第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

(1) 経営方針

当社グループは、「社会的負債を、次世代の可能性に。」をパーパスに掲げ、企業の経営課題である成約活動に対して、高い成約力とマルチチャネルマーケティング力で、成約時に報酬が発生する成果報酬型モデルの成約支援事業を展開しております。労働人口減少という社会的負債に対して、ROIが明確なサービス提供を通じて、企業の掛け捨てリスクをゼロにし、企業、そして社会全体の生産性向上に貢献を目指しております。

 

(2) 経営戦略等

① 基本戦略

当社グループは、少子高齢化・生産年齢人口の減少、労働生産性が低下する日本社会において、企業における販促活動、人材採用の効率化を最も解決すべきテーマと特定し、集客から成約まで一気通貫で支援し、なおかつ企業にとって導入リスクの低い成果報酬型サービスを展開することを基本戦略として掲げております。

 

② 中長期成長戦略

当社グループは2030年3月期を最終年度とする5ヵ年中期経営計画を2025年5月14日に公表いたしました。2030年3月期の売上収益800億円、EBITDA130億円の達成に向けCAGR30%以上の成長を継続するために、以下の5ヵ年目標と3つの成長戦略を掲げております。フリーキャッシュフローの最大化を長期方針に掲げ、中長期のEBITDAの最大化を達成するにあたり、オーガニック成長への投資、収益モデルのポートフォリオ化、インオーガニック成長への投資を中期成長戦略として掲げております。

 

 

a.ストック利益への転換

「収益のポートフォリオ化」を掲げた当社グループの第2次中期経営計画では、これまで成果報酬型ビジネスの大部分を占めていたショット型収益から、ストック型収益の比率を高めることで、総収益の向上と成長の確実性を追求する方針を掲げておりました。その結果、2023年3月期から2025年3月期までの3年間で、将来利益を累計3,074百万円積み上げることができ、着実にストック利益を成長させることができたと評価しております。EBITDAに占めるストック利益の比率は、2023年3月期には4.6%でしたが、2025年3月期には23.9%にまで大きく増加しました。今後は、毎年の増収増益を前提に積極的な将来利益の獲得を推進し、2030年3月期までにこの比率を40%まで引き上げ継続成長の蓋然性を高めてまいります。

 

b.既存事業の圧倒的地位確立

既存事業である人材・エネルギー領域を中心に圧倒的な地位確立と参入障壁の構築を目指して、オーガニック・インオーガニック両面での投資を徹底してまいります。

具体的には、人材領域では、圧倒的な会員基盤を活用し、新卒紹介市場でのシェアを早期にNo.1の達成を目指すとともに、蓄積した顧客基盤や会員データを活用し最も隣接する既卒・第二新卒等の若年層人材紹介市場へ早期参入等を実施し更なるシェア拡大を目指してまいります。エネルギー領域では、最重要指標である総成約件数を最大化させ、個人向け成約支援市場でのシェアを早期にNo.1を目指すとともに、法人向けの成約支援への拡大も図ってまいります。加えて、電力事業者のバリューチェーンに深く入り込み販売活動に関する成約支援及び通電・調達活動に関する業務支援を一気通貫で提供することで、電力事業者にとって必要不可欠な存在となることを目指してまいります。

 

c.新規領域参入を目指したM&A

当社グループにおける成約支援事業の更なる拡大にあたって、M&Aを主要戦略の一つとして位置付けております。中期経営計画期間中においては、既存事業のロールアップ型M&Aだけではなく、次の柱となる新領域の成果支援事業への参入を目指したM&Aについても積極的に推進してまいります。M&Aの推進にあたっては、投資規律を明確化し、既存領域(人材・エネルギー領域)および新領域におけるM&Aターゲットを具体的に特定しております。これにより、既存事業のロールアップを主軸とした集客チャネルの強化を目的とするM&A機会を積極的に模索するとともに、中長期的な成長性を確保するための周辺事業および新領域におけるM&Aも実施してまいります。

 

(3) 競争優位性

当社グループの売上収益を構成する主なKPIとして「集客件数×成約率×成約単価」を重要指標と認識しております。それら重要指標を拡大するにあたり、重要項目である「集客件数」「成約率」「成約単価」に対して、競争力の源泉となる「WEBマーケティング」と「セールス(成約支援組織)」の2つの優位性を有しております。

 

① 横展開の拡張性を持つ広大な市場規模

企業の経営課題である販促費と採用費を合わせた約17兆円の巨大な市場をターゲットとしており、成約支援事業を通じて大きな成長余地があると考えております。当社グループでは、企業にとって成約コストが高く、ユーザーにとって意思決定が難しい「非日常領域」において成約支援事業を優先的に展開しております。

 

② 掛け捨てリスクゼロの成果報酬型の料金体系

従来のインターネットメディア事業が集客数を成果地点とする掛け捨て型であるのに対し、当社グループは成約時に報酬が発生する成果報酬型モデルを採用しております。これにより、顧客のサービス導入ハードルが下がり、顧客基盤の拡大と長期的なリレーション構築による成約件数・成約単価の向上が期待されます。

 

③ 高い成約率を実現する成約支援組織に裏付けされた成約力

成約支援組織を内製化し、採用力、組織開発力、テクノロジーを活用することで高い成約率を実現しております。特に、新卒・中途採用における高い人材採用力と、入社後の成果状況を鑑みた採用活動の高速PDCAを強みとし、組織拡大に伴う組織開発にも注力し、高い定着率を維持しております。

 

④ マルチチャネルマーケティングによる集客力

集客に特化した自社プロダクト群とWEBマーケティングのノウハウにより、広範な集客チャネルを展開し、大量の見込み客の獲得を可能とする高い集客力を保持しております。また、成約支援組織を通じた高い成約力があるため、ユーザー数が多く集客コストが低い潜在層からも集客が可能であり、単一チャネルへの依存度を低減し事業リスクを軽減しています。普遍性の高い非日常領域のコンテンツに投資することで、安定的な集客と継続的なアクセスを確保しております。

 

⑤ 成約件数の最大化が競争優位性につながるボリュームインセンティブ型の市場構造

当社が展開する成約支援事業は、成約件数が増加することで市場でのプレゼンスが向上し、結果として成約単価の上昇につながる市場構造を持っています。成約単価の上昇は集客施策の許容CPA(顧客獲得単価)を上げ、市場における競争力をさらに高める好循環を生み出しております。

 

(4) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループは、株主価値向上のため、中長期的にはROE(自己資本利益率)を最大化していく方針でありますが、短期的には売上を増加させ利益を安定的に出す体制を構築することに注力しております。2024年3月期から収益のポートフォリオ化を成長戦略の一つとし、主にエネルギー領域において1成約ごとにショット型で収益が発生するショット型契約での成約件数を増やすとともに、ユーザーの利用状況に応じて毎月収益が発生するストック型契約の成約件数の積み上げを行っており、継続的な利益成長の蓋然性向上に努めております。そのため、現在は売上収益及びEBITDA(営業利益+減価償却費+固定資産除却損及び評価損益+株式報酬費用)に加え、将来利益(1件の成約によって将来生まれる総利益)を経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等として取締役会等でモニタリングを行っております。

また、当社グループは、2026年3月期を初年度とする5ヵ年の中期経営計画を推進しており、最終事業年度である2030年3月期には、売上収益800億円、EBITDA130億円の達成を目指しております。

 

(5) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当社グループの経営方針及び経営戦略を実行していくうえで、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題は以下のとおりであります。

(特に優先度の高い対処すべき事業上及び財務上の課題)

① 認知度の向上とユーザー数の拡大

当社グループが持続的に成長するためには、当社グループのサービスの知名度を向上させ、ユーザーの意思決定までに必要な良質な情報を提供することで新規ユーザーを継続的に獲得し、ユーザー数を拡大していくことが必要不可欠であると認識しております。そのためには、効果的な広告宣伝活動等により当社グループの知名度を向上させること、また既存プロダクトにおいてユーザーの立場に寄り添った良質な情報を蓄積していくことや、様々な角度からユーザーニーズを満たすべく複数プロダクトを展開することにより認知度の向上とユーザー数の拡大に努めてまいります。

 

② 成約支援組織の拡大及び生産性の維持

当社グループは、WEBマーケティングによって集客したユーザーを洗練させた成約支援組織による意思決定支援を行うことで成約につなげております。成約件数を増加させるためには、成約支援組織の人員数を拡大させながら、1人当たりの生産性を低下させない成約支援組織の構築が必要であると考えております。高い成約率と生産性を維持、向上させる体制構築のために、AIをはじめとしたテクノロジー活用による生産性向上、採用体制強化による組織力向上や、独自の教育体制による成約率維持向上に取り組んでまいります。

 

③ M&A等の事業投資の活用

新規事業やサービスの拡大のため、M&A等の事業投資の実行による成長の実現が重要であると考えております。M&Aを行うにあたっては、投資効果はもちろん、対象事業等の将来性や当社グループが展開する成約支援事業とのシナジーをはじめとした相乗効果を十分に検討した上で、事業領域の拡大と業績の向上に繋がるよう進めてまいります。また、エネルギー領域においては、総成約件数の最大化を更に加速させるために、資本業務提携形式によるロールアップ戦略も積極的に実行することで、多角的なアプローチによるシェア拡大を図っております。このような事業投資を通じて企業価値向上と、当社グループの総成約件数の最大化を目指してまいります。

 

④ 内部管理体制及び内部統制の強化

当社グループは、中期経営計画に基づく、積極的な事業投資やM&A等により、事業・組織規模を急速に拡大させております。今後も積極的で適正なリスクテイクを行い、持続的な成長を実現するためには、内部管理体制及び内部統制の継続的な強化が必要であると考えております。第14期においては、グループ内部通報制度を導入し、リスク情報の早期把握と適切な対応を図る体制を整備いたしました。また、インサイダー取引防止等、各種コンプライアンス順守のためのオペレーションについても、その適切な運用状況を確認しており、内部管理体制のリスクは低減傾向にあると認識しております。

また、企業集団の拡大に合わせ、グループ会社管理やリスクマネジメントに関する規程を充実化させ、各社の役員への研修も実施してまいりました。さらに、リスク管理委員会配下に当社の重要事項に関するワーキンググループを設置し、専門的な議論や施策の実施を推進しております。今後も、グループ全体で業務の適正を確保し続けるべく、迅速で網羅的なリスク情報の把握と内部統制への反映、監査等委員会・内部監査によるモニタリングの徹底、役職員への研修の充実化等をグループ全体で実施し、企業集団、組織、事業の規模拡大に合わせ、より強固で実効性の高い内部統制体制の構築に努めてまいります。

 

⑤ 優秀な人材の確保と育成

当社グループは、新卒、中途両面から積極的な採用活動を行い人材を確保しており、事業成長を牽引しております。今後も持続的な成長を実現するためには、優秀な人材を確保・育成し人的資本を拡充させ続けることが重要であると考えており、当社グループでは「人的資本マネジメント方針」を策定しております。同方針では、当社の経営戦略を実行し、中期経営計画を達成すること、ひいてはパーパスを体現する上で必要となる「6つの重要指標」を特定しており、それぞれ目標を定め、各種施策に取り込んでおります。また、リスク管理体制の一環として、リスク管理委員会の配下に人事労務に関するワーキンググループを設置し、人材の育成や労務に関するリスクの把握、対応方針の策定、進捗状況のモニタリング等を行っております。引き続き、同方針に従い、積極的な採用活動と当社グループの経験とノウハウに基づく多様かつ有益な研修の実施や各種人事施策を展開することで、継続的に人材の確保・育成に取り組んでまいります。
 

(その他の優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題)

① 継続的な事業の創出

インターネット関連事業は、サービス等の新陳代謝が激しく、一般的にプロダクトライフサイクルが短い傾向にあります。こうした環境の中で継続的な成長を実現するためには、既存事業の成長を図るだけではなく、様々な新規事業の開発が重要であると考えております。

当社グループは、就職系プロダクト「キャリアパーク!」で構築したビジネスモデルを水平展開及び垂直展開させることで、事業を拡大してまいりました。今後も中長期の競争力確保に繋がる事業開発のノウハウの蓄積を積極的に行い、継続的に新規事業の開発に取り組むことで、将来にわたる持続的な成長につなげてまいります。

 

 

② 情報セキュリティの強化

当社グループにおいては、事業規模の拡大に伴い、保有するユーザーの個人情報や顧客情報が年々拡大しております。当該情報は当社グループの重要な経営資源の一つであり、各種営業機密を適切に保護・管理することが持続的な成長のために不可欠であると考えております。これらの情報資産を適切に管理し、セキュリティリスクを低減するため、情報セキュリティ基本方針を定め、情報セキュリティ対策への積極的な投資を行うとともに、リスク管理委員会の配下に情報セキュリティに関するワーキンググループを設置し、定期的なリスク評価と対策の見直しを実施し、情報セキュリティ体制の適正化を図っております。引き続き、事業・組織規模の拡大、社会的・技術的な動向に合わせ、適切にセキュリティ管理体制を強化し続けてまいります。

 

③ 技術革新や事業環境の変化への対応

近年の生成AIの急速な発展に伴い、社会全体で劇的な技術革新が進行しており、事業環境はめまぐるしく変化しております。その潮流にプロダクト開発はもとより、管理部門などを含め組織全体で迅速かつ適切に対応していくことが、持続的な成長と競争力維持のために不可欠だと捉えています。

このような認識のもと、当社グループでは、常に最新の技術動向や社会の変化を幅広く把握できる体制を構築し、事業部においては各プロダクトの利用価値を継続的に高めるための技術革新を推進してまいります。例えば、エネルギー領域においては、市場環境の変化に応じて、電力・ガス事業者による新規顧客獲得ニーズや成約単価が変動する状況に迅速に対応し、マーケティング投資の最適化やストック型契約の積み上げなど、柔軟な事業運営を行っております。

さらに、管理部門においても生成AIなどの最新技術の活用を積極的に検討・導入し、専門性の高い分野においても積極的に業務効率化や高度化を図ってまいります。

人の生活にとってなくてはならない就職やエネルギーといった領域において、多くのユーザーとアクセスログを有する当社グループにとって、これらのデータを活用した技術革新を継続するとともに、組織能力の向上と業務効率化を図る改革や透明性の高い強固な管理体制の構築を行っていくことが事業成長の重要な推進力となると考えております。

 

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組みは、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) サステナビリティに関する考え方

当社グループは、「社会的負債を、次世代の可能性に。」をパーパスとしております。社会が今を優先した結果、これまで積み重ね、残してきた“負債”を100年後の次世代に課題として引き継ぐのではなく、自らが解決すべき社会課題を特定し、提言から実行まで、テクノロジー×リアルで推進し、解決に導くことをグループの目的としております。

そのため、当社グループのコーポレート・ガバナンスに関する最重要規律であるコーポレート・ガバナンス・ガイドラインの中で、パーパスに従い、当社事業領域における社会課題に対して積極的にそれらの解決を目指すことは当然とし、その上で、当社及び当社経営環境を支えるマルチステークホルダー、また産業や社会の持続可能性を十分に考慮し、当社の存在意義の証明を目指すと定め、これをサステナビリティに関する基本方針としております。

コーポレート・ガバナンス・ガイドラインの詳細につきましては当社HPよりご確認ください。

(https://www.theport.jp/ir/assets/pdf/corporat_governance_guidelines.pdf)

 

(2) ガバナンス

(a) サステナビリティに関する取締役会の関与の在り方

当社では、「社会的負債を、次世代の可能性に。」というパーパスのもと、上記「サステナビリティに対する考え方」で示すとおり、取締役会はサステナビリティに関する取り組みを取締役会における最も重要なテーマの一つとして認識しております。そのため、取締役会はサステナビリティ委員会の活動を監督するとともに、指名委員会と連携し、取締役候補の選任にあたり、コーポレート・ガバナンス委員会によって作成された経営評価やパーパスへの適合状況などを重要な評価軸の一つとして設定しております。なお、サステナビリティ施策への取締役会の具体的な関与として、サステナビリティ委員会の構成員の選解任の決定、サステナビリティに関する方針及び予算の決定、委員会に対する活動状況の報告によるモニタリングの義務化などを実行しております。

 

(b) サステナビリティに関する規律設計

当社ではサステナビリティに関する基本方針を「コーポレート・ガバナンス・ガイドライン」に規定しております。「コーポレート・ガバナンス・ガイドライン」は、当社グループのコーポレート・ガバナンスに関する最重要規律であり、当ガイドラインの改定については取締役会の決議を必要としております。加えて、当ガイドラインの改定をした際には、速やかに各ステークホルダーへ開示することを義務化しております。これにより、当社のサステナビリティに関する取り組みの健全性・透明性を確保しております。

 

(c) サステナビリティ施策を推進する体制

当社グループは、コーポレート・ガバナンス・ガイドラインのもと、サステナビリティに関する方針案の策定や推進責任を持つ機関として、取締役会直下にサステナビリティ委員会を設置しております。サステナビリティ委員会は、取締役会によって選任された取締役及び執行役員によって構成されております。

サステナビリティ委員会では、取締役会が決定するサステナビリティに関する方針の策定案の審議をはじめ、マテリアリティの特定とマテリアリティに基づき取り組むべきテーマやプロジェクトを設定しております。また、取締役会より、サステナビリティ投資に係る予算の一部執行権も委譲されております。

具体的な施策の実行にあたっては、設定されたテーマやプロジェクトに従い、サステナビリティ委員会によって、それぞれワーキンググループを直接任命し、委員会の指揮命令のもと予算が執行され、施策の執行状況を監督いたします。

加えて、当委員会が起案するプロジェクト等以外にも業務執行部門が担う諸活動の中で、サステナビリティ方針と関連性の高いプロジェクト等に関しても活動状況の報告を求めるとともにその執行状況を監督いたします。

なお、サステナビリティ委員会は、ワーキンググループを含む委員会の運営状況を、取締役会に遅滞なく報告することを、同委員会規則に定めております。

 

サステナビリティガバナンス体制図


 

なお、当社のコーポレート・ガバナンス全般については「第4 提出会社の状況 4コーポレート・ガバナンスの状況等」をご参照ください。

 

 (d) 当社のマテリアリティ(最重要課題)

当社は「社会的負債を、次世代の可能性に。」というパーパスを掲げております。このパーパスを実現するため、下記、1~4の手順に沿って、マテリアリティ(最重要課題)を特定しております。

 

1.当社におけるマテリアリティの位置づけを定義

当社グループはパーパス自体が、企業・社会等のサステナビリティの実現を志向しており、概念として内包されていると考えられることを踏まえ、当社における「マテリアリティ」の位置づけを定義しております。

 

2.価値創造の各プロセスにおいてリスクを抽出

当社のパーパスに基づく価値創造の各プロセスにおいて、その阻害要因になるリスクをリスク管理委員会にて作成したリスク分類表から抽出し、当該リスクに対する対応をまとめました。

 

3.リスクの対応を検討及び評価

サステナビリティ委員会にて議論を重ね、リスクの対応を評価し、当社としてのマテリアリティ案としてまとめました。

 

4.マテリアリティの特定

取締役会にてサステナビリティ委員会の案をもとに審議し、当社が取り組むべきマテリアリティの特定をおこないました。

 

 

特定された6つのマテリアリティ及び取組み

マテリアリティ

説明

取り組み

迅速果断で規律ある挑戦のためのガバナンス体制の構築

パーパス実現のためには、継続的な迅速果断な挑戦が必要です。そしてその挑戦は無謀ではなく、規律あるものである必要があります。透明性と公正性を確保するすることで、多様なステークホルダーとの良好な信頼関係の構築を実現し、経営陣による適切で積極的なリーダーシップの発揮を可能にする仕組みとしてガバナンス体制を構築し続けます。

経営意思決定の規律の制定・運用・監視

透明性のあるディスクロージャー

 

安心安全な事業運営のためのリスク管理体制の強化

持続的な成長のために、限りある経営資源を保全し、有効かつ効率的に運用するため、そして、安心安全な事業運営を進めるため、リスク管理・内部統制を継続的に強化改善してまいります。

 

情報セキュリティの強化

防災・BCP

 

競争力の核となる人材の拡大と強化

当社グループにとって「人」こそ最重要経営資源であり、競争力の核となるものです。多様な人材を確保し、それぞれが、生き生きと自身の才能を存分に発揮できる環境・体制を整備いたします。

キャリア教育・投資DEI推進

多様な働き方の用意健康管理・ウェルネス経営

産業・業界の持続的発展への貢献

産業・業界の発展は当社の持続的な成長に寄与します。当社は、企業価値の向上ひいてはパーパス実現のために、効率化支援や人材の供給を通じて産業・業界の持続的発展に貢献します。

産業・業界の拡大・効率化支援

産業・業界への人材の供給

人権の尊重

社会の安定と持続的発展のためには、基本的な権利である人権の尊重が欠かせません。「人」を中心とした事業を営む当社だからこそ、誰よりも人権の重要性を理解し、リーダーシップを発揮をしてまいります。

人権DD

地球環境に対する責任と取組み

地球環境の保全は、地球に生きる我々人類の責任であり、また人類社会の発展のための必要条件であると考えます。事業活動を通じて排出される温室効果ガスを削減していくとともに、グリーンエネルギーの利用促進、エネルギー関連新規事業の開発等、社会全体のカーボンニュートラルに向けて貢献してまいります。

CO2排出量の削減

再エネ創出量拡大・安定化

 

 

なお、サステナビリティ委員会では当社を取り巻く社会情勢や事業の状況を鑑みて、継続的に議論しマテリアリティ及び取り組みの見直しを実施してまいります。マテリアリティの変更があった場合には速やかに、ステークホルダーの皆様へ向け開示いたします。

 

(3) 人的資本に関する戦略並びに指標及び目標

(a) 人的資本に関する考え方

当社は持続的な成長率を実現するために、役職員及び組織の成長が欠かせないと認識しております。人的資本投資は経営戦略の実行に不可欠な投資行為であり、またその向かうべき方向は経営目標の達成にあると考えます。

そのため、原則、中期経営計画等の中長期における経営目標や経営戦略の実現に不可欠な組織及び組織構造を形成させることを目的として、「人的資本マネジメント方針」を策定しております。

現在公表している方針に関しては、中期経営計画等の達成可能性及びその後の非連続成長の可能性を高めるために効果的、効率的な投資計画であるかを判断軸としております。

 

 

(b) 人的資本に関する戦略及び指標
<戦略>

当社は「社会的負債を、次世代の可能性に。」をパーパスとして、労働人口減少社会という社会課題に対して、「採用支援」と「販促支援」の2軸からなる成約支援事業を展開しております。2025年3月期現在においては、第2期中期経営計画を進行させており、2026年3月期において売上収益250億円、EBITDA40億円の達成、加えて、早期に社会課題の解決に寄与するソーシャルインパクトを実現すべく、当社では、CAGR30%を持続的に確保する方針を取っております。当該目標の実現に向けて、「人的資本マネジメント方針」では人的資本における6つの重要指標を特定しております。

2026年3月期を最終年度とする当社中期経営計画の達成に向けては、今後急激な組織規模の拡大が予想されます。「健全な急成長」を実現するため、人的資本の確保とその活性化を有機的に連携させるべく、6つの指標においては人材育成・人材開発のソリューションを具体化し、実効性を確保しております。また人的資本の投資状況に関しては半期に一度取締役会でモニタリングしております。


 

 

<重要指標及び選定理由>

以下を重要指標と位置付け、人的資本への投資を行ってまいります。

重要人的資本指標

選定理由

①FTEベースでの人的資本充足率

中期経営計画の達成にあたって人材獲得競争の激しい中でも継続的に人的資本を確保し続けることは当社の最重要課題である。働き方や価値観の多様化を踏まえ、当社では単純な人数ベースではなく、FTEベースでリソースの充足率を評価することが適切と判断し、重要指標とする。

②重要ポジションの充足率

業績拡大にあたり、迅速かつ果断な意思決定を支える体制づくりの一つとして、積極的な権限委譲を行っている。その委譲先の中核である執行役員や部長は当社の事業推進及びリスクマネジメントにおいて重要ポジションであると判断し、その充足率を重要指標とする。

③女性管理職比率

従業員への持続的なキャリア形成・能力開発の機会を提供することは中期経営計画実現のために肝要であるが、特に当社は女性社員が全体の約40%を占めており、各役職・レイヤー、特に全体への影響の大きい管理監督者における女性比率を重要指標とする。

④管理監督者の充足率と内部登用率

健全な急成長には適時適切な管理監督者の配置が重要であると考える。また当社は新卒採用等により若手人材を積極的に採用していることも踏まえ、当該若手人材を育成し、持続的に管理監督者を輩出し続ける体制が重要であると認識し、充足率と内部登用率を重要指標とする。

⑤マネジメントへの信頼度スコア

組織が拡大していく中においても、経営の意思、価値観を十分に浸透させていくためには、マネジメントへの信頼が欠かせず、パルスサーベイによる当該項目の指数を重要指標とする。

⑥複合的エンゲージメントスコア

従業員の定着及びパフォーマンスの向上のためには、「働きがい」のある職場を形成することが重要であり、パルスサーベイ上、特に当社においては定着、活性化等に相関性が高いと評価できる複数のスコアを重要指標とする。

 

 

(c) 各指標の目標と現状
(ⅰ)①FTEベースでの人的資本充足率、②重要ポジションの充足率

FTEベースでの人的資本充足率は、2025年3月期に目標水準に達しております。重要ポジションの充足率についても、順調に計画に対して目標水準に上がってきております。引き続き計画達成及びその後の持続的な企業価値向上に向け、必要人的資本の獲得及び教育体制を充実化させ、各ポジションにおける資本充足率を計画達成のために必要な水準に上げてまいります。


 

(ⅱ)③女性管理監督者比率、④管理監督者の充足率、内部登用率

2017年度よりリーダー育成プログラムである「PORT DOJO」を推進しており、その育成の効果として若手人材の管理監督者への内部登用率を高い水準に維持できております。またその結果、管理監督者の充足率も目標水準に達しております。引き続き組織規模拡大に合わせ、次期リーダー候補の育成に取り組みつつ、従業員の40%が女性社員であることも踏まえ、女性管理監督者の比率を2026年3月期までに30%に引き上げていくことを目標としております。これにより経営陣をはじめ各レイヤーにおける女性比率の向上に向けた基盤の拡大を目指します。


 

(ⅲ)⑤マネジメントへの信頼度スコア、⑥複合的エンゲージメントスコア

当社では月に一度、全従業員に対するエンゲージメントパルスサーベイを行ってます。2022年3月期においては、同サーベイを利用する企業の平均的なスコアでしたが、人材育成プログラムへの積極的な投資や上司部下による面談機会の充実化、福利厚生をはじめとした働く環境整備などの施策を継続的に実施することにより、2025年3月期では各種スコアは向上しております。これらの施策に加え、サーベイ結果を詳細に分析し、その内容に応じた施策を実施することで、2026年3月期においては、両指標ともに「85」を目指してまいります。


 

(4) リスク管理

(a) 価値創造プロセスとリスク

当社グループは「社会的負債を、次世代の可能性に。」という、社会課題の解決に直結したパーパスであるからこそ、価値創造に努めることで、サステナブルな社会の実現につながると認識しております。

当社グループの価値創造プロセスは二つのループで成立していると考えております。一つ目は、積極的な投資を通じた事業の拡大によって、社会に対する提供価値(社会的インパクト)を拡大させ、対価としての収益を再投資することでさらに事業、そしてその社会的インパクトを拡大させる「ビジネスループ」。二つ目は、社会的インパクトによって、当社が属する産業や社会の発展に寄与し、産業・社会の発展の結果として顧客やユーザー等の社会関係資本を中心とした当社の資本拡大に寄与する「サステナビリティループ」です。

この二つのループの強化により、さらに提供可能価値を拡大させつつ、各ステークホルダーとの連携・還元により当社グループ及び社会の持続的な発展に寄与することが当社グループのパーパス実現のための価値創造プロセスです。

 

この価値創造プロセスの循環にあたっては、以下の5つの要素がそれぞれ適切に機能することが重要です。

1.資本拡大から事業拡大

2.事業拡大から社会的インパクト

3.社会的インパクトから資本拡大

4.社会的インパクトから産業・社会の持続的発展

5.産業・社会の持続的発展から資本拡大

超長期的な視点で、当該価値創造プロセスの正常な循環を阻害しうる重大なリスク事項こそ、当社が取り組むべき最重要課題(=マテリアリティ)であり、サステナビリティに関するリスク管理の対象であると考えております。


 

 

(b) リスク管理体制の分類

当社グループはグループを取り巻くあらゆるリスクに対して、包括的かつ多面的に分析し、対処するため、各リスクの時間的特徴と、対応の視点に応じて複数の委員会にてそれぞれ中心的に議論する体制を整備しております。

特に、短中期的な時間軸と、超長期的な時間軸とでは、リスクの重要性評価が必ずしも一致しないという点から、短中期的な経営目標の達成に対するリスクの議論は内部統制委員会、リスク管理委員会で実施し、超長期的な企業、社会の持続性に対するリスクの議論はサステナビリティ委員会でそれぞれ中心的に実施することとしております。そのうえで、各委員会の情報連携を強化することで包括的かつ多面的なリスク管理を実現しております。


なお、短・中期的なリスク管理に関する詳細は「第2 事業の状況 3事業等のリスク」をご参照ください。

 

3 【事業等のリスク】

当社グループの事業展開上、リスク要因となりうる主な事項を記載しております。また、当社グループは、リスク管理委員会におけるリスクアセスメントの結果のうち投資家の投資判断に影響を及ぼす可能性のある事項について積極的に開示していく方針であり、透明性を重視しております。当社グループはこれらのリスク発生の可能性を認識した上で、その発生の予防及び発生時の対応に努める方針でありますが、当社グループの経営状況及び将来の事業についての判断は、以下の記載事項を慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。

なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) リスクマネジメント方針

当社グループはパーパスである「社会的負債を、次世代の可能性に。」を実現するため、そしてグロース企業として、持続的な成長を実現するため、積極的なリスクテイクが必要であると考えており、事業投資、人的資本投資、M&A等、投資活動を継続して行っております。

今後も積極的な挑戦を継続して行うために、適切なリスク管理を通じて、リスクとリターンのバランスを見定め、リターンに対してリスクを最小化していくことが肝要であると認識しております。

そのため、当社グループでは「PORTグループリスクマネジメントガイドライン」を策定し、当社グループのリスク管理に関する基本方針として、

(a) リスクとリターンのバランスを考慮し、リスクの最小化に向けた努力を徹底すること

(b) 実効性のある対処を追求すること

(c) 透明性あるディスクロージャーを心がけること

を定めております。

また、具体的な実務指針として、グループ全体のリスク管理を行うリスク管理委員会を設置し、当該委員会に置いて実施されたリスクアセスメントの結果をステークホルダーへ透明性高くディスクローズすることを定めております。加えて、グループ各社においても毎年定期的にリスクアセスメントを実施し、リスク管理委員会に報告することとしております。また、リスク管理委員会には社外取締役が構成員として関与し、取締役会による監督機能を確保しております。

 

(2) リスク管理の実効性と透明性を確保するための体制

(a) リスク情報を適時適切に収集する情報集約システム

実効性の高いリスク管理のためには、リスク事項、インシデント等の情報を迅速に集約し、適時適切にリスク管理及び内部統制システムを再構築し運用することが肝要であると認識しております。

当社では、インシデント等の情報を集約し、内部統制システムを再構築するための体制として、

 

1.内部通報ホットライン制度の充実化

2.リスク管理委員会・コンプライアンス委員会・内部監査室の量的質的な基準に基づく情報連携

3.インシデント発見者への委員会等への報告の義務化

4.内部監査室から内部統制委員会への、コントロールの運用状況・評価の情報連携

5.内部監査室から、取締役会・監査等委員会へのデュアルレポートラインの確保

 

を行っております。これにより当社のあらゆるインシデント情報が目詰まりなく集約され、リスク事案の把握、具体的なコントロールの実施、コントロールの効果の評価を一貫して適時適切に実施できるものと考えております。

 

 


 

(b) リスク評価及びディスクロージャーの透明性を確保するためのプロセス

当社ではリスク管理委員会において、グループ全体のリスク分類表を作成し、少なくとも年に1度、各リスク項目、その評価及びコントロールの見直しを行いリスク分類表を更新しております。2025年5月現在では事業環境や社会情勢を踏まえ、167のリスク項目(小カテゴリ)を抽出し、各リスク項目を「発生可能性」と「影響度」の2軸で評価しております。

「発生可能性」と「影響度」はそれぞれ、上述の情報集約システムによって集約された情報等に基づき、4段階で評価し、最終的に各リスク項目に対して重要性を5段階で分類しております。重要度評価が4以上のリスク項目を重点リスクとして識別し、各リスク項目(小カテゴリ)のグルーピングを行ったうえで、リスク管理委員会での審議を踏まえ、経営・事業等を取り巻く重要なリスクとして開示しております。

 

リスク管理プロセス


 

リスク対応表


 

(3) 経営・事業等を取り巻くリスクとその分析

当社のリスクアセスメントプロセスに基づき、開示すべき重要なリスクとして識別したリスク項目は以下のとおりです。なお当社リスク管理委員会が重要度が高いと判断したリスク項目の順に記載しております。

 

1.買収・投資活動等に伴うリスク(重要度:上昇)

当社グループは、事業領域の拡大、新規事業への参入、技術力・ノウハウの獲得、事業シナジーの創出などを目的として、M&Aや資本提携、事業投資などの投資活動を積極的に行っております。今後も、これらの活動を継続していく方針です。これらの買収・投資活動においては、対象となる企業や事業について、ビジネスモデル、財務状況、法務関連、技術、運営体制など多岐にわたる詳細なデューデリジェンスを実施し、潜在的なリスクの低減に努めております。

しかしながら、デューデリジェンスにおいて完全に把握しきれない偶発的な事象が買収・合併・吸収後に発生または顕在化する可能性や、PMIが計画通りに進捗せず、組織文化の衝突、従業員の離反、システム統合の遅延、事業戦略の不整合などが生じる可能性があります。これにより、当初期待したシナジー効果や事業成長が実現できず、当社グループの事業運営や経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

2.技術革新等のリスク(重要度:上昇)

当社グループが事業展開しているインターネット関連市場は、技術革新や顧客ニーズの変化のスピードが非常に速く、インターネット関連事業者はその変化に柔軟に対応する必要があります。近年、特にエマージングテクノロジーの代表格であるAI技術、中でも生成AIの進化は目覚ましく、その影響は広範囲に及んでいます。このような急速なIT技術革新は、当社の主力事業である成約支援事業におけるWebマーケティングや成約支援組織の競争優位性を大きく低下させる可能性があります。当社グループは、このような状況を踏まえ、最新のエマージングテクノロジーの動向や市場の変化を常に把握するための情報収集体制を強化し、生成AIをはじめとする先端技術の事業応用可能性を積極的に検証しております。また、競争優位性を維持・強化するため、優秀な人材の戦略的な確保と育成、組織体制の最適化を図り、技術革新や顧客ニーズの変化に迅速に対応できる能力の向上に努めております。

しかしながら、急速な技術革新や顧客ニーズの変化に対し、当社グループが適時かつ十分な対応をとることができない場合、既存の事業競争力の低下や新規事業機会の逸失につながる可能性があります。当社グループは、エマージングテクノロジーの動向を注視し、リスクを低減するための対策を継続的に講じてまいりますが、その影響を完全に排除できるとは限りません。

 

3.内部管理体制のリスク(重要度:低下)

当社グループは、持続的な成長と企業価値の向上を目指し、事業投資やM&A等による事業・組織規模の拡大を推進しております。事業規模の拡大に伴い、グループ全体の内部管理体制及び内部統制の強化は、経営上の重要な課題と認識しております。第14期においては、グループ内部通報制度を導入し、リスク情報の早期把握と適切な対応を図る体制を整備いたしました。引き続き、グループ全体で業務の適正性を確保するため、迅速かつ網羅的なリスク情報の把握と内部統制への反映、監査等委員会・内部監査によるモニタリングの徹底、役職員への研修の継続的な実施など、グループ全体で内部統制の強化に努めてまいります。

しかしながら、事業規模や組織が拡大する中で、内部管理体制及び内部統制システムの構築・運用が十分に行き届かない場合や、新たなリスクが顕在化する可能性は否定できません。そのような場合、当社グループの事業運営や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

 

人材の確保及び育成のリスク(重要度:上昇)

当社グループは、持続的な成長の源泉として人材を最も重要な経営資源と位置づけ、新卒・中途採用を積極的に推進し、事業成長を牽引しております。今後も成長戦略を着実に実行し、企業価値を持続的に向上させていくためには、優秀な人材の確保と育成、そして人的資本の更なる拡充が不可欠であると考えております。

このような認識のもと、当社グループでは「人的資本マネジメント方針」を策定し、経営戦略の実行、中期経営計画の達成、ひいてはパーパスの実現に必要となる「6つの重要指標」を特定し、目標設定と各種施策に取り組んでおります。また、リスク管理体制の一環として、リスク管理委員会の配下に人事労務に関するワーキンググループを設置し、人材の育成や労務に関するリスクの把握、対応方針の策定、進捗状況のモニタリング等を行っております。

しかしながら、事業拡大に伴い採用人数が増加している状況において、必要な人材を必要な時期に確保できない場合、あるいは採用した人材が期待する能力や適性を十分に発揮できない場合、組織力の低下や事業計画の遅延を招き、競争力の低下や事業拡大の制約要因となる可能性があります。また、人材育成が計画通りに進捗しない場合にも、組織全体の能力向上や事業への貢献が遅れ、当社グループの事業及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

5.法的規制に関するリスク(重要度:変化なし)

当社グループが行う事業活動においては、様々な法的規制の適用を受けます。特に、個人情報保護法、不正アクセス禁止法、下請代金支払遅延等防止法、不正競争防止法に加え、近年その重要性が増しているマーケティング活動に関連した法務に関する規制を遵守する必要があります。

このような状況を踏まえ、当社グループでは、リスク管理委員会配下にマーケティング法務ワーキンググループを設置し、インターネット広告、コンテンツ表示、知的財産権、景品表示、特定商取引等に関する法令違反のリスク、風評被害、その他コンプライアンス違反のリスクを特定・評価し、対応方針の策定と実施状況のモニタリングを行っております。

当社グループは、これらの法的規制を含む各種法令を遵守するため、役職員への定期的な研修を実施するとともに、法務部門を中心とした遵守体制の整備・強化に努めております。また、事業内容や法規制の変更に迅速に対応するため、外部専門家との連携も強化しております。

しかしながら、今後の法令改正や新たな規制の導入、あるいは当社グループの事業活動が予期せず規制の対象となる可能性、また、従業員による法令違反や不適切な行為が発生する可能性は否定できません。特に、高リスクと認識している上記項目に関する違反が発生した場合、当社グループの事業運営の停止、行政処分、損害賠償請求、信用失墜等につながり、業績及び経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。

 

6.情報セキュリティに関するリスク(重要度:変化なし)

当社グループは、成約支援事業において付加価値の高いサービスを提供しており、情報は事業運営における最も重要な資源の一つであると認識しております。そのため、情報セキュリティの確保は経営上の最重要課題の一つと位置づけ、その強化に継続的に取組んでおります。

当社グループは、サービス提供にあたり、お客様の個人情報を含む多くの重要な情報資産を保有しております。これらの情報資産を適切に管理し、セキュリティリスクを低減するため、情報セキュリティ基本方針を定め、情報セキュリティ対策への積極的な投資を行うとともに、リスク管理委員会の配下に情報セキュリティに関するワーキンググループを設置し、定期的なリスク評価と対策の見直しを実施し、情報セキュリティ体制の適正化を図っております。特に、個人情報の管理については、漏洩、不正利用、改ざん等の防止を事業運営上の最重要事項と捉え、個人情報保護規程及び情報システム管理規程に基づき厳格に管理しております。プライバシーマークの維持に加え、全従業員を対象とした定期的なセキュリティ研修を実施し、「個人情報の保護に関する法律」及び関連法令、並びに当社グループに適用される関連ガイドラインの遵守を徹底しております。

しかしながら、当社グループの役職員や委託先関係者による不注意や不正行為、あるいは高度化する悪意を持った第三者によるサイバー攻撃などにより、情報資産が外部に流出する可能性は依然として存在します。特に、個人情報や機密情報が漏洩した場合、お客様や関係者からの損害賠償請求、監督官庁からの行政指導、社会的信用の失墜につながり、当社グループの事業継続や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。

 

 

7.個人ユーザー・企業クライアントのニーズの変化に関するリスク(重要度:変化なし)

当社グループの事業展開は、個人ユーザーのサービス利用動向や情報に対するニーズ、そして企業クライアントのマーケティング戦略や広告出稿意欲に大きく左右されます。インターネットの普及と活用シーンの多様化が進む現代において、これらのニーズは常に変化しており、その変化への適応が事業継続と成長の鍵となります。

特に、当社グループのサービス提供やユーザー獲得において、特定のインターネットプラットフォームへの依存度が高い場合、プラットフォーム側の仕様変更や規約改定などが、当社の事業運営や収益構造に直接的な影響を及ぼす可能性があります。また、効果的な宣伝・広告活動はユーザー獲得やサービス利用促進に不可欠ですが、その効果が期待通りに得られない場合、事業成長の鈍化や投資回収の遅延を招く恐れがあります。さらに、特定の企業クライアントへの売上依存度が高い状況は、当該クライアントの経営状況悪化や戦略変更によって、当社の収益基盤を脆弱にするリスクを内包しています。

当社グループは、コンテンツの信頼性確保や多様なマーケティング活動の展開、取引先の分散化などを推進しておりますが、個人ユーザーと企業クライアント双方のニーズの変化に迅速かつ適切に対応できなければ、事業戦略の修正や追加投資が必要となり、事業及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。そのため、常に市場動向や顧客ニーズを注視し、事業ポートフォリオの多様化や新たな収益源の確保を通じて、これらのリスクの低減に努めてまいります。

 

8.財務バランスに関するリスク(重要度:変化なし)

当社グループは、事業規模の拡大、事業投資、M&Aなどを推進するにあたり、自己資金に加えて、資本コストの適正化の観点から金融機関からの借入金等の有利子負債を活用しており、その残高は連結資産合計に対して一定の比率を占めております。現在の金利水準が変動した場合、利息負担の増加により業績に影響を及ぼす可能性があります。また、一部の借入金には財務制限条項が付されており、これらの条項を遵守するために財務状況を継続的にモニタリングしておりますが、将来的に事業環境の急変などにより財務状況が悪化し、当該条項に抵触する可能性も否定できません。

当社グループの財務バランスは、自己資本比率やのれん倍率などの指標によって評価されます。積極的な投資活動やM&Aの実施は、のれんの増加や自己資本比率の低下を招く可能性があり、財務健全性の悪化につながる可能性があります。また、事業規模の拡大に伴い運転資本が増加した場合、資金繰りが逼迫し、資金不足に陥るリスクも考えられます。さらに、当社グループが海外事業や外貨建ての取引を行う場合、為替レートの変動が業績に影響を与える可能性があります。加えて、金利変動は借入コストに、株価や地価の変動は保有資産の評価や資金調達に影響を及ぼす可能性があります。

これらの財務バランスに関するリスクに対し、当社グループは、金融機関との良好な関係を維持・強化し、事業拡大に必要な資金調達の安定化を図るとともに、金利変動リスクを低減するための対策を講じております。また、投資やM&Aの際には、財務状況への影響を慎重に評価し、資金使途を精査した上で実行する方針です。運転資本の効率的な管理を徹底し、資金繰りの安定化を図るとともに、為替変動リスクに対しては、必要に応じてヘッジ取引を検討いたします。株価や地価の変動についても、市場動向を注視し、適切な対応を検討してまいります。

しかしながら、予期せぬ市場環境の変動や事業計画の遅延などにより、財務バランスが悪化し、経営成績や資金繰りに悪影響を及ぼす可能性は否定できません。

 

 

9.景気の動向等のマクロ環境に関するリスク(重要度:変化なし)

当社グループの事業活動は、景気の動向をはじめとする外部環境の変動から大きな影響を受ける可能性があります。景気後退や経済危機が発生した場合、企業の広告宣伝費が削減される傾向が強まり、当社のインターネット広告収入の減少につながる可能性があります。

加えて、インターネット広告市場や関連サービス市場全体の成長が鈍化したり、市場ニーズが急速に変化したりする中で、当社グループが適切な対応を取れなければ、競争力の低下や新たな事業機会の逸失につながる可能性があります。技術革新による新たな競合の出現も、市場シェアの低下や収益性の悪化を招く要因となり得ます。さらに、予期せぬ自然災害、感染症の流行、地政学的なリスクの高まりといったマクロ環境の変動は、経済活動全般に深刻な影響を与え、当社の事業活動や顧客企業の事業活動を停滞させ、サービス利用の減少や広告出稿の抑制を通じて、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

このようなリスクに対応するため、当社グループは市場動向や景気変動に関する情報を注視し、事業ポートフォリオの多様化やコスト構造の最適化を図るとともに、リスク分散の観点からグローバル展開なども視野に入れ、外部環境の変化に柔軟に対応できる経営体制の構築に努めてまいります。

 

10.特定人物への依存に関するリスク(重要度:変化なし)

当社の代表取締役である春日博文は、当社設立以来、当社グループ事業に深く関与しており、また成約支援事業におけるコアコンピタンスであるWebマーケティング及び成約支援組織による運営に関する豊富な知識と経験を有していることから、経営戦略の立案や遂行に関して重要な役割を担っております。

当社グループは、適切に取締役会等の意思決定機関を運営し、事業成長を牽引できる経営人材を育成するため、グループの経営陣としての意思決定における基本方針として「経営判断ポリシー」及び「PORTグループ役員行動規範」を定めているほか、経営陣への定期的な役員研修の実施を取締役会規程等で義務付けております。

また今後もグループ拡大に合わせ積極的に権限委譲可能な経営人材を継続的に輩出できるよう、当社では、経営陣の一角である執行役員及びグループ会社の役員を会社法上の重要な使用人に相当するもの(「重要な使用人等」)と位置づけ、その選任及び教育方針を当社指名委員会の審議事項として定めており、同氏に過度に依存しない経営体制の整備を進めております。加えて、代表取締役に緊急事態が発生した場合のエマージェンシー体制の決定を行い、当該影響の軽減のための施策を行っております。

しかしながら、現時点で何らかの理由により同氏が長期間の業務を行うことが難しくなった場合は、当社グループの事業及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

11.四半期ごとの業績の変動に関するリスク(重要度:変化なし)

当社グループの人材領域事業は主に新卒就活動者を対象に展開しております。第3四半期以降は企業の採用広報活動が本格化することもあり、当社グループメディアからの送客も増加します。また、エネルギー領域においては、主に電力切替希望のユーザーと小売電気事業者の成約を支援しており、転勤や就職等による引越し等に伴う切替ニーズが大きいことから、毎年3月、4月の成約数が最も多くなっております。そのため年間を通じてグループ売上が平準化されずに、四半期決算の業績が変動する可能性があります。加えて、新卒採用市場において、通年採用化の流れが徐々に発生しており、四半期ごとの業績比重が変化していく可能性があります。なお、当連結会計年度の四半期ごとの業績につきましては、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (2)その他 当連結会計年度における四半期情報等」に記載のとおりであります。

 

12.株価変動に関するリスク(重要度:変化なし)

当社の株価は、市場全体の動向や同業他社の動向を含む様々な外部要因の影響を受け変動するおそれがあります。具体的には、昨今の株式市場全体の状況、景気動向、金利変動、為替レートの変動、地政学的なリスク、自然災害、感染症の流行といった、当社が直接コントロールできない外部要因や、同業他社の株価動向、業界全体の状況などが、投資家の皆様の当社に対する評価に影響を与え、株価変動につながる要因となります。

これらの外部要因による株価変動は、当社の事業活動や財務状況とは直接関係なく発生する可能性があり、株主の皆様の投資判断に影響を与える可能性があります。

 

 

13.許認可等に関するリスク(重要度:変化なし)

当社グループが取得している以下の許認可(登録)につき、本書提出日現在において、事業主として欠格事由及びこれらの許認可(登録)の取消事由に該当する事実はないことを認識しておりますが、今後、欠格事由又は取消事由に該当する事実が発生し、許認可(登録)取消等の事態が発生した場合には、当社グループの事業及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

当社グループが取得している許認可等

 

取得年月

2012年10月1日

許認可等の名称

有料職業紹介事業

所管官庁等

厚生労働省

許認可等の内容

13-ユ-305645

有効期限

2025年9月30日(5年ごとの更新)

 

 

取得年月

2023年7月28日

許認可等の名称

宅地建物取扱事業者免許

所管官庁等

東京都

許認可等の内容

東京都知事(1)第109570号

有効期限

2028年7月28日(5年ごとの更新)

 

 

14.大規模災害等に関するリスク(重要度:変化なし)

地震、台風、津波等の自然災害、火災、停電、未知の感染症の拡大等が発生した場合、当社グループの事業運営に深刻な影響を及ぼす可能性があります。

また、当社グループの事業拠点である日本の首都圏において大規模な自然災害等が発生した場合には、サービスの提供等が止むを得ず一時的に停止する可能性もあり、係る場合、当社グループの信頼性やブランドイメージを毀損するだけでなく、当社グループの事業及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループにおいては、自然災害等が発生した場合に備え、事業継続計画の策定等有事の際の対応策検討と準備を推進しておりますが、各種災害等の発生による影響を完全に防止できる保証はなく、各種災害等による物的、人的損害が甚大である場合には、事業の継続自体が困難又は不可能となる可能性があります。

 

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度の末日現在において、当社グループが判断したものであります。

なお、2024年5月31日付で当社の連結子会社である株式会社ドアーズの全株式をニフティライフスタイル株式会社に譲渡したため、当該事業を非継続事業に分類しております。これに伴い、前連結会計年度の売上収益及び営業利益については、非継続事業を除いた継続事業の金額に組み替えて比較・分析を行っております。

 

(1) 経営成績等の状況の概要

当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

① 経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国経済は、インバウンド需要の回復や雇用・所得環境の改善が進む一方で、歴史的な円安や日銀の利上げ、物価上昇などに加え、不安定な国際情勢を背景とする原材料・エネルギー価格の高騰など、景気の先行きは依然として不透明な状況が続いております。

当社グループの主要市場の一つである新卒採用支援市場においては、企業の新卒・若手層人材に対する採用意欲の回復や採用活動の早期化・長期化、人材獲得競争の激化等により2025年度の市場規模は1,532億円(前期比104.5%※矢野経済研究所「新卒採用支援サービス市場に関する調査(2025年)」)と、2020年のコロナ禍以前を上回る市場規模へと拡大を続けております。また、今後においても、慢性的な人手不足を背景に企業の若年層人材への需要は高まり、新卒及び若年層採用支援サービスへの需要拡大基調であると推測しております。

また、もう一つの主要市場であるエネルギー業界を取り巻く環境においては、2023年6月からの旧一般電気事業者の従量料金値上げ影響に伴った新電力事業者の電気料金値上げや市場連動型の価格プランの導入、ユーザーへの適切な価格転嫁等、価格変動によるリスクヘッジが従来よりも可能な状態となっております。さらに卸電力市場の価格の落ち着き(正常化)もあり、電力・ガス事業者による、円安や資源価格の高騰を起因とした新規顧客獲得抑制は大きく緩和され、電力・ガス事業者の新規顧客獲得需要の改善が見られております。今後においても当社の電力・ガス成約支援サービスへの需要は拡大基調になっていくものと推測しております。

このような環境の中、当社グループにおいては、「社会的負債を、次世代の可能性に。」をパーパスに掲げ、WEBマーケティング×セールスの融合で、企業の経営課題を成果報酬型で解決する成約支援事業を展開しております。

人材領域では、新卒採用企業向けの人材紹介サービスや、人材会社向けのアライアンスサービスを提供しております。国内最大級就活生向け企業口コミ情報プロダクト「就活会議」や、国内最大級の就活ノウハウ情報プロダクト「キャリアパーク!」、就活生同士のコミュニティサイト「みん就」等を運営し、新卒層の90%以上が当社グループの会員となっております。

エネルギー領域では、電力・ガス事業者の販促活動や業務支援サービスを提供しており、年間約60万件以上の成約支援を行っております。

各事業において当連結会計年度では以下の取組みを進めてまいりました。なお、外壁リフォームの成約支援事業を展開する株式会社ドアーズの全株式を2024年5月末に譲渡したことに伴い、第1四半期連結会計期間より連結子会社から除外しております。また、人材領域・エネルギー領域を当社グループの主力事業としたうえで、現在の事業実態をより適切に示すために事業区分の名称変更及び区分変更を行っております。

人材領域では、企業の新卒採用意欲の本格的な回復や企業における人材採用競争の激化等、外部環境が良好な状況において、人材紹介サービス・アライアンスサービスともに想定以上の就職活動の早期化の影響を受けながらも、新卒層の約90%が会員となる強固な会員基盤を元に、第1四半期連結会計期間よりみん就株式会社の連結や、キャリアアドバイザーの増員、地方拠点の拡大等による成約件数の増加、成約単価の上昇等により前年同期比で増収増益を達成いたしました。さらに、当連結会計年度においては、プロダクトラインナップの拡充を目的に、新卒採用支援市場の各チャネルにおいて国内最大規模の企業となるYouTubeチャンネル「しゅんダイアリー」を運営する株式会社Diary、および就職活動における筆記試験対策アプリを開発・運営する株式会社yuthと、それぞれ資本業務提携契約を締結いたしました。

エネルギー領域では、電力・ガス事業者の新規顧客獲得需要の増加や成約単価の回復が見られる状況の中、前第2四半期連結会計期間より株式会社Five Lineが加わり国内最大規模の電力・ガス等の成約支援事業者となっております。M&Aのシナジー効果による市場でのプレゼンスが向上し、成約件数・成約単価ともに拡大いたしました。また、一部収益をストック利益へ切り替えることで、積極的な将来利益の積み上げを行うとともに、前連結会計年度に計画以上に積み上げた将来利益が安定的にストック利益として計上され、事業利益に大きく貢献し、前年同期比で大幅な増収増益を達成いたしました。エネルギー領域の売上収益は、中期経営の計画テーマとして掲げていたシングル事業での100億円を突破し、当社グループの成長を大きく牽引いたしました。

 

こうした施策の成果もあり、人材領域・エネルギー領域の大幅な事業成長に加え、当連結会計年度では、「ネットビジョンアカデミー」の事業譲渡による譲渡益が発生したことも含め、売上収益21,963百万円(前年同期比41.0%増)営業利益2,987百万円(前年同期比34.7%増)税引前当期利益2,932百万円(前年同期比36.6%増)親会社の所有者に帰属する当期利益1,887百万円(前年同期比29.6%増)となりました。

なお、当社グループの事業セグメントは成約支援事業のみの単一セグメントであるため、記載を省略しております。

 

② 財政状態の状況

(資産)

当連結会計年度末における流動資産は7,287百万円となり、前連結会計年度末に比べ65百万円減少しました。これは主に、営業債権及びその他の債権が887百万円、その他の流動資産が286百万円増加した一方、現金及び現金同等物が1,254百万円減少したことによるものであります。

また、非流動資産は15,441百万円となり、前連結会計年度末に比べ6,558百万円増加しました。これは主に、その他の金融資産が1,572百万円、無形資産が2,151百万円増加したことによるものであります。

この結果、総資産は22,729百万円となり、前連結会計年度末に比べ6,493百万円増加しました。

 

(負債)

当連結会計年度末における流動負債は6,838百万円となり、前連結会計年度末に比べ2,387百万円増加しました。これは主に、その他の金融負債が1,175百万円、社債及び借入金が388百万円増加したことによるものであります。

また、非流動負債は7,384百万円となり、前連結会計年度末に比べ2,352百万円増加しました。これは主に、社債及び借入金が1,419百万円、繰延税金負債が601百万円増加したことによるものであります。

この結果、負債合計は14,222百万円となり、前連結会計年度末に比べ4,739百万円増加しました。

 

(資本)

当連結会計年度末における資本は8,506百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,753百万円増加しました。これは主に、当期利益1,881百万円の計上によるものであります。

この結果、親会社所有者帰属持分比率は、37.4%(前連結会計年度末は41.6%)となりました。

 

③ キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ1,254百万円減少し、当連結会計年度末には2,543百万円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果得られた資金は2,066百万円(前連結会計年度比1,035百万円増)となりました。これは主に、税引前当期利益の計上2,932百万円、減価償却費及び償却費の計上669百万円、営業債権及びその他の債権の増加973百万円、営業債務及びその他の債務の増加595百万円、法人税等の支払額752百万円等によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果支出した資金は5,051百万円(前連結会計年度比2,906百万円増)となりました。これは主に、無形資産の取得による支出1,786百万円、貸付けによる支出1,140百万円、投資有価証券の取得による支出843百万円、連結範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出2,280百万円、連結範囲の変更を伴う子会社株式の売却による収入1,374百万円等によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果得られた資金は1,729百万円(前連結会計年度比691百万円増)となりました。これは主に、長期借入れによる収入3,775百万円、長期借入金の返済による支出2,001百万円等によるものであります。

 

④ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績

当社グループは、生産に該当する事項がありませんので、生産実績に関する記載はしておりません。

b.受注実績

当社グループは、受注生産を行っておりませんので、受注実績に関する記載はしておりません。

c.販売実績

当連結会計年度における販売実績を事業別に示すと、次のとおりであります。なお、当社グループの事業セグメントは成約支援事業のみの単一セグメントであるため、記載を省略しております。

事業の名称

販売額(百万円)

前年同期比(%)

成約支援事業

21,963

41.0

合計

21,963

41.0

 

(注) 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度
(自 2023年4月1日
 至 2024年3月31日)

当連結会計年度
(自 2024年4月1日
 至 2025年3月31日)

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

株式会社レントラックス

1,718

10.3

 

(注) 当連結会計年度の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、当該割合が10%未満であるため、記載を省略しております。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

当連結会計年度の経営成績につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ① 経営成績の状況」に記載のとおりであります。

成長のための重要ポイントである売上収益のKPIとして、「集客件数×成約率×成約単価」を重要指標と認識しており、成約社数と一社当たり単価の拡大のため、成約支援に係わる人材の増員を図るとともに生産性を維持、向上させることで、人材領域の人材紹介サービスが著しい成長を実現し、また、国内最大規模の電力・ガス等の成約支援事業者となったエネルギー領域では、電力事業者の新規顧客獲得需要も回復する中でM&Aのシナジー効果によるプレゼンス向上も図られ、マーケティング投資を積極的に行うことで総成約件数が拡大し、単一事業で売上収益100億円を突破する飛躍的な成長を遂げました。

 

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。運転資金は自己資金及び金融機関からの借入金を基本としております。また、持続的な成長を図るため既存事業の拡大と新規事業開発やM&A、資本業務提携等の積極的な成長投資を行っており、これらに必要な資金については必要に応じて多様な資金調達を実施しております。

なお、当連結会計年度末における有利子負債(社債及び借入金)残高は7,129百万円、現金及び現金同等物の残高は2,543百万円であります。

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている企業会計の基準に基づいて作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、当連結会計年度末における財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与えるような見積り、予測を必要とされております。当社グループは、過去の実績値や状況を踏まえ合理的と判断される前提に基づき、継続的に見積り、予測を行っております。そのため実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

なお、当社グループの連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記  4.重要な会計上の見積り及び見積りを伴う判断」に記載しております。

 

5 【重要な契約等】

(子会社の売却

当社は、2024年5月13日開催の取締役会において、当社の連結子会社である株式会社ドアーズの全株式をニフティライフスタイル株式会社に売却することを決議しました。当該決議に基づき同日付で株式譲渡契約を締結し、2024年5月31日付で同社の株式を譲渡いたしました。

詳細につきましては、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等注記 6.企業結合及び非支配持分の取得」をご参照ください。

 

(株式取得による持分法適用関連会社化)

当社は、2024年11月26日開催の取締役会において、2023年3月に資本業務提携契約を締結している株式会社HRteamの株式を追加取得することを決議しました。当該決議に基づき同日付で株式譲渡契約を締結し、2024年12月2日付で同社の株式を取得いたしました。これにより、同社は当社の持分法適用関連会社となりました。

詳細につきましては、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等注記 14.持分法で会計処理されている投資」をご参照ください。

 

(財務上の特約が付された金銭消費貸借契約

2024年4月1日前に締結された金銭消費貸借契約については、「企業内容等の開示に関する内閣府令及び特定有価証券の内容等の開示に関する内閣府令の一部を改正する内閣府令」附則第3条第4項により記載を省略しております。

 

6 【研究開発活動】

該当事項はありません。