第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。

 

(1)経営方針

 当社は、「技術を通じて、人々をもっと大切なことへ」というミッションのもと、「最先端のロボティクス技術を追求し、社会インフラに革命を」というヴィジョンを掲げております。当社は自律制御技術を始めとしたロボティクス技術を追求し、常に最先端の技術開発を行っております。それらの技術の社会実装を通じて、人類の活動の基盤となる社会インフラにおける、人類の経済活動の生産性を高め、付加価値の低い業務、危険な業務を一つでも多く代替させ、次世代に向けた社会の進化を推し進めるべく事業を展開しております。

 

(2)経営戦略等

 屋内外の3次元空間を制約なく自由に移動できるロボティクス技術であるドローンの潜在的な利用可能分野は広範であり成長力は非常に高いと考えております。当社は、国内のドローン関連企業において、唯一上場しているドローン専業メーカーであり、ドローンの社会実装と国産ドローンへの回帰が進む中で、日本のドローン市場の成長と合わせて、黎明期に求められる評価用機体の試作や実証実験といったソリューションの作り込みから、成熟期に求められる量産機の開発、量産体制の構築、その後の販売・導入支援までを一気通貫で提供し、デファクトスタンダードの技術としてドローンの社会実装を推進するべく、国産のセキュアな産業用ドローンを提供してまいります。

 産業用ドローン市場が「実証実験期」から「社会実装期」へと移行する中で、当社は2022年1月に2022年度~2025年度を対象とした中期経営方針「ACSL Accelerate 2022」をローリング方式により発表いたしました。「ACSL Accelerate 2022」では、当社が「持続可能なグローバル・メーカーへ」進化するため、従来、進めております4つの用途特化型機体の量産化と社会実装の推進に加え、新たな用途特化型機体の開発と製品のセキュア対応、インド市場への本格進出及びESG施策への取り組みの推進を主な事業戦略の柱として進めてまいります。加えて、現在は産業用ドローンの領域にて展開している、当社のコア技術である独自開発の制御技術について、新たな適応可能性の検討を行い、他分野への展開も進めてまいります。高い技術力により顧客の要望に応えるビジネスモデルを確立することで、高い水準の収益性を実現し、持続的な成長、継続的な企業価値向上を目指してまいります。

 

(3)経営環境

 現在、日本においては、労働人口の減少による人手不足の深刻化が進む一方で、今後、インフラ設備の老朽化の進行が見込まれ、労働力の需要と供給の不一致は社会的な課題となっています。省人化・無人化を推進することは社会的な要請であり、加えて、新型コロナウイルス感染症拡大による、リモートワーク・非接触・遠隔操作など新たな生活様式の広がりに伴い、省人化・無人化に対する市場要求は、より一層顕在化しております。

 我が国のドローン市場を取り巻く環境としては、政府がデジタル田園都市国家構想において、物流やインフラ点検へのドローンの利活用に言及するなど、ドローンの社会実装に向けた後押しを進めております。また、脱炭素化の動きが世界的に広がる中で、今後増加していく風力発電設備の点検へのドローンの活用や、荷量の限られる過疎地域等でのドローン物流活用による輸配送の効率化など、脱炭素を実現するロボティクス技術としてドローンに注目が集まっております。

 近年、政府や大企業がインフラ点検、物流・郵便、防災・災害対策等の領域でドローンの本格的な導入の意思決定を表明しており、社会実装へのコミットメントの機運が高まっております。また、政府はドローンの調達にあたり、2020年9月に公共の安全と秩序維持等に支障の生じるおそれがある業務等に用いられるドローンの調達はセキュリティが担保されたドローンに限定し、既に導入されているドローンについても速やかな置き換えを実施する方針を公表いたしました。セキュアなドローンの需要は、政府のみならず、民間企業においても顕在化しており、セキュリティが担保されたドローンとして、国産ドローンへの回帰の動きが急速に進んでおり、まさに「ドローン元年」とも呼ぶべき変化点を迎えております。

 また、ドローンを取り巻く法規制は、政府が2022年度を目途としている「レベル4」(有人地帯上空における目視外飛行)の実現に向けて、2021年6月に航空法改正案が成立するなど、着実に整備が進んでおります。機体の安全性に関する認証制度やドローン操縦者ライセンスを含むレベル4が整備されると、既に法整備が進んでいるレベル1~3の市場に加えて、ドローン物流など、我が国においてドローンで利用可能な巨大な空間・市場が出現する見込みです。

 現状、目視内飛行(レベル1・2)の市場については市場拡大に向けた必要条件である規制や技術・製品などの整備とともに、市場拡大に向けて特定用途向けの専門的な運用やソリューションが開発されつつあり、ドローンの社会実装が進んでおります。また、目視外飛行(レベル3・4)の市場も市場拡大の必要条件である規制や技術の整備が着実に進んでおり、今後の市場の創出・拡大が見込まれます。

 そのような中、当社は2020年8月に示した中期経営方針「ACSL Accelerate 2020」で掲げた4つの事業戦略の柱である①用途特化型機体開発、②サブスクリプションの導入、③ASEAN等のアジアへの本格進出、④CVCによる技術調達について、戦略的な取り組みを推進してまいりました。

 直近の進捗として、①「用途特化型機体の開発」について、(ⅰ)小型空撮機体においては、「未来を支えるセキュアな国産ドローン」である蒼天(SOTEN)を2021年12月に上市し、量産販売を開始し、受注開始依頼、多くの引き合いを頂いております。(ⅱ)中型物流については、レベル4の技術を前提とした中型物流ドローンの開発と中型機体の量産化の実現を推進しております。また、レベル4におけるドローン物流の社会実装を目指すべく、2021年6月に日本郵便及び日本郵政キャピタルとの資本業務提携契約を締結しました。日本郵政グループとの連携を強化し、レベル4に対応した機体の開発、実証の加速を進め、2022年以降のレベル4実現を目指しております。(ⅲ)煙突点検においては、既に実環境での有効な実証結果を取得済みであり、販売に向けた試作機が完成しました。(ⅳ)下水道等の閉鎖環境点検においては、2021年5月にNJSと共同で開発した閉鎖性空間調査点検用ドローンの新型機Fi(ファイ)4を発表し、量産販売する体制を構築しております。また、顧客向け操作体験会を実施するなど現場での活用につなげる取り組みを実施しております。

 ②「サブスクリプションの導入」については、従前の売り切りモデルに加えて、顧客の初期導入ハードルを下げるべく、点検用途機体のサブスクリプションサービス提供を2021年より開始し、複数社と具体的なサービス提供を協議しております。

 ③「ASEAN等アジアへの本格進出」については、インドにおいてパートナー企業との合弁会社(ACSL India Private Limited)を2021年9月に設立いたしました。現在、インド市場において大きなシェアを持つ中国製のドローンを代替すべく、当社の産業用ドローンの技術を活用して、ACSL India Private Limitedにて製造した産業用ドローンを販売いたします。

 ④「CVCによる技術調達」については、2021年6月に、アジアNo.1のドローンサービスプロバイダー(※2)であるAerodyne Groupへの出資や、セイノーホールディングスとの資本・業務連携におけるエアロネクストへの出資をいたしました。それらに加えて、レベル4を見据えた協業を強化すべく、VAIOの子会社として設立され、ドローンによる社会インフラの革新を推進・加速する機体開発、ソリューション提供を行うVFRに2021年10月に出資をいたしました。

 研究開発においては、今後、飛躍的に拡大が見込まれる産業用ドローンの様々なニーズに応えるべく、短期的な利益を追うのではなく、中長期的な成長を実現するために戦略的かつ積極的に研究開発費を投下する方針を維持し、レベル4認証取得に向けた安全性・信頼性向上や画像処理(Visual SLAM等)を軸とした自律制御・エッジ処理の高度化、及び用途特化型機体の製品化・量産体制の構築を進めております。

 

(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当社が優先的に対処すべき課題は下記のように考えております。

① 開発戦略

 用途特化型の機体開発として小型空撮、閉鎖環境点検、煙突点検、中型物流の4つの用途にあわせた機体開発を進めてまいりました。機体開発においては現場での実証実験を通じた技術開発を進めております。また、プラットフォーム技術の強化として、これまで進めてきた自律制御・エッジ処理の高度化や基盤技術向上、ユーザーインターフェース強化等に加え、レベル4を見据えた安全な機体の設計、飛行中の通信処理の向上とセキュリティ対応、操作性を向上させる地上局のアップデート等を行ってきました。今後は、4つの用途特化型の機体の量産、2022年のレベル4対応等を見据えた継続的な開発に加え、新たな用途特化型機体の開発と製品のセキュア対応等の積極的な先行投資を進めてまいります。

 また、2020年12月に設立したCVCを通じて、当社の技術開発を加速させるような企業に対して投資を行うことで、革新的な技術開発を目指すと同時に、より効率的な開発を目指してまいります。

 

② 生産体制

 用途特化型機体の量産に向け、安全品質を最優先事項と位置づけ、品質向上を目指して、社内体制の強化を進めてまいりました。また、機体の量産について、国内における高品質な組み立て供給が可能なパートナー企業との連携により、販売を開始した用途特化型機体の量産体制を構築しております。今後もパートナー企業との連携を進め、高品質かつ安定的な量産体制の構築を目指します。

 

③ 営業戦略

 販売においては、主に政府向けを想定した小型空撮機体を中心に、販売代理店網の構築を進め、用途特化型の機体の販売を軸に出荷機体の増加を目指します。また高品質、セキュリティ対応をしたプラットフォーム機体の販売拡大に加え、引き続き大企業を中心とした各分野の顧客に対し、業務効率化・無人化を目指した実証実験・カスタム開発の提供を推進します。

 また、インド市場への本格進出に伴い、インドにおけるパートナー企業と連携し、インドでのマーケティングを本格化させていきます。

 

④ 規制への対応

 ドローン関連業界を取り巻く大きなトレンドとしての2022年のレベル4の規制整備、セキュリティへの対応について、規制の変化に対応し、拡大が見込まれる需要に対応すべく、規制整備に関連する国土交通省、経済産業省などの行政機関と引き続き、密な連携を図ってまいります。

 加えて、インド進出においては現地規制当局との連携も進めております。

 

⑤ 内部管理体制の強化

 今後一層の事業拡大を進めるにあたり、適切なコーポレート・ガバナンスシステムの構築、コンプライアンス遵守体制の整備に継続して取り組んでまいります。また、監査役、監査法人とより密接な連携を図ることで、内部統制システムの適切な運用を進めてまいります。

 

(5)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社では、急速かつ持続的な利益成長を目指して成長性や効率性の向上に取り組んでおり、主な経営指標として、売上高、研究開発費を特に重視しております。また、当社事業モデルを勘案した上での成長ドライバーとしてのKPIは、用途特化型機体の量産モデルを想定した上で、用途特化型機体の用途数、出荷台数また、ソリューションの作りこみとして、概念検証(PoC)及びカスタム開発におけるプロジェクトの案件数、機体の出荷台数があげられます。研究開発費においては、外部パートナーを有効活用することにより、当社としてのコア技術であるSLAMを含めた大脳・小脳の自律制御開発を推進するとともに、今後のレベル4対応等に向けた開発投資を積極的に進めていく予定です。

 

2【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が提出会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。当社は取締役及び監査役を構成員とするリスク管理委員会にて、主要なリスク発生の可能性及び対応などを検討しております。

 また、必ずしもリスク要因には該当しない事項につきましても、投資者の投資判断上、重要であると考えられる事項については、投資者に対する積極的な情報開示の観点から以下に記載しておりますが、当社に関するすべてのリスクを網羅するものではございません。

 なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであり、将来において発生の可能性があるすべてのリスクを網羅するものではありません。

 

(1)ドローンの安全性について

① ドローンが社会利用されるにつれ、飛行への信頼性も強く求められます。当社に限らず、他社においてもドローンに関する重大な墜落事故が発生した場合には、ドローンの安全性に対する社会的信用が低下することにより、顧客からの需要低下、規制の強化等により市場の成長が減速する可能性があり、その場合は、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

② 当社では、事故を起こさずに、人と安全に共生するドローンの実現に努めております。リスク分析などに基づく本質的な安全設計を進めるとともに、当社が有する技術を活用することで、GPSが届かない環境下や悪天候の中でも、安全に飛行できるような機体を開発しておりますが、万が一、当社の製造した機体が墜落すること等により人や財産等に損害を与えた場合には、重大な製造物責任賠償やリコールによる多額の支払や費用発生及び社会的信用の失墜等により、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。その上で万が一に備え、保険会社との連携を深め、重大な事故の際の賠償責任、費用発生をカバーするためのドローン機体及び運用について専用の保険の開発を行っております。

 

③ 昨今、ドローンに対して、5Gと同様に、データセキュリティ・乗っ取り防止といった利用面における安全性の意識が高まっております。当社では、データセキュリティに関連する部品選定において安全性を重視し、また、通信暗号化等により乗っ取り防止等ドローン側のセキュリティ技術の高度化に取り組んでおります。更に、情報セキュリティマネジメントシステム認証のISO/IEC27001を取得しております。なお、ソリューション・パートナーの選定、顧客への直接的な取引により当社からの販売先は全て特定可能な状態です。しかし、悪意のあるハッカー等によりセキュリティが崩された場合においては、機体が操縦不能となることにより人や財産等に損害を与えたり、データ漏洩により利用者へ被害等が発生したりする可能性があり、重大な製造物責任賠償やリコールによる多額の支払や費用発生及び社会的信用の失墜等により、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

(2)ドローン事業を取り巻く法規制について

 当社の事業を規制する主な法規制は、以下のとおりであります。

① 航空法

 航空法については、当社がドローンを飛行の禁止空域で飛行させること及び所定の飛行の方法によらず飛行させることに関して、同法に基づく許可・承認を得ております。なお、現在、当局にて、ドローンの目視外飛行について規制の在り方についての議論が進められております。

 

② 電波法

 電波法については、ドローン操縦時における1.2GHz帯画像伝送に関して、同法に基づき一般業務用の無線局(携帯局)の免許を取得しております。また、ドローン映像伝送用の5.7GHz帯の免許を端末毎に開局しております。

 

③ 製造物責任法

 製造物責任法については、当社はドローン等の製品を製造しているため、当社製品の欠陥等が生じたことによって生命、身体又は損害を被ったことを被害者が証明した場合、損害賠償請求が認められる可能性があります。リスク軽減に向け外部のテクニカルライターによる取扱説明書のレビューや、保険会社との連携を進め、専用の保険の開発を行いました。また、品質マネジメントのISO9001の認証取得や一般社団法人日本産業用無人航空機工業会(JUAV)による機体認証を取得しております。

 

④ 外国為替及び外国貿易法

 外国為替及び外国貿易法については、当社が販売する製品及び部品の一部は、規制の対象となる可能性がございます。そのため、当社が海外にむけてドローンの輸出、又は関連する技術の提供をする場合は、同法を遵守して適切な輸出管理に努めております。また、法令遵守において社内のみでなく、顧問弁護士等の社外の専門家も含めたチェック体制を構築しております。

 当社は、当該規則の確認体制を構築して、法規制等の遵守に努めておりますが、今後、予期せぬ規制の制定・改廃が行われることや予定されている規制緩和が計画どおりに進まないことも想定されます。そのような場合に、当社が、当該法規制に柔軟に対応できない場合には、許認可・免許の取り消し等により、当社の活動が制限されることがあり、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

(3)知的財産権について

 当社の事業に関連する特許権等の知的財産権について、これまで第三者より知的財産権の侵害に関する指摘等を受けた事実はなく、また、今後も侵害を防止するため、適切な管理を行っていく方針でありますが、当社の認識していない知的財産権が既に成立している可能性や新たに第三者の知的財産権が成立する可能性もあり、当該侵害のリスクを完全に排除することは極めて困難であります。

 また、当社が保有する特許に関しては、当社の提供するドローン技術の内、必要な部分をカバーするものであり、それぞれ個別の特許が事業に与える影響がない又は軽微と考えておりますが、今後も、当社の事業拡大にあわせ、特許整備への投資をしてまいります。

 今後、当社が第三者との間の法的紛争等に巻き込まれた場合、弁護士や弁理士と協議の上、その内容によって個別具体的に対応策を検討していく方針でありますが、当該紛争に対応するために多くの人的又は資金的負担が発生するとともに、場合によっては損害賠償等の支払請求や製品等の製造及び販売の差止の請求等を受けることがあり、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

(4)部品・部材等の調達及び価格、在庫について

 当社は、生産活動や研究開発活動に必要な部品・部材等の多くを外部の取引先から調達しておりますが、取引先からの供給が中断した場合や製品需要の急増などによる供給不足が発生した場合には諸活動が制限され、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。特に、直近の世界的な半導体不足による部材の供給の遅れや価格の高騰が継続し、当社の計画通りの調達ができない場合には、当社の売上高等の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 また、当社は、調達にあたっては、品質確認等の受入検品を慎重に実施しております。しかしながら、品質に問題が生じた場合や、調達品の調達先における生産体制及び品質管理体制に問題が生じる等、当社の事業運営に重要な影響を及ぼす事象が発生した場合には、当社の業績に影響を与える可能性があります。なお、主要な取引先企業に対しては、生産・開発等の活動状況の確認のための監査を定期的に実施しております。

 在庫については、製品計画、売上規模にあわせ、定期的に需要予測を見直し、最適量を維持してまいりますが、当初想定よりも需要が異なることで発生する、在庫不足による機会損失や逸失利益、又は在庫過多による在庫管理費用や減損等の追加費用が発生する可能性があります。

 

(5)製品の品質について

 当社では、品質保証管理規程、及び生産管理規程を設け当該規程に則り各種製品の製造、品質管理を行い、品質の保持、向上に努めております。

 信頼性には万全の配慮をしてまいりますが、万が一、製品の欠陥が発生した場合には、その欠陥内容によっては多額のコスト発生や信用の失墜を招き、当社の経営成績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。具体的には、保証期間内の製品の不具合の発生率が想定を上回った場合や不測の不具合の発生により、アフターサービス費用や無償修理費用、リコール費用等が発生する可能性があります。

 当社は、引き続き製品の品質向上に努め、特に不具合に対する継続的な改良、不具合の起きにくい製品設計の推進、信頼性試験の導入を含め、開発時、出荷前の試験強化、製品へ非常時対策の機能開発の継続、飛行・機体管理等の運用のルール化、顧客クレーム・故障・墜落等に対する処理プロセス等について強化してまいります。なお、当社製品の欠陥等が生じたことによって生命、身体への被害、又は損害を被ったことを被害者が証明した場合、製造物責任法に基づき損害賠償請求が認められる可能性があります。これらのリスクへの対応が長期化し、当社が加入する保険でカバーできる範囲などを超えた場合などは、当社の事業活動に支障が生じ、経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6)業績の不確実性について

① 過年度の業績推移について

 当社の主要な経営指標等の推移は[1企業の概況1主要な経営指標等]の推移のとおりであります。今後、顧客のニーズとのミスマッチや流行の変化、競合の出現、景気の変動、新型コロナウイルス感染症拡大による経済活動の制限等により販売量が期待を下回る可能性、また、顧客企業側での予算稟議、実行タイミングによっても、業績推移に影響を受ける可能性があります。

 当社は、産業用ドローン市場の将来的な市場拡大のための技術開発に係る先行投資に注力してきたこと等から、損益について第1期から第7期及び第9期において損失を計上しております。また、様々な国家プロジェクトに参画し、最先端の技術開発に取り組んでおりますが、研究開発活動に係る補助金等の受領は管轄機関による監査を終えて金額が確定した後の入金となりますため、研究開発活動を行うための資金は実施中に必要となり先行して研究開発費用が発生しております。

 当社では、上記のような先行する開発投資費用を上回る収益を確保すべく取り組んでおりますが、開発、販売活動に必要な人材の採用や育成が進まない場合や、当社製品が市場で受け入れられない場合等、事業展開が当社の計画どおりに推移しない場合、当社の財政状態及び経営成績に重要な影響を及ぼす可能性があります。また、当社は、2013年11月に設立されており、設立後の経過期間は8年程度と社歴の浅い会社であります。したがって、当社の過年度の経営成績は期間比較を行うための十分な材料とはならず、過年度の業績のみでは今後の業績を判断する情報としては不十分な可能性があります。

 

② 継続的な開発投資について

 当社は、継続的な成長のために、自律制御型ロボットシステムとしてドローンのハードウエア及びソフトウエアの研究開発に取り組んでおります。新製品又は新技術の開発のために不可欠な研究開発活動を継続していく必要があるという考えの下、これまで積極的に研究開発費に係るコストを投下してきており、今後も継続して研究開発活動を促進していく方針であります。当社は、売上高の伸長によって、持続的な利益やキャッシュ・フローを創出できる体制を構築する方針ですが、テクノロジーの進化が早く、当社がそれらのテクノロジーの進化に追随できない場合や当社が顧客や市場からの支持を獲得できる新製品又は新技術が投入できず、研究開発活動の効果が十分に得られない場合に想定以上の投資に係る費用が発生する場合がございます。その場合には、当社が目指す計画が達成できない可能性や営業損益等の黒字化に時間を要する可能性があり、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 中期経営方針について

 当社では、2022年1月に中期経営方針「ACSL Accelerate FY22」を策定し、社内外のステークホルダーとともに、全当事者が一丸となって顧客価値の創造、企業価値の向上に取り組んでおります。引き続き中期経営計画方針の下、事業環境の変化やその他要因に柔軟に対応しながら事業を推進してまいりますが、「事業等のリスク」に記載のリスクを始めとする様々な要因により、結果として中期経営計画方針で掲げる数値目標が未達となる可能性がございます。

 

(7)業績の変動に係るリスクについて

① 季節変動について

 当社は、主に大企業向け又は官公庁が関連するプロジェクトにおいてドローンの機体販売や概念検証(PoC)サービスの提供を行っているため、多くの顧客における会計期間の年度末である3月に売上高が集中する傾向にあり、四半期会計期間毎の業績について、1月1日から3月31日までの会計期間の比重が高くなる傾向にあります。1月1日から3月31日までの会計期間に比重が高くなる背景としては、当社の多くの顧客企業の予算費消サイクルと連動していること、及び年間契約案件の検収が多くの顧客の会計期間の年度末に集中するためであります。また、官公庁、公共機関及び大型案件を行う企業とは年間契約など大型の契約を締結する場合が多く、その際は検収時期が2月及び3月など年度末となるため、かかる季節変動により、当社の一時点における業績は、通期業績の分析には十分な情報とならないことがあります。当社は、通期業績の透明性向上を図るために、第10期から決算期(事業年度の末日)を12月31日に変更したため、会計期間は、1月1日から12月31日となります。

 なお、2021年1月から3月の期間に当たる2021年3月期第4四半期連結会計期間及び2021年4月から12月の期間に当たる2021年12月期の四半期連結会計期間ごとの売上高の推移は以下のとおりです。

 

2021年3月期

第4四半期

2021年12月期

第1四半期

2021年12月期

第2四半期

2021年12月期

第3四半期

売上高(千円)

495,214

267,294

133,379

100,339

 

② 検収時期の変動について

 当社では、実証実験やシステム開発、及び機体販売のいずれの販売形態についても収益認識基準として検収基準を採用しております。実証実験やシステム開発について、主に大型案件に関する成果物の個別性が高い傾向がございます。原則として、顧客の要求する仕様を満たしていることを顧客と確認して検収を確認した時点で売上計上しておりますが、案件の個別性により検収時点では収益認識が認められず、当初の予定よりも収益認識が遅れた場合には、売上計上が遅れることになり、当社の業績に影響を与える可能性があります。加えて、当社が参画する国家プロジェクトによる収入については、案件の内容に基づき、売上計上または営業外収益として計上しておりますが、案件の個別性により当社が想定している区分での計上が認められない場合は、当社の業績に影響を与える可能性があります。

 また、検収時期が期末日付近に予定されている案件において、天候不順や顧客側の事情によりその実施時期が翌連結会計年度に延期されるような場合には、当社の業績に影響を与える可能性があります。

 

③ 運転資金の確保について

 当社の主な事業は、部品仕入、開発、製造、販売、検収、資金回収という事業フローのため、事業拡大に連動して運転資金が増加する傾向にあり、営業活動によるキャッシュ・フローがマイナスとなる場合がございます。また、当社では、最先端の技術開発に取り組むため産学官連携で様々なプロジェクトに参画しており、国からの補助金や助成金を受領しております。当該補助金等の受領は、管轄機関による監査を終えて金額が確定した後の入金となりますが、研究開発活動を行うための資金は実施期間中に必要となり、先行して研究開発費用が発生します。

 収益体質の改善による利益の確保や運転資金の効率化等、運転資金の確保には努めるとともに、資金調達が必要になった場合には金融機関からの借入れ等を行うことがありますが、市場金利の上昇により資金調達コストが増大した場合などにおいては、当社の業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(8)海外進出について

 当社は、海外市場における事業拡大のため、アジアやアメリカなどを中心に海外展開をすすめるべく、現地企業との業務連携をしております。インドにおいては、現地企業と合弁会社を設立しております。しかし、現地における予期しない社会的および政治的変動、税制または税率の変更などその他経済的状況の変動があった場合、それらの事象は当社の事業展開に悪影響を及ぼす可能性があります。また、海外展開に伴い、外国企業からの部品調達及び外国企業への当社製品又は技術の販売等に関し、輸出入規制、環境保護規制をはじめとした各国又は各経済圏における政策及び法規制の変更があった場合にも、当社の事業展開に悪影響を与える可能性があります。

 

 

(9)投資活動について

 当社は、成長戦略の一環として、海外企業も含めた企業買収、業務提携、戦略的投資につき、積極的に検討をすすめる方針としております。また、当社はコーポレートベンチャーキャピタル(CVC)としてACSL1号有限責任事業組合を設立しております。当社及びCVCからの投資等については、投資リスク等を十分勘案したうえで決定し、投資価値の回収可能性を定期的にチェックいたしますが、経営環境・前提条件の変化等の理由により投資先の財政状態及び経営成績が悪化した場合には、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 また、投資等に伴い計上される資産については、今後の業績計画との乖離や市場の変化等によって、期待されるキャッシュ・フローが生み出せない場合、減損損失を計上する可能性があります。

 

(10)小規模組織における管理体制について

 当社は、2021年12月31日現在の従業員数が70名と小規模組織で運営しており、内部管理体制も組織規模に応じたものとなっております。

 当社の人員の中心となる開発に関わる人材については、グローバルで最先端な知見を有する人材を取得するために、国内だけでなく海外も含め、幅広い人材プールを採用の対象として積極的な採用活動を実施しており、今後の事業の拡大及び多様化に対応して、人員の増強と内部管理体制の一層の充実を図っていく方針でありますが、計画どおりに人員の強化が出来ない場合や、事業の中核をなす人材に不測の事態が生じ業務遂行に支障が生じた場合、当社の事業活動に支障が生じ、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

(11)訴訟について

 当社は、本書提出日現在において、訴訟を提起されている事実はありません。しかしながら、販売した機体の不具合等、予期せぬトラブルが発生した場合又は取引先との関係に何かしらの問題が生じた場合等、これらに起因した損害賠償の請求、訴訟を提起される可能性があります。その場合、損害賠償の金額、訴訟内容及び結果によっては、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(12)事業中断に関するリスクについて

 当社は、予測不可能な地震、津波、暴風雨その他の自然災害、火災や停電等の事故、疫病の流行、コンピューターウィルスに起因する情報システムの停止、テロ行為等の違法行為などにより事業活動の停止等に備え、BCP(事業継続計画)を策定しております。しかし、事業活動の長期間に渡る停止や施設の改修に多額の費用が発生した場合、事業、業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(13)その他のリスク

① 配当政策について

 当社は、財務体質の強化と事業拡大のための内部留保の充実等を図ることが重要であると考えており、設立以来配当を実施しておりません。今後の配当方針については、収益力の強化や事業基盤の整備を実施しつつ、内部留保の充実状況及び企業を取り巻く事業環境を勘案した上で、株主に対して安定的かつ継続的な利益還元を実施する方針であります。

 現時点において当社は、内部留保の充実を優先しておりますが、将来的には、業績及び財政状態等を勘案しながら株主への利益の配当を目指していく方針であります。しかしながら、配当実施の可能性及びその実施時期等については、本書提出日現在において未定であります。

 

② 新型コロナウイルス感染症拡大の影響について

 新型コロナウイルス感染症については、ワクチンの接種・普及により、徐々に収束していくものと予想しておりますが、ワクチン接種の遅れや変異種の蔓延等により、経済活動の停滞の影響が長期化し、顧客における新規投資の抑制、当社における事業活動の低下、サプライチェーンなどに影響が生じることが想定されます。当社は研究開発においてリモートワークを活用するなど、引き続き事業活動を推進してまいりますが、特に売上高が集中する1月から3月に、移動制限や緊急事態宣言の発令等により経済活動が抑制される場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況

 当社は、2021年6月24日開催の定時株主総会において、「定款一部変更の件」が承認されたことを受けて、決算期を3月31日から12月31日に変更しました。これに伴い、決算期変更の経過期間となる当連結会計年度は、2021年4月1日から2021年12月31日までの9か月決算となりますので、経営成績に関する前年同期比については記載しておりません。

 

 a.財政状態の分析

(資産)

 当連結会計年度末における資産合計は、5,715,185千円となり、前連結会計年度末に比べ1,706,254千円増加いたしました。これは主に現金及び預金が868,225千円増加、売掛金が280,356千円減少、前渡金が313,566千円増加したことにより流動資産が前連結会計年度末に比べ919,641千円増加したこと、及び投資有価証券が414,485千円増加、長期貸付金が289,869千円増加したことにより固定資産が前連結会計年度末に比べ786,613千円増加したことによるものであります。

 

(負債)

 当連結会計年度末における負債合計は、295,766千円となり、前連結会計年度末に比べ140,521千円減少いたしました。これは主に買掛金が101,912千円減少したことにより流動負債が前連結会計年度末に比べ145,883千円減少したこと、及び繰延税金負債が5,361千円増加したことにより固定負債が前連結会計年度末に比べ5,361千円増加したことによるものであります。

 

(純資産)

 当連結会計年度末における純資産合計は5,419,419千円となり、前連結会計年度末に比べ1,846,776千円増加いたしました。これは主に資本金が1,515,934千円増加、資本剰余金が1,515,934千円増加、利益剰余金が1,225,869千円減少したことによるものであります。

 この結果、自己資本比率は94.0%(前連結会計年度末は88.6%)となりました。

 

b.経営成績の分析

(売上高)

 当連結会計年度の売上高は、501,013千円となりました。これは主に既存顧客を中心にした、実証実験及び国家プロジェクトの実施によるものであります。

 

(売上原価・売上総利益)

 当連結会計年度の売上原価は、500,500千円となりました。これは主に実証実験とプラットフォーム機体販売に関わる材料費、外注加工費及び役務提供原価によるものであります。

 その結果、売上総利益は、513千円となりました。

 

(販売費及び一般管理費・営業損失)

 当連結会計年度の販売費及び一般管理費は、1,189,510千円となりました。これは主な費目として研究開発費として604,398千円、人件費等によるものであります。

 その結果、営業損失は1,188,997千円となりました。

 

(営業外損益・経常損失)

 当連結会計年度の営業外収益は、46,093千円となりました。これは主に国家プロジェクトに係る助成金収入の計上によるものであります。

 当連結会計年度の営業外費用は、70,844千円となりました。これは主に日本郵政キャピタル株式会社に対する第三者割当による新株式の発行に係る株式交付費の計上によるものであります。

 その結果、経常損失は1,213,748千円となりました。

 

 

(特別損失・法人税等・当期純損失)

 当連結会計年度において、固定資産の減損損失8,508千円を特別損失として計上したこと、及び法人税、住民税及び事業税3,817千円を計上した結果、親会社株主に帰属する当期純損失は1,225,869千円となりました。

 

 なお、当社グループはドローン関連事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。

 

②キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ868,225千円増加し、2,759,957千円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 なお、決算期変更に伴い、経過期間となる当連結会計年度は、2021年4月1日から2021年12月31日までの9か月決算となりますので、前年同期比については記載しておりません。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果使用した資金は、1,345,852千円となりました。これは主に、税金等調整前当期純損失1,222,257千円を計上したことによるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果使用した資金は751,875千円となりました。これは主に、投資有価証券の取得による支出398,584千円、長期貸付けによる支出284,750千円によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果得られた資金は2,965,517千円となりました。これは主に株式の発行による収入2,932,761千円、新株予約権の行使による株式の発行による収入31,755千円によるものであります。

 

③生産、受注及び販売の実績

 a.生産実績

 当社グループの生産品はその大部分が生産後すぐに顧客のもとへ出荷されているため、生産実績は販売実績とほぼ同額となります。従いまして、生産実績の記載を省略しております。下記c.販売実績をご参照ください。

 

b.受注実績

 当連結会計年度の受注実績は、次のとおりであります。なお、当社グループはドローン関連事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略し、売上高の主な内訳別に記載しております。

区分 ※.

受注高(千円)

前年同期比(%)

受注残高(千円)

前年同期比(%)

実証実験

319,620

194,710

プラットフォーム機体販売

88,732

20,915

用途特化型機体販売

806,331

806,331

 

その他

363,047

54,761

合計

1,577,732

1,076,718

 (注) 当社は2021年12月期より決算日を3月31日から12月31日に変更いたしました。これに伴い、経過期間となる当連結会計年度は、2021年4月1日から2021年12月31日までの9か月決算となりますので、前年同期比については記載しておりません。

 

c.販売実績

 当連結会計年度の販売実績は、次のとおりであります。なお、当社グループはドローン関連事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略し、売上高の主な内訳別に記載しております。

区分 ※.

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2021年12月31日)

前年同期比(%)

実証実験

(千円)

124,910

プラットフォーム機体販売

(千円)

67,817

その他

(千円)

308,285

合計(千円)

501,013

 (注)1.当社は2021年12月期より決算日を3月31日から12月31日に変更いたしました。これに伴い、経過期間となる当連結会計年度は、2021年4月1日から2021年12月31日までの9か月決算となりますので、前年同期比については記載しておりません。

2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自 2020年4月1日

至 2021年3月31日)

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2021年12月31日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構

21,814

3.5

269,555

53.8

原田物産株式会社

79,196

12.8

744

0.1

※. サービス提供の各段階に関して、実証実験として、顧客のドローン導入のニーズを踏まえて、課題解決のために当社のテスト機体を用いた概念検証(PoC)に係るサービスを提供しております。概念検証(PoC)を経て、顧客先の既存システムへの組み込みも含めた特注システム全体の設計・開発を行っております。

 プラットフォーム機体販売においては、顧客先における試用(パイロット)もしくは商用ベースでの導入と

して、当社のプラットフォーム機体をベースにした機体の生産・販売を行っております。

 用途特化型機体販売においては、特定の領域において量産が見込める機体について、量産機体の開発・生産・販売を行っております。

 その他においては、機体の保守手数料や消耗品の販売料に加えて、国家プロジェクトのうち、NEDOプロジェクトである「安全安心なドローン基盤技術開発」及び「準天頂衛星システムを利用した無人航空機の自律的ダイナミック・リルーティング技術の開発」に係る売上高を含んでおります。一般的に国家プロジェクトにおいて、受託先が収受する補助金に関し、新規技術の研究開発に係るものについては、営業外収益として計上しております。ただし、新規の研究開発を行わず、既存の当社の技術を用いて委託された実験を行うことが主目的のプロジェクトについては、売上高として計上しております。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

 a.財政状態及び経営成績の分析

 当連結会計年度における財政状態及び経営成績の分析については、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。

 

b.経営成績に重要な影響を与える要因について

 経営成績に特に重要な影響を与える要因については、以下のとおりであります。

 当社グループに限らず、ドローンに関する重大な事故が発生した場合には、ドローンの安全性に対する社会的信用が低下することにより、顧客からの需要低下、規制の強化等により市場の成長が減速する可能性があります。当社グループでは、事故を起こさないよう、安全性第一のドローンの実現に努めておりますが、万が一、当社グループの製造した機体が墜落すること等により人や財産等に損害を与えた場合には、製造物責任賠償、リコールによる支払や費用発生及び社会的信用の失墜等により、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。製品の信頼性には万全の配慮をしてまいりますが、万が一、製品の欠陥が発生した場合には、その欠陥内容によってはコスト発生や信用の失墜を招き、当社グループの経営成績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 なお、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に関しまして、中長期的に経済の停滞を招くおそれがあります。顧客における新規投資への影響、当社グループにおける事業活動の低下、サプライチェーンにおける影響など事業継続への影響が生じることも考えられ、影響の度合いによっては、当社グループの売上高等の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 また、世界的な半導体不足による、部材の供給の遅れや価格の高騰については、当社の機体生産に影響を与えており、今後も半導体を始めとする部材の供給不足や価格高等が継続する場合には、用途特化型機体の量産等および当社の研究開発活動に影響を与え、当社グループの売上高等の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 その他、経営成績に重要な影響を与える要因については「2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの分析については、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、自己資金、金融機関からの借入金、新株発行による調達資金により充当することとしております。

 なお、当社グループの資金の流動性につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。現時点において重要な資本的支出の予定はございません。

 

③重要な会計方針及び見積り

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りに関して、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積りによる不確実性のため、これらの見積りと異なる可能性があります。

 当社グループの連結財務諸表の作成にあたって採用している重要な会計方針は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。

 

(3)経営者の問題認識と今後の方針について

 当社グループは、自律制御技術を始めとした最先端のロボティクス技術を追求し、それらの技術の社会実装を通じて、人類の活動の基盤となる社会インフラにおける、人類の経済活動の生産性を高め、付加価値の低い業務、危険な業務を一つでも多く代替させ、次世代に向けた社会の進化を推し進めるべく事業を展開しており、各分野のコアクライアントとなるパートナー企業とのプロジェクトを通じ、各種用途の産業向けドローン・ソリューションを構築し、実際の経済効果を生み出すドローン用途を創出していくことを経営の基本方針としております。

 この基本方針を踏まえ、ドローン機体の販売拡大及びシステムインテグレーション、ソリューション構築を通じたドローン機体の利用拡大による売上高の拡大を企図しております。

 経営者は、事業を拡大し、継続的な成長を実現するために様々な課題に対処していくことが必要であると認識しており、それらの課題に対応するため、常に事業環境についての情報を入手し、戦略の策定、顧客ニーズの把握、製品力の強化、企業規模の拡大に応じた内部管理体制・組織の整備を進め、企業価値のさらなる向上を目指して取り組んでおります。

 なお、経営者の問題認識と今後の方針についての具体的な内容は、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照ください。

 

4【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

5【研究開発活動】

 当社は、自律制御型各種ロボットシステム(ドローン等)のハードウエア及びソフトウエアの研究開発に取り組んでおり、当事業年度は、各種用途特化型機体の機体開発、量産体制の構築を進めるとともに、プラットフォーム技術の強化として、これまで進めてきた自律制御・エッジ処理の高度化や基盤技術向上、ユーザーインターフェース強化等に加え、レベル4を見据えた安全な機体の設計、飛行中の通信処理の向上とセキュリティ対応、操作性を向上させる地上局のアップデート等を行ってきました。

 2021年12月31日現在、当社の研究開発活動は、研究開発ユニットにおいて、最高技術責任者(CTO)以下37名の体制で実施しております。

 

 当事業年度の研究開発費の総額は604,398千円であり、具体的な研究開発の成果は以下のとおりです。なお、当社はドローン関連事業の単一セグメントであるため、セグメント情報に関連付けた記載を行っておりません。

研究開発項目

研究成果

安全性に関する研究開発

故障パターン分析によるリスク評価、故障時バックアップ機能(例 フォルトトレランス:一部モーター停止時の特殊制御アルゴリズム、パラシュート機能)

飛行中の通信処理の向上とセキュリティ対応

操縦性に関する研究開発

画像処理(Visual SLAM等)を軸とした自律制御・エッジ処理の高度化・基盤技術の向上・ユーザーインターフェースの強化

地上局ソフトウェアのアップデート

スマートコントローラー、無線通信モジュールの開発

環境性に関する研究開発

防水対策などによる消耗備品の長寿命化(リチウムポリマー電池など)