文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
当社は、組込みソフトウエア技術をコアコンピタンスとしてグループを拡大・発展させるため、2011年11月に経営理念としての『eSOL Spirit』を制定しております。
(2)当社グループの現状の認識について
当社グループの主たる事業の1つである組込みソフトウエア事業が対象とする組込み市場の規模は、公的機関による調査が近年行われておりませんが、政府が掲げる「日本再興戦略2016(2016年6月2日発表)」にも組込みソフトウエアの重要性が謳われており、またコネクテッドカーや自動運転などによる一層の自動車の電子化や、今後の産業革新の大きなテーマであるIoT技術の浸透に従って、その市場規模と重要性は益々増大していくと思われます。
他方のセンシングソリューション事業は、従来ハム・食肉や冷食メーカや卸小売りなど事前発注を行わない商習慣市場に対して車載プリンタを、また倉庫業などに対して常温/耐環境ハンディターミナルを提供してまいりました。車載プリンタの実質的な競合他社は認識しておりません。しかしながら、顧客市場の成熟化や流通システムの再編成などにより、この市場は衰退期を迎えていると判断しております。今後は、耐環境技術など既存技術を活かしつつ、組込みソフトウエア事業とのシナジーを見込みながら、放牧や農業、水産業など、コンピュータ化の遅れている分野に各種センサによるIoTシステムを提案し、成長させる必要があると考えております。
新型コロナウイルス感染症については、開発案件の規模の縮小、中止、開始時期の延期などの影響が出ており、先行きは不透明な状況が続くものと予想されます。
(3)当面の事業上及び財務上の対処すべき課題の内容
当社グループが当面対処すべき課題の内容として、以下の点を認識しております。
① 組込みソフトウエア事業の拡大
組込みソフトウエア事業は当社グループを支える基幹事業で、主にソフトウエア製品の開発及び販売と、エンジニアリングサービスの2つのビジネスから構成されております。ソフトウエア製品はエンジニアの数に依存しない、利益率の高いビジネスであり、このビジネスを成長させることは当社グループの収益性向上のために重要であります。エンジニアリングサービスは、当社グループにおける組込みソフトウエア事業の売上高の約8割を占めるビジネスであり、長期にわたる取引のある顧客層をもち、経営の安定化をはかる上で非常に重要であります。ソフトウエア製品の販売は新規のエンジニアリングサービスに結びつき、この相互関係が当社グループを特徴づける部分でもあり、これらの成長が当社グループの事業規模拡大の上で非常に重要であります。
当社グループでは自動車関連の売上高が伸びてきております。自動車の電子化は著しく、当社グループでは最も重要な市場と考えております。近年は、コネクテッドをキーワードとしたMaaS(モビリティ・アズ・ア・サービス Mobility as a Service)という言葉も現れており、自動車が単なる移動手段ではなく、社会インフラの一部に変わりつつあります。その変化においても当社技術を活かせるものと考えております。
今後、社会のIoT化がますます進み、私たちとインターネット空間の接点はパソコンやスマートフォンから車や家といった生活空間に広がります。インターネット空間に収集されたデータはあらゆる分野と連携し、生活をより豊かにするとともに、私たちが抱える社会的な課題の解決へも繋がっていきます。その情報の収集とあらゆる分野との連携においても、当社がこれまで培ってきた組込みソフトウエア技術を活かせるよう、技術の開発を進めてまいります。
② 組込みソフトウエアエンジニアの確保・育成と生産性の向上
組込みソフトウエア事業での最大のビジネスはエンジニアリングサービスであります。このビジネス拡大のためには開発エンジニアの数の拡大が求められますが、ソフトウエア業界に限らず、様々な業界で人材採用難が語られております。優秀な人材の獲得を目的の一つとして、2019年に東証第一部へ市場変更を果たしました。今後も「働きがいのある魅力的な会社」となるよう待遇を整備していくとともに、多様化する労働形態に応じて柔軟に対応していく必要があると考えております。同時に、「一緒に働きたい会社」として、パートナー企業の開拓も今まで以上に注力してまいります。
企業の力は、人材の力であります。優秀な人材を採用し、人材の能力をできるだけ早期に向上させ、付加価値の高い人材に育て上げていく事が重要であると考えております。
③ センシングソリューション事業における既存市場からの出口戦略
1991年に開始した車載プリンタの販売は、加工食品市場、乳製品市場の成熟化、ロジスティクスのセンター納品化、EDI(Electronic Data Interchange)の浸透、販売ルートの統廃合などにより、すでに衰退期を迎えていると考えております。しかしながら、旧来からの営業方法を変えることができない顧客が今後も存在すると考えております。ピーク時には年間1,000台以上の車載プリンタを販売しましたが、今後は200~300台前後の小規模の市場として、しばらくの間は継続すると予想しております。そのため新規投資は避けながら残存利益の回収に努めてまいります。
④ センシングソリューション事業における新規市場の開拓
車載プリンタに代わる新たな市場として、自動販売機など、まだコンピュータによるスマート化が遅れている市場や、農業などICT(情報通信技術)が採用されていない市場に、各種のセンサと既存事業のなかで獲得した耐環境技術を応用したIoTソリューションを提供いたします。また、これまで培った耐環境技術を応用した新たなデバイスとして防災システムを開発しました。この防災システムによって、地域住民の安全や企業の継続性確保に貢献していくことに努めてまいります。
⑤ 新型コロナウイルス感染症への対応
新型コロナウイルス感染症拡大により世界的な経済活動の減速等が引き続き懸念され、先行きは依然として不透明な状況が続くものと予想されます。開発案件の規模の縮小、中止、開始時期の延期などの影響も出ており、緊急事態宣言による外出自粛に伴い、顧客訪問や出勤なども制限されております。しかしながら、当社グループでは全従業員を対象としたテレワーク(在宅勤務)の推奨、オンライン会議の実施等により事業活動を継続しており、今後も引き続き新型コロナウイルス感染症への対策を行い、経営への影響を最小限にとどめてまいります。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1)人材の確保と人件費、外注費の高騰について
当社グループの事業継続及び拡大においては、更なる技術革新に対応しうる技術者の確保、また世界マーケットに当社製品を販売していくための営業部門や管理部門などの優秀な人材も充実させる必要があります。
当社グループでは、優秀な次世代経営幹部や従業員の採用等を進め、従業員の意識向上と組織の活性化をはかるとともに優秀な人材の定着をはかる方針であります。しかしながら、計画どおりの人材の採用、パートナーの確保が十分できない場合、又は現在在籍している人材が流出するような場合、また近年の採用難や働き方改革を背景にして人件費や外注費の高騰が起こった場合、当社グループの財政状態及び業績に悪影響をおよぼす可能性があります。
(2)顧客の経営状態に関連するリスクについて
当社グループの組込みソフトウエア事業の顧客層は、自動車、産業機器、ロボット、医療機器、通信機器等、様々な産業分野に及んでおります。それら顧客企業の個別の経営状態の変動に関しては、多様な産業セクターへの営業活動を行ってその影響をできるだけ小さくするよう努力をしております。しかしながら大幅な為替変動や、グローバルな政策要因、地政学的要因等によって、それらの産業全体が業績に悪影響を被る場合があります。当社グループの組込みソフトウエア事業は、顧客企業の数年先の開発案件に対する受注がほとんどであり、足元の景気動向に左右される可能性は比較的低いと考えております。しかしながら、数年先に向けた顧客企業の投資計画に影響を与えるほどの事象が発生した場合、当社グループの財政状態及び業績に悪影響をおよぼす可能性があります。
(3)特定取引先への依存について
当社グループは徐々に、取引先の寡占化が進んできております。特に近年は持分法適用関連会社である株式会社オーバスとソニーグループからの売上高が増えており、当連結会計年度では、株式会社オーバスを含めたデンソーグループへの売上高合計が連結売上高の32.7%を、またソニーイメージングプロダクツ&ソリューションズ株式会社への売上高が同11.8%を、合計で同44.4%を占めております。当社グループの方針として株式会社デンソーや株式会社オーバスを中心にした自動車関連の取引は今後も拡大をさせていく計画でありますが、特定の取引先に依存するような事業構造を脱却するよう、他の顧客開拓に尽力してまいりたいと考えております。しかしその努力が実を結ばず、少数の特定取引先の経営状態の悪化や経営戦略の変更があった場合、当社グループの財政状態及び業績に悪影響をおよぼす可能性があります。
(4)株式会社オーバスとの取引及び自動車関連市場への売上の偏重トレンドについて
当社は、2016年4月に株式会社デンソー、日本電気通信システム株式会社と合弁で株式会社オーバスを設立いたしました。当社としましては、株式会社オーバスに提供している当社の自動車向けソフトウエア製品は他社へは販売しない方針を取っております。自動車関連市場は、自動運転等の技術トレンドにのって今後も拡大していくと考えておりますし、当社の最重点市場と位置付けておりますので、今後は当社グループの自動車関連市場との取引がより一層拡大していくと考えております。しかし激しい自動車メーカ間、自動車部品メーカ間の競争の結果、株式会社オーバスをはじめとした当社の顧客が競争に勝てなかった場合、もしくは何らかの要因によって、自動車関連市場全体の成長トレンドが減速、下降していった場合、当社グループの財政状態及び業績に悪影響をおよぼす可能性があります。
(5)持分法適用関連会社である株式会社オーバスとの取引における未実現利益について
当社は、関係会社である株式会社オーバスに対しソフトウエアの受託開発とソフトウエアライセンス及び保守の販売を行い、同社ではそれをもとに車載基盤ソフトウエアの開発及び販売を行っています。同社は当社の持分法適用関連会社であることから、当社からのいわゆる仕入れのうち、同社が売り上げていない(実現していない)部分に関しては、当社業績において未実現利益として調整をしております。
未実現利益の調整額は、株式会社オーバスの販売進捗等に影響されますので、当社グループの予算策定時における未実現利益の調整額の見積もりは、同社と連携の上、同社製品の販売計画等を十分精査した上で行っており、その後の製品販売の進捗等につきましては、月次でその状況を把握して未実現利益の調整額を算出し、当社グループの財政状態及び業績に反映してまいりますが、予算策定時の未実現利益の見積もり額と実際の調整額に大きな乖離が生じた場合、当社グループの財政状態及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(6)品質不良による損害賠償のリスクについて
組込みソフトウエア事業のRTOSとエンジニアリングサービス、センシングソリューション事業における車載プリンタやハンディターミナル等による物流関連ビジネスにおいて、品質不良による損害賠償が発生する可能性があります。特に自動車・医療機器向け機器に対する損害賠償は甚大なものとなる可能性があります。当社グループは代表取締役社長直下の品質管理委員会のもと、全社的な品質管理に努めており、当社納品先でも厳密なテストを実施しておりますが、万が一にも当社グループの責による品質不良から損害賠償が発生し、当社の加入している専門業務事業者賠償責任保険及び生産物賠償責任保険では損害賠償額を十分にカバーできなかった場合、当社グループの財政状態及び業績に悪影響をおよぼす可能性があります。
(7)その他訴訟等による賠償責任に関するリスクについて
当社グループが属する情報・通信の業界においては技術革新のスピードが速く、他社から知的財産権の侵害についての申し立てを受ける可能性は否定できません。また当社グループが保有している個人情報や組込みソフトウエア開発に関する仕様等の情報が社外に流出するリスクが存在します。また、安全衛生等の労務上の問題により訴訟が発生する可能性があります。当社グループは、セキュリティ委員会を設置し、各種情報の管理体制を強化すると同時に、eラーニングによる従業員への教育等を行っております。また、労働安全や労働災害に関しても従業員のワークライフバランスを重視した経営を行っております。しかしながら、何らかの事由によって訴訟となる事案が発生し、当社が賠償を求められた場合、当社グループの財政状態及び業績に悪影響をおよぼす可能性があります。
(8)不採算プロジェクトの発生について
当社グループのエンジニアリングサービスやセンシングソリューション事業のプロジェクトで不採算プロジェクトが発生する可能性があります。不採算となる理由は、発注側の責任となるもの、当社側の責任となるものがあります。具体的には組込み機器メーカの要求仕様変更や、ハードウエアの開発遅れ、開発した組込みソフトウエアの品質不良等があります。当社グループでは、エンジニアリングサービス案件は全てプロジェクトとして個別に品質管理、予算管理、スケジュール管理を実施しております。しかし、それにもかかわらず、発注側の責任によるものであって交渉しても十分な補償が得られない場合、また、当社グループのプロジェクト管理が十分でない場合、不採算プロジェクトが発生し当社グループの財政状態及び業績に悪影響をおよぼす可能性があります。
(9)技術革新への対応に関するリスクについて
当社グループの組込みソフトウエア事業とセンシングソリューション事業のいずれも開発費が発生します。特にコンピュータ技術の進歩は著しく、最新技術に追随していかないとソフトウエア製品はすぐに陳腐化してしまいます。このため新規に開発したソフトウエア製品であっても、その直後からリビジョンアップ作業が必要となります。当社グループは過去、研究開発費用とリビジョンアップ費用の合計で売上高比10%程度を基準に投資活動を行ってまいりました。今後も同程度の水準で投資を続けていく予定ではありますが、当社グループの収益が投資額に見合うだけの利益を上げられない場合、あるいは当社の開発体制が技術革新のスピードに追い付けなかった場合、当社グループの財政状態及び業績に悪影響をおよぼす可能性があります。
(10)センシングソリューション事業について
当該事業の物流関連ビジネスは今後成長を期待できる市場ではなく、新たにセンサネットワーク関連ビジネスを主力とするよう事業の再編を行っております。IoTの成長が社会的にも想定されている一方で、様々な企業も参入し競争の激化が予想されます。センシングソリューション事業でも様々な引き合いを多くいただいてはおりますが、未だリサーチ段階での販売にとどまっており、将来を安定化できるかは不透明な状況であります。現在、同事業の利益計画は抑えめに作成してはいますが、事業再編が想定どおりにいかなかった場合、当社グループの財政状態及び業績に悪影響をおよぼす可能性があります。
(11)eSOL Europe S.A.S.について
当社は、2018年3月にフランスに連結子会社 eSOL Europe S.A.S.を設立いたしました。当面はコストセンターとして業績を見込んでおりませんが、将来的に海外売上高の拡大に貢献しないなど、子会社運営が想定どおりいかない場合、投資に見合うだけの収益が得られなくなり、当社グループの財政状態及び業績に悪影響をおよぼす可能性があります。
(12)法令違反、法的規制に関するリスクについて
当社グループの事業において、税制や商取引、労働問題、知的財産権など様々な法的規制を受けております。当社グループはコンプライアンス重視のもと、これら法規制やルールを遵守した経営を行っておりますが、万が一これら法規制、ルールを遵守できなかった場合、当社グループの財政状態及び業績に悪影響をおよぼす可能性があります。
(13)新型コロナウイルス感染症の影響について
新型コロナウイルス感染症拡大は、当社グループの組込みソフトウエア事業がメインターゲットとしている自動車関連業界をはじめ、多くの顧客企業の業績に影響を及ぼしており、開発案件の規模の縮小、中止、開始時期の延期が発生しております。
提出日現在においても、新型コロナウイルス感染症の終息時期は不透明であり、新型コロナウイルス感染症の影響が長期化した場合には、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、感染拡大防止の取組みとして、全従業員を対象にテレワーク(在宅勤務)を推奨するとともに、オンライン会議等を活用し、事業活動を継続しております。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
イ.財政状態の状況
(資産)
当連結会計年度末における流動資産は6,377百万円となり、前連結会計年度末に比べて568百万円増加いたしました。これは主に現金及び預金が569百万円、有価証券が205百万円それぞれ増加した一方、受取手形及び売掛金が177百万円減少したことによるものであります。固定資産は1,093百万円となり、前連結会計年度末に比べて215百万円増加いたしました。これは主に建物附属設備が80百万円、投資有価証券が103百万円それぞれ増加したことによるものであります。
この結果、総資産は、7,470百万円となり、前連結会計年度末に比べて784百万円増加いたしました。
(負債)
当連結会計年度末における流動負債は1,412百万円となり、前連結会計年度末に比べて132百万円増加いたしました。これは主に未払消費税等が53百万円、未払法人税等が96百万円、前受金が28百万円それぞれ増加した一方、支払手形及び買掛金が90百万円減少したことによるものであります。固定負債は311百万円となり、前連結会計年度末に比べて32百万円増加いたしました。これは主に長期未払金が98百万円、資産除去債務が62百万円それぞれ増加した一方、役員退職慰労引当金が107百万円減少したことによるものであります。
この結果、負債合計は、1,724百万円となり、前連結会計年度末に比べて165百万円増加いたしました。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産合計は5,746百万円となり、前連結会計年度末に比べて618百万円増加いたしました。これは主に利益剰余金が533百万円増加したことによるものであります。
ロ.経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う経済活動の縮小により、景況感が大幅に悪化し、非常に厳しい状態で推移しました。
当社グループの組込みソフトウエア事業がターゲットとして注力している自動車市場では、CASE(Connected つながる車、Autonomous 自動運転、Shared & Service シェアリングサービス、Electric 電動化)と呼ばれる領域が進展しており、同市場は大きな変革期にあります。また、自動車や医療分野を中心に、安全技術への需要が高まっており、機能安全規格の認証取得が求められる傾向にあります。
このような環境の中、当社グループは自動車関連業界をメインターゲットと位置づけ、ワンストップソリューションの提供に注力するとともに、研究開発への投資を引き続き行ってまいりました。また、センシングソリューション事業がメインターゲットの1つとしている食肉市場並びに倉庫・物流業界に対しては、指定伝票発行用車載プリンタ(以下「車載プリンタ」という。)並びにハンディターミナルの拡販を進めました。
しかしながら、新型コロナウイルス感染症拡大により、開発案件の規模の縮小、中止、開始時期の延期などの影響が出ております。
この結果、当連結会計年度の業績は、売上高9,042百万円(前年同期比6.2%減)、営業利益682百万円(同8.8%減)、経常利益909百万円(同4.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益676百万円(同2.6%増)となりました。
セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。
(組込みソフトウエア事業)
当事業は、幅広い分野における電子機器向けの自社製ソフトウエア製品RTOS(リアルタイム・オペレーティング・システム)の開発・販売、受託開発を主に行っておりますが、主に自動車向けが伸び悩みました。その結果、売上高8,358百万円(前年同期比6.4%減)及びセグメント利益638百万円(同13.5%減)となりました。
また、当セグメントの売上高の内訳としては、ソフトウエア製商品は1,981百万円(前年同期比11.4%増)、エンジニアリングサービス等は6,377百万円(同10.8%減)となっております。
(センシングソリューション事業)
当事業は、冷菓・冷凍食品市場、食肉市場及び物流市場において、車載プリンタやハンディターミナルの販売や、新たなセンサネットワーク関連ビジネスを進めましたが、車載プリンタ関連の販売が前年の水準に達しませんでした。その結果、売上高676百万円(前年同期比8.1%減)及びセグメント利益24百万円(同2.6%減)となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ569百万円増加し、4,348百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度末において営業活動の結果獲得した資金は1,062百万円となりました。これは主に税金等調整前当期純利益909百万円、売上債権の増減額177百万円、その他負債の増減額179百万円、減価償却費78百万円等の資金増加要因が、役員退職慰労引当金の増減額107百万円、法人税等の支払額142百万円等の資金減少要因を上回ったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度末において投資活動の結果使用した資金は353百万円となりました。これは主に有価証券の取得による支出199百万円、有形固定資産の取得による支出88百万円、無形固定資産の取得による支出60百万円等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度末において財務活動の結果使用した資金は141百万円となりました。これは主に配当金の支払額141百万円によるものであります。
③ 生産、受注及び販売の実績
a.生産及び仕入実績
当連結会計年度における生産及び仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2020年1月1日 至 2020年12月31日) |
|
|
生産高及び仕入高(千円) |
前年同期比(%) |
|
|
組込みソフトウエア事業 |
8,052,738 |
93.5 |
|
センシングソリューション事業 |
591,902 |
106.4 |
|
合計 |
8,644,640 |
94.3 |
(注)1.金額は販売価格によっており、セグメント間の内部振替後の数値によっております。
2.上記の金額には、保守売上高に係る生産及び仕入実績は含まれておりません。
3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
b.受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2020年1月1日 至 2020年12月31日) |
|||
|
受注高 (千円) |
前年同期比 (%) |
受注残高 (千円) |
前年同期比 (%) |
|
|
組込みソフトウエア事業 |
8,118,073 |
95.5 |
928,723 |
107.4 |
|
センシングソリューション事業 |
596,959 |
92.6 |
127,124 |
165.7 |
|
合計 |
8,715,033 |
95.3 |
1,055,847 |
112.2 |
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.上記の金額には、保守売上高に係る受注高及び受注残高は含まれておりません。
3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
c.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2020年1月1日 至 2020年12月31日) |
|
|
販売高(千円) |
前年同期比(%) |
|
|
組込みソフトウエア事業 |
8,346,507 |
93.5 |
|
センシングソリューション事業 |
676,792 |
91.9 |
|
未実現利益の調整額 |
19,416 |
- |
|
合計 |
9,042,716 |
93.8 |
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.未実現利益の調整額は、持分法適用会社との間で生じた内部取引に係る調整額であります。
3.最近2連結会計年度における主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
|
相手先 |
前連結会計年度 (自 2019年1月1日 至 2019年12月31日) |
当連結会計年度 (自 2020年1月1日 至 2020年12月31日) |
||
|
金額(千円) |
割合(%) |
金額(千円) |
割合(%) |
|
|
株式会社オーバス |
2,301,363 |
23.9 |
2,558,871 |
28.3 |
|
ソニーイメージングプロダクツ&ソリューションズ株式会社 |
1,134,781 |
11.8 |
1,107,862 |
12.3 |
|
株式会社デンソー |
848,421 |
8.8 |
485,727 |
5.4 |
4.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたりまして、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りが必要となります。これらの見積りについては、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積りによる不確実性のため、これらの見積りとは異なる場合があります。なお、当社グループの連結財務諸表の作成にあたって採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。
なお、新型コロナウイルス感染症の影響については、重要な影響を与える可能性のある事象が生じた場合などにおいては、適時に対応の検討を行ってまいります。見積りへの影響につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 追加情報」に記載のとおりであります。
② 財政状態の分析
財政状態の分析につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況 イ.財政状態の状況」をご参照下さい。
③ 経営成績の分析
(売上高)
当連結会計年度における売上高は、前連結会計年度に比べ602百万円減少し、9,042百万円(前年同期比6.2%減)となりました。これは主に、組込みソフトウエア事業において、新型コロナウイルス感染症拡大により、顧客の開発案件の規模の縮小、中止、開始時期の延期など自動車関連市場を中心に取引が減少したことによるものであります。なお、セグメント別の売上高につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況 ロ.経営成績の状況」をご参照下さい。
(売上原価、売上総利益)
当連結会計年度における売上原価は、前連結会計年度に比べ804百万円減少し、5,845百万円(前年同期比12.1%減)となりました。これは主に、組込みソフトウエア事業における自動車関連市場を中心とした取引減少に伴う外注費の減少などによるものであります。
この結果、当連結会計年度の売上総利益は、3,197百万円(同6.7%増)となりました。
(販売費及び一般管理費、営業利益)
当連結会計年度における販売費及び一般管理費は、前連結会計年度に比べ267百万円増加し、2,514百万円(前年同期比11.9%増)となりました。これは主に、IoTなどコンピュータ技術の著しい進化に追随するため、積極的に開発投資を進めていることによる研究開発費の増加によるものであります。
この結果、当連結会計年度の営業利益は、682百万円(同8.8%減)となりました。
(営業外損益、経常利益)
当連結会計年度における営業外収益は、前連結会計年度に比べ108百万円増加し、227百万円(前年同期比91.0%増)となりました。
当連結会計年度における営業外費用は、前連結会計年度に比べ0百万円減少し、0百万円(前年同期比51.7%減)となりました。
この結果、当連結会計年度の経常利益は、909百万円(同4.9%増)となりました。
(税金等調整前当期純利益)
当連結会計年度における税金等調整前当期純利益は、前連結会計年度に比べ42百万円増加し、909百万円(前年同期比4.9%増)となりました。
(法人税等、親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度における法人税等は、前連結会計年度に比べ25百万円増加し、233百万円(前年同期比12.4%増)となりました。
この結果、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は、676百万円(同2.6%増)となりました。
④ 経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因に関しては、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」をご参照下さい。
⑤ キャッシュ・フローの状況の分析
当社グループの資金状況につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」をご参照下さい。
⑥ 資本の財源及び資金の流動性について
当社グループの属する組込みソフトウエア業界は、事業の特性から常に新しい技術が創出され技術革新が早い事業環境にあります。
このような環境の中で、常に環境の変化に適応した革新的な技術やサービスの提供が求められております。従いまして、研究開発投資について継続的に実施していくことが求められ、かつ、投下した研究開発投資等は比較的短期間のうちに成果に結実しなければならないものと認識しており、必然的に資金の循環は早くなるものと考えております。
今後につきましては、引き続き積極的に先行投資的な事業資金を投じていく方針であることから、現状の事業資金は、手元流動性の高い現金及び現金同等物として保持していく方針であります。
⑦ 経営者の問題意識と今後の方針について
当社グループは安定的な成長に向け、自動車市場を中心に組込みソフトウエア事業のさらなる拡大とセンシングソリューション事業の新たな市場の事業化を主たる方針としておりますが、いずれの事業も優秀な人材の採用と育成が大きな課題であると認識しております。「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」にも記載しましたように、就労形態や人材の多様化に対応できる環境を構築し、従業員待遇も改善していく方針であります。毎期実施している従業員満足度調査においても、着実に満足度は向上しております。このように会社と従業員との結びつきを強めていくことで事業成長の礎を作り、ひいては顧客価値と企業価値の向上をはかっていく所存であります。
当社は、2016年4月、車載基盤ソフトウエア開発のため、株式会社デンソー及び日本電気通信システム株式会社と、株式会社オーバス(現持分法適用関連会社、東京都港区)を設立いたしました。設立に際し、下表のとおり株主間契約を締結しております。
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契約会社名 |
相手先の名称 (所在地) |
契約締結日 |
契約期間 |
契約内容 |
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イーソル株式会社 |
株式会社デンソー (愛知県刈谷市)
日本電気通信 システム株式会社 (東京都港区) |
2016年4月6日 |
本契約締結日から、本契約の終了に関する本契約当事者全員の書面による合意がなされた時点等まで |
車載ソフトウエア開発・販売等を行う株式会社オーバスの設立・運営と協力関係について |
当社グループは、IoTなどコンピュータ技術の著しい進化に追随するため、積極的に研究開発を進めております。
現在の研究開発は、当社の技術本部を中心に担当し、当連結会計年度の研究開発費の総額は
(1)組込みソフトウエア事業
当セグメントの研究開発は、主に以下のような技術開発に向けて実施し、
① AUTOSAR OSの開発
先進運転支援や自動運転、コネクテッドカーなど電子化の著しい次世代のスマートモビリティの実現に向け、車載ソフトウエアのプラットフォームとしてのAUTOSAR規格に準拠した車載向けソフトウエアプラットフォームの開発を行っております。
② eMCOS/eMBPの開発
コンピュータの頭脳としてのCPUを複数搭載したコンピュータシステム向けのOSの開発を継続しております。コンピュータの性能向上技術としては、CPUを駆動するための周波数を早くするという手法が今まで一般的でしたが、現在では、複数のCPUを搭載する手法が主流となっており、今後はより多くのCPUが搭載されていくと考えられます。CPUの数が多くなると、新たな設計によるRTOSが必要となりますが、eMCOSはマルチコアからメニーコアまでスケーラブルな対応が可能となるよう設計されたRTOSであります。さらに、RTOS上のアプリケーションと、汎用のOS上のアプリケーションを同時に実行し、両者の統合をはかる技術の開発も進めております。また、マルチコア/メニーコア用の設計ツールeMBPの開発や標準化活動も継続しております。
③ 自動車向けAI応用技術eBRADの研究
自動車事故の低減や安全で快適な自動車の実現に、AI技術は不可欠であると考えております。当社では運転者個々の運転行動特性を学習してパーソナルな自動運転の判断モデルを生成するAIフレームワークeBRADの開発を行っております。この技術により、運転者や同乗者に違和感のない挙動と安心感を与えることが可能になると考えております。
④ 国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)向け開発
NEDOより採択された「高効率・高速処理を可能とするAIチップ・次世代コンピューティングの技術開発」に係るプラットフォームの開発を継続しております。
(2)センシングソリューション事業
該当事項はありません。