第一部【企業情報】

第1【企業の概況】

1【主要な経営指標等の推移】

(1)連結経営指標等

回次

第14期

第15期

第16期

第17期

第18期

決算年月

2020年12月

2021年12月

2022年12月

2023年12月

2024年12月

売上高

(千円)

5,192,527

5,741,654

7,915,655

10,025,083

9,265,110

経常利益又は経常損失(△)

(千円)

575,633

514,576

921,511

1,238,574

710,582

親会社株主に帰属する当期純利益又は親会社株主に帰属する当期純損失(△)

(千円)

420,515

338,707

556,722

780,683

694,858

包括利益

(千円)

420,304

336,103

565,308

785,126

614,622

純資産額

(千円)

2,448,598

2,454,066

3,015,956

6,822,364

10,749,422

総資産額

(千円)

3,792,731

3,819,274

5,658,644

10,874,682

14,165,057

1株当たり純資産額

(円)

213.05

215.40

255.37

315.81

225.09

1株当たり当期純利益又は1株当たり当期純損失(△)

(円)

36.89

29.70

48.67

67.51

59.20

潜在株式調整後1株当たり

当期純利益

(円)

36.05

29.24

47.93

66.47

自己資本比率

(%)

64.6

63.0

51.7

34.0

18.6

自己資本利益率

(%)

18.1

14.0

20.9

23.6

株価収益率

(倍)

64.59

25.28

25.91

22.38

営業活動によるキャッシュ・フロー

(千円)

456,102

316,813

1,250,257

225,607

2,518,714

投資活動によるキャッシュ・フロー

(千円)

59,305

31,524

486,911

1,377,671

63,854

財務活動によるキャッシュ・フロー

(千円)

230,684

404,765

646,534

3,787,732

4,302,623

現金及び現金同等物の期末残高

(千円)

1,899,100

1,784,218

3,199,089

5,838,745

7,561,180

従業員数

(人)

227

257

335

369

433

 (注)1.当社は、2021年1月1日付で普通株式1株につき2株の割合で株式分割を行っております。第14期の期首に当該株式分割が行われたと仮定し、1株当たり純資産額、1株当たり当期純利益及び潜在株式調整後1株当たり当期純利益を算定しております。

2.「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を第16期の期首から適用しており、第16期以降に係る主要な経営指標等については、当該会計基準等を適用した後の指標等となっております。

 

3.第18期の潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、潜在株式は存在するものの1株当たり当期純損失であるため記載しておりません。

4.第18期の自己資本利益率については、親会社株主に帰属する当期純損失であるため記載しておりません。

5.第18期の株価収益率については、1株当たり当期純損失であるため記載しておりません。

 

(2)提出会社の経営指標等

回次

第14期

第15期

第16期

第17期

第18期

決算年月

2020年12月

2021年12月

2022年12月

2023年12月

2024年12月

売上高

(千円)

5,188,593

5,732,196

7,546,117

9,557,654

8,816,772

経常利益又は経常損失(△)

(千円)

556,817

513,057

1,081,609

1,625,830

115,166

当期純利益又は当期純損失(△)

(千円)

413,157

345,454

754,497

1,191,958

114,628

資本金

(千円)

163,530

178,723

210,062

374,743

386,224

発行済株式総数

(株)

5,777,900

11,418,398

11,468,478

11,726,457

11,757,603

純資産額

(千円)

2,414,569

2,429,387

3,136,089

4,348,730

3,781,164

総資産額

(千円)

3,759,798

3,800,171

5,646,614

8,166,955

6,876,108

1株当たり純資産額

(円)

210.09

213.24

270.56

366.30

317.15

1株当たり配当額

(円)

24

10

28

41

(うち1株当たり中間配当額)

-)

-)

-)

-)

-)

1株当たり当期純利益又は1株当たり当期純損失(△)

(円)

36.24

30.29

65.96

103.08

9.76

潜在株式調整後1株当たり

当期純利益

(円)

35.42

29.82

64.96

101.49

自己資本比率

(%)

64.2

62.7

54.9

52.6

54.1

自己資本利益率

(%)

18.1

14.5

27.5

32.2

株価収益率

(倍)

65.75

24.79

19.12

14.66

配当性向

(%)

33.1

33.0

42.4

39.8

従業員数

(人)

226

256

304

328

388

株主総利回り

(%)

330.0

106.8

178.4

216.8

112.8

(比較指標:配当込みTOPIX)

(%)

(107.4)

(121.1)

(118.1)

(151.5)

(182.5)

最高株価

(円)

2,453

(6,540)

2,635

1,570

1,714

1,985

最低株価

(円)

2,283

(1,281)

681

608

904

712

 (注)1.当社は、2021年1月1日付で普通株式1株につき2株の割合で株式分割を行っております。第14期の期首に当該株式分割が行われたと仮定し、1株当たり純資産額、1株当たり当期純利益及び潜在株式調整後1株当たり当期純利益を算定しております。

2.当社は、2020年9月7日付で東京証券取引所マザーズ市場から同取引所市場第一部へ市場変更いたしました。また、東京証券取引所の市場区分の見直しにより、2022年4月4日から同取引所プライム市場に移行しております。最高株価及び最低株価は、2020年9月6日以前は東京証券取引所マザーズ市場、2020年9月7日から2022年4月3日までは同取引所市場第一部、2022年4月4日以降は同取引所プライム市場におけるものであります。

3.当社は、2021年1月1日付で普通株式1株につき2株の割合で株式分割を行っております。第14期の株価については当該株式分割権利落ち後の最高株価及び最低株価を記載しており、( )内に当該株式分割権利落ち前の最高株価及び最低株価を記載しております。

4.「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を第16期の期首から適用しており、第16期以降に係る主要な経営指標等については、当該会計基準等を適用した後の指標等となっております。

 

5.第18期の潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、潜在株式は存在するものの1株当たり当期純損失であるため記載しておりません。

6.第18期の自己資本利益率については、当期純損失であるため記載しておりません。

7.第18期の株価収益率については、1株当たり当期純損失であるため記載しておりません。

 

 

2【沿革】

当社の創業時のメンバーは、当社創業者で現在の代表取締役会長の大西正一郎をはじめとして株式会社産業再生機構(※)の出身者が中心であり、同社での数多くの案件を通じて経営コンサルティング、事業再生及びM&Aの各業務について多くのノウハウを獲得しました。

経営コンサルティング、事業再生及びM&Aの案件において、様々な課題を解決しながら円滑に業務を遂行するためには、ビジネス、金融、会計、法律等、多分野にわたる複雑で高度な専門知識やノウハウを組み合わせて「全体最適」な解を導き出す必要があります。一般的に、経営コンサルティング、事業再生又はM&Aのサービスニーズを有する企業は、当該業務を遂行するため自社内に特命チームを組成するとともに、案件毎に経営コンサルティング会社、投資銀行、会計事務所、法律事務所等の異なる企業・団体を個別に起用し、必要な専門性を補完していきます。

しかしながら、異なる組織に所属する複数の専門家が、緊密なコミュニケーションを図りつつ連携し、一体的かつ円滑に経営コンサルティング、事業再生又はM&Aの業務を遂行していくことは必ずしも容易ではなく、各企業の特命チームは、各分野の専門家と個別にコミュニケーションを行い、個別に提示された「部分最適」な解を、企業自身が組み合わせて総合的に検討し、当該企業にとっての「全体最適」な解を導き出していくという難解な作業を行うことが必要となります。

このような問題を解決するため、当社創業者は、経営コンサルタント、産業アナリスト、事業会社出身者等のビジネスの専門家、投資銀行出身者等のM&Aの専門家、弁護士、公認会計士、税理士等の制度関連の専門家等、多様なバックグラウンドを持った専門家を一つのコンサルティングファームに集めて、当該専門家等の中から、各顧客のニーズに合致した最適な経営支援サービスを行うため、適切な専門家等を一つのチームとして組成したワンストップサービスを行うことが、ビジネスとしてニーズが高いと考えました。

以上の経緯により、当社は、株式会社リサ・パートナーズの出資(現在資本関係は解消されております。)を受け、当該コンセプトに賛同した他の創業時のメンバーとともに、「複雑化・高度化する経営課題につき、多様な専門的手法を駆使して、総合的に解決すること」を目的として、2007年1月に当社を設立いたしました。

 

※株式会社産業再生機構は、2003年に株式会社産業再生機構法に基づいて設立された時限組織であり、業務終了に伴い、2007年3月に解散しております。

 

 

年月

沿革

2007年1月

「複雑化・高度化する経営課題につき、多様な専門的手法を駆使して、総合的に解決すること」を目的として、フロンティア・マネジメント株式会社(資本金85,000千円)を東京都港区に設立

2008年11月

本店の所在地を東京都千代田区九段北三丁目2番11号に移転

2011年10月

中国企業及び中国進出を目指す日本企業に対して、経営コンサルティング、M&A等の各種経営支援サービスを提供することを目的として、中華人民共和国上海市に「頂拓投資諮詢(上海)有限公司」(連結子会社)を設立

2012年9月

当社から、ハンズオン型経営改革支援(常駐型による経営改革の実行支援)業務及びこれに関連する業務を行っていたコンサルティング部門を切り出し、より同業務を強化していくことを目的として、東京都千代田区に「フロンティア・ターンアラウンド株式会社」(連結子会社)を設立(2017年4月フロンティア・マネジメントに吸収合併)

2012年12月

経営コンサルティング及びクロスボーダーM&Aに関して、中国以外のアジア市場開拓のための情報拠点として、シンガポール支店を開設

2014年7月

地域密着の経営支援サービスを実現することを目的として、長野県長野市に長野支店を開設(2022年4月廃止)

2014年8月

地域密着の経営支援サービスを実現することを目的として、大阪府大阪市北区に大阪支店を開設

2016年5月

事業会社及び金融機関の役職員を対象とした教育研修事業として「フロンティア・ビジネススクール」を開講

2017年6月

日本企業の北米地域への進出、当該地域における事業拡大に向けた支援体制を強化することを目的として、米国ニューヨーク州にニューヨーク支店を開設

2017年11月

顧客へ資金支援サービスを提供することを目的として、株式会社日本政策投資銀行と合弁で「FCDパートナーズ株式会社」(持分法適用会社)を設立

2017年12月

FCD第1号投資事業有限責任組合に出資

2018年9月

東京証券取引所マザーズに株式を上場

2019年7月

地域密着の経営支援サービスを実現することを目的として、愛知県名古屋市に名古屋支店を開設

2019年7月

本店の所在地を東京都港区六本木三丁目2番1号に移転

2020年9月

東京証券取引所市場第一部へ市場変更

2022年1月

「株式会社セレブレイン」(連結子会社)の株式を取得し、連結子会社化

2022年4月

新たな投資事業の開始にあたり、「フロンティア・キャピタル株式会社」(連結子会社)を設立

2022年4月

東京証券取引所の市場区分の見直しにより、東京証券取引所の市場第一部からプライム市場に移行

2022年6月

投資先企業の経営改革・成長・再生等の支援を行うことを目的として、南都キャピタルパートナーズ株式会社と合弁で「フロンティア南都インベストメント合同会社」(持分法適用会社)を設立

2023年1月

地域密着の経営支援サービスを実現することを目的として、福岡県福岡市に福岡支店を開設

2023年7月

欧州・中東・アフリカなどの成長市場へ進出する橋頭堡として、「Athema(登記上の商号:AT Conseil)」(持分法適用会社)の株式を取得

2024年2月

欧州・中東・アフリカ市場における提携ファームとの連携強化及びクロスボーダービジネスの強化を目的として、パリ支店を開設

 

3【事業の内容】

当社グループは、当社(フロンティア・マネジメント株式会社)と連結子会社3社(頂拓投資諮詢(上海)有限公司、株式会社セレブレイン、フロンティア・キャピタル株式会社)及び持分法適用関連会社3社(FCDパートナーズ株式会社、フロンティア南都インベストメント合同会社、Athema)の計7社で構成されておりましたが、FCDパートナーズ株式会社は2025年2月21日付で解散いたしました。

当社グループは、「クライアントの利益への貢献」、「ステークホルダーの利益への貢献」、「社会への貢献」を企業理念として掲げ、経営コンサルティング、M&Aアドバイザリー及び再生支援といった各種経営支援サービスと、経営人材派遣を伴う資金支援サービスの提供を主たる業務としております。

当社グループは、これらのサービスを、顧客企業のニーズに応じて、単独又は組み合わせることにより提供しております。また、当社グループは、特定の金融機関、監査法人又は事業法人等の資本系列に属さない独立系のコンサルティングファームであり、利益相反のない中立的な立場でサービスを提供しております。

 

[事業系統図]

0101010_001.png

 

 

 

当社グループの事業は、「コンサルティング・アドバイザリー事業」と「投資事業」の2つのセグメントで構成されております。

各セグメントの概要は以下のとおりです。

(1)コンサルティング・アドバイザリー事業セグメント

コンサルティング・アドバイザリー事業セグメントの売上は、① 経営コンサルティング事業、② M&Aアドバイザリー事業、③ 再生支援事業及び④ その他事業に区分されております。

各事業の概要は、以下のとおりです。

① 経営コンサルティング事業

顧客企業の経営戦略(全社戦略・事業戦略・機能別戦略(マーケティング、オペレーション等の企業の個別機能に関する戦略))の立案、中期経営計画の策定から実行支援、常駐型で実行支援を行う経営執行支援、M&Aに関連して実施される事業デュー・ディリジェンス(事業等に関する調査・分析)及びPMI(M&A後の経営統合支援)等のサービスを提供しております。

当社グループのコンサルティング事業における特長の一つとして、様々な業界についての知見と豊富な経験を有するプロフェッショナルを擁していることにより、幅広い業界(小売・流通、運輸、飲食、サービス、情報通信、テクノロジー、製造、商社及び医薬・ヘルスケア等)に対して、各産業の特性に応じた各種ソリューションを顧客企業に提供している点が挙げられます。

また、経営の高度化や事業承継の増加などを背景に、経営執行支援の機会が多様化しており、マネジメントチームを派遣し、常駐型で経営執行を支援する業務が拡大しております。

さらに、顧客企業のESGやサステナビリティへの対応、DX(デジタルトランスフォーメーション)への対応、人的資本経営への対応等の高度化する企業課題に対するソリューション提供についても取り組んでおります。

当社グループは、創業以来、様々な業界に知見を有するコンサルタント、特定の業務分野に精通した専門家人材を順次採用し、各専門家人材のナレッジ・ノウハウの共有化を進めることで、組織全体として顧客企業が属する業界に対する知見の深化を図るとともに、提供可能なソリューション幅の拡大を行いサービスの質の向上に努めております。

 

② M&Aアドバイザリー事業

顧客企業が行うM&Aや組織再編に関して、M&A戦略の立案、対象企業の選定・アプローチ、各種デュー・ディリジェンス(調査・分析)、企業価値算定、取引条件・契約交渉、クロージング(資金決済等)手続きといった業務全般に関する助言・補佐業務を行っております。

当社グループには、外資系投資銀行、証券会社、監査法人やコンサルティング会社等で、様々なM&A案件に従事してきたメンバーが在籍しており、M&A戦略の策定から実行支援、そしてPMIの専門チームによるM&A後の統合支援まで一貫したサポートを行っております。また、日本企業のグローバル化の進展に伴い増加するクロスボーダーM&Aの顧客ニーズに対応するため、上海子会社、シンガポール支店、ニューヨーク支店、パリ支店の海外拠点を有するほか、CFI(Corporate Finance International:欧州を中心として20か国以上にまたがり世界展開するM&Aファーム団体)への正会員としての加盟、フランスM&Aアドバイザリー企業Athemaとの資本業務提携など、海外ネットワークを有しております。

 

③ 再生支援事業

再生支援を必要とする企業に対し、事業再生計画策定から実行支援、金融機関との利害調整、経営改革(ターンアラウンド)のための経営参画、各種再生手続き上の支援までトータルサポートを行っております。

当社グループの再生支援事業における特徴として、ハンズオン型経営改革支援(常駐型による経営改革の実行支援)を行っている点が挙げられます。ハンズオン型経営改革支援とは、経営改革(ターンアラウンド)業務に精通したコンサルタントを、顧客企業の経営陣等として派遣し、顧客企業に対して直接的に再生計画・経営改革の実行を支援するというものです。そのため、当社グループは、顧客企業とともに、再生計画の策定とその後の経営改革に直接コミットして、その実現をサポートしております。

 

④ その他事業

再生支援事業やM&Aアドバイザリー事業に関連し、弁護士、公認会計士及び税理士等の各種制度関連の専門家による調査業務(法務、財務及び税務面のデュー・ディリジェンス)を行う他、事業再生計画、M&A及び組織再編の実行局面において、当該制度関連の助言業務を行っております。

 

(2)投資事業セグメント

ビジネスモデルの変革や業界再編による成長を図るために資金を必要とする顧客に対し、中長期的な企業価値向上を目的とした直接投資を行うとともに、経営人材の派遣を行っております。当社グループが行う投資事業は、特定の産業・エリア・業種に限らず、経営課題を抱える様々な顧客に対して必要な経営資源を投入することで、長期的視点から経営課題の解決を支援し、地域経済の活性化に貢献することをコンセプトとしております。顧客が抱える経営課題に対して、当社グループが一体となって、経営改善ノウハウ、豊富な人材、各種ネットワーク等を提供することで、長期的・継続的な価値向上を支援しております。

 

 当社グループは、顧客の企業価値向上を実現することを、創業時より強く意識してまいりました。顧客の持つ多様なニーズに対応するために多様なソリューションを展開し、当該ソリューションを支える多様な専門家の確保に注力してまいりました。

 これらへの注力の結果、当社グループは下記に挙げるような特長を有しております。

(当社グループの特長)

(1)多様な専門家

 当社グループのプロフェッショナル(顧客企業に様々な経営支援サービス提供を行う専門家)は、弁護士・会計士・税理士などの士業の専門家や、投資銀行出身者、事業会社出身者、金融機関出身者、経営コンサルタント・産業アナリストなどで構成されており、こうした人材ポートフォリオの構築により、下記に掲げる多様なソリューションを実現することが可能となっております。

 

(2)多様なソリューション

 当社グループでは、経営コンサルティング事業、M&Aアドバイザリー事業、再生支援事業、投資事業及びその他事業を営んでおり、これらを単独で又は組み合わせて顧客にサービスを提供しております。このように多様なソリューションを持つことにより、顧客に対し、全体最適解の導出や、ワンストップで様々な課題解決を実現することが可能となっております。

 例えば、M&A専業会社であれば、顧客の企業価値を高めるための提案は、基本的にはM&Aに限られ、また、経営コンサルティング専業会社であれば、顧客の企業価値を高めるための提案は、基本的には自主独立による成長に限られますが、当社グループでは包括的にサービス提供を行っているため、広範な顧客のニーズに合った提案を行うことが可能です。

 また、企業を取り巻く経営環境は、資本市場・製品市場のグローバル化、労働力の低下、法律・会計制度の変更や規制緩和・強化等により、劇的に変化しています。各企業においては、これら複雑化・高度化した多分野にわたる知識・情報を総合的に使いこなす能力が求められています。

 しかしながら、複数の専門分野にまたがる複雑化・高度化した経営課題を解決するために各専門分野の専門家に個別に相談しても、各分野における個別最適解は得られるものの、それらを統合して全体最適解を導くことは容易ではありません。

 当社グループは、各専門分野に精通した専門家を社内に擁しており、案件ごとに適切なメンバーでチームを組成し、専門家が互いに緊密に連携することで、各分野にまたがる専門的知見を総合的に動員して全体最適解を導出し、高品質かつスピーディな経営課題の解決をワンストップで強力にサポートしております。

 また、豊富な経験に基づく利害調整力やハンズオンでの実行支援により、導出した全体最適解の実現のために必要な施策の立案から実行まで、サポートすることができます。

 

(3)コミットメントの強さ

 当社グループは案件を執行する際に、顧客の企業価値の向上に強いコミットを行う意識を持ちながら業務を遂行しています。このことは、当社グループの祖業である事業再生業務において、業務に失敗をすることが直ちに顧客企業の破綻に直結することになるため、コミットメントの強さを特に意識して仕事をしてきたことが原点となっています。今では、この意識が、再生支援サービスのみならず、当社グループの提供するサービス全てに通底しております。

 

 

(4)全国をカバーする金融法人ネットワークを基幹とした営業力

 当社グループでは、メガバンク、地方銀行などの金融法人との関係構築や維持を専任する事業開発部を擁しており、長年かけてその関係を構築・深化させていった結果、日本全国に亘る緊密な金融法人ネットワークを有しております。これにより、全国の金融法人のみならず、その金融法人と取引のある取引先までのアクセスを可能としております。今後は、この金融法人ネットワークに加え、事業法人営業に注力し、当社グループの営業力の一層の強化を図ってまいります。

 

(5)独立系ファームであることによる中立性

 当社グループは、特定の金融機関、監査法人又は事業法人等の資本系列に属さない独立系のコンサルティングファームであります。

 例えば、特定の事業法人の資本に属している場合、その事業法人のライバル企業に利するようなM&Aの実施は難しく、必ずしも顧客にとって最適と思われる提案が出来るとは限りません。当社グループは他の資本系列から独立しているため、利益相反のない中立的な立場で、顧客の企業価値を向上させることを第一の目的として、サービスを提供することが可能です。

 

(6)投資機能を兼ね備えたコンサルティングファーム

 当社グループは連結子会社に投資会社であるフロンティア・キャピタル株式会社を有しております。経営課題を抱える様々な顧客に対して、人材とノウハウを提供するとともに、経営課題の解決や企業の成長のために資金を必要とする顧客に対しては、同社が直接投資を行うことにより、中長期的な視点での経営課題の解決や企業の成長を支援し、長期的・継続的な企業価値の向上を可能とします。

 

(7)経営経験を有するプロフェッショナル人材による経営者(CxO)派遣

 当社グループには幅広い業種の事業会社での経営経験を有するプロフェッショナルが多数在籍しております。これらの経営人材を顧客企業に取締役やCxOとして派遣し、結果(業績)にコミットし、ハンズオンで経営推進をサポートすることで、多くの顧客の企業価値向上に貢献しております。

 

 

 

4【関係会社の状況】

名称

住所

資本金又は出資金

(百万円)

主要な事業の内容

議決権の所有割合又は被所有割合

(%)

関係内容

(連結子会社)

 

 

 

 

 

頂拓投資諮詢(上海)

有限公司

(Frontier Management

(Shanghai) Inc.)(注)1

中華人民共和国

上海市

120

コンサルティング・アドバイザリー事業

100.0

役員の兼任

当社受託業務の一部を業務受託

受託業務の一部を当社へ業務委託

当社より資金を借入

株式会社セレブレイン(注)1

東京都港区

64

コンサルティング・アドバイザリー事業

60.4

役員の兼任

当社受託業務の一部を業務受託

フロンティア・キャピタル株式会社(注)1

東京都港区

4,750

投資事業

91.0

役員の兼任

当社受託業務の一部を業務受託

当社従業員の出向受入

(持分法適用関連会社)

 

 

 

 

 

FCDパートナーズ株式会社(注)2

東京都港区

6

投資事業

50.0

役員の兼任

フロンティア南都インベストメント合同会社

奈良県奈良市

5

投資事業

50.0

ファンド運営の支援業務を当社へ業務委託

Athema

(登記上の商号:AT Conseil)

フランス共和国

パリ市

158

コンサルティング・アドバイザリー事業

40.0

役員の兼任

(注)1.特定子会社に該当しております。

2.FCDパートナーズ株式会社は、2025年2月21日付で解散いたしました。

 

5【従業員の状況】

(1)連結会社の状況

 

2024年12月31日現在

セグメントの名称

従業員数(人)

コンサルティング・アドバイザリー事業

416

投資事業

17

合計

433

 (注)1.従業員数は就業人員(当社グループからグループ外への出向者を除く。)であります。

2.コンサルティング・アドバイザリー事業の従業員数が前連結会計年度末と比べ60名増加したのは、採用計画に沿った積極的な人材採用によるものであります。

 

(2)提出会社の状況

 

 

 

2024年12月31日現在

従業員数(人)

平均年齢(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(千円)

388

37.4

3.0

12,098

 

セグメントの名称

従業員数(人)

コンサルティング・アドバイザリー事業

388

合計

388

 (注)1.従業員数は就業人員(当社から社外への出向者を除く。)であります。

2.平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。

 

(3)労働組合の状況

労働組合は結成されておりませんが、労使関係は円満に推移しております。

 

(4)管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異

提出会社

当事業年度

補足説明

管理職に占める女性労働者の割合(%)

 (注)1.

男性労働者の育児休業取得率(%)

 (注)2.

労働者の男女の賃金の差異(%)

(注)1.

全労働者

正規雇用労働者

パート・有期労働者

8.8

36.4

58.7

61.4

28.2

(注)3

(注)1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。

2.「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の4第1号における育児休業等の取得割合を算出したものであります。

3.労働者の男女の賃金の差異に関する補足説明

 当社では、性別や年齢等の属性によらない、個人の能力に基づく評価・登用を実施しております。また、業務内容や職位と賃金水準がリンクしており、同一の業務内容と同一の職位においては男女間での賃金水準に差異はございません。