第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中における将来に関する事項は、本書提出日現在において、当社グループが判断したものです。

 

(1)会社の経営の基本方針

当社は、「夢が溢れる世界のために、人のあらゆる可能性を切り拓きます。- all the possibilities -」というMissionに基づき、その世界の実現のために、あらゆる人のあらゆる可能性を信じ、それを切り拓くサポートをする存在であることを経営の基本方針としており、様々な業界、企業で活躍する人材を人材育成事業によって支援しております。

 

(2)中長期的な経営戦略、経営環境および対処すべき課題等

(中長期的な経営戦略、経営環境)

当社グループは「アジア人材育成No.1となる、 事業創造と人づくりで継続成長するグローバル企業」というVisionを掲げ、アジアでの人材育成No.1となり、「価値を創り出す意思」と「人」を根幹に、お客様に支持される事業によって継続的に成長する企業であることを目指しております。

当社サービスを取り巻く人材育成業界の市場規模は、これまで多くの企業において人材育成の必要性は認知されてはいるため、安定的ではあるものの、投資対効果が見えづらいために、急拡大を見込める市場ではないものの、労働人口の長期的な減少を背景とした、労働生産性向上のニーズの高まりや、AI技術の革新による人の付加価値向上ニーズによって人材育成業界への期待は高まっています。

そのような中、当社は、事業規模の拡大を図るため、マーケティング施策への投資、システム開発投資、人員への投資など積極的な投資を行い、事業活動を推進してまいりましたが結果として、期待していた投資効果を得ることができず、経営成績は目標を達成することができませんでした。

このような中、当社は後述の「対処すべき課題」に記載のとおり、成長するための課題を幅広いマーケティング活動による新規顧客獲得という方針から、法人向け教育研修、etudesともに、より単価を向上させることに注力することで売上規模の拡大を図ってまいります。また、昨今の業績を鑑み、より利益体質な企業へと転換を図るため、結果が直接的なものや、当社の本質的な競争力向上に資するもののみに投資を集中させてまいります。

以上の取り組みをとおし、当社は顧客の組織課題の解決のため、当社の熟達した社員の関与を増やしながら顧客組織へのトータルコンサルティングを行うことで、売上高の拡大並びに利益創造に邁進してまいります。

 

(対処すべき課題)

 当社グループは、「夢が溢れる世界のために、人のあらゆる可能性を切り拓きます。- all the possibilities -」というMissionに基づき、様々な業界、企業で活躍する人材を人材育成事業によって支援しております。

 多くの企業において人材育成の必要性は認知されており、市場規模は安定的ではあるものの、投資対効果が見え辛いために、大きく成長する市場ではありませんでした。しかし、労働人口の長期的な減少を背景とした、労働生産性向上のニーズの高まりや、AI技術の革新による人の付加価値向上ニーズによって人材育成業界への期待は高まっています。この期待に応えるには『育成の成果』を明らかにし、より大きな投資に見合うサービスであるという認知の獲得が必要と考えております。また、新型コロナウイルス感染症が拡大した頃より浸透した在宅・テレワークが継続して推進されており、オンラインでの研修実施やeラーニングの利用が促進され、定着してきております。

 そのような状況下で、「中長期的な経営戦略、経営環境」に記載のとおり、当社の中長期でのさらなる事業成長や利益の創出により企業価値を向上させていくことは大変重要な課題であると認めております。

 以上のことから対策として以下の施策を実施してまいります。

 

1.顧客単価の向上

 当社は、国内の大企業法人が主要な顧客層であり、個別最適化されたソリューションを提供しながら顧客単価の向上を図ることで、事業の成長拡大を継続してまいりました。この取り組みにより既存の顧客基盤がこれまでより充実したことから、新規の顧客を獲得することによる事業規模の拡大に注力してまいりました。

 一方、マーケティング活動による新規顧客獲得については、当初想定していた規模での効果が出てはいないため、マーケティング活動は総合的に勘案し必要なものをしっかりと選定したうえで実施することといたしました。当面の課題としては、大型案件の獲得および受注率の向上にあると考えており、営業強化施策を展開しながら、当社熟達者の関与を深め、個々の研修実施にとどまらない組織課題の解決に向けた総合的なソリューションを提供することで、顧客単価の最大化に努めてまいります。

 以上の取り組みを通し当社は、事業規模の拡大を図り利益水準の向上に邁進してまいります。

 

2.etudes事業の拡大

 現在、これまでの同業他社にとどまらず異業種からの参入が相次いでいるeラーニング、ラーニングマネジメントシステム(LMS)市場においては、当社の得意な分野での優位性をしっかりと発揮しながら競争に勝ち抜いていく必要があると考えております。そのため当社のクラウド型eラーニングシステム「etudes」を提供しているetudes事業においては、大きく2つの方針を柱に、事業活動の拡大を図っていきたいと考えております。まず1つ目の柱として、法人向け教育研修の顧客層である国内の大企業法人へ向けたソリューションを強化し、法人向け教育研修営業や顧客人事とも連携しながら組織課題の解決に向けたソリューションの一つとして、事業規模の拡大を図っていく方針です。また、2つ目の柱としては、中堅中小企業向けにeラーニング等を提供するベンダーが利用できるLMSのプラットフォームとして当社の「etudes」の利用を促進することにより事業拡大を推進してまいります。前連結会計年度より導入している最低取引価格の導入等の取り組みを継続しながら、それぞれの施策を加速していくことで、etudes事業においても顧客単価の向上を図り事業の成長拡大に邁進してまいります。

 

3.利益体質組織への転換

 これまで当社は、事業規模の拡大を図るため、マーケティング施策への投資、システム開発投資、人員への投資など積極的な投資を行い、事業活動を推進してまいりました。一方、一連の投資活動により当初想定していた規模での効果が出ていなかった投資分野も存在していたため、投資項目について、これまで以上に選別を行い、より厳しい効果測定の実施や機動的な投資活動の取捨選択を行うことが今後の成長における重要な要因であると考えております。

 今後も当社は、コンテンツ制作やシステム開発など必要な投資を十分に行いつつ、事業の趨勢を見極めながら機動的な投資活動を行い企業規模の成長を図ってまいります。

 

4.内部管理体制の強化とコーポレート・ガバナンスの充実

 当社グループは、持続的な成長と企業価値の向上のため、内部管理体制の充実が不可欠であると認識しており、役職員のコンプライアンス意識の向上、当社連結子会社並びに各事業の取引態様に即した内部管理体制を構築するなど、コーポレート・ガバナンス体制の強化に取り組んでまいります。

 今後は、認証を取得済みのISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)運用を通じ、データを安全で効率的に管理する体制の強化をさらに進めてまいります。

 株主の皆様におかれましては、今後とも格別のご支援を賜りますようお願い申し上げます。

 

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループは、「夢が溢れる世界のために、人のあらゆる可能性を切り拓きます。- all the possibilities -」というMissionに基づき、その世界の実現のために、あらゆる人のあらゆる可能性を信じ、それを切り拓くサポートをする存在であることを経営の基本方針としており、様々な業界、企業で活躍する人材を人材育成事業によって支援しております。

この Mission のもと、人的資本に関する取組はもとより、人材育成を通して人のあらゆる可能性を切り拓き、企業や社会に継続的に貢献することにより持続可能な社会の実現へ貢献してまいります。

 

(1)ガバナンス

当社グループは、人材育成の側面から、様々な企業課題や社会課題の解決を促す事業活動を推進し、当社グループの継続的な成長を通し幅広く社会に貢献することで社会の持続的な発展につながると考えております。

当社グループにおいてサスティナビリティに関する事項は、代表取締役社長を中心に事業部、バックオフィスの区別のない体制を整備しながら、内容に応じ取締役会やリスク・コンプライアンス等委員会等と連携し、取り組みを推進しております。

目まぐるしく経営環境の変化が起こる中においても、永続的な発展と成長、持続的な企業価値の最大化を目指し株主をはじめとする全てのステークホルダーからの期待に応えるため、当社グループは、経営の健全性や効率性や透明性を確保すべく、最適な経営管理体制の構築に努めております。

 

(2)戦略 (人的資本経営)

当社グループは、個人のエネルギーの湧出と会社の方向性に向けて協働することが両立されている状態により、お客様への提供価値を高めていくことを人的資本経営の基本戦略とし、人材育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針を下記の通り定めております。

 

人材の育成及び社内環境整備に関する方針、戦略

①個々人と組織としての仕事の熟達

 一人ひとりの意思や強みを最大限に発揮し、熟達を深めることができる場を創る

②長く働ける環境づくり

 一人ひとりが物心両面で安心して働ける環境づくりを進める

③組織ぐるみで育てる文化づくり

 成熟と熟達をテーマとした成長と育成の文化を醸成する

④チームとして価値創造する文化づくり

 一人ひとりの個性をお互いに受容することによって多様性のあるチームになると共に、会社の目指すものを共

 有することにより一つの組織としての連帯感を持つことができている

 

(3)リスク管理

当社グループは、数多く想定される全社的なリスクを特定し的確に対応するため、原則四半期に一度、その他必要に応じてリスク・コンプライアンス等管理委員会を開催しており、リスクの分析、事前予防や発生時の損害最小化、再発防止に関して議論するとともに、その結果を取締役会に報告しています。

サスティナビリティに関するリスクの認識や、対応の優先順位につきましては、年に一度多様な観点から分析を実施し想定発生頻度や事業やその運営に与える影響を勘案しリスク・コンプライアンス等管理委員会にて決定され、当該年度の優先的に対応すべきリスクとして全社的にその課題の解消に向け取り組んでおります。

 

(4)指標及び目標

当社グループは、(2)戦略(人的資本経営)において記載した、個人のエネルギーの湧出と会社の方向性に向けて協働することが両立されている状態により、お客様への提供価値を高めていくことを人的資本経営の基本戦略としており、それに関する指標については「人的企業価値」と呼称し下記の通りとしております。なお、当社グループにおいては、関連する指標の管理とともに、具体的な取り組みが行われておりますが、次の指標に関する実績は、連結グループにおける主要な事業を営む提出会社のものを記載しております。なお、本報告書提出日現在においては、当該指標についての目標は設定しておりません。

 

人材の育成及び社内環境整備に関する方針に関する指標の内容並びに当該指標を用いた実績

 

 

第19期

第20期

第21期

第22期

指標

2021年12月

(実績)

2022年12月

(実績)

2023年12月

(実績)

2024年12月

(実績)

人的企業価値a×b×c(千円)

12,161,942

13,204,380

14,605,931

14,329,207

a.単体正社員数)

114

149

158

152

b.一人当たり売上高(千円)

20,129

17,724

18,126

17,787

c.平均勤続年数()

5.3

5.0

5.1

5.3

 

 

 

3 【事業等のリスク】

本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性がある と考えられる事項を下記に記載しておりますが、当社グループの事業等のリスクは以下の事項に限定されません。当社グループは、リスクを認識した上で、発生の回避及び発生した場合には当該事象による影響が最小限となる対応に努める方針でありますが、当社株式に関する投資判断は、以下の事業等のリスク及び本項以外の記載事項を慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。なお、記載事項における将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 事業環境について

当社グループは、大手企業を主要顧客とし、法人を対象とした人材育成事業を提供しております。現在、景気回復による労働市場の活況に伴い、企業が新卒採用を積極的に行う中、当社の主力領域である「新人・若手領域」で展開している新入社員向け研修は、堅調に推移しております。しかしながら、今後、若年労働人口及び新卒採用動向の変化により新卒採用数が減少した場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) 人材の確保と育成について

今後の事業拡大及び業務内容の多様化に対応すべく、優秀な人材の確保が必要となります。しかしながら、当社グループが求める人材が適切な時期に確保、育成できなかった場合、また、社外流出等何らかの事由により既存の人材が業務に就くことが困難になった場合、業務運営及び成長戦略に支障をきたし、当社グループの事業運営及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) 競合について

社会人を対象とした人材育成や教育研修事業に関しては、他の研修会社やコンサルティング会社等、多数の企業が参入しており、今後より一層、品質や価格に係る競争が激化するものと認識しております。当社の競争優位性として認識しております、顧客との関係構築を通じたニーズに合わせたカスタマイズ力や、アセスメント等を通じた現場での育成成果の定着支援において、他社に対する優位性が維持できなくなった場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4) 海外でのサービス展開について

① 海外関連サービスにおける外部環境の変化に係るリスクについて

当社の海外派遣研修及び語学研修「ALUGO BOOT CAMP」における派遣先国は、インド、フィリピン等、アジア方面が中心であります。海外派遣研修等を提供するにあたっては、参加者及び当社従業員の安全確保を第一に考え、常時、安全情報の入手、外務省の海外安全情報に基づく全社共通の催行基準に従って対応しております。また、当社子会社の実施する海外教室型研修は、中国並びにシンガポールにて実施しております。これらのサービスの実施に際しましては、外部機関と連携し、様々なリスクを想定した危機管理体制及び万一のトラブル・事故発生時に適切かつ迅速に対応できる体制を構築しております。

しかしながら、所在国における、テロの発生、感染症の流行、自然災害等の外部環境の変化が生じた場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

② 海外関連サービスにおける現地法律に係るリスクについて

当社グループの海外子会社において実施しております海外教室型研修は、所在国の政治、経済、社会情勢の変化に起因して生じる事態、関連する法令改正及び新法令の制定並びに諸規則等により所在国における事業継続が困難となるリスクを有しております。当社本社において、各海外子会社を統括、管理する部門を設置するとともに、社内外に構築してきた危機管理体制により、リスクに対応できる体制を整備しておりますが、このようなリスクが顕在化した場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5) システム障害について

当社の法人向け「ALUGO」及びクラウド型eラーニングシステム「etudes」は、社内システム及びサーバ等並びにインターネットに依存しております。また、サービスはインターネットを介して行われるため、通信事業者が運営する通信ネットワークに依存しております。そのため、当社グループは、サービスの安定供給に向けて、コンピューターウイルスへの感染、ネットワークへの不正侵入、サイバー攻撃等によるシステムダウン、電力不足や自然災害等に伴うシステム障害等、顧客へのサービス提供を妨げられるようなトラブルを回避するために、外部業者によるシステムサーバの管理・監視体制の構築やセキュリティ対策等により未然防止策を講じております。また、当社の社内業務は、システム化を進めており、情報システム及びインターネット技術と密接に関連しているため、ハッキングやコンピューターウイルス被害等を予防するためのセキュリティ対策を講じております。

しかしながら、何らかの障害により、顧客へのサービス提供が不可能となった場合、当社グループの社会的信用の低下や損害賠償請求等が発生する可能性があります。また、障害の規模によっては、サービス提供の中断や修復費用の増加等により、当社グループの事業運営及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6) 講師・コーチの確保について

① 教室型研修の講師について

講師の品質は、当社が提供する人材育成施策の成果を左右する一つの要素であります。企業の人材戦略に応じて求められる研修テーマや育成施策が多様化する中、顧客のニーズに応え、高品質の研修を実施するためには、スキル、知識、経験を兼ね備えた講師の確保が必要であります。しかしながら、将来において、当社が求める要件を備えた講師を確保できず、主力サービスである教室型研修の提供に支障が生じた場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

② 「ALUGO」のコーチについて

当社の法人向け「ALUGO」の英会話レッスンは、マンツーマンレッスンであり、ビジネスで通用する英会話の指導ができる高品質のコーチが不可欠となります。また、当社の英会話レッスンのコーチは、主にフィリピン在住のフィリピン人であり、当社子会社ALUE PHILIPPINES INC.において、コーチの管理を行っております。しかしながら、フィリピンの社会情勢、感染症の流行による情勢の変化、景気変動に伴う雇用情勢の変化等による報酬水準の上昇や関連する法令改正及び新法令の制定、諸規則等により、コーチの確保、法人向け「ALUGO」のサービス提供に重大な支障が生じた場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(7) 法的規制等について

① 旅行業法について

当社の海外派遣研修及び語学研修「ALUGO BOOT CAMP」は、旅行業法における一定の事業に該当するため、当社は第1種旅行業者(観光庁長官登録旅行業 第1930号)として登録し、旅行業法に則りサービスを提供しております。しかしながら、当社が旅行業法に定める登録拒否事由に該当し、登録更新を行うことができない場合、または、旅行業法上の取消事由に該当し取消処分等を受けた場合は、登録の取消又はサービス提供の停止等を命じられる可能性があります。現時点において登録更新拒否や取消し事由に該当する事実はないと認識しておりますが、何らかの理由によりこれらの事由が生じた場合は、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

② 個人情報保護法について

当社は、事業運営に際し、顧客企業、従業員等その他の関係者の個人情報及び機密情報を保有しております。当社では、個人情報を適切に取り扱う体制の整備にあたりプライバシーマークを取得しております。また、個人情報及び機密情報の取扱いに関する規程を定め、情報管理を徹底するための部署を設置し、定期的に情報管理に関する教育を実施する等、情報管理体制の構築、運用の徹底に努めております。しかしながら、第三者による不正アクセス、システム運用における人的過失、従業員の故意等により、個人情報や機密情報の漏洩、不正使用等の事態が生じた場合は、当社グループの社会的信用の低下や損害賠償請求等の発生により、当社グループの事業運営及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(8) 知的財産権について

当社の事業においては、自社開発・設計によるオリジナルコンテンツを中心に顧客へ提供しております。そのため、第三者に帰属する著作権等の知的財産権、肖像権等を侵害しないよう、事前に権利関係を調査する等、細心の注意を払っております。また、当社グループの資産の保護、保全に向けて、商標権の取得や著作権の明示、自社開発した技術の特許取得を行っております。しかしながら、当社の知的財産権等に関する調査、管理が完全である保証はなく、当社が認識せずに第三者に帰属する著作権等の知的財産権、肖像権等を侵害した場合、当社に対する損害賠償や使用差し止め等により、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(9) 組織体制について

① 代表取締役社長への依存について

当社の代表取締役社長である落合文四郎は、当社の創業者であり、創業以来代表取締役社長を務めております。現在においても、経営方針や事業戦略の決定から新サービスの開発等の各業務分野に至るまで、当社の事業活動全般において重要な役割を果たしております。このため当社では、取締役会や経営会議等における情報共有や経営組織の強化を図り、同氏に依存しない経営体制の整備を進めております。しかしながら、現時点においては、何らかの理由により同氏が当社グループの業務遂行を継続することが困難になった場合、当社グループの財政状態及び経営成績並びに今後の事業推進に影響を及ぼす可能性があります。

② 内部管理体制について

当社は、小規模組織による運営でありますが、当社の継続的な企業価値の向上と発展を遂げていくために、コーポレート・ガバナンス体制の強化は重要な課題の一つであると認識しております。現在、財務報告の信頼性、業務の有効性及び効率性、事業活動に関わる法令等の遵守、資産の保全を実現するために、内部統制が有効に機能する体制を構築し運用に努めておりますが、今後、事業の急速な拡大により、十分な内部管理体制の構築、運用を促進できない場合、適切な業務運営が困難となり、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(10) 四半期ごとの収益変動について

当社の収益の大半を占める法人向けサービスは、顧客の人材育成計画と連動しております。特に、当社が強みとしている新入社員育成については、顧客の新入社員受入れに伴う研修の実施が4月に集中いたします。その一方、月ごとの変動の小さい人件費等の固定費は継続して発生することから、第2四半期(4~6月)の売上高及び利益は大きくなる傾向にあり、第1四半期(1~3月)及び第3四半期(7~9月)の売上高及び利益は小さくなる傾向にあります。したがって、第2四半期において当社グループの経営成績が不調となる場合には、当社グループの通期の経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(11) 講師、コーチの不祥事、風評等のリスクについて

当社グループは、講師やコーチが、事故、事件、不祥事等を起こした場合、又は巻き込まれた場合、風評及び報道がなされた場合等には、当該講師、コーチの研修への登壇中止等の措置が必要となるため、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。また、これらの発生事象に対し、当社グループの対応等に関わらず、投資家、マスメディア、インターネット、その他を通じて社会全般に広まった場合において、当社グループへの悪影響により社会的信用が損なわれ、事業運営及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は以下の通りです。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度における我が国の経済は、インバウンド需要、物価上昇に後押しされた企業環境の好転や雇用・所得環境の改善により景気は緩やかに持ち直しています。一方で地政学的緊張の高まりや原材料価格の高騰による影響、及び米国政治・経済状況の予測の困難さを受け先行きが不透明な状況が続いております。

当社グループの属する人材育成業界においては、雇用環境の改善による教育への注目度が上がってきている一方、働き方の多様化などを受け、従来の一か所に集合して行う集合研修に加えオンラインでの研修実施やeラーニングの利用をハイブリッドで行うなど、新たな教育研修の形が定着してきております。

このような環境の中、当社グループでは、国内大手法人顧客向け研修の受注の拡大や、M&Aによる事業規模の拡大に取り組み、「夢が溢れる世界のために、人のあらゆる可能性を切り拓きます。- all the possibilities -」というMissionのもと、事業運営に注力してまいりました。

なお、当社グループは、人材育成事業の単一の報告セグメントでありますが、経営成績の概況についてはセグメントに代えてサービス別に記載しております。

 

1.法人向け教育

<教室型研修/グローバル人材育成>

法人向け教育の当連結会計年度における売上高は、株式会社エナジースイッチやクインテグラル株式会社を子会社化したことにより、グループ全体では売上高の増加があった一方で、前連結会計年度と比べグローバル人材育成や教室型研修において大型案件の剥落があったことに加え、顧客単価の低下が影響し低調に推移しました。

以上の結果、法人向け教育の売上高は連結相殺消去前では2,538,617千円(前年同期比2.0%増)、連結相殺消去後は2,537,125千円(前年同期比1.9%増)となりました。

 

2.etudes

<etudes>

クラウド型eラーニングシステム「etudes」の当連結会計年度における売上高は、ラーニングマネジメントシステムの活用への注目度が高まっているものの、取引先の拡大により1社当たりの売上高が想定よりも低く推移いたしました。当連結会計年度後半より最低利用単価を導入するなどの取り組みを進め、改善の傾向が見られたものの、当連結会計年度への影響は限定的であったため売上高は微減となりました。

以上の結果、etudesの売上高は、367,279千円(前年同期比2.0%減)となりました。

 

3.その他

<海外教室型研修>

当社の海外子会社が現地法人向けに提供している海外教室型研修の当連結会計年度における売上高は、案件実施の制限がなくなりこれまでどおりの研修が実施可能となったことに加え、大型案件の受注等の影響により順調に推移しました。

以上の結果、海外教室型研修の売上高は、184,615千円(前年同期比11.6%増)となりました。

 

これらの結果、当社グループの当連結会計年度における売上高は、連結相殺消去前では3,090,512千円(前年同期比2.0%増)と前年同期に比べ61,616千円増加、連結相殺消去後は3,089,020千円(前年同期比2.0%増)と前年同期に比べ60,124千円増加いたしました。

 

当連結会計年度の利益面においては、法人向け教育において、人員増加によるコストの上昇があった結果売上原価率が増加し、売上総利益率が低下したことで、売上総利益は1,833,521千円(前年同期比1.6%減)と前年同期に比べ28,924千円低下しました。

また、子会社2社(株式会社エナジースイッチ、クインテグラル株式会社)の新規連結による販売費及び一般管理費の増加、主に人件費の増加の影響により販売費及び一般管理費は1,898,079千円(前年同期比6.8%増)となり、前年同期に比べ120,650千円増加いたしました。

 

これらの結果、当社グループの当連結会計年度における営業損失は64,557千円(前年同期は85,017千円の営業利益)、経常損失は67,210千円と(前年同期は84,847千円の経常利益)、親会社株主に帰属する当期純損失は、73,706千円(前年同期は56,851千円の親会社株主に帰属する当期純利益)となりました。

 

 財政状態については、当連結会計年度末では以下のとおりとなりました。

(単位:千円)

 

前連結会計年度

2023年12月31日

当連結会計年度

2024年12月31日

増減

流動資産

1,526,928

1,367,037

△159,890

固定資産

195,357

534,698

339,341

資産合計

1,722,285

1,901,736

179,450

 

 

 

 

流動負債

409,053

548,330

139,277

固定負債

54,984

168,562

113,578

負債合計

464,038

716,892

252,854

 

 

 

 

純資産合計

1,258,247

1,184,843

△73,404

 

 

 

 

負債純資産合計

1,722,285

1,901,736

179,450

 

 

 

主な変動理由は以下の通りです。

流動資産

当連結会計年度における流動資産残高は、1,367,037千円となり、前連結会計年度に比べて159,890千円の減少となりました。これは主に、現金及び預金が164,215千円減少し、売掛金が49,136千円減少したことによるものです。

 

固定資産

当連結会計年度における固定資産残高は、534,698千円となり、前連結会計年度に比べて339,341千円の増加となりました。これは主に、当連結会計年度において親会社株主に帰属する当期純損失の計上に伴い、税務上の繰越欠損金が発生したことにより繰延税金資産が22,957千円増加し、株式会社エナジースイッチ及びクインテグラル株式会社を新規に連結し、のれんを新たに計上した結果、のれんの金額が222,517千円増加したことによるものです。

 

流動負債

当連結会計年度における流動負債残高は、548,330千円となり、前連結会計年度に比べて139,277千円の増加となりました。これは主に、運転資金の新規借り入れにより、短期借入金が200,000千円増加したこと等によるものです。

 

固定負債

当連結会計年度における固定負債残高は、168,562千円となり、前連結会計年度に比べて113,578千円の増加となりました。これは運転資金の新規借り入れにより、長期借入金が113,578千円増加したことによるものです。

 

純資産

当連結会計年度における純資産残高は、1,184,843千円となり、前連結会計年度に比べ73,404千円の減少となりました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純損失73,706千円を計上したことによるものです。

 

 ② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の期末残高は、771,868千円となりました。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における営業活動により使用した資金は、37,304千円となりました。これは主に、税金等調整前当期純損失が69,643千円となったこと、売上債権の増減額による収入が119,260千円となったこと等によるものです。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における投資活動により使用した資金は、218,844千円となりました。  

これは主に、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出が165,590千円、無形固定資産の取得による支出が40,782千円となったことによるものです。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における財務活動により獲得した資金は、76,013千円となりました。

これは主に、短期借入金による収入が200,000千円、長期借入金による収入が150,000千円となったこと、および、短期借入金の返済による支出が81,018千円、長期借入金の返済による支出が175,196千円となったこと等によるものです。

 

 

 

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。

 

 

④ 生産、受注及び販売の状況

イ.生産実績

当社グループは、人材育成事業の単一の報告セグメントであり、提供するサービスの性格上、生産実績の記載に馴染まないため、記載をしておりません。

 

ロ.受注実績

当連結会計年度における受注実績は、次のとおりです。

 

区分

当連結会計年度

(自 2024年1月1日

至 2024年12月31日)

受注高
 (千円)

前年同期比
 (%)

受注残高
 (千円)

前年同期比
 (%)

法人向け教育

2,574,849

98.2%

900,632

128.3%

etudes

370,958

102.0%

7,326

200.9%

海外教室型研修

182,828

107.9%

42,784

96.0%

合計

3,128,636

99.2%

950,743

126.7%

 

(注) 1.当社グループは単一の報告セグメントであるため、サービス別に記載しております。

2.当連結会計年度より、従来は教室型研修及びグローバル人材育成で分離表示していたものを法人向け教育

  に集約して表示しております。

3.当連結会計年度法人向け教育において、受注実績に著しい変動がありました。これは、当連結会計年度より株式会社エナジースイッチおよびクインテグラル株式会社を新規連結子会社とした影響により、株式会社エナジースイッチ61,260千円、クインテグラル株式会社25,930千円の受注残高が増加となったものです。

 

ハ.販売実績

当連結会計年度における販売実績は、次のとおりであります。

 

区分

当連結会計年度

(自 2024年1月1日

至 2024年12月31日)

販売高(千円)

前年同期比(%)

法人向け教育

2,537,125

101.9%

etudes

367,279

98.0%

海外教室型研修

184,615

111.6%

合計

3,089,020

102.0%

 

(注) 1.当社グループは単一の報告セグメントであるため、サービス別に記載しております。

2.総販売実績に対する販売実績の割合が100分の10以上の相手先が存在しないため、主な相手先別の販売実

  績等の記載は省略しております。

3.当連結会計年度より、従来は教室型研修及びグローバル人材育成で分離表示していたものを法人向け教育

  に集約して表示しております。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

  文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

 

① 重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表及び財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第一部 企業情報 第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載の通りであります。

また、当社の財務諸表作成で採用する重要な会計方針は、「第一部 企業情報 第5 経理の状況 2 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項(重要な会計方針)」に記載の通りです。

この連結財務諸表及び財務諸表の作成にあたっては、過去の実績や状況に応じ合理的と考えられる様々な要因に基づき見積り及び判断を行っておりますが、不確実性が内在しているため、将来生じる実際の結果と異なる可能性があります。

 

② 経営成績の分析

当連結会計年度における経営成績の分析につきましては、「4  経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析  (1)経営成績等の状況の概要  ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりです。

 

 

③ 財政状態の分析、キャッシュ・フローの状況の分析

当連結会計年度末における財政状態の分析ならびに当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの分析につきましては、「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況、②キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。

 

④ 資本の財源及び資金の流動性

当社グループの資金需要は、運転資金に加え、若手・中堅社員向けの研修テーマや管理職・経営層向けの研修テーマ、グローバルリーダー向けの研修テーマの拡充のための投資があります。また、eラーニングコンテンツ数の拡大などへの投資、etudesサービスの機能追加及びUXの向上への投資など、当社デジタル教材の充実のための投資についても経営環境を見極めながら行っていく方針です。これらの資金需要に対して、主に自己資金を充当し、必要に応じて金融機関からの借入により調達する方針としております。

当連結会計年度末の現金及び現金同等物は771,868千円となっており、当社グループの事業活動を推進していくうえで十分な流動性を確保していると考えております。

 

⑤ 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループが今後も持続的に成長していくためには、経営者は「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」及び「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載した課題に対応していくことが必要であると認識しております。現在当社が置かれている環境を鑑み、経営者は外部環境の変化についての情報入手及び分析を継続的かつ迅速に行い、適切な対応策を策定し実施していく方針であります。

当社グループは、現状においては事業拡大フェーズにあると考えており、一定の収益性を確保しながら売上高を成長させていくことが重要であると考えています。したがって、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標としては、売上高、売上高成長率、営業利益ならびに営業利益率を重視しています。当連結会計年度においては、新規顧客の獲得強化やetudesへの事業投資など、事業拡大のための投資活動の結果が想定を下回ったことで、営業利益が前連結会計年度を下回る結果となりました。一方、当社グループは2024年12月期において、株式会社エナジースイッチ及びクインテグラル株式会社の2社を連結子会社化しグループ全体での事業規模の拡大に取り組んでまいりました。前述いたしました連結子会社2社の通期売上高が、グループ全体での売上高の増加に寄与することが想定されることに加え、これまで取り組んできております、etudes事業での最低価格導入による取引単価の改善や、法人向け教育研修の営業活動の強化により売上高の成長を見込んでおります。

以上のことから、これら指標の当連結会計年度の実績および翌連結会計年度の計画は以下の通りとなっております。

 

 

 

前連結会計年度

(実績)

当連結会計年度

(実績)

翌連結会計年度

(計画)

売上高

(百万円)

3,028

3,089

3,417

売上高成長率

(%)

9.3

2.0

10.6

営業利益

(百万円)

85

△64

91

営業利益率

(%)

2.8

2.6

 

 

 

5 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6 【研究開発活動】

当連結会計年度の研究開発活動は、当社のサービス品質の向上及び既存サービス周辺領域への新規サービス提供のため、日々研究を積み重ねております。

当社は「パラドキシカル・リーダーシップ産学共同講座」を京都大学と共同で創設し、新たなリーダーシップのあり方である「パラドキシカル・リーダーシップ」の研究と発信を行っております。これは、現代社会において、持続可能な社会の形成が至上命題とされ、経営リーダーには、従来から重視されてきた短期的利益と長期的利益(例:カーボンニュートラルや社会貢献)を両立させる能力が求められていることを受け、継続して行っている取り組みです。また、より体系化された人材育成を提供するためにスキルマップの構築や研究等にも取り組んでまいりました。

以上の結果、当連結会計年度における当社グループが支出した研究開発費の総額は12,500千円となりました。