当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
当社グループは、「人を想い、人に寄り添うことでよりよい世界を実現する」を企業ビジョンとして掲げております。旅行者、取引先、株主を含め、当社グループに関わる人たち全ての発展と繁栄を目指し、共に成長する共存共栄の精神で観光産業をリードするとともに、世界各地から奥深い魅力ある体験を世界中の旅行者に届けます。
当社グループのサービスは業界内でも独自性の高さを誇り、その独自性とはバリエーションの広さと奥行きの両方を追求することであります。また、ここでのバリエーションの広さとは旅行者の数に関わらず世界中の現地体験ツアーをジャンル別に幅広く提供することであり、奥行きとは個性豊かな商品を漏れなく、かつ、重複なく提供することであります。そして取扱う商品情報の正確性と品質・安全性に責任を持ち「ベルトラが扱う商品だから」と常に信頼されるサービスの実現を目指しております。
(2)経営戦略等
上記の経営方針のもと、その事業領域は旅行関連事業を収益区分別に分類し、①当社グループが運営する、現地体験ツアーオンライン予約サイト(日本語サイト「VELTRA」、催行地をハワイに特化した英語サイト「Hawaii Activities」)でのツアー予約にかかる収益を得るオンライン・トラベル・エージェント(以下、「OTA」)事業、②観光関連事業者のITインフラを供給するサービス、連結子会社であるリンクティビティ株式会社が展開するチケットプラットフォーム事業など、OTA事業以外から収益を得る事業(以下、「観光IT事業」)より構成されております。
当社グループは長年に亘り、現地体験ツアーをオンラインで取り扱ってきた中で築きあげた国内外の約8,000社のツアー催行会社とのネットワークを有し、19,000を超える質の高いアクティビティ商品を提供することで顧客満足度の向上に努めてまいりました。その結果、2023年12月末現在において、約250万人の会員基盤を保持しております。今後は、ツアー催行会社とのネットワークや会員基盤等のアセットを最大限に活かしながら、当社グループが旅行という枠を超えて「体験」と「交流」をベースに新しい技術やビジネスモデルを取り入れたサービスに変革させていくことで、新たな収益モデルの確立を行ってまいります。また、インバウンド旅行を含め、需要が急回復した国内旅行事業を強化し、これまで海外旅行事業を主力としていたビジネスポートフォリオを拡張することで、当社グループ全体の収益力を向上させる施策に努めてまいります。
(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
営業収益成長率並びに営業利益率を重要な指標としております。
(4)経営環境
当連結会計年度におけるわが国経済は、ロシア・ウクライナ情勢の長期化、イスラエル・ハマス問題による中東情勢の緊迫化など地政学的リスクが高まっていることに加え、資源・エネルギー価格の高騰や円安の影響による物価上昇、欧米の金融引締め等により、先行き不透明な状況で推移しているものの、経済活動の正常化や政府による各種政策の効果等により、国内景気は緩やかに回復しております。
このような経済状況の中、旅行業界におきましては、人流の回復に伴い、全国的にイベント等の復活や、国内外の旅行者急増で需要が回復し、概ねコロナ前と同等もしくは上回る水準まで回復基調となりました。特に、訪日外客数におきましては、前年比554.1%増の2,506万人となり、4月の水際措置撤廃以降、右肩上がりで急回復を遂げ、単月では10月に初めて2019年同月比100%を超えており、年間累計では2019年同月比78.6%と8割程度まで回復が進みました。本書提出日現在におきましても、2024年2月にはコロナ禍以降で最多を更新し、2月として過去最高を記録するなど、回復傾向が一層加速しております。一方、2023年における出国日本人者数は前年比247.2%増の962万人となったものの、2019年度比では52.1%減と半数に届かず、本格回復には程遠い状況にありましたが、本書提出日現在、2024年2月には2019年度比36.2%減と緩やかな上昇傾向になりつつあります。(出典:日本政府観光局(JNTO))。
(5)事業上及び財務上の対処すべき課題
① 取扱商品バリエーションと事業領域の拡大
2023年4月の水際対策終了に伴い海外から日本への旅行がしやすくなったことに加え、未曾有の円安も相まって訪日外国人客数が急速に回復しておりますが、それを受け、あらゆるグローバル企業が日本市場への参入を強化してきており、今後ますます競争が激化することが予想されます。当社グループではこれまで国内外の催行会社との強固な取引関係を構築してまいりましたが、今後もより一層の営業面での関係構築強化、及び催行会社とのリレーションを活かしたユニークで魅力ある商品バリエーションの企画・開発を推進してまいります。また、リンクティビティ株式会社におきましては、鉄道プラットフォームを中核に、商品カテゴリーや販売チャンネルを拡充し、更なる収益機会の拡大に努めてまいります。
② 日本人の海外旅行需要増加に向けたサービス領域の拡大
2024年12月期の旅行業界におきましては、経済的要因に加えて不安的な国際情勢などから、日本人の海外旅行者数の回復は緩やかな傾向と想定されているものの、2024年は海外旅行自由化60周年となり、海外旅行の完全復活が最重要課題であるとされております。世界150か国、19,000種類以上の豊富な現地体験のラインナップを提供する当社グループとしましても、日本人の海外旅行需要を喚起することが非常に重要な課題であると認識しており、これまで海外旅行市場で売上の70%超を占めていたツアー&アクティビティの提供領域を、今後は「食・宿泊・移動」などその他の旅行消費活動領域まで拡大し、『心ゆさぶる体験』の利用機会を新たに創出してまいります。併せて、2024年1月17日に株式会社JTBと資本業務提携を締結したことを受け、海外の個人旅行者向けの日本語ガイドツアーを始めとする商品企画・販売の強化を推進し、顧客の選択肢拡大に繋げてまいります。
③ 当社グループの認知度及び企業価値の向上
当社グループの運営する『VELTRA』の顧客対象者は年齢層・地域とも非常に幅広いものの、認知度は依然発展途上であり、認知度向上を図ることが今後の事業の成長において重要な課題となっております。そのため、旅行需要に合わせて戦略的に広告宣伝費を投下し、顧客との接点を保持・拡充すると共に、政府や自治体、観光局との連携プロジェクトについても幅広く広報活動をおこなう等、認知度向上への施策に取り組んでまいります。
また、『人を想い、人に寄り添うことでより良い世界を実現する』をビジョンに掲げる当社グループとしましては、ビジネスにおいてサステナブルな貢献を継続することが重要であると認識しており、観光による環境や生物多様性への負荷軽減を推進するなど、サステナブルな社会の実現への貢献と企業価値の向上に努めてまいります。
④ 技術革新の促進と未来に拡がるシステムの構築
OTA事業を運営する当社グループにとって、競争の激しいインターネット市場においての安定的な成長と、新しい技術やビジネスモデルへの迅速かつ柔軟な対応が、重要な課題であると認識しております。2024年12月期におきましては、システムリニューアルを通して、高い信頼性と効率的なパフォーマンスを可能とするシステムを構築し、データセキュリティの強化等、安全で安心なサービスをユーザーへ提供してまいります。またモバイルアプリの機能改善を促進し、デジタル・ネイティブ向けのサービスを開発する等、テクノロジーに関する投資を引き続き積極的に推進してまいります。
⑤ 人材育成及び職場環境の整備
当社グループが更なる成長を遂げるため、挑戦や変革を厭わず、自らオーナーシップを持って行動できる人材を育成することが必要不可欠であると認識しております。社員がチャレンジできる機会を創出していくと共に、リーダー育成のための教育を継続し、更には組織としてのパフォーマンス最大化を図ってまいります。
また、優秀な人材の定着を促進し、多様化する働き方に応えるべく、社員のエンゲージメント向上のための施策、及び働き甲斐のある職場環境の整備に、引き続き努めてまいります。
⑥ 経営管理体制の強化
当社グループが継続的に安定したサービスを提供し、企業価値を向上させるためには、事業の状況に応じた経営管理体制の強化やコーポレート・ガバナンスの充実に向けた取り組みを行うことが重要な課題であると認識しております。2023年に監査等委員会設置会社に移行したことを受け、取締役会の監督機能を強化し、更なる管理体制の強化を推進すると共に、組織が健全かつ有効、効率的に運営されるべく、組織規模に応じた内部統制の整備、強化、見直しや法令遵守の徹底に努めてまいります。
Ⅰ. 気候変動への対応
当社グループは、文化交流の場を提供し、心揺さぶる体験を届けることをミッションとしており、旅行を通じて人々へより良い影響を与えるべく、常に信頼されるサービスの提供を目指しております。しかしながら旅行のための移動によって温室効果ガスが排出されるなど、旅行業界が自然環境に与えうる影響は、必ずしもポジティブなものとは限りません。当社グループは、より多くの人に旅行の楽しみを届けたいという願いと共に、気候変動への対応を進めていくことで、この状況を打破し、皆様に快適な旅行体験をお届けしてまいりたいと考えております。長期的な視点に立ち、自社にとっても、社会にとってもより良い世界を模索し、追求してまいります。
以上より、当社グループでは気候変動を重要な課題として認識し、TCFDに沿った開示をしております。詳細な開示につきましては、当社HPのサステナビリティページを順次更新してまいりますので、そちらをご参照ください。
(1)ガバナンス
当社グループでは、サステナビリティを経営上の重要な要因として認識しております。気候変動を含むサステナビリティに関する取組は、サステナビリティ推進委員会を中心に組織されます。リスクに関してはリスクマネジメント・コンプライアンス委員会と連携しながら対応し、すべての取組は、取締役会にて報告され、適正に監督されています。また、取締役会において議長を務める代表取締役社長は、サステナビリティに関する諸課題の審議や決定に対し、最終的な責任を負います。
詳細は「
(2)戦略
当社グループでは、TCFD提言に基づき、気候変動関連のリスク・機会の把握を目的にシナリオ分析を行いました。シナリオ分析では、国際エネルギー機関(IEA)等の科学的根拠等に基づき1.5°Cシナリオと4°Cシナリオを定義し、2030/2050年時点で事業に影響を及ぼす可能性がある気候関連のリスクと機会の重要性を評価いたしました。
1.5℃シナリオでは、炭素税導入の他、市場の変化としてサステナブルツーリズムの需要が高まる可能性や、気候変動に対する取組への評価などを想定し、リスクと機会を洗い出し、評価いたしました。一方、4℃シナリオでは、異常気象や気温上昇などによる顧客の目的地の変化や、観光資源の減少、燃料価格の変化等のリスクを評価いたしました。
シナリオ分析で重要と判断されたリスクに関しては、現在の取組を推進するとともに、今後も充実した対応策を策定してまいります。
(3)リスク管理
当社グループでは、気候変動に関連するリスクや機会は、まずサステナビリティ推進委員会にて認識されます。認識されたリスクはリスクマネジメント・コンプライアンス委員会などと連携しながら評価され、全社リスク管理プロセスに統合されます。対応が必要となるリスクについては、サステナビリティ推進委員会、リスクマネジメント・コンプライアンス委員会、各関係部署が連携し、KPIの策定やワーキンググループを個別で設立し対処いたします。
当社グループのリスクに関する詳細は、「
(4)指標及び目標
当社グループは、気候変動関連リスク機会の評価指標として、温室効果ガス排出量の算定を行なっております。2023年度はScope1にあたる「燃料の使用(CO2)」と、Scope2にあたる「他人から供給された電気の使用(CO2)」を算定対象としております。今後も温室効果ガス排出量の把握を継続し、対象範囲の拡大や、削減していくことができるよう、体制づくりと目標設定を進めてまいります。
温室効果ガス排出量(2023年度)
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マーケット基準(t-CO2) |
ロケーション基準(t-CO2) |
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Scope1 ※1 |
0 |
0 |
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Scope2 ※2 |
6.8 |
6.8 |
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Scope1・2合計 |
6.8 |
6.8 |
※1 LPガス、ガソリンの使用による排出量 ※2 電力使用による排出量
算定期間:2023年1月~2023年12月
開示対象:東京本社
1月~6月:東京都千代田区神田美土代町1番地 神田美土代ビル
6月~12月:WeWork日本生命日本橋
Scope2で使用した排出係数:
(マーケット基準)電気事業者別排出係数 令和5年度実績 各電気事業者の調整後排出係数
(ロケーション基準)電気事業者別排出係数 令和5年度実績 温対法における全国平均係数
Ⅱ. 人的資本への取組
当社グループでは、事業を取り巻く環境が変化する中で、持続的な成長のためには人的資本の充実が重要課題であると認識しております。そのため、『人を想い、人に寄り添うことでよりよい世界を実現する』という経営ビジョンに基づき、まずは当社グループ組織戦略、あるべき人材像の策定を行い、次世代リーダー育成の基盤構築の取組を行いました。当社グループがお客様に提供する先駆的な体験や高付加価値サービスは従業員一人ひとりが生み出すものであり、優秀な人材を確保・育成し、それぞれのスキルを向上、人的資本の価値を高めていくことで、社内のみならず社外をも取り巻く好循環が生まれていくものと考えております。
(1)戦略
当社グループでは、ベルトラらしい心ゆさぶる体験をユーザに届け、ベルトラファン100万人を実現するための組織及び人的資本のあり方を、ビジョン・ミッションベースで非常に重視しております。組織構造の変革、あるべき人材像の定義、リーダーシップコンピテンシーの浸透・深化を進め、その取組の成果を測定するための人的資本関連KPIのターゲットを設定し、現場の達成状況を可視化し、随時モニタリングとゴール達成のための施策を推進しております。
今後も社会や環境の変化を捉え、新たなニーズや事業の可能性を追求し、変化に挑戦し続けることが必要不可欠であると考えており、そのためには、多様な人材の確保や理解がより一層必要であり、これらの人材が能力を発揮しやすい環境を整備することが重要であると考えております。
①あるべき組織の姿
市場の変化や技術の進歩が著しい事業環境の中で、当社グループのミッションである「心ゆさぶる体験を未来に届ける」ために、また、経営方針に掲げる、提供する体験の「バリエーションの広さと奥行き」を実現するために、必要な組織のあるべき姿を以下のように定義しております。
『ベルトラの目指すビジョン、心揺さぶる体験創出に心から共感し、各々強みや専門領域をもつ多様なメンバーがリーダーシップを発揮し、世界中の人々にとっての心揺さぶる体験を創出し続けられる人材集団』
②組織戦略
組織内における豊かな体験創出のための知見共有やコラボレーションを生み出すための組織形態として、従来のピラミッド型組織ではなく、複数のレポートラインやプロジェクトでの取り組みを重視する、マトリックス型組織への移行を推進しております。
また、全社戦略の浸透及び意思決定スピードの促進を目的とし、フラット組織をベースとすることで経営陣との直接的な連携が取りやすい組織体系を構築し機動性も高めております。弊社最大の営業部門であるG S S(Global Sales & Solutions)部門でまず先行的に組織編成を行い、2024年度には全社において組織横断のプロジェクトや取組を推進してまいります。
③あるべき人材像・Leadership Competency
当社グループでは、人材採用及び育成の指針として、あるべき人材像とLeadership Competencyを掲げております。あるべき人材像とは、現在の経営状況下において、当社グループの戦略実現に必要とされる、求める人材像・素養をまとめたものであり、一方、Leadership Competencyとは、当社グループの組織及び人材が、パフォーマンスを発揮し、価値を実現するためのHowを定義化したものです。
④当社グループにマッチした優秀な人材の確保
当社グループの人員構成は、多様な職歴を持つ中途採用者が大方を占めており、人材の登用については、国籍、性別及び年齢に捉われることなく、期待される役割に応じた能力と実績により判断されるものと考えております。また、当社グループは、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3)経営環境及び対処すべき対処すべき課題等」に示したとおり、今後の収益拡大のためには、中長期的にコアとなる人材の採用と育成が不可欠であり、積極的な採用を継続しております。採用プロセスにおきましては、複数回の面接やワークトライアルを設けることで、ポテンシャルが高く志向性や価値観も当社グループの方向性とフィットしている候補者の採用が可能となっております。また、在籍中の社員からの紹介によるリファラル採用やアラムナイ採用(元社員の再雇用)も進めております。
⑤あるべき人材像への取り組み
<多様性への理解と意識向上>
「ダイバーシティ&インクルージョン」について、性別、国籍及び文化等の要素に限らず、性的志向、価値観及びライフスタイルの多様性を認め、従業員が互いに尊重し合えるよう全従業員によるユニバーサルマナー検定3級e-ラーニングの受講を2024年2月に行い、継続的な啓発を行っております。
<従業員が安心して働ける社内環境の整備>
従業員の多様性に富んだライフスタイルやステージに対応するため、時間・場所に捉われず、就業の選択肢を増やし、あらゆる人材が活躍できる環境の整備をすることがサステナビリティを高めるものと確信しております。そのため、国内・海外問わず、リモートワークで就業する全従業員が、生産性高く、効率的に就業できる環境を作ることを目的に、リモートワークを軸にした経営管理、業務管理及びシステム・セキュリティ環境を構築しております。
(以下、取組例)
a.ワークライフバランス
「フレックスタイム制度」及び「テレワーク制度(Work From Anywhere 注1)」を導入しております。従業員のワークライフバランスを尊重し、勤務時間の柔軟性を高めるほか、それぞれの従業員に適した環境を提供することで、効率的な業務遂行を可能としております。
(注1:Work From Anywhere制度:2021年12月より導入した場所を問わず働けるリモート/テレワーク制度)
b.女性活躍推進
当連結会計年度の当社グループの全従業員に占める女性従業員の割合は69%と高い水準となっており、1人以上の部下を持つ女性管理職割合は45%(注2)です。
2024年2月に女性活躍推進法に基づく優良企業として、厚生労働省から「えるぼし」の最高位である3段階目(3つ星)に認定されました。
(注2:Director(部門長取締役)とManager(課長・係長部長)を合わせた比率)
c.働く(プレ)パパ・ママサポート
育児と仕事を両立し、長期的に勤務できる環境整備に努め、育児による休業や短時間勤務制度を法定を上回る水準に設定、充実した内容としております。特に、当社グループの2023年12月期の育児休業取得等の状況につきましては、女性従業員の育児休業取得率は100%であり、育児休業を取得した従業員の復職率もまた100%となっております。出産前休暇に入る社員においては、上司と本人を含めた三者面談を実施し、現職復帰を前提とした引き継ぎや上司の出産・育児休業への理解度を深める取組を行っております。
d.健康管理
健康診断・人間ドックの受診、定期的なストレスチェックの実施をはじめ、残業時間平均14.9時間と低水準を維持しておりますが、45時間を超える長時間労働者へのケア、時間数や状況に応じて産業医面談実施等、従業員の健康維持のため網羅的な支援を行っております。
<エンゲージメントの向上>
事業を効率的に行っていくためには、従業員一人ひとりが最大のパフォーマンスを発揮するとともに、社内でのコミュニケーションを積極的に図り、「個の力」を「組織の力」へと昇華させることが重要です。当社グループは、2022年、2023年、2024年と3期連続で給与水準の引き上げ(ベースアップ)を行い、また定期的なパルスサーベイ、eNPSの測定実施、及び定期的な社内イベントやシーズンイベント等で従業員の交流の場を定期的に設けるなど、適宜エンゲージメントの向上を図っております。
(2)指標及び目標
当社グループは、上記の戦略に基づき、企業としての成長をはかる中で適切な指標及び目標の設定を検討してまいります。なお、当連結会計年度現在、一部開示をおこなっている指標は次のとおりであります。
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指標 |
実績(当連結会計年度) |
|
全従業員に占める女性従業員の割合(%) |
69.4% |
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管理職に占める女性管理職の割合(%) |
45.1% |
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全従業員に占める外国籍従業員の割合(%) |
14.3% |
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従業員の年次有給休暇取得率(%) |
82.2% |
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WFA(Work From Anywhere)制度利用件数(件) |
174(海外47、国内127) |
なお、2023年度より改善に向けた取組が始動しており、2024年度は中期経営計画から中期人事戦略を構築し、人的資本開示戦略を策定してまいります。さらに、2025年度より中期経営計画実現に向けた人的資本指標を明確開示し、推進していく方針です。
1.有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1)自然災害、人為災害、テロ、戦争等について
① 海外催行地について
当社グループのサービスを介して申し込みが行われる現地体験ツアーは、主に海外の現地において行われております。そのため、現地において自然災害、人為災害、テロ、戦争等が起こり、現地体験ツアーを実施することが出来なくなった場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
② 顧客の所在地について
当社グループのサービスを利用する主要な旅行者は日本に居住する邦人であります。そのため、日本国内において自然災害等が起こった場合には、会員数及び現地体験ツアー申込件数が著しく減少し、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
③ 現地体験ツアー催行中の人的被害について
当社グループは現地体験ツアーを自主催行しているわけではありませんが、現地体験ツアー催行中に、当社グループのサービスを介してお申込み頂いた旅行者に人的被害が及んだ場合には、風評被害等を受けることにより、会員数及び現地体験ツアー申込件数が著しく減少し、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(2)競合について
当社グループは現地体験ツアーを専門に販売する日本最大級の旅行オンラインサービスを展開しており、業界においてユニークなポジションを築いているものと認識しております。
しかしながら、世界市場には、航空券やホテル等のオンライン旅行事業を営んでいる有力な企業が多数存在しており、それらの企業が、その資本力、営業力等を活用して現地体験ツアー分野に進出すること等により、当社グループが想定している以上に競争が激化した場合には、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
これに対し、当社グループは現地体験ツアー分野を専業として長年築いてきた、ツアー催行会社様とのネットワークを継続的に強化しながら、自社予約サイトの認知度向上等に努めていくとともに、国内外の観光事業者との業務連携を積極的に進めていくことにより、競争力の維持、向上を図ってまいります。
(3)技術革新について
当社グループが事業を行っているインターネット関連市場においては、技術革新のスピードが非常に速く、顧客ニーズも多様化しております。
今後、これまでになかったような新技術が市場に導入され、投資の制約等により当社グループが当該技術革新に遅れを取った場合には、事業遂行上の制約となり、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
これに対し、当社グループは市場動向や顧客ニーズの変化を早期にとらえ、変化に対応した新機能や新サービスをフレキシブルに開発、導入していくことで、技術革新に対応してまいります。
(4)システム障害について
当社グループの行っている現地体験ツアーの予約サイトの運営は、インターネット環境に大きく依存しております。そのため、ITインフラ関連の障害、コンピュータウイルスへの感染、その他不測の事態が生ずることにより、インターネットが長期間使用不能となった場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
これに対して、当社グループは、インターネット環境を安定させるため、ITインフラのクラウド化、システムの常時監視等の対応策を講じており、システム障害にかかるリスクを低減するための施策を続けてまいります。
(5)個人情報について
当社グループでは業務に関してサービス利用者の個人情報を有しており、個人情報の管理は重要なものであると認識しております。これらの情報の取り扱いについては、情報システム管理規程、情報セキュリティ管理規程、個人情報保護規程、個人番号及び特定個人情報取扱規程を設け万全を尽くすとともに、情報システムの有効性、効率性、機密性等を確保するといった対応策を講じております。しかしながら、不測の事態により、顧客情報が外部へ流出した場合、社会的信用の失墜や、損害賠償請求等により、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(6)人材確保と教育について
当社グループの知名度向上及び新規現地体験ツアー開拓が、事業拡大のための重要課題であり、それに併せて、経営管理体制を強化していくことが必要と考えております。そのためには、事業の変遷に適した優秀な人材、並びに人材を監督・指導できるマネジメント人材の確保と育成が、必要不可欠となります。
採用においては、採用方法や雇用形態を問わず、優秀な人材を即時採用できるように採用体制の見直しを随時実施し、教育においては、定期的なスキルアップ教育等の研修制度を実施するなど、人材の定着率向上に努めております。
しかしながら、人材の確保および教育が不十分な場合、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(7)為替変動について
当社グループは現地体験ツアーの中でも海外の商品を主力としており、ツアー催行会社に対する代金決済の多くを外貨建で行っているため為替変動リスクに晒されており、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
これに対し、当社グループは為替予約取引を実施するなど、為替変動による業績への影響を最小限にとどめるよう努めております。
(8)業績の季節的変動について
当社グループでは営業収益の計上基準として催行実施日基準を採用しており、営業収益は旅行者が現地体験ツアーに参加した日が属する月に計上されます。ツアー催行日は、旅行者が長期休暇を取得しやすい7月から9月の夏休み期間に集中する傾向にあり、当社グループの営業収益及び利益についても、その期間に増加する傾向がある一方、その他の期間については相対的に減少する傾向があります。したがって、当社グループの四半期別の業績のみを基に、当社グループの通期の業績を見通すことは困難であることに留意する必要があります。
(9)特有の法的規制について
当社グループは現地体験ツアーを自主催行しておりませんが、一部ツアーには運送手配等が含まれているため、旅行業法に該当し、当社は第二種旅行業の登録をしております。
第二種旅行業は5年毎の更新が義務付けられております。当社が旅行業法で定める登録拒否事由に該当し更新することができない場合又は旅行業法上の登録取消し事由に該当し登録取消処分等を受けた場合は、登録の取消し又は営業の停止等を命じられる可能性があります。これに対し、当社は現時点において登録拒否事由や取消し事由に該当する事実はないと認識しておりますが、今後も変化する可能性がある社会的要請に応じて、サービスを提供する企業として自主的に対応し、業界の健全性・発展性を損なうことの無いよう努めていくべきであると考えております。
しかしながら、何らかの理由により登録拒否事由等が生じた場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(許認可等の名称)
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許認可等の名称 |
許認可登録番号 |
有効期限 |
関連法令 |
許認可等の取消事由 |
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第二種旅行業 |
東京都知事登録 旅行業第2-5555 |
2025年1月17日 |
旅行業法 |
同法第19条 |
(10)海外の事業展開に伴うリスクについて
当社グループは、日本国内のほか米国、東南アジアなどグローバルに事業拠点を配置し、事業を展開しております。
当社グループでは、本社と現地海外子会社が連携を強化することや、顧問契約を締結している現地の会計事務所や法律事務所と定期的に情報を共有することで、海外展開に伴うリスクを軽減するように努めております。
しかしながら、海外事業拠点において、当社グループの事業に係わる法規制等の成立・改正等が実施された場合や政治情勢により事業運営に支障をきたす事態が生じた場合等には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(11)ウェブサイト内の書き込みについて
当社グループが運営するウェブサイトでは、現地体験ツアーに対するツアー参加者個人の評価・感想などを「参加体験談」として自由に発信できる仕様となっており、「参加体験談」は旅行者がツアーへの参加を検討する際、有意義な情報となっているものと認識しております。一方、「参加体験談」には好意的な内容だけでなく、現地体験ツアーに対して改善を要望する内容についても書かれており、中には不適切な書き込みがなされるケースがあります。このような不適切な書き込みの発見が遅れた場合、当社グループの運営するウェブサイトに対する旅行者の支持が下がり、当社グループへの信用低下を招くことから、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
これに対し、当社グループでは、参加体験談利用規約を明示しており、法令や公序良俗に反する内容や誹謗中傷など不適切と判断した場合には、その内容を投稿者に事前通告なく削除する対応を取っており、運営サイトの健全化を維持する対策を講じております。
(12)知的財産権について
当社グループでは、ツアー体験会社より直接入手した画像等が、万が一に第三者の知的財産を侵害する可能性があるため、第三者の著作権や肖像権等の知的財産を侵害しないよう、ウェブサイト上に掲載する画像等については、知的財産権の侵害がないかの表明保証を催行会社から取得する等の対策を行っており、第三者の知的財産権の侵害は存在していないと認識しております。
しかしながら、今後も知的財産権の侵害を理由とする訴訟やクレームが提起されないという保証はなく、そのような事態が発生した場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(13)配当政策について
当社グループでは、創業以来、配当を実施しておりません。これは、将来の事業の発展及び財務基盤の長期安定を経営の最重要課題のひとつとして認識しており、そのため内部留保を行い、事業拡大のための投資及び財務基盤の安定化に充当することが、株主利益の最大化につながると考えているためであります。ひいては、今後も当面は、内部留保の充実を図る方針であります。
将来的には、財政状態及び経営成績等を考慮し配当の実施を検討する予定ですが、当社グループの事業が計画通り伸展しなかった場合には、配当を実施できない可能性があります。
(14)ストック・オプション及び第三者割当新株予約権行使における株式価値の希薄化について
当社は、当社グループの取締役、従業員に対するインセンティブを目的に、会社法の規定に従ってストック・オプションとして、2017年12月29日に第1回(2017年12月28日開催の取締役会決議)及び2020年4月9日に第5回新株予約権(2020年3月25日開催の取締役会決議)を発行しております。
今後につきましても、現在付与している新株予約権に加えて、今後付与される新株予約権の行使が行われた場合には、保有株式の株式価値が希薄化する可能性があります。なお本書提出日の前月末(2024年2月29日)現在における新株予約権による潜在株式数は541,400株であり、発行済株式総数36,479,380株の1.5%に相当します。
2.継続企業の前提に関する重要事象等
当社グループは、当連結会計年度においては、67,071千円の営業損失、112,349千円の経常損失、57,708千円の親会社株主に帰属する当期純損失を計上しましたが、これはCOVID-19の感染拡大からの旅行需要が徐々に回復しつつある中で、体制構築のための人材投資や中長期的な収益力を向上させるための施策への投資を実施したことが主な要因であります。
今後、2024年12月期の業績予想につきましても、市場回復率を保守的に見積もりながらも大幅に収益拡大が見込まれる海外旅行事業、及びインバウンド旅行需要の回復期において連結子会社であるリンクティビティ株式会社が展開するチケットプラットフォーム事業による収益拡大を織り込んだうえで、各段階利益において黒字になる見込みです。
以上を踏まえ、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況は解消したと判断しております。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、ロシア・ウクライナ情勢の長期化、イスラエル・ハマス問題による中東情勢の緊迫化など地政学的リスクが急速に高まっていることに加え、資源・エネルギー価格の高騰や円安の影響による物価上昇、中国経済の減速、及び欧米の金融引締め等により、引き続き先行き不透明な状況で推移しております。しかしながら、経済活動の正常化や所得環境の改善、政府による各種政策の効果等により、個人消費や設備投資は持ち直しの動きとなっており、国内景気は緩やかに回復しております。
このような状況のもと、旅行業界におきましては、人流の回復に伴い、全国的にイベント等の復活や、国内外の旅行者急増で需要が回復し、概ねコロナ前と同等もしくは上回る水準まで回復基調となりました。特に、訪日外客数におきましては、前年比554.1%増の2,506万人となり、4月の水際措置撤廃以降、右肩上がりで急回復を遂げ、単月では10月に初めて2019年同月比100%を超えており、年間累計では2019年同月比78.6%と8割程度まで回復が進みました。本書提出日現在におきましても、2024年2月にはコロナ禍以降で最多を更新し、2月として過去最高を記録するなど、回復傾向が一層加速しております。一方、2023年における出国日本人者数は前年比247.2%増の962万人となったものの、2019年度比では52.1%減と半数に届かず、本格回復には程遠い状況にありましたが、本書提出日現在、2024年2月には2019年度比36.2%減と緩やかな上昇傾向になりつつあります。(出典:日本政府観光局(JNTO))。
当社グループは、国内及び世界150か国の現地体験ツアーを専門に販売する日本最大級の旅行オンラインサービスを展開しており、その事業領域は旅行関連事業を収益区分別に分類し、①当社グループが運営する、現地体験ツアーオンライン予約サイト(日本語サイト「VELTRA」、催行地をハワイに特化した英語サイト「Hawaii Activities」)でのツアー予約にかかる収益を得るオンライン・トラベル・エージェント(以下、「OTA」)事業、②観光関連事業者のITインフラを供給するサービス、連結子会社であるリンクティビティ株式会社が展開するチケットプラットフォーム事業など、OTA事業以外から収益を得る事業(以下、「観光IT事業」)より構成されております。
このような事業環境で、2023年は『心ゆさぶる体験を未来に届ける』というミッションのもと、観光地を訪れながら学ぶ機会を提供する現地体験アクティビティ『大人の修学旅行』シリーズを展開したり、アソビュー株式会社との戦略業務提携を締結するなど、国内体験、訪日客向けサービスの強化に注力してまいりました。また、連結子会社のリンクティビティ株式会社が取り扱い商品や販売チャンネルを急速に拡大していることで、売上を大幅に伸ばしております。それらと並行して、各事業が着実に成長していることを受け、海外旅行事業部門並びにシステム開発部門の人員増強を中心とした人材投資や、中期的な事業拡大のための成長投資を実施してまいりました。
この結果、当連結会計年度の営業収益は3,123,349千円(前年同期比168.4%増)となりました。なお、営業収益を収益区分別にみますと、OTA事業が2,593,222千円(前年同期比162.8%増)、観光IT事業が530,126千円(前年同期比199.7%増)となりました。
利益につきましては、コロナ禍前の水準に至っていないものの、第3四半期の決算は2019年第4四半期決算以来の黒字に転じ、明るい兆しが見えつつあります。そのため、2022年第3四半期以降、旅行需要の回復に応じた人員の増強及び収益獲得のための広告宣伝強化を進めております。予約数の増加により下半期以降営業収益が回復したものの、営業損失は67,071千円(前年同期794,711千円の営業損失)、経常損失は112,349千円(前年同期753,928千円の経常損失)、親会社株主に帰属する当期純損失は57,708千円(前年同期794,447千円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。
なお、当社グループは、旅行関連事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載は省略しております。
② 財政状態の状況
(流動資産)
当連結会計年度末における流動資産は5,805,439千円と、前連結会計年度末比2,126,487千円増加しました。これは主に、現金及び預金が896,495千円増加、営業未収入金が1,062,741千円増加したことによるものです。
(固定資産)
当連結会計年度末における固定資産は661,006千円と、前連結会計年度末比288,013千円増加しました。これは主に、投資有価証券が101,816千円、投資その他の資産に含まれる差入保証金が117,431千円それぞれ増加したことによるものです。
(流動負債)
当連結会計年度末における流動負債は5,105,916千円と、前連結会計年度末比2,435,171千円増加しました。これは主に、営業未払金が1,354,226千円、前受金が989,493千円それぞれ増加したことによるものです。
(固定負債)
当連結会計年度末における固定負債は379千円と、前連結会計年度末から微増となりました。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産は1,360,149千円と、前連結会計年度末比20,983千円減少しました。これは主に、新株の発行等による資本金の増加2,441千円及び資本剰余金の増加2,441千円、親会社株主に帰属する当期純損失57,708千円の計上等によるものです。
③ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」といいます。)の残高は、前連結会計年度末より896,495千円増加し、3,695,659千円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において営業活動の結果増加した資金は1,192,903千円(前連結会計年度は146,317千円の収入)となりました。これは主に、仕入債務の増加1,346,154千円や前受金の増加984,565千円などの増加要因と、売上債権の増加1,058,983千円などの減少要因によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において投資活動の結果減少した資金は352,071千円(前連結会計年度は58,705千円の支出)となりました。これは主に、固定資産取得による支出137,815千円、保証金の差入による支出123,456千円及び投資有価証券の取得による支出等100,800千円の減少要因によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において財務活動の結果増加した資金は8,728千円(前連結会計年度は1,439,685千円の収入)となりました。これは主に、株式の発行による収入4,882千円の増加要因によるものであります。
④ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社グループは、生産活動を行っておりませんので、該当事項はありません。
b.受注実績
当社グループは、概ね受注から役務提供までの期間が短いため、受注実績に関する記載を省略しております。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績は、次のとおりであります。なお、当社グループは旅行関連事業の単一セグメントであるため、収益区分別に記載しております。
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収益区分 |
当連結会計年度 (自 2023年1月1日 至 2023年12月31日) |
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営業収益(千円) |
前年同期比(%) |
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OTA事業 |
2,593,222 |
162.8 |
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観光IT事業 |
530,126 |
199.7 |
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合計 |
3,123,349 |
168.4 |
(注)主要な販売先については、総販売実績に対する割合が100分の10以上に該当する相手がいないため、記載を省略しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたりましては、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額並びに開示に影響を与える見積りを必要としておりますが、見積りによる不確実性があるため、実際の結果は、これらの見積りとは異なる場合があります。なお、当社グループの連結財務諸表の作成にあたって重要となる会計方針につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)及び(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
(営業収益)
営業収益は、3,123,349千円(前年同期比168.4%増)となりました。
なお、営業収益を収益区分別にみますと、OTA事業部門が2,593,222千円(前年同期比162.8%増)、観光IT事業部門が530,126千円(前年同期比199.7%増)となりました。
(営業費用及び営業損益)
営業費用は、3,190,421千円(前年同期比62.9%増)となりました。主な要因は、営業収益増加に伴うカード決済手数料の増加、旅行需要の回復を見越しての人員増加による人件費及び広告宣伝費の増加によるものであります。これらの結果、営業損失は67,071千円(前年同期794,711千円の営業損失)となりました。
(営業外収益、営業外費用及び経常損益)
営業外収益は4,373千円(前年同期比92.3%減)、営業外費用は49,650千円(前年同期比216.2%増)となりました。これは主に、匿名組合投資利益の減少や円安による為替差損の増加などによるものであります。これらの結果、経常損失は112,349千円(前年同期753,928千円の経常損失)となりました。
(親会社株主に帰属する当期純損益)
法人税等合計は△47,893千円(前年同期61,959千円)となりました。これらの結果、親会社株主に帰属する当期純損失は57,708千円(前年同期794,447千円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。
③ 当社グループの資本の財源及び資金の流動性
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、広告宣伝費や人件費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は基幹システムの開発・改良等によるものであります。
当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。また、主要取引銀行と総額16億円の当座貸越契約の継続を行っておりますが、引続き、主要取引銀行との関係を維持しつつ、継続的に支援いただくための協議を行い、財務基盤の安定化に努めてまいります。
なお、当連結会計年度末における有利子負債の残高は500,000千円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は3,695,659千円となっております。
④ 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」で述べましたとおり、当社グループでは、営業収益成長率並びに営業利益率を重要な指標としております。当連結会計年度における営業収益成長率はプラス168.4%でありますが、営業損失の計上となりました。
引き続きこれらの指標の改善について取り組んでまいります。
⑤ 当社グループの経営成績等に重要な影響を与える要因
経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」で述べましたとおり、人為災害、テロ、戦争等や、技術革新、システム障害、為替変動等が、経営成績に重要な影響を与える可能性があると認識しております。
従いまして、当社グループは常に市場動向や各国の情勢等に留意しつつ、内部管理体制を強化するとともに優秀な人材を確保し、顧客のニーズに合ったサービスを展開していくことにより、上記のような経営成績に重要な影響を与えるリスクを低減してまいります。
⑥ 経営者の問題意識と今後の方針について
経営者の問題意識と今後の方針については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照ください。
該当事項はありません。
該当事項はありません。