当社の経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
(1)経営方針
当社は「ハッピーエンド創造企業」という基本方針を掲げ、住宅外壁リフォーム事業を2005年3月に北海道でスタートし、寒冷地で実績を積み上げ、本書提出日現在は東北・関東まで展開しております。
「ハッピーエンド創造企業」とは当社の住宅外壁リフォームというサービスを通して、お客様や取引先に喜んでいただくことで、関わるすべての皆様の幸せを目指すものであります。
また以下に記載する「満足」「絆」「誠意」を三つの柱とする、企業理念「お客様と最後まで歩んでいくために」を社員一人一人に浸透させております。
「満足」
私たちは、確かな製品と高い施工技術で、お客様に心からお喜びいただける提案・設計・施工をいたします。
「絆」
私たちは、お客さま、業者さま、すべての出会いに感謝し、永く続く「ご縁」となるように心がけていきます。
「誠意」
私たちは、外壁リフォームに関わるすべての皆さまの最高の幸せを目指し、最後までお付き合いさせていただき
ます。
(2)経営環境及び経営戦略
当社が属するリフォーム業界におきましては、政府による住宅リフォームの支援等により消費者の関心は高まってきているものの、円安等による建築資材・物価高騰のなかでの消費者マインドの低下、人手不足の深刻化など引き続き厳しい事業環境が続いております。
このような経営環境のなか、当社が持続的な成長を実現し、株主価値を高めていくためには、安心と信頼を重ね選ばれる企業として存続することが重要であり、当社は今後以下の3点に注力していきたいと考えております。
①外壁総合メーカーとしての存在価値の向上
当社は従来からのOEM先製造会社と協力して開発したオリジナル外壁材の製造に加え、2022年度から自社工場による独自ブランド製品の製造を開始し商品バリエーションの充実に努めてまいりました。
製造から販売、施工、メンテナンスまで一貫して行う外壁総合メーカーとして「製品・施工・サービス」品質、顧客満足度、存在価値の向上に努めてまいりたいと考えております。
②販売エリアの拡大
当事業年度末現在、当社は札幌市、仙台市、横浜市、千葉市にそれぞれ拠点を持っております。
今後の事業拡大を図るために、関東を中心とした販売エリアの拡大を目指してまいります。
関東での外壁リフォームは、塗装が一般的となっておりますが、耐久性や断熱性を備えたオリジナル外壁材を営業展開することで、当社の外壁リフォーム工事を関東にも広めてまいりたいと考えております。
③人員の増強と人材育成
今後の成長戦略の実現とエリア拡大のためには、営業部の人員確保が必要となります。
当社では、2016年度以降、営業部を中心に高校新卒社員を、2019年度以降は大学新卒社員の採用を行い、今後の事業展開を見据えた人員の確保に努めております。
人材育成については、当社経営理念及び営業技術を浸透させることを主点とし、社員のコミュニケーション能力及びスキルを向上させるための社員研修を実施しております。また管理職社員については、人間力を高めるための社内・社外含めた教育機会を設け、将来を担える人材に成り得るよう指導してまいります。
(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社は、事業を継続・発展させていく上で、収益の源泉となる売上高、並びに経営に伴う通常のコストを差し引いたあとの収益性を判断するため、営業利益を重要視しております。
今後は、原材料の高騰が進む中、原価の更なる低減に取り組み、収益性の確保を図ってまいります。
(4)事業上及び財務上の対処すべき課題
①タイルパネルの普及推進
自社独自ブランドのタイルパネル「サイディンガー」の販売普及にあたり、創業からの目的であるタイル材を外壁に使用することのメリットを訴求し販売拡大に努めることが重要であります。
②関東ブロックにおける認知度向上
ターゲット先の割合が高い関東ブロックにおいて、当社がより一層の販路拡大を推し進めていくためには、塗装に替わる金属及びタイルを用いたパネル材を使用した「上張り工法」の外壁リフォームの認知度をより向上させることが重要であります。
③リピートビジネスの強化
既存顧客及び新規顧客へ外壁工事以外の「屋根・水廻り・エクステリア・外構・設備工事」等のリフォームビジネスの強化に取り組みます。
生活需要に合わせた提案やメンテナンスを行うことにより、顧客とのコミュニケーションも高まり長期的に様々な受注を見込んでまいります。
④人材の確保及び育成
当社の原動力となる人材をいかに継続的、安定的に雇用し定着させていくことが課題であると認識しております。
積極的な新卒及び中途採用の促進と既存社員のスキルアップを図るため、営業力やコミュニケーション能力、商品及び製品知識向上のための各種研修制度の充実に取り組み、お客様のニーズを汲み取り、的確な提案を行えることによって、お客様の信頼を得られると考えております。
⑤自社独自製品の製造販売体制
自社独自ブランドのタイルパネル「サイディンガー」の製造にあたり、生産開始後の安定供給に努めるとともに、品質に優れ高級感に溢れた製品として広く受け入れられるよう販売活動を行ってまいります。
⑥利益率の向上
資材の値上がりや供給遅れが見られる不安定な経済状況の中、原価管理の強化を図り利益の確保に努め、適切で効率的な業務を行ってまいります。
⑦施工生産性の強化
施工現場における生産性を高めるためには、一定の施工基準を満たす指定工事店の選定と確保が重要な課題と認識しております。昨今、施工職人は人手不足のなか指定工事店との連携と、建設業の情報共有ネットワークを活用し新たな指定工事店の確保にも努めてまいります。
⑧施工品質の向上
施工生産性の強化とともに、施工品質の向上も重要な課題として認識しております。当社では、外壁リフォーム工事の施工に10年間保証を付けております。施工水準の徹底による技術の向上や、施工後のお客様アンケート評価を指定工事店へフィードバックすることにより顧客満足度を高め、施工品質の向上に努めてまいります。また、アフターサービスについても迅速かつ誠実な対応を心掛けております。
⑨安全性の向上
安全性の向上は最重要課題と認識しております。作業時における現場KY(危険予知活動)を組織的に再度、周知徹底することで、安全性の向上を図り現場で起こる事故の根絶を目指してまいります。また、自然災害に対する保全危機管理能力の対応意識を持ち緊急事態に備えてまいります。
⑩経営管理機能の強化
経営の効率化を図るためには、全社的な内部統制システムの整備と運用、コーポレート・ガバナンス機能の強化が不可欠と考えております。この課題に対する施策としては、業務フローの精査に加え、内部監査の充実等に取り組むことで内部統制機能を高めてまいります。更にコーポレート・ガバナンス機能の強化として、意思決定の明確化、組織体制の更なる向上、内部監査及び監査役監査の充実と会計監査人との連携を図ってまいります。
当社のサステナビリティに関する考え方及び取り組みは、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において、当社が判断したものであります。
(1)ガバナンス
当社は、環境変化に対応した戦略等の迅速な意思決定を行うため、取締役会を原則月1回開催し、緊急を要する場合には、テレビ会議や書面決議による取締役会を開催しております。社外取締役の出席、助言などにより取締役会の監督機能を高めるとともに、活発な議論を通じて公正・迅速な意思決定を行っており、サステナビリティを巡る課題への対応として、従業員等への人権・健康・労働環境・自然災害に係る対応を整備するとともに、取引先等社外との公平・公正な関わりなどについても適切に対応が可能となるよう体制を整えております。
(2)戦略
当社では、「ハッピーエンド創造企業」という基本方針を掲げ、お客様や取引先、従業員等、関わるすべての皆様の幸せを目指し、当社の住宅外壁リフォーム工事を通して、SDGsを推進し、地域社会の持続的な発展に貢献していくために、「人材育成・労働環境」が最重要課題と認識し、従業員が安心して働ける環境作りを行い企業価値の向上を図るため、以下の戦略を行っております。
人材の育成及び社内環境整備に関する方針、戦略
当社では、事業を継続・発展させていくうえで、新入社員から管理職社員に至るまで、様々なプログラムにより人材の育成を行っております。新入社員や若手社員に対しては、当社経営理念及び営業技術を浸透させることを主点とし、社員のコミュニケーション能力及びスキルを向上させるための社員研修を実施しております。また管理職社員については、人間力を高めるための社内・社外含めた教育機会を設け、将来を担える人材に成り得るような研修を行っております
当社は、男女問わず社員が長く活躍できるよう働きやすい環境作りを目指し、社内環境整備に取り組んでおります。在宅勤務規程、育児・介護休業規程の整備による勤務体系の多様性化及び現場管理においては協力業者と連絡を密にした柔軟な対応ができる働きやすい労働環境の整備を推進しております。また、当社では、長年培ってきた知識や経験を活かして頂くために、60歳以上の社員に出来る限り長く雇用機会を提供するなど、長く個々の能力を発揮できるような、働きやすい社内環境の整備を推進して参ります。
(3)リスク管理
当社は、最高責任者を社長とし、「リスク管理規定」に基づいてリスクを識別・評価し、リスク管理委員会を定期的に開催し、「企業価値を高めること」「企業資産を保全すること」「事業を継続すること」「株主、顧客、社員等のステークホルダーの信頼を得ること」「役職員等とその家族の安全と健康を優先し、確保すること」といった目標の達成に対して、事業の継続的・安定的な発展を確保するためのリスクマネジメントを推進しており、重要事項については、取締役会に報告する仕組みとなっており、その後継続的に確認できる体制を構築しております。
(4)指標及び目標
当社のサステナビリティ関連のリスク及び機会に関する指標等のうち、重要なものは上記「(2)戦略」において検討した結果を踏まえ、「取締役会」又は「リスク管理委員会」において検討してまいります。
当社の業務展開上のリスク要因となる可能性があると考えられる主な事項を記載しております。また、必ずしもリスク要因に該当しないと考えられる事項についても、投資家の投資判断上、有用であると考えられる事項については、投資家に対する積極的な情報開示の観点から以下に記載しております。
当社は、これらのリスク発生の可能性を認識したうえで、その発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針でありますが、当社株式に関する投資判断は、本項及び本書中の本項以外の記載事項も慎重に検討したうえで行われる必要があると考えております。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末日現在において当社が判断したものであり、将来において発生する可能性のある全てのリスクを網羅するものではありません。
(1)継続企業の前提に関する重要事象等
当社は、前事業年度より2期連続して営業損失を計上したことから、継続企業の前提に関する疑義を生じさせるような事象又は状況が存在しているものと認識しております。
そこで当社は「新規顧客獲得のため自社生産製品等の販売強化」「既存顧客へのリピート契約の拡大」「法人顧客へ材料販売及び工事受注増加のためアプローチ強化」等の対策を実施し、当該状況を解消してまいります。
なお、現状の当社は、現金及び預金の残高に加えて、その他にも売却可能な資産も充分にある状況であり、また取引銀行から必要な融資枠の確保もできていることから、当面の資金繰りに懸念はありません。
従いまして、当事業年度末現在において、継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められないものと判断しております。
(2)人材の確保と育成について
当社は今後の事業展開及び拡大を行うためには、それを実行できる人材の確保と育成が必要と考えております。
当社の主要事業である外壁リフォーム工事については、お客様への提案営業から現場の施工管理まで人的資本による要素が大きいため、人員の確保とともに、その育成が重要であると考えております。
特に営業部社員については、お客様への礼儀・礼節・気遣いから商品知識に至るまで独自の研修プログラムを備えているため、業界経験や営業経験を必要とせず、様々な人材の採用が可能であります。しかしながら当社が求める人材が充分に確保できなかったり、社員の育成が思うようにできなかった場合は、当社の業績及び事業展開に影響を及ぼす可能性があります。
(3)法的規制について
当社の主要事業は外壁リフォーム工事であり、「建設業法」、「建築基準法」、「割賦販売法」、「消費者契約法」、「下請代金支払遅延等防止法」、「製造物責任法」等の法的規制を受けております。
また、当社は訪問販売による営業活動を行っていることから、「特定商取引に関する法律」の規制を受けております。同法は、消費者の利益を守ることを目的とし、事業者に対して氏名等の明示の義務付け、不当な勧誘行為の禁止等の規制及びクーリング・オフ制度も規定しております。当社では、顧客アンケートの回収、消費者センターからの情報収集、それらを活用した社員教育の徹底を図り、同法を遵守した営業体制を構築、維持しております。
しかし将来、同法を含め「建設業法」等の上記法令に違反した場合や、改正及び新たな法令の制定、適用基準の変更があった場合、当社の業績及び事業展開に影響を及ぼす可能性があります。
(4)工事施工等のリスクについて
当社では、施工中の事故を防止するため、工事を担当する指定工事店への教育や指導を通じて、安全の確保に努めております。しかし、危険予知を怠ったことにより発生する事故や、予期せぬ重大な事故が発生した場合など人災や損害賠償等に繋がり、当社に対する信用力の低下を招く可能性があります。また、天候不順などによる工期の大幅な遅れが発生した場合や施工品質に関する重要な問題が発生した場合にも、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
(5)職人不足のリスクについて
当社は、外壁リフォーム工事、その他リフォーム工事における施工を外注に依存しております。当社は、外壁リフォーム工事等の経験や一定の技術水準、顧客満足度向上の意識を持つ外注先の確保に努めております。しかし、今後の営業エリアの拡大や施工棟数の増加により、選定基準に合致する外注先を十分に確保できない場合には、工期が遅延するなどにより、当社の業績及び事業展開に影響を及ぼす可能性があります。
(6)特定の仕入先への依存度について
当社は、日鉄鋼板株式会社との間で売買基本契約書及びOEM契約書を締結しており、本契約に基づき、オリジナル外壁材を同社から直接仕入れております。同社からの仕入れ割合は、2023年12月期においては47.7%であります。同社との取引は2007年10月に開始され、それ以来、同社とは良好な関係を築き、取引を継続しておりますが、今後、同社との契約が解除された場合や同社に不測の事態が生じた場合、更に自社独自製品の増産及び生産能力アップに伴う対応が遅れた場合には、当社の業績及び事業展開に影響を及ぼす可能性があります。
(7)特定人物への依存度について
当社の事業の推進者は、代表取締役である佐々木忠幸であります。当社の経営方針及び経営戦略全般の決定等における同氏の役割は大きく、当社は同氏に対する依存度が高いと認識しております。
当社では、事業規模の拡大に伴い、経営組織内の権限委譲や人員の拡充、経営組織の強化を推進し、組織力の向上に努めております。
今後も、同氏に過度に依存しない経営体制の構築を進めるべく人材を育成し、役職員の質的レベルの向上に注力していく方針であります。しかし、計画どおりの体制構築及び人材強化が達成される前に、同氏が何らかの理由で当社の経営に携わることが困難となった場合、当社の業績及び事業展開に影響を及ぼす可能性があります。
(8)個人情報の漏洩リスクについて
当社は多くの個人情報を扱っており、「個人情報の保護に関する法律」の適用を受け、同法を遵守した情報管理を行っております。具体的には、同法への対応として「個人情報保護規程」を策定し、同規程に基づく個人情報保護の適切な取り扱いを実施し、また、役職員に対し、個人情報管理に係る啓蒙活動を実施するなど、対応整備を図っております。しかし、何らかの原因により個人情報が漏洩した場合には、当社の社会的信用の低下やその対応のための費用負担によって、当社の業績及び事業展開に影響を及ぼす可能性があります。
(9)出店エリアの拡大について
当社は、北海道を中心に東北・関東で事業を展開しており、今後も更なる出店エリアの拡大を図ってまいります。新規出店にあたっては、商圏動向、競合企業の動向、地域特性、採算性等を総合的に検討しておりますが、出店条件に合致する物件や地域が見つからない場合は、計画的な出店が進まず、当社の業績及び事業展開に影響を及ぼす可能性があります。
また、新規出店のための条件が全て充足されない場合でも、戦略的に出店する場合もあります。この場合、計画どおりの売上、利益が達成されず、当社の業績及び事業展開に影響を及ぼす可能性があります。
(10)外壁リフォーム工事事業における売上高の期間帰属について
当社の売上高のうち、主たる事業である外壁リフォーム工事の販売及び施工が全体の84.6%と重要な割合を占めており、その売上高は、顧客との工事請負契約に基づいて工事目的物を引き渡す履行義務の充足までの期間がごく短いことから、「収益認識に関する会計基準の適用指針」(企業会計基準適用指針第30号 2021年3月26日)第95項に定める代替的な取扱いを適用し、顧客へのサービスの提供を完了し、完全に履行義務が充足した時点で収益を認識しております。
当該売上高は、主として多数の個人顧客が販売対象であり、年をまたぐ前に工事を完了したいという顧客ニーズがあることから、期末日である12月末付近に引渡しが集中しておりますが、期末日付近の取引が誤った会計期間に計上された場合、売上高及び損益に重要な影響を及ぼす可能性があります。
(11)工場における火災・事故と設備トラブルについて
生産工場における火災・事故と重大な設備トラブルは、労働災害の発生や稼働停止による製品供給の中断に繋がります。火災・事故を発生させないための体制や安全管理に係る点検の強化を実施しておりますが、火災・事故が発生した場合は当社の業績や財政状況に影響が及ぶ可能性があります。
なお、不測の事態に備え、資産の保全や事業中断に伴う機会損失をカバーするために、損害保険によるリスクヘッジを併せて行っております。
(1)経営成績等の状況の概要
当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当事業年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響が減衰するなかで、経済活動の正常化が進み、景気は緩やかな回復基調で推移しました。一方で、エネルギー・原材料価格の高騰や物価上昇、中国をはじめとする海外経済の減速、ウクライナ情勢・中東情勢の展開等、景気の先行きは不透明な状況が続いております。
当社が属するリフォーム業界におきましては、政府による住宅リフォームの支援等により消費者の関心は高まってきているものの、円安等による建築資材・物価高騰のなかでの消費者マインドの低下、人手不足の深刻化等引き続き厳しい事業環境が続いております。
このような経済環境の中、当社では、札幌支店の北ブロックと仙台支店・横浜支店・千葉支店の南ブロックに分け、この二本柱による営業展開を図り、前事業年度後半から引き続き粗利益率の向上にも努めてまいりました。また、地域に根差した採用と人材育成による営業力強化に注力した体制作りを継続するとともに、引き続きお客様対応時の感染症対策を慎重に行いながら営業活動を行ってまいりました。
しかしながら、新型コロナウイルス感染症が指定感染症5類に移行された以降の旅行等外向け需要の高まりによる在宅率の低下、物価高騰による消費者マインドの低下の影響は大変大きく、特に関東圏の受注件数が大きく減少することとなりました。
この結果、当事業年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
a.財政状態
(流動資産)
当事業年度末における流動資産は267,626千円となり、前事業年度末と比べ75,913千円減少いたしました。これは主に現金及び預金が31,385千円、完成工事未収入金及び契約資産が22,023千円、棚卸資産が8,923千円、立替金等のその他資産が11,022千円減少したことによるものであります。
(固定資産)
当事業年度末における固定資産は420,216千円となり、前事業年度末と比べ52,873千円減少いたしました。これは主に有形固定資産が31,857千円、長期前払費用が5,803千円、繰延税金資産が14,056千円減少したことによるものであります。
(流動負債)
当事業年度末における流動負債は199,092千円となり、前事業年度末と比べ21,834千円減少いたしました。これは主にリース債務が4,307千円増加した一方で、工事未払金が15,642千円、買掛金が3,960千円、未払費用が4,581千円減少したことによるものであります。
(固定負債)
当事業年度末における固定負債は219,527千円となり、前事業年度末と比べ43,169千円減少いたしました。これは主に長期借入金が36,440千円減少、リース債務が5,493千円減少したことによるものであります。
(純資産)
当事業年度末における純資産合計は269,222千円となり、前事業年度末と比べ63,782千円減少いたしました。これは当期純損失63,782千円を計上したことによるものであります。
b.経営成績
当事業年度の経営成績については、売上高は1,337,541千円(前期比13.8%減)、粗利益率の改善及び経費削減に努めたものの売上高の減少により営業損失は49,575千円(前年同期は営業損失27,818千円)となりました。また賃貸収入等の営業外収益7,425千円を計上し、経常損失は45,582千円(前年同期は経常損失24,113千円)となりました。当期純損失は、当期及び今後の業績動向等から当社の繰延税金資産の回収可能性を慎重に検討した結果、繰延税金資産の取崩しを計上したことにより63,782千円(前年同期は当期純損失17,868千円)となりました。
セグメント別の経営成績は、以下のとおりであります。
(外壁リフォーム工事)
外壁リフォーム工事については、原材料価格の高騰や大幅な物価高による消費者マインドの低下により受注数は減少し、売上高は1,131,827千円(前期比12.7%減)、セグメント利益は73,066千円(前期比4.9%減)となりました。
なお、地域ごとの売上高の内訳としては、北ブロック(北海道エリア1支店)678,437千円(前期比4.2%減)、南ブロック(東北エリア1支店、北関東エリア1支店、南関東エリア2支店)453,390千円(前期比23.0%減)となりました。
(その他リフォーム工事)
その他リフォーム工事については、個人向け工事が順調で受注金額は前期より増加し、売上高は142,634千円(前期比6.0%増)、セグメント利益は1,425千円(前期比34.2%増)となりました。
(材料販売)
材料販売については、受注数が前期より大幅に減少し、売上高は63,079千円(前期比47.5%減)、セグメント損失は1,018千円(前年同期はセグメント利益10,836千円)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、52,004千円(前事業年度末83,389千円)であり、前事業年度末と比較し31,385千円の減少となりました。
当事業年度における各キャッシュ・フローの状況は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度において営業活動の結果獲得した資金は12,266千円(前事業年度は19,267千円の使用)となりました。これは、主に税引前当期純損失48,598千円、仕入債務の減少19,603千円、未払費用の減少4,611千円により資金が減少した一方で、減価償却費32,737千円、売上債権及び契約資産の減少23,015千円、棚卸資産の減少8,923千円、長期前払費用の減少5,803千円、法人税等の還付額11,797千円等により資金が増加したものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度において投資活動の結果使用した資金は6,025千円(前事業年度は174,869千円の使用)となりました。これは、主に、有形固定資産の取得による支出4,141千円、保険積立金の積立による支出1,362千円により資金が減少したものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度において財務活動の結果使用した資金は37,625千円(前事業年度は152,939千円の獲得)となりました。これは、主に長期借入金の返済による支出36,440千円により資金が減少したものであります。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当事業年度の生産状況をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当事業年度 (自 2023年1月1日 至 2023年12月31日) |
前年同期比(%) |
|
外壁リフォーム工事(千円) |
85,429 |
76.4 |
|
その他リフォーム工事(千円) |
‐ |
‐ |
|
材料販売(千円) |
‐ |
‐ |
|
合計(千円) |
85,429 |
76.4 |
(注)セグメント間の取引については相殺消去しております。
b.受注実績
当事業年度の受注状況をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当事業年度 (自 2023年1月1日 至 2023年12月31日) |
|||
|
受注高(千円) |
前年同期比(%) |
受注残高(千円) |
前年同期比(%) |
|
|
外壁リフォーム工事 |
1,135,686 |
89.7 |
70,551 |
105.8 |
|
その他リフォーム工事 |
134,368 |
107.6 |
1,765 |
17.6 |
|
材料販売 |
63,079 |
52.5 |
‐ |
‐ |
|
合計 |
1,333,135 |
88.2 |
72,316 |
94.3 |
(注)セグメント間の取引については相殺消去しております。
c.販売実績
当事業年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当事業年度 (自 2023年1月1日 至 2023年12月31日) |
|
|
金額(千円) |
前年同期比(%) |
|
|
外壁リフォーム工事 |
1,131,827 |
87.3 |
|
その他リフォーム工事 |
142,634 |
106.0 |
|
材料販売 |
63,079 |
52.5 |
|
合計 |
1,337,541 |
86.2 |
(注)セグメント間の取引については相殺消去しております。
(2)経営者の視点による経営成績の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
②当事業年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討結果
a.財政状態の分析、b.経営成績の分析
当事業年度の経営成績等の分析については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要①財政状態及び経営成績の状況」をご参照ください。
c.経営成績に重要な影響を与える要因についての分析
経営成績に重要な影響を与える要因については「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおり、様々なリスク要因が当社の経営成績に重要な影響を与える可能性があると認識しております。
そのため、当社は常に事業環境に注視するとともに、内部管理体制を強化し、人材の確保と育成などにより、経営成績に重要な影響を与えるリスク要因を分散・低減し、適切に対応を図ってまいります。
d.経営戦略の現状と見通し
今後の成長戦略の実現とエリア拡大のためには、営業部の人員確保が必要となります。当社では、2016年度以降は高卒新卒社員を、2019年度以降は大学新卒社員の採用を積極的に行い、今後の事業展開を見据えた人員の確保と人材育成に努めております。今後は耐久性や断熱性を備えた当社オリジナル製品と北海道で培った施工技術を活かし、現在外壁のリフォームは塗装が一般的である関東圏に営業展開してまいります。これらの成長を実現するうえで、引き続き人員の増強と人材の育成及び企業体質の強化に取り組んでまいります。
リフォーム業界全体に目を向けてみると、2016年3月18日に閣議決定された国土交通省「住生活基本計画(全国計画)」においてリフォーム業界の市場規模が2013年の実数7兆円から2025年には12兆円に拡大するという指標が発表されており、今後これらに向けた様々な施策が行われると当社は想定しており、国民のリフォームに対する意識が高まるとともに需要も喚起されると思われます。
こうした状況のなか、当社は引き続き販売エリア拡大に向けた店舗展開や、仕入先、指定工事店との関係強化を行ってまいります。
e.資本の財源及び資金の流動性についての分析
(キャッシュ・フロー)
「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
(資金需要)
当社の資金需要は、工事を施工するための材料費、外注費、また販売費及び一般管理費等の営業費用が主なものになる運転資金需要と、当社が今後成長していくための人員の確保と教育及び販売エリアの拡大などの事業計画を遂行するための資金需要があります。新卒社員については毎年10名前後の採用を予定しており、新卒社員の給与及び法定福利費、販売エリア拡大のための出店に係る費用(事務所及び寮の家賃・敷金・紹介料、設備、現地中途社員の採用費等)が主なものになります。
新卒社員の採用初年度は教育期間となり、また新規出店についても採算ベースに乗るまで2、3年要するため、どちらも先行投資という意味合いが強くなりますが、当社が成長していくために積極的に行っていきたいと考えております。
(財務政策)
当社の運転資金及び事業計画資金につきましては、内部資金より充当しており、不足が生じた場合は、借入金による外部資金の調達を行っております。
f.経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社は、事業を継続・発展させていく上で、収益の源泉となる売上高、並びに経営に伴う通常のコストを差し引いたあとの収益性を判断するため、経常利益を重要視しております。
当事業年度における売上高は1,337,541千円と前事業年度から13.8%減少し、経常損失が45,582千円と前事業年度から21,469千円の減少となりました。今後は自社製品である「サイディンガー」の販売拡大や原価の低減などにより、当該指標の向上に取り組んでいく所存でございます。
g.セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
(外壁リフォーム工事)
売上高は、原材料価格の高騰や大幅な物価高による消費者マインドの低下により受注数は減少し、売上高は1,131,827千円(前期比12.7%減)となりました。
セグメント利益は、売価への転嫁等利益率は改善したものの受注数の減少により、73,066千円(前期比4.9%減)となりました。
セグメント資産は、売上債権である完成工事未収入金が前期より23,741千円減少、棚卸資産が4,898千円減少、有形固定資産が25,088千円減少、繰延税金資産が12,171千円減少、共用資産配賦が20,001千円減少したことにより、551,300千円(前事業年度比87,850千円減)となりました。
(その他リフォーム工事)
売上高は、個人向け工事が順調で受注金額は前期より増加し、142,634千円(前期比6.0%増)となりました。
セグメント利益は、受注金額の増加に伴い、1,425千円(前期比34.2%増)となりました。
セグメント資産は、棚卸資産が4,024千円減少、その他流動資産が1,377千円減少、共用資産配賦が98千円減少した一方、完成工事未収入金が前期より1,718千円増加したことにより、16,537千円(前事業年度比3,949千円減)となりました。
(材料販売)
売上高は、受注数が前期より大幅に減少し、63,079千円(前期比47.5%減)となりました。
セグメント損失は、受注数の大幅な減少に伴い、1,018千円(前年同期はセグメント利益10,836千円)となりました。
セグメント資産は、売掛金が前期より992千円減少、繰延税金資産が1,715千円減少した一方、共用資産配賦が52千円増加したことにより、7,132千円(前事業年度比2,656千円減)となりました。
h.経営者の問題認識と今後の方針について
当社が今後の事業を拡大し、より良いサービスを継続し、販売エリアを拡大していくためには、人材の育成や、顧客ニーズに対応した魅力あるオリジナル外壁材の開発に努め、施工後に実施している顧客アンケートでのお客様の声を重視していきたいと考えております。また「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (4)事業上及び財務上の対処すべき課題」に記載しております課題に対応していくことが重要であると認識しております。それらの課題に対応するために、経営者は、市場動向をはじめとした外部環境やその変化に関する情報の収集及び分析を行い、課題に対し最適な解決策を講じていく方針であります。
主要な仕入先との売買基本契約等の締結
当社は主要な仕入先である日鉄鋼板株式会社と売買基本契約書及びOEM契約書を締結しております。その契約の主な内容は下記のとおりであります。
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契約書名 |
契約締結日 |
契約内容 |
契約期間 |
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売買基本契約書 |
2015年2月1日 |
金属サイディング及びそれに付随する商品、又はその他両社で合意した商品の売買についての基本契約。 |
契約締結日から1年間。ただし契約期間満了の1ヶ月以内に解除の申出がない場合は以後1年ごとの自動更新。 |
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OEM契約書 |
2018年8月1日 |
日鉄鋼板株式会社が製造する金属サイディング製品の当社ブランド「ハッピーエンドシリーズ」のOEM供給につき、製造及び供給の委託等について定めたもの。 |
契約締結日から2019年1月31日まで。ただし契約期間満了の3ヶ月以内に解除の申出がない場合は以後1年ごとの自動更新。
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該当事項はありません。