当第1四半期連結累計期間において、新たな事業等のリスクの発生、または前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについての重要な変更はありません。
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1)財政状態及び経営成績の状況
① 経営成績の分析
現在、日本においては、労働人口の減少による人手不足の深刻化が進む一方で、今後、インフラ設備の老朽化の進行が見込まれ、労働力の需要と供給の不一致は社会的な課題となっています。持続可能な社会インフラを構築するために省人化・無人化を推進することは社会的な要請であります。
当社グループは、「技術を通じて、人々をもっと大切なことへ」というミッションのもと、「最先端のロボティクス技術を追求し、社会インフラに革命を」というヴィジョンを掲げております。日本の社会課題である労働力のミスマッチに対し、当社グループのコアである独自開発の制御技術とそれを利用した産業用ドローンの社会実装により、当社グループのミッション・ヴィジョンの実現を通じて社会課題の解決を目指しております。
当社グループは、国内のドローン関連企業において、唯一上場しているドローン専業メーカーとして、黎明期に求められる概念検証(PoC)を通して「特化するべき用途」を明らかにし、特定した有用な用途について特化型機体を開発し、社会実装を実現するために用途特化型機体の量産体制の構築・販売を行っております。
国内ドローン市場を取り巻く環境は、地政学的リスクの高まりや不安定な世界情勢などから経済安全保障への関心が強くなっており、日本政府はドローンの調達にあたり、公共の安全と秩序維持等に支障の生じるおそれがある業務等に用いられるドローンの調達は、セキュリティが担保されたドローンに限定し、既に導入されているドローンについても速やかな置き換えを実施する方針を公表しております。
また、2022年6月7日に閣議決定されたデジタル田園都市国家構想基本方針において、デジタルの力を活用した地方の社会課題解決の方法として、農業分野や物流でのドローンの活用が示された他、災害発生時のドローンを利用した情報収集や点検でのドローンの活用などの取り組みに言及がなされ、社会課題を解決する新たな方法としてドローンに注目が集まっております。全国各地にて、デジタル田園都市国家構想の事業費を活用したドローンの社会実装に向けた実証実験が始まっております。
ドローンを取り巻く法制度は、「レベル4」(有人地帯上空における目視外飛行)に関する航空法及び同施行規則等の改正が行われ、当社グループでは、レベル4に対応したドローンの第一種型式認証の申請を実施し、2023年3月に無人航空機の型式認証制度において、第一種型式認証証書を日本で初めて取得しております。今後、レベル4相当の飛行が可能となることで、既に法整備が進んでいるレベル1~3の市場に加えて、ドローン物流など、我が国においてドローンで利用可能な巨大な空間・市場が出現する見込みです。
当社は2022年1月に示した中期経営方針「ACSL Accelerate 2022」で掲げた「持続可能なグローバル・メーカーへ」進化するための取り組みを推進してまいりました。
直近の国内事業の進捗として、用途特化型機体の量産化と社会実装については、大部分の機体が先行的な開発投資のフェーズから、上市・初期市場対応(顧客フィードバックへの対応)を実施するフェーズへ移行しつつあります。
国産の高セキュリティ対応の小型空撮ドローン「SOTEN」は出荷を2022年3月に開始し、ドローンの利活用にあたりセキュリティ対応が求められる顧客から多くの引き合いを頂いております。また、リリース後も継続的な機能アップデートを実施して需要創出を図っております。
物流用ドローンについても、物流専用ドローン「AirTruck」の量産及び出荷を開始しており、全国自治体におけるデジタル田園都市国家構想に関連した事業で、AirTruckならびにセイノーHD社・エアロネクスト社が推し進めるSkyHub®が採用されるなど社会実装を進めております。また、日本郵便株式会社が実施する「ドローンによる郵便物などの配送試行」に国産ドローンを提供し、2023年3月に日本で初めてレベル4でのドローン配送に成功いたしました。日本郵便株式会社及び日本郵政キャピタル株式会社とは、2021年6月に資本業務提携を行っており、2023年度以降のローンチを目指すレベル4対応の物流専用機の開発をはじめ、今後もドローン物流の社会実装の推進とドローン市場の拡大に向けて連携を進めてまいります。
ESGの取組みについては、投資家、顧客、パートナー企業など多様なステークホルダーに対して、当社グループのヴィジョンと取り組みを体系的に紹介し、発信するために、当社初となる統合報告書を和文・英文で刊行いたしました。2023年3月末時点において、全従業員に対する外国籍の従業員の比率は約19%となっており、研究開発部門においては約38%のメンバーが外国籍となっております。また、カバナンスの強化として2023年3月開催の株主総会において監査等委員会設置会社に移行し、現時点において取締役会における社外取締役の比率は71%(7人中5人)、女性の比率は29%(7人中2人)となっております。
自律制御システムの他分野への展開については、地上走行ロボットの開発を行っているREACT株式会社(旧アイ・イート株式会社)への出資を行い、REACT株式会社が有しているロボット開発技術と当社グループが有している自律制御関連技術を組み合わせることで、より付加価値の高い製品開発を効率的かつ早期に実現し、製品技術の向上と事業の拡大を目指します。
海外ドローン市場においては、国内以上に経済安全保障への関心が高く、昨今の経済安全保障の状況により転換期を迎えております。特に当社グループが展開を進めているインドでは海外製のドローン完成品の輸入が禁止、アメリカではロシアや中国製のドローンが規制されるなど、経済安全保障を強く意識した施策が行われております。当社グループはセキュリティが担保された国産ドローンを有しているのみならず、企業向け対応および用途特化型をキーワードとしたポジショニング形成が可能であり、海外におけるセキュアなドローンへの需要にも適応することができる可能性が高く、需要の拡大を見込んでおります。
インド市場への進出については、現地パートナー企業(Aeroarc社)との合弁会社(ACSL India Private Limited)にて、現地の生産拠点の整備、機体の販売に関する許認可の申請を進めております。2022年12月期において8,000万インドルピー(140,000千円相当(1インドルピー=1.75円で算定))の大型案件を受注しました。また、2023年5月にはAeroarc社と今後2年間で総額3,000万米ドル(4,050,000千円相当(1米ドル=135円で算定))のドローン及びロボティクスに関するプロジェクトを検討及び具体化していくための戦略提携覚書(MOU)を締結しました。
米国市場では官庁・社会インフラ関連企業の中国製ドローンからのスイッチングを目指し米国へ本格展開すべく、カリフォルニア州に子会社ACSL, Inc.を設立しました。ACSL, Inc.の CEO にはシンシア・ホァン(Cynthia Huang)が就任しました。Cynthiaは直近まで米国大手ドローンソフトウェア開発企業であるAuterion社や中国ドローンメーカーDJI社にて北米の企業向けドローン市場において大きな成果を発揮してきました。また、米国進出に向けて、グローバルCTO兼ACSL, Inc.の取締役としてクリス・ラービ(Chris Raabe)が就任しました。クリスは米国に駐在し、海外市場の立ち上げ、技術開発をリードいたします。
また、当社は、2022年11月に国連専門機関である万国郵便連合(Universal Postal Union:UPU)の諮問委員会(Consultative Committee)に、ドローン関連企業として世界で初めて加盟し、2023年5月には41カ国の加盟国で構成されるUPU管理理事会のレセプションを主催するなど国際的なプレゼンスを高めてまいります。
このような中、当社グループは、2023年1月20日にCVI Investments, Inc.に対する第三者割当により、総額3,564,087千円(うち、2023年2月6日に新株式の発行により339,349千円、新株予約権付社債の発行により1,389,500千円及び新株予約権の発行により8,045千円の払込完了)の資金調達を決議しており、今後も新たな製品の開発や新たな市場への展開といった事業の成長に合わせて、継続的な資金調達を行っていくとともに、金融機関とも逐次協議を行い、事業の成長に伴い拡大する運転資金の確保に努めてまいります。第三者割当により調達した資金については、ドローン機体の開発・評価、海外事業の拡大及びソフトウエア開発に投資してまいります。
当社グループの研究開発投資は、短期的な利益を追うのではなく、中長期的な成長を実現するために戦略的かつ積極的に研究開発費を投下する方針を維持し、各種用途特化型機体の機体開発、量産体制の構築を進めるとともに、プラットフォーム技術の強化を行ってきました。
また、海外展開に向けた投資としては、現地規制に対応する機体のカスタマイズおよび輸出規制への対応、加えて、販売体制の構築などを積極的に進めていく予定です。
以上の結果、当第1四半期連結累計期間の連結業績は、売上高429,763千円(前年同四半期比54.9%減)、営業損失356,991千円(前年同四半期は営業損失401,072千円)、経常損失422,439千円(前年同四半期は経常損失362,766千円)、親会社株主に帰属する四半期純損失425,361千円(前年同四半期は親会社株主に帰属する四半期純損失370,909千円)となりました。
当社はドローン関連事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。そのため、当社の販売実績を主な内訳別に区分した売上高の状況は次のとおりであります。
(単位:千円)
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区分(注) |
前第1四半期連結累計期間 (自 2022年1月1日 至 2022年3月31日) |
当第1四半期連結累計期間 (自 2023年1月1日 至 2023年3月31日) |
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実証実験 |
252,046 |
262,936 |
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プラットフォーム機体販売 |
42,153 |
39,325 |
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用途特化型機体販売 |
593,679 |
68,067 |
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その他 |
64,673 |
59,435 |
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合計 |
952,551 |
429,763 |
(注)1.サービス提供の各段階に関して、実証実験として、顧客のドローン導入のニーズを踏まえて、課題解決のために当社のテスト機体を用いた概念検証(PoC)に係るサービスを提供しております。概念検証(PoC)を経て、顧客先の既存システムへの組み込みも含めた特注システム全体の設計・開発を行っております。
2.プラットフォーム機体販売においては、顧客先における試用(パイロット)もしくは商用ベースでの導入として、当社のプラットフォーム機体をベースにした機体の生産・供給を行っております。
3.用途特化型機体販売においては、特定の領域において量産が見込める機体について、量産機体の開発・生産・販売を行っております。
4.その他においては、機体の保守手数料や消耗品の販売に加えて、一般的に国家プロジェクトにおいて、受託先が収受する補助金等のうち、新規の研究開発を行わず、既存の当社の技術を用いて委託された実験を行うことが主目的のプロジェクトについての売上高を含んでおります。
② 財政状態の分析
(資産)
当第1四半期連結会計期間末における流動資産は4,057,583千円となり、前連結会計年度末に比べ484,657千円増加いたしました。これは主に現金及び預金が305,294千円増加、棚卸資産が228,958千円増加したことによるものであります。固定資産は1,415,085千円となり、前連結会計年度末に比べ11,335千円増加いたしました。これは主に投資有価証券が8,370千円増加したことによるものであります。
この結果、総資産は5,472,668千円となり、前連結会計年度末に比べ495,992千円増加いたしました。
(負債)
当第1四半期連結会計期間末における流動負債は1,127,655千円となり、前連結会計年度末に比べ875,878千円減少いたしました。これは主に買掛金が435,408千円、短期借入金が400,000千円減少したことによるものであります。固定負債は1,426,574千円となり、前連結会計年度末に比べ1,392,215千円増加いたしました。これは主に転換社債型新株予約権付社債が1,389,500千円増加したことによるものであります。
この結果、負債は2,554,229千円となり、前連結会計年度末に比べ516,336千円増加いたしました。
(純資産)
当第1四半期連結会計期間末における純資産合計は2,918,438千円となり、前連結会計年度末に比べ20,343千円減少いたしました。これは主に資本金及び資本剰余金がそれぞれ205,108千円増加し、利益剰余金が425,361千円減少したことによるものであります。
この結果、自己資本比率は51.7%(前連結会計年度末は57.1%)となりました。
(2)会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当第1四半期連結累計期間において、会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定について重要な変更はありません。
(3)経営方針・経営戦略等
当第1四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第1四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(5)研究開発活動
当第1四半期連結累計期間における研究開発活動の金額は、197,413千円であります。
なお、当第1四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
当第1四半期連結会計期間において、経営上の重要な契約等の決定又は締結等はありません。