第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1) 会社経営の基本方針

当社グループは、「新たな価値の創造による新たな領域の開拓」を経営理念として掲げるとともに、以下5つのFを経営方針として展開しております。

「Full:充実した人生のため Fun:明るく楽しい職場で First:率先して Footwork:素早く対応する Frontier:開拓者たれ」

当社グループが目指すビジネスモデルは、お客様と密着した企画開発、製造、販売といった一連の流れから生まれるものです。つまり、商品を仕入れて販売するといった「流通業」ではなく、お客様の真のニーズに応える製品を開発する「ファブレスメーカー」であることを情報として発信し、これに対するお客様の声を吸収し、開発のコンセプトとして活用し、提携工場にて製造し、付加価値の高い製品として販売することであります。

変化にはリスクが伴いますが、フロンティアスピリットのもと、ビジネスモデルの更なる進化を経営課題として認識し、企業価値の持続的な成長を目指してまいります。

 

(2) 目標とする経営指標

当社グループは持続的に成長することを目指し、その基盤となる売上高成長率及び売上高営業利益率の向上に努めてまいります。

 

(3) 中長期的な会社の経営戦略

当社グループは3ヶ年中期経営計画を作成し事業に取組んでおります。同経営計画は、自動車業界の動向(主に新車販売動向)や消費者動向を含む社会情勢や当社グループの業績、部門別課題、内部管理体制の整備等を考慮し今後3年間の基本的な経営目標を策定しています。

2024年11月期を初年度とする中期経営計画(2024年11月期~2026年11月期)においては以下の目標を掲げ売上高、利益の増大等を通じて企業価値を向上させるべく取り組んでおります。

①事業ドメイン、営業エリアの拡大とそれに対処する更なるシステムの充実

②自社生産を含めた供給体制の強化

③自動車アフターマーケットの新商材の開発

④業務効率化及び人材育成と人材確保

 

(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当社グループは、主力の自動車アフターパーツを販売するだけでなく、製品の企画開発・品質管理・納期管理・輸入・販売までの一貫した機能を有するファブレスメーカーとしての成長を目指しております。今後は以下の課題に取り組んでまいります。

 

① 知名度の向上

当社グループは、主に自動車アフターパーツを販売しているPB販売事業においては、高品質、低価格の商材の提供や地道な営業活動に加えて、2018年7月に株式会社東京証券取引所TOKYO PRO Marketへの上場(2021年10月31日に上場廃止)、2021年11月1日証券会員制法人福岡証券取引所Q-Boardへの上場等で、徐々に認知度も高くなっておりますが、さらに顧客ニーズに応える製品を市場に投入し知名度向上を目指すものです。また、OEM/ODM事業では、既に大手電子部品商社からのOEM受注実績を重ねているところですが、今後も、ファブレスメーカーとして多様な顧客ニーズ、市場ニーズに合った製品をタイムリーに市場投入する体制を強化し、知名度の向上を図ってまいります。

 

 

② 製造委託先の拡大

当社グループは、製品製造にあたり、フロンティア香港を通じて中国国内企業において生産を委託しております。生産委託先が中国に集中していることから、為替リスクのほか、政情、金融不安、文化や商慣習の違い、特有の法制度や税制変更、労働力不足や労務費上昇、知的財産権保護制度の未整備等、国際的活動の展開に伴うリスクがあります。当社グループとしては、今後の販売数量や製品アイテム数の増加に応じて、新たな委託先の発掘等を行うとともに、生産拠点の見直しを随時検討することで、カントリーリスクを最小にすべくリスクマネジメントに注力してまいります。

 

③ 品質・納期管理体制の強化

当社は、ファブレスメーカーとしての成長を目指す中で、今後、多品種小ロットでの生産対応が求められます。現在取扱っております量産品のフロアマットは、中国工場において製品アイテムごとの採算管理を徹底するとともに、現地にあるフロンティア香港を通じて、製造委託先との連携を強化し、より高いレベルでの品質管理、納期管理を徹底してまいります。一方で、多品種小ロットのフロアマットについては従来より課題でありました国内自社工場での生産を具体的に実施することといたしました。その理由として以下のメリットがあると考えております。①取引先や新規顧客からオーダーされる高額・小ロットのフロアマットがないために発生していた失注をなくすことができること②自社生産とすることで、サイドバイザー並びに量産品フロアマット及び高額・小ロットのフロアマットの品揃えを増やすことができ営業力の強化となること③自社製造フロアマットは受注日から3日程度で取引先にお届けできることから取引先の急なオーダーにもお応えできること等です。これにより「サイドバイザーとフロアマット(量産品+高額・小ロット)のセット販売」が可能となり、現在の当社の弱点が補え、ファブレスによる量産品の販売、国内工場による高額・小ロット品の販売との相乗効果が期待できるものです。

 

④ 市場目標及び販路の開拓(純正品と社外品)

当社の主力製品の自動車アフターパーツは、月刊アフターマーケット別冊2023の2022年度品目別末端市場規模によりますと、4兆7,346億円と大きな市場規模となっております。その内当社が扱っていますサイドバイザー、フロアマット及び新取扱い商品として一部販売をはじめているナビゲーションシステム、電装品(ETC車載器、ドライブレコーダー)の合計の市場規模は以下のとおり合計6,127億円となっています。

大分類

中分類

品名

市場規模

(億円)

カーAVC

ナビゲーションシステム

オーディオ一体機、リアモニター・カメラシステム等

3,269

一般用品

電装品

カーエアコン、ETC車載器、ドライブレコーダー等

1,340

インテリア・エクステリア

フロアマット

1,046

サイドバイザー

472

合計

6,127

 

(注)株式会社自動車新聞社月刊アフターマーケット別冊2023自動車部品・用品マーケット要覧 品目別末端市場規模2022年度より

これらの商品の多くはメーカー系ディーラーで取付けられて自動車購入者へ納車されます。メーカー系ディーラー商品は純正品と言われ価格も高額となっています。また、純正品とは別に市中で販売され自動車に取付けられる純正品と同一品質の商品があり、一般には社外品と言われており価格も純正品の50%以下の値段です。このように自動車アフターパーツ市場は純正品市場と社外品市場に区分されておりますが、市場におけるその区分の明確な統計資料はありません。当社の主力製品で社外品に区分されるサイドバイザー及びフロアマットは、まだまだ市場への浸透度は低いものの、価格、品質面で自動車ユーザーへ認知されはじめており、当社グループの製品は社外品として年々高い評価を得ておりますが、大きく成長するためには社外品市場のみならず純正品の市場をいかに獲得するかが大きな課題となっております。

 

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

当社グループは、「新たな価値の創造による新たな領域の開拓」の経営理念のもと、株主の皆様や顧客をはじめとするステークホルダーから信頼される企業であり続けるとともに持続的な企業価値の向上を目指しており、コーポレート・ガバナンスに関する基本的な考え方として、経営の公正性・透明性を高めるとともにコーポレートガバナンスの一層の充実に努めております。

当社グループでは、現状、サスティナビリティに係る基本方針を定めておりませんが、サスティナビリティに関する課題について、当社グループが具体的に対処すべき課題を明瞭にし、その具体的な対処法をリスク管理と収益化の観点を含め、開示できるような取り組みを継続的に検討してまいります。

 

ガバナンス

当社グループのガバナンスについては、「第4提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等(1)コーポレート・ガバナンスの概要」をご参照ください。

 

戦略

当社グループでは、現状、サステナビリティに係る基本方針を定めていないことから、サステナビリティ関連の戦略におけるリスク及び機会に対処するための重要な取り組みは検討中であります。

 

リスク管理

当社グループでは、取締役会やコンプライアンス委員会を通じて、リスクの識別、優先的に対処すべきリスクの絞り込みについて協議し、経営戦略及び計画に反映しています。また、必要に応じて弁護士、公認会計士、弁理士、税理士、社会保険労務士等の外部専門家からアドバイスを受けられる体制を構築するとともに、内部監査及び監査役による監査を通じて、潜在的なリスクの早期発見に努めています。

 

指標及び目標

当社グループの人材育成及び社内環境整備に関する方針に係る指標について、具体的な目標を設定しておりません。今後、関連する指標のデータ収集及び分析を進め、その進捗に合わせて開示項目を検討してまいります。

 

3 【事業等のリスク】

以下において、当社グループの事業展開その他に関するリスク要因となる可能性があると考えられる主な事項を記載しております。また、必ずしもそのようなリスク要因に該当しない事項についても、投資者の投資判断上、重要であると考えられる事項については、投資者に対する積極的な情報開示の観点から以下に開示しております。なお、当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針でありますが、当社株式に関する投資判断は、本項及び本書中の本項以外の記載内容も併せて、慎重に検討した上で行われる必要があります。

なお、本文における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 売上高の季節変動について

当社グループの売上高は、主に自動車アフターパーツを販売しているPB販売事業では、例年3月に向けて新車ディーラーが登録台数を増やすことから3月の売上高が他の月と比べて大きくなる他には季節的な要因は特にありません。OEM/ODM事業の売上高は、子供向け電子玩具を販売しておりクリスマス商戦を見越した受注が多いことから第1四半期及び第2四半期の売上高が他の四半期と比べ低くなり、第3四半期及び第4四半期の売上高の割合が大きくなるという季節変動性を持っています。このような季節変動性は当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

2023年11月期の四半期ごとのセグメント別売上高は以下のとおりであります。

 

第20期第1四半期

会計期間

(自 2022年12月1日

 至 2023年2月28日)

第20期第2四半期

会計期間

(自 2023年3月1日

 至 2023年5月31日)

第20期第3四半期

会計期間

(自 2023年6月1日

 至 2023年8月31日)

第20期第4四半期

会計期間

(自 2023年9月1日

 至 2023年11月30日)

PB販売事業

325,200千円

387,381千円

325,227千円

316,858千円

OEM/ODM事業

44,542千円

107,424千円

257,522千円

397,132千円

369,742千円

494,806千円

582,749千円

713,991千円

 

 

(2) 特定取引先への依存度について

当社グループでは、PB販売事業では、多数の販売先と取引を行っておりますが、2023年11月期のPB販売事業では販売実績191社中の上位10社への売上高依存度が83.2%と高くなっております。現在、各販売先との取引関係は良好に推移しております。OEM/ODM事業においても、加賀マイクロソリューション株式会社(注)1社との取引となっており契約条件の変更や契約の解除等があった場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(注)加賀マイクロソリューション株式会社:東京都千代田区神田松永町20番地 加賀電子ビル、資本金3億5万円(加賀電子株式会社100%)、PC、及びPC周辺機器、通信機器の開発、製造、販売、保守、修理、各種電子機器の企画、開発、製造、完成品組立、販売等(当該社ホームページより)

 

(3) 為替リスクについて

当社グループは、取り扱っている製品の大半を中国から調達しております。海外との取引は、香港ドルや米ドル等の外貨建てで行われており、外貨建ての取引が増加し、当初想定した為替レートと実勢レートに著しい乖離が生じた場合には当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

また、海外連結子会社の財務諸表は現地通貨にて作成されるため、連結財務諸表作成時に円換算されることになり、為替相場の変動による円換算時の為替レートの変動が、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4) 人材確保、育成について

当社グループが、今後更なる事業拡大を図るためには、優秀な人材の確保及び社内人材の育成が重要な課題であり、採用による人材の獲得を積極的に行っております。しかしながら、雇用情勢、経済環境、災害、感染症蔓延等で当社グループが必要な人材を十分に確保できなかった場合には事業規模に応じた適正な人材配置が困難になることから、事業拡大の制約要因となり、当社グループの財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(5) 特定業界への依存について

当社グループの売上高において、2023年11月期のPB販売事業の自動車関連業界への売上高は当社グループの売上高の62.7%を占めております。一方、37.3%の売上高はOEM/ODM事業の玩具業界への売上高となっており、全く異なる業種となっております。ただしいずれも内需型業界であり、国内個人消費動向に影響され、国内景況が悪化するような場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 

(6) 品質管理について

当社グループでは、生産委託により製品を製造しておりますが、委託先の品質管理の指導・管理を行うほか、製品を納品する際には検品して、製品の品質の確保に努めております。当社グループは各製品の特性に応じた最適な品質を確保できるよう、徹底した品質管理に取り組んでいますが、品質に関する問題が発生し、リコール、訴訟等に発展した場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(7) 知的財産権について

当社グループは、現時点において、当社グループの事業活動に影響を及ぼすような知的財産権が他社により侵害されているという事実はありません。また、同様に、当社グループが企画・販売する製品が他社の知的財産権を侵害しているという事実はありません。しかしながら、当社グループの事業活動に関連して第三者が知的財産権の侵害を主張して法的手段に訴えた場合、あるいは逆に当社グループが法的手段に訴える場合、訴訟に発展する可能性があります。また、その訴訟の結果、当社グループの事業が差し止められ、損害賠償等の金銭的な負担を余儀なくされた場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(8) 特定人物への依存について

当社の代表取締役社長である山田紀之は、当社グループの創業者であり、自動車及び自動車関連業界に関する豊富な知識と経験、及び人脈、また海外(中国)拠点における生産委託活動を通じて豊富な人脈を有しており、当社グループの事業運営にあたって重要な役割を果たしております。現在、組織的な経営体制の構築を進めておりますが、何らかの理由により同氏の業務執行が困難となった場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(9) 小規模組織であることについて

当社グループ組織は、役員8名及び従業員25名と小規模であり、内部管理体制もこのような規模に応じたものとなっております。また、今後事業拡大に伴い内部管理体制の一層の充実を図る方針ではありますが、当社グループが事業拡大や人員の増強に即応して、適切かつ十分な組織的対応ができるか否かは不透明であり、これらが不十分な場合には組織効率が低下し、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(10)有利子負債への依存について

当社グループは、資金調達につき金融機関からの借入金等に多く依存しており、2023年11月期末における有利子負債は総資産の53.7%となっております。よって、金融情勢の変化等により計画どおり資金調達ができない場合には、事業展開等に影響を受ける可能性があります。また、金利の上昇により資金調達コストが増大した場合には利益を圧迫し、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(11)棚卸資産廃棄及び棚卸資産評価の影響について

当社グループは、顧客からの数量、納期等の要求に適切に対応し、顧客に対する供給責任を果たすために必要な棚卸資産を保有しています。当社グループでは、顧客の求める数量や当社製品の需要動向を考慮し、生産委託工場への発注数量を調整する等、棚卸資産の適正管理に努めております。しかしながら、景気の変動等に伴い、顧客の求める数量に変動が生じた場合は、廃棄又は資産価値評価の見直しを必要とする等、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(12)物流業務の外部委託について

当社グループは、顧客に最短かつ確実に商品を納入すること及び当社グループの財務並びに業務効率の最大化を図る必要から、商品の在庫管理業務、商品の梱包・発送業務等に関する物流業務を光ロジシステム株式会社(注)に委託しております。その取引条件の変更や事故あるいは災害によるトラブルが発生した場合は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。(注)光ロジシステム株式会社:所在地、静岡県磐田市上大之郷74-2、資本金3百万円、通販出荷代行業務、物流一括請負等(当該社ホームページより)

 

(13)カントリーリスクについて

当社グループでは、取り扱う製品の大半について中国企業に生産委託(一部製品は台湾製)しております。そのため、為替リスクにとどまらず、政情、金融不安、文化や商慣習の違い、特有の法制度や税制変更、労働力不足や労務費上昇、知的財産権保護制度の未整備等、国際的活動の展開に伴うリスクがあります。当社グループでは、香港に子会社を設置し、現在取引のある中国企業との交渉や品質管理のみならず、短中期的な供給体制の強化の観点から新たな中国企業の委託先の発掘等を行っておりますが、随時ベトナムをはじめとするアジア諸国への生産シフトの可能性を検討するため視察を実施する等、カントリーリスクに留意した事業展開を進めております。しかしながら、中国の政治・経済・法制度等の急激な変化は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(14)香港情勢について

当社は、2011年4月に中華人民共和国香港特別行政区において完全子会社であるフロンティア香港を設立いたしました。フロンティア香港の運営は、現地における各種法令、規則その他の規制の適用に影響を受けるほか、商習慣や文化的な価値観の違い等にも影響を受ける可能性があります。現在香港では、香港国家安全維持法が施行される中、活動家や民主派議員の相次ぐ逮捕等、中国本土による統制が強まっており、社会や文化を取り巻く環境が大きく変わる可能性があります。今後、予期しない法規制の変更や当社グループにとって不利益な影響を及ぼす政治的又は経済的事象の発生、大規模なストライキ、テロ・紛争・自然災害等による社会的混乱が生じた場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(15)法的規制について

当社グループは、知的財産権、製造物責任、個人情報保護、消費者保護、その他安全管理等の各種法令の規制を受けています。また、各商品の表示・広告においては、それらの法規制以外にも「不当景品類及び不当表示防止法」、「特定商取引法」の規制を受けます。当社グループでは、各関係法令の遵守に努めておりますが、将来的にかかる法令の変更又は新たな法令の施行等があった場合は、対応のための追加的費用の発生、もしくは法規制の違反が生じたときは、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

 

(16)自然災害による影響について

当社グループは、地震、洪水、台風その他の大規模な自然災害により、生産拠点や物流機能等に障害が発生した場合や、その復旧が遅れた場合には、当社グループの仕入及び得意先への配送が困難になる可能性があります。これらの自然災害等により生産拠点や物流に支障が発生した場合には、速やかに危機対応、復旧対応に努めてまいりますが、営業活動への影響、物的、人的な損害等が発生し、当社グループの事業展開、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(17)配当政策について

当社グループは、各事業年度の業績と将来の事業展開を勘案し、企業基盤の強化のため内部留保にも配慮しつつ、株主の皆様へ安定した配当を継続することを基本方針にしております。

この方針に基づき、当事業年度末の期末配当については、1株につき15.00円とすることを決定しておりますが、今後の事業環境の急激な変化などにより事業が計画通りに進展しない場合には、安定的な配当を行うことができなくなる可能性があります。当社グループではこれらのリスクを軽減するため、事業環境の動向に対する情報収集を積極的に行うとともに、それらに対応した事業計画の立案・実行を行ってまいります。

 

(18)個人情報管理及びシステム管理について

当社グループは、業務を遂行する際に、複数のシステムを使用しております。適正なシステム管理体制の構築やセキュリティ対策に努めて参りますが、災害、停電、不正アクセス等の要因により、システムの障害や個人情報の漏えい、改ざん等の事態が起こる可能性があります。また当社グループが保有する情報は、多数の顧客の個人情報をはじめとする重要なものが存在します。これらの情報の保護・管理につきましては、「個人情報保護規程」「内部情報管理規程」「情報セキュリティ管理規程」を定め、従業員への教育等情報保護の徹底を図っています。しかし、万一不測の事態が発生し、重要な情報が外部に流出・漏えいした場合は、損害賠償によるコストの発生、社会的信用の低下による営業活動への悪影響等、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(19)他社との競合について

当社グループの競合他社は、価格競争力、商品力、運営体制等において、当社グループより優れている場合があります。競合他社がその優位性を活用し、当社グループと同水準又はより優れた商品を市場に投入した場合や、競合他社が当社グループよりも低い価格で供給した場合には、当社グループが販売競争で劣勢に立たされ、当社グループの商品が提供できない、又は現在の受注水準を維持できないことも考えられ、財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

 

(20)訴訟発生リスクについて

当社グループは、現時点において財政状態及び経営成績に影響を及ぼすような訴訟等は発生しておりませんが、取引先や提携先、その他第三者との間で予期せぬトラブルが発生し、訴訟に発展する可能性があります。訴訟の内容及び結果によっては、多額の費用が発生するほか、企業イメージの悪化等により、当社グループの事業活動に影響を及ぼす可能性があります。当社グループは、法令違反等の発生リスクの低減に努めておりますが、訴訟に発展し、当社グループに不利な判断がなされた場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」といいます。)の状況の概要は次のとおりであります。

① 財政状態の状況

(流動資産)

当連結会計年度末における流動資産は、前連結会計年度末と比べ141,136千円増加し、1,060,326千円となりました。現金及び預金の増加47,485千円、売掛金の増加40,570千円及び商品及び製品の増加61,456千円等が主な要因であります。

 

(固定資産)

当連結会計年度末における固定資産は、前連結会計年度末と比べ9,085千円増加し、94,745千円となりました。有形固定資産の増加11,250千円、無形固定資産の増加697千円、投資及びその他資産の減少2,862千円等が主な要因であります。

 

(流動負債)

当連結会計年度末における流動負債は、前連結会計年度末と比べ60,939千円増加し、500,576千円となりました。短期借入金の増加23,588千円、1年内返済予定の長期借入金の増加2,398千円及び未払法人税等の増加14,351千円等が主な要因であります。

 

(固定負債)

当連結会計年度末における固定負債は、前連結会計年度末と比べ18,638千円増加し、216,620千円となりました。長期借入金の増加16,418千円及び資産除去債務の増加4,134千円等が主な要因であります。

 

(純資産)

当連結会計年度末における純資産は、前連結会計年度末と比べ70,643千円増加し437,875千円となりました。要因としては、親会社株主に帰属する当期純利益81,569千円、配当金の支払い17,365千円、為替換算調整勘定の増加10,390千円であります。

 

② 経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症拡大防止策である行動制限が解除され、景気回復の兆候が見られる一方で、ウクライナ情勢が未だ収束せずむしろ長期化する様相であります。また、資源価格の高騰や金融資本市場の急激な変動等、経済活動に急激な影響を与える要因が払拭されず、先行きが不透明な状況が依然として続いております。

このような状況の中、当社グループ(当社、連結子会社)は、PB販売事業では、資材の高騰や急激な為替の変動に対応すべく、必要に応じて為替予約等を行うことや、販売価格の見直し、コスト削減を実施しました。

 OEM/ODM事業におきましては、商品の安定供給に努めながら、コスト削減等の対策を実施しました。

この結果、当連結会計年度の業績は、売上高2,161,290千円(前期比12.7%増)、営業利益112,536千円(前期比86.0%増)、経常利益103,495千円(前期比133.3%増)、親会社株主に帰属する当期純利益81,569千円(前期比108.5%増)となりました。

 

セグメントの業績は、次のとおりであります。

a.PB販売事業

自動車用品販売を主とするPB販売事業は、半導体不足によって停滞していた自動車の生産が改善され、自動車の新車販売台数は、2022年12月から2023年11月までの期間で前年同期比113.67%(2023年12月1日発表の一般社団法人「日本自動車販売協会連合会」統計資料より)となり、当社のサイドバイザーやフロアマット、ナンバーフレームの販売数も増加しております。

その他にもインバウンドの回復やフロアマット工場の操業開始によって、サイドバイザーとフロアマットのセット販売が可能となる等、商品ラインナップが豊富になったことによりレンタカーやカーシェアリング等を取り扱う取引先でのシェアが拡大する等販売が好調に推移いたしました。

この結果、PB販売事業の業績は、売上高1,354,668千円(前期比26.5%増)、セグメント利益186,752千円(前期比52.0%増)となりました。

b.OEM/ODM事業

電子玩具販売を主とするOEM/ODM事業では、入学シーズンや夏休み等を見据えた製品の出荷については予定通り推移しましたが、クリスマスシーズンに向けての受注及び出荷の一部が12月以降になったため、減収減益となりました。

この結果、OEM/ODM事業の業績は、売上高806,621千円(前期比4.7%減)、セグメント利益52,251千円(前期比7.5%減)となりました。

 

③ キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末と比較して47,485千円増加し、465,553千円となりました。

各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益107,538千円、減価償却費15,846千円、支払利息14,576千円、売上債権の増加額31,066千円、棚卸資産の増加額60,742千円、仕入債務の減少額7,966千円等により、48,969千円の獲得(前年同期は、36,059千円の使用)となりました。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出29,917千円等により、26,945千円の使用(前年同期は、60,381千円の使用)となりました。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動によるキャッシュ・フローは、短期借入金の増加額5,633千円、長期借入れによる収入200,660千円、長期借入金の返済による支出181,844千円、配当金の支払額15,790千円により、6,485千円の獲得(前年同期は、42,199千円の獲得)となりました。

 

 

④ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(千円)

前年同期比(%)

PB販売事業

28,539

合計

28,539

 

(注)1. 金額は、製造原価によっております。

  2.PB販売事業は、当連結会計年度より生産を開始したため、前年同期比は記載しておりません。

 

b.商品仕入実績

当連結会計年度の商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

仕入高(千円)

前年同期比(%)

PB販売事業

800,547

+19.6

OEM/ODM事業

713,456

△5.3

合計

1,514,003

+6.4

 

 

c.受注実績

当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

受注高(千円)

前年同期比(%)

受注残高(千円)

前年同期比(%)

OEM/ODM事業

805,953

+11.9

83,311

+211.4

合計

805,953

+11.9

83,311

+211.4

 

(注) PB販売事業は、受注生産を行っておりませんので、該当事項はありません。

 

d.販売実績

当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

販売高(千円)

前年同期比(%)

PB販売事業

1,354,668

+26.5

OEM/ODM事業

806,621

△4.7

合計

2,161,290

+12.7

 

 

(注) 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

第19期連結会計年度

(自 2021年12月1日

至 2022年11月30日)

第20期連結会計年度

(自 2022年12月1日

至 2023年11月30日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

加賀マイクロソリューション株式会社

781,573

40.8

749,395

34.7

マツダパーツ株式会社

412,699

21.5

504,322

23.3

株式会社マエカワ

270,983

12.5

 

(注) 前連結会計年度の株式会社マエカワへの販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、当該割合が100分の10未満となっているため記載を省略しております。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、提出日現在において判断したものであります。

① 重要な会計方針及び見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、重要となる会計方針につきましては、第5「経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表の作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。また、連結財務諸表の作成において、資産及び負債又は損益の状況に影響を与える会計上の見積りは、過去の実績やその時点で入手可能な情報に基づいた合理的と考えられる様々な要因を考慮した上で行っておりますが、見積りの不確実性により、実際の結果がこれら見積りと異なる可能性があります。

連結財務諸表作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

② 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

1.経営成績の分析・評価

PB販売事業において資材の高騰や急激な為替の変動に対応すべく、必要に応じて為替予約等を行うことや、販売価格の見直し、コスト削減を実施しました。

OEM/ODM事業においては、商品の安定供給に努めながら、コスト削減等の対策を実施しました。売上高は、2,161,290千円(前期比12.7%増)となり売上総利益は711,357千円(前期比25.8%増)となりました。販売費及び一般管理費は598,821千円(前期比18.6%増)となり営業利益は112,536千円(前期比86.0%増)となりました。

また、営業外収益(純額)は9,041千円の損失となりました。

この結果、経常利益は103,495千円(前期比133.3%増)となりました。

法人税等合計は、主に法人税、住民税及び事業税19,951千円の計上等により、25,968千円(前期は395.0%増)となりました。

以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益81,569千円(前期比108.5%増)となり、対前期比で増収増益となりました。

 これにより、1株当たり当期純利益金額は、117.43円となりました。

 

2.財政状態の分析

a. 資産

 当連結会計年度における総資産合計は、1,155,071千円となり、前連結会計年度末に比べて150,221千円増加しました。

流動資産は、1,060,326千円となり、前連結会計年度末に比べて141,136千円増加しました。これは主として商品及び製品が61,456千円増加、現金及び預金が47,485千円増加、売掛金が40,570千円増加したことによるものであります。固定資産は、94,745千円となり、前連結会計年度末に比べて9,085千円増加しました。これは主として建物が46,826千円増加、機械及び装置が20,408千円増加、車両運搬具が13,138千円増加及び建設仮勘定が67,257千円減少したことによるものです。

 

b. 負債

 当連結会計年度における負債合計は717,196千円となり、前連結会計年度末に比べて79,578千円増加しました。流動負債は、500,576千円となり、前連結会計年度末に比べて60,939千円増加しました。これは主として短期借入金が23,588千円増加、1年内返済予定の長期借入金が2,398千円増加、未払法人税等が14,351千円増加したことによるものであります。固定負債は、216,620千円となり前連結会計年度末に比べて18,638千円増加しました。これは主として長期借入金が16,418千円増加したことによるものであります。

 

c. 純資産

 当連結会計年度における純資産合計は437,875千円となり前連結会計年度末に比べて70,643千円増加しました。これは主として為替換算調整勘定が10,390千円増加、配当金の支払い17,365千円、親会社株主に帰属する当期純利益81,569千円の計上によって、利益剰余金が64,204千円増加したことによるものであります。

 

 

③ 経営に重要な影響を与える要因について

「3 事業等のリスク」に記載のとおり、事業環境、サービスの性質、コンプライアンス等、様々なリスク要因が当社グループの経営成績に重要な影響を与える可能性があると認識しております。

そのため当社グループは市場動向に留意しつつ内部管理体制を強化し、優秀な人材を確保し、顧客のニーズに合ったサービスを展開していくことにより、経営成績に重要な影響を与えるリスク要因を分散・低減し、適切に対応を行ってまいります。

 

④ 資本の財源及び資金の流動性

当社グループの事業活動における資金需要の主なものは、売上原価である製品仕入、人件費及び外注費等の販売費及び一般管理費であります。これらの資金需要に対して安定的な資金供給を行うための財源については、短期の運転資金につき基本的に借入金及び内部留保資金により確保し、充当することとしております。現時点では十分な現金及び預金を保有しており、今後、当座貸越契約等の締結による追加資金調達も可能であることから財源について問題はないと認識しております。

 

⑤ 経営者の問題認識と今後の方針

経営者の問題認識と今後の方針については、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載したとおりであります。当社グループの経営者は、それらの課題に対処することで、収益の拡大と経営の安定化を図っていくことが必要と認識しております。

 

⑥ 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の分析

当社グループは売上高成長率及び売上高営業利益率を経営上の目標としており、そのため顧客別売上高、商流別売上高、商品別売上高、原価率、販管費等の分析を毎月実施しております。

 

5 【経営上の重要な契約等】

契約会社

相手方の名称

契約内容

契約締結日

契約期間

株式会社

フロンティア

マツダパーツ株式会社(注)

販売先との継続的

な取引基本契約

2015年4月15日

2015年4月15日から1年間

(1年間の自動更新)

フロンティア

香港

加賀マイクロソリューション株式会社

販売先との継続的

な取引基本契約

2016年10月1日

2016年10月1日から1年間

(1年間の自動更新)

 

(注)マツダパーツ株式会社 : 所在地、広島市東区光町1丁目13番20号、資本金10.2億円、自動車部品・用品・油脂類等販売、年商585億円(当該社ホームページより)

 

6 【研究開発活動】

当社グループは、PB販売事業において、当社の主力製品である自動車部品・用品の研究開発を継続的に行っております。

当連結会計年度の研究開発費の総額は3,785千円となっております。