第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において、当社グループが判断したものであります。

 

(1) 会社の経営の基本方針

これまで当社グループは、「はたらく人々を幸せに。」をパーパスとして事業展開をしてまいりましたが、今後さらなる飛躍を遂げていくためには、既存の枠組みを超えた事業展開やサステナビリティへの取組みに加えて、経営者と従業員が目指すべき想いを共有することがより一層必要であると考えております。

当社グループは、フィロソフィーである「パーパス(Purpose、存在意義)」、「アンビション(Ambition、目指すゴール)」、「バリューズ(Values、価値観)」のもと、持続的成長企業として社会や顧客が求める価値を創造する企業であり続けるためにグループ一丸となって取り組んでまいります。

 

〔フィロソフィー〕

パーパス

(Purpose、存在意義)

はたらく人々を幸せに。

アンビション

(Ambition、目指すゴール)

私たちだからできる「ワークデザイン」によって、

はたらく空間やしくみを進化させ、一人ひとりの想像力と創造力をひきだし、

人と人との多彩なつながりを生みだす。

だれもが自分らしく、最大の力を発揮しながらはたらくことができる社会へ。

新たな価値や感動がつぎつぎと生まれるよう企業や組織と共創し、

人々の幸せがふくらんでいく世界を実現します。

バリューズ

(Values、価値観)

・誰より前を走ろう。

これからの「はたらく」をリードし続けるパイオニアへ。

一人ひとりが主役になって。

 

・共に高め合おう。

多様性の力を信じて。

互いに成長し、生まれるシナジーをつぎつぎと。

 

・得意を増やそう。

あらゆる可能性を、あらゆる角度から。

人と向き合い、心を動かすプロフェッショナルとして。

 

・常に新しくいよう。

自ら学び、進化を続けて。

これまでにない価値を届け続ける。

 

・深く寄り添おう。

すべては相手の喜びと感動のために。

熱い想いと、あたたかい心で。

 

 

 

(2) 目標とする経営指標

当社グループは、年平均売上高成長率、年平均営業利益成長率、営業利益率を重要な経営指標であると考え、高い収益性を維持し向上させていくため、高付加価値のサービスを提供するとともに原価率の低減やコスト管理に努めてまいります。

 

(3) 中長期的な会社の経営戦略

昨今の急速な人口減少やグローバル化・デジタル化の進展等により企業と働き手を取り巻く環境は大きく変化し、労働生産性の飛躍的な向上が各企業の重要課題となっております。こうした中、企業はさまざまな働き手の多様な働き方に対応した就業環境の整備だけではなく、自社の存在意義や価値観の社員との共有や働く一人ひとりが成長を実感できる機会の提供等により、働く人々のエンゲージメントを向上させ、働く人々と企業の持続的な成長を図ることが求められております。

このような背景のもと、働き手のニーズを把握しながら、「働きがい」と「働きやすさ」を実感できる環境整備を進める企業が増えております。新型コロナウイルス感染症の流行により、就労する場所・時間の自由度の高いテレワークを導入・拡充する企業が増加した一方、出社日や出社時間を増やそうと、再びオフィスへの出社を求める「オフィス回帰」の動きも見られます。企業が求める働き方が多様化し、そこで働く人々も多様化する中、それぞれの企業に応じたワークプレイスの提案が求められております。

こうした中、当社グループは、2024年3月期より3年間(2024年3月期~2026年3月期)を対象とした中期経営計画を策定し、「オフィス」という空間のみをデザインすることから、「はたらく」こと全体の課題を解決し、社会に新しい価値の提供を行ってまいりましたが、2026年3月期の財務目標である連結売上高16,169百万円及び連結営業利益1,597百万円を1年前倒しで達成いたしました。

これを受けて、2026年3月期より3年間(2026年3月期~2028年3月期)を対象とした新中期経営計画を策定し、最終年度(2028年3月期)の財務目標として、連結売上高20,056百万円、連結営業利益2,027百万円を計画しております。

 

 

(4) 優先的に対処すべき課題

当社グループが、事業の拡大及び経営の安定化を図っていく上で、優先的に対処すべき課題は以下のとおりであります。

 

① 事業戦略

当社グループは、企業ごとに最適なワークデザインを提供することが特徴・強みであり、オフィスデザインを主軸としたブランディング事業の継続的な成長はもとより、データソリューション・プレイスソリューション事業を拡大させることが重要であると考えております。そのため、ワークデザインの軸となるデータの抽出及び分析により顧客の持つ課題を可視化させ解決することで、ワークデザインを推進し事業の拡大を図ってまいります。

 

② IT・DX戦略

当社グループは、業務効率化による社員の業務負担軽減が、顧客に対するより質の高いサービスの提供に繋がると考え、生産性の向上がさらなる事業成長のために重要であると考えております。そのため、既存システムのアップデートや新技術を活用したIT・DX化等により業務プロセスの効率化を図ってまいります。

 

③ 人材の確保・育成

当社グループは、顧客の働き方のニーズや課題にあわせて現状分析とソリューションができる人材を確保・育成することが重要な課題と認識しております。このため、次代を担う優秀な人材の確保・育成に努めるとともに、ES向上にも努め、優秀な人材の定着を進めてまいります。

 

④ マーケティング・ブランディングの強化

当社グループは、オフィスデザインからワークデザインへと事業領域を拡大する中、社内外へのワークデザインの浸透が重要だと考えております。類似他社との差別化を行い、付加価値を向上させるためターゲットを明確にしたマーケティング活動と、自社のブランディングを強化してまいります。

 

⑤ コーポレート・ガバナンス及び内部管理体制の強化

当社グループは、厳格な法令遵守体制の構築は当然のこととして、さらに一歩進めた説明責任の徹底と顧客の当社に対する真の理解と満足を獲得することが重要な課題と認識しております。今後、関係法令の遵守はもとより、社員一人ひとりの高い倫理観の醸成、社会的良識を持った責任ある行動を目指し、啓蒙活動や社内教育を徹底してまいります。

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において、当社グループが判断したものであります。

 

(1) ガバナンス

① サステナビリティ委員会の設置

当社グループでは、パーパスである「はたらく人々を幸せに。」を軸に、重点テーマを整理し、サステナビリティ経営をさらに加速させるための取組を拡大させていくことを目指しております。

当社では、事業活動における戦略を構築・推進すると同時に、環境への配慮、社会課題の解決、ガバナンスへの取組みが事業活動と一体となった未来志向のサステナビリティについて取り組むため、取締役会の諮問委員会として、サステナビリティ委員会を設置しております。

同委員会は、代表取締役会長を委員長、常務取締役コーポレートDiv.長と社外取締役1名を委員として構成され、原則として、半期ごとに開催され、その他必要な都度開催されております。

同委員会においては、サステナビリティに関する事項を審議するとともに、定期的に取締役会に報告・提言を行っております。

取締役会は、サステナビリティ全般に関する責任と権限を有しており、サステナビリティ委員会からの報告を受け、当社グループのサステナビリティのリスク及び機会への対応方針や実施計画等の確認・監督を行っております。

当事業年度においては、次世代育成対策推進法及び女性活躍推進法の一般事業主行動計画の策定について、サステナビリティ経営の重要性を再周知し、気候変動・脱炭素に向けての取り組みについて協議いたしました。

なお、当社グループにおけるマテリアリティ(重要課題)は、以下のとおりであります。

 ・人的資本経営

 ・環境への配慮

 ・社会への新しい価値提供

上記を含むコーポレートガバナンス体制の概要については、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (1)コーポレート・ガバナンスの概要 ②企業統治の体制の概要及び当該体制を採用する理由」をご参照ください。

 

② サステナビリティ委員会の開催状況

当事業年度においてサステナビリティ委員会を2回開催しており、個々の委員の出席状況については次のとおりであります。

氏名

開催回数

出席回数

中村 勇人

2回

2回(100%)

矢原 裕一郎

2回

2回(100%)

浜本 亜実

2回

2回(100%)

 

 

 

(2) 戦略及び指針

当社グループにおける、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針は以下のとおりであります。

 

① 人材育成方針

当社グループでは、「人の成長=企業の成長」という考えのもと、「理念・文化の共有」「教育・研修」「健康経営と多様性の推進」を軸に、継続的な企業価値向上を目指し、人的資本経営に取り組んでおります。

 

イ.理念・文化の共有

当社グループでは、強固な組織を形成するため、フィロソフィーを全社員に浸透させるとともに、社員一人ひとりが同じ想いを共有することでカルチャーを醸成することが重要であると考えており、次のような取り組みを行っております。

 

(具体的な取り組み)

・毎日のフィロソフィー唱和

・勤続年数に応じて異なるクレドカードの配布

・新入社員と役員の直接の対話の場(新入社員、若手社員のオンボーディング)

・各種会議の共有、報告体制の強化(経営会議の報告会、毎週の全体共有ミーティングの実施)

・社内コミュニケーションの活性化(チーム懇親会・部活動等の補助)

 

ロ.教育・研修

当社グループでは、採用手法を多角化し積極的に採用を続ける一方、採用した人材に必要なスキルを習得させて能力を最大化するため、教育・研修制度を充実させてまいります。

 

(具体的な取り組み)

・階層別社内研修(新卒社員、キャリア社員、リーダー層、マネジメント層、経営層)

ランチ時間を活用した勉強会の実施

・外部研修への参加(クリエイティブアカデミー、海外研修)

・資格取得支援制度(資格取得のための勉強会開催、資格手当支給、合格祝金支給)

チームビルディングのための野外研修 等

 

② 社内環境整備方針

イ.健康経営と多様性の推進

当社グループでは、すべての社員が健やかに、生き生きと働くことができるように、健康経営を推進しており、当社は、経済産業省及び日本健康会議が選定する健康経営優良法人認定制度において、2022年度から4年連続となる「健康経営優良法人2025(中小規模法人部門)」に認定されました。また、性別、価値観、経験、感性、専門性の異なる多様な個性を認め合うことで、それぞれの力が最大限に発揮されるよう、ワークライフバランス制度の充実等の社内環境の整備に努めております。

 

(具体的な取り組み)

・従業員の健康管理(衛生委員会、婦人科検診の費用負担)

・メンタルヘルス対策(組織改善サーベイ、ストレスチェック)

・ワークライフバランス制度(テレワーク・時差出勤制度、時間単位での年次有給休暇の取得)

・パパ・ママサポート窓口の設置

・女性活躍推進に関わる制度(時短勤務制度の対象範囲の引き上げ、ベビーシッター補助制度、子育て座談会、妊娠特別休暇)

 

 

ロ.環境への取組み

当社グループは持続可能な社会を目指し、気候変動・循環型社会への貢献として、次の事項に取り組んでおります。

 

a.紙の削減

当社グループでは、タブレット端末の導入や電子契約の活用などにより、紙の使用を必要最小限に抑えるための取り組みを行っております。また、紙を使用する場合には、FSC認証製品を使用するなど、環境への負担を低減する取り組みも行っております。

 

b.エコ商材の提案

当社グループでは、環境に配慮した建築資材・家具などを顧客に提案しております。各メーカー・企業が取り組んでいるエコ商材を使用し、顧客のSDGsへの参加を促す取り組みを行っております。

 

c.国産木材の利用

近年、安価な海外産木材の輸入量の増加等により、国産木材供給量は減少傾向にあります。伐採されず高齢となった木々は、二酸化炭素の吸収量が低下することから、当社グループは、「植林→育成→伐採→利用」のサイクルをスムーズに回し、森を活性化することが重要であると考えております。また、国産木材は輸送時に発生する二酸化炭素排出量を海外産木材より抑えることができ、地球温暖化への対策にもつながると考えております。

当社グループでは、木部に国産木材を100%使用したオリジナルオフィスプロダクト「WEDGE(ウェッジ)」シリーズの提供等を通じて、森林環境改善及び地球温暖化対策の取り組みを行ってまいります。

 

d.産業廃棄物3Rの実現

当社グループでは、施工段階で発生する廃棄物について、抑制(リデュース)、再使用(リユース)、再生利用(リサイクル)の3Rへの取り組みを行うと同時に、十分な現場調査と実施図面のチェック体制強化等により、是正工事を抑制し、廃棄物の排出削減に取り組んでおります。

 

ハ.社会への取組み

当社グループが運営するフレキシブルオフィス「The Place」では、企業や人、働き方が交わることで新しい価値を生み出すことができる共創の「場」を目指しており、次のような取組みを行っております。

 

(具体的な取組み)

・起業家ネットワーク団体との連携(ベンチャー支援プログラムの発信)

・ベンチャー企業応援プログラム協力社への参画(ワークショップ型のビジネスセミナーの開催)

・自社発信の各種セミナーの開催

 

 

(3) リスク管理

全社的なリスク管理は、リスクマネジメント・コンプライアンス委員会において行っておりますが、サステナビリティに係るリスクの識別、優先的に対処すべきリスクの絞り込みについては、サステナビリティ委員会と連携を図り、リスク管理体制を強化しております。

 

(4) 指標及び目標

当社グループでは、上記「(2) 戦略」において記載した、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針について、次の指標を用いております。

なお、当社においては、関連する指標のデータ管理とともに、具体的な取組みが行われているものの、連結グループに属する全ての会社では行われていないため、連結グループにおける記載が困難であります。このため、次の指標に関する目標及び実績は、連結グループにおける主要な事業を営む提出会社のものを記載しております。

指標

目標

実績(当事業年度)

管理職に占める女性労働者の割合

2026年まで16.3

23.3

男性の育児休業取得率

2026年まで30.0

25.0

 

 

 

3 【事業等のリスク】

本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には以下のようなものがあります。併せて、必ずしもそのようなリスクに該当しない事項についても、投資者の判断にとって重要な影響を与えると当社が考える事項については、積極的な情報開示の観点から記載しております。なお、本項の記載内容は当社株式の投資に関する全てのリスクを網羅しているものではありません。

当社は、これらのリスクの発生可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の迅速な対応に努める方針でありますが、当社株式に関する投資判断は、本項及び本項以外の記載内容もあわせて慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。

なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 法的規制による影響

当社は、建設業法、建築基準法、建築士法、下請法、貨物利用運送事業法等、さまざまな法規制下にあります。そのため、内部統制システムの整備・維持を図り各種法令等の遵守に努めておりますが、当社がこれらの法的規制に違反した場合には、罰金、業務停止その他の制裁が課され、当社グループの社会的評価、信用及び業績に影響を及ぼす可能性があります。今後、さらに規制が強化された場合には、事業活動が制限される可能性があります。

また、当社は「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」(以下「廃棄物処理法」という。)に基づいて、産業廃棄物処理業者に収集運搬及び処理を委託しております。当社が廃棄物処理法における(委託処理に係る契約書未作成、マニフェスト虚偽記載等)一定の要件に抵触した場合、行政処分等がなされる可能性があり、こちらについても、当社グループの風評、業績及び財政状態が悪影響を受ける可能性があります。

なお、当社の事業活動に際して、建設業法に定める建設業の許可を得ております。現在、当該許可が取消しとなる事由はありません。しかしながら、当社が何らかの事情により許可の取消し等が生じた場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

許認可等の名称

許認可番号等/有効期間

規制法令

免許取消条項等

特定建設業許可

国土交通大臣 (特-5) 第22593号

2023年12月5日~2028年12月4日

建設業法

第29条

 

 

(2) 製品・施工の欠陥にともなうリスク

当社は、付加価値の高いサービスを提供できるよう努めておりますが、協力会社から納品された製品の欠陥や施工不良により第三者が損害を被った場合、当該製品や施工不良の対応に多大な費用負担を余儀なくされ、契約不適合責任(瑕疵担保責任)に基づく民事賠償責任を負う可能性があります。これらのリスクが顕在化した場合には、社会的評価が低下するなど、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(3) オフィス需要の動向

当社グループは、オフィスの移転や新規事業所の開設を行う見込みの企業等に対して営業活動を行っているため、経済環境の悪化及び企業業績の低迷等による移転や新規事業所の開設の減少、既存顧客からのリピートの減少等により、当社グループの業績が悪化する可能性があります。

 

(4) 売上計上時期の期ずれについて

当社は、工事契約について、取引開始から完全に履行義務を充足すると見込まれる時点までの期間がごく短い場合には、完全に履行義務を充足した時点で収益を認識しております。そのため、当社に起因しない何らかの事情により、工事遅延等が発生した場合、当初予定の売上計上時期がずれ、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(5) 人員の確保と育成

当社グループは、顧客の問題・ニーズに合わせてワークプレイスの提案及びワークプレイスの設計・施工等を行っており、そのために専門性の高い熟練した従業員の確保と育成が必要であると認識しております。しかしながら、かかる従業員の確保と育成ができない場合や、新たに従業員を採用するための費用や人件費が当社の想定を超えて高騰した場合、また、人材の育成が想定通り進捗しない等の理由によりワークプレイスの受注獲得件数が当社の想定通りに伸びない場合には、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

(6) 現経営陣への依存

当社経営陣は、ワークプレイスの提供に関する豊富な経験と知識を有しており、当社グループの経営方針・利益計画の策定及び執行に対する管理等につき、重要な役割を果たしております。このため、当社は、現経営陣に依存しない体制の構築に努めておりますが、予期せぬ事情により、現経営陣が退任した場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(7) 内部管理体制に関するリスク

当社は、企業価値の継続的な向上のため、コーポレート・ガバナンスが有効に機能することが不可欠であると認識しております。業務の適正性及び財務報告の信頼性の確保のための内部統制システムの適切な運用、さらに健全な倫理観に基づく法令遵守を徹底するため、内部管理体制の充実を図ってまいります。しかしながら、業務の急速な拡大により、十分な内部管理体制の構築が追いつかないという状況が生じる場合には、適切な業務運営が困難となり、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

(8) 協力会社への外注

当社は、工事・施工を協力会社に外注しております。協力会社の管理を徹底するよう努めておりますが、万が一協力会社の管理が徹底できないことによる施工品質の低下や現場における事故、廃棄物処理法の違反等の協力会社による不正行為、工事案件の増加や外注費の高騰及び工期の延長等が発生した場合、当社の信用度の低下及び損害賠償責任の負担等により、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(9) 類似他社との競合リスク

当社グループは、顧客のニーズに対応した付加価値の高いサービスを提供することに全力を挙げて取り組んでおります。類似業界としては内装工事業がありますが、類似他社に対して十分な競争力を確保できない場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(10) システムに関するリスク

自然災害、停電等さまざまな原因により、当社のサーバーがシステムダウンを起こし、業務ができない等の障害が発生する可能性があります。当社では、システムのバックアップを行うとともに、緊急時の対応については、システム会社等による早期の復旧を図る体制を構築しておりますが、万が一想定を超えるシステム障害が発生した場合には、業務負荷に伴い当社サービスの低下等が発生し、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(11) 新株予約権の権利行使に伴う株式希薄化のリスク

当社は、当社役員及び従業員に対するインセンティブを目的として新株予約権を付与しております。また、今後におきましても、役員及び従業員に対するインセンティブとして新株予約権を付与する可能性があります。これらの新株予約権の行使がされた場合は、当社の1株当たりの株式価値が希薄化する可能性があります。

 

 

(12) 大株主について

当社の代表取締役会長である中村勇人は、当社の大株主であり、自身の資産管理会社である株式会社クレドの所有株式数を含めると2025年3月31日現在で発行済株式総数の63.66%を所有しております。同人は、安定株主として引続き一定の議決権を保有し、その議決権行使にあたっては、株主共同の利益を追求するとともに、少数株主の利益にも配慮する方針を有しております。当社といたしましても、同人は安定株主であると認識しておりますが、何らかの事情により、大株主である同人の株式の多くが減少した場合には、当社株式の市場価格及び議決権行使の状況等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(13) 新規事業の立ち上げや子会社の設立が売上や利益の拡大につながらないリスク

当社は、事業の拡大及び経営の安定化のため、2021年1月にフレキシブルオフィスビル「The Place Osaka」を開業し、2022年4月に株式会社ワークデザインテクノロジーズ(現連結子会社)を設立いたしました。今後は、事業計画の進捗状況の継続的な把握に努め、必要に応じて計画を修正する社内体制を整えております。しかしながら、事業が計画通りに進捗せず当初期待した収益が得られない場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。また、計画通り進んだとしても、事業が本格的に稼働し、安定的な収益を生むまでに相当程度の時間を要した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(14) 不動産賃貸に関するリスク

当社は、フレキシブルオフィス「The Place」を運営するため、賃貸等不動産を保有しておりますが、景気動向や経済情勢等により賃料下落や空室区画の増加が発生する可能性があります。また、テナントの退去及び利用状況等によっては、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(15) 減損リスク

当社がフレキシブルオフィス「The Place」を運営するために取得した不動産の時価の著しい低下や事業の収益性が悪化し、回復の可能性が見込めない場合には、減損会計の適用により固定資産について減損損失が発生し、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(16) 災害等により保有物件の価値が毀損するリスク

当社は、フレキシブルオフィスビル「The Place Osaka」を運営するため、大阪府大阪市に固定資産を保有しており、今後は大阪府以外の地域においてもフレキシブルオフィス「The Place」を展開するための固定資産を取得する可能性があります。当該地域を中心に地震、台風、大雨、落雷等の自然災害が発生し、固定資産が毀損・劣化した場合には、復旧に相応の時間と費用等が必要となる可能性があり、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 経営成績等の状況の概要

当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は、以下のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度(2024年4月1日~2025年3月31日)におけるわが国経済は、雇用・所得環境が改善する下で、景気の緩やかな回復基調が見られました。その一方で、世界的な金融引き締めや原材料価格の高騰による物価上昇が継続し、依然として先行き不透明な状況が続いております。

このような状況の中、当社グループでは、2023年5月に策定した中期経営計画の2年目にあたり、オフィスデザインからワークデザイン(働く環境や働き方のデザイン)へと事業領域拡大を目指し、各重点施策を実行しております。

当社グループにおきましては、成長企業や働き方の見直しに積極的な企業を中心に営業活動を行い、ワークデザインに関連するサービスをワンストップで提供することにより、企業価値の向上や働く人々のエンゲージメントの向上に貢献してまいりました。

以上の結果、当連結会計年度における経営成績は、売上高16,253百万円(前年同期比12.9%増)、営業利益1,915百万円(同25.7%増)、経常利益1,910百万円(同26.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益1,357百万円(同37.0%増)となりました。

 

各セグメントの経営成績の状況は、次のとおりであります。

 

イ.ブランディング事業

ブランディング事業では、オフィスデザイン・ウェブデザイン・グラフィックデザインをワンストップで提供しており、多様なマーケティング手法により新規顧客の獲得及び既存顧客へのフォローを継続して行ったことで、高成長企業を中心に受注獲得を行ってまいりました。

以上の結果、当連結会計年度における売上高は15,606百万円(前年同期比13.0%増)、セグメント利益(営業利益)は1,906百万円(同18.8%増)となりました。

 

ロ.データソリューション・プレイスソリューション事業

データソリューション・プレイスソリューション事業では、株式会社ワークデザインテクノロジーズ(現連結子会社)が開発したワークプレイス構築DXツール「ワークデザインプラットフォーム」や組織改善サーベイ「ココエル」を提供しております。

また、東名阪エリアにおいて、フレキシブルオフィス「The Place」の運営を行っております。

以上の結果、当連結会計年度における売上高は647百万円(前年同期比9.7%増)、セグメント利益(営業利益)は127百万円(同149.6%増)となりました。

 

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は、前連結会計年度末と比較して949百万円増加し、5,971百万円となりました。

各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果得られた資金は、1,560百万円となりました。これは主に税金等調整前当期純利益1,910百万円、減価償却費124百万円、売上債権の減少385百万円、未払費用の増加165百万円があった一方で、仕入債務の減少216百万円、前受金の減少208百万円、法人税等の支払額660百万円により減少したことによるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果支出した資金は、327百万円となりました。これは主にその他に計上している保険積立金の払戻による収入8百万円があった一方で、有形固定資産の取得による支出45百万円、無形固定資産の取得による支出8百万円、投資有価証券の取得による支出125百万円、敷金及び保証金の差入による支出154百万円により減少したことによるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果支出した資金は、282百万円となりました。これは主に新株予約権の行使による株式の発行による収入15百万円があった一方で、配当金の支払額298百万円により減少したことによるものであります。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

イ.生産実績

当社グループで行う事業は、提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、記載を省略しております。

 

ロ.受注実績

当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高

(千円)

前年同期比

(%)

受注残高

(千円)

前年同期比

(%)

ブランディング事業

15,575,830

111.5

2,215,818

98.6

データソリューション・
プレイスソリューション事業

651,978

148.7

191,238

2,358.2

合計

16,227,809

112.6

2,407,056

106.8

 

(注) 1.セグメント間取引については、相殺消去しております。

2.上記の金額には、賃貸収入等の受注を伴わないものは含めておりません。

 

ハ.販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

販売高(千円)

前年同期比(%)

ブランディング事業

15,606,154

113.0

データソリューション・
プレイスソリューション事業

647,043

109.7

合計

16,253,198

112.9

 

(注) 1.セグメント間取引については、相殺消去しております。

2.当連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、総販売実績の10%以上の相手先がないため、記載を省略しております。

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 

① 経営成績の分析

(売上高)

当連結会計年度における売上高は、前年同期と比較して1,853百万円増加し、16,253百万円となりました。これは主に多様なマーケティング手法により新規顧客の獲得及び既存顧客へのフォローを継続して行ったことで、高成長企業を中心に受注獲得を行ったことによるものであります。

 

(売上総利益)

当連結会計年度における売上原価は、前年同期と比較して1,117百万円増加し、11,526百万円となりました。これは主に売上高の増加に伴う外注費の増加やベースアップ等による労務費の増加によるものであります。

この結果、当連結会計年度における売上総利益は、前年同期と比較して736百万円増加し、4,726百万円となりました。

 

(営業利益)

当連結会計年度における販売費及び一般管理費は、前年同期と比較して344百万円増加し、2,810百万円となりました。これは主に人員増加及びベースアップ等による人件費の増加によるものであります。

この結果、当連結会計年度における営業利益は、前年同期と比較して391百万円増加し、1,915百万円となりました。

これにより、当社が重視する経営指標である売上高営業利益率については、11.8%(前年同期は10.6%)となりました。

 

(経常利益)

当連結会計年度における営業外収益は、前年同期と比較して14百万円増加し、16百万円となりました。これは主に受取賃貸料2百万円、保険解約返戻金7百万円によるものであります。

当連結会計年度における営業外費用は、前年同期と比較して3百万円増加し、21百万円となりました。これは主に投資事業組合運用損18百万円によるものであります。

この結果、当連結会計年度における経常利益は、前年同期と比較して403百万円増加し、1,910百万円となりました。

 

(親会社株主に帰属する当期純利益)

当連結会計年度における特別損益は計上しておりません。

当連結会計年度における法人税、住民税及び事業税と法人税等調整額の合計額は、前年同期と比較して37百万円増加し、553百万円となりました。

この結果、当連結会計年度における親会社株主に帰属する当期純利益は、前年同期と比較して366百万円増加し、1,357百万円となりました。

 

 

② 財政状態の分析

(資産)

当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末と比較して924百万円増加し、10,796百万円となりました。

流動資産は643百万円増加し、7,487百万円となりました。これは主に現金及び預金で949百万円、仕掛品で62百万円増加した一方で、電子記録債権で67百万円、売掛金で317百万円減少したことによるものであります。

固定資産は281百万円増加し、3,309百万円となりました。これは主に土地で12百万円、投資有価証券で107百万円、敷金及び保証金で142百万円、繰延税金資産で100百万円増加した一方で、建物及び構築物で54百万円、工具、器具及び備品で20百万円減少したことによるものであります。

 

(負債)

当連結会計年度末における負債は、前連結会計年度末と比較して166百万円減少し、3,860百万円となりました。

流動負債は166百万円減少し、3,675百万円となりました。これは主に未払費用で165百万円、未払消費税等で87百万円、賞与引当金で17百万円増加した一方で、買掛金で216百万円、前受金で208百万円減少したことによるものであります。

固定負債は0百万円増加し、185百万円となりました。これは主に資産除去債務で0百万円増加したことによるものであります。

 

(純資産)

当連結会計年度末における純資産は、前連結会計年度末と比較して1,090百万円増加し、6,936百万円となりました。これは主に親会社株主に帰属する当期純利益1,357百万円を計上した一方で、配当金298百万円を支払ったことによるものであります。

 

③ キャッシュ・フローの状況の分析

キャッシュ・フローの状況の分析につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

④ 資本の財源及び資金の流動性についての分析

当社グループの運転資金需要のうち主なものは、外注費のほか、人件費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資やフレキシブルオフィス「The Place」を展開するための不動産の取得等によるものであります。

当社グループは、事業運営上必要な資金の流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。短期運転資金は自己資金を基本としておりますが、新規事業計画及びこれに付帯する不動産購入、設備投資計画に基づく中長期の資金需要が生じた場合には、銀行借入により必要資金を調達することとしております。

なお、当連結会計年度末における借入金の残高はありません。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は5,971百万円であり、当社グループの事業を推進していくうえで十分な流動性を確保していると考えております。

 

 

⑤ 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の進捗について

当社グループは、年平均売上高成長率、年平均営業利益成長率、営業利益率を経営上の目標の達成状況を判断するための重要な経営指標と位置づけており、当社グループの目標とする経営指標の実績値は次のとおりであります。

経営指標

目標値

2025年3月期

年平均売上高成長率

9.2%

12.9%

年平均営業利益成長率

10.4%

25.7%

営業利益率

10.0%以上

11.8%

 

(注) 年平均売上高成長率及び平均営業利益成長率は2024年3月期を基準年度として算定しております。

 

⑥ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表を作成するにあたって、その作成には経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

当社グループの連結財務諸表を作成するにあたって採用する重要な会計方針につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりであります。

また、当社グループの連結財務諸表を作成するにあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものはありません。

 

5 【重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6 【研究開発活動】

当社グループは、「はたらく人々を幸せに。」をパーパスとし、ワークデザインに関連するサービスをワンストップで提供し続けるために、新たな製品やサービスについての研究開発活動を行っております。

当連結会計年度における研究開発費は38百万円であり、主な取り組みは次のとおりであります。

 

(1) ブランディング事業

ブランディング事業では、木部に国産木材を100%使用したオリジナルオフィスプロダクト「WEDGE」の研究開発活動を行っております。当連結会計年度における研究開発費の金額は1百万円であります。

 

(2) データソリューション・プレイスソリューション事業

データソリューション・プレイスソリューション事業では、コンサルティング領域を拡大するため、ワークプレイス構築DXツール「ワークデザインプラットフォーム」の研究開発活動を行っております。当連結会計年度における研究開発費の金額は36百万円であります。