第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。

 

(1)経営方針

 当社は「われわれは在庫に関わる“人”、“もの”、“金”、“時間”、“情報”を最適化するITソリューションを提供し、限りある資源を有効活用することで、広く社会に貢献する。」を基本理念に掲げ、「世界中の無駄を10%削減する」というビジョン達成のために、小売業・卸売業・製造業の流通三層の在庫を最適化するための流通業向けAIサービス「sinopsシリーズ」を提供しております。

 

(2)経営環境

 小売業においては業種・業態の垣根を越えた競争の激化、人手不足とこれに伴う労働コストの上昇、物流費の高騰が加速しております。また、持続可能な開発目標(SDGs)の採択に基づいた食品ロス削減運動も社会課題としての対応が必須となっております。そのため、省力化・食品ロスの削減に貢献できる当社の自動発注システムに対するニーズが高まっており、今後もさらなる市場拡大が見込めます。

 なお、新型コロナウイルス感染症拡大の影響につきましては、当社の経営成績等の状況に与える影響は僅少であると判断しております。その背景として、新型コロナウイルス感染症拡大により2020年3月頃から減少傾向にあった新規商談件数が2020年9月以降は回復傾向にあることや、当事業年度より販売を開始したクラウドサービスの導入企業数が順調に増加したことが挙げられます。今後、新型コロナウイルス感染症拡大により当社の営業活動に支障がでる可能性も否定できませんが、当社としては、自動発注システムのような業務効率化のためのITへの投資は増加していくものと予想しており、感染症の収束にはある程度の期間はかかるものの業績への大きな影響はないと判断しております。

 

(3)経営戦略等

 当社は、食品スーパーマーケット向けの導入実績が数多くある強みを活かし、まずは以下3ステップで食品流通業におけるデマンド・チェーン・マネジメントを構築することを目指しております。

 ①食品スーパーマーケットを中心とした食品小売業のシェア率40%(注)を実現する。

 ②卸売業の物流を最適化する。

 ③製造業・原材料/包装資材業の生産計画を最適化し、「sinops」で食品流通業のデマンド・チェーン・マネジメントを実現

 また、ドラッグストアやコンビニ等の食品スーパーマーケット以外の業態へのサービス展開も同時に進め、国内基盤を強固なものとする計画です。

 その後、海外展開している日系企業を中心に海外サービスも展開し、ビジョンである「世界中の無駄を10%削減する」の達成を目指しております。

 

(4)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社が目標とする経営指標は、売上高、営業利益、シェア率の3指標であります。

 

(5)事業上及び財務上の対処すべき課題

 当社は、以下を重要な経営課題と認識しております。

 

クラウドサービスによるシェア拡大スピードの加速

 当社のターゲットは、在庫の最適化を課題としている企業、つまり、消費財を扱うすべての流通業が対象となります。特に売上高400億円以上の小売業が主要ターゲットであり、小売業市場における当社の需要予測・自動発注サービス「sinopsシリーズ」は多数の顧客でご利用いただいております。今後は、クラウド型AIサービス「sinops-CLOUD」を中心に、関東圏を含む東日本エリアでのシェア率(注1)を伸ばす活動にリソースを集中してまいります。

 

食品業界におけるデマンド・チェーン・マネジメントの実現

 当社では、小売業・卸売業・製造業の在庫に関わる情報を一気通貫でつなげるデマンド・チェーン・マネジメント(DCM)の確立を目指しております。現在は小売業界でのシェア率を15.1%から40%以上にすることに注力し、食品業界でのDCM実現に向けての取組みを具体的に開始しております。今後、様々な企業との業務提携・アライアンスも進め、食品業界全体の無駄削減に貢献してまいります。

製品・サービス品質向上

 当社は、日配食品・パン・惣菜等の難易度が高い商品カテゴリにおける自動発注システム導入を成功させ、競合他社と差別化を図ってまいりました。その一方で、当社の製品・サービスの高度化に伴い、当社サービスの導入難易度が高くなってきていることが問題となっております。今後は、1店舗・1機能・1カテゴリから導入できる「sinops-CLOUD」を強化することで、ユーザーが簡単かつスピーディに利用開始できるサービスを提供してまいります。

 

より柔軟かつ自律自走レベルの高い人材の採用・育成

 当社は、より一層の事業拡大のため、毎年10~20%程度を増員する計画を立てております。リモートワークを中心とした新しい働き方でサービス価値を最大化するために、より柔軟かつ自律自走レベルが高い人材を採用いたします。また、教育制度や評価制度の見直しを行い、組織としての人材力の強化を積極的に推進してまいります。

 

⑤SDGs+CSV経営の実現

 当社の事業は、「世界中の無駄を10%削減する」というビジョンが示すように、SDGsの理念に合致したものとなっております。特に食品ロスを削減できるサービスのため、目標12「つくる責任・つかう責任」と親和性が高くなっております。今後は、社会的価値の創造と経済的価値の創造を両立するCSV経営を実践し、SDGsにも貢献する事業を進めてまいります。

 

 

(注1)シェア率は、以下計算式で算出しております。

シェア率(%)=「sinops」導入企業の年間売上高計÷ターゲット企業の年間売上高計

※ターゲット企業とは、ダイヤモンド・チェーンストア「日本の小売業1000社ランキング」に掲載されている売上高400億円以上の小売業(百貨店、コンビニを除く。)

 

2【事業等のリスク】

 本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。

 

(1)事業環境について

① 市場環境について

 当社は、第34期事業年度においては、売上高全体に占める食品スーパーマーケット向けの売上高の割合が65%以上と高い水準にあります。今後、食品スーパーマーケット業界以外での導入実績を増やすことでリスクを低減する方針ではありますが、当社が想定している事業展開が図れない場合には、当該業界の業況等によりIT・システムへの投資が減少する等した場合に、当社の事業及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 技術革新への対応について

 当社は、自動発注システム分野において多くの導入実績がある強みを活かし、既存顧客のニーズを積極的に汲み取り、ユーザーエクスペリエンス(注)のさらなる向上に努めてまいります。また、技術の最新動向をキャッチアップし、効果的に事業に反映することで技術的優位性の強化を実現してまいります。しかしながら、当社の想定を超える革新的な技術や著しい市場環境の変化等が生じた場合に、当社が当該変化に適時に対応することができなかった場合には、当社の事業及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

(注)ユーザーエクスペリエンスとは、製品・サービスの利用を通じてユーザーが得る体験を指します。

 

③ 新規業界への進出について

 当社は、今後も持続的な成長と収益源の多様化を進めるために、食品スーパーマーケット業界以外の新規業界にも積極的に進出していきたいと考えております。しかしながら、新規業界へ進出した際には、その業界固有のリスク要因が加わると共に、新規業界での成功実績を積み上げていく過程では、その業界特有の商習慣をはじめとして様々な予測困難なリスクが発生する可能性があります。その結果、当社が想定している事業展開が図れない場合には、当社の事業及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

④ 競合の変化について

 当社の「sinops事業」の対象領域である需要予測・自動発注システム領域においては、流通業の深刻な人手不足や食品ロスに対する注目度の高まりもあり、他社の新規参入により競合が激化する可能性があります。当社では引き続き顧客ニーズを汲み取った製品・サービスの提供を進める方針でありますが、競合企業の営業方針、価格設定及び提供する製品・サービス等は、当社が属する市場に影響を与える可能性があります。これらの競合企業に対して効果的な差別化を行うことができず、当社が想定している事業展開が図れない場合には、当社の事業及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)事業活動について

① 需要予測ロジックミスによる顧客への影響について

 当社の需要予測型自動発注サービス「sinops」は、過去実績をもとに需要予測数を計算し、最低限必要と想定される発注数を発注勧告データとしてユーザー側に提供するサービスです。「sinops」はあくまで発注勧告数を提供するシステムであり、発注数の確定はユーザー側で行いますが、需要予測ロジックの計算式に誤りがあり、ユーザー側に異常な発注勧告数を提供し、ユーザー側における発注業務が円滑に実施できなくなる可能性があります。当社では「sinops」の需要予測ロジック精度向上のために継続的に研究開発を行うことはもちろん、過去実績がない商品の販売や異常気象等の特殊事情が発生した場合にはユーザーの手動発注に切り替える等の対策を講じております。このような対策にもかかわらず、ユーザーの発注業務への影響が広範囲に渡り、復旧に相当時間を要した場合、関連する損害についての賠償請求を受ける可能性や、当社の信頼性や企業イメージが低下し、顧客の獲得・維持が困難になる可能性があります。その結果、当社の事業及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

② 人為的ミス・外的要因等によるサービスの中断・品質低下について

 当社が提供する製品・サービスに関して、人為的なミス、ハードウェアや通信回線の不具合等が発生した場合、これに起因して製品・サービスを継続的に提供できなくなること、又は製品・サービスの品質が低下すること等の重大なトラブルが発生する可能性があります。特に、当社の需要予測型自動発注システム「sinops-R」が、人為的ミスや当社がコントロールできない外的要因を起因としてユーザーに異常な発注勧告データを提供する、もしくは発注勧告データそのものを提供できなくなる等により、ユーザー側における発注業務が円滑に実施できなくなる可能性があります。当社では、前日中に一旦予備の発注勧告データをユーザー側に送る仕様とする等、突発的なトラブルによってユーザー側の発注業務に重大な影響を及ぼさないようにするための対策を講じておりますが、このような対策にもかかわらず、製品・サービスの中断・品質低下による影響が広範囲にわたり、復旧に相当時間を要した場合、関連する損害についての賠償請求を受ける可能性や、当社の信頼性や企業イメージが低下し、顧客の獲得・維持が困難になる可能性があります。その結果、当社の事業及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 特定の製品への依存について

 第34期事業年度における売上高のうち、小売業向けサービスの売上高が70%以上を占めております。当社ではクラウド型AIサービス「sinops-CLOUD」等の新製品開発を積極的に進め、顧客のニーズに合った製品を提供し続ける対応を行っております。しかし、製品開発を計画通りに行うことができない、又は、主力製品以外の新製品が顧客に支持されない等の理由により、当社の製品が競争力を失った場合には、当社の事業及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

④ 特定の取引先への依存について

 当社は、販売パートナーである株式会社日本アクセス向け売上高(第34期事業年度における売上高230,344千円、総売上高に対する割合25.3%)の割合が高い水準にあります。今後は、販売パートナー数の拡大により特定の取引先への依存度を低下させていく方針でありますが、受注する案件の規模によっては一時的に特定の取引先に対する売上高の依存が生じる可能性があります。当該取引先との取引量の変化が、当社の事業及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤ 情報の流出について

 当社は、事業を展開する上で、顧客情報(個人情報を含みます。)やその他の機密情報を取り扱っております。当社の故意・過失又は悪意を持った第三者のサイバー攻撃等により、これらの情報の流出や消失等が発生する可能性があります。こうした事態が生じた場合、関連する損害についての賠償請求を受ける可能性や、当社の信頼性や企業イメージが低下し、顧客の獲得・維持が困難になる可能性があります。その結果、当社の事業及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑥ 知的財産権について

 当社は、保有する特許の保護、他社との差別化のための特許の獲得に努めていますが、これらが十分に行えない場合、関連する事業に悪影響を及ぼす可能性があります。また、当社は製品の開発・生産に必要な第三者の特許の使用許諾権の確保に努めていますが、将来、必要な許諾権が受けられない可能性や不利な条件での使用を余儀なくされる可能性があります。いずれの場合も当社の業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 一方で、当社は、自動発注システムにおけるアプリケーション、ビジネスモデルに関する特許権、実用新案権又はサービスに係る商標権等の知的財産権の調査等は可能な限り対応しておりますが、第三者の知的財産権を完全に把握することは困難であり、当社が認識せず他社の知的財産権を侵害してしまう可能性は残されます。2020年12月31日現在まで当社では事業に関連した特許その他知的財産権に関わる訴訟を提起されたことはありませんが、当社の認識外で第三者の知的財産権を侵害してしまった場合や、将来、当社の事業に関連した特許その他の知的財産権が第三者にて成立した場合、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

⑦ 受注損失の発生について

 当社の導入支援サービスは、目標とする導入効果をユーザーと合意した上で導入支援プロジェクトの完了条件を決め、想定される難易度及び工数に基づいて見積りを作成し、適正な利益率を確保した上でプロジェクトを受注しております。導入効果の目標値については、ユーザーの実データをもとにした効果シミュレーション、自動発注対象範囲、遵守すべき運用ルール等を取り決めた上で設定しておりますが、全てのプロジェクトに対して正確に導入効果を見積ることは困難であり、想定以上に導入効果が出ない可能性があります。また、プロジェクト中にユーザーと目標値の認識違いが発生しないように、情報共有の徹底に努めておりますが、ユーザーとプロジェクトの完了条件に認識違いが発生する可能性があります。当初想定した利益率を確保するために、完了条件の認識合わせ・要員管理・進捗管理・予算管理等のプロジェクト管理を行っておりますが、予期せぬトラブルやスケジュール変更等により工数が大幅に増加し、受注損失が発生する場合があります。当社では導入支援サービスの分割検収を行うことで業績への影響を最小限に抑えるように努めておりますが、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑧ 製品保証の発生について

 当社は、将来のビジネス展開を考慮し、ユーザーの導入効果を出すことを最優先としております。そのため、すでに「sinops」を利用しているユーザーに対しても、さらに導入効果を向上させることを目的に、当社自らの判断で再度導入支援サービスを無償提供することがあります。ユーザーからの要望ではないため、契約上の義務が発生しているわけではありませんが、無償の導入支援サービスに係る見込原価に対して、製品保証が発生する場合があります。その結果、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3)組織体制について

① 特定の役員・社員への依存について

 当社は2020年12月31日現在、取締役8名(うち監査等委員3名)、従業員74名と組織規模が小さく、内部管理体制や業務執行体制も当該組織規模に応じたものとなっております。従って、当社の役員や従業員が病気や怪我等により業務を遂行する上で支障が生じた場合や転職等により人材が社外に流出した場合には、当社の業務に支障が生じる可能性があります。その結果、当社の事業及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 人材の確保・育成について

 当社において優秀な人材の確保・育成及び定着は最重要課題であり、将来に向けた積極的な採用活動、人事評価制度の整備や研修の実施等の施策を通じ、社内リーダー層への幹部教育、新入社員及び中途入社社員の育成・定着に取り組んでおります。しかしながら、これらの施策が効果的である保証はなく、必要な人材を確保できない可能性があります。その結果、当社の事業及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 内部管理体制について

 当社は、企業価値の継続的かつ安定的な増大を図るためにはコーポレート・ガバナンスが有効に機能することが不可欠であり、同時に適切な内部管理体制の構築が必要であると認識しております。当社では、内部監査や内部通報制度への対応、さらには法令や社内規程等の遵守の徹底を行っておりますが、事業の急速な拡大により、十分な内部管理体制の構築が追いつかない事態が生じる場合には適切な業務運営が困難となり、当社の事業及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4)その他

① 新型コロナウイルス感染症

 当社は、感染症等が流行した場合に備え、在宅勤務やリモートワーク等を可能とする勤務体制や環境等の整備を継続しています。しかしながら、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大により、営業活動に支障が生じた場合、また人的被害が拡大した場合には、当社の業績に大きく影響を及ぼす可能性があります。

 

② 新株予約権の行使による株式価値の希薄化について

 当社は、当社取締役、従業員に対するインセンティブの目的で新株予約権を付与しております。また、一部社外協力者に対しても継続的な協力関係の維持のため新株予約権を付与しております。これらの新株予約権が行使された場合、当社株式が新たに発行され、保有株式の株式価値が希薄化する可能性があります。

 なお、2020年12月31日時点における新株予約権による潜在株式数は159,000株であり、株式総数6,266,000株(潜在株式を含む)の2.54%に相当しております。

 

③ 自然災害について

 顧客の情報資産が格納されるサーバは複数箇所に分散管理することでリスクを分散させておりますが、データセンターやその周辺ネットワーク設備等に被害を及ぼす災害・事故等が発生し、情報資産の消失又はサービスの提供が維持できない状態に至った場合には、当社の事業及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

④ 風評について

 当社は、法令遵守違反の不適切な行為が発覚した場合は速やかに適切な対応を図っておりますが、当社に対する悪質な風評がマスコミ報道やインターネット上の書き込み等により発生・流布した場合は、それが正確な事実に基づくものであるか否かに関わらず、当社の信頼性や企業イメージが低下し、顧客の獲得・維持が困難になる可能性があります。その結果、当社の事業及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 た、当社への新型コロナウイルス感染症の影響については、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)経営環境」、「2 事業等のリスク (4)①新型コロナウイルス感染症」に記載のとおりであります。

 

財政状態及び経営成績の状況

 2020年1月から2020年12月までにおける小売業市場は146兆4,570億円・前年同期比1.0%増と堅調な推移を見せております(注1)。しかしながら、新型コロナウイルス感染症拡大の影響は世界規模となっているとともに、小売業においては業種・業態の垣根を越えた競争の激化、人手不足とこれに伴う労働コストの上昇、物流費の高騰が加速しております。また、持続可能な開発目標(SDGs)の採択に基づいた食品ロス削減運動も社会課題としての対応が必須となっております。

 このような急激な環境変化の中で、当社はお客様と従業員の安全確保を最優先に、ビジョンである「世界中の無駄を10%削減する」を目指して営業活動を継続いたしました。また、第2四半期よりパッケージ製品中心の販売からストック収益となるクラウドサービス中心の販売へと方針変更し、クラウドサービスの導入企業数は順調に増加しております。

 その結果、当社の導入実績は、2020年12月31日時点で契約企業数85社(前期比9社増)、稼働拠点数5,287拠点(同232拠点増)(注2)に増加しております。また、クラウドサービスにおいては、契約企業数22社(パッケージ製品利用ユーザー含む)・1,360アカウント(注3)となっております。当事業年度における売上高は909,828千円(前期比15.8%減)、営業利益は22,932千円(同92.4%減)、経常利益は11,823千円(同96.1%減)、当期純利益は8,036千円(同95.8%減)となりました。

 また、当事業年度末の総資産は1,718,934千円(前事業年度末比150,897千円の増加)、負債は389,626千円(前事業年度末比130,324千円の増加)、純資産は1,329,308千円(前事業年度末比20,573千円の増加)となりました。

 

 (注1)出所 経済産業省「商業動態統計確報」

 (注2)クラウドサービスを除く稼働拠点数

 (注3)アカウント数とはクラウドサービス利用数。1店舗で3サービス利用している場合は3アカウント。

 

②キャッシュ・フローの状況

 当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前事業年度末と比べて280,695千円増加し、1,077,266千円となりました。

 当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果得られた資金は224,821千円(前期は14,746千円の支出)となりました。主な減少要因として、製品保証引当金の減少5,993千円未払法人税等(外形標準課税)の減少5,897千円、法人税等の支払額132,283千円があった一方で、主な増加要因として税引前当期純利益11,677千円、減価償却費70,456千円売上債権の減少229,733千円未払金の増加27,988千円があったこと等によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果支出した資金は135,669千円(前期は104,084千円の支出)となりました。主な要因は、無形固定資産の取得による支出108,086千円、有形固定資産の取得による支出27,516千円があったこと等によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果得られた資金は191,543千円(前期は104,872千円の収入)となりました。主な要因は、長期借入金の返済による支出8,693千円があった一方で、短期借入れによる収入100,000千円、長期借入れによる収入100,000千円があったこと等によるものであります。

 

③生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当社で行う事業は、提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。

 

b.受注実績

 当事業年度の受注実績を業務区分別に示すと、次のとおりであります。

業務区分

当事業年度

(自 2020年1月1日

  至 2020年12月31日)

受注高(千円)

前期比(%)

受注残高(千円)

前期比(%)

パッケージ販売業務

232,649

51.2

7,431

287.6

導入支援業務

243,076

208.2

128,727

447.5

サポート業務

336,549

246.8

161,715

161.3

クラウド業務

255,974

102.9

120,048

93.9

合計

1,068,251

111.7

417,921

161.0

 (注)1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

2.当社は「sinops事業」の単一セグメントであるため、業務区分別の実績を記載しております。

3.クラウド業務には、前事業年度の受注実績において表示していたレンタル業務を含めて表示しております。

 

c.販売実績

 当事業年度の販売実績を業務区分別に示すと、次のとおりであります。

業務区分

当事業年度

(自 2020年1月1日

至 2020年12月31日)

販売高(千円)

前期比(%)

パッケージ販売業務

227,802

49.0

導入支援業務

143,113

109.6

サポート業務

275,099

123.2

クラウド業務

263,812

100.7

合計

909,828

84.2

 (注)1.最近2事業年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前事業年度

(自 2019年1月1日

  至 2019年12月31日)

当事業年度

(自 2020年1月1日

  至 2020年12月31日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

株式会社日本アクセス

270,993

25.1

230,344

25.3

イオン九州株式会社

147,250

13.6

17,394

1.9

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

3.クラウド業務には、前事業年度の販売実績において表示していたレンタル業務を含めて表示しております。

4.マックスバリュ九州株式会社は2020年9月1日付でイオン九州株式会社へ商号変更しております。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。

 

①重要な会計方針及び見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。

 この財務諸表の作成にあたって、見積り、判断並びに仮定を用いることが必要となりますが、これらは期末日における資産・負債の金額、開示期間の収益・費用の金額及び開示情報に影響を与えます。ただし、これらの見積り、判断並びに仮定は、実際の結果とは異なる場合があります。

 当社の財務諸表の作成にあたって採用している重要な会計方針は「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 重要な会計方針」に記載しております。

 なお、新型コロナウイルス感染症の影響については、2020年3月頃から新規商談数が減少するなどの影響があったものの、2020年9月以降、新規商談数も順調に回復しており、業績への影響は限定的であることから、会計上の見積りに重要な影響は与えないものと判断しております。

 

②経営成績の分析

 当事業年度の売上高は909,828千円(前期比15.8%減)、営業利益は22,932千円(同92.4%減)、経常利益は11,823千円(同96.1%減)、当期純利益は8,036千円(同95.8%減)となりました。

 

(単位:千円)

 

前事業年度

当事業年度

増減額

増減率

売上高

1,081,000

909,828

-171,171

-15.8%

売上原価

429,308

515,969

+86,660

+20.2%

売上総利益

651,691

393,859

-257,832

-39.6%

販売費及び一般管理費

350,598

370,926

+20,328

+5.8%

営業利益

301,093

22,932

-278,160

-92.4%

経常利益

301,082

11,823

-289,259

-96.1%

当期純利益

192,735

8,036

-184,698

-95.8%

 

(売上高)

 パッケージ売上高は、クラウドサービスのニーズの高まりを受け、数件の大型パッケージ案件がクラウドサービスでの受注に変更となったことが主要因となり、227,802千円(前期比237,406千円減51.0%減)となりました。導入支援売上高は新規ユーザー及び既存ユーザーの新製品へのバージョンアップやカテゴリ展開等に関するプロジェクトが増加したことが主要因となり、143,113千円(前期比12,556千円増9.6%増)となりました。サポート売上高は大型の既存ユーザーが直接契約に切り替わったことが主要因となり、275,099千円(前期比51,740千円増23.2%増)となりました。クラウド売上高(過去の経営成績の分析において表示していたレンタル売上高を含めて表示しております。なお、当事業年度のレンタル売上高は261,768千円となりました。)は、「sinops-CLOUD リアルタイム在庫及び惣菜」を中心にクラウドサービスの導入が進んだものの、有償契約への切替えが新年度になったことが主要因となり、263,812千円(前期比1,938千円増・0.7%増)となりました。その結果、当事業年度における売上高は909,828千円(前期比171,171千円減15.8%減)となりました。

 

(売上総利益)

 当事業年度は、全社員の在宅勤務及びWEB会議の推進により製造費用における旅費交通費等が減少した一方で、製造部門人員増に伴う人件費、クラウドサービスの製品開発コスト、販売用ソフトウエア償却費及びクラウドサービスに伴うサーバ利用料が増加したことが主要因となり、売上原価が前期比86,660千円増加(前期比20.2%増)となりました。その結果、売上総利益が393,859千円(前期比257,832千円減39.6%減)となりました。

 

(営業利益・経常利益)

 当事業年度は、全社員の在宅勤務及びWEB会議の推進により一般管理費における旅費交通費等が減少した一方で、一般管理部門人員増に伴い人件費が増加したことが主要因となり、販売費及び一般管理費が前期比20,328千円増加(前期比5.8%増)となりました。その結果、営業利益が22,932千円(前期比278,160千円減92.4%減)、経常利益が11,823千円(前期比289,259千円減96.1%減)となりました。

 

(当期純利益)

 当事業年度における当期純利益は8,036千円(前期比184,698千円減95.8%減)となりました。

 

 なお、当社は「sinops事業」の単一セグメントであるため、セグメント情報に関連付けた記載を行っておりません。

 

③財政状態の分析

(資産)

 当事業年度末における総資産は1,718,934千円(前事業年度末比150,897千円の増加)となりました。主な要因は、受取手形が145,772千円、売掛金が83,961千円それぞれ減少した一方で、現金及び預金が280,695千円、ソフトウエアが81,560千円それぞれ増加したこと等によるものであります。

 

(負債)

 負債は389,626千円(前事業年度末比130,324千円の増加)となりました。主な要因は、未払法人税等が89,013千円、未払消費税等が8,642千円、製品保証引当金が5,993千円それぞれ減少した一方で短期借入金が100,000千円、1年内返済予定の長期借入金及び長期借入金が91,307千円未払金が27,988千円、前受金が16,377千円それぞれ増加したこと等によるものであります。

 

(純資産)

 純資産は1,329,308千円(前事業年度末比20,573千円の増加)となりました。主な要因は、新株予約権が4,828千円減少した一方で、資本金及び資本剰余金がそれぞれ8,714千円、当期純利益の計上により繰越利益剰余金が8,036千円増加したこと等によるものであります。

 

キャッシュ・フローの状況の分析

 当事業年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

⑤資本の財源及び資金の流動性

 資本の財源及び資金の流動性につきましては、事業運営上必要な資金の流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。

 当社の資金需要は、主として人件費、「sinops」の新製品開発にかかる研究開発費、知的財産の取得に係る費用及び運転資金であります。運転資金は原則として営業活動によるキャッシュ・フローによって賄われておりますが、状況に応じて直接金融並びに間接金融を利用していく方針であります。

 なお、当事業年度は複数の金融機関から総額200,000千円の資金調達を行いました。

 

4【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

5【研究開発活動】

 当社では「sinopsシリーズ」の機能強化又は新しい切り口での製品・サービスの開発を目的に、技術部において研究開発活動を行っております。当事業年度においては、パッケージ製品中心の販売からクラウドサービス中心の販売への移行に伴い、クラウドサービス「sinops-CLOUD」の開発を重点的に行いました。

 当事業年度における当社が支出した研究開発費の総額は12,027千円であります。

 なお、当社は「sinops事業」の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。