第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 当社は、今後も成長が見込まれるインターネット広告市場において、更なる利益成長と企業価値の向上を目指すべく、以下の施策に取り組んで参ります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において、当社が判断したものであります。

 

(1)経営方針

 当社は、設立以来「クライアントと共に歩む企業」という企業理念を掲げており、また「クライアント企業へのインターネット広告に関する最新の情報と広告運用の提供」と「日本のデジタルマーケティング業界における専門家の育成」という2つのビジョンを掲げております。

 当社では、常にテクノロジーとナレッジを用いながら、クライアント企業のニーズに応えるべく、デジタルマーケティングにおける課題を解決し、クライアント企業の更なる利益向上を図るための戦略・運用・分析・改善サービスまで提供するインターネット広告事業を行っております。

 また、当社のコーポレートスローガンであります「Beyond the Internet Advertising」のもと、インターネット広告事業以外の新たなビジネスも展開していくことで、顧客満足度の高いサービス展開を続けていきたいと考えております。

 

(2)経営戦略等

 当社の経営戦略として、サービスについては、現在の主力サービスであります検索連動型広告(リスティング広告)や運用型ディスプレイ広告だけでなく、現在、市場自体が活況であるソーシャルメディア広告や動画広告に、より注力していく必要があります。ソーシャルメディア広告においては広告の管理運用の統合ツールの利用などを検討し、全体の運用効率化を行うことでソーシャルメディア広告への運用実績を蓄積し、またソーシャルメディア広告を十分に活用できていないクライアント企業への提案機会を増やすことや、運用におけるクリエイティブ部分の強化による成果改善の環境向上などを今後の施策としております。動画広告においては、今後も動画制作会社と協業し、クライアント企業への提案メニューの拡充を行うことで提案機会と案件数の増加に取り組んで参ります。

 また具体的な戦略として、営業先については、他媒体の広告からインターネット広告へ広告出稿のシフトを促す広告のデジタルシフト戦略により、特に東京都以外の地域に本店所在地のある企業に対して広告提案を行い案件数の増加に取り組んで参ります。

 

(3)経営環境

 当社の事業領域であるインターネット広告市場は、市場全体が順調に拡大しつつも事業環境の変化が非常に早く、それによりクライアント企業のニーズが絶えず変化しております。そのため、更なる利益成長と企業価値の向上を実現するためには、事業環境の変化への適応が非常に重要であると認識しております。

 

(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

① 運用型広告の強化

 インターネットメディアはテレビメディア広告費を超え、インターネット広告市場は、2020年には2兆2,290億円(前年比105.9%)と前年に引き続き伸長しております。特に当社の主力サービスである運用型広告市場は1兆4,558億円(前年比109.7%)と大きく伸長しております(広告費データは、株式会社電通「2020年 日本の広告費」より引用)。一方で、アドフラウド(広告詐欺)問題や、個人情報保護の観点からWebページにおける個人情報の取り扱いが厳格化されたことによるcookie規制等、インターネット広告特有の問題もあります。

 こうした環境の中、当社は、これまで蓄積してきた広告運用のノウハウを生かし、現在の主力サービスである検索連動型広告(リスティング広告)や運用型ディスプレイ広告について、最新のインターネット広告情報の取得や社員教育等を通じて更なるサービスの品質の向上を図り、クライアント企業の満足度の向上を追求して参ります。

 

② 新技術への対応

 昨今、IoTやAI(人工知能)等のデジタルテクノロジーの進化が企業経営等に影響を与えております。こうしたデジタルテクノロジーの進化は、急速な技術革新が進むインターネット広告事業においても、今後大きな影響を与えると考えております。そこで、こうしたデジタルテクノロジー等の新技術に対応すべく、必要に応じた投資や人材育成に取り組んで参ります。

③ 人材確保と人材育成

 当社は、事業環境が流動的なインターネット広告市場に属しており、より一層の利益成長と企業価値の向上のために、経営方針を深く理解し、チームワークを発揮していく優秀な人材の採用・育成に取り組む必要があると認識しております。このため、他業界からの積極採用を含む採用の多様化や継続的な研修の充実・実施に努めて参ります。

 

④ 内部管理体制の強化

 当社は、現在成長段階にあり、規模拡大に伴う業務運営の効率化やリスク管理のための内部管理体制の強化が重要な課題であると認識しております。また、当社は株主をはじめ、クライアント企業、取引先、社員等、様々なステークホルダーや、社会から信頼される企業であり続けるため、コーポレート・ガバナンスの強化とコンプライアンス体制の整備及び向上が重要事項であると認識しております。

 このため、企業規模拡大に応じた内部管理体制の構築を図り、経営の公正性・透明性を確保し、コーポレート・ガバナンスを重視した内部管理体制強化に取り組んで参ります。具体的には、監査等委員会設置会社への移行と社外取締役の増員、監査等委員会と内部監査チームとの連携によるコンプライアンス体制の強化、監査等委員による監査の実施による当社のコーポレート・ガバナンス機能の強化及び当社の事業に関連する法規制や社会的要請等の環境変化への対応などを行っております。

 

(5)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社は、売上総利益を重要な経営指標と捉え、これらを中長期的に成長させていくことを基本的な考え方としております。また、営業系社員の一人当たり売上総利益を経営指標としております。

 

2【事業等のリスク】

 本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。また、リスク要因に該当しない事項についても、投資者の投資判断上重要であると考えられる事項については、投資者に対する積極的な情報開示の観点から以下のとおり記載しております。当社は、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針であります。

 なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。

 

(1)インターネット広告事業に係るリスクについて

① 技術革新について

 当社のインターネット広告事業を含むインターネットビジネスの業界環境は、事業に関連する新技術の開発やそれらを利用した新サービスの導入が相次いで行われており、変化が激しくなっております。このため、当社は、新技術の導入及び新サービスの提供を継続的に検討するとともに、優秀な人材の確保に取り組んでおりますが、激しい環境変化への対応が遅れた場合には、当社のサービスの陳腐化、競争力の低下が生じる可能性があります。また、環境変化への対応のために新技術及び新サービスに多大な投資が必要となった場合には、当社の事業活動並びに財政状態及び業績に影響を与える可能性があります。

 

② 景気動向の変動について

 当社の事業領域であるインターネット広告市場を含む広告市場は、一般的に市場変化や景気動向の変動により広告主が広告費用を削減する等、景気動向の影響を敏感に受けやすい傾向にあります。したがって、わが国経済の景気動向の変動によって、当社の事業活動並びに財政状態及び業績に影響を与える可能性があります。

 

③ 市場動向について

 当社の事業領域であるインターネット広告市場は、スマートフォン端末の普及等によるインターネット利用者の増加、企業の経済活動におけるインターネット利用の増加等により、2020年は2兆2,290億円(前年比105.9%)と7年連続で成長を続けております。また今後も、雑誌、新聞等の他媒体における広告市場が縮小傾向(雑誌広告費:2020年前年比73.0%、新聞広告費:2020年前年比81.1%)を示している一方で、スマートフォン端末のさらなる普及やビッグデータ時代到来に伴う消費者行動等により、更なる市場の成長が継続すると考えております(広告費データは、株式会社電通「2020年 日本の広告費」より引用)。しかし、今後の日本におけるインターネット利用者人口の推移やインターネット広告市場の成長を阻害する状況の発生等、何らかの事情により、このような市場の成長が将来にわたって継続する保証はなく、結果として、当社の事業活動並びに財政状態及び業績に影響を与える可能性があります。

 また、当社の取引先であるネット広告の媒体運営会社が、いわゆる「アドフラウド(広告詐欺)」に関与した場合、アドフラウドの影響を受けた広告主による広告の露出が減少すると共に、当社広告取扱高が減少し、当社の事業活動並びに財政状態及び業績に影響を与える可能性があります。

 

④ 媒体運営会社への依存について

 当社は、インターネット広告事業の単一セグメントで事業を展開しております。インターネット広告事業は、取引形態の性質上、媒体運営会社からの広告枠の仕入れに依存しています。媒体運営会社のうち、Google,Inc.の提供する「Google 広告」及びヤフー株式会社の提供する「Yahoo!広告」の取次額(媒体費用)への依存度は減少傾向にありますが依然として高く、2020年12月期における当該2社合計の取次額(媒体費用)は、媒体費総額の77.1%(前年比0.3%増加)を占めております。当社は当該2社との良好な取引関係維持に努めておりますが、当該2社の事業方針の変更や契約の更新内容、また契約の更新ができなかった場合には、当社の事業活動並びに財政状態及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤ 競合について

 インターネット広告事業は、新規参入する競合会社も多く、また、多くの企業が事業展開しており、競合会社が存在しております。当社では、当社の特徴でありますワンストップサービス(一人の担当者が営業、広告の企画提案・運用・分析・改善までをワンストップで行う専任制)により、企画力や営業提案力等の強化や広告主との良好な取引関係の維持等に積極的に取り組み、競争優位性の確保に努めておりますが、競合との間で顧客獲得のための価格やサービス競争の激化等により収益性の低下を招き、当社の事業活動並びに財政状態及び業績に影響を与える可能性があります。

 

⑥ 法的規制について

 現在のところ、当社の事業領域であるインターネット広告事業に関する直接的な法規制又はインターネット広告業界の自主規制はありません。

 しかし、広告主は掲載する広告の内容により、「商標法」、「著作権法」、「不正競争防止法」、「景品表示法」、「個人情報の保護に関する法律」、「特定商取引に関する法律」、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」、「独占禁止法」、「出会い系サイト規制法」等の規制を受ける可能性があります。当社では、上記の各種法的規制に抵触しないように、広告取扱ガイドラインを制定し、広告の内容について管理統括部の専任担当者が慎重に確認しております。広告主がこれらの法律に違反しても直ちに当社の広告取引が違法となるわけではありませんが、当社が広告主の違法行為を助長するものとみなされた場合、当社の社会的信用が失墜し、場合によっては損害賠償請求の対象となるリスクがあります。

 また、インターネット上の個人情報保護の観点からクッキー(Webサイトとユーザー間でやり取り・保存されるアクセス情報)に対する規制が検討されているなど、インターネットを取り巻く法令整備は日々進んでおります。今後、このような法令の改正や新たな法令の制定等が行われ、既存の法令等の解釈に変化が生じたり、インターネット広告事業の自主規制が制定された場合や、広告内容に起因する損害賠償等が発生した場合、当社の事業活動並びに財政状態及び業績に影響を与える可能性があります。

 

(2)経営管理体制について

① 人材の確保・定着及び育成について

 当社の事業を継続及び拡大させていくためには、優秀な人材の確保・定着及び育成が必要不可欠であると考えております。そのため、当社では、新卒や業界未経験者の採用も積極的に実施しており、教育体制を充実させることで、人材の育成・確保に努めております。しかしながら、優秀な人材の確保・定着及び育成が計画通りに進まない場合や優秀な人材の社外流出が生じた場合には、今後の事業展開の制約要因等になり、当社の事業活動並びに財政状態及び業績に影響を与える可能性があります。

 

② 小規模組織であることについて

 当社は、2020年12月末現在、従業員96名と比較的小規模な組織であり、現在の人員構成にて最適と考えられる内部管理体制や業務執行体制を構築しております。当社は、今後も業務の適正性及び財務報告の信頼性を確保するため、これらに係る内部統制が有効に機能する体制を構築、整備、運用して参りますが、事業の急速な拡大等により、十分な内部管理体制の構築が追い付かない場合、適切な業務運営が困難となり、当社の事業活動並びに財政状態及び業績に影響を与える可能性があります。

 

③ 知的財産権について

 本書提出日現在、当社ではこれまで、特許・著作権・その他知的財産に関して第三者の知的財産権を侵害した事実や損害賠償及び使用差止の請求を受けた事実はありません。今後においても、第三者の知的財産権を侵害しないよう、十分な注意を払って参りますが、当社の事業分野で当社の認識していない知的財産権が既に成立している可能性又は新たに第三者の知的財産権が成立する可能性もあり、当該侵害のリスクを完全に排除することは困難であります。

 万が一、当社が第三者の知的財産権等を侵害した場合には、直ちに、事例に応じて弁護士・弁理士等と連携し解決に努めて参りますが、損害賠償請求、差止請求や知的財産権の使用に関する対価等の支払い等により、当社の事業活動並びに財政状態及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

④ 訴訟について

 当社は、本書提出日現在、損害賠償を請求されている事実や訴訟を提起されている事実はありません。また、当社は、法令違反となるような行為を防止するため、取引先、従業員その他第三者との関係において訴訟リスクを低減するよう、コンプライアンス研修による役員及び従業員への教育や内部監査の実施等により努めております。しかし、当社の役員及び従業員による機密情報の漏洩、事務処理のミス、不当な労務管理、取引先とのトラブル、その他不正・不適切な行為等が発生した場合、また外部からの不正アクセス等の何らかの要因から個人情報保護法の適用を受ける個人情報等の流出が発生した場合、これらに起因する訴訟その他の請求が発生する可能性があります。これらの事象が発生した場合には、訴訟内容や損害賠償額及びその結果等により、当社の社会的信用に悪影響を及ぼすほか、事業活動並びに財政状態及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤ 与信管理について

 当社の事業領域であるインターネット広告市場の取引慣行として、広告会社が広告主に請求する手数料には、媒体運営会社等に支払う媒体料金等を含んでおります。したがって、広告主の倒産等により、広告代金の回収が不可能となった場合には、当社が媒体運営会社等に支払う媒体料金等も含めて負担することとなります。当社では、与信管理規程を制定し、信用リスク低減を図っておりますが、広告主の倒産等により、広告代金の回収が不可能となった場合には、当社の事業活動並びに財政状態及び業績に影響を与える可能性があります。

 

⑥ システム障害について

 当社のインターネット広告事業は、インターネットを介してサービスを提供しており、自然災害、火災等の事故、人為的ミス、通信ネットワーク機器の故障、ソフトウエアの不具合、コンピュータウィルス等により、システム障害が発生し、継続したサービス提供等に支障が生じる可能性があります。

 当社では、このような事態に備え、外部からの不正アクセスを防止するためのファイアウォールやセキュリティソフトの導入等といった対策をとっており、また定期的なバックアップや稼働状況の監視を行うことで、情報漏洩の事前防止又は回避に努めておりますが、こうした対応にも関わらず、システム障害が発生し、サービス提供に障害が生じた場合、当社の事業活動並びに財政状態及び業績に影響を及ぼす可能性があります

 

(3)親会社等との関係について

① 親会社との資本関係について

 当社の親会社であるEMNET INC.(以下、「同社」という。)は、2000年4月に大韓民国ソウル特別市で設立されました。その後、インターネット広告運用や、広告等のデザイン制作、広告成果の分析ソリューションの提供等の総合的なインターネット広告事業を展開し、2011年11月に韓国KOSDAQ市場に上場しております。同社グループは、本書提出日現在、韓国、日本、中国において事業展開しており、そのうち日本においては当社が事業展開を担っております。

 同社は、2020年12月末現在、当社の発行済株式総数の62.78%を保有しており、当社は同社の連結子会社となっております。当社の経営判断において同社の承認を必要とする取引や業務はなく、当社の海外展開についても同社からの制約は存在しません。しかし、同社の事業戦略やグループ戦略に変更が生じた場合は、当社の事業展開等に影響を及ぼす可能性があります。また、当社の取締役の選任・解任や合併等の組織再編、重要な資産・事業の全部又は一部の譲渡、定款の変更及び剰余金の処分等、株主の承認が必要となるすべての事項に関しては、他の株主の意向や利益にかかわらず、同社が今後も影響を与える可能性があります。

 

② 親会社との取引について

 2020年12月期における当社とEMNET INC.との取引総額は3,651千円となっており、同社が開発し保有する販売管理・社内情報共有システムの利用料及び媒体の仕入高となっております。また、同社の保有するシステムの利用料については、一般の取引条件を踏まえて市場価格や総原価を勘案し交渉の上で決定しております。同社からの独立性確保の観点も踏まえ、同社との重要な取引については、取締役会の承認により健全性及び適正性を確保しております。

 

③ 親会社との役員等の兼任について

 本書提出日現在において、当社監査等委員である取締役の金永源は、以下の通り、EMNET INC.の代表取締役社長を兼任しております。当該兼務については、当社が、同氏の上場企業の経営者としての深い知見の活用とコーポレート・ガバナンス体制の強化を目的として招聘したものです。

氏名

当社における役職

役員派遣元会社

役員派遣元会社における役職

金 永源

監査等委員である取締役

(非常勤)

EMNET INC.

代表取締役社長

 

(4)その他

① 新株予約権の行使による株式価値の希薄化について

 当社は、役員及び従業員に対するインセンティブを目的として、役員及び従業員に対してストック・オプションとして新株予約権を付与しており、今後もストック・オプション制度を活用していくことを検討しております。これらの新株予約権が権利行使された場合、既存の株主が有する株式の価値及び議決権割合が希薄化する可能性があります。なお、本書提出日現在における新株予約権の割合は発行済株式総数の4.9%に相当します。

 

② 風評被害について

 当社及び当社が属するインターネット広告業界に対して、インターネット上の掲示板への書き込みや、それを起因とするマスコミ報道等によって、何らかの否定的な風評が広まった場合、その内容の正確性にかかわらず、企業イメージの毀損等により、当社の事業活動並びに財政状態及び業績に影響を与える可能性があります。

 

③ 会計基準等の変更について

 当社は、一般に公正妥当と認められる会計基準に基づいて決算を行っており、会計基準の変更へも適時対応しております。当社が属するインターネット広告の広告代理店業務では、取扱高を売上高に計上する会計処理と取扱手数料のみを営業収益(売上高)とする会計処理が認められておりますが、当社では取扱高を売上高に計上しております。しかし、2018年3月30日付で「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準委員会 企業会計基準第29号)及び「収益認識に関する会計基準の適用指針」(企業会計基準委員会 企業会計基準適用指針第30号)が公表されたことにともない、今後、取扱手数料を売上高に計上する会計処理へ変更した場合には、当社の損益計算書上で計上される売上高の表示金額に影響を与える可能性があります。

 

④ 新型コロナウィルス感染症の感染拡大について

 2020年1月頃より顕在化した新型コロナウィルス感染症の感染拡大に伴い、日本国内においても同年4月7日に緊急事態宣言が発令され、その後、一旦は解除されましたが、2021年1月8日に改めて発令されている状況にあります。当社の業績としましても、最も影響の大きかった2020年4月から業績は回復傾向にあります。しかしながら、今後、新型コロナウィルス感染症の感染状況次第では、消費需要の低迷による広告需要の減少や、店舗やイベントへの集客目的の広告や求人広告等の広告需要の減少により、当社の事業活動並びに財政状態及び業績に影響を与える可能性があります。

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次の通りであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況

 当事業年度におけるわが国経済は、当初は雇用・所得環境は改善傾向にあったものの、年明け以降の新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、感染防止のための緊急事態宣言の発令や各自治体からの要請により、経済活動が停滞し消費マインドが低下した結果、景気下振れのリスクが急速に顕在化いたしました。その後、政府による全国的な緊急事態宣言が5月下旬に解除され、また各種政策の効果等もあり、国内経済活動が徐々に再開してきたものの、先行きは依然として不透明な状況であります。また、海外におきましても同様に新型コロナウイルス感染症の拡大は続いており、収束の見通しが立たない状況の中、世界経済も依然として景気の先行き不透明な状況が続いております。

 当社が属するインターネット広告市場につきましては、2020年にはインターネット広告メディアがテレビメディア広告に匹敵する規模となり、2兆2,290億円(前年比105.9%)と前年に引き続き伸長してまいりました(広告費データは、株式会社電通「2020年 日本の広告費」より引用)。しかし、このような状況下において、インターネット広告市場は新型コロナウイルス感染拡大に伴い政府より発令されました緊急事態宣言以降、外出自粛要請や各業種への営業制限、様々なイベントの中止、求人の抑制等により広告需要が停滞いたしました。その後の緊急事態宣言解除後は、経済活動に徐々に回復の兆しが期待されておりますが、年後半には新型コロナウイルスの感染の再拡大の状況にあり、引き続きインターネット広告市場は厳しい状況で推移いたしております。

 このような環境のもと、当社のインターネット広告事業では、引き続き積極的な人材採用と人材教育に注力することで販売体制の強化を図り、既存のクライアント企業の売上拡大、及び新規クライアント企業の獲得に注力してまいりました。

 

 以上の結果、当事業年度の財政状態及び経営成績は以下の通りとなりました。

 今後も当社は、品質の更なる向上と顧客ニーズに応えることで、既存のクライアント企業との取引の深耕及び新規クライアント企業獲得による企業価値の向上に努めて参ります。

 

イ.財政状態

 当事業年度末における資産の残高は、3,020,572千円となり、前事業年度末に比べ508,444千円増加いたしまし
た。

 当事業年度末における負債の残高は、1,794,203千円となり、前事業年度末に比べ321,196千円増加いたしまし
た。

 当事業年度末における純資産の残高は、1,226,369千円となり、前事業年度末に比べ187,247千円増加いたしま
した。

 

ロ.経営成績

 当事業年度の経営成績は、売上高9,305,952千円(前年同期比18.5%増)、営業利益290,797千円(同11.1%減)、経常利益291,825千円(同12.6%減)、当期純利益212,261千円(同11.3%減)となりました。

 当社は、インターネット広告事業の単一セグメントであるため、セグメントごとの経営成績の記載を省略しております。

 

②キャッシュ・フローの状況

 当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前事業年度末に比べ420,556千円増加し、1,263,417千円となりました。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 当事業年度において営業活動の結果得られた資金は351,147千円(前年同期189,763千円の獲得)となりました。これは主に、税引前当期純利益291,825千円となった一方、売上高増加に伴う売上債権の増加額262,591千円、仕入高の増加に伴う仕入債務の増加額267,715千円及び法人税等の支払額104,730千円があったことによるものであります。

 

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 当事業年度において投資活動の結果得られた資金は98,778千円(前年同期96,632千円の使用)となりました。これは主に、保証金の回収による収入130,198千円となった一方、ゴルフ会員権の取得による支出14,540千円があったことによるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 当事業年度において財務活動の結果使用した資金は29,368千円(前年同期40,623千円の使用)となりました。これは主に、配当金の支払が41,762千円となった一方、株式発行による収入13,350千円があったことによるものであります。

 

③生産、受注及び販売の実績

イ.生産実績

 当社で行う事業は、インターネット広告事業であり、提供するサービスの性格上、生産実績に該当する事項がありませんので、記載を省略しております。

 

ロ.仕入実績

 当事業年度の仕入実績は、次のとおりです。なお、当社はインターネット広告事業の単一セグメントです。

セグメントの名称

当事業年度

(自 2020年1月1日

至 2020年12月31日)

仕入高(千円)

前年同期比(%)

インターネット広告事業

8,074,987

120.7

合計

8,074,987

120.7

 

ハ.受注実績

 当社で行う事業は、提供するサービスの性格上、受注実績の記載に馴染まないため、記載を省略しております。

 

ニ.販売実績

 当事業年度の販売実績は、次のとおりです。なお、当社はインターネット広告事業の単一セグメントです。

セグメントの名称

当事業年度

(自 2020年1月1日

至 2020年12月31日)

販売高(千円)

前年同期比(%)

インターネット広告事業

9,305,952

118.5

合計

9,305,952

118.5

(注)1.最近2事業年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

 

相手先

事業年度

(自  2019年1月1日

至  2019年12月31日)

事業年度

(自  2020年1月1日

至  2020年12月31日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

THECOO株式会社

922,122

11.7

1,973,510

21.2

タンゴヤ株式会社

929,044

11.8

788,507

8.5

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次の通りであります。なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

(a)財政状態の分析

(資産)

 当事業年度末における資産の残高は、3,020,572千円となり、前事業年度末に比べ508,444千円増加いたしました。これは主に現金及び預金が420,556千円、売掛金が261,592千円増加した一方、差入保証金が125,135千円減少ことによるものであります。

 

(負債)

 当事業年度末における負債の残高は、1,794,203千円となり、前事業年度末に比べ321,196千円増加いたしました。これは主に買掛金が267,715千円、前受金が44,031千円増加したことによるものであります。

 

(純資産)

 当事業年度末における純資産の残高は、1,226,369千円となり、前事業年度末に比べ187,247千円増加いたしました。これは主に当期純利益の計上により利益剰余金が170,352千円増加したことによるものであります。

 

(b)経営成績の分析

(売上高)

 当事業年度における売上高は、9,305,952千円(前年同期比18.5%増)となりました。主な要因は、インターネット広告事業において、人材教育に引き続き注力することで販売体制の強化を図り、既存のクライアント企業の売上拡大、及び新規クライアント企業の獲得に注力してきたことにより、運用型広告サービスの販売が前期に引き続き堅調に推移したことによるものであります。

 

(売上総利益)

 当事業年度における売上原価は、8,074,987千円(前年同期比20.7%増)となりました。主な内訳は、インターネット広告事業における媒体費をはじめとする費用であります。

 以上の結果、売上総利益は、1,230,964千円(前年同期比5.6%増)となりました。

 

(営業利益)

 当事業年度における販売費及び一般管理費は、940,166千円(前年同期比12.1%増)となりました。主な内訳は、給料及び手当463,986千円(前年同期比18.6%増)であります。

 以上の結果、営業利益は、290,797千円(前年同期比11.1%減)となりました。

 

(経常利益)

 当事業年度における営業外収益は、3,544千円(前年同期比53.9%減)となりました。主な内訳は長期間滞留していた前受金の取崩益1,386千円であります。また営業外費用は、2,516千円(前年同期比211.0%増)となりました。主な内訳は、保険解約損1,709千円であります。

 以上の結果、経常利益は291,825千円(前年同期比12.6%減)となりました。

 

(当期純利益)

 当事業年度においては、特別利益及び特別損失は、計上しておりません。

 当事業年度における法人税、住民税及び事業税は、75,323千円(前年同期比24.9%減)、法人税等調整額は4,240千円(前年同期は△5,588千円)となりました。

 以上の結果、当事業年度における当期純利益は、212,261千円(前年同期比11.3%減)となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

(a)キャッシュ・フローの状況

 各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。

 

(b)資本の財源及び資金の流動性

・資金需要

 当社の運転資金需要のうち主なものは、広告の媒体費の他、人件費、地代家賃等の販売費及び一般管理費の営業費用であります。

 設備投資にかかる資金需要のうち主なものは、オフィスのパソコン等の備品の取得等であります。

・財務政策

 当社の資本の財源及び資金の流動性については、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。現在、金融機関からの借入は行っておらず、設備投資等の調達につきましては、自己資金の利用を原則としております。資金調達を行う場合には、経済情勢や金融環境を踏まえ、当社にとっての最良の方法で行いたいと考えております。

 なお、今後の重要な資本的支出の予定はございません。

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されており、重要となる会計方針については、「第5 経理の状況 1財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項(財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりであります。この財務諸表の作成に当たりまして、将来事象の結果に依存するため確定できない金額について、仮定の適切性、情報の適切性及び金額の妥当性に留意しながら会計上の見積りを行っておりますが、実際の結果は、特有の不確実性があるため、見積りと異なることがあります。

 なお、投資有価証券等の減損等の当期の新型コロナウイルス感染症の影響に伴う会計上の見積りについては、「第5 経理の状況 1財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項(追加情報)」に記載しておりますが、財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、特に重要と考えるものは以下のとおりであります。

 

(a)固定資産の減損

 当社は、固定資産のうち減損の兆候がある資産又は資産グループについて、当該資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定に当たっては慎重に検討しておりますが、将来キャッシュ・フローの見積り額の前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、減損処理が必要となる可能性があります。

(b)繰延税金資産の回収可能性

 当社は、繰延税金資産について、将来の利益計画に基づいた課税所得が十分に確保できることや、回収可能性があると判断した将来減算一時差異について繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。

 

④経営成績に重要な影響を与える要因について

 当社の経営成績に重要な影響を与える要因については、「2 事業等のリスク」に記載のとおり、事業環境、事業内容、法的規制等、様々なリスク要因が当社の経営成績に影響を与える可能性があると認識しております。

 そのため、当社は常に業界動向に留意しつつ、優秀な人材を確保し、内部管理体制を強化し、クライアント企業の市場のニーズに合ったサービスを提供していくことにより、経営成績に重要な影響を与えるリスク要因を分散・低減し、適切に対応を行って参ります。

 

⑤経営者の問題認識と今後の方針について

 当社では、現在の事業環境及び入手可能な情報に基づき迅速かつ最善の経営方針の立案、施策の実施に努めております。

 インターネット広告事業においては、最新のアドテクノロジーへの対応及びカスタマー行動データ等の活用を推進し、広告効果の最大化を図ると同時に、運用型広告、スマートフォン広告、動画広告等の市場拡大が著しい分野へ素早く対応し、成長分野への取り組みを図ることで、市場における優位性の確立に努めて参ります。

 また、事業規模拡大に応じて適時に人材拡充を進めると同時に、組織体制の整備を進めていくことが重要であると認識しております。

 

⑥経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社は、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3)経営上の目標とする経営指標」に記載の通り、売上総利益及び営業系社員の一人当たり売上総利益を経営指標としております。当事業年度における売上総利益は1,230,964千円(前年同期比5.6%増)、営業系社員の一人当たり売上総利益は14,950千円(前年同期比14.2%減)であります。引き続きこれらの指標について、改善、増加するよう取り組んでまいります。

 

 

4【経営上の重要な契約等】

契約会社名

相手先の名称

相手先の所在地

契約内容

契約期間

株式会社イーエムネットジャパン(当社)

ヤフー株式会社

日本

ヤフー株式会社が提供する広告サービスに関して、当社が代理店として取り扱う旨の販売代理店契約

2015年8月19日より2016年3月31日

以降、自動更新

Google,Inc.

米国

Google,Inc.が提供する「Google 広告」広告サービスに関して、当社が代理店として取り扱う旨の販売代理店契約

2014年1月20日より無期限

 

5【研究開発活動】

 該当事項はありません。