文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において、当社が判断したものであります。
当社は、「データを活用した可能性に溢れた豊かな社会」をビジョンとして掲げ、社会や顧客企業に対して「データに基づいて意思決定を高度化する」ことを当社のミッションであり、社会的役割と位置付けております。

当社は経営戦略の方針として、コンサルティング事業とプロダクト事業との相乗効果を狙っており、双方の顧客へアプローチするだけでなく、コンサルティング事業で得たAIノウハウを活用し、AI製品化を研究開発することで、新たなプロダクトサービスを提供するという好循環を目指しております。そして、コンサルティング事業とプロダクト事業の両軸による「安定かつ収益性の高いビジネスの実現」を目指しております。

現在の中核ビジネスであるコンサルティング事業は、売上拡大にむけて、「大規模×長期化」を実行しております。具体的には、データ利活用を全社的に推進しようとしている企業もしくは、より拡大しようとしている企業を攻略先として定め、DX/AIアセスメント~データ解析/AIモデル構築~AIシステム実装/運用まで一気通貫でのサービス提供を進めております。また、顧客企業との関係性については、当社サービスを通じて信頼を獲得し、同一顧客にて複数のテーマを実行することで、受注金額拡大を図っております。今後も中長期にわたり顧客への経営支援を行う体制を構築し、安定的な収益基盤として強化してまいります。さらに顧客と共にサービス展開を実施していく事業参加型案件の獲得とそれを担う人財の獲得及び育成による生産性向上策を進めてまいります。
また蓄積したライブラリーを活用したプロジェクト運営の効率化、プロジェクト毎の工数を短縮し、利益率の向上を図ってまいります。
当社は顧客・協業先と進めてきた数多くのプロジェクトを通じ、解析技術等のノウハウをライブラリーとして蓄積し、将来のプロダクト構築に活かすための準備を進めてきました。自社AI製品ブランドとして「TDSEシリーズ」を展開させ、第二の成長事業としてAIプロダクト充実を図っていきます。
また、「QUID製品」や「Cognigy」、「Dify」など先端技術を保有する海外AI製品を活用して、国内企業向けサービスを展開しております。先進のビッグデータ活用技術やAI技術を持った国内外企業の調査は継続しており、当該企業が保有するサービス及びプロダクトを取り込んだソリューション展開を図っていくことで、ビジネス拡大を図ってまいります。またサービス開発においては、データ保有企業やサービス企画企業など当社と補完関係を築くことのできる協業企業とともに、サービス開発及び提供を進めてまいります。
プロダクト事業は、当社の将来基盤を築き上げる高成長事業として注力してまいります。
なお、2025年度より競争力が激化しているAIエージェント領域にスピード感を持って対処していくため、コンサルティング事業とプロダクト事業の当該領域に関わる部分を結集させ、当社の成長加速に資する取組としてAIエージェント事業を開始しております。
ビジョン・ミッションの達成に向け、当社が中長期に成長した姿を目指すことから、2023年度~2025年度の三ヵ年に亘る中期経営計画「MISSION 2025」を推進しております。テーマは以下の通りです。
「MISSION 2025」のテーマ(2025年度)
「MISSION 2025」の先にある中長期目標(2028年度)

今後もAI市場は中長期的にも拡大が期待されると見込まれる一方で、新たな産業が生まれ、多様化・複雑化する社会・産業の課題に対し、先見性をもって対応していくことが必要とされます。
当社の強みである人的資本の更なる増強、プロダクトラインナップの強化に加え、さらなる将来の業容拡大につながる取組として資本提携やM&Aは当社の成長戦略を担う戦略の一つであるという認識のもと、新たに非連続的な成長に向けた取組も進めていく考えです。
オーガニックな成長を確固たるものにすることで足場を固めることに加え、非連続成長を通した新機軸による業績拡大を進めることで、中期経営計画「MISSION 2025」の達成を目指します。
2023年度より始まった3年に亘る中期経営計画「MISSION 2025」は2025年度で終了することから、さらに現中計で準備してきた事業強化事項を確固たるものとし、さらに激しさを増す時代の変化に対応でき、一段ギアを上げた成長を加速できる組織に変革することを狙いとして、次期中計の検討を進めております。
(目標とする経営指標)
中期経営計画「MISSION 2025」において、企業全体としての重要目標達成指数(KGI)及び利益目標を設定し、事業部単位では、売上高目標を設定し、責任を明確化した組織運営および経営管理を行ってまいります。
重要目標達成指数(KGI)と利益目標

(基本戦略)
なお、詳細な戦略及び施策内容については、2025年5月14日に公開した「事業計画及び成長可能性に関する事項」にて詳しく説明しております。
経済全体では世界で起こる紛争問題・インフレ懸念など先行き不透明さがあるものの、企業のデジタル技術やAI技術の活用に対する投資意欲は依然強く、AI市場は大きく成長することが予測されています。
特にAI市場に占める生成AI領域の割合が高まり、生成AIに関わるサービス醸成に伴い、従来型のクラシカルAIと生成AIの併用が進展し、業務改革やイノベーション創出が進むものと考えられます。
① AI市場・生成AI市場の成長

※株式会社富士キメラ総研「2025デジタルトランスフォーメーション市場の将来展望」(2025年3月公表)から当社作成
② DX市場の成長(ビジネス領域別)

※株式会社富士キメラ総研「2025デジタルトランスフォーメーション市場の将来展望」(2025年3月公表)から当社作成
中期経営計画にて定めた戦略・目標等を実現するために、対処すべき課題及び対策は以下の通りです。
創業以来蓄積してきたデータ活用の実績とノウハウを用いて、DX/AIアセスメント~データ分析~システム実装、教育までを一気通貫で提供することで顧客と中長期にわたる関係を構築し、「大規模×長期化」による累積売上最大化を目指してまいります。
・新規案件獲得力の強化
新規案件獲得力を強化するために、営業人員の増強、プリセールス活動の専任組織化、KPIとそれに連動する営業アクションのモニタリングによる営業管理の強化、商談プロセスの改善及び標準化、マーケティング施策の見直し、案件創出のためのコンサルティングファーム・協業企業との連携強化および営業支援企業の活用に取り組んでおります。
・技術人員獲得およびリーディング人財の育成
採用については、企業認知度を向上、採用プロセスの改善を図ることで、優秀なDX人財の獲得強化に、入社後の育成については、リーディング人財の育成に向けた体制および独自プログラム強化にも取り組んでおります。また、生成AIエンジニア、Databricksエンジニアの育成など、変動の激しい時代に即したニーズに対応するために、人材ポートフォリオの再構築に取り組んでおります。
・新たな技術ニーズへの対応
当社の属しているAI関連技術の革新速度は非常に早く、社会や顧客内のデータ・AI活用領域を拡大すると認識しております。2024年7月にはAI先端技術の調査・検証を担うデータテクノロジーラボを設立し、調査・検証内容の全社横断的な浸透を行っております。また、書籍購入補助制度制定や社員間での海外の技術論文や事例を共有する意識の醸成などによる最新技術のキャッチアップを継続できる環境を構築しております。
当社は、グローバルで活用されている海外AI製品の販売、当社独自のAI製品の開発、販売を行っております。現在取り組んでおる中期経営計画では、より収益性を高めるという観点と中堅および中小企業への展開も想定にいれ、自社AI製品のラインナップ強化に取り組んでおります。
・TDSE QAジェネレーター
コールセンター応対ログ、社内規約やマニュアルなどの文章よりTDSE独自の生成AI、およびオントロジー技術を活用し、AIが質問(Q)と回答(A)の組合せを膨大に自動生成し、既存の自然言語処理(NLP)の精度を大幅に上げることができるサービスです。
・TDSE KAIZODE
当社独自AIとLLMにより膨大なデータからインサイトを見極める機能を備えた製品です。レビュー・アンケート等のテキストデータから顧客のインサイトを発見し、商品開発やサービス改善に繋がるリサーチ型AIエージェントツールです。※2024年12月よりSaaS型でのサービス提供を開始。
・TDSE Eye
非専門家でも最先端の画像解析技術を利用できるプラットフォームです。第一弾として正常画像のみかつ少量のデータでも利用可能な画像異常検知サービスです。
- 海外AI製品であるQuid Monitor/Cognigy/Difyによる売上拡大
更なる売上拡大のためには、新規顧客獲得と既存顧客の継続利用がカギになります。そのため、デジタルマーケティングによる認知度向上と営業体制を強化することで、新規顧客の獲得と継続に向けたサポート強化を図ります。また、各製品の弊社代理店数を増やすことで自社だけでなく、代理店による売上拡大に取り組んでまいります。
・Quid Monitor
米国発、X(旧Twitter)・Instagramなどのグローバル約10億ドメインから投稿をリアルタイムで収集・分析できる自然言語解析技術(NLP)を有するAI製品です。競合サービス分析やキャンペーン反応から消費者の興味・関心度が分析でき、また炎上防止やリスク分析など様々な用途に活かすことができます。また、50か国以上の言語に対応しています。
・Cognigy
ドイツ発、テキスト・音声で入力される様々なコミュニケーションツールから、生成AI及び自然言語理解(NLU)を介して業務システムと連携することで業務の自動化や効率化を実現できる対話型AIを設計・構築・運用・管理ができる対話型AIプラットフォームです。ローコードにて、構築が可能で、有人オペレーターの切替及び多言語に対応したインターフェイスも標準装備されています。CRMと連携した24時間顧客問合せの自動応答、予約受付や、注文受付の自動化に至っては決済機能と連携することで一貫した顧客サービスの自動化が実現できるなど、対話接点がある業務に関し、幅広くサービスを提供することができます。
・Dify
米国発、ノーコードで直感的に生成AIサービスを開発できるプラットフォームです。プログラミングの知識がなくても、ノーコードでLLMを活用したRAG、データ分析やコンテンツ生成ツールなどの生成AIサービスを構築できます。
当社のサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
当社では、サステナビリティに関する取組の必要性の認識の基で、「データを活用した可能性に溢れた豊かな社会」をビジョンに掲げ、社会や顧客企業に対して「データに基づいて意思決定を高度化する」に取り組んでおります。また 中期経営計画「MISSION 2025」を達成するために、透明性の高い経営に取り組むことを基本としております。その実現のため、株主の皆様や顧客をはじめ、取引先、従業員等各ステークホルダーと良好な関係を築き、長期的視野の中で企業価値の向上を目指すべく経営活動を推進しております。
取締役会を経営の基本方針や重要課題並びに法令で定められた重要事項を決定するための最高意思決定機関として位置づけ、原則月1回開催するとともに、執行業務を担う取締役が適宜打合せを行い、事業経営にスピーディな意思決定と柔軟な組織対応を可能とするよう努めております。加えて、業務執行に関する監視、コンプライアンスや社内規程の遵守状況、業務活動の適正性かつ有効性を監査するため、監査役が取締役会に出席することで議事内容や手続き等について逐次確認しております。また、内部監査室を置き、内部監査を実施し、監査結果を定期的に代表取締役社長に報告しております。
ディスクロージャーは、会社法・金融商品取引法は基より、取引所が定める「上場有価証券の発行者の会社情報の適時開示等に関する規則(適時開示規則)」に基づく情報開示を実施しております。また、株主・投資家等へのIR活動も重要との認識に立っており、公正妥当と認められた企業会計基準を尊重し、積極的な開示に努めております。
当社では、リスク管理に関して必要な事項について「リスク管理規程」に定め、発生しうるリスクの発生防止に係る整備、発生したリスクへの対応等を行うことにより、業務の円滑な運営および事業継続に資することとしております。また、様々なリスクを一元的に把握、管理するため、リスク・コンプライアンス委員会を設置し、リスクの管理を効果的かつ効率的に実施するために、次にあげる事項を行ってまいります。
・リスク管理の基本方針、管理体制に関する事項
・各部門のリスク管理に関する方針、体制及び対策に関する統括
・リスクの定期的な把握、リスク回避・軽減策の検討
・危機発生時に備えた対応の検討、危機発生時の指揮・対応指示
・その他リスク管理に関し必要な事項
当社がビジネスを推進するための強みであるコアコンピタンスは3つあり、国内最高峰のデータサイエンティスト集団を有していること、次に、ビジネス課題ファーストな技術力と実績を有していること、そして、コンサルティングからプロダクト開発まで一気通貫の実現体制を有していることです。これらは顧客からの高い評価を受けており、そのため当社では人的資本の重要性を認識しています。
このコアコンピタンスを今後も継続させ、また進化させるために、人事評価制度/報酬制度の充実をはかる他、人財強化の専門組織を設け、優秀な技術者の採用と教育体制の充実に取組んでおります。
・専門組織の設置 技術要員の採用および育成を強化するため、『人財強化専門組織』を設置しております。
・教育体制 創業時より人財強化に繋がる教育ノウハウが豊富に蓄積。人財育成に関する仕組や教育風土に優位性があると自負しております。
・各種取組 スキル向上と業績成果に応じた解像度の高い人事評価/報酬制度。
社員のエンゲージメントを定期的に測定し、各階層とのコミュニケーションを大事にしながら向上を図っております。
・各種制度 個々のライフスタイルにあわせて活躍できるような環境を実現し、従業員エンゲージメントを高めるため、フレックスタイム制度・在宅勤務制度、出産・育児・介護休暇制度、教育支援制度(資格取得補助制度、研修受講料補助制度、書籍購入費補助制度等)、慶弔見舞金、社会貢献活動休暇(2025年4月導入)、サバティカル休職制度を整備しています。
当社では、Valueの一つを『「チームワークと成長」 互いの考え方・働き方・生き方を尊重し、常に協力して、自分とチーム全体を成長させる。』としており、性別・年齢等を問わず能力の高い人財の採用を進めております。
<2025年4月>
技術社員増加率の目標:11.9%
技術社員増加率の実績:10.4%
参考値
2024年4月技術者:134名
2025年4月技術者:148名
(新入社員が反映される4月で記載しております。)
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。
なお、文中における将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであり、当社の事業等に係るリスクをすべて網羅するものではありません。
当社は、ビッグデータ活用技術及びAI技術に基づく事業を展開しておりますが、当該分野は新技術の開発が相次いでおり、変化の激しい業界となっております。当社は、顧客ニーズに応じた競争力のあるサービスを提供できるよう、人財の採用・育成や技術、ノウハウ等の取得に注力しておりますが、当社サービスに代わる競合他社の代替サービスが登場し、当社の競争力に影響を与える場合は、当社の事業に影響を与える可能性があります。
当社がサービスを行うAI関連市場は今後急速に拡大すると当社では確信しております。このような状況下であるものの、景気動向や業界動向の変化等により顧客企業の事業環境や業績が悪化した場合、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社の事業は、サービスの基盤をインターネット通信網や大規模なコンピュータサーバー群に依存しております。そのため、顧客へのサービス提供が妨げられるようなシステム障害の発生やサイバー攻撃によるシステムダウン等を回避すべく、稼働状況の監視及びシステムの冗長化やセキュリティ対策等による未然防止策を実施しております。このように対応は行っているものの、大規模なシステム障害等が発生した場合は、当社の事業に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、ビッグデータ解析及びAIにおける技術革新、知的財産権ビジネスの拡大等に伴い、知的財産権の社内管理体制を強化し、第三者の知的財産権侵害の可能性は可能な範囲で調査しております。当社にて十分な対応を行っているものの、万一他社の特許を侵害してしまった際には、ロイヤリティの支払や損害賠償請求等により、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社では、プロジェクトにて想定される工数を基に見積もりを作成し受注をしております。そのため、当社は顧客の要求する仕様に対する認識のズレや想定工数が大幅に乖離することがないよう慎重に工数の算定をしておりますが、業務量は顧客企業から受領するデータの内容に依存することから、事前に正確な工数を見込むことは困難であります。そのため見積もり作成時に想定されなかった不測の事態等により、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社は業務上、ソーシャルメディアから日々大量に生成されるデータを取得しております。しかしながら、ソーシャルメディア運営側の方針転換等により情報提供の方針が変更となった場合、サービス品質の低下や情報の取得に対する追加コストの発生等により、当社サービスに影響を及ぼす可能性があります。また、ソーシャルメディアデータに関する法整備においては、2010年1月に施行された改正著作権法でインターネット上の検索サービスを提供する事業者が、その検索サービスに必要な情報を収集する行為が一定の条件下で認められるようになりました。しかしながら、今後、新たな法律の制定や既存の法律の変更等により規制が求められるようになる可能性は否定できず、当社のサービスを提供する上での情報収集やサービスの提供方法自体に何らかの制約を受けることとなった場合、当社サービスに影響を及ぼす可能性があります。
当社は、今後のさらなる事業拡大及び多様化に対応するため、専門的な情報技術や業務知識を有する優秀な人財を確保していくことが必要であると考えております。しかしながら、優秀な人財の確保が計画どおりに進まない場合や社外に流出した場合には、競争力の低下や事業拡大の制約要因が生じる可能性があり、結果として、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
② 特定の取引先の依存について
当社は株式会社リクルートへの売上高が2025年3月期売上高に対して23.1%となっております。同社との関係性は良好でありますが、同社の事情や経営施策によっては取引が大きく減少することにより、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、企業価値を最大化すべく、コーポレート・ガバナンスの充実を経営の重要課題の一つと位置づけ、監査役監査及び内部監査室による内部監査の実施、規程・マニュアルを制定し、当該規程等に則り、想定されるリスクに関する情報を適時かつ組織横断的に集約し、適切なリスク管理を推進しております。 このような対応にも関わらず、法令等に抵触する事態や不正行為等が発生した場合は、当社の事業に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、自社の人財の確保及び育成に注力している一方、プロジェクトを成功させるためには、プロジェクトの各局面に応じて適切な業務委託先を確保することも必要であると考えております。そのため、業務委託先との関係を強化し、柔軟に事業規模を拡大する仕組みの構築に取り組んでおります。しかしながら、プロジェクトに対する業務委託先の関与割合が高まった場合には、顧客が要求する品質水準に達するまでに、契約時点では予見不能な追加コストが発生する可能性や、当社の品質水準を満たす業務委託先を選定できない場合や業務委託先の経営不振等によりプロジェクトが遅延する可能性があり、その場合、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社が仕入販売しているソフトウエア商品については、当該仕入先の経営方針および事業計画等が変更された場合、顧客に対する商品およびサービスの提供に支障が生じる可能性があります。プロダクトサービスで取り扱う主要製品の仕入先である NetBase Solutions, Inc.の経営方針の変化がある場合、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
大地震・火災・洪水等の自然災害の発生により、当社の事業活動が中断し、サービスに遅延が生じるおそれがあります。これにより、売上が減少し、事業の回復に多大な費用が生じた場合、当社業績に大きく影響を及ぼす可能性があります。
当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
当事業年度における国内経済は、企業収益及び雇用・所得環境などで改善を示しております。一方で、米国の今後の政策や中国経済の減速長期化などの不安定な世界情勢の長期化や物価上昇等により、先行きは不透明な状況にあります。情報サービス産業においては、企業の競争力強化、生産性向上のためのDX関連投資の意欲は引き続き高い状況にあり、とりわけChatGPTをはじめとする「生成AI」の普及が進み、AIを活用したDX市場は拡大しております。
このような状況の下、当社は2023年に策定した中長期目標の第1フェーズである2024年3月期から2026年3月期までの3カ年を対象とした「MISSION 2025」の2年目にあたるなか、「MISSION 2025」で掲げるコンサルティングサービスの持続的な成長を達成し、並行してプロダクトサービスのラインナップを全社挙げて強化するというテーマの実現に向けて事業を推進しております。
コンサルティングサービスでは、技術面においては、大規模言語モデル(LLM)に関する技術検証、数理最適化や反実仮想機械学習等の実施プロセスの標準化、分析プラットフォームであるDatabricksや生成AI開発プラットフォームである「Dify」に関する提案強化に取り組みました。営業面においては、営業人員の増強、プリセールス活動の専任組織化、新たに設定したKPIとそれに連動する営業アクションのモニタリングによる営業管理の強化、商談プロセスの改善及び標準化、マーケティング施策の見直し、案件創出のためのコンサルティングファーム・協業企業との連携強化および営業支援企業の活用に取り組みました。
プロダクトサービスでは、製品ラインアップの拡充を進めて、当社オリジナル製品としてAIエージェント「TDSE KAIZODE」(以下「KAIZODE」)の提供を当事業年度から開始いたしました。仕入製品としては、QUID製品に生成AIによる要約機能「AI Summary(β版)」とTikTokアカウント分析機能が新たに搭載したのに加え、前述の「Dify」を開発するLangGenius,Inc.と国内初となる販売・開発パートナー契約を締結いたしました。「Dify」はすでに国内でもコミュニティー版として広く認知されている製品ですが、日本語によるテクニカルサポートやコンサルティングサービスを提供できないことが課題となっておりました。当社が国内で提携することにより、国内企業でも安心してご利用頂ける体制を整えました。また、奈良先端科学技術大学院大学と共同で、LLM利用を促進する上で主要な障壁となるハルシネーションの発生を大幅に低減する技術開発に関する研究プロジェクトを実施しました。
以上のとおり取組んできた結果、当事業年度の業績においては、売上面は、コンサルティングサービスでは既存顧客に対する関係強化、継続的なアプローチを進めたことにより主要顧客の売上が順調に拡大したこと、プロダクトサービスではQUID製品の新規契約が順調に拡大したことにより全体では売上高は2,699,081千円(前期比7.0%増)となりました。利益面では、「MISSION 2025」の実現に向け営業強化・技術員採用を目的とした投資を前期比で増加させたことにより、営業利益は198,773千円(前期比26.8%減)、経常利益は201,371千円(前期比26.7%減)、当期純利益は136,557千円(前期比31.8%減)となりました。
なお各四半期会計期間では、以下のとおりとなっております。
当事業年度末における資産合計は、前事業年度末と比291,477千円増加し2,731,866千円となりました。
(流動資産)
流動資産の残高は、前事業年度末と比べ271,290千円増加し2,465,835千円となりました。これは主に現金及び預金が163,059千円、売掛金及び契約資産が39,246千円及び前渡金が71,311千円それぞれ増加したこと等によるものであります。
(固定資産)
固定資産の残高は、前事業年度末と比べ20,186千円増加し266,030千円となりました。これは減価償却費22,868千円の計上による償却資産の減少があるものの、繰延税金資産が32,516千円及び保険積立金が11,700千円それぞれ増加したこと等によるものであります。
当事業年度末における負債合計は、前事業年度末と比べ157,398千円増加し522,824千円となりました。
(流動負債)
流動負債の残高は、前事業年度末と比べ158,231千円増加し502,824千円となりました。これは主に取引の拡大により前受金が68,684千円増加した他、賞与引当金が39,771千円及び未払法人税等が30,031千円それぞれ増加したこと等によるものであります。
(固定負債)
固定負債の残高は、前事業年度末と比べ832千円減少し20,000千円となりました。これは長期リース債務の減少によるものであります。
当事業年度末における純資産合計は、前事業年度末と比べ134,078千円増加し2,209,042千円となりました。これは主に当期純利益136,557千円を計上したこと等により繰越利益剰余金が115,794千円増加したこと等によるものであります。
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は1,955,492千円となり、前事業年度末1,792,432千円と比べ163,059千円増加しました。当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、197,348千円(前事業年度は107,179千円の獲得)となりました。これは主に税引前当期純利益201,197千円(前事業年度は276,130千円)および賞与引当金の増加等のプラス要因、売上債権の増加および法人税等の支払等のマイナス要因によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、11,700千円(前事業年度は68,652千円の使用)となりました。これは主に保険積立金の積立による支出等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は、22,064千円(前事業年度は21,666千円の使用)となりました。これは主に配当金の支払によるものであります。
当社が行う事業は、提供するサービスの性格上、生産実績の記載に馴染まないため、記載しておりません。
当事業年度における受注実績は、次のとおりであります。
当事業年度における販売実績は、次のとおりであります。
(注) 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成にあたり重要となる会計方針は「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項 重要な会計方針」に記載のとおりであります。
その作成には、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りについて合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積りによる不確実性のため、これらの見積りと異なる場合があります。
(売上高)
当事業年度の売上高は、コンサルティングサービスでは既存顧客に対する関係強化、継続的なアプローチを進めたことにより主要顧客の売上が順調に拡大したこと、プロダクトサービスではQUID製品の新規契約が順調に拡大したことにより前事業年度比7.0%増の2,699,081千円となりました。
(売上原価、売上総利益)
当事業年度における売上原価は、前事業年度比9.1%増の1,773,998千円となりました。これは主に人員増に伴う労務費の増加及びプロダクトサービスの伸長に伴う商品仕入の増加等によるものであります。
この結果、当事業年度の売上総利益は、前事業年度比3.3%増の925,082千円となりました。
(販売費及び一般管理費、営業利益)
当事業年度における販売費及び一般管理費は、前事業年度比16.4%増の726,308千円となりました。これは主に人員増に伴う人件費関連費用の増加等によるものであります。
この結果、当事業年度の営業利益は、前事業年度比26.8%減の198,773千円となりました。
(営業外損益、経常利益)
当事業年度における営業外収益は、前事業年度比3.0%増の3,263千円となりました。
この結果、当事業年度の経常利益は、前事業年度比26.7%減の201,371千円となりました。
(特別損益、当期純利益)
当事業年度における特別損失は174千円となりました。
この結果、当事業年度の当期純利益は、前事業年度比31.8%減の136,557千円となりました。
キャッシュ・フローの状況の分析につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況 」に記載しております。
当社の資本の財源及び資金の流動性については、次のとおりであります。
当社の事業活動における運転資金需要の主なものは、労務費、外注費のほか、販売費及び一般管理費等の営業費用、研究開発のための費用であります。当事業年度における現金及び現金同等物の残高は、税引前当期純利益の増加等により、前事業年度末より163,059千円増加の1,955,492千円となりました。流動比率は490.4%と、流動性を十分に確保しております。運転資金や投資資金については、自己資金により調達することを基本としておりますが、必要に応じて金融機関等より調達を行うこととしております。
当社の経営方針・経営戦略については、「第2 事業の状況」「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」「(1)経営方針」に記載の通りです。経営上の目標の達成状況を判断するための指標は、「第2 事業の状況」「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」「(2) 中期経営計画」に記載の通りであり、責任を明確化した組織運営および経営管理を行ってまいります。
ビッグデータ・AIソリューション事業に関する契約
当社は、成長戦略であるプロダクトサービスの拡充にむけて、新たな製品ブランドとなる『TDSEシリーズ』の企画・開発を進めております。
具体的には、最先端の画像解析技術を利用できる当社独自プラットフォームとして、『TDSE Eye』を提供しており、企業への試行的展開を進めることで顧客ニーズを収集しております。
また、奈良先端科学技術大学院大学と共同で、LLM利用を促進する上で主要な障壁となるハルシネーションの発生を大幅に低減する技術開発に関する研究プロジェクトを実施いたしました。
当事業年度の研究開発費は
当社は、ビッグデータ・AIソリューション事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載は省略しております。