文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営の基本方針
《ミッション》
「すべての人を、創造する人に。」
すべての人が創造性を発揮し、人の数だけ世界を変えていく。
チームスピリットは、変化を巻き起こす機会を創る会社であり続けます。
《ビジョン》
「個を強く。チームを強く。」
一人ひとりの挑戦するチカラに加速力をもたらし、一人ひとりが主人公となって動く。
強い「個の集団」が生まれ、あらゆる壁を超えていく世の中を実現します。
《コアバリュー》
Customer Value
お客様自身が気付いていない価値の創造にこだわります
Team Spirit
誠実にリスペクトの気持ちを持って、関係者と貢献の輪を創ります
Innovation
理想のビジョンを描き、光速で実験し、失敗から学びます
Re:Start-up
毎日スタートアップ初日に戻り、未知を探索します
当社グループはこのようなミッション、ビジョン、コアバリューにより「働く人の創造的な時間を生み出し、チームの力を最大限引き出す」ことを基本方針に、「お客様の成功」を判断基準として経営しております。なお、2021年3月をもって「TeamSpirit」のベータ版リリースから10周年を迎えております。
《経営方針》
今、DXという大きな波が押し寄せています。DXはITを活用した単なる業務の効率化ではなく、デジタル技術を駆使してビジネスの仕組みを変革することを意味しています。時代の変化に対応し新しい挑戦を続けることは、全ての企業にとって最も根源的な経営課題であります。
当社グループも、創業当時の受託開発型ビジネスから現在のSaaSビジネスへ移行するという「強烈な変化」を体験しました。「変化を恐れるのでなく、自ら変化を創り出す」ことが当社グループの経営方針の根幹です。
当社グループが提供するサービスは、多くのお客様によって支えられています。また、安定的に事業を持続・拡大できるのは株主の皆様のご理解・ご支援があってのものです。従業員が成長し創造的に仕事に取り組むことがサービスの進化につながり、それがお客様と当社グループの成功につながり、企業価値の向上を通じて株主の皆様に利益を還元していく、この循環を持続して全てのステークホルダーの成功を実現していくことが当社グループの経営方針です。
(2)目標とする経営指標
当社グループのSaaS事業は、サブスクリプション型リカーリングレベニューモデルであるため、契約ライセンス数を増加させ解約率を低位に留めることで、売上高及び利益の成長を実現し、継続的な企業価値の向上と株主への利益還元を目指します。
(3)経営環境及び中長期的な会社の経営戦略
我が国は、少子高齢化による労働力人口の減少という大きな社会課題に直面しており、多くの日本企業にとって生産性の改善や多様な人材が活躍できる労働環境の整備が重要な経営課題となっています。政府は2017年3月に「働き方改革実行計画」を発表し、生産性の向上や長時間労働の是正、多様な働き方の実現などを進める方針を示しました。2019年4月に施行された「働き方改革関連法」では、残業時間の上限規制や、正社員と非正規の不合理な待遇差を解消する「同一労働同一賃金」、高収入の一部専門職を労働時間の規制から外す「脱時間給制度(高度プロフェッショナル制度)」、年次有給休暇取得の一部義務化、勤務間インターバル制度の普及促進などが盛り込まれました。2020年4月から中小企業への適用も開始され、日本の労働慣行は大きな転換点を迎えております。
一方で、「働き方改革」を実現するためのツールやソリューションはまだ確立されているとは言えません。例えば、現行の労働基準法において使用者は従業員の労働時間の管理義務が課せられており、多くの企業は勤怠・就業管理システムを導入していますが、近年、複数の企業で違法な長時間労働の実態が明らかとなっております。このように、従来の形式的な出退勤時刻の記録では不十分で、労働時間の実態把握や働いている状況を可視化するツールやソリューションのニーズが高まってきております。また、欧米に対して生産性が低いと言われる我が国のサービス業やホワイトカラーに対し、その働き方を可視化及び改善するソリューションのニーズも一層高まりを見せるものと考えております。加えて、新型コロナウイルス感染症拡大の影響でテレワークが急速に広まったことで、働き方そのもののパラダイムシフトが起こり始めており、高度な労務管理や働き方の可視化による生産性の改善の重要性は今後もさらに高まっていくものと考えております。
このような状況の中で、当社グループは「働き方改革」を実現するためのツールやソリューションの市場が急拡大すると考えており、幅広い業種や規模の企業の「働き方改革」の実現に貢献するべく、「TeamSpiritシリーズ」を強化し、営業活動を拡大してまいる方針であります。特に、エンタープライズ企業のフロントウェア領域で現在主流となっている、手組みのスクラッチシステムやカスタマイズされたパッケージシステムを「TeamSpiritシリーズ」でリプレイスしていく「エンタープライズ市場開拓戦略」を中期的な経営戦略として位置付けております。
なお、このような経営環境における当社グループの商品、ビジネスモデルは「第1 企業の概況 3 事業の内容」に記載しております。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社グループが提供するサービスは、ポストコロナ時代の多様な働き方への対応やDXの推進による生産性の改善といった、「働くこと」を取り巻く企業の課題意識の高まりを背景に、今後もますますの需要増加が期待されます。当社グループのさらなる成長を実現するため、優先的に対処すべき課題は以下のとおりであります。
①エンタープライズ市場の開拓
エンタープライズ企業のフロントウェアシステム(勤怠管理、工数管理、経費精算、ワークフロー等)のDXニーズに応えるため、一部のエンタープライズ企業のお客様に先行販売中であった「TeamSpirit WSP」を「TeamSpirit EX」に名称変更し、2021年3月1日より本格販売を開始しました。そして、エンタープライズ企業のフロントウェア領域で現在主流となっている、手組みのスクラッチシステムやカスタマイズされたパッケージシステムを「TeamSpiritシリーズ」でリプレイスしていく「エンタープライズ市場開拓戦略」を成長戦略の柱に据えて、製品開発、マーケティング、営業の各領域に積極的な投資を行ってまいりました。当社グループは、同戦略を成功させることが中長期的な企業価値・株主価値の向上に資すると考えており、費用対効果の検証を行いながら、戦略的に先行投資を増大させていく方針です。
②ミッド・スモール市場の成長再加速
ミッド・スモール市場には多くの競合が存在しており、足もとの成長率はやや鈍化傾向にあります。運用利便性を向上させるUIの改善や継続的な新機能のリリースといった「TeamSpirit」の機能強化に加え、インサイドセールスやWebマーケティングの強化等、ミッド・スモール市場の成長を再加速させるために各種施策を推進してまいります。
③優秀な人材の確保と育成
当社グループの中長期的な企業価値の向上に向けて、優秀で意欲的な人材を採用し、その定着を図ることは経営基盤を強固にしていくために非常に重要な課題であると認識しております。当社グループとしては積極的な採用活動を継続するとともに、適切な目標管理と人事評価を行い、優秀な人材の確保と活用に努めてまいります。また、従業員の職位、職務に応じた適切な研修を積極的に行い、人材の教育・育成を進めてまいります。
④「TeamSpirit」並びに「TeamSpirit EX」の知名度向上と契約ライセンス数の拡大
当社グループは2021年8月末時点で契約ライセンス数321,534ライセンス、契約社数1,531社と、クラウド・IT業界で一定の知名度を獲得できているものと考えておりますが、日本国内企業の従業員数と当社契約ライセンス数を比較した場合、そのシェアは約0.7%と未だ低水準であり、大きな拡大余地が残されております。
当社サービスの「フロントウェア×Employee Success」という独自のポジショニングについて、潜在顧客となる企業により一層認知、評価していただき、契約ライセンス数を拡大させていくためには、戦略的かつ積極的なPR・マーケティング活動、セールス活動が重要であると考えております。
⑤中長期的な収益性の向上と安定したキャッシュ・フローの創出
当社グループは、中長期的なARR成長のため開発投資を中心に積極的な先行投資を進めており、2022年8月期は営業損失を計上する見通しとなっております。
主力製品である「TeamSpirit」は、高い収益性を誇り安定したキャッシュ・フローの創出に貢献しておりますが、「TeamSpirit EX」は未だ先行投資が続く赤字事業となっております。「エンタープライズ市場開拓戦略」を成功させることで「TeamSpirit EX」の早期黒字化を達成し、中長期的な収益性の向上と安定したキャッシュ・フローの創出を目指してまいります。なお、先行投資に関しては、その費用対効果を見極めながら規律を持った投資を行い、2026年8月期において営業利益率25%程度を目指していく方針です。
本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。当社グループはこれらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針であります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営環境の変化について
当社グループのSaaS事業は、企業を主要顧客としており、勤怠管理など顧客企業の従業員が毎日必ず使用する機能を提供しています。国内外の経済情勢の変動や景気動向等を理由として直ちに契約が解約される性質の商品ではないため安定的な収益を見込んでおりますが、顧客企業のIT投資マインドが減退するような場合には、新規契約数が鈍化する可能性など、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
新型コロナウイルスの影響については、2021年8月期は、一部のお客様で導入プロジェクトの延伸や、コスト削減のために予備枠として確保していたライセンスを細かく削減する動きが見られましたが、その他特段の悪影響は発生しておりません。しかし、今後、新型コロナウイルスが再拡大し、その影響が深刻化した場合には、当社グループの業績並びに中期的な成長性に影響を及ぼす可能性があります。
(2)クラウド市場の動向について
当社グループが事業を展開するクラウド市場は急速な成長を続けております。当社グループはこの市場成長傾向は継続するものと見込んでおり、その中で一定のシェアを獲得するべく、商品や営業組織の拡充を図っております。しかしながら、国内外の経済情勢の変動や景気動向等を理由として予期せずクラウド市場の成長が鈍化するような場合には、新規契約数の鈍化など、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(3)株式会社セールスフォース・ドットコムに関するリスク
当社グループが顧客に提供しているアプリケーションは、株式会社セールスフォース・ドットコムが提供するクラウドプラットフォーム(Lightning Platform)上に構築されております。なお、同社との契約における解除条項は以下のとおり定められておりますが、現状で解除条項に抵触しておりません。
・相手方が本契約の重大な違反をして、違反のない当事者からの書面の通知の受領後30日以内に、その違反を是正しなかった場合。
・特定の四半期において、当社グループの有効なユーザー合計数が25%以上減少し、さらにその後2ヶ月連続して10%以上減少した場合。
・相手方に、解約しようとする当事者の直接競合者による支配権の変更があった場合。
・相手方が、破産又は、支払不能、管財人による財産管理、清算、債権者への財産譲渡に関するその他の手続の申し立ての対象となった場合。
また、現状では株式会社セールスフォース・ドットコムに日本からの撤退の予定はなく、今後の契約関係も安定して継続する見込みであります。しかしながら、同社の経営戦略の変更により日本でのLightning Platformの提供が廃止・停止となった場合、Lightning Platformの機能に障害が発生して当社グループのアプリケーションに影響が生じた場合、Lightning Platformの競争優位性が失われた場合、Lightning Platform利用料(当社グループのプラットフォーム仕入価格)の引上げを要求された場合、同社とのOEMパートナー契約の解除事由に抵触し契約を解除された場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(4)営業活動に関するリスク
当社グループはこれまで、クラウド市場や「働き方改革市場」の拡大などを背景として事業の拡大をしてまいりました。今後は、より幅広い業種や事業規模の企業との契約を増やしていく予定でございますが、商談日数の長期化や段階的な導入などにより、売上計上時期が変動し、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(5)想定を上回る解約が生じるリスク
当社グループのSaaS事業は、サブスクリプション型リカーリングレベニューモデルであるため、顧客満足度を高めることで解約率を低く維持するための施策を行っております。しかしながら、顧客企業の利用状況や経営環境の変化などの理由により、毎年一定の解約が発生しております。予算及び経営計画には将来の解約を見込んでおりますが、想定を超える解約が発生した場合には、当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。
(6)新規契約数の季節変動について
当社グループの売上は顧客企業の人事及びIT予算により構成されるため、新規契約時期は顧客企業の予算策定スケジュール、システム刷新計画、人事部門の繁忙期などの影響を受けます。また、既存顧客における人員増加による追加契約時期については、多くの顧客企業の会計年度末である3月末前後となる傾向が見られます。したがって、季節に依らず契約数が推移する業種に比べて、顧客毎の年間スケジュールに依存するほか、契約の獲得件数の変動が大きく下振れ幅が顕著な場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を与える可能性があります。
(7)競合について
当社グループが提供する勤怠管理や経費精算等のフロントウェアソリューション領域においては、特にミッド・スモール市場を中心に多くの競合企業が存在しておりますが、当社グループのサービスは単一機能を提供することに止まらず、勤怠管理、就業管理、工数管理、経費精算、電子稟議、カレンダー、SNSといった従業員が日々利用する機能をひとつに集約することで、複合的な視点で従業員が働いている「今の様子」をリアルタイムに可視化し、より効率的で生産的な働き方を実現する「働き方改革プラットフォーム」として差別化を図っております。エンタープライズ市場においては手組みのスクラッチシステムやカスタマイズされたオンプレ型のパッケージシステムの利用が主流となっており、当社と同じクラウドサービスの競合企業はミッド・スモール市場と比較しても少ない状況です。しかしながら、競合企業の技術力の向上や予期しないサービスの登場などにより、現在以上に競争が激化する場合には、新規契約数の鈍化や既存契約先の解約数増加など、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(8)単一事業であることのリスク
当社グループの売上は、「TeamSpiritシリーズ」とその関連サービスで構成されており、SaaS事業の単一事業となっております。国内の少子化や人口減少により、生産性向上のための「働き方改革市場」領域におけるシステムの刷新需要の成長傾向は継続するものと見込んでおりますが、当該市場の成長が鈍化するような場合、事業環境の変化等への対応が適切でない場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(9)海外子会社について
当社グループは、2017年11月に海外子会社(シンガポール)を設立し、現在は開発業務を中心に事業を行っておりますが、現地の法令、制度・規制、社会情勢等のカントリーリスクが顕在化し、円滑な事業展開を行うことが困難になった場合、当社グループの経営成績及び事業活動に影響を与える可能性があります。
(10)人材の確保について
当社グループのビジネスの成長持続には、優秀なエンジニア、コンサルタント及び営業人員を安定的に確保することが重要と認識しております。当社グループでは継続的に従業員の採用及び教育を行っておりますが、従業員の採用及び教育が計画どおりに進まないような場合や人材流出が進むような場合には、サービスの円滑な提供及び積極的な受注活動が阻害され、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(11)訴訟について
本書提出日現在において、重大な訴訟を提起されている事実はございません。しかしながら、当社グループが事業活動を行う中で、顧客等から当社グループが提供するサービスの不備、アプリケーションの不具合、個人情報の漏洩等により、訴訟を受けた場合には、当社グループの社会的信用が毀損し、当社グループの事業活動及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(12)知的財産権に係る方針について
当社グループは、販売する商品の名称につき、商標登録を行っており、将来展開を計画している商品についても商標権の取得を目指す方針であります。当社グループの保有する知的財産権を保護するために細心の注意を払うと共に、他社の知的財産権を侵害しないように顧問弁護士等と連携し必要な措置を講じてまいります。ただし、当社グループの知的財産権の侵害や当社グループの他社侵害を把握しきれずに、何らかの法的措置等が発生した場合、当社グループの事業活動及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(13)システムトラブルについて
当社グループが顧客に提供しているアプリケーションは、クラウドという特性上、インターネットを経由して提供されており、その可用性をインターネットに接続するための通信ネットワークやインフラストラクチャーに依存しております。当社グループはシステムトラブルを最大限回避すべく、企業向けクラウドプラットフォームとして多くの企業から信頼されているsalesforce.com, inc.が運営するLightning Platform上にアプリケーションを構築しております。しかしながら、自然災害及び事故等による予期しえないトラブルが発生し、大規模なシステム障害が起こるような場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(14)重大な不具合について
当社グループが提供するアプリケーションは、開発計画から本番リリースに至るまでの開発プロセスが定められております。顧客へ提供する前に、厳しい品質チェックを行った上で本番リリースしておりますが、顧客への提供後に重大な不具合(バグ等)が生じ、補修等追加コストの発生や信用の失墜、損害賠償責任が発生した場合、当社グループの事業活動及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(15)情報管理体制について
当社グループでは、業務に関連して多数の顧客企業の情報資産を取り扱っております。情報セキュリティ基本方針を策定し、役員及び従業員に対して情報セキュリティに関する教育研修を実施する等、情報管理体制の強化に努めております。しかしながら、何らかの理由により重要な情報資産が外部に漏洩するような場合には、当社グループの社会的信用の失墜、損害賠償責任の発生等により、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(16)内部管理体制の構築について
当社グループは、今後の事業拡大に対応するため、内部管理体制をさらに強化する必要があると認識しております。今後は人材採用及び育成を行うこと等により内部管理体制の強化を図っていく方針であります。しかしながら、内部管理体制の構築に遅れが生じた場合、当社グループの事業活動及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(17)特定の人物への依存について
当社の代表取締役である荻島浩司は、当社グループの創業者であり、創業以来の最高経営責任者であります。当社グループの事業展開において事業戦略策定や、業界における人脈の活用等、重要な役割を果たしております。当社グループは、経営管理体制の強化、経営幹部の育成等を図ることにより、同氏への過度な依存の脱却に努めておりますが、現時点においては、未だ同氏に対する依存度は高いと考えております。今後、何らかの理由により同氏の業務遂行が困難になる場合には、当社グループの事業展開等に影響を及ぼす可能性があります。
(18)我が国における働き方の変化について
当社グループの主力商品である「TeamSpiritシリーズ」は、勤怠・就業管理機能を主要機能の1つとして構成しており、今後、勤怠・就業管理を必要としない成果管理主義型の働き方が浸透した場合や、法規制の改正等により勤怠・就業管理の位置づけに変化が生じた場合、当社グループの事業活動に影響を及ぼす可能性があります。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの経営成績、財政状態及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において判断したものであります。
①経営成績の状況
当社グループは、「すべての人を、創造する人に。」のミッションのもと、勤怠管理の高度化、勤務状況の可視化、経費精算等各種業務フローのデジタル化を1つのサービス内で実現し、クラウド環境を通してお客様に提供するERPのフロントウェア「TeamSpirit」並びに「TeamSpirit EX(注1)」を提供しております。
当社グループが提供するサービス領域における短期的な事業環境といたしましては、残業時間上限規制等を定めた「働き方改革関連法」(2019年4月施行)の中小企業への適用が2020年4月から開始されたことで、「勤怠管理」の高度化ニーズが高まりを見せています。さらに昨今、テレワーク等の多様な働き方に対応するため、労働時間の正確な把握だけでなく、仕事の見える化によるチームの活性化や非対面でのマネジメントの実現を可能にする「工数管理」への需要も高まっています。
中長期的な事業環境といたしましては、今後多くの企業において生産性向上に向けたDXへの取組みがさらに加速することが予想されます。特にエンタープライズ企業(注2)では、2000年頃に一斉導入されたERP並びに、それに付随したデータのエントリー機能を担う「勤怠管理システム」や「経費精算システム」といったERPのフロントウェアシステムのリプレイス需要が高まっています。従来、これらのシステムは各社独自の仕様で構築されるケースが一般的でしたが、昨今は更新投資やシステム保守費をかけることなく最先端のサービスを利用することができるSaaS(注3)への関心が高まっています。当社グループは、このようなエンタープライズ企業におけるDXニーズに応えるため、一部のエンタープライズ企業のお客様に先行販売中であった製品「TeamSpirit WSP」を「TeamSpirit EX」に名称変更し、2021年3月1日より本格販売を開始いたしました。そして、「エンタープライズ市場開拓戦略(注4)」を成長戦略の柱に据えて、製品開発、マーケティング、営業の各領域に積極的な投資を行ってまいりました。その結果、2021年8月期下半期(2021年3月~8月)の、エンタープライズ企業を中心としたGB/EBUセグメント(注5)におけるリード数は、同上半期(2020年9月~2021年2月)比で4倍程度増加しており、戦略への手ごたえを実感しております。しかし、GB/EBUセグメントにおける商談は、初回面談から受注まで平均して半年から1年程度(規模によってはさらに長期の商談もあり)のリードタイムを要するため、2021年8月期実績への貢献は限定的でした。
2021年8月期は、EBUセグメント(注5)で年度内に新規受注がクローズできず、トータルのライセンス増加数は満足のいく結果となりませんでしたが、重点セグメントの1つであるGBセグメント(注5)における新規受注は引き続き堅調に推移しました。また、カスタマーサクセスの活動を通じて既存顧客の解約率は低位に推移し、さらに既存のお客様からの追加受注も堅調に推移したことで、契約ライセンス数は321,534ライセンス(前連結会計年度末比15.8%増)、契約社数は1,531社(同122社増)となりました。
新型コロナウイルスの影響については、一部のお客様で導入プロジェクトの延伸や、コスト削減対策の一環で予備枠として確保していたライセンスを細かく削減する動きが見られましたが、その他特段の悪影響は発生しておりません。中長期的には、働き方の多様化や大企業のDXへの取組みの加速などが追い風となり、「TeamSpirit」並びに「TeamSpirit EX」の需要は増加していくものと考えております。
以上の結果、当連結会計年度におけるライセンス売上高は2,354百万円(前連結会計年度比20.1%増)、プロフェッショナルサービス売上高は542百万円(同11.8%増)となり、売上高は合計で2,896百万円(同18.5%増)となりました。ライセンス売上高はGB/EBUセグメントが牽引し堅調に推移しました。プロフェッショナルサービス売上高は第2四半期に計上したスポットサポートの大口商談が寄与し前年対比で増収となりました。営業利益は、「TeamSpirit EX」の本格販売に合わせて実施したマーケティング活動に伴う広告宣伝費や、主に営業人員の強化に伴う採用費、人件費の増加により169百万円(同40.9%減)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は122百万円(同51.9%減)となりました。
なお、当社グループはSaaS事業の単一事業であるため、事業セグメント別の記載を省略しております。
(注1)TeamSpirit EX:2018年より一部のエンタープライズ企業のお客様に先行導入し機能拡張を行ってきた「TeamSpirit WSP(Workforce Success Platform)」を名称変更し、2021年3月1日より本格販売を開始したクラウドサービス。EXは、Enterprise Experience、Expansion、Extend、Exceedを連想させる略語。
(注2)企業規模毎の定義は以下のとおり。
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名称 |
定義 |
|
エンタープライズ企業 |
従業員が1,000名以上の企業 |
|
ミッド企業 |
従業員が100~999名の企業 |
|
スモール企業 |
従業員が99名以下の企業 |
(注3)SaaS:Software as a Serviceの略称で、サービスとしてのソフトウエアを指す。クラウドサーバーにあるソフトウエアを、インターネットを経由して利用できるサービス。
(注4)エンタープライズ市場開拓戦略:エンタープライズ企業におけるERPのフロントウェア(勤怠管理、工数管理、経費精算、ワークフロー等)は、手組みのスクラッチシステムやオフライン型のパッケージシステムなどの利用が大半であり、それらのシステムをリプレイスしていく戦略。
(注5)セグメントの定義は以下のとおり。
|
名称 |
定義 |
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GB/EBUセグメント |
General Business/Enterprise Business Unit の略称で、1社あたりの契約ライセンス数が500ライセンス以上の企業から構成されるセグメント |
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EBUセグメント |
Enterprise Business Unit の略称で、1社あたりの契約ライセンス数が4,000ライセンス以上の企業から構成されるセグメント |
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GBセグメント |
General Business の略称で、1社あたりの契約ライセンス数が500~3,999ライセンスの企業から構成されるセグメント |
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MMセグメント |
Mid Market の略称で、1社あたりの契約ライセンス数が100~499ライセンスの企業から構成されるセグメント |
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SMBセグメント |
Small and Medium Business の略称で、1社あたりの契約ライセンス数が99ライセンス以下の企業から構成されるセグメント |
|
②財政状態の状況
当連結会計年度末における総資産は3,171百万円となり、前連結会計年度末から361百万円増加しました。
(流動資産)
当連結会計年度末における流動資産は2,753百万円となり、前連結会計年度末から306百万円増加しました。これは主に、現金及び預金の増加によるものであります。
(固定資産)
当連結会計年度末における固定資産は418百万円となり、前連結会計年度末から54百万円増加しました。これは主に、繰延税金資産の増加によるものであります。
(流動負債)
当連結会計年度末における流動負債は1,594百万円となり、前連結会計年度末から229百万円増加しました。これは主に、繰延収益の増加によるものであります。
(固定負債)
当連結会計年度末における固定負債はありません。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産は1,577百万円となり、前連結会計年度末から131百万円増加しました。これは主に、利益剰余金の増加によるものであります。
③キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、2,447百万円となり、前連結会計年度末に比べ274百万円増加(前連結会計年度比12.6%増)しました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果獲得した資金は265百万円(前年同期は395百万円の収入)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益174百万円を計上したことに加えて、受注拡大に伴い繰延収益が136百万円増加した一方で、法人税等81百万円を支払ったことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は0百万円(前年同期は86百万円の支出)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出0百万円によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果獲得した資金は7百万円(前年同期は41百万円の支出)となりました。これは主に、新株予約権の行使による株式の発行による収入7百万円によるものです。
(2)生産、受注及び販売の実績
① 生産実績
当社グループは生産活動を行っておりませんので、該当事項はありません。
② 受注実績
当社グループは受注生産を行っておりませんので、受注実績に関する記載はしておりません。
③ 販売実績
当連結会計年度における販売実績をサービス別に示すと次のとおりであります。
|
サービスの名称 |
当連結会計年度 (自 2020年9月1日 至 2021年8月31日) |
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販売高(千円) |
前年同期比(%) |
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ライセンス |
2,354,713 |
20.1 |
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プロフェッショナルサービス |
542,213 |
11.8 |
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合計 |
2,896,926 |
18.5 |
(注)1.当社グループはSaaS事業の単一セグメントであるため、セグメントごとの記載はしておりません。上記ではサービス別の販売実績を記載しております。
2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、その割合が100分の10以上に該当する相手先がないため記載を省略しております。
3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(3)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中における将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び重要な見積り
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額並びに開示に影響を与える見積りを必要としております。これらの見積りについては過去の実績や現状等を勘案し、合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる可能性があります。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。
また、新型コロナウイルス感染症の影響を含め連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容については、「(1)経営成績等の状況の概要」に含めて 記載しています。
③ キャッシュ・フローの状況の分析
キャッシュ・フローの状況の分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要」に含めて 記載しています。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性につきましては、次のとおりであります。
資金需要及び資金調達につきましては、当社グループの事業規模の拡大を進めるために、次世代プロダクト開発に取り組んでいく考えであります。これらの資金需要は手元資金で補うことを基本として必要に応じて資金調達を実施します。
④ 経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりと認識しており、これらのリスクについては発生の回避及び発生した場合の対応に努める所存であります。
⑤ 経営戦略の現状と見通し
当社グループは「すべての人を、創造する人に。」というミッションのもと、事業を展開してまいりました。
働き方改革プラットフォームとしての「TeamSpirit」を中心に置きながら、幅広い規模や業種の企業に対して適応できるように、商品開発、営業活動の強化などの事業施策に取り組んでまいります。
⑥ 経営者の問題意識と今後の方針について
当社グループの経営者は、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおり、当社グループが今後さらなる成長を遂げるためには、さまざまな課題に対処することが必要であると認識しております。
それらの課題に対応するために、経営者は常に事業環境の変化に関する情報の入手及び分析を行い、次世代商品開発による競合との差別化を推進し、さらなる事業拡大を図ってまいります。
当社グループの経営上、重要な契約は以下のとおりであります。
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相手方の名称 |
契約締結日 |
契約の名称 |
契約内容 |
契約期間 |
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株式会社セールスフォース・ドットコム |
2010年6月8日 |
AppExchange パートナー基本契約書 |
開発したアプリケーションをAppExchange(注)に公開するための契約 |
自 2010年6月8日 至 2011年6月7日 1年毎の自動更新あり |
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株式会社セールスフォース・ドットコム |
2010年11月12日 |
OEMパートナー契約書 |
Lightning Platformの仕入契約 |
自 2010年11月9日 至 2013年11月8日 1年毎の自動更新あり |
(注)salesforce.com, inc.が提供するビジネス用アプリケーションのマーケットプレイスです。開発者は開発したアプリケーションを公開し、ユーザーはアプリケーションをインストールして利用出来ます。
該当事項はありません。