていくとともに、TNFD提言に基づいた取り組みを段階的に進め、進捗状況について開示してまいります。
(当社グループが参加する各種イニシアチブ)

(気候変動・自然資本に関する機会への認識)
気候変動に対する金融機関の主な役割は、お客さまの脱炭素社会への移行に向けた対策にかかるファイナンスをはじめ、さまざまなソリューションを提供し、お客さまとともに持続的な成長に向けた好循環を実現することであると考えております。
また、お客さまの経済活動が、どのような自然環境(水や土壌など)に依存し、どのような影響を与えているのかを把握し、「ネイチャー・ポジティブ」への転換を目指しながら、経済活動を行えるようなご支援策を提供することも重要な役割であると考えております。
持続可能な社会の実現に際しては、環境や社会を維持・向上させながら経済と企業の成長を両立させていくことが求められることから、当社グループではお客さまとのエンゲージメントを起点に、お客さまの気候変動対策や環境保全を意識した経済活動を積極的にご支援するとともに、当社グループからの情報発信を強化することで地域のサステナビリティへの意識向上に貢献していきます。

当社グループでは「環境・社会に配慮した投融資方針」を制定し、投融資を通じて持続可能な地域社会の実現に貢献していく取り組み姿勢を明確にしております。地域の環境・社会の課題解決に取り組むお客さまを積極的にご支援する一方で、環境・社会に負の影響を与えると考えられる事業等を特定し、地域及び当社グループのリスクと認識して慎重に投融資判断を行っております。
リスク管理の枠組みにおいては、気候変動リスクが、地球環境ひいては地域経済に重大な影響をもたらすリスクであると認識し、信用リスク、市場リスク、流動性リスク、オペレーショナル・リスクの管理において、気候変動リスクを考慮に入れたリスク管理体制の高度化を進めております。また、サステナビリティ推進委員会とALM・リスク管理委員会、および地域創生推進委員会が連携し、サステナビリティに関するリスクと機会を管理し、適宜、取締役会へ報告することで、管理・監督を行っております。
なお、当社グループのリスク管理体制等については、
<サステナビリティに関するリスク管理態勢>

<第四北越フィナンシャルグループ 環境・社会に配慮した投融資方針>

<与信残高における炭素関連資産※の割合>
2025年3月末の第四北越銀行の貸出金等(含む私募債)に占める炭素関連資産※の割合は21.1%となっております。
※炭素関連資産は、「エネルギー(水道事業、再生可能エネルギー発電事業を除く)」、「運輸」、「素材・建築物」、「農業・食糧・林産物」の4セクターと定義されており、主たる事業が当該4セクターに該当するお客さまへの与信残高を集計しております。
<CO2排出量>
当社グループは、TCFD提言等を踏まえ、以下のとおりCO2排出量を算定しております。今回より、Scope3の算定カテゴリーを拡大し、カテゴリー1~7、およびカテゴリー15を算定いたしました。
なお、2024年度のCO2排出量実績については、開示情報の透明性・正確性確保に向けて第三者検証を受ける予定としております。今回算定した排出量は速報値であり、第三者検証を受けた確定値は、確定次第、当社グループのホームページで公表いたします。

※1.算定方法、排出係数等については、「サプライチェーンを通じた温室効果ガス排出量算定に関する基本ガイドラインver.2.7(環境省・経済産業省 2025年3月)」、「サプライチェーンを通じた組織の温室効果ガス排出等の算定のための排出原単位データベースVer.3.5(環境省 2025年3月)」、「サプライチェーンを通じた組織の温室効果ガス排出等の算定のための排出原単位についてVer.3.5(環境省 2025年3月)」を参照しております。
※2.Scope3カテゴリー15の内訳
投融資先が排出する温室効果ガスの排出量であるScope3カテゴリー15は、金融機関におけるScope3のなかでも大きなウェイトを占めることから、PCAF※3スタンダードの計測手法を参考に、第四北越銀行の全ての国内向け事業性融資(プロジェクトファイナンスを除く)を対象として算定しております。
今回の算定は、投融資先の公表値を用いて算出する先を東京証券取引所(プライム、スタンダード、グロース)に上場している先に拡大して算定しました。

※3.Partnership for Carbon Accounting Financials 金融機関の投融資ポートフォリオにおける温室効果ガス排出量を計測・開示する方法を開発する国際的なイニシアチブ
※4.排出量:各業種の排出量は、以下の定義に基づき算出した融資先の排出量を業種ごとに合計したものです。
※5.炭素強度:炭素強度とは、融資先の売上高(百万円)あたりのCO2排出量(t-CO2)のことで、融資先の売上高に応じたCO2排出量を把握するために使用されます。炭素強度の数値が大きいほど、売上高に比して多くのCO2を排出していることになります。
上記「炭素強度」は、業種ごとに以下の計算式で算出しており、第四北越銀行の融資残高で加重平均した業種ごとの炭素強度を算定しました。(計算式の融資残高=第四北越銀行の融資残高)
<CO2排出量削減目標>
当社グループは、2024年10月に、当初設定した「CO2排出量削減目標(2030年度までに2013年度比▲65%削減)」、および「2050年カーボンニュートラル宣言」を上方修正し、当社グループにおけるカーボンニュートラル(Scope1、2)の達成期限を当初の2050年度から2030年度に前倒しいたしました。
また、新潟県全体の脱炭素社会の実現に向けた取り組みを積極的に主導していく観点から、当社の投融資先のCO2排出量であるScope3カテゴリー15についても、2050年度までにカーボンニュートラルを達成する目標を新たに設定しました。

<サステナブルファイナンス目標>
当社グループは、2025年3月に、当初設定した「サステナブルファイナンス目標(2021年度から2030年度までの累計実行額1.5兆円(うち環境分野1兆円)」を上方修正し、累計実行額目標を3兆円(うち環境分野2兆円)といたしました。
地域の脱炭素社会の実現に向け、当社グループ一体となって目標達成に向け、取り組んでまいります。

(3)「人的資本経営の実践」(人財戦略)への取り組み
当社グループでは、従来より従業員は重要な財産であるとの認識から人材については「人財」と表記し、「人財」を重視した経営を進めてまいりました。第三次中期経営計画(計画期間2024年4月~2027年3月)では、これまでの人的資本に対する取り組みを更に加速させるため、基本戦略Ⅲ「人的資本価値の向上」を掲げ、「みなさまの期待に応えるサービスを提供し、地域社会の発展に貢献し続ける」ことを使命とする当社グループの経営理念の実現に繋げる人財戦略に取り組んでおります。
①ガバナンス
社長を委員長とし、担当役員、グループ各社社長などを主要メンバーとする「人的資本価値向上委員会」を設置し、サステナビリティ推進委員会や地域創生推進委員会と連携し、営業戦略と連動した人財戦略の策定、実行を推進する体制としております。

②人的資本価値向上に関する方針
当社グループでは、「人的資本経営方針」、「人財育成方針」、「社内環境整備方針」を定め、人的資本価値向上に取り組んでおります。
③基本戦略「人的資本価値の向上」
第三次中期経営計画の基本戦略Ⅲ「人的資本価値の向上」では、「グループ総合力を最大化する人財マネジメントの実践」「地域・お客さまの課題を解決する専門性・多様性ある人財基盤の強化」「働きがいや幸福感を実感できる職場環境の整備」の3つの重要戦術に取り組んでおります。

各重要戦術の取り組みについては以下の通りであります。
<グループ総合力を最大化する人財マネジメントの実践>
グループ一体での人財マネジメントの実践として、人的資本価値向上委員会において、現状の人財ポートフォリオの可視化に取り組んでおり、経営戦略と連動した目指す人財ポートフォリオを構築するべく、必要とする人財の育成・確保に向けた施策の拡大・充実を進めております。
また、第四北越銀行で先行導入した人財情報システム(タレントマネジメントシステム)である「キャリアサポートシステム」を2025年4月からグループ全社に展開しており、同システムを活用したグループ横断での人財育成や最適配置を進めてまいります。
<地域・お客さまの課題を解決する専門性・多様性ある人財基盤の強化>
当社人的資本戦略部に「DE&I推進室」を設置し(2024年7月)、多様な人材の成長・活躍を促すため、女性活躍推進やキャリア人財の活躍促進、障がい者雇用の拡大など、DE&I(ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン)施策に積極的に取り組んでおります。
女性活躍推進は取締役会の多様性を確保する観点からも重要な課題であり、2023年度から選抜型の「女性取締役育成プログラム」を開始いたしました。同プログラムでは、当社グループ経営層や社外女性経営者による講義とディスカッションにより経営人財として求められる見識を醸成するほか、経営人財として必要なスキルや経験を身に付けるための実践的な機会を設定し、より実効的な女性経営人財の育成を図っております。同プログラムからグループ会社社長や銀行本部部長を3名輩出しているほか、2024年6月に当社初の女性取締役が就任するなど、グループの女性経営人財育成の成果が着実に現れております。
また、当社グループは、人財育成投資を毎年増加させ、地域やお客さまの複雑化・高度化する課題を解決できる専門性の高い実践力のある人財の育成を進めています。金融に関する専門性の習得にとどまらず、地域の重要な経営課題となりつつあるDX・SXに関する従業員の基礎的なリテラシーの習得を進めるとともに、グループ各社が持つ専門性を活かした連携を一層深めることにより、地域の将来を見据えた課題解決・コンサルティングに取り組んでおります。
専門資格保有者数は次のとおりであります。
(専門資格保有者数(グループ全社合計)) (単位:人)
※該当する資格が複数種類ありますが、複数資格保有者は1人として集計しております。
<働きがいや幸福感を実感できる職場環境の整備>
当社グループは、自律的に行動するポジティブな意識の醸成によるエンゲージメント向上を図るとともに、心理的安全性が確保された働きやすい職場環境づくりを進めることで、ウェルビーイングの実現に取り組んでまいります。
具体的取り組みとしては、役員が従業員と直接対話する「役員対話交流会」(年2回開催)により経営理念・経営戦略の理解・浸透を図りグループ一体感を醸成しているほか、従業員の自律的なキャリア形成を支援する「キャリアチャレンジ制度」の拡充や、両立支援制度の拡充、テレワーク等の柔軟な働き方の浸透など、職場環境の整備を進めております。
従業員エンゲージメントの実態を把握し更なる向上への取り組みを推進していくため、従業員意識調査を継続実施しており、同調査の結果に基づいて算出する「従業員エンゲージメント総合スコア」を分析し、エンゲージメント向上施策の改善につなげております。
また、健康経営への取り組み強化を継続しており、「健康経営優良法人(ホワイト500)」の認定を第四北越銀行は8年連続(当社は3年連続)で受けております。さらに第四北越銀行では「プラチナえるぼし」、「プラチナくるみんプラス」の認定を受けており、女性活躍や子育て支援の取り組みも評価されております。
④指標及び目標
第三次中期経営計画において以下の目標を掲げ取り組んでおります。
※1.第四北越銀行の実績・目標
※2.育児休業取得率は以下の算式で算出しております。
算式の分子である「当年度中に育児休業を開始した従業員の数」には前年度(2023年度)に出産(または配偶者が出産)し、当年度(2024年度)中に育児休業等を開始した従業員を含むことから、当年度(2024年度)実績は100%を超えております。
当社グループの財政状態、経営成績等に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクのうち、特に重要なリスクとして、(1)信用リスク及び(2)市場リスクがあげられます。
当社グループでは、当該リスクについて、統計的手法であるVaR(バリュー・アット・リスク)を用いて、ある確率(信頼区間99%)のもと一定期間(例えば1年間)に被る可能性のある最大損失額(リスク量)を日次で算出し把握しております。
また、これらのリスクが顕在化した場合、当社グループの業績・業務運営に重大な影響を及ぼす可能性があるため、業務の継続性を確保する観点から、リスク量が自己資本の範囲内に収まるよう資本配賦制度(リスク量に対する資本の割り当て)を用いた業務運営を行い、経営戦略と一体となったリスク管理を実践しております。
なお、当社グループのリスク管理体制等については、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等」に記載しております。
(1) 信用リスク
取引先の倒産や信用状況の悪化等により、貸出金などの元本や利息の価値が減少ないし消滅し、損失を被るリスクのことです。
当社グループは、貸出先に対する審査体制の強化、厳格な自己査定の実施、大口貸出先の削減による小口分散化を進めてきておりますが、景気動向、地価及び株価の変動、貸出先の経営状況の変動によっては、不良債権及び与信関係費用が増加する恐れがあり、その結果、当社グループの業績や財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。また、予期せぬ大震災等による経済活動の制限や風評被害等が貸出先の業績に悪影響を及ぼすことにより、不良債権及び与信関係費用が増加する恐れがあり、その結果、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、貸出先の状況、担保の価値及び過去の貸倒実績率等に基づいて予想損失額を算定し貸倒引当金を計上しております。しかし、予想損失額を算定した前提と比較して、著しい経済状態の悪化、貸出先の状況悪化、担保価値の下落、自己査定及び償却引当に関する基準の変更、その他の予想し得ない理由により、貸倒引当金の積み増しを行わざるを得なくなり、その結果、当社グループの業績や財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、貸出先に債務不履行等が発生した場合において、回収の効率性・実効性の観点から、当社グループが債権者として有する法的な権利の全てを行使せず、これらの貸出先に対して債権放棄または追加融資を行って支援を継続する場合があります。このような貸出先に対しては、再建計画の妥当性や実行可能性について十分に検証した上で支援継続を決定いたしますが、企業再建が奏功しない場合には信用コストが増加し、当社グループの業績や財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
不動産市場や有価証券市場における流動性の欠如または価格の下落等により、担保権を設定した不動産もしくは有価証券の換金、または取引先の保有する資産に対して強制執行することが事実上困難となる可能性があります。この場合、与信関係費用が増加するとともに不良債権処理が進まず、当社グループの業績や財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(2) 市場リスク
当社グループは、主たる業務として銀行業を営んでおり、預金等による資金調達費用と貸出金や有価証券を中心とした資金運用収益の差額による資金利益を主たる収入源としています。これらの資金調達と資金運用に適用される金利は契約毎に金利更改時点が異なっており、金融政策の変更等により予期せぬ金利変動が発生した場合は、利鞘も変動するため、収益にマイナスに作用する可能性があります。
また、当社グループでは、資金運用において国債や地方債等の債券での運用を行っておりますが、金利上昇により保有債券の時価が下落し、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、市場性のある株式を保有しておりますが、景気・市場の動向、株式発行体の業績悪化等により大幅な株価下落が発生した場合には、保有株式に減損または評価損が発生し、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは運用・調達の手段として、資産及び負債の一部を外貨建で保有しております。円高が進行した場合には、外貨建取引の円換算額が目減りすることとなり、かかる外貨建の資産と負債が同額で相殺されない場合、または適切にヘッジされていない場合には、為替相場の不利な変動によって当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(3)外的要因(紛争・国家間対立、関税政策等)に関するリスク
(4) サステナビリティに関するリスク
① 気候変動に関するリスク
大雪や豪雨、台風等の気候変動により、信用リスクにおいては、借手の返済能力の低下や担保資産の減価、オペレーショナル・リスクにおいては、設備損壊や営業拠点間の交通遮断に伴う業務停滞等が発生することで、当社グループの業績や財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。なお、当社は2022年3月期より、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言のフレームワークに基づき、気候変動に伴うリスクや機会、リスク管理態勢などの情報を開示しております。
② 社会との信頼関係に関するリスク
当社グループでは「サステナビリティ基本方針」において、あらゆる企業活動において人権を尊重すること、法令及び社会規範を遵守し、お客さまとの公正・適正な取引を誠実に遂行するとともに、情報開示・対話を通じたステークホルダーとの信頼関係を構築すること等を掲げ、取り組みを行っておりますが、これらの取り組みが奏功しない、もしくは不十分である場合、お客さま及び市場等からの信用失墜等により、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(5) 自己資本比率に関するリスク
(6) 持株会社のリスク
(7) 流動性リスク
(8) コンプライアンスに関するリスク
(9) オペレーショナル・リスク
③ 法務リスク
④ 人的リスク
⑤ 風評リスク
⑥ 情報セキュリティリスク
⑦ 有形資産リスク
⑧ 外部委託リスク
(10) サイバーセキュリティリスク
(11) 金融犯罪に関するリスク
(12) 退職給付債務に関するリスク
(13) 固定資産の減損会計に関するリスク
(14) 繰延税金資産に関するリスク
(15) 競争に伴うリスク
(16) 地域経済の環境変化により影響を受けるリスク
(17) 規制・制度変更に伴うリスク
(18) 格付低下リスク
当社は、格付機関より格付を取得しております。今後、当社グループの収益力・資産の質などの悪化により格付が引き下げられた場合、当社グループの資金調達等に悪影響を及ぼす可能性があります。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであります。
(1)経営成績等の状況の概要
2024年度の国内経済を顧みますと、物価上昇の影響などから一部に弱めの動きが見られたものの、インバウンド需要や輸出の増加などから企業収益が改善し、個人消費についても雇用・所得環境の改善などにより堅調に推移したことから、全体として緩やかな回復となりました。
当社グループの主要な営業基盤である新潟県内の経済につきましては、令和6年能登半島地震や原材料高の影響などから一部に弱い動きが見られたものの、企業収益および個人消費が改善し、総じて緩やかな持ち直しの動きとなりました。
為替相場は、年度初に1ドル=151円台で始まったのち、日米の金利差拡大などを背景に7月には約37年半ぶりとなる1ドル=162円まで円安が進行しました。その後、7月の日本銀行による利上げや米国の景気後退を示唆する経済指標に加え、9月にはFRB(連邦準備制度理事会)が利下げに着手したことなどを受けて、1ドル=139円台まで円高が進行しましたが、11月の米国大統領選挙の結果を受けたインフレ観測などから、12月には再び1ドル=158円台まで円安が進みました。その後、2025年1月の日本銀行による追加利上げや米国の関税政策による景気後退懸念等を受け、年度末は1ドル=149円台となりました。
株式相場は、日経平均株価が年度初に40,000円台で始まったのち、海外投資家による資金流入の拡大などを背景に、7月には終値ベースで史上最高値となる42,224円を記録しました。その後、米国の景気後退懸念の高まりなどから、8月5日には1987年のブラックマンデーを上回る歴史的な大暴落となりましたが、次第に市場の動揺は収まり、12月には一時40,000円台を回復しました。2025年に入り、米国の関税政策に対する警戒感の強まりなどから、2月中旬以降株価は下落基調を強め、年度末には35,000円台となりました。
長期金利の指標となる10年国債利回りは、年度初の0.74%台から、日本銀行による金融政策正常化の流れを受け5月には一時1.1%をつけました。その後、8月の日経平均株価急落に伴い一時0.75%台へ低下しましたが、2025年1月の日本銀行による追加利上げを受けて、年度末は1.48%台となりました。
このような環境認識のもと、当社グループは、第三次中期経営計画の最重要経営課題(「環境・社会課題」と「財務的課題」)の解決に向けて、4つの基本戦略などにグループ役職員が一丸となって取り組み、地域社会の持続的な成長と当社グループの企業価値向上に向けた取り組みを推し進めてまいりました。
当連結会計年度における当社及び連結子会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①損益の状況
役務取引等利益が1億円、その他業務利益が27億円それぞれ減益となりましたが、資金利益が93億円増益となったことから、連結粗利益は前年度比63億円増益の1,035億円となりました。
株式等関係損益が7億円増加し、営業経費が6億円、貸倒償却引当費用が16億円それぞれ減少したことから、経常利益は前年度比102億円増益の411億円となりました。
その結果、親会社株主に帰属する当期純利益は、前年度比81億円増益の293億円となりました。
セグメントの業績は、次のとおりであります。
・銀行業
経常収益は前年度比118億6百万円増加し、1,608億34百万円、セグメント利益は前年度比97億10百万円増加し、351億27百万円となりました。
・リース業
経常収益は前年度比9億29百万円増加し、216億57百万円、セグメント利益は前年度比1億36百万円増加し、10億60百万円となりました。
・証券業
経常収益は前年度比45百万円減少し、51億74百万円、セグメント利益は前年度比90百万円減少し、19億48百万円となりました。
②資産、負債及び純資産の部の状況
③資産の健全性
2025年3月末の連結ベースでの不良債権残高(金融再生法開示債権)は、前年度末比53億円減少し、1,195億円となりました。
④自己資本比率
2025年3月末の連結ベースでの自己資本比率は、前年度末比0.56ポイント上昇し、10.59%となりました。
⑤キャッシュ・フローの状況
連結キャッシュ・フローの状況につきましては、営業活動によるキャッシュ・フローは、借用金が減少したことなどから2,557億円の流出(前年度比5,502億円減少)となりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、有価証券の売却・償還が取得を上回ったことなどから1,865億円の流入(前年度比2,767億円増加)となりました。財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払及び自己株式の取得などから94億円の流出(前年度比10億円増加)となりました。
この結果、現金及び現金同等物は前年度末比786億円減少し、期末残高は2兆1,450億円となりました。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
記載にあたっては、主として全セグメントの大宗を占める銀行業セグメントにおける経営成績等の状況に関する分析・検討内容を記載しております。
①当連結会計年度の経営成績等の状況に関する分析・検討内容
(第三次中期経営計画における経営指標等)
〇経営指標
第三次中期経営計画では、「財務的課題」に関する経営指標(4指標)及び「環境・社会課題」に関する経営指標(12指標)を掲げております。
「財務的課題」に関する経営指標につきましては、全4指標の全てで目標を達成いたしました。
このうち、収益性を示す経営指標である「連結当期純利益」は、コンサルティング機能の発揮に加え、国内市場金利の上昇などにより、貸出金利息や有価証券利息配当金が増加したことなどから、2024年5月に公表した当初の業績予想230億円、同年11月に上方修正した250億円、更には、2025年3月に再度上方修正した280億円を上回る293億円となり、目標を達成いたしました。
生産性を示す経営指標である「連結OHR」は、目標としていた64%台を3.6ポイント下回る60.4%、「連結ROE」は、目標の4.8%を1.1ポイント上回る5.9%となり、いずれの指標も目標を達成いたしました。
また、健全性を示す「連結自己資本比率」は、2025年3月期から信用リスクの計測手法を「標準的手法」から「基礎的内部格付手法」へ変更したことなどにより、目標としていた10%を0.59ポイント上回る10.59%となり、目標を達成いたしました。
「環境・社会課題」に関する経営指標につきましては、全12指標中10指標で目標を達成いたしました。
このうち、CO2排出量削減率目標は、環境負荷の低減に積極的に取り組んだ結果、2024年度の実績(速報値)が2022年5月に設定した当初の目標である「2030年度までに2013年度比△65%削減」する目標を前倒しで達成する見込みであることから、当社グループにおけるカーボンニュートラル(Scope1、2)の達成時期を当初の2050年度から2030年度へ前倒しするとともに、新潟県全体の脱炭素社会の実現に向けた取り組みを積極的に主導していく観点から、当社の投融資先のCO2排出量である「Scope3カテゴリー15」についても2050年度までにカーボンニュートラルを達成する目標を新たに設定いたしました。
また、サステナブルファイナンスでは、お客さまのサステナビリティに関するニーズへのご支援に積極的に取り組んだ結果、2022年5月に設定した当初の目標である「2021年度から2030年度までの累計実行額1.5兆円(うち環境分野1兆円)」を前倒しで達成する見込みとなったことから、目標を「同3兆円(うち環境分野2兆円)」へ上方修正するなど、各種取り組みの成果が実績として着実に現れております。
<財務的課題に関する経営指標(KPI)>
※1 親会社株主に帰属する当期純利益
※2 2024年11月公表の上方修正業績予想比
※3 2025年3月公表の上方修正業績予想比
<環境・社会課題に関する経営指標(KPI)>
※4 2021年度以降の累計
※5 だいしほくえつID保有者(りとるばんく・マイページ等の利用者等)および個人eネットバンキング利用者数
※6 2019年10月の日本橋店舗開設以降の累計
※7 女性管理職(代理級以上)比率(第四北越銀行単体)
※8 当社グループ各社と経常的にお取引いただいている法人先数(延べ数)
(経営指標以外の主な指標)
○預金等平残及び貸出金平残
譲渡性預金を含めた預金等平残は、法人、個人ともに増加し、前年度比165億円増加いたしました。
貸出金平残は、前年度比1,391億円増加いたしました。そのうち、事業性貸出については、県内は実質無利子融資の返済継続や設備資金の減少などを主因に減少しましたが、県外は資金需要のある大企業向けが増加したことなどから、全体では、前年度比2,054億円増加いたしました。また、消費性貸出は、非対面チャネルの利便性向上や商品ラインアップの増強などにより、前年度比380億円増加いたしました。
今後も、お客さまの多様なニーズに対し、グループ総合力を発揮したコンサルティング営業を実践してまいります。
<預金等平残・貸出金平残>
※「平残」は部分直接償却前の年間平均残高
○有価証券平残
有価証券平残は、金利上昇による国内債券の積み増しなどから、前年度比1,095億円増加いたしました。また、有価証券利息配当金は、外貨建債券利息の増加を主因に前年度比70億円増加いたしました。
引き続き、金融市場環境の動向を注視しながら安定的な収益確保と評価損益の改善に向けて、透明性や流動性を重視した有価証券運用を実践してまいります。
<有価証券平残・有価証券利息配当金 ※>
※ 商品有価証券を除く
○金融再生法開示債権・不良債権比率及びネット信用コスト
金融再生法開示債権は、前年度末比56億円減少し、債権額に占める割合である不良債権比率も0.16ポイント低下いたしました。
ネット信用コストは、要注意先の債権残高減少により一般貸倒引当金が戻し入れとなったことに加え、営業部門と審査部門が連携した伴走型でのお取引先への経営改善・事業再生支援などにより、前年度比22億円減少いたしました。
引き続き、物価高などによる影響を注視し、グループ一体での多面的なご支援に注力してまいります。
<金融再生法開示債権・不良債権比率>
<ネット信用コスト>
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループのキャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報については以下の通りであります。
当面の設備投資、成長分野への投資並びに株主還元等は自己資金で対応する予定であります。
また、当社グループは資金繰りの正確な把握と安定に努めるとともに、資金の流動性の状況を日次で管理しているほか、定期的にALM・リスク管理委員会へ報告するなど、適切なリスク管理体制を構築しております。なお、貸出金や有価証券の運用については、預金を中心として調達するとともに、必要に応じて日銀借入金やコールマネー等により資金調達を行っております。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
(参考)
(1)国内・国際業務部門別収支
当連結会計年度の資金運用収支は、国内業務部門で前連結会計年度比74億48百万円増益の703億37百万円、国際業務部門で前連結会計年度比18億67百万円増益の32億47百万円となり、全体では前連結会計年度比93億16百万円増益の735億84百万円となりました。役務取引等収支は、国内業務部門で前連結会計年度比1億65百万円減益の250億4百万円、国際業務部門で前連結会計年度比18百万円増益の1億9百万円となり、全体では前連結会計年度比1億46百万円減益の251億13百万円となりました。その他業務収支は、国内業務部門で前連結会計年度比92億75百万円減益の△31億71百万円、国際業務部門で前連結会計年度比65億4百万円増益の79億15百万円となり、全体では前連結会計年度比27億70百万円減益の47億43百万円となりました。
(注) 1.「国内業務部門」は、当社及び連結子会社の円建取引であります。「国際業務部門」は、連結子会社の外貨建取引であります。ただし、円建対非居住者取引、特別国際金融取引勘定分等は国際業務部門に含めております。
2.「相殺消去額(△)」は、国内業務部門と国際業務部門の間の資金貸借の利息であります。
3.国内業務部門、国際業務部門とも連結相殺消去後の計数を表示しております。
4.資金調達費用は、金銭の信託運用見合費用(前連結会計年度0百万円、当連結会計年度2百万円)を控除して表示しております。
(2)国内・国際業務部門別資金運用/調達の状況
当連結会計年度の資金運用勘定の平均残高は、国内業務部門で前連結会計年度比6,198億54百万円増加の9兆8,046億85百万円、国際業務部門で前連結会計年度比521億94百万円増加の8,507億36百万円となり、合計で前連結会計年度比6,771億45百万円増加の10兆4,201億23百万円となりました。受取利息は、国内業務部門で前連結会計年度比119億46百万円増加の765億17百万円、国際業務部門で前連結会計年度比42億22百万円増加の386億82百万円となり、合計で前連結会計年度比160億99百万円増加の1,151億6百万円となりました。利回りは、国内業務部門で前連結会計年度比0.08ポイント上昇の0.78%、国際業務部門で前連結会計年度比0.23ポイント上昇の4.54%となり、合計で前連結会計年度比0.09ポイント上昇の1.10%となりました。
資金調達勘定の平均残高は、国内業務部門で前連結会計年度比1,200億12百万円減少の9兆6,311億32百万円、国際業務部門で前連結会計年度比489億15百万円増加の8,375億93百万円となり、合計で前連結会計年度比659億99百万円減少の10兆2,334億28百万円となりました。支払利息は、国内業務部門で前連結会計年度比44億97百万円増加の61億80百万円、国際業務部門で前連結会計年度比23億55百万円増加の354億35百万円となり、合計で前連結会計年度比67億83百万円増加の415億21百万円となりました。利回りは、国内業務部門で前連結会計年度比0.05ポイント上昇の0.06%、国際業務部門で前連結会計年度比0.04ポイント上昇の4.23%となり、合計で前連結会計年度比0.07ポイント上昇の0.40%となりました。
①国内業務部門
(注) 1.「国内業務部門」は、当社及び連結子会社の円建取引であります。
2.平均残高は、原則として日々の残高に基づいて算出しておりますが、当社及び連結子会社の一部については半年毎の残高に基づく平均残高を利用しております。
3.資金運用勘定は、無利息預け金の平均残高(前連結会計年度791,121百万円、当連結会計年度84,645百万円)を控除して表示しております。
4.( )内は、国内業務部門と国際業務部門の間の資金貸借の平均残高及び利息(内書き)であります。
5.資金調達勘定は、金銭の信託運用見合額の平均残高(前連結会計年度2,485百万円、当連結会計年度4,966百万円)及び利息(前連結会計年度0百万円、当連結会計年度2百万円)をそれぞれ控除して表示しております。
②国際業務部門
(注) 1.「国際業務部門」は、連結子会社の外貨建取引であります。ただし、円建対非居住者取引、特別国際金融取引勘定分等は国際業務部門に含めております。
2.資金運用勘定は、無利息預け金の平均残高(前連結会計年度1,529百万円、当連結会計年度1,257百万円)を控除して表示しております。
3.( )内は、国内業務部門と国際業務部門の間の資金貸借の平均残高及び利息(内書き)であります。
4.国際業務部門の外貨建取引の平均残高は、主として月次カレント方式(前月末TT仲値を当該月のノンエクスチェンジ取引に適用する方式)により算出しております。
③合計
(注) 1.資金運用勘定は無利息預け金の平均残高(前連結会計年度792,651百万円、当連結会計年度85,902百万円)を控除して表示しております。
2.「相殺消去額(△)」は国内業務部門と国際業務部門の間の資金貸借の平均残高及び利息であります。
3. 資金調達勘定は、金銭の信託運用見合額の平均残高(前連結会計年度2,485百万円、当連結会計年度4,966百万円)及び利息(前連結会計年度0百万円、当連結会計年度2百万円)をそれぞれ控除して表示しております。
(3) 国内・国際業務部門別役務取引の状況
当連結会計年度の役務取引等収益は、前連結会計年度比57百万円増加し360億90百万円となりました。
役務取引等費用は、前連結会計年度比2億3百万円増加し109億76百万円となりました。
(注) 1.「国内業務部門」は、当社及び連結子会社の円建取引であります。「国際業務部門」は、連結子会社の外貨建取引であります。ただし、円建対非居住者取引、特別国際金融取引勘定分等は国際業務部門に含めております。
2.国内業務部門・国際業務部門とも、連結相殺消去後の計数を表示しております。
(4) 国内・国際業務部門別預金残高の状況
○ 預金の種類別残高(末残)
(注) 1.「国内業務部門」は、当社及び連結子会社の円建取引、「国際業務部門」は、連結子会社の外貨建取引であります。ただし、円建対非居住者取引、特別国際金融取引勘定分等は国際業務部門に含めております。
2.流動性預金=当座預金+普通預金+貯蓄預金+通知預金
3.国内業務部門・国際業務部門とも、連結相殺消去後の計数を表示しております。
(5) 国内・海外別貸出金残高の状況
① 業種別貸出状況(末残・構成比)
(注) 1.「国内」とは、当社及び連結子会社であります。
2.「海外」とは、海外店及び海外連結子会社でありますが、当社及び連結子会社は前連結会計年度及び当連結会計年度において、海外店及び海外連結子会社を保有しておりません。
② 外国政府等向け債権残高(国別)
該当ありません。
(注) 「外国政府等」とは、外国政府、中央銀行、政府関係機関又は国営企業及びこれらの所在する国の民間企業等であり、「銀行等金融機関の資産の自己査定並びに貸倒償却及び貸倒引当金の監査に関する実務指針」(日本公認会計士協会銀行等監査特別委員会報告第4号 2022年4月14日)に規定する特定海外債権引当勘定を計上している国の外国政府等の債権残高を掲げております。
(6) 国内・国際業務部門別有価証券の状況
○ 有価証券残高(末残)
(注) 1.「国内業務部門」は、当社及び連結子会社の円建取引であります。「国際業務部門」は、連結子会社の外貨建取引であります。ただし、円建対非居住者取引、特別国際金融取引勘定分等は国際業務部門に含めております。
2.「その他の証券」には、外国証券を含んでおります。
3.国内業務部門・国際業務部門とも、連結相殺消去後の計数を表示しております。
(7)「金融機関の信託業務の兼営等に関する法律」に基づく信託業務の状況
連結会社のうち、「金融機関の信託業務の兼営等に関する法律」に基づき信託業務を営む会社は、株式会社第四北越銀行1社であります。
〇 信託財産の運用/受入状況(信託財産残高表/連結)
(注)共同信託他社管理財産については、前連結会計年度(2024年3月31日)及び当連結会計年度(2025年3月31日)のいずれも取扱残高はありません。
○ 元本補填契約のある信託の運用/受入状況(末残)
(自己資本比率等の状況)
(参考)
自己資本比率は、銀行法第52条の25の規定に基づき、銀行持株会社が銀行持株会社及びその子会社の保有する資産等に照らしそれらの自己資本の充実の状況が適当であるかどうかを判断するための基準(2006年金融庁告示第20号)に定められた算式に基づき、連結ベースについて算出しております。
なお、当社は、国内基準を適用しており、2025年3月末より、信用リスクの計測手法を「標準的手法」から「基礎的内部格付手法」に変更しております。また、オペレーショナル・リスク相当額の算出においても、2025年3月末より、「基礎的手法」から「標準的計測手法」に変更しております。
連結自己資本比率(国内基準)
(単位:億円、%)
(資産の査定)
(参考)
資産の査定は、「金融機能の再生のための緊急措置に関する法律」(1998年法律第132号)第6条に基づき、株式会社第四北越銀行の貸借対照表の社債(当該社債を有する金融機関がその元本の償還及び利息の支払の全部又は一部について保証しているものであって、当該社債の発行が金融商品取引法(1948年法律第25号)第2条第3項に規定する有価証券の私募によるものに限る。)、貸出金、外国為替、その他資産中の未収利息及び仮払金、支払承諾見返の各勘定に計上されるもの並びに貸借対照表に注記することとされている有価証券の貸し付けを行っている場合のその有価証券(使用貸借又は賃貸借契約によるものに限る。)について債務者の財政状態及び経営成績等を基礎として次のとおり区分するものであります。
1.破産更生債権及びこれらに準ずる債権
破産更生債権及びこれらに準ずる債権とは、破産手続開始、更生手続開始、再生手続開始の申立て等の事由により経営破綻に陥っている債務者に対する債権及びこれらに準ずる債権をいう。
2.危険債権
危険債権とは、債務者が経営破綻の状態には至っていないが、財政状態及び経営成績が悪化し、契約に従った債権の元本の回収及び利息の受取りができない可能性の高い債権をいう。
3.要管理債権
要管理債権とは、三月以上延滞債権及び貸出条件緩和債権をいう。
4.正常債権
正常債権とは、債務者の財政状態及び経営成績に特に問題がないものとして、上記1から3までに掲げる債権以外のものに区分される債権をいう。
株式会社第四北越銀行(単体)の資産の査定の額
(生産、受注及び販売の状況)
「生産、受注及び販売の状況」は、銀行持株会社としての業務の特殊性のため、該当する情報がないので記載しておりません。
当社は、当社の完全子会社である株式会社第四北越銀行との間で、当社が子銀行に対して行う経営管理について、「経営管理業務委託契約」及び「経営管理手数料に関する覚書」を締結しております。
該当事項はありません。