文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末日現在において、当社グループが判断したものであります。
(1)経営環境
① コンサルティング市場
IDC Japan㈱によると、2023年のビジネスコンサルティング市場は前年比12.6%増の7,240億円となり、2024年の同市場は前年比10.6%増の二桁成長となる見込みとしています。また、2023年~2028年の年間平均成長率は10.1%で推移し、2028年には1兆1714億円に達する見込みとしており、今後も十分に成長の余地があるものと考えております。
② M&A市場
㈱レコフのデータによると、2024年のM&Aの件数は、過去最高件数を記録し、2011年以降引き続き増加傾向にあります。コーポレート・ガバナンス・コードの定着等による資本効率等の重視やアクティビストの台頭等による資本市場の目線の厳格化等を背景として、事業ポートフォリオの見直し等による事業構造変革型M&A、海外市場での業務拡大を企図したクロスボーダーM&A、高齢化の進行による事業承継型M&Aや人口減少及び少子化に伴う国内市場の縮小による国内中堅・中小企業の再編のためのM&Aが増加しており、今後もM&Aは継続して増加する見通しです。
③ 事業再生市場
㈱帝国データバンクによりますと、2024年の企業倒産件数は9,901件(前年比16.5%増)となり、3年連続の増加となりました。ゼロゼロ(コロナ)融資の返済や後継者難に加え、物価高や人手不足などによるコストの増加により中小企業を中心に倒産が増加しており、今後も緩やかな増加局面が継続すると見られていることから、事業再生のニーズはさらに拡大していくと考えられます。
(2)今後の経営方針及び対処すべき課題
当社第18期(2024年12月期)は赤字決算となり、2024年2月に公表した「2024-2026年度中期経営計画」の見直しが不可欠であると認識しておりますが、最初の段階として2025年12月期の黒字化を実現するために2025年2月13日付で「構造改革プラン」を策定いたしました。
この構造改革を第二創業の元年と捉え、当社が提供するソリューションの焦点を明確にし、経営モデル及び組織体制の改編等を迅速に行ってまいります。
そして、「ONE-FMIプラットフォーム経営」への転換を前提とした「当社固有の生態系/エコシステム(当社の社員同士、当社と関係する企業同士が互いに共存し、価値を高め合い続けられる唯一無二のシステムとして、それぞれ固有に自立・成長できる有機的な状態を指しています)」の構築と再成長の実現にあたり、「生産性の向上」と「未来志向」の2つの基本方針を定め、筋肉質な企業構造の実現と事業機会を捉えた成長による企業価値拡大を目指してまいります。
「構造改革プラン」において当社が取組む主要な施策は下記のとおりです。
<2025年12月期に取組む主要施策>
① コンサルティング系部門再編による競争力の高度化
当社として成長を維持している領域であるコンサルティング系部門を現在の5部門から3部門に再編し、人的資本の集約・一体運用による効率化を進め、更なる収益性向上を実現してまいります。
② 国内・中規模M&A市場への原点回帰による再成長
2024年度はボラティリティの高いクロスボーダー案件獲得と遂行に傾注した結果、国内M&Aビジネスの不振により収益が大幅に低迷したことに鑑み、当社が従来から強みを有している国内の中規模M&A市場を中心に安定的な案件獲得を目指すとともに、クロスボーダー案件については、収益性を吟味しながら、日本、アジア(中国を含む)、欧州の3拠点を中心とした今後の再成長を目指してまいります。
③ フロント4部門の一体連係ソリューション提供へのシフト
クライアント基点でコンサルティング系3部門とM&A部門との4部門による一体連係ソリューションをクロスセル展開し、顧客ニーズに応じた付加価値の高いサービスで、単価の向上を図ってまいります。
④ 組織的なアカウント・カバレッジ網拡大への営業改革
強固な関係性を有する金融機関及びPEファンドとの連携を基盤にしながら、組織的に大手・中堅規模以上の個別企業とのアカウント・カバレッジ網の拡大を加速してまいります。
⑤ コーポレート部門改編による全社戦略・統括能力拡充
「ONE-FMIプラットフォーム経営」の実現のためコーポレート部門の能力の高度化に向けて、CSO領域(グループ戦略/事業開発)、CFO領域(グループ経理/IR対応)、CAO領域(グループ機関運営全般)を担う3部門を社長直下組織として再編するとともに合理化と生産性向上を推進してまいります。
⑥ フロンティア・キャピタル株式会社の投資拡大による収益の生成
2024年度に契約締結した3案件の投資実行とその後の案件パイプライン拡大により、収益化に目途が立ちつつあることを踏まえ、当社グループ内での更なる連係強化を図りつつ、当社グループの強みとなる知見・ノウハウ・ネットワークを生かしながら毎期4件程度の投資を実行してまいります。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末日現在において、当社グループが判断したものであります。
(1)サステナビリティ基本方針
当社グループは、創業以来、「クライアントの利益への貢献」、「ステークホルダーの利益への貢献」、「社会への貢献」という企業理念を掲げて経営をしてきております。
当社グループは、多様性に富むプロフェッショナルの叡智を集め、顧客の経営課題解決の支援を通じて、豊かな地球環境と持続可能な社会への貢献を果たすとともに、当社グループの持続的な成長と発展を実現してまいります。
(2)サステナビリティ重要テーマとマテリアリティ
当社グループは、サステナビリティ基本方針に基づき、① 人材の多様性と専門性の確立、② 「社会・ビジネスの在り方」の転換への貢献、③ 企業の成長力とレジリエンスの強化を重要テーマとしております。
各重要テーマの概要とマテリアリティは下記のとおりです。
① 人材の多様性と専門性の確立
人材を企業の「資本」と捉え、その価値を最大限に引き出すことで、中長期的な企業価値向上へと繋げていく人的資本経営が重要性を増しております。
当社の事業は、顧客の経営課題解決の支援であり、当社の収益の源泉となる最大の資産は人材です。当社の持続的な成長と発展を実現するためには「多様性に富むプロフェッショナルの叡智を集め、維持し、高める」ことが必要であります。そのために、多様性に富む当社のプロフェッショナル人材が互いに切磋琢磨し、各自の人格並びに能力を高め、その力を存分に発揮できるように健康で活躍できる職場環境を整え維持してまいります。
なお、本テーマに係るマテリアリティは、イ)多様性と受容の深化、ロ)人的資本への投資継続、ハ)経営人材の育成と輩出、ニ)人々が個性を活かし活躍する社会への貢献を掲げております。
各マテリアリティの指標及び目標は「(5)人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針に関する考え方 ③ 指標及び目標」をご参照ください。
② 「社会・ビジネスの在り方」の転換への貢献
プライム市場上場企業である当社は、当社の事業運営及び顧客企業に対する事業活動を通じて、気候変動、人権問題、人口問題等の様々な課題が環境や社会に大きな影響を与えうる問題であると認識しております。
当社としてもこれらを重要課題と置き、豊かな地球環境と持続的な社会へ貢献するため、多様性に富む当社のプロフェッショナル人材の環境や社会課題に関する意識を高め、当社においては温室効果ガスの排出量削減や環境負荷低減を推進するとともに、顧客企業に対しては、持続可能な地球環境と社会の構築のため、新しいビジネスモデルへの転換支援を推進してまいります。
なお、本テーマに係るマテリアリティは、イ)ビジネス倫理観の醸成、ロ)脱炭素・循環型社会への転換推進、ハ)地方創生への貢献を掲げております。
各マテリアリティの指標及び目標は以下のとおりであります。
イ)ビジネス倫理観の醸成
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実施内容 |
指標 |
2024年度実績 |
2026年度目標 |
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倫理観の醸成・ 人権への取り組み |
社内実施のコンプライアンス研修参加率 (終了後テスト受講義務付) |
96.0% |
100.0% |
|
企業理念を軸とした、ビジネス倫理観・人権意識を高めるトップメッセージの社内発信回数 |
3回 |
2回 |
ロ)脱炭素・循環型社会への転換推進
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実施内容 |
指標 |
2024年度実績 |
2026年度目標 |
|
TCFD対応 |
2050年12月期までに、温室効果ガス排出量を2021年12月期比実質ゼロ (Scope1、2の排出量/国内拠点の電力・ガスからのCO2排出量の2021年12月期比削減率) |
△94.0% |
△100.0% |
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脱炭素・循環型事業への転換推進サービスの提供 |
顧客企業への脱炭素・循環型社会への転換推進に関するコンサルティング案件数 |
15件 |
10件 |
ハ)地方創生への貢献
|
実施内容 |
指標 |
2024年度実績 |
2026年度目標 |
|
地方創生に貢献するサービスの提供 |
地方に本社を置く企業を対象としたコンサルティング・M&A案件数 |
157件 |
200件 |
③ 企業の成長力とレジリエンスの強化
会社が、透明・公正かつ迅速・果断な意思決定を行うための仕組みであるコーポレート・ガバナンス体制の強化が重要性を増しております。
当社の事業は、顧客の経営課題解決の支援であり、顧客企業が法令を遵守し、将来発生する可能性のあるリスクを適切にコントロールしながら、高い倫理観を持って事業を推進し、持続的な成長と発展を実現できるよう支援することも当社の役割です。
そのために、当社においては取締役会の実効性の向上や内部統制機能の維持・強化等を行い、顧客企業に対しては多様性に富む当社のプロフェッショナル人材が、高い倫理観を持ち、顧客企業が健全な経営を行うための自己管理体制を整え事業を推進できるよう支援をしてまいります。
なお、本テーマに係るマテリアリティは、イ)顧客企業の長期的価値向上、ロ)健全なガバナンス体制の追求を掲げております。
各マテリアリティの指標及び目標は以下のとおりであります。
イ)顧客企業の長期的価値向上
|
実施内容 |
指標 |
2024年度実績 |
2026年度目標 |
|
顧客企業の価値向上 |
顧客満足度調査において「貴社の企業価値向上に資するサービスを提供されたと感じるか」の項目におけるポジティブ回答の比率 |
85.7% |
80.0% |
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顧客企業の健全なガバナンス体制構築サポート |
顧客企業へのガバナンス改善に関するコンサルティング案件数 |
30件 |
15件 |
ロ)健全なガバナンス体制の追求
|
実施内容 |
指標 |
2024年度実績 |
2026年度目標 |
|
コーポレート・ガバナンス体制の強化・充実 |
リスク管理委員会によるモニタリング結果の取締役への定期報告 |
1回 |
2回 |
|
内部監査結果の取締役への定期報告 |
4回 |
4回 |
(3)サステナビリティ全般に関するガバナンス及びリスク管理
① ガバナンス
当社グループは、中長期的に当社グループ全体でサステナビリティへ寄与するため、2022年11月に上述の「サステナビリティ基本方針」と当社グループが優先的に取り組むべき「サステナビリティ重要課題(マテリアリティ)」を制定するとともに、「サステナビリティ推進委員会」を設置しました。
<組織概要>
・サステナビリティ推進委員会は、サステナビリティに関する重要課題に対する活動計画や目標設定並びにその進捗管理、そしてこれらの情報開示に関する事項等の審議及び業務指示を行い、取締役会に報告します。
・サステナビリティ推進委員会によるリスク対策状況のモニタリングは、代表取締役を委員長とするリスク管理委員会が行い、取締役会に報告します。
② リスク管理
リスク管理委員会において業務上のリスクを予見し適切に評価するとともに、リスクの回避、軽減及び移転等の措置を講じております。また、取締役会に対応状況等を定期的に報告しております。リスク管理委員会における具体的な管理は以下のとおりです。
イ)リスクの洗い出し・更新を行います。
ロ)リスクの発生頻度と影響度を考慮し(リスク分析)、リスクの大きさを測定し優先順位を決定します(リスク評価)。
ハ)リスクの内容に応じて対応方針を決定し予防策を講じます。(リスク対策)。
ニ)評価を5段階に分け対応状況を評価しております。(モニタリング評価)。
(4)気候変動に関連した戦略、指標及び目標
当社グループは、当社においては温室効果ガスの排出量削減や環境負荷低減を推進するとともに、顧客企業に対しては、持続可能な地球環境と社会の構築のため、新しいビジネスモデルへの転換支援を推進することで気候変動への貢献を行ってまいります。
① 気候変動のシナリオと対応戦略
当社グループでは、気候変動がもたらすリスク・機会を元に、シナリオ分析を実施しました。
シナリオ分析においては、移行面で影響が顕在化する1.5℃シナリオと物理面での影響が顕在化する4℃シナリオの2つのシナリオを前提に、主要事業である当社のコンサルティング・アドバイザリー事業に与える2030年の財務影響を分析しました。
財務影響度は、2023年12月期の営業利益を100として、30%以上を「大」、10%以上30%未満を「中」、10%未満を「小」としました。
気候変動による自然災害等によりコンサルティング・アドバイザリー事業への悪影響が認められる一方で、脱炭素社会への移行や気候変動への適応に向けた、コンサルティング・アドバイザリー事業の需要が増加する可能性があります。
<1.5℃シナリオ>
2100年時点において、産業革命時期比の気温上昇が1.5℃程度に抑制されるシナリオです。
気候変動への対策として、温室効果ガスの排出量削減や環境負荷低減が促進され、政策規制、市場等における移行リスクが高まります。
<4℃シナリオ>
2100年時点において、産業革命時期比4℃程度気温が上昇するシナリオです。
気候変動への対策が十分に取られず、異常気象の増加などの物理的リスクが高まります。
・2030年財務影響分析
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分類 |
項目 |
事業への影響 |
シナリオ |
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1.5℃ |
4℃ |
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移行 リスク |
政策・ 法規制 |
カーボンプライシング(炭素税等)の導入 |
炭素税等の負担が急激に増加した場合、当社の業績に悪影響を与える可能性があります。 |
小 |
- |
|
CO2排出量に関する環境規制強化 |
再生可能エネルギーの価格上昇に伴うエネルギーコストが急激に増加した場合、当社の業績に悪影響を与える可能性があります。 |
小 |
- |
||
|
社会的 評価 |
ステークホルダーからの要請 |
ステークホルダーの脱炭素社会への移行や気候変動の適応状況の関心が急速に高まり、当社の対応が遅れた場合には、当社の社会的評価が低下し、当社の業績に悪影響を与える可能性があります。 |
小 |
- |
|
|
移行 機会 |
政策・ 法規制 |
カーボンプライシング(炭素税等)の導入 |
顧客企業が炭素税等の負担増加により経営状況が悪化した場合には、経営改善や効率化支援等の経営コンサルティング、M&Aアドバイザリーの需要が増加する可能性があります。 |
小 |
- |
|
市場 (動向) |
脱炭素社会への移行加速 |
日本の脱炭素社会への移行や気候変動への適応の達成に向けた要請が加速し、顧客企業がビジネスモデルの転換等の対応を迫られた場合には、経営コンサルティング、M&Aアドバイザリーの需要が増加する可能性があります。 |
中 |
- |
|
|
ステークホルダーの環境意識拡大 |
ステークホルダーの脱炭素社会への移行や気候変動の適応状況の関心が高まり、情報開示の要請が加速し、顧客企業がその対応を急速に迫られた場合には、経営コンサルティングの需要が増加する可能性があります。 |
小 |
- |
||
|
物理 リスク |
慢性 |
気候変動に伴う平均気温の上昇等の気候パターンの変化 |
当社従業員の業務効率の低下、熱中症等の疾患者の増加に伴って稼働人員が減少した場合には、当社の業績に悪影響を与える可能性があります。 |
小 |
小 |
|
急性 |
気候変動に伴う大雨、洪水等の異常気象の発生 |
自然災害により長期にわたり交通機関が麻痺し従業員が出勤又は顧客訪問できなくなった場合には、当社の業績に悪影響を与える可能性があります。 |
小 |
小 |
|
|
自然災害により長期にわたり停電が発生し事業活動が停滞した場合には、当社の業績に悪影響を与える可能性があります。 |
小 |
中 |
|||
|
地球温暖化に伴う日本脳炎、マラリア、デング熱等の感染症の発生 |
感染症が発生及び拡大し、海外への物理的な移動の制約によりクロスボーダー案件への影響を受けた場合には、当社の業績に悪影響を与える可能性があります。 |
小 |
中 |
||
|
感染症が発生及び拡大し、顧客従業員/当社従業員の大量感染による稼働人員の減少により一部ビジネスの休業を余儀なくされた場合には、当社の業績に悪影響を与える可能性があります。 |
小 |
中 |
|||
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物理 機会 |
慢性 急性 |
顧客のBCP対策の再構築 |
顧客企業が自然災害の影響によりBCP対策(水害対策、拠点のロケーション検討や移転、バリューチェーン企業の見直し)の再構築を迫られた場合には、経営コンサルティングの需要が増加する可能性があります。 |
小 |
中 |
② 指標及び目標
当社は、二酸化炭素排出の「実質ゼロ」を目指します。
イ)オフィス電力の再生可能エネルギー化のため、2022年9月に六本木本社オフィスの使用電力をグリーン電力に切り替えました。
ロ)2030年12月期までに、温室効果ガス排出量を2021年12月期比50%削減します。
ハ)2050年12月期までに、温室効果ガス排出量実質ゼロを目指します。
ニ)オフィスでの使い捨てプラスチックの削減に取り組みます。
ホ)従業員の気候変動に配慮した出張の奨励に取り組みます。
へ)顧客企業の脱炭素・循環型社会への転換支援を推進します。
(5)人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針に関する考え方
当社グループの人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針についての考え方と指標及び目標並びに実績は、次のとおりであります。
① 人材育成方針と社内環境整備方針
当社グループの持続的な成長と発展を実現するためには、従業員が心身ともに健康であり、各自の能力を磨き、クライアント・ステークホルダー・社会の信頼を得られるように行動し、プロフェッショナルとして継続的に付加価値の高いサービスを提供することが重要です。
当社は、従業員がプロフェッショナルとして活躍できるよう成長を支援し、その力を存分に発揮できる職場環境を整え維持してまいります。
② リスクと機会
|
分類 |
項目 |
事業への影響 |
|
リスク |
採用 |
経験豊富で専門性の高い人材を十分に確保ができなかった場合には、当社の業績に悪影響を与える可能性があります。 |
|
育成 |
未経験者の構成割合が極端に増加し十分に育成できなかった場合には、当社の業績に悪影響を与える可能性があります。 |
|
|
離職 |
離職率が極端に上昇し追加採用に伴う採用コストが大幅に増加した場合には、当社の業績に悪影響を与える可能性があります。 |
|
|
健康 |
従業員に過労による労災(死亡、心身失調等)や長時間労働による業務効率の低下が発生し、当社が適切な対応を取らなかった場合には、当社の社会的な信頼の低下や当社の業績に悪影響を与える可能性があります。 |
|
|
社内 環境 |
従業員が成長実感や社会への貢献実感を得ることができなかったり、自分の個性を活かせていないと感じることがあった場合、従業員のモチベーション低下や離職を促し、当社の業績に悪影響を与える可能性があります。 |
|
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機会 |
採用 |
経験豊富で専門性の高い人材を十分に確保できた場合には、当社のソリューションが拡大し当社の業績に好影響を与える可能性があります。 |
|
育成 |
未経験者を含む人材の積極的な採用・育成を行い、必要な人材・人員数を計画通り育成した場合には、当社が関与する案件が増加し、当社の業績に好影響を与える可能性があります。 |
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離職 |
従業員のロイヤリティーが高まり、人材の離職率が低下した場合には、当社の業績に好影響を与える可能性があります。 |
|
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健康 |
従業員の健康維持・増進をより積極的に進めた場合には、従業員の生産性の向上や組織の活性化をもたらし、当社の業績に好影響を与える可能性があります。 |
|
|
社内 環境 |
社内環境の整備をより積極的に進めた場合には、多様な人材の採用や活躍の促進をもたらし、当社の業績に好影響を与える可能性があります。 |
③ 指標及び目標
イ)多様性と受容の深化
DE&I推進委員会を創設し活動を促進するとともに、専門性の多様性と性別・国籍の多様性の維持・向上、日本以外の国籍の従業員に対する生活支援サービスの導入、子を養育する従業員に対する休暇や短時間勤務制度等の整備、育児休業の取得奨励等、多様な人材が働きやすい社内環境の整備に努めております。
なお、採用、及び労働条件に関する方針は次のとおりです。
・当社は、公正な採用活動を基本方針とし、人種、国籍、性別、年齢等に関わらず応募の機会を提供しております。
・当社は、人種、国籍、性別、年齢等を理由として、労働条件について差別的取り扱いを行いません。
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実施内容 |
指標 |
2024年度実績 |
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多様な人材が働きやすい風土・環境整備 |
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多様な人材採用・登用の推進 |
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男女の賃金差異 (男性の賃金に対する女性賃金の割合) |
全従業員 |
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正規従業員 |
61.4% |
70.0% |
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非正規従業員 |
28.2% |
50.0% |
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(注)当社では、性別や年齢等の属性によらない、個人の能力に基づく評価・登用を実施しております。また、業務内容や職位と賃金水準がリンクしており、同一の業務内容と同一の職位においては男女間での賃金水準に差異はございません。
ロ)人的資本への投資継続
当社は、原則として部署、職種・勤務地を限定して採用しておりますが、従業員の希望による部署間異動(子会社への転籍を含む)を行うこと等により多様な人材の活躍を支援しております。
当社従業員がプロフェッショナルとしてその力を存分に発揮できるよう、成長支援及び健康維持・増進に努めております。
・成長支援
非管理監督者を対象として1年間自由にWeb視聴できるオンライン教育研修ツールの提供、全従業員に対して資格取得や語学習得等に関する金銭的支援等を行っております。
・健康支援
従業員には、毎年1回、ストレスチェックの実施や会社負担の人間ドックの受診機会を提供しております。
また、ウェルネスセンターを設置し、毎週産業医と面談ができる体制を整えております。
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実施内容 |
指標 |
2024年度実績 |
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成長と健康の支援 |
教育研修ツールの事業年度末の利用者割合 (申込者数/非管理監督者人数) |
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ハ)経営人材の育成と輩出
プロフェッショナルとして活躍するためには、クライアント・ステークホルダー・社会の信頼を得られるよう行動し、クライアントに付加価値の高いサービスを提供できるように能力を磨き、クライアントや社会へ貢献したいという情熱を持ち続けることが重要です。
当社は、従業員の成長意欲や、自分の仕事を通して社会へ貢献したいという情熱に応えるために、部署毎にサービスの提供に必要なプロフェッショナルスキルの教育、従業員の能力に応じて難易度の高い課題を解決する機会等を提供しております。
また、海外・提携先企業への出向機会やクライアント企業へのCⅹO派遣を通じた経営経験の機会の提供等にも努めております。
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実施内容 |
指標 |
2024年度実績 |
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経営人材の育成 |
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ニ)人々が個性を活かし活躍する社会への貢献
クライアント企業においても持続的な成長と発展を実現するために、中長期的な企業価値向上へと繋げていく人的資本経営の重要性が高まり、当社の経営コンサルティングの需要が増加する可能性があります。
当社は、人々が個性を活かし活躍する社会の実現に向けて、クライアントへのDE&I推進、人的資本経営及び人権に関するサービス等をクライアント企業に提供してまいります。
なお、下表においては当社単体の案件数を記載しておりますが、当社グループにおいては人事戦略コンサルティング等を行う株式会社セレブレイン(当社連結子会社)において多数の人的資本経営等に関するコンサルティングを行っております。
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実施内容 |
指標 |
2024年度実績 |
2026年度目標 |
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人々が個性を活かし活躍する社会のためのサービスの提供 |
顧客企業へのDE&I推進・人的資本経営・人権に関するコンサルティング案件数 |
17件 |
15件 |
当社グループの事業展開上、リスク要因となる可能性がある事項について以下に記載しております。また、必ずしも事業上のリスクに該当しない事項につきましても、投資者の判断上重要と考えられる事項につきましては、投資者に対する積極的な情報開示の観点から記載しております。なお、本項においては将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は当連結会計年度末日現在において、当社グループが判断したものであります。
当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、その発生の回避及び発生した場合の対応に努める所存であります。
(1)外部環境に起因するもの
① 外部環境・市場の動向等について
当社グループは主に国内及び中国を含むアジア地域や欧米において、経営コンサルティング事業、M&Aアドバイザリー事業、再生支援事業及びその他事業を展開しておりますが、景気変動が顧客企業の経営状態に与える影響等により当社が受託する案件の質や数量に変動が見られた場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
② 競争激化について
当社グループの事業は、業務遂行のための必要な許認可等が存在せず、基本的に参入障壁は低く、競争の激しい分野であります。
今後も、多様な経営支援サービスをワンストップで提供し、また提供するサービス内容の高度化を行うこと等により、競合他社との差別化を図ってまいりたいと考えておりますが、激しい競争状況が続き、価格競争が激化する可能性があります。この場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
③ 大型案件の成功報酬による業績の変動について
当社グループの主要な事業の一つであるM&Aアドバイザリー事業の売上高は、主に着手金、作業時間に応じて請求する作業報酬、月額固定報酬などの基礎報酬及び案件が成約した等の一定の条件を満たした場合にのみ受け取ることができる成功報酬から構成されております。特に大型案件において、顧客企業及びその相手方の間等で成約に至らなかった場合、当社グループの収益は減少することになります。また、想定以上に報酬が増大した場合、当社グループの収益は大きく増加いたします。
さらに、四半期別の業績については、大型案件の成功報酬の計上がない四半期と、大型案件の成功報酬の計上が集中する四半期との間で、大きく業績が変動する可能性があります。
当社グループはM&Aアドバイザリー事業以外にも、経営コンサルティング事業、再生支援事業等を通じて収益の安定化を図っており、また、大型案件に依存せず非大型案件も数多く手掛けるなどしておりますが、M&Aアドバイザリー事業における大型案件の成功報酬の多寡によって業績が変動する可能性があります。
なお、第18期の四半期ごとの売上高とその内に含まれるM&Aアドバイザリー事業の成功報酬の金額及び営業損益の推移は下表のとおりであり、第18期はボラティリティの高いクロスボーダー案件獲得と遂行に傾注した結果、国内M&Aビジネスの不振により収益が大幅に低迷いたしました。これを踏まえ、当社グループが従来から強みを有している国内の中規模M&A市場を中心に安定的な案件獲得を目指すとともに、クロスボーダー案件については、収益性を吟味しながら、日本、アジア(中国を含む)、欧州の3拠点を中心とした案件獲得を目指す方針です。
(単位:千円)
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第18期 第1四半期 連結会計期間 |
第18期 第2四半期 連結会計期間 |
第18期 第3四半期 連結会計期間 |
第18期 第4四半期 連結会計期間 |
第18期 連結会計年度 |
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売上高 (うちM&Aアドバイザリー事業に係る成功報酬) |
2,161,011 (136,700) |
2,398,957 (227,110) |
2,188,918 (125,543) |
2,516,223 (183,954) |
9,265,110 (673,308) |
|
営業利益又は営業損失(△) |
63,008 |
45,916 |
△16,870 |
△724,190 |
△632,136 |
④ 法的規制について
当社グループの主要事業を制限する直接的な法的規制は存在しないと考えております。しかしながら、今後、当社グループの事業を直接的もしくは間接的に制限する法的規制がなされた場合、また、従来の法的規制の運用に変更がなされた場合には、当社グループの事業展開は制約を受け、当社グループの事業戦略及び経営成績等に影響を与える可能性があります。
なお、当社は主要事業を補足するサービスとして、金銭消費貸借の媒介業務について、貸金業法で必要とされる登録を行っております。また、当社は労働者派遣事業及び有料職業紹介事業の許可を得ております。
⑤ 訴訟の可能性について
当社グループは、有効なコンプライアンス体制の確立に努めておりますが、事業遂行にあたり、当社グループの法令違反の有無に拘わらず何らかの原因で当社グループに対して訴訟等の提起がなされる可能性があります。
これらの訴訟が提起されること、及びその結果如何によっては、当社グループの社会的な信頼性及び経営成績に影響を与える可能性があります。
⑥ 海外での事業活動及び為替レートの変動
当社グループの営む海外における事業活動には、次のようなリスクが存在します。
イ.通常、予期しない法律や規制の変更
ロ.人材の採用・確保の困難など、経済的に不利な要因の存在又は発生
ハ.テロ・戦争・その他の要因による社会的又は政治的混乱
こうしたリスクが顕在化することによって、当社グループの海外での事業活動に支障が生じ、当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。
また、当社グループの海外事業の現地通貨建ての項目は、換算時の為替レートにより円換算後の価値が影響を受け、当社グループの経営成績及び財務状況に影響を与える可能性があります。
(2)内部環境に起因するもの
① 人材の確保・育成について
当社グループは、各事業・各部署の中核的な人材として当該分野の経験者を配属し、多種多様な専門家が人的資本を構成しております。優秀な人材を確保・育成することは、今後、当社グループが事業を拡大する上で重要であり、特に経験豊富で専門性の高い人材の確保は当社グループの事業遂行上極めて大きな課題であります。
従いまして、必要とする人材を十分かつ適時に確保できなかった場合、もしくは当社グループにおいて重要な役割を担う専門性の高い人材の流出が発生した場合には、今後の事業遂行に影響を与える可能性があります。
また、人材の確保が順調に行われた場合でも、需給のひっ迫に伴う優秀な人材の獲得のための採用コストが増大することや、人件費、設備コスト等固定費が増加することが想定され、その場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
② 内部管理体制の整備について
当社グループは、2024年12月末現在、取締役(監査等委員である取締役、社外取締役を除く)2名、監査等委員である取締役4名(うち社外取締役3名)、従業員433名となっておりますが、内部管理体制や業務遂行体制は当該組織規模に応じたものとなっております。
当社グループは、今後とも従業員の人材育成及び外部からの新規従業員の採用により、従来以上に組織的な内部管理体制を整備・運用するように努めてまいりますが、その過程において急激な事業拡大が生じた場合等には十分な人的・組織的対応が取れない可能性があります。その場合、当社グループの事業展開及び拡大に影響を与える可能性があります。
③ 情報管理・インサイダー取引について
当社グループの事業は、顧客企業の機密情報を取得することが前提となりますので、当社グループは、秘密保持契約等によって顧客企業や将来的に顧客になり得ると考えられる企業に対して守秘義務を負っております。
当社グループでは、厳重な情報管理の徹底を図るとともに、従業員への守秘義務遵守のための指導・教育を行っておりますが、何らかの理由でこれらの機密情報が外部に漏洩した場合、信用失墜等によって、当社グループの事業戦略及び経営成績等に影響を与える可能性があります。
また、当社グループは、上記のとおり、情報管理の徹底を図るとともに、従業員への守秘義務遵守のための指導・教育を行った上、インサイダー取引防止の観点から、国内外の別や顧客企業であるかどうかの別を問わず、役職員による株式取引等を社内規程により原則として禁止しておりますが、万が一当社グループの役職員が顧客企業の機密情報を元にインサイダー取引を行った場合、当社グループの信用を著しく毀損し、当社グループの事業戦略及び経営成績等に影響を与える可能性があります。
④ 海外事業の収益化について
当社は、中国を含むアジア企業及び中国を含むアジア進出を目指す日本企業に対してサービスを提供することを目的として、2011年10月に中国に100%子会社である頂拓投資諮詢(上海)有限公司を設立し、2012年12月にシンガポール支店を開設しております。また、日本企業の北米への進出、当該地域における事業拡大に向けた支援体制を強化することを目的として、2017年6月にニューヨーク支店を開設いたしました。さらに、2023年7月に欧州・中東・アフリカ市場への進出を目的として、フランス(パリ)に本社を置くAthema社を持分法適用関連会社とするとともに、2024年2月には同市場における提携ファームとの連携強化及びクロスボーダービジネスの強化を目的として、パリ支店を開設しております。しかしながら、これらの組織の中には収益化の途上のものもあり、今後、事業計画の実現が順調に進捗しない場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
⑤ 投資事業の収益化について
当社グループは、2022年4月に経営人材の派遣を伴う投資事業を行うフロンティア・キャピタル株式会社を設立いたしました。同社は設立趣旨に賛同いただける金融機関等から資金を募るべく資金調達活動を重ね、金融機関8行並びに1社と総額13,500百万円の増資を段階的に行う引受契約を締結し、そのうち8,000百万円の資金調達を行いました。当連結会計年度末までに3件の投資を実行するとともに連結投資に係る株式等の譲渡契約を締結するなど投資活動を本格化させておりますが、今後、投資活動が事業計画との対比で順調に進捗しない場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
また、同社が投資した企業が外部環境の変化等によって著しく収益が棄損したことに伴って減損損失が発生した場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
⑥ 特定の人物への依存について
当社の創業者であり、かつ事業の推進者である代表取締役大西正一郎は、経営方針や経営戦略の決定をはじめとして当社グループの事業活動全般において重要な役割を果たしております。
現時点において、代表取締役大西正一郎が当社グループの事業から離脱することは想定されておりませんが、退任その他の理由により当社グループの経営から退くような事態が発生した場合、当社グループの事業戦略、組織運営及び経営成績等に影響が及ぶ可能性があります。
(3)その他
① 利益還元に関する方針について
当社グループは、将来の事業展開と経営体質の強化のために必要な内部留保を確保しつつ、安定した配当を継続して実施していくことを基本方針としております。
当社グループは、株主に対する適正な利益還元を経営の重要な課題として認識しており、今後、株主の期待に応えるべく積極的に利益還元を行っていきたいと考えておりますが、各連結会計年度における利益水準、次期以降の見通し、資金需要及び内部留保の状況等を総合的に勘案した上で、事業拡大による株主価値最大化を実現すること等を企図して、配当を実施しない可能性があります。
② ストック・オプションの行使及び譲渡制限付株式の発行による株式価値の希薄化について
当社グループは、役員及び従業員に対するインセンティブを目的として、ストック・オプション制度を採用しています。当連結会計年度末日現在付与しているストック・オプションに加え、今後付与されるストック・オプションについて行使が行われた場合には、既存株主が保有する株式の価値が希薄化する可能性があります。
当連結会計年度末日現在、これらのストック・オプションによる潜在株式は233,760株あり、発行済株式総数の1.99%に相当します。
また、当社グループは、社外取締役を除く当社取締役及び当社従業員向けに譲渡制限付株式報酬制度を採用しており、当該制度に基づく株式の発行又は処分が行われた場合には、ストック・オプション制度と同様に、既存株主が保有する株式の価値が希薄化する可能性があります。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 経営成績
当連結会計年度(自2024年1月1日 至2024年12月31日)におけるわが国経済は、堅調な企業業績や雇用・所得環境の改善などを背景に緩やかな回復基調で推移いたしましたが、ロシア・ウクライナ情勢、中東情勢などの地政学的なリスクや海外景気の下振れリスク、物価上昇による個人消費への影響等の懸念もあり、景気の先行きは依然として不透明な状況が続いております。
このような経営環境の下、当社グループは、2024年2月14日に公表した「2024-2026年度 中期経営計画」に基づき、経営コンサルティング、M&Aアドバイザリー、再生支援、その他の機能を活かした包括的なサービス提供により、ワンストップで企業の課題解決を図る提案と執行に注力するとともに、連結子会社フロンティア・キャピタル株式会社(以下、「FCI」という。)において、経営人材の派遣を伴う投資の実行を進めてまいりました。
経営コンサルティング事業、再生支援事業、及びその他事業(以下、「コンサルティング系事業」という。)は、全体として当連結会計年度においても増勢基調を維持しており、売上高は7,714,452千円(前連結会計年度比10.5%増)で過去最高の売上高を達成しております。
M&Aアドバイザリー事業は、国内のM&Aビジネスの不振等により、売上高は1,459,980千円(前連結会計年度比51.7%減)で前連結会計年度と比べて大幅減収となりました。
人員体制につきましては、当連結会計年度末の人員数は433名となり2023年度末比で64名の純増、2024年度増員計画70名に対して若干の未達となりました。この人員体制の強化は、中長期の当社の成長に寄与するものと考えておりますが、当連結会計年度においては人員増による人件費の増加をM&Aアドバイザリー事業の不振により低調であった売上高では吸収できず、コンサルティング・アドバイザリー事業セグメントで199,411千円の営業損失(前連結会計年度は営業利益1,645,950千円)を計上することとなりました。
FCIは2024年7月に増資により外部投資家から50億円の資金調達を行い、当連結会計年度末までに3社に出資を完了するとともに、2024年12月に連結投資に係る株式等の譲渡契約を締結するなど、パイプラインの充実とともに投資活動を精力的に推進しておりますが、投資実行時期の遅れ等により、結果として人件費等の固定費の計上が先行したため、投資事業セグメントで432,724千円の営業損失(前連結会計年度は394,320千円の営業損失)を計上することとなりました。
以上の結果、当社グループの当連結会計年度の業績は、売上高9,265,110千円(前連結会計年度比7.6%減)、営業損失632,136千円(前連結会計年度は営業利益1,251,629千円)、経常損失710,582千円(前連結会計年度は経常利益1,238,574千円)、親会社株主に帰属する当期純損失は694,858千円(前連結会計年度は親会社株主に帰属する当期純利益780,683千円)となりました。
セグメント別の経営成績は次のとおりであります。なお、売上高はセグメント間の売上高を含んでおります。
≪コンサルティング・アドバイザリー事業セグメント≫
コンサルティング・アドバイザリー事業セグメントの当連結会計年度の業績は、コンサルティング系事業が引き続き順調に推移(売上高は7,714,452千円(前連結会計年度比10.5%増))したものの、M&Aアドバイザリー事業は、国内のM&Aビジネスの不振等により、前連結会計年度比で大幅な減収となったため、本セグメントの売上高は9,174,433千円(同8.3%減)、営業損失199,411千円(前連結会計年度は営業利益1,645,950千円)となりました。
(コンサルティング系事業)
コンサルティング系事業の各事業別の経営成績は次のとおりであります。
<経営コンサルティング事業>
経営コンサルティング事業の当連結会計年度の業績は、売上高6,344,585千円(前連結会計年度比24.8%増)となりました。当連結会計年度においては、採用計画に沿った人員増加を背景として、DXコンサルティングが大きく伸長したことと大型案件の受注増による単価上昇等が寄与し、前連結会計年度比で増収となりました。
<再生支援事業>
再生支援事業の当連結会計年度の業績は、売上高1,245,618千円(前連結会計年度比24.4%減)となりました。当連結会計年度においては、再生案件の新規受注は堅調に推移したものの、前年度から継続していた大型案件が終了したこと等が影響し、前連結会計年度比では減収となりました。
<その他事業>
その他事業の当連結会計年度の業績は、売上高124,249千円(前連結会計年度比49.9%減)となりました。
(M&Aアドバイザリー事業)
M&Aアドバイザリー事業の当連結会計年度の業績は、売上高1,459,980千円(前連結会計年度比51.7%減)となりました。前連結会計年度においては複数の大型M&A案件が成約に至り順調な業績で推移しましたが、当連結会計年度においては、国内のM&Aビジネスの不振等により全体として成功報酬に至る案件数が減少したことにより、前連結会計年度比で大幅な減収となりました。
≪投資事業セグメント≫
投資事業セグメントの当連結会計年度の業績は、当連結会計年度において第2号案件、第3号案件の投資を実行し、2024年12月には連結投資に係る株式等の譲渡契約を締結するなど、投資案件の検討と投資実行を鋭意進めるとともに、今後の投資活動のための資金として、増資により50億円の資金調達を行ってまいりましたが、投資実行時期の遅れ等により、結果として人件費等の固定費の計上が先行したため、売上高99,967千円(前連結会計年度比134.4%増)、営業損失432,724千円(前連結会計年度は394,320千円の営業損失)となりました。
② 財政状態
当連結会計年度末の総資産は14,165,057千円(前連結会計年度末は10,874,682千円)となり、前連結会計年度末に比して3,290,374千円増加いたしました。負債合計は3,415,634千円(前連結会計年度末は4,052,318千円)となり、前連結会計年度末に比して636,684千円減少いたしました。純資産は10,749,422千円(前連結会計年度末は6,822,364千円)となり、前連結会計年度末に比して3,927,058千円増加いたしました。
③ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末に比べ1,722,434千円増加し、7,561,180千円となりました。
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果使用した資金は2,518,714千円(前連結会計年度は225,607千円の資金の獲得)となりました。これは主に、税金等調整前当期純損失710,582千円、営業投資有価証券の増加額1,672,952千円、法人税等の支払額375,856千円の減少要因と未払金の増加額146,443千円の増加要因によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は63,854千円(前連結会計年度は1,377,671千円の資金の使用)となりました。これは主に、投資その他の資産の取得による支出33,023千円、無形固定資産の取得による支出25,887千円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果獲得した資金は4,302,623千円(前連結会計年度は3,787,732千円の資金の獲得)となりました。これは主に、連結子会社の増資による収入4,980,750千円の増加要因と、配当の支払480,623千円、長期借入金の返済による支出242,518千円の減少要因によるものであります。
④ 生産、受注及び販売の実績
イ.生産実績
該当事項はありません。
ロ.受注実績
該当事項はありません。
ハ.販売実績
当連結会計年度の販売実績は、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
売上分類の名称 |
当連結会計年度 (自 2024年1月1日 至 2024年12月31日) |
|
|
販売高(千円) |
前年同期比(%) |
||
|
コンサルティング・ アドバイザリー事業セグメント |
経営コンサルティング事業 |
6,344,585 |
124.8 |
|
再生支援事業 |
1,245,618 |
75.6 |
|
|
その他事業 |
124,249 |
50.1 |
|
|
M&Aアドバイザリー事業 |
1,459,980 |
48.3 |
|
|
投資事業セグメント |
投資事業 |
99,967 |
234.4 |
|
セグメント間取引消去 |
△9,290 |
- |
|
|
合 計 |
9,265,110 |
92.4 |
|
(注)1.セグメント間の取引を含めております。
2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
|
相手先 |
前連結会計年度 (自 2023年1月1日 至 2023年12月31日) |
当連結会計年度 (自 2024年1月1日 至 2024年12月31日) |
||
|
金額(千円) |
割合(%) |
金額(千円) |
割合(%) |
|
|
株式会社辰巳商会 |
1,078,700 |
10.8 |
1,372,400 |
14.8 |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末日現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準等に基づいて作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、一定の会計基準の範囲内で見積りが行われている部分があり、資産・負債や収益・費用の数値に反映されております。これらの見積りについては、継続して評価し、必要に応じて見直しを行っておりますが、見積りには不確実性が伴うため、実際の結果は、これらとは異なることがあります。詳細につきましては、第5「経理の状況」1「連結財務諸表等」「注記事項」の(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)に記載しております。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
イ.経営成績の分析
a.売上高
当連結会計年度の売上高は9,265,110千円(前連結会計年度比7.6%減)となりました。セグメント別の内訳は、コンサルティング・アドバイザリー事業9,174,433千円(同8.3%減、セグメント間の売上高9,290千円を含む。)、投資事業99,967千円(同134.4%増)であります。また、コンサルティング・アドバイザリー事業における事業別の内訳は、経営コンサルティング事業が6,344,585千円(同24.8%増)、再生支援事業が1,245,618千円(同24.4%減)、その他事業が124,249千円(同49.9%減)、M&Aアドバイザリー事業が1,459,980千円(同51.7%減)であります。
コンサルティング・アドバイザリー事業セグメントにおいては、経営コンサルティング事業において採用計画に沿った人員増加を背景として、DXコンサルティングが大きく伸長したことと大型案件の受注増による単価上昇等が寄与し売上高が増加したものの、再生支援事業においては前年度から継続していた大型案件が終了したこと等が影響したほか、M&Aアドバイザリー事業においては国内のM&Aビジネスの不振等により全体として成功報酬に至る案件数が減少したことにより、売上高が減少いたしました。
b.営業利益
売上原価5,005,344千円(同11.3%増)、販売費及び一般管理費4,891,902千円(同14.4%増)を計上した結果、当連結会計年度の営業損失は632,136千円(前連結会計年度は1,251,629千円の営業利益)となりました。売上原価の主な内容は、給料及び手当2,229,876千円、賞与引当金繰入額537,918千円等の人件費と外注費899,769千円であり、主な増加要因は採用計画に沿った人員採用を行った結果、給料及び手当が342,736千円増加したことであります。販売費及び一般管理費の主な内容は、給料及び手当1,903,919千円、賞与引当金繰入額409,507千円等の人件費と採用費423,495千円であり、主な増加要因は採用計画に沿った人員採用を行った結果、給料及び手当が309,422千円増加したことであります。
c.経常利益
営業外収益8,692千円、営業外費用87,138千円を計上した結果、当連結会計年度の経常損失は710,582千円(前連結会計年度は1,238,574千円の経常利益)となりました。営業外収益の主なものは受取補償金3,855千円、受取保険配当金2,366千円であり、営業外費用の主なものは持分法による投資損失48,602千円、株式交付費19,250千円、支払利息18,906千円であります。
d.税金等調整前当期純利益
当連結会計年度の税金等調整前当期純損失は710,582千円(前連結会計年度は1,240,249千円の税金等調整前当期純利益)となりました。
e.親会社株主に帰属する当期純利益
法人税等△4,034千円、非支配株主に帰属する当期純損失11,689千円を計上した結果、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純損失は694,858千円(前連結会計年度は780,683千円の親会社株主に帰属する当期純利益)となりました。
ロ.財政状態の分析
a.資産の部
当連結会計年度末の総資産は14,165,057千円(前連結会計年度末は10,874,682千円)となり、前連結会計年度末に比して3,290,374千円増加いたしました。その内訳は流動資産が11,470,340千円(前連結会計年度末は8,159,931千円)、固定資産が2,690,809千円(前連結会計年度末は2,709,108千円)、繰延資産が3,906千円(前連結会計年度末は5,642千円)であり、前連結会計年度末に比して、流動資産は3,310,409千円増加、固定資産は18,298千円減少、繰延資産は1,736千円減少いたしました。流動資産の増減の主なものは、現金及び預金の増加1,722,434千円、営業投資有価証券の増加1,715,550千円、受取手形、売掛金及び契約資産の減少103,494千円であります。固定資産の増減の主なものは、投資その他の資産のその他の増加33,023千円、建物(純額)の減少49,396千円であります。繰延資産の増減は、創立費の減少1,736千円であります。
b.負債の部
当連結会計年度末の負債合計は3,415,634千円(前連結会計年度末は4,052,318千円)となり、前連結会計年度末に比して636,684千円減少いたしました。その内訳は、流動負債が2,122,901千円(前連結会計年度末は2,569,015千円)、固定負債が1,292,733千円(前連結会計年度末1,483,303千円)であり、前連結会計年度末に比して、流動負債は446,114千円、固定負債は190,570千円減少いたしました。流動負債の増減の主なものは、未払金の増加148,288千円、未払法人税等の減少345,261千円、流動負債のその他の減少216,336千円であります。固定負債の増減の主なものは、長期借入金の減少203,697千円であります。
c.純資産の部
当連結会計年度末の純資産は10,749,422千円(前連結会計年度末は6,822,364千円)となり、前連結会計年度末に比して3,927,058千円増加いたしました。これは主に、連結子会社であるFCIの増資等により非支配株主持分が4,982,929千円増加した一方で、親会社株主に帰属する当期純損失694,858千円の計上と利益剰余金の配当480,460千円の実施により減少したことによるものであります。
③資本の財源及び資金の流動性について
キャッシュ・フローの状況につきましては、「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1)経営成績等の状況の概要③キャッシュ・フローの状況」に記載しております。当社グループの運転資金及び設備投資資金等は手元資金で賄うことを基本とし、必要に応じて銀行からの借入により調達しております。なお、経営人材の派遣を伴う投資事業を行う連結子会社フロンティア・キャピタル株式会社では、その投資資金を手元資金と金融機関等からの出資金により賄う方針です。同社は、投資資金に充てるため、2023年1月18日、2023年2月28日及び2024年7月26日付で、金融機関8行並びに1社から第三者割当増資により総額8,000,600千円の資金調達を行い、A種種類株式79,997株及びB種種類株式9株の合計80,006株を発行しております。当連結会計年度末における同社の発行済株式数及びその保有状況は以下のとおりです。
|
|
A種種類株式 |
B種種類株式 |
C種種類株式 |
計 |
|
当社保有 |
- |
91株 |
14,909株 |
15,000株 |
|
非支配株主保有 |
79,997株 |
9株 |
- |
80,006株 |
|
計 |
79,997株 |
100株 |
14,909株 |
95,006株 |
(注)A種種類株式及びC種種類株式は、フロンティア・キャピタル株式会社の株主総会において議決権を行使できない配当優先株式であり、B種種類株式は、同社の株主総会において、1株につき1個の議決権を有する普通株式と同等の株式でありますが、剰余金の配当は行われません。
フロンティア・キャピタル株式会社では、今後、以下のように配当を実施していく方針です。
同社の会社法上の分配可能額及び運営上必要となる手元現金預金水準を下回らない範囲で、同社グループの連結当期純利益(ただし、同社単体の投資有価証券の売却益については、その50%を控除する。)の50%を配当総額とする見込みです。
配当総額は、定款の定めに従い、以下の順番で分配されます。
(a)A種種類株式への配当
A種種類株式の払込金額に満つるまで、A種種類株主に配当を行います。
(b)C種種類株式への配当
上記(a)の配当実施後は、C種種類株式の払込金額に満つるまで、C種種類株主に配当を行います。
(c)上記以降
上記(b)の配当実施後は、連結会計年度ごとに、A種種類株主に対して追加配当額があれば、これを支払った後、なお配当ができる場合には、A種種類株主及びC種種類株主に対して規定に従い配当を行います。
④経営成績に重要な影響を与える要因
当社グループの主要な事業の一つであるM&Aアドバイザリー事業は、当連結会計年度における売上高の15.7%を占めております。同事業は、顧客に対してM&Aのアドバイザリー・サービスを提供しておりますが、業務の性質上、成功報酬の割合が高くなる傾向があります。M&Aアドバイザリー・サービスにおいて、成功報酬を獲得できるか否かは、対象会社の業界や業績、売り手と買い手の価格目線の乖離の有無、対象会社における大きな課題やリスクの有無、売り手と買い手のシナジーの濃淡等様々な要素に左右されるため、必ずしも当社の努力次第で成功報酬が収受できるわけではない要素があり、顧客のM&Aの成否は、当社グループの経営成績に重要な影響を与える可能性があります。
なお、経営成績に重要な影響を与える要因の詳細については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」をご参照ください。
⑤経営方針・経営戦略等又は経営上の目標達成状況を判断するための客観的指標等
当社グループは、2024年から2026年までの「中期経営計画」において、2026年12月期の売上高23,000,000千円、経常利益3,500,000千円、親会社株主に帰属する当期純利益2,400,000千円を目標として掲げ、「中期経営計画」達成のために以下の項目を重視すべき指標としてきましたが、当連結会計年度の赤字決算を受け、2025年12月期の黒字化を実現するため、2025年2月13日付で「構造改革プラン」を策定、今後、中期経営計画の見直しを行うことを予定しております。
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目標値 |
実績値 |
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経常利益又は経常損失(△) |
3,500,000千円 |
△710,582千円 |
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経常利益率(除FCI連結) |
20% |
△2.1% |
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連結ROE |
30% |
- |
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連結人員数(除くFCI連結投資) |
620名 |
433名 |
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投資事業出資件数(累計) |
8件(FCI連結2件) |
2件 |
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投資事業出資金額(累計) |
15,000,000千円 |
1,737,936千円 |
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CxO派遣人数 |
50名 |
48名 |
(注)連結ROEの実績値は、親会社株主に帰属する当期純損失であるため記載しておりません。
当社の連結子会社であるフロンティア・キャピタル株式会社は、2024年12月30日開催の取締役会において、株式会社ホビーリンク・ジャパンの全株式を所有する株式会社イーグルインベスコを子会社化することについて決議し、同日付でこれに係る株式及び新株予約権譲渡契約書を締結し、2025年2月28日付で同社の連結子会社であるFCI1株式会社を通じて、当該株式及び新株予約権を取得いたしました。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(重要な後発事象)」に記載のとおりであります。
該当事項はありません。