第2【事業の状況】

1【事業等のリスク】

 当中間会計期間において、新たな事業等のリスクの発生、または、前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについての重要な変更はありません。

 

2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 文中の将来に関する事項は、当中間会計期間の末日現在において判断したものであります。

 

(1)財政状態及び経営成績の状況

a.経営環境

 当中間会計期間におけるわが国経済は、資源及びエネルギー価格の高騰等による物価高、地政学リスクや不安定な為替相場、米国の関税政策による世界情勢への影響の懸念など、依然として先行き不透明な状況が続いております。当社の主要顧客である小売業においては、インフレ・物価高による消費者の価格志向の高まりや、労働需給のひっ迫や賃上げの浸透による人件費・物流費の上昇、業種業態を超えた顧客の獲得競争等により、生産性の向上・業務効率化のためのIT投資は引き続き高い水準で推移するものと予想されます。さらに、物流業界での「2024年問題」により食品流通の持続性確保に向けた課題への対応が本格化し、持続可能な開発目標(SDGs)の採択に基づいた食品ロス削減運動も引き続き社会課題としての対応が求められております。そのため、省力化・食品ロス削減・物流改善に貢献できる当社の需要予測・自動発注サービスに対するニーズは引き続き高く、今後もさらなる市場拡大が見込めます。

 このような環境の中、当社の導入実績は、2025年6月30日時点でARR(注1)は1,447,636千円(前年同期比9.5%増)、食品スーパーシェア率は36.7%(同2.0pt減)、小売全体のシェア率は18.9%(同0.5pt減)(注2)、契約企業数は119社(同1社減)、クラウドサービスの有償店舗数3,310店舗(同111店舗増)(注3)、クラウドサービスの有償アカウント数は13,405アカウント(同1,937アカウント増)(注4)となりました。

 当中間会計期間における売上高は995,935千円(前年同期比170,748千円増・20.7%増)、営業利益は178,656千円(同154,754千円増・647.5%増)、経常利益は179,194千円(同155,020千円増・641.3%増)、中間純利益は115,612千円(同101,491千円増・718.7%増)となり、前中間会計期間に比べ大幅な増収増益となりました。

 また、前事業年度に引き続き、中長期成長に向け、需要予測分野に加え新しい収益の柱とするべく事業領域を拡大する施策も進めております。食品ディマンドチェーンマネジメント構築については、伊藤忠商事社と共同で提供している「DeCM-PF(ディーシーエムプラットフォーム)」の収益拡大を図るとともに、最終的にメーカー物流最適化を行うための段階的な機能拡大も進めております。小売業の人時生産性改善・向上を目的とした人的資源最大化AIサービス「sinops-WLMS(シノプス ダブルエルエムエス)」シリーズについては、既存・新規ユーザーへの提案、実証実験を行い、収益化への取組みを着実に進めております。

 (注1)Annual Recurring Revenueの略語。2025年6月末時点のMRR(Monthly Recurring Revenue)を12倍にして算出。MRRは対象月の月末時点における有償契約ユーザー企業に係る月額料金の合計額(一時収益は含まない)。なお、有償の短期間クラウド契約をARRから除いている。

 (注2)シェア率は、sinops契約企業の年商÷ターゲット企業の年商で算出。食品スーパーシェアのターゲット企業は、売上400億円以上の食品スーパー。小売シェアのターゲット企業は、コンビニ・百貨店を除く売上400億円以上の小売業(連結子会社は子会社の本社地域で集計)

 (注3)有償契約でクラウドサービスを利用している店舗数(旧レンタルサービス利用店舗、有償の短期間クラウド契約を除く)。

 (注4)有償契約しているクラウドサービス利用数(旧レンタルサービス、有償の短期間クラウド契約を除く)。

 

 

b.経営成績の分析

(単位:千円)

 

2024年12月期

中間会計期間

2025年12月期

中間会計期間

増減額

増減率

売上高

825,187

995,935

170,748

20.7%

 

パッケージ

5,834

103,694

97,859

 

導入支援

196,871

172,718

△24,153

△12.3%

 

サポート

180,228

193,404

13,176

7.3%

 

クラウド

442,252

526,118

83,865

19.0%

売上原価

508,725

536,485

27,760

5.5%

売上総利益

316,462

459,450

142,987

45.2%

販売費及び一般管理費

292,560

280,794

△11,766

△4.0%

営業利益

23,901

178,656

154,754

647.5%

経常利益

24,173

179,194

155,020

641.3%

中間純利益

14,120

115,612

101,491

718.7%

 

①売上高

 クラウド売上高は、既存ユーザーのアップセル・クロスセルや新規ユーザーへの導入が主要因となり、526,118千円(前年同期比83,865千円増・19.0%増)となりました。サポート売上高は、既存ユーザーの店舗追加が進んだことが主要因となり、193,404千円(同13,176千円増・7.3%増)となりました。導入支援売上高は、導入支援件数は増加しているものの、前年同期に大規模案件の導入支援を行っていたことが主要因となり、172,718千円(同24,153千円減・12.3%減)となりました。パッケージ売上高は、既存ユーザーの製品ライセンス追加があったことが主要因となり、103,694千円(前年同期は5,834千円)となりました。その結果、当中間会計期間における売上高は995,935千円(前年同期比170,748千円増・20.7%増)となりました。

 

②売上総利益

 当中間会計期間は、クラウド売上拡大に伴う通信費の増加が製品改善により抑えられていることが主要因となり、売上原価が536,485千円(前年同期比27,760千円増・5.5%増)となりました。また、ストック売上(クラウド売上高とサポート売上高の合計)が719,522千円(前年同期比97,041千円増・15.6%増)となっている一方で、利益率の高いパッケージ売上高が103,694千円(前年同期は5,834千円)と大きく増加しました。その結果、売上総利益が459,450千円(前年同期比142,987千円増・45.2%増)となりました。

 

③営業利益・経常利益

 当中間会計期間は、昇給や中途採用費用増による人件費の増加があったものの、研究開発中であった新製品や既存製品改善機能の製品化が進んだことによる研究開発費の減少等があり、販売費及び一般管理費が280,794千円(前年同期比11,766千円減・4.0%減)となりました。その結果、営業利益が178,656千円(同154,754千円増・647.5%増)、経常利益は179,194千円(同155,020千円増・641.3%増)となりました。

 

④中間純利益

 当中間会計期間における中間純利益は、115,612千円(前年同期比101,491千円増・718.7%増)となりました。

 

 なお、当社は「sinops事業」の単一セグメントであるため、セグメント情報に関連付けた記載を行っておりません。

 

 

c.財政状態

①資産

 当中間会計期間末における総資産は、2,297,092千円(前事業年度末比131,861千円の増加)となりました。主な要因は、現金及び預金が136,537千円、流動資産のその他に含まれる前払費用が50,226千円それぞれ増加した一方で、売掛金が58,209千円減少したこと等によるものであります。

 

②負債

 負債は、453,691千円(前事業年度末比53,654千円の増加)となりました。主な要因は、未払法人税等が56,326千円、流動負債のその他に含まれる未払消費税等が27,641千円それぞれ増加した一方で、買掛金が12,359千円、流動負債のその他に含まれる未払金が12,447千円それぞれ減少したこと等によるものであります。

 

③純資産

 純資産は、1,843,401千円(前事業年度末比78,206千円の増加)となりました。主な要因は、中間純利益として115,612千円を計上した一方で、配当金の支払いにより利益剰余金が49,829千円減少したこと等によるものであります。

 

(2)キャッシュ・フローの状況

 当中間会計期間末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前事業年度末と比べて136,537千円増加し、749,087千円となりました。

 当中間会計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果得られた資金は、250,668千円(前年同期は49,085千円の収入)となりました。主な支出要因として、法人税等の支払16,726千円、未払金の減少額12,447千円、仕入債務の減少額12,359千円があった一方で、主な収入要因として、税引前中間純利益179,194千円、減価償却費62,282千円、売上債権の減少額58,209千円があったことによるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果支出した資金は、62,645千円(前年同期は114,691千円の支出)となりました。その主な要因は、無形固定資産の取得による支出59,617千円、有形固定資産の取得による支出3,027千円があったことによるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果支出した資金は、50,277千円(前年同期は80,380千円の支出)となりました。その要因は、配当金の支払額50,277千円があったことによるものであります。

 

(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当中間会計期間において、当社が優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。

 

(4)研究開発活動

 当中間会計期間における研究開発費の総額は11,660千円であります。

 なお、当中間会計期間において、当社の研究開発活動の状況に重要な変更はありません。

 

 

3【経営上の重要な契約等】

 当中間会計期間において、経営上の重要な契約等の決定又は締結等はありません。