当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
当社グループは「シアワセを、自分から。」という企業理念の下、当社グループの直営店事業部門、プロデュース事業部門のお客様はもとより、当社グループの従業員、株主、債権者、仕入先、得意先、地域社会、行政機関等、ステークホルダーの皆様にシアワセを届けてまいります。当社グループでは「元気と笑顔と〇〇で、シアワセを届ける。」というミッションを従業員に与え、それぞれの立場、役割に応じて「〇〇」での部分を自ら考え、シアワセを届ける行動を促しております。
当社グループでは、直営店事業部門において、いつも美味いと言っていただける味の追求は勿論のこと、ご来店いただいたお客様に対して、エンターテイメント性や笑顔が溢れる店舗空間において、きめ細やかな気遣いを感じていただけるサービスを提供しております。また、プロデュース事業部門においては、当社グループに蓄積された繁盛店ノウハウをプロデュース店に惜しみなく注ぎ、常に美味しいラーメンが提供される地域で愛される店舗づくりに貢献しております。
当社グループにおける、このような取り組みを通して一人でも多くのお客様に数多く足を運んでいただき、お客様に満足していただくことで、当社グループとしての事業の拡大を図り、企業価値の向上につなげてまいりたいと考えております。
(2)経営環境
当連結会計年度におけるわが国経済は、コロナ禍前の正常な経済活動を取り戻しつつも、外国為替市場においては歴史的な円安が続き、輸入産品の価格高騰に端を発するインフレが進む状況下で推移してまいりました。
国内景気は、個人消費がコロナ禍で積み上がった過剰貯蓄の取り崩し等により、コロナ禍前の水準を取り戻す堅調な動きを見せておりますが、円安状況が継続する中で輸入産品の物価高の影響が少なからず生じていることから、回復基調は緩やかなものとなっております。一方、企業収益は、現下の円安状況を追い風として輸出企業の業績が堅調に推移しており、当連結会計年度における株式市場においては、日経平均株価がバブル崩壊前の1989年に付けた最高値を本年2月に34年ぶりに更新し、さらに7月には42,000円台の史上最高値を付ける等、国内景気の回復を期待させる状況も見え始めました。こうした経済状況の中で日銀は、3月にゼロ金利を解除し、7月には政策金利を0.25%に引き上げる施策を打ち出しましたが、8月に日経平均株価が史上最大の下げ幅を記録する等、株式市場へ影響を及ぼすこととなりました。
輸出入においては、為替市場において円安が継続していることから、円換算ベースの金額では輸出、輸入ともにコロナ禍前の水準を上回っております。輸出は、年初に発覚した一部自動車メーカーによる認証不正問題が生産停止、出荷停止等のマイナス影響を及ぼしたものの、年央にかけて各種停止措置が解除されたことによりその影響が限定的なものとなりましたが、当連結会計年度を通して製造業全体としては低調に推移することとなりました。輸入は、資源価格の値上がり、円安による輸入産品の価格押上げの影響により、輸入インフレを引き起こす状況にあります。そうした中で賃金は、深刻な人手不足に悩まされる宿泊、飲食等のサービス業を始め各産業において賃上げ圧力が高まっており、失業率が低水準で横ばいに推移する中、好調な企業業績を背景に大幅な賃上げを断行する企業が多数現れております。今春闘においては、ベースアップと定期昇給を合わせた平均賃上げ率は昨年を上回り、1991年以来33年ぶりに5%を超えることになりました。しかしながら、こうした賃上げ状況にあっても、インフレが進む環境下では実質賃金の減少を招き、個人消費の下振れリスクを依然としてはらんでおります。
こうした状況下、内閣府が発表した2024年7~9月期の国内総生産(GDP)速報値(物価変動の影響を除いた実質の季節調整値)は、前期比0.2%増(年率換算0.9%増)と2四半期連続のプラス成長となりました。当該GDP速報値の押し上げは、前述の一部自動車メーカーにおける認証不正問題に伴う生産減少の反動に加え、所得環境の改善、政府の定額減税の実施等によりGDPの半分以上を占める個人消費が回復したことに起因しております。また、本年10月の訪日外国人客は、日本政府観光局(JNTO)によると単月として過去最高の331万人を記録し、前年同月期比31.6%増(コロナ禍前の2019年10月比32.7%増)となっており、円安の影響により日本の物価が外国人観光客にとって割安になったことから旅行費、宿泊費等への支出が増加しており、当該インバウンド消費の好調さもGDPの押上げに貢献いたしました。今後、現下の円安環境が継続し、訪日外国人の更なる増加、旅行単価の上昇や滞在日数の長期化がなされれば、2019年に訪日外国人の3割以上を占めていた訪日中国人もコロナ禍前の8割近い水準まで回復してきていることから、さらなるインバウンド消費の増加が期待できる状況にあります。
一方、世界に目を向けると、2022年2月のロシアのウクライナへの軍事侵攻から2年半以上が経過してもなお依然として終戦の糸口が見つからないロシア・ウクライナ戦争、また2023年10月に勃発し、現在も緊張が続くイスラエルとハマスの軍事衝突問題等、大規模紛争が解決されないままの状況にあります。そうした中で先進各国においてはインフレが進行しており、これに対して欧米の中央銀行はこれまで金利引き上げにてインフレ抑制を図る等、先進各国の景気を維持してまいりましたが、ここにきて、金利引き下げを検討、実施する状況に至っております。
米国においては、米商務省が発表した2024年7~9月期の国内総生産(GDP)速報値が年率換算で前期比2.8%増と前四半期の成長基調を維持し、10四半期連続でプラス成長となりました。GDPの7割近くを占める個人消費が前期比3.7%増と好調に推移しているものの鈍化傾向も見え始めております。飲食を中心としたサービス消費がコロナ禍前の水準に戻りつつありますが、米国の中央銀行であるFRB(米連邦準備制度理事会)は、依然として高金利が継続する中で経済活動の鈍化が予想されることから、2024年9月に開催した米連邦公開市場委員会(FOMC)においてフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を0.5%下げ、4.75%~5.00%とする決定をしました。このようにインフレ抑制のために積極的に行ってきた政策金利のコントロールもGDP成長率が低下傾向にあること等により、利下げを実施することとなりました。
また、中国においては、中国国家統計局が発表した2024年7~9月期の国内総生産(GDP)速報値が物価の変動を調整した実質で前年同期比4.6%増(2024年1~9月期の9カ月間累計でのGDP速報値は前年同期比4.8%増)と政府目標の5.0%を下回る結果となりました。コロナ禍後、外食、娯楽、観光等のサービス消費が持ち直したものの、依然としてコロナ禍前の力強い経済成長が果たせていない状況にあり、その背景としては、個人消費の停滞と不動産市場の悪化が上げられております。中国政府が中央・地方政府債務残高の膨張回避を重視していることから、大規模な財政拡張には消極的な姿勢を示しており、経済成長が鈍化することとなりました。
こうした経済環境下、当社グループの属する外食産業は、国民生活がコロナ禍前の正常さを取り戻しつつある中で旅行、宿泊、飲食といったサービス消費が堅調な回復を図りつつあることから追い風の状況に移行しております。特に政府が各種入国管理規制を撤廃させたことにより、訪日外国人数が急回復しており、今後、一層のインバウンド需要の拡大が期待されております。足元の円安傾向も継続していることから、インバウンドビジネスにおいては、絶好のチャンスが到来している状況と言えます。一方で現下の雇用情勢は、労働逼迫の厳しい状況をもたらしており、外食産業においては、人手不足解消に向けての賃上げが不可避な状況に至っており、非正規労働者(パート、アルバイト)の時給も最低賃金の改訂等、上昇傾向にあります。
このような外食産業を取り巻く経営環境において、当社グループはコロナ禍前との対比において既存店売上高等の業績を堅調に伸長させており、加えてコロナ禍においても当社グループのラーメン業態の競争力を信じ、出店ペースを一切緩めなかったことがアフターコロナの成長軌道をより高いものといたしました。特に当社グループのラーメン業態力の評価を高めることとなったのが2022年6月に東京駅八重洲地下街にオープンさせた東京ラーメン横丁であります。複数資本のラーメン店を一堂に会する他の複合ラーメン施設(ラーメンコンプレックス)とは異なり、当社グループだけで繁盛7業態を展開できていることが高い評価につながっていると考えます。東京ラーメン横丁は、当連結会計年度においてもなお、各店舗ともに月間最高売上記録を更新する等、現在においてはコロナ禍期間も含めた数年にわたる当社グループの投資戦略、業態開発の成功を物語る施設となっております。さらに当社グループは、当該施設への複数店舗出店を成功に導いた業態開発力をさらに高めるべく、ラーメンマーケットにおけるマーケティング力、商品開発力の一層の強化を図り、今後も数多くの競争力ある業態を創り出し、有力マーケットに対して複数業態での新規出店を進めてまいります。
このように当社グループは、どのような経営環境であっても、これまで安定的な事業拡大を図ってきており、横浜家系ラーメン業態の「町田商店」、ガッツリ系ラーメン業態の「豚山」、油そば業態の「元祖油堂」といった競争力のある業態、ブランドに留まらず、次なる業態、ブランドの開発を常に進めながら、駅近立地、ロードサイド立地、商業施設内立地とあらゆるジャンルの出店立地を精力的に模索し、事業拡大を図ってまいりました。とりわけ、当連結会計年度において株式会社幸楽苑と交わした21店舗に及ぶ店舗継承契約を出店加速の追い風にしてまいりました。また、当社グループは、事業拡大に向けた各種取組みを進める一方、当連結会計年度においては、人件費等の運営コストの値上がりに対し、直営店舗にて提供する商品価格を見直さざるを得ない状況となり、採算確保のために最低限の価格転嫁(一部値上げ)を行ってまいりました。しかしながら、当該値上げによるマイナス影響は、現時点では確認されておらず、現在の積極的な新規出店状況においても既存店の来店客数の減少には繋がっていないという予想以上の好結果を生みだしております。
さらに、当社グループ直営店並びにプロデュース店への供給体制についてもビジネス効率、BCP(事業継続計画)等の総合的観点から、ここ数年、立地、生産品目等、生産体制の戦略的見直しを図っており、当連結会計年度においては、その一環として当期より生産を開始した神栖製麺工場(茨城県神栖市)が順調に生産数量を増やしております。この結果、製麺工場4拠点、チャーシュー工場1拠点、スープ工場1拠点と国内6工場体制がより強固なものとなりつつあります。当社グループでは、戦略的SCM(サプライチェーンマネジメント)の視点をもって物流効率、物流コスト、物流リードタイムの大幅改善を進めており、前年までに関東、中京・関西に物流倉庫を配備し、さらに、北関東・東北物流センターを新規開設する等、生産体制、物流体制の絶え間ない見直しを進めてきたことにより、直営店舗、プロデュース店舗に対して効率的な後方支援体制を整えるに至っております。また、当連結会計年度においては、店舗での提供商品の品質安定化を目指したIH機器への切り替えを順次進めるとともに、店舗内オペレーション、お客様の快適性を増すための店舗改装を積極的に行ってまいりました。
加えて、2024年6月に当社グループの創業の地である東京都町田市から若者が集う東京都渋谷区にある駅直結のサクラステージに本店所在地を移し、国内1,000店舗、海外1,000店舗の出店に向けての第二創業期に臨む強い意思表明を行いました。当社グループが出店する各種業態は、大幅な増店の中でも昨年度の既存店売上高および客数を維持する状況にありますが、最大の懸案は、新規出店加速、既存店の店舗クオリティ維持を両立させるための適正人員数を労働市場から遅滞なく確保していけるかという点であり、そのためにも渋谷に本社を構え、人材確保を適時適切に図っていく所存です。
以上のように、直営店やプロデュース店の出店戦略に留まらず、生産体制、物流体制、本社体制においてもグループ力強化を図ってまいりました当社グループは、コロナ禍前の正常さを取り戻した経済環境においても従業員の雇用確保、積極的な新規出店等、他の飲食業者と一線を画した事業活動を展開することができ、堅調な業績を確保することとなりました。当連結会計年度におきましては、国内の直営店、プロデュース店ともに店舗数を増加させることにより、売上拡大を図ることができました。
(3)中長期的な会社の経営戦略
当社グループは、国内事業のオーガニックな成長と海外事業の積極展開により、中長期目標として、“世界中に最高のラーメンをお届けできる企業”を目指し、2027年10月期を最終年度とした中期経営計画を策定し、以下の施策を重要テーマとして認識し、更なる企業価値向上を目指してまいります。
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重点テーマ |
取組みの概要 |
関連指標 |
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既存事業の拡大 |
・1店舗あたりの品質向上 |
・売上高成長率 ・ROE(自己資本当期純利益率) |
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人材の確保 |
・採用力強化 |
・売上高成長率 |
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出店力の強化 |
・モデル開発出店の推進 |
・売上高成長率 |
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海外展開の加速化 |
・海外推進体制の整備 |
・売上高成長率 |
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製造体制の強化 |
・製造コスト削減 |
・売上高成長率 ・ROE(自己資本当期純利益率) |
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購買、 物流体制の強化 |
・物流コストの最適化 |
・売上高成長率 ・ROE(自己資本当期純利益率) |
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DXの推進 |
・お客様の利便性向上 |
・売上高成長率 ・ROE(自己資本当期純利益率) |
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サステナビリティへの取り組み |
・サステナビリティ経営の推進と開示 |
・売上高成長率 ・ROE(自己資本当期純利益率) |
(4)優先的に対処すべき課題
当社グループでは、持続的な成長の実現と収益基盤強化のため、以下の課題について重点的に取り組んでまいります。なお、成長戦略を構成する新規出店等の投資につきましては、営業活動から生じるキャッシュ・フローと金融機関からの借入を中心とする財務活動から生じるキャッシュ・フローで賄える見込みであります。
① 人材確保に向けた取り組み
当社グループの属する外食産業においては、人手不足による人材の奪い合いや人件費の上昇など、人材の確保及び定着に対して厳しい状況が続いております。人材確保につきましては、最重要経営課題であると認識しており、採用力の強化、離職率低下、教育システムの改良の面から、あらゆる角度からアプローチを行っていく所存です。具体的には、キャストからの正社員登用、外国人の採用及び教育、賃上げ、店内労働環境改善に一層重点的に取り組んでまいります。これらにより、新規出店を支える人材の確保と定着を実現してまいります。
② 購買・物流体制の強化
当社グループは食材を調達・加工・調理しお客様にラーメンを提供しておりますが、食材の調達においては、世界的なインフレによる価格高騰や天候不順や自然災害等による一部の食材の需給逼迫が懸念されます。店舗数が拡大してきたことにより、仕入量が増加しており、規模のメリットを生かした仕入条件の良化により、食材の確保、コストコントロールに取り組んでおります。また、当社グループは日本国内各地に直営店舗やプロデュース店舗を多数有しておりますが、出店地域の拡大とともに、配送の遅延による欠品リスクや配送コストの高騰による収益性の悪化が懸念されます。
配送においては、SCMの視点をもって物流効率、物流コスト、物流リードタイムの大幅改善を進めており、日本各地に4物流センターを配置し、配送の効率性を向上させるとともに、配送頻度・配送品質の向上にも取り組み、お客様に、クオリティの高いラーメンをなるべく安価に提供できる体制を整えてまいります。
③ サステナビリティへの取り組み
当社グループは「シアワセを、自分から。」という企業理念の下、直営店事業部門ならびにプロデュース事業部門のお客様はもとより、当社グループの従業員、株主、債権者、仕入先、得意先、地域社会、行政機関等、すべてのステークホルダーの皆様にシアワセを届けてまいります。現在の世界情勢に目を配れば、一部地域において戦争や紛争等のいたましい出来事が勃発しており、加えて、気候変動や食糧危機など様々な社会・環境課題にも直面しております。こうした状況下、当社グループにおいては、上述の企業理念に基づく精力的な事業活動を通して、こうした課題と真摯に向き合うことにより、持続可能な社会の実現、豊かな食文化の発展に貢献してまいりたいと考えております。さらには当社グループの持続的な成長や企業価値向上をもたらすべく、サステナビリティ活動にも積極的に取り組んでまいりたいと考えます。
(5)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、国内事業のオーガニックな成長と海外事業の積極展開により、中長期目標として、“世界中に最高のラーメンをお届けできる企業”を目指し、2027年10月期を最終年度とした中期経営計画を策定し、事業拡大並びに企業価値向上を目指し、成長性に収益性を加えて、投資収益性を重要な経営指標と位置付けております。
・売上高成長率 20.0%以上
・売上高営業利益率 10.0%以上
・ROE(自己資本当期純利益率) 20.0%以上
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取り組みは、次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
当社グループは「シアワセを、自分から。」という企業理念の下、当社グループの直営店事業部門、プロデュース事業部門のお客様はもとより、当社グループの従業員、株主、債権者、仕入先、得意先、地域社会、行政機関等、すべてのステークホルダーの皆様にシアワセを届けてまいります。現在の世界情勢に目を配れば、一部地域において戦争、紛争等のいたましい出来事が勃発しており、加えて、気候変動や食糧危機など様々な社会・環境課題にも直面しております。当社グループにおいては、上述の企業理念に基づく精力的な事業活動を通して、サステナビリティに関する課題と真摯に向き合うことにより、持続可能な社会の実現、豊かな食文化の発展に貢献してまいりたいと考えております。さらには当社グループの持続的な成長や企業価値向上をもたらすべく、サステナビリティ活動にも積極的に取り組んでまいりたいと考えます。
また、当社グループは、持続可能な社会の実現に向けて、環境保全を重要な経営課題の一つと捉え、当社取締役会で決議された以下の方針に基づいて事業活動を推進します。
1.環境法令・規範の遵守
環境に関する法律、条例、規範を厳守し、全ての事業活動においてコンプライアンスを徹底します。
2.環境への配慮
当社グループの事業活動が環境に及ぼす影響を考慮し、グループ全体でCO2排出量削減、廃棄物削減、節水など環境負荷の低減に取り組みます。
3.環境教育の推進
全社員が環境に配慮した行動をとれるよう、環境意識向上のための教育や啓蒙活動を積極的に推進します。
4.環境マネジメントと情報開示
各事業成長段階に応じた具体的な環境目標を設定し、定期的に見直しを行いながら、環境負荷の継続的な軽減を目指します。また、その取り組みを透明性を持って社会に開示します。
これらの環境方針に基づき、私たちは地球環境と共存する持続可能なビジネスを追求してまいります。
(1)ガバナンス
当社グループは、サステナビリティに関するガバナンス体制として、「サステナビリティ推進委員会」(以後、「推進委員会」という。)、並びに「サステナビリティ実務委員会」(以後、「実務委員会」という。)を設置しております。推進委員会は、当社代表取締役社長を委員長、当社取締役(監査等委員を除く。)を委員、経営企画室を事務局として構成され、実務委員会は、推進委員会によるサステナビリティ活動の実効性を高めるべく、経営企画室長を委員長、本社バックオフィス部門のスタッフを委員として構成され、推進委員会の下部組織として設置しており、月に複数回程度開催しております。
実務委員会では、当社グループにおけるサステナビリティにかかるリスクと機会を補足し、各種活動の提案を推進委員会に対して積極的に行うことを目的としております。また、実務委員会からの提案を受け、推進委員会では各種活動のプライオリティを定め、意思決定機関である取締役会にサステナビリティ活動方針を答申するとともに取締役会よりサステナビリティ活動の推進にかかる執行権限の委譲を受け、サステナビリティ活動への取り組み、各種課題への対応を協議し、各業務執行部門にサステナビリティ活動の実施を指示しております。また、決定された各種サステナビリティ活動に対して、実務委員会では活動状況をモニタリングし、その進捗状況を管理しております。さらに、実務委員会では、四半期に一回、各種活動の進捗状況を推進委員会に報告しております。
(2)戦略
当社グループは、持続可能な社会づくりに貢献すべく、ESG(Environment:環境、Social:社会、Governance:ガバナンス)を重視した経営に取り組むとともに、SDGsも踏まえたサステナビリティ活動を推進してまいります。特に飲食業者としての事業特性を認識し、食品廃棄ロスの低減、食品廃棄物のリサイクル、環境に配慮した製品開発等を重要課題と位置付け、推進委員会を中心にグループ全体にて取り組んでまいります。
また、近年、持続可能な成長や社会的責任への関心が一層高まっていることを受け、当社グループとしてもその重要性を強く認識しております。この認識に基づき、ESG評価機関の評価項目を参考に、社会課題や事業活動における課題を洗い出し、社会的関心度と当社グループにとっての重要性を軸に優先順位を検討しました。その結果、下記の通り、特に優先度の高い課題を「マテリアリティ(重要課題)」として策定し、グループ全体で解決に向けた取り組みを推進しております。なお、このマテリアリティは、社会情勢の変化や新たな課題の発生を踏まえ、定期的に見直しを行い、適切に更新してまいります。
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マテリアリティ |
取り組む課題 |
対応するSDGs |
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環境 |
持続可能な地球環境への貢献 |
CO₂排出量の削減 |
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廃棄物の削減 |
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社会 |
活力ある豊かな社会づくりへの貢献 |
食品安全の徹底 |
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地域社会への貢献 |
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ガバナンス |
働きがいを高めるガバナンスの構築に貢献 |
多様性の確保と女性活躍の推進 |
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働き方改革と離職率の低減 |
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また、当社グループの事業成長の前提となる人材の多様性の確保を含む人材の育成、人材適正配置等といった社内環境整備といった人材戦略につきましては、当社グループが展開する飲食事業の事業特性を鑑みるに極めて重要であり、企業価値向上に直結するテーマであると認識しております。そのためには、人材育成、人材適正配置にかかる戦略展開のため、人材を人的資本と捉え、グループ全体の俯瞰的見地から人的資本に対して最適な育成投資を行い、企業価値最大化を図ってまいります。
さらに、人材の多様性の確保を図るべく、女性活躍、外国人材の登用、障がい者雇用といったダイバシティマネジメントについても重要命題として取り組んでまいります。当社グループでは、多様な人材を雇用しグループ内の適所に派遣する機能を有する株式会社ギフトダイバシティソリューションという子会社を設立して、多様性に富んだ人材登用の仕組み化を進めております。また、人材育成を含めた社内環境整備の観点から、人材教育にかかる専門部署を設置し、店舗、工場、営業、本社といった各部門における各種階層の教育、研修については年間カリキュラムを予め定め、社員の受講を促しており、ワークショップ形式で行う当該教育、研修は一定の人材育成に貢献しております。
また、当社グループでは、環境問題が事業活動に与える影響を適切に評価するため、環境に関するシナリオ分析を行っています。この分析を通じて、気候変動による自然災害や資源の枯渇などのリスクを定量的に把握すると同時に、持続可能な社会づくりに貢献する新たな事業機会の発掘に取り組んでまいります。
①シナリオの世界観
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対象年 |
対象範囲 |
シナリオ |
想定した世界観 |
主な参照シナリオ |
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2030年 |
国内の直営店事業 |
1.5℃シナリオ (2℃シナリオ) |
2100年において、産業革命期比で1.5℃未満の平均気温上昇が想定されるシナリオ。 脱炭素社会の実現するために、現状以上の厳しい政策・法規制等が行われる。 |
・IEA Net Zero Emissions by2050 ・IPCC RCP8.5 |
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4℃シナリオ |
2100年時において、産業革命時期比で約4℃の平均気温上昇が想定されるシナリオ。 気候変動問題を軽減するための積極的な政策法規制などは行われず、成り行きで現行の政策が続くため、異常気象の激甚化が顕著に表れる。 |
・IEA Stated Polices Scenario
・IPCC RCP8.5 |
②移行リスク及び物理リスク
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リスクの種類 |
カテゴリー |
リスク項目 |
具体的な影響 |
想定 される 発生時期 |
想定 される 財務影響 |
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移行 リスク |
政策・ 規制 |
炭素税の導入 |
・店舗の運営コストの増加 ・省エネ設備導入に向けた設備投資費用の増加 ・原材料価格の上昇 |
長期 |
大 |
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プラスチック代替 |
・プラスチックに関する規制に対応するため、プラスチック製以外の原材料に切り替えることで発生するコストの増加 |
中期~ 長期 |
大 |
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食品廃棄ロスの 削減 |
・食品廃棄ロス削減に向けた取り組みの深化により、設備投資費用の増加やその他対応コストの増加 |
中期~ 長期 |
小 |
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市場・ 評判
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エネルギー価格 |
・化石燃料価格の高騰により、物流施設や店舗などの操業コストや配送時の燃料費などのコストが増加 ・電力価格の高騰により、物流施設や店舗などの操業コストや配送時の燃料費などのコストが増加 |
中期~ 長期 |
大 |
|
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嗜好の変化 |
・気候変動に対する世間の関心が高まる中、エシカル消費への需要が増加し、脱炭素が進んでいないというイメージが定着することで、売上が減少 |
短期~ 長期 |
小 |
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気候変動問題への対応 |
・気候変動問題への対応が遅れることで、投資家からの資本調達が難しくなり、資本調達コストが増加 |
短期~ 長期 |
中 |
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物理 リスク |
急性 |
異常気象の激甚化 |
・洪水リスクの高い地域にある事業所・店舗への災害リスク(店舗設備の倒壊、営業停止等)の増加 ・集中豪雨、台風、猛暑日などの異常気象により、来店頻度の減少 ・集中豪雨、台風などの異常気象にも耐えられる物流確保・商品確保へ対応するために、物流の見直しを行い、コストが増加 |
短期~ 長期 |
中 |
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・異常気象によって農作物不作、または品質が低下し、原材料価格の上昇 |
短期~ 長期 |
大 |
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慢性 |
平均気温の上昇 |
・食材の保管環境に影響を与え、消費期限が短くなることで、それに伴う食品廃棄や提供方法の見直しが必要となり、そのための追加コストが発生 |
中期~ 長期 |
大 |
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・冷房、冷蔵等に必要なエネルギーコストの増加 ・平均気温上昇により、来店頻度が減少 ・疫病、パンデミックの複合的な発生による営業停止 |
中期~ 長期 |
中 |
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気象パターンの 変化 |
・原材料産地への影響を及ぼし、原材料価格が上昇 |
長期 |
大 |
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|
・害虫発生により、原材料の安定した調達が困難となり、対応コストが発生 ・降雨、強風の増大による物流遅延や事故の発生 |
長期 |
中 |
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海面上昇 |
・高潮・高波による浸水リスクの増加に伴い、中長期的に拠点の立地について再検討する必要が発生し、移転コストが発生 |
長期 |
中 |
③機会
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リスクの種類 |
カテゴリー |
リスク項目 |
具体的な内容 |
想定 される 発生時期 |
想定 される 財務影響 |
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機会 |
資源の効率・エネルギー |
食品廃棄ロス |
・廃油リサイクルなど、廃棄物の削減による、廃棄物処理費用の削減 |
中期 |
中 |
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平均気温の上昇 |
・寒冷地の気温上昇により、これまで栽培できなかった作物の生産が可能となり、コストが削減 |
長期 |
小 |
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省エネの推進 |
・省エネ推進に伴う電力使用コストの削減 |
短期~ 長期 |
小 |
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物流の効率化 |
・物流の効率化による輸送コストの減少 |
中期~ 長期 |
小 |
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市場・ 評判 |
し好の変化 |
・環境に配慮した商品・サービス開発による売上の向上 ・し好の変化 気温上昇による、消費者のし好の変化に合わせた商品・サービスの開発による売上の向上 |
短期~ 長期 |
中 |
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気候変動問題への対応 |
・気候変動問題に対してしっかりと対応することで、投資家からの評価が高まり、資本調達力が向上 |
短期~ 長期 |
小 |
※短期(0~2年)、中期(3~5年)、長期(5年超)
(3)リスク管理
当社グループでは、グループ経営にかかるリスクの網羅的抽出と抽出されたリスクに対する低減活動を推進するべく、リスク管理委員会を設置し、四半期毎に立案されたリスク低減計画とその達成状況について取締役会に報告し、評価を受け、改善等の指示をもらう体制を有しております(リスク管理委員会の詳細におきましては、「
また、サステナビリティに関連するリスクについては、実務委員会において経営環境や他社例などを分析することで、そのリスクと機会を識別及び評価しております。評価結果に基づき、推進委員会にそのリスクに対応したサステナビリティ活動を提案し、決定した活動については進捗状況などを管理しております。また、当社グループではリスク管理委員会と連携し各種リスク対応が各委員会で重複すること無く網羅的に対応されることを担保しております。
(4)指標及び目標
当社グループにおいて、重要課題と位置付けている食品廃棄ロスの低減、食品廃棄物のリサイクル、環境に配慮した製品開発等につきましては、当社グループにおける食品廃棄ロスの低減に向けた仕入管理、物流管理の更なる精度向上、食品廃棄物再生利用の更なる推進、外部からの食品廃棄物の更なる受入推進等を展開することにより、それぞれの指標改善を進めてまいります。TCFDの枠組みにおいては、年間を通しての店舗売上高あたりのCO2削減量を毎年△1.0%とする数値目標を掲げ、店舗、工場、本社それぞれがCO2削減の取り組みを進めております。
また、人材戦略においてダイバシティマネジメントを推進していくにあたり、下記内容の各目標達成に向け、取り組んでまいります。
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内容 |
現在 |
目標 |
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その他サステナビリティに関する詳細な情報については当社ウェブサイト(URL
本有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、次のようなものがあります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
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事業等のリスク |
発生要因 |
経営方針、経営戦略との関連性、及び程度 |
当該リスクの重要性 |
顕在化する可能性の程度 |
顕在化した場合の影響の内容 |
当該リスクへの対応策 |
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(1)① 市場環境の変化、競争激化 |
外食機会の減少、食の安全性、健康志向、消費低迷、低価格競争、他市場の成長 |
売上高成長率 |
中 |
高 |
PL、BSへの影響:中 |
既存事業の「商品」「オペレーション」「製造・物流」の改善、多店舗化、新業態の開発 |
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(1)② 原材料等の価格変動 |
小麦相場、生産地の気候・社会的混乱、需要の拡大、為替相場 |
売上高営業利益率 |
中 |
高 |
PL、BSへの影響:中 |
既存事業の「商品」「オペレーション」「製造・物流」の改善、多店舗化、新業態の開発 |
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(1)③ 大規模自然災害の発生 |
地震、台風、豪雨等の自然災害 |
売上高成長率 |
高 |
低 |
PL、BSへの影響:高 |
BCPの策定 |
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(1)④ パンデミックの発生 |
感染者発生、営業自粛 |
売上高成長率 |
高 |
低 |
PL、BSへの影響:高 |
感染症対策、きめ細かい販売管理 |
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(2)① 人材採用並びに人材育成難、及び人材コスト増について |
採用環境の変化、成長度合 |
売上高成長率 |
中 |
中 |
PL、BSへの影響:中 |
知名度向上、採用手法の多様化、教育・実習の充実化 |
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(2)② 商標の模倣 |
類似商標の利用 |
売上高成長率 |
低 |
低 |
PL、BSへの影響:低 |
商標管理の徹底 |
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(2)③ 直営店の多店舗展開を事業拡大の前提としていること |
好立地探索時間の増、出店契約成立率の減 |
売上高成長率 |
低 |
低 |
PL、BSへの影響:低 |
立地戦略の機動的見直し |
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(2)④ プロデュース店の店舗展開 |
運営企業の業績悪化 |
売上高成長率 |
低 |
中 |
PL、BSへの影響:低 |
プロデュース店への経営指導 |
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(2)⑤ 海外展開 |
政治情勢、経済情勢、戦争などによる社会的混乱 |
売上高成長率 |
低 |
低 |
PL、BSへの影響:低 |
海外戦略の機動的見直し |
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(3)① 食品の安全管理 |
安全管理・衛生管理の不徹底、法的規制の強化 |
売上高営業利益率
程度:中 |
中 |
低 |
PL、BSへの影響:中
販売戦略に影響 |
安全管理・衛生管理の徹底、コンプライアンスの徹底 |
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(3)② 他社類似商号との誤認 |
他社店舗における安全、衛生事故 |
売上高成長率 |
低 |
低 |
PL、BSへの影響:低 |
広報・IR、アカウンタビリティの徹底 |
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(3)③ 店舗における酒類提供 |
未成年顧客による飲酒、顧客の飲酒運転 |
売上高成長率 |
低 |
低 |
PL、BSへの影響:低 |
店舗における酒類提供マニュアルの徹底 |
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(3)④ 労務関連 |
法的規制の強化、労働環境の変化 |
売上高成長率 |
中 |
中 |
PL、BSへの影響:低 |
労務管理の徹底 |
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(3)⑤ 個人情報の管理 |
個人情報の漏洩、不正使用 |
売上高成長率 |
低 |
低 |
PL、BSへの影響:低 |
個人情報管理の徹底 |
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(4)① 直営店舗の賃借 |
賃貸人の財政悪化 |
売上高成長率 |
低 |
低 |
PL、BSへの影響:低 |
賃貸人与信管理の徹底 |
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(4)② 普通建物賃貸借契約の店舗からの立退き |
区画整理、建物老朽化 |
売上高成長率 |
低 |
低 |
PL、BSへの影響:低 |
都市開発事業等の自治体事業情報を的確に収集 |
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(4)③ 特定の人物への依存 |
後継人材育成の遅れ、社長の退任 |
売上高成長率 |
低 |
低 |
PL、BSへの影響:低 |
ガバナンスコードに準拠した後継者育成 |
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(4)④ 固定資産にかかる減損会計の適用 |
想定CFの未創出 |
売上高成長率 |
中 |
高 |
PL、BSへの影響:中 |
立地戦略の徹底 |
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(5)① IT(情報システム)への依存 |
不正アクセス、プログラムの不具合 |
売上高成長率 |
中 |
低 |
PL、BSへの影響:低 |
IT戦略の機動的な見直し |
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(5)② インターネット等による風評被害 |
SNSでのデマ拡散 |
売上高成長率 |
低 |
中 |
PL、BSへの影響:低 |
SNSパトロールの徹底 |
(1)事業環境について
① 市場環境及び競合について
外食産業を取り巻く環境は、人口減少社会と言われるわが国において、生活費節約意識の高まりによる外食機会の減少、食の安全性に対する消費者意識の高まり、低価格競争の激化等により、今後も厳しい状況が継続するものと想定されます。加えて当社グループの提供するようなラーメンがダイエット、健康とは対極をなすような報道等も一部に見受けられることから、弁当・惣菜等の中食市場の成長、価格競争の激化等も手伝い、厳しい市場環境となっております。また、外食業界は、他業界と比較すると参入障壁が低いため新規参入が多く、個人消費の低迷の中、価格競争などにより、今後も競争環境は続いていくものと考えます。このような状況の下で、当社グループは店舗のコンセプトを明確にし、競合他社との差別化を図っておりますが、今後、競合状態がさらに激化した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
② 原材料の価格変動等によるリスクについて
当社グループが提供する製品の原材料である小麦粉は厳選された海外産を国内輸入業者の十分な品質検査を経て仕入れておりますが、その価格は商品相場、消費量の急激な増加による需要の拡大、ならびに、為替相場の影響などがあるとともに、生産地域の異常気象による収穫量の減少、政変や社会・経済情勢の変化、並びに、テロや戦争などによる社会的混乱などを受けて変動します。特に近年の世界的な物価高上昇に伴い小麦粉をはじめとする原材料価格の高騰が続いており、これにより当社グループの調達コストの増加が進行しております。これらの原材料の価格高騰が生じた場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
③ 大規模自然災害の発生について
当社グループは、日本国内各地に店舗と製麺及び食材供給のための工場を多数有しております。ここ数年、国内においては、2011年3月に起こった東日本大震災を筆頭に地震、台風、豪雨等の大規模な自然災害が発生しており、今後も自然災害の規模によっては、店舗の一時休業、製麺・食材の供給遅れ等の事態を招くことが想定されます。当社グループでは、こうした災害の発生しやすい自然環境を前提としてBCP(事業継続計画)を策定し、直営店舗、工場、及び本社等に、不測事態における避難場所や緊急連絡方法等を明記した危機管理マニュアルを配付し、万全を期しております。しかしながら、自然災害の規模が想定以上となった場合においては、店舗や工場等のスタッフの人命にかかわる状況を招くなど、停電や風水害等により工場が機能停止に至るおそれがあります。このように想定以上の大規模自然災害が発生した場合においては、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
④ パンデミックの発生について
今般発生した新型コロナウイルス感染症の世界的大流行は、多くの人命を奪い、世界経済に大きな打撃を与えることが確認されております。日本においては、政府、各自治体から営業時間短縮を始めとする営業自粛要請が発せられたことに伴い、当社グループの事業においても少なからず影響を受けることとなりました。ただし、当社グループの提供する飲食事業は、日常食であるラーメンに特化して展開しており、お祝いや記念等において利用される「ハレ消費」の飲食事業モデルとは一線を画すことから、一定程度の影響に留まることも確認できました。今後、今回のパンデミックと同等以上の事態に至った場合においても営業時間調整、一定の各種感染症対策等を講じることで完全休業には至らない状況で営業活動を送ることができるものと考えます。しかしながら、今回以上のパンデミックが発生した場合においては、当社グループの経営成績及び財政状態に今回以上の影響を及ぼす可能性があります。
(2)事業展開及び提供サービスに関するリスクについて
① 人材採用並びに人材育成、及び人材コスト増について
当社グループが直営店舗による店舗展開を続けていくためには、必要な人材の確保及び十分な育成が不可欠であります。人材採用に当たっては、知名度の向上や採用手法の多様化に取り組むことで、新卒社員、中途社員の確保に努めております。人材育成については採用後一定期間の教育及び実習などを含め、店舗運営に必要な知識・技能が身につけられるようカリキュラムを組んでおります。さらに、店舗管理者の育成も重要であり、店舗内におけるOJTを通じて店長候補者を育成し、店長試験を経て各店舗に店長を配置しております。しかし、人材採用環境の変化等により必要な人材が確保できない場合や、採用した人材の教育が店舗運営に必要なレベルに到達せず、店長候補者が育成できない場合は、直営店の出店が計画どおりにできないこととなります。加えて、労働市場の競争激化や最低賃金の引き上げに伴い、人材費や教育コストが増加しており、人材コスト全体の上昇が当社グループの収益性に影響を及ぼす可能性もあります。
② 商標の模倣について
当社グループは、基本的にブランド等の商標を国内及び海外において登録、並びに維持管理することで当社グループのブランド価値を担保しております。当社グループは、法律家、専門家の意見を十分に聞きながら当該戦略を展開しておりますが、仮に第三者が類似した商標を使用する等、当社グループのブランドの価値が毀損される事態に至った場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
③ 直営店の多店舗展開(新規出店)を事業拡大の前提としていることについて
当社グループは、国内及び海外における直営店舗の店舗数拡大による売上及び利益の増加を前提として置いております。直営店においては、ご来店いただいたお客さま数とその客単価の乗数によって店舗売上高が決まる事業構造であることから、事業を拡大していくには来店客数を増やす必要があり、その最も有効な手段が新規店舗の出店であり、当社グループの事業成長の前提であると認識しております。当社グループは、新規出店地域の探索にあたり、立地特性にかかる各種マーケティングデータを総合勘案して決定していることから、新規出店の業績寄与を一定の精度にて見込むことができております。しかしながら、新規出店店舗の探索に想定外の時間を要するような事態に陥った場合、出店希望物件に対する契約成約率が想定を超えて下回った場合、並びに出店後計画通りの収益が確保できない状況が生じた場合等には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
④ プロデュース店の店舗展開について
当社グループは直営店の店舗展開のほか、プロデュース店の店舗展開の拡大を図っております。当社グループはプロデュース店が麺、タレ、スープ、食材などを当社グループより継続購入することを条件に、プロデュース店に無償または有償にて店舗運営ノウハウを提供しております。外食産業全般の市場縮小やプロデュース店運営企業の業績悪化により、プロデュース店の店舗数が減少した場合には、売上高が減少し、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
⑤ 海外事業の展開について
当社グループの直営店事業部門は2014年10月期まで国内を中心に展開してまいりましたが、2016年に米国に、
2024年に中国に法人を設立し、直営店を各国内にオープンしております。また、プロデュース事業部門においては東南アジアを中心に営業活動を展開しております。それぞれの国や地域における政変や社会・経済情勢の変化、並びに、テロや戦争などによる社会的混乱等の影響により、店舗の営業が継続困難となった場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(3)法的規制及び知的財産等に関するリスクについて
① 食品の安全管理について
当社グループは「食品衛生法」に基づき、所管保健所から飲食店営業許可を取得し、すべての国内直営店舗に食品衛生管理者を配置しております。また、各店舗では、店舗運営マニュアルに基づき衛生や品質に対する管理を徹底するとともに、外部機関による衛生検査等を実施しております。しかしながら、万が一、食中毒等の事故が発生した場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。また、監督官庁からの飲食店営業許可が必要であることに加え、環境保護に関して「食品リサイクル法」等、各種環境保全に関する法令の制限を受けております。これらの法的規制が強化された場合には、設備投資等の新たな費用が発生・増加すること等により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
② 「横浜家系ラーメン町田商店」に係る他社類似商号との誤認について
当社グループは「横浜家系ラーメン町田商店」を商標登録しておりますが「横浜家系ラーメン」という名称は、一般用語であり、当該文字自体を商標として登録することはできません。こうした中、当社グループと資本関係、取引関係のいずれも有さない他社が「横浜家系ラーメン」の店舗を運営しているケースは多々あり、その店舗が当社グループの店舗と誤認するような類似商号を付して展開しているケースも数多く散見されることから、当社グループ店舗と誤認されるおそれもあります。当社グループでは、直営店舗での営業について責任をもって行っておりますが、類似商号を付す他社店舗で食中毒、異物混入といった重大事故が発生した場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
③ 店舗における酒類提供について
当社グループの店舗は「未成年者飲酒禁止法」「道路交通法」等による規制を受けております。当社グループではアルコールの注文をされたお客様に、自動車等の運転がないか、また、未成年の可能性がある場合には未成年でないか確認を行うことにより、十分に注意喚起を行っております。しかしながら、未成年者の飲酒及びお客様の飲酒運転に伴う交通事故等により、当社グループ及び従業員が法令違反等による罪に問われ、あるいは店舗の営業が制限された場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
④ 労務関連について
当社グループでは直営店舗や工場で多くのパート・アルバイト等、多くの有期契約社員が業務に従事しております。昨今の「働き方改革関連法」の施行により、時間外労働の上限規制が強化されたほか、同一労働同一賃金の導入により、有期契約社員と正社員の間の不合理な待遇差を是正する処置が義務化されました。また、2022年10月には厚生年金及び健康保険の適用範囲が拡大され、短期間勤務の労働者も広く社会保障の対象となっております。こうした労働関連法規制への対応や労働環境の変化により、優秀な人材を雇用できなくなる可能性や直営店舗での人件費が上昇する可能性があります。また、労働関連法規制の違反が発生した場合は、規制当局から業務改善命令が命じられること又は従業員からの請求を受けること等により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
⑤ 個人情報の管理について
当社グループは「個人情報の保護に関する法律」に基づく個人情報取扱事業者として従業員及びお客様の個人情報を保有しております。社内では当該情報管理方法をより細かく記載した「個人情報管理規程」に則り管理の徹底を図っておりますが、万が一、個人情報の漏えいや不正使用等の事態が生じた場合には、社会的信用の失墜、損害賠償請求の提起等により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(4)事業運営体制に関するリスクについて
① 直営店舗の賃借について
当社グループは、直営店舗の出店については賃借を前提としており、状況に応じて賃貸人に対し保証金等を差し入れております。新規出店に際しては、賃貸人の与信管理を徹底しておりますが、賃貸人の財政状態が悪化した場合、差入保証金等の一部又は全部が回収不能に陥ることや、賃借物件の継続的使用が困難となることも考えられます。その場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
② 普通建物賃貸借契約の店舗からの立退きについて
当社グループは、直営店舗の賃貸借にあたり普通建物賃貸借契約等を締結しております。普通建物賃貸借契約では正当な事由がない限り、貸主からの解約申入れや更新拒絶がなされないことが法令で定められております。しかしながら、賃借店舗のある地域が土地区画整理事業等の対象地域に指定された場合、建物自体が老朽化して建て直しが必要になった場合等においては、正当な事由と認定されることがあります。当社グループでは、普通建物賃貸借契約の締結にあたっては、こうした事情が発生しないかどうかをきめ細かく確認して契約を締結しておりますが、想定外の正当な事由により立退きを余儀なくされた場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
③ 特定の人物への依存について
当社グループの経営は、創業者であり、代表取締役社長である田川翔に依存する部分が相当程度存在しております。特に経営の根幹にかかる経営方針や経営戦略等の策定、並びに事業成長の前提となる商品開発や新規出店等について依存しております。当社グループでは、組織体制を整備し、同氏に依存しない体制を構築すべく、内部での人材育成を積極的に進め、重要組織分掌の果たすことのできる人材を外部から招聘することなどにより依存脱却を進めております。しかしながら、適正な人材が一定数確保できない場合や育成が遅れた場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
④ 固定資産にかかる減損会計の適用について
当社グループは、キャッシュ・フローの認識を最小の組織単位である直営店舗毎に行っております。投資した固定資産については、当該組織単位で生み出されるキャッシュ・フローで回収することとし、回収の可能性に疑義が生じた場合、減損損失を認識することとしております。当社グループは、出店にあたっては十分な検討を踏まえて店舗選定を行い、適正賃料にて店舗賃貸借契約を行い、全ての店舗においてキャッシュ・フローが適正に創出されることを前提としておりますが、想定どおりキャッシュ・フローが創出できない場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(5)その他のリスクについて
① ITへの依存について
当社グループは、受発注業務、原材料仕入、店舗運営等、多くを情報システムに依存しております。安定的なシステム運用を行うために、セキュリティ機能の強化、社内体制の整備等を行っておりますが、プログラムの不具合や不正アクセス等により大規模なシステム障害が発生した場合、店舗運営が滞ることや対応費用が発生すること等により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
② インターネット等による風評被害について
ソーシャルネットワークが社会的な拡がりを見せる中、当社グループでは、インターネット上の当社グループに関する書き込みを広範にチェック、確認する体制を構築しており、当該書き込みが当社グループのレピュテーションリスクに繋がらないかどうかを常にモニタリングしております。しかし、当社グループの店舗に来店されたお客様、当社グループと取引関係にある企業の方々、または全くの第三者等がインターネット上に書き込んだ記事内容や、それを起因したマスコミ報道等により風評被害が発生、拡散した場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(1)経営成績
① 事業全体の状況
「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)経営環境」に記載いたしましたとおり、当社グループは、新規出店に伴う従業員の適正確保を図り積極的な事業活動を展開することができたことから、堅調な業績を確保することができました。当連結会計年度におきましては、直営店、プロデュース店ともに店舗数を増加させることにより、事業拡大を図ることができました。
以上の結果、当連結会計年度の経営成績は、下記のとおりとなりました。
(売上高)
当社グループの売上高は28,472,954千円(前年同期比23.9%増)となりました。これは主に、今期は既存店売上高が堅調に推移するとともに新規出店を実施したことによるものです。
(営業利益)
当社グループの営業利益は2,909,253千円(前年同期比23.7%増)となりました。これは主に、既存店売上高が堅調に推移したことに伴い利益率が向上したことによります。
(経常利益)
当社グループの経常利益は2,972,177千円(前年同期比22.6%増)となりました。これは主に、営業利益が増加したことによるものです。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
当社グループの親会社株主に帰属する当期純利益は1,875,631千円(前年同期比17.4%増)となりました。これは主に、営業利益が増加したことによるものです。
また、当連結会計年度の目標とする経営指標は、下記のとおりとなりました。
〈売上高成長率〉
当社グループの売上高成長率は前年同期比23.9%増(2024年10月期目標20.0%増以上)となりました。これは主に、既存店の売上高が好調であったためです。
〈売上高営業利益率〉
売上高営業利益率は10.2%(2024年10月期目標9.5%以上)となりました。これは主に、既存店の売上高が好調であったためです。
〈ROA(総資産経常利益率)〉
ROA(総資産経常利益率)は20.1%(2024年10月期目標20.0%以上)となりました。これは主に、既存店の売上高が好調であったためです。
〈ROE(自己資本当期純利益率)〉
ROE(自己資本当期純利益率)は24.8%(2024年10月期目標20.0%以上)となりました。これは主に、既存店の売上高が好調であったためです。
② 事業部門別の状況
(直営店事業部門)
国内直営店事業部門においては、当連結会計年度を通じて積極的な出店を続け、直営店41店舗の新規出店を果たしましたが、出店ビルの建て壊し等のやむを得ない事情により立ち退きを余儀なくされた既存店3店舗の撤退を差し引き、38店舗の純増となりました。当該期間における直営店の新規出店は、主力である横浜家系ラーメン業態の「町田商店」で23店舗、ガッツリ系ラーメン業態の「豚山」で5店舗、油そば業態の「元祖油堂」で9店舗、その他業態で4店舗とバランスよく行うことができました。
当連結会計年度におきましては、「町田商店」ブランドにてロードサイド店19店舗、駅近店3店舗、ショッピングセンター内1店舗を出店いたしました。ロードサイド店としては、全国にバランスよく出店することができ、関東地方11店舗(千葉県5店舗、神奈川県2店舗、埼玉県2店舗、群馬県2店舗)、東北地方4店舗(宮城県1店舗、岩手県1店舗、新潟県2店舗)、関西地方1店舗(大阪府1店舗)、中部地方3店舗(愛知県3店舗)の出店となりました。また、駅近店としては、小田急線新百合ヶ丘駅、JR横浜線と横浜市営地下鉄が交わる中山駅、JR中央線、総武線と東京メトロが交わる四ツ谷駅にそれぞれ出店し、地域のお客様より好評を博すラーメン店としてのスタートを切ることができております。さらに相鉄いずみ野線ゆめが丘駅直結の大規模複合商業施設「ゆめが丘ソラトス」へ当社2店舗目となるショッピングセンター内出店を果たしました。
「町田商店」に次ぐ第2ブランドであるガッツリ系ラーメン業態の「豚山」では、当連結会計年度において、ロードサイド店2店舗、駅近店3店舗を出店いたしました。ロードサイド店としては、埼玉県さいたま市、静岡県静岡市にそれぞれ出店いたしました。「豚山」のロードサイド店は、前期より出店を開始しており、駐車場を完備したロードサイドの本格的ガッツリ系ラーメン業態として、どの店舗も一定のご評価をいただいており、新たな顧客ニーズを発掘することとなりました。また駅近店としては、ビッグターミナル駅である北千住駅、新幹線が停車する名古屋駅、さらには豚山1号店である町田店の近隣に町田2号店を出店いたしました。
さらに当連結会計年度では、新規出店時に店舗のインフラ上の制約を比較的受けにくいブランドであり、当社グループの第3ブランドの地位を確立しつつある油そば業態の「元祖油堂」を首都圏の駅近エリアに9店舗出店いたしました。出店先は、東京メトロ日比谷線の神谷町駅、JRと東京メトロ日比谷線が交錯する恵比寿駅、JR、小田急線、江ノ島電鉄(江ノ電)が通る藤沢駅、JR田町駅、JR国立駅、繁華街である新宿歌舞伎町、六本木と多岐にわたり、さらには町田商店本店の近隣地域、元祖油堂1号店である横浜本店の近隣の横浜駅にもそれぞれ出店いたしました。当該業態は、当社グループの直営店、プロデュース店が数多く出店している横浜家系ラーメン業態、ガッツリ系ラーメン業態とは趣向の異なる業態であることから、出店時の調整が比較的容易であり、且つオフィス立地において十分に競争力がある業態ゆえ、「元祖油堂」は、これまで出店の制約を受けていた東京23区内を始めとする都心エリアに積極出店を叶える強力なブランドとなりつつあります。
また、当社グループでは、従前より新商品、新業態の開発に対しても商品開発部門を中心に各種テーマへ積極的に取り組んでおり、町田商店、豚山、元祖油堂に次ぐ第4ブランドとなる競争力のあるブランドの開発を精力的に進めております。当連結会計年度においては、その他業態として4店舗の出店をいたしました。
海外直営店事業部門においては、これまで「E.A.K. RAMEN」ブランドの横浜家系ラーメン業態にて米国ニューヨーク州にのみ店舗展開をしてまいりましたが、当連結会計年度では本年9月、中国上海市に中国1号店として「町田商店」をオープンさせることになりました。また米国では、ニューヨークにのみ3店舗を出店しており、路面店2店舗、ペンシルベニア駅のフードコート1店舗を運営しております。フードコート店は、当社グループとして初めての出店形態でありましたが、ペンシルベニア駅が全米1位の乗降客数を誇り、近隣に2万人収容のスポーツアリーナと、5千人収容のシアター等が設置されており、加えてプロバスケットボール、プロアイスホッケーの試合が開催されるマディソンスクエアガーデンに近接する集客力の高いエリアでもあることから、路面店2店舗の売上を凌ぐ繁盛店となっております。当該出店の成功は、今後の米国での直営店事業の展開における分水嶺となったことから、今後の事業展開に期待を抱かせるものとなりました。以上の結果、当連結会計年度末の当社グループの店舗数は、直営店227店舗(国内223店舗、海外4店舗)、業務委託店9店舗、合計236店舗となりました。また、直営店事業部門の売上高は23,962,935千円となりました。
(プロデュース事業部門)
国内プロデュース事業部門においては、既出店地域においてこれまで通り、商圏における潜在需要試算に基づく出店ルールに従ってプロデュース店と直営店との間できめ細かく調整を行いながら、出店を進めてまいりました。未出店地域においては、当社グループとして直営店を出店させる予定のない地域については、新規オーナーの開拓を精力的に行ってまいりました。既存プロデュース店は、アフターコロナの現在の経営環境において業績回復、拡大が顕著に図られており、当連結会計年度においては、各既存プロデュース店ともに堅調な業績を残すこととなりました。これまで当社グループ直営店の成功ノウハウをもとにきめ細かく支援してきた成果が現れることとなりました。また、当社グループが開発した新業態を既存プロデュース店オーナーが自ら展開することを検討する場面も増えてきており、これまでの横浜家系ラーメン業態を中心としたプロデュース事業に加え、新業態では当社グループの展開するブランド名(同一の屋号)でのFC事業も前期より開始いたしました。このようにプロデュース事業部門においては、事業ラインナップの充実化を進め、より付加価値の高い提案活動を展開できるよう各種準備を進めてまいりました。
海外プロデュース事業部門においては、既存オーナーの出店意思を確認しながら新規出店地域の検討を行い、新型コロナウイルス感染症拡大の状況下においても出店支援を進めてまいりました。また、前期より「Machida Shoten(町田商店)」の店舗名でのFC事業を本格的に展開し始めております。特に東南アジアにおいて「Machida Shoten(町田商店)」に対する出店要請は高く、当社グループではフランチャイズパートナーとの出店交渉を戦略的に進めてきており、この結果、現在、タイ1店舗、ベトナム3店舗、カンボジア1店舗、フィリピン1店舗、香港1店舗、韓国1店舗の出店を叶えることとなりました。このように、FC事業は、東南アジアにて順調にスタートすることができ、各国のフランチャイジーとのFC契約締結も進んでいることから、今後も北米、アジア等において「Machida Shoten(町田商店)」のブランドを中心としてFC事業にかかる営業活動を積極的に展開してまいります。以上の結果、当社グループがプロデュースする店舗数は、当連結会計年度に26店舗の純増となり、結果、プロデュース店は国内540店舗、海外14店舗、FC店は国内11店舗、海外9店舗、合計574店舗となりました。また、プロデュース事業部門の売上高は4,510,018千円となりました。
③ 生産、受注及び販売の状況
a.生産実績
当連結会計年度における生産実績は次のとおりであります。
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セグメントの名称 |
生産高(千円) |
前年増減比(%) |
|
飲食事業 |
3,271,001 |
23.6 |
|
合計 |
3,271,001 |
23.6 |
(注)1.当社グループの事業区分は、「飲食事業」の単一セグメントであります。
2.金額は、製造原価によっております。
b.仕入実績
当連結会計年度における仕入実績は次のとおりであります。
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セグメントの名称 |
仕入高(千円) |
前年増減比(%) |
|
飲食事業 |
6,121,555 |
23.2 |
|
合計 |
6,121,555 |
23.2 |
(注)1.当社グループの事業区分は、「飲食事業」の単一セグメントであります。
2.金額は、仕入価格によっております。
c.受注実績
当社グループで行う事業は、提供するサービスの性格上、受注実績の記載になじまないため、記載を省略しております。
d.販売実績
当連結会計年度における販売実績は次のとおりであります。
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事業部門の名称 |
販売高(千円) |
前年増減比(%) |
|
直営店事業部門 |
23,962,935 |
24.8 |
|
プロデュース事業部門 |
4,510,018 |
19.5 |
|
合計 |
28,472,954 |
23.9 |
(注)1.当社グループは飲食事業の単一セグメントであるため事業部門別の販売実績を記載しております。
2.金額は、販売価格によっております。
3.直営店事業部門における当連結会計年度の地域別販売実績は、次のとおりであります。
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地域 |
地域別売上高(千円) |
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国内 |
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関東 |
15,190,783 |
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東日本(関東以外) |
5,257,251 |
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西日本 |
2,780,159 |
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国内合計 |
23,228,194 |
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海外 |
734,741 |
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合計 |
23,962,935 |
4.主要な販売先については、総販売実績に対する割合が100分の10以上に該当する相手がないため、記載を省略しております。
(2)財政状態
(資産)
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ4,572,205千円増加し17,099,675千円となりました。これは主に、直営店の新規出店などの設備投資により建物及び構築物などの有形固定資産が3,443,421千円、敷金及び保証金が281,212千円増加したこと等によるものであります。
(負債)
当連結会計年度末の負債は、前連結会計年度末に比べ2,966,701千円増加し8,722,123千円となりました。これは主に、出店のタイミングにより未払金が285,708千円、未払消費税等を含む流動負債のその他が253,759千円、長期借入金(1年以内返済予定分を含む)が1,710,597千円、未払法人税等が250,120千円増加したこと等によるものであります。
(純資産)
当連結会計年度末の純資産は、前連結会計年度末に比べ1,605,503千円増加し8,377,551千円となり、自己資本比率は49.0%となりました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益1,875,631千円の計上等により利益剰余金が増加したこと等によるものであります。
(3)キャッシュ・フロー
① キャッシュ・フロー及び流動性の状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、2,123,145千円となり、前連結会計年度末に比べ267,872千円の増加となりました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動の結果、得られた資金は3,276,038千円(前年同期比29.3%増)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益2,735,945千円を計上し、減価償却費813,628千円、減損損失112,436千円等の非資金的費用があった一方、法人税等の支払額708,322千円があったこと等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動の結果、使用した資金は4,338,547千円(前年同期比46.8%増)となりました。これは主に、直営店の新規出店に伴う有形固定資産の取得による支出4,064,342千円、貸付けによる支出が77,472千円、敷金及び保証金の差入による支出340,936千円があったこと等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動の結果、得られた資金は1,315,046千円(前年同期比420.8%増)となりました。これは主に、長期借入金の返済による支出809,403千円、配当金の支払額358,931千円、短期借入金の純減額12,295千円、連結の範囲の変更を伴わない子会社株式の取得による支出24,500千円があった一方、長期借入れによる収入が2,520,000千円あったこと等によります。
② 資本政策の基本的な方針
当社グループは、事業への資源配分及び株主還元について以下の通り考えております。事業への資源配分については、新規出店を主とした設備投資を継続的に実施してまいります。また、成長戦略に伴う当社グループの企業価値向上につながるM&Aも積極的に実施してまいります。また、株主還元については、株主への利益還元を経営の最重要課題と考えており、安定的かつ継続的な利益還元を基本スタンスとして連結配当性向20%以上を目安として実施してまいります。資金の源泉は事業から創出したキャッシュを中心としつつ、基本的に金融機関からの借入により資金調達をしてまいります。大規模な希薄化をもたらす資金調達については、ステークホルダーへの影響などを十分に考慮し、取締役会にて検討を行ったうえで、株主に対する説明責任を果たしてまいります。
(4)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表を作成するにあたって採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
(フランチャイズ契約)
当社グループはフランチャイジーとの間で、以下のようなフランチャイズ契約を締結しております。
(国内)
(1) 「豚山」フランチャイズ契約
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内容 |
当社グループの所有する商標、商号等の使用許可、ならびにフランチャイズ・システムのノウハウを提供 |
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契約期間 |
契約締結日から10年(自動更新条項あり) |
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加盟金 |
契約締結時に一定額 |
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ロイヤリティ |
毎月一定額 |
(2) 「元祖油堂」フランチャイズ契約
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内容 |
当社グループの所有する商標、商号等の使用許可、ならびにフランチャイズ・システムのノウハウを提供 |
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契約期間 |
契約締結日から10年(自動更新条項あり) |
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加盟金 |
契約締結時に一定額 |
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ロイヤリティ |
毎月一定額 |
(海外)
「Machida Shoten」フランチャイズ契約
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内容 |
当社グループの所有する商標、商号等の使用許可、ならびにフランチャイズ・システムのノウハウを提供 |
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契約期間 |
契約締結日から5年(自動更新条項あり) |
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加盟金 |
契約締結時に一定額 |
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ロイヤリティ |
月間売上高に一定の割合を乗じるか、もしくは一定額 |
(会社分割による事業継承並びに連結子会社間の吸収合併)
当社は、2024年9月13日開催の取締役会において、当社並びに当社の完全子会社である株式会社ラーメン天華及び株式会社ギフトを当事者とするグループ組織再編を決議し、2024年11月1日付で当社を吸収分割承継会社、株式会社ラーメン天華を吸収分割会社とする吸収分割及び、株式式会社ギフトを吸収合併存続会社、株式会社ラーメン天華を吸収合併消滅会社とする吸収合併を実施いたしました。
詳細は、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な後発事象)」に記載のとおりであります。
特に記載すべき事項はありません。