文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営方針
当社グループは、「教育を科学する」をキーワードに、ラーニングサイエンスとEdTechで、次世代の教育をグローバルに実現する日本発のEdTechカンパニーを目指しております。
(2) 経営環境
国内教育市場は少子化の進行で大学受験者数が減少しているものの、英語教育は低年齢化し、2008年度からスタートしている小学5、6年生を対象とした小学校の英語教育は、2011年度に小学5年生から必修となり、さらに2020年には小学3年生からの必修化、小学5年生からの教科化が実施される予定です。
また、大学入試制度改革における民間の英語資格・検定試験の採用は、当初2020年から予定されておりましたが、2019年11月に文部科学省より延期が発表され、2024年度実施の共通テストに向けて2020年度中に英語4技能のテストに関する方針について決定することとなりました。同省は、大学入試において同一日程一斉実施型の共通テストでは「話す」「書く」能力を含めた試験を国が実施することは実質不可能であることから、既に民間事業者等により広く実施され、英語の4技能評価において一定の評価を受けている資格・検定試験の活用を推進することが必要であるとしています。英検協会では、この需要に応えるために1日で英語4技能を測定することができるコンピュータを用いた新しい受験形態の英検「S-CBT」を導入し、受験機会を従来の年3回実施から4月から11月の毎週末実施へと大幅に増やす予定です。このように、教育及びテストの両面においてICT化が不可欠となる等、現在の国内教育市場の動きは当社グループにとって引き続き大きな事業機会となると考えております。
また、海外においても、アジアの人口増加及び経済発展により教育市場が拡大する一方で、最大である米国市場においても教育ICT化が大きく進む等変革の流れを加速させております。当社グループはこれを事業機会と捉え、アジア及び米国の拠点開設を積極的に行って事業拡大を図ります。
(3) 経営戦略等
当社グループの今後の中期的な基本戦略は、次のとおりです。
① 英語学習の4技能化、民間の英語資格・検定試験の活用を契機とする商品及びサービスの開発
② ラーニングツールの拡充
③ 英ナビ会員をベースとする多教科プラットフォームの確立
④ 各種テストの実施及び実施インフラの拡充
⑤ AI-OCR・アダプティブエンジン等のAI技術を軸とするEdTech投資と新しい事業領域の拡大
(4) 事業上及び財務上の対処すべき課題
当社グループは、教育分野における能力測定技術・コンピュータやインターネットを用いたテスト及び教育ツールの研究に注力し、特に語学を中心として「CASEC」、「TEAP CBT」に代表される試験サービスを提供し、項目応答理論を用いた正確な能力測定技術を強みとすることで他社との差別化をしてまいりました。
当社グループでは、今後の業容拡大及び経営基盤の強化のため、以下の課題に取り組んでまいります。
① ソフトウエア投資の拡大
当社グループが今後も継続的な成長を果たしていくためには、当社グループが開発したIRTを実装したCBTシステムや大規模試験での利用が可能な記述式答案の採点システムについて、市場での優位性を確保するために製品機能の強化が今後も必要不可欠であると認識しております。また、当社グループの提供するラーニングツールは、携帯端末向けのアプリを介して提供されることが主流となりつつあり、快適なラーニング環境を提供するためにも携帯端末向けのアプリ開発に対する投資をこれまで以上に拡大していく必要があると考えております。
さらに、当社グループで開発を進めているAIを用いた手書き文字認識技術を活かすための周辺の開発及び導入環境の整備や、AIを活用したアダプティブラーニング等を英語学習以外の他分野へ適用するための開発も加速させたいと考えております。
当社グループは、時代の要請により変化する市場を見据え、今後も加速するテクノロジーの進歩に素早く対応できるよう製品機能の強化やオプション機能の開発等により、さらなる製品機能を充実させ、競合他社との差別化を図ってまいります。
② コンテンツ開発の強化
当社グループが展開するテスト商品及びラーニング商品は、時代の変化によるコンテンツの陳腐化を避けるため、継続的に新たなテスト問題の作成やラーニングのためのコンテンツ制作を行うことが不可欠です。また多教科プラットフォーム事業において児童・生徒の学習への関心や意欲を高めるコンテンツの開発力を高める必要があります。質の高いコンテンツ開発を担当する経験豊富な人材の供給は限られています。当社グループは、塾市場も含めた市場参加者との連携等を通じて、経験豊富な質の高い人材にアクセスし、優良な学習コンテンツのライブラリーの開発・提供を進めて商品の競争力を高めてまいります。
③ 海外拠点におけるソフトウエア開発・コンテンツ開発・採点業務の推進による生産性と収益性の向上
第一に、当社グループは、現在、ソフトウエア開発について自社の海外の開発拠点であるインドのプネにおいて開発エンジニア約35名体制で取り組むとともに、中国の江蘇省無錫市の拠点において、中国市場向けソフトウエアの開発について開発エンジニア約15名体制で取り組んでおりますが、今後もこの増員及び強化を図ってまいります。また、アメリカのボストンでは、AIの先端的な開発を担うエンジニア5名体制で取り組んでいますが、より多くの優秀なエンジニアを獲得するため、他の地域への拠点拡大も視野に入れて体制の強化を図ってまいります。当社グループはこれらの体制の増員及び強化を通じて質の高い豊富な海外の開発リソースを確保し、ソフトウエア開発及びシステム運営業務の海外移転を積極的に推進いたします。これにより、当社グループは、さらなる原価低減及び開発スピードの向上を図り、グループ全体のシステム開発及び運営の生産性の向上を目指してまいります。
第二に、英語関連コンテンツ開発及び採点業務について、2020年度を目処にEdutech Lab, Inc.への完全移管を予定しております。当社グループは、主要サービスである英語関連サービスの更なる品質向上のために、テスト理論や英語教育分野における修士・博士課程修了者を中心に高度な訓練を受けた人材を確保してまいります。Edutech Lab, Inc.は約10名の専門家集団に加えて、その下に常時約20名のコントラクター(繁忙期には100名まで拡張可能)と契約し英語コンテンツの開発業務を行っております。事業の拡大に伴いグローバルなサプライチェーンを拡充し、さらなる生産性向上を実現してまいります。
第三に、当社グループは、英語以外の教科コンテンツ開発において各市場での開発・ローカライゼーションを推進し、各国の指導要領、個別特殊事情にきめ細かく対応する体制の構築を進めたいと考えております。
④ テストセンター事業の着実な立ち上げと収益化
当社グループは英検協会が導入する予定である1日で英語4技能を測定することができる新しい受験形態の「S-CBT」の実施にあたり、その実施会場であるテストセンターを全国に展開し運営を開始いたします。これは当社グループにとって新規事業であり、テストセンターの調達に係る費用として賃料や会場運営等に係る固定費の発生に伴う稼働リスクや、安定的なシステム運用に係るリスクが想定されます。この事業を着実に立ち上げ、安定的に運用し、e-Testing/e-Learning事業の継続的な成長を実現いたします。
⑤ 株式会社旺文社等との業務提携に基づく「スタディチャンネル」ブランドでの多教科プラットフォームの提供等及び教育メディアサービスの確立
当社グループは、株式会社旺文社による資本参加を受けて小中学生を対象とする学習コンテンツ・サービスを開始いたしました。本事業は、当社グループが英検受験者をはじめ英語学習者に広く提供している英ナビ会員(2019年9月30日現在で約336万人)に対し、英語を含む5教科について、学習する際の“つまずき”をなくすための学習解説動画及びドリル学習を小中学生に無償提供するサービスです。本サービスは、主にアプリ及びコンテンツ開発のための先行投資を必要とする一方、主な収益源として、教育コンテンツを保有するパートナーからのプラットフォーム利用料、広告収入、月額課金収入(プレミアム会員費)、有料コンテンツ販売を予定しております。本事業の収益化のためには、着実に広告主に対して英ナビ会員の属性データの価値を訴求するとともに、個人及び法人のコンテンツユーザーを獲得し、「スタディチャンネル」のメディアとしての価値を高めていくこと、その結果として、更なる教育コンテンツパートナーとの連携を図っていくことが重要であると認識しております。当社グループは、代理店の活用も含めたマーケティング及び営業戦略を通じて顧客基盤及びコンテンツユーザー拡大を通じて本事業の収益化を図ってまいります。
⑥ AI-OCR技術である「Deep Read」の事業応用とその他AI技術の活用領域の拡大
各種学力調査は、「知識・技能」を中心に問う手法から「知識・技能」と「思考力・判断力・表現力」を総合的に評価する手法へと移行しつつあり、記述式の出題が増加する傾向にある一方、これに伴う採点費用も増加することが見込まれます。当社グループは、大規模な学力調査における記述式解答の採点効率化の観点から、ディープラーニングに基づくAI技術を用いた高精度な手書き文字認識技術「Deep Read」を開発し、実践投入してまいりました。当社グループは、早期に「Deep Read」の応用拡大を通じて、記述式解答の採点プロセスのイノベーションを先導し、競合他社との差別化を図ってまいります。また、この文字認識技術をAI-OCR(光学的文字認識)市場をはじめとする新分野への技術転用を積極的に進め、当社グループの事業分野の拡大を図ってまいります。当社グループは、2018年4月に米国ボストンに設立したDoubleYard Inc.を通じて、優秀なAI人材の確保と研究開発活動を積極的に進めており、日本市場のみならず北米、中国、インド市場を含む他市場での同時展開を視野に活動を開始しております。その一環として当社のアメリカ子会社のEdutech Lab, Inc.が企業内の各種文書を管理するECMソリューションを展開するEphesoft Inc.との資本業務提携を締結し、「Deep Read」の海外展開を本格化させる予定です。既に、外資系大手金融機関、大手新聞社、大手BPO会社、政府関連機関、大学等との協業プロジェクト等の受注実績がありますが、昨年来進めてまいりましたAPI環境の整備や、多様なユーザーニーズに応える提供形態(クラウドサービス型・オンプレミス型・クラウドとオンプレミスの複合型)を整える等、将来の大規模な受注に向けて商品ラインアップを強化しております。
ディープラーニングを活用した技術及びサービスの開発手法は、他の分野へ応用することが比較的に容易であることから、当社グループは、手書き文字認識技術の開発で培ったAIを活用した開発力を他の分野に展開して当社グループ全体の商品及びサービスの競争力を高めていく方針です。当社グループがAIの活用を進める予定の領域として、自然言語処理(英語:Natural Language Processing、略称:NLP)とアダプティブエンジン(個人適応型学習管理システム)を考えております。これらの開発により、当社の全セグメントにおいて商品及びサービスの競争力の向上及び利益率の拡大を図ります。
当社グループの開発する手書き文字認識技術、NLP等のAI技術の活用領域については、当社グループの従来の事業領域である文教市場のみならず、他の産業においても導入することで生産性の向上に資する可能性があると考えております。当社グループとしては、積極的に他の産業のパートナーとの協業を追求し、応用領域及び他産業への応用拡大を図りたいと考えております。
⑦ 大型公共プロジェクトの安定的運用
当社グループは、文部科学省が実施する令和2年度 全国学力・学習状況調査(小学校第6学年の児童を対象)を前年度に続いて2年連続で受託し、また、世界的にも先進的なIRTを用いて個人及び学年の経年的な学力の進捗を測定する埼玉県学力・学習状況調査も開始以来6年連続で受託しております。これらをはじめとした大型の公共プロジェクトを、当社グループの強みであるテスト理論、AIソフトウエアや採点システム等を活用して安定的かつ効率的に運用し、収益の安定化を図ってまいります。
⑧ 海外事業の早期収益化
海外事業の課題として、当社グループが現在営んでいる以下の事業の早期黒字化と事業拡大を図るとともに、香港、シンガポール、米国法人において早期にロイヤリティ収入、キャピタルゲイン収入及び販売代理店収入の実現を図ります。
a) 中国自習室事業
約2年間のシステム及びコンテンツの開発準備期間を経て、当社グループは、2017年夏より、新しい指導コンセプトである反転授業(Flipped Classroom)(注)を基本に、家庭学習と個人学習履歴のデータ分析をベースとしたコーチング型小学生向け個別指導学習塾事業を算数及び国語の2教科をはじめとして展開中です。現在、江蘇省無錫市において直営校を運営し、またその他地域は地域代理店契約の締結等の事業提携を同時に推進しており、2019年9月30日現在、華北、華東、中原及び華南省へ事業展開を進め、中国全国の展開都市数は17省58都市、運営する教室数は140、有料生徒登録数は約11,000人となっております。教材はオンラインと紙媒体の双方で提供しております。事業収入の形態には、直営店運営収入及びコース授権料及び授権校への教材とシステム提供によるロイヤリティ収入があります。今後の経営課題としては、早期の単年度黒字化及び中学生事業の展開を含めた更なる事業拡大、上海教材開発拠点及び無錫システム開発拠点の拡充、内部管理の体制強化、AI機能を備えたアダプティブエンジンの既存システムへの搭載による個人学習履歴のデータ分析の精度向上等があげられます。
(注)ブレンド型学習の形態のひとつで、生徒たちは新たな学習内容を、通常は自宅でビデオ授業を視聴して予習し、教室では講義は行わず、従来であれば宿題とされていた課題について、教師が個々の生徒に合わせた指導を与え、また、生徒が他の生徒と協働しながら取り組む形態の授業をいう。
b) インド国内向けテスト事業
当社グループは、2016年に開始した中・高生対象の学習塾向けの単元テスト提供事業を再構築し、2017年より小・中高生を対象とした紙媒体での理系4科目のアチーブメントテスト及び単元テストを提供しております。2017年に小・中・高校に全国規模で直接営業網を持つSmartclass Educational Services社との排他的販売パートナー契約を締結し、2017年10月から2018年2月までの5ヶ月間の累計で約1万2,000テストを販売・実施した実績があります。当社グループとしては引き続きインド国内のテスト事業の拡大を図りたいと考えております。今後の課題としては、当社グループでインドのオフショア開発会社であるJIEM India Private Limitedと本テスト事業を担ってきたKyoshi Education Private Limitedを合併することでシステム開発とコンテンツ開発のシナジー効果を生み、テスト商品をCBT化して市場投入することがあげられます。
c) 米国内を中心としたEdTechベンチャー企業等への投資事業
米国Edutech Lab, Inc.の子会社として、2018年4月にEduLab Capital Management Company, LLCを米国ボストンに設立し、世界最大のEdTech市場である米国を中心に、中国、東南アジア、インド、日本のアーリステージのEdTechベンチャー企業への投資加速を目的に活動を開始しました。過去数年、米国のGSV Acceleration Fund I、Fresco Capital Education Venture Fund I及びLearnLaunch Accelerator IIへのLP(Limited Liability Partner )投資を含め、当社グループは、米国で7社、アジアで4社、イスラエルで2社のEdTechベンチャー企業へ、米国で新たに1社のECM企業へ直接投資を行いましたが、急速に変化・成長する世界のEdTech市場の動向にタイムリーに呼応するため、別のファンド組織を通じて投資事業を展開しております。今後は、当社グループの経営リソースを最大限活用した形で他のEdTechベンチャー投資ファンドとの差別化を図り、キャピタルゲイン収入に加えて、EphesoftのECMソリューションを日本で販売する等を一例とする投資先の商材の他地域での展開等により収益確保も目指していきます。
⑨ 内部管理体制及びコーポレート・ガバナンスの強化
当社グループのさらなる事業の拡大、継続的な成長のためには、内部管理体制及びコーポレート・ガバナンスのさらなる強化が重要な課題であると認識しております。当社は、監査役と内部監査部門の連携、定期的な内部監査の実施、経営陣や従業員に対する研修の実施等を通じて、内部管理体制の一層の強化に取り組んでいく方針です。
⑩ ネットワークシステムの強化
当社グループの提供する事業は、テストやラーニングツールの配信・提供をするにあたり、コンピュータ・システムを結ぶ通信ネットワークに依存しています。自然災害や事故等により通信ネットワークが切断された場合には、当社グループの事業に重大な影響を及ぼす可能性があります。このため、当社グループではセキュリティ対策やシステムの安定性確保に取り組み、海外でのインフラの二重化やバックアップ体制の構築などを通じて当社グループのサービス提供に支障が出るリスクを低減するための措置を充実していきます。
⑪ 人材の確保と育成
当社グループは日本市場のみならず海外市場での事業の拡大を見据え、研究開発、事業開発、営業・マーケティング、内部管理の全ての面において、海外オペレーションにも対応可能な優秀な人材の確保、採用、育成が重要な課題であると認識しております。特に、専門性の高いAIエンジニア、項目応答理論等のテスト理論の専門家、教育コンテンツ開発の専門家等を各海外拠点で積極的に採用してまいります。また、事業開発、ベンチャー投資分野においても専門性の高い人材の採用を積極的に進める予定です。新たに採用した人員に対しては充実した研修を実施するなど人材の育成に取り組んでおり、今後も採用と並行して新入社員への研修・教育制度を整備することで優秀な人材の確保・育成に取り組む方針です。
本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。また必ずしもそのようなリスク要因に該当しない事項につきましても、投資者の投資判断上、重要であると考えられる事項につきましては、投資者に対する積極的な情報開示の観点から以下に開示しております。当社グループは、これらのリスク発生の可能性を十分に認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針ではありますが、当社株式に関する投資判断は、本項及び本書中の本項以外の記載事項を慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであり、将来において発生の可能性があるすべてのリスクを網羅するものではありません。
(1) 多教科プラットフォームサービスの収益化と株式会社旺文社との関係について
当社グループは、株式会社旺文社による例題提供・監修のもと、2018年5月より小中学生を対象とした英語だけでなく他の教科も含めた無料の動画学習アプリを「スタディチャンネル」ブランドで提供する多教科プラットフォームサービスを開始しています。
株式会社旺文社は、当社子会社の株式会社教育測定研究所の設立を支援し、2002年3月から2005年6月まで子会社としていました。その後、株式会社教育測定研究所の独立性を強めるために持ち分比率を下げ、2015年2月に一度株主ではなくなりましたが、多教科プラットフォームサービスの提供に際して、再び当社グループとの関係を強化すべく2017年10月の第三者割当増資を通じて当社の株主となりました。本サービスについての開発資金は同社への第三者割当増資を通じて調達しております。
今後、的確なマーケティング戦略や営業戦略を通じて、同プラットフォームの個人及び法人ユーザーや広告主を獲得し、早期の収益化を実現する予定ですが、計画通りにユーザーや広告主の獲得が進まない場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(2) 英検協会との関係について
当社グループは、主要事業において、特定の取引先に対する販売に大きく依存しており、特に英検協会関連のサービスを提供するために英検協会及び株式会社教育デジタルソリューションズに対する2019年9月期の全売上高に占める売上割合はそれぞれ21.9%及び19.3%となっております。当社グループは、多岐にわたって英検協会に関わる案件を受注しておりますが、その多くは、当社グループの能力測定技術、テスト理論の専門性、大規模テストに係る業務設計及び運用力等に基づき受注しており、他社代替性が低いものと理解しております。当該販売先との取引関係は安定していますが、販売先の業績が悪化した場合や販売先との契約内容に変更が生じた場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(3) 新規事業の収益化について
当社グループは英検協会が導入する予定の、1日で英語4技能を測定することができる新しい受験形態の「S-CBT」の実施にあたり、その実施会場であるテストセンターを全国に展開しその運営を開始いたします。これは当社グループにとって新規事業であり、固定費の発生に伴う稼働リスクに対して受験者数が十分獲得できなかったり、システム運用上のトラブルで安定的な運用が果たせずコストが増加したりする等、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。また、当社グループは上記以外も国内外において新規事業を検討していますが、これらの新規事業に参入した結果、当該新規事業が収益化しない場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(4) テスト運営・受託事業が性質上入札の結果に大きく影響されることについて
テスト運営・受託事業は国内の公的機関が発注者となる場合が多く、安定的に発注がある一方で、受託の際に入札プロセスが導入されるため長期に亘る継続的な契約を結ぶことが難しく、毎年の入札結果によっては受託できないことも起こりえます。当社グループが実績を積み重ね、技術点を上げることである程度継続的に落札することが可能となるものの、新規参入企業による競争激化の可能性もあり、安定的かつ確実な受注環境にあるとはいえない事業です。文部科学省の実施する全国学力・学習状況調査等の特に大規模な案件が国内の公的機関から落札できなかった場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(5) 当社グループの業績(売上高、営業利益)が四半期毎に偏重する傾向があることについて
当社グループの提供する「e-Testing/e-Learning事業」及び「テスト運営・受託事業」の主要顧客には教育機関(公的機関を含む)が多く、その多くが3月末を会計年度末としているため、受託事業における検収や、ライセンス収益の従量部分の清算などが3月に集中する傾向にあります。また、当社グループの「e-Testing/e-Learning事業」において、サービス提供開始時期やシステムやサービスの仕様変更業務等が特定の期間に集中することによって、さらに「CASEC」の主要顧客である多くの教育機関において4月から始まる新年度のクラス分けのための試験として3月に利用されることが多く、当社グループの売上高及び営業利益の計上も同時期に集中する傾向が顕著となる場合があります。2019年9月期においては前者のシステムやサービスの仕様変更業務の検収が集中したことによって9月に当該の傾向が顕著となりました。
一方、「テスト運営受託事業」において、当社グループは2019年及び2020年の全国学力・学習状況調査(小学校第6学年の児童を対象)を受注しており、この案件の売上高及び営業利益が4月から7月にかけて増加する傾向にあります。
以上のとおり、当社グループの売上高及び営業利益は、商品やサービスの特性及び大きなプロジェクトの受注状況により、四半期毎の偏重が生じる傾向があります。なお、2019年9月期の通期売上高に占める四半期毎の売上高の割合、並びに通期営業利益に占める四半期毎の営業利益の割合は以下のとおりです。
(単位:売上高/営業利益・千円)
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第1四半期 |
第2四半期 |
第3四半期 |
第4四半期 |
2019年9月期合計 |
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売上高 (%) |
営業利益 (%) |
売上高 (%) |
営業利益 (%) |
売上高 (%) |
営業利益 (%) |
売上高 (%) |
営業利益 (%) |
売上高 (%) |
営業利益 (%) |
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e-Testing/e-Learning事業 |
610,950 (17.8) |
162,172 (10.6) |
831,842 (24.3) |
329,861 (21.7) |
635,464 (18.5) |
269,974 (17.7) |
1,350,414 (39.4) |
760,840 (50.0) |
3,428,672 (100.0) |
1,522,848 (100.0) |
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テスト運営・受託事業 |
394,981 (16.0) |
△7,889 (△1.7) |
613,944 (24.9) |
97,078 (20.4) |
1,063,483 (43.1) |
340,277 (71.6) |
396,793 (16.0) |
46,024 (9.7) |
2,469,202 (100.0) |
475,491 (100.0) |
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合計 |
1,005,932 (17.1) |
154,282 (7.7) |
1,445,786 (24.5) |
426,940 (21.4) |
1,698,947 (28.8) |
610,251 (30.5) |
1,747,208 (29.6) |
806,864 (40.4) |
5,897,874 (100.0) |
1,998,339 (100.0) |
(注)1.売上高には、消費税等は含まれておりません。
2.四半期毎の割合は通期に対するパーセンテージです。
(6) 売上計上の期ずれが業績に与える影響について
当社グループが展開している「テスト運営・受託事業」においては、システム開発受託、コンテンツ開発受託等のサービスを行っております。また、ライセンス及びソフトウエアの提供においても、仕様変更や機能拡充等に関して変更料等を計上する場合があります。これらのサービスの提供においては、取引先の都合による検収時期の変動や、受注後の仕様変更等により納入時期が変更となり、売上及び利益の計上について翌四半期あるいは翌連結会計年度への期ずれが発生する場合があります。期ずれの金額の大きさによっては、各四半期あるいは連結会計年度における当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(7) 海外事業展開について
海外拠点の拡充に伴って、法律・規制・租税制度の予期しない変更や社会的混乱など、各国における諸事情の変化や為替・金利などの市場動向が、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。現在、当社グループの海外拠点の活動はソフトウエア開発・コンテンツ開発・採点業務・教育ベンチャーへの投資が中心となっており、コストセンターとなっています。早いタイミングでの収益化を目指していますが、海外売上の実現の後れにより収益化が遅れ、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(8) テスト運営・受託事業における収益性について
テスト運営・受託事業は、実施に係る印刷コストや採点等に関する経費が原価に占める割合が高い事業です。そのため、経済状況の変動におけるアルバイト賃金の上昇や外注費の高騰等により、期待した利益率を達成できない可能性があります。また、採点や集計に関するトラブルが発生した場合、印刷コストや採点等に関して追加負担が発生することがありますが、受託金額の上乗せを実現することは困難であることから、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(9) 少子化による需要の低下について
国内の教育市場については、構造的な少子化傾向がこのまま継続して市場の縮小と受験競争の緩和が進み、業界全体に対する需要の低下が続いた場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。当社グループが提供するサービスの中心となる英語学習市場については、英語学習の低年齢化、英語試験の4技能化の要請、旺盛な企業による職員に対する英語教育需要等により足元は拡大傾向にありますが、少子化の影響による市場の縮小を受け、市場拡大が頭打ちになる可能性があります。
(10) 教育に関わる各種制度の変更について
国内市場においては、2019年11月に決定した大学入試における民間の英語資格・検定試験活用の延期をはじめ、学習指導要領の改訂や就学支援金制度、教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置等、行政による教育に関わる制度変更が発生します。このような制度変更に対して早期に察知できなかったり、適切な対応ができなかったりした場合は、ビジネスチャンスの逸失や集客の低下等により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(11) システム開発について
当社グループが開発する教育関連システムについては、受託開発から当社グループがリスクをとって開発して使用料を得るライセンスモデルへと移行しております。これによりマージンの高いライセンス収入が経常的に見込める一方、アップフロントの開発コストがかかり、サービス開始前の資金需要が発生するとともに、サービス売上が予定を下回った場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(12) コンテンツ開発について
当社グループが展開するテスト商品及びラーニング商品は、時代の変化による問題の陳腐化を避けるため、継続的に新たなテスト問題の作成やラーニングのためのコンテンツ制作を行うことが不可欠です。また、ラーニングのためのツールは、様々なデバイスに対応する教材のアプリ化などにより必要な技術も高度化する傾向にあります。当社グループは、これらをサービスインに1~2年先立ってコンテンツ制作リスクを負って開発を行いますが、商品の競争力が十分でなくサービス売上が予定を下回った場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(13) 減損会計
当社グループは、e-Testing/e-Learning事業に関する各種サービスを提供するため、無形固定資産としてシステム提供のためのソフトウエア及び学習コンテンツを保有するとともに、継続的に開発投資を行っています。これらの資産を利用して提供するサービスの収益性が著しく低下した場合には、当社グループが保有するソフトウエア等の資産について減損損失の計上が必要となることが考えられます。
また、当社グループは海外を中心にEdTech企業及びEdTechに特化したベンチャーキャピタルに対して投資を行っており、これら投資先の業績が投資時の想定に届かない場合、保有するベンチャー企業株式等やベンチャーキャピタルの持分について減損損失の計上が必要となることが考えられます。
そのような場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(14) ライセンス収入への依存度が高いことについて
当社グループの収益において、コンテンツ、ソフトウエア及びシステムの提供に基づくライセンス収入が拡大しており、2019年9月期の連結の売上高は2,105,595千円で、当社グループの連結の売上高に占める割合は31.9%となっております。当社グループの提供するコンテンツ、ソフトウエア及びシステムは、複数年に亘ってサービスを提供する前提で顧客と協議した上で開発される場合がほとんどですが、契約期間中にライセンス料が改定された場合やライセンス契約が解除された場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(15) 有利子負債依存度について
当社グループの有利子負債依存比率(連結)は、2018年9月期末及び2019年9月期末でそれぞれ60.0%、39.7%となっております。当社グループでは、これまで、株式会社教育測定研究所が受託する学力調査等の案件において、アルバイト賃金や外注費等の一時的なコスト負担が生じることや、一般競争入札において流動比率を高めることが入札要件として有利である等の事情があり、借入を増やして現金及び預金残高を高めてまいりました。今回、有利子負債依存比率が低下したことは2018年12月に実施した公募増資による純資産額の上昇によるものですが、今後は調達した資金をもとに収益を上げ、常に相当額の現金及び預金残高を維持することで、流動比率を維持することが可能と考えられます。一方、調達資金に基づく収益が意図したとおりに上がらず、流動比率を維持するための借り入れを継続する状況下で、急激な調達環境の悪化や金利の上昇などが起きた場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(16) システムトラブルについて
当社グループの事業は、コンピュータ・システムを結ぶ通信ネットワークに依存しており、自然災害や事故等により通信ネットワークが切断された場合には、当社グループの事業に重大な影響を及ぼす可能性があります。当社グループではセキュリティ対策やシステムの安定性確保に取り組んでおりますが、何らかの理由によりシステムトラブルが発生した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(17) 個人情報の管理について
株式会社教育測定研究所は、「英ナビ・スタディギア」における会員情報や「CASEC」等の受験者情報等の個人情報を保有しており、「個人情報の保護に関する法律」の適用を受ける個人情報取扱事業者です。
株式会社教育測定研究所はプライバシーマークを認証取得するとともに、個人情報については、社内研修などを通じて社員への啓蒙活動を継続的に実施するなどの施策を講じておりますが、何らかの理由で個人情報が漏えいした場合、信用失墜や損害賠償請求等が発生し、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(18) 人材の確保・育成について
当社グループは、今後の事業拡大のために優秀な人材の確保、育成は重要な課題であると認識しており、積極的に人材を採用していくとともに、研修の実施等により人材の育成に取り組んでいく方針であります。
しかしながら、これらの施策が効果的である保証はなく、必要な人材を確保できない可能性や育成した人材が当社グループの事業に十分に寄与できない可能性があります。そのような場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(19) 特定の経営者への依存について
当社グループは、当社代表取締役社長兼CEO 髙村淳一に経営の重要な部分を依存しております。現在、当社グループでは同氏に過度に依存しないよう、内部管理体制の整備、人材の育成を行うなど体制の整備に努めておりますが、何らかの理由により同氏による当社グループの業務遂行が困難となった場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(20) 資金使途について
2018年12月に当社が実施した公募増資による調達資金の使途につきましては、テスト及びラーニングツール開発のためのソフトウエア開発及びコンテンツ開発費に概ね計画のとおりに充当し、今後も継続してまいります。
しかしながら、学習教材市場は参加者も多く新商品も多数投入されており、計画通りに資金を使用したとしても、期待通りの効果を上げられない可能性があります。そのような場合、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(21) 自然災害
当社グループにおいては、地震等の大災害発生に備え、グループ各社の被災状況の情報集約体制の構築、国内事業の情報システムの分散等の事業継続のための施策を講じております。
しかしながら、大災害が発生した場合、被災地域における営業活動の停止、当社グループの施設等の損壊、交通、通信、物流といった社会インフラの混乱、委託先の被災等により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。また、各事業会社の本部機能の東京への集中度が高いため、東京が被災した場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(22) 技術革新等について
インターネット、クラウドコンピューティング、AIの開発環境は技術進歩が速く、当社グループが想定する以上の技術革新により、当社グループの技術やサービスが競争力を失うような事態が生じた場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(23) 知的財産権について
当社グループは、現在、他社の知的財産権を侵害している事実は認識しておりません。しかしながら、当社グループの認識していない知的財産権が既に成立していることにより当社グループの事業運営が制約を受ける場合や第三者の知的財産権侵害が発覚した場合などにおいては、信用失墜や損害賠償請求等が発生し、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
また、他社により当社グループの知的財産権が侵害された場合においては、他社が当社グループの参加する一般競争入札において優位な位置を占めるなどして、当社グループの受託を阻害し、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(24) ストック・オプション制度について
当社グループは業績向上に対する意欲や士気を高めることを目的として、ストック・オプション制度を採用しており、会社法の規定に基づく新株予約権を当社グループ取締役及び従業員等に付与しております。これらの新株予約権又は今後付与される新株予約権が行使された場合、株式価値が希薄化する可能性があります。なお、2019年9月30日現在における新株予約権による潜在株式数は935,000株であり、発行済株式総数8,780,000株の10.65%に相当します。
(25) 配当政策について
当社は、株主への利益還元を経営上の重要な課題として認識しており、事業基盤の整備状況や事業展開の状況、業績や財政状態等を総合的に勘案しながら、継続的かつ安定的な配当を行うことを基本方針としております。
ただし、当社は現在成長過程にあり、内部留保の充実を図り、更なる成長に向けた事業の拡充や組織体制、システム環境の整備への投資等の財源として有効活用することが、株主に対する最大の利益還元に繋がると考え、現状は通常配当を実施しておりません。将来的には、財政状態及び経営成績を勘案しながら配当を実施していく方針ではありますが、現時点において通常配当の実施時期等については未定であります。
なお、当事業年度につきましては、2020年4月に創業20周年を迎えることから記念配当として、1株当たり23円の特別配当を実施することを決定しました。
(26) 法的規制等について
当社グループは、下請法の他、広告事業拡大に伴い景品表示法の適用を受けておりますが、これらの法令を含め当社に適用のある各種法令や税制等について、今後変更があった場合や新たな規制が導入された場合には、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
特に日本国内の税制については、2019年10月1日に消費税の増税が実施されました。消費税の増税により税込み販売価格が上昇した結果、特に「CASEC」を中心に顧客の購買意欲が減退する可能性があり、その場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。
なお、「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準第28号 平成30年2月16日)等を当連結会計年度の期首から適用しており、財政状態については遡及処理後の前連結会計年度末の数値で比較を行っております。
① 経営成績の状況
当連結会計年度の当社グループの経営成績は、売上高5,897,874千円(前期比53.2%増)、営業利益1,017,664千円(同47.7%増)、経常利益742,736千円(同18.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益389,613千円(同15.4%増)となりました。
当連結会計年度においては、e-Testing/e-Learning事業、テスト運営・受託事業ともに順調に売上が推移しました。販売費及び一般管理費は、一時賞与、事務所移転費用、地代家賃増等により前期比20.3%の増加となりましたが、増収により営業利益は前期比47.7%の増益となりました。経常利益については、ファンド運営費用、為替差損、株式公開費用、融資・借り換え関連費用等により営業外費用が前期比217.7%増加したことで、前期比18.9%の増益となり、親会社株主に帰属する当期純利益は前期比15.4%の増益となりました。
セグメント別の経営成績は、次のとおりであります。
a. e-Testing/e-Learning事業
e-Testing/e-Learning事業においては、公益財団法人日本英語検定協会(以下、「英検協会」)と共同で運営する英語学習者向けサイトの「英ナビ!」上で展開する学習ツールの「スタディギア for EIKEN」の提供に伴うライセンス収入が受験者数の拡大とともに増加したことに加えて機能拡張に伴う一時的収入もあり、さらに前期からサービスを開始した多教科プラットフォームサービスの利用収入及び広告収入の伸びが英ナビ・スタディギア売上の拡大に貢献しました。この他、TEAP CBTのコンテンツライセンス及びコンサルティング収益による売上拡大に加え、手書き文字認識「Deep Read」関連ソフトウエア利用に伴うライセンス収入等がテストシステム提供等収入の拡大に貢献しました。その結果、売上高は3,428,672千円(前期比21.8%増)、セグメント利益は1,522,848千円(同27.5%増)となりました。
b. テスト運営・受託事業
テスト運営・受託事業においては、平成31年度全国学力・学習状況調査(小学校第6学年の児童を対象)及び埼玉県学力・学習状況調査等の受託案件が売上増加に貢献しました。その結果、売上高は2,469,202千円(前期比138.6%増)、セグメント利益は475,491千円(同122.0%増)となりました。
② 財政状態の状況
当連結会計年度末における財政状態は、資産は12,312,171千円(前連結会計年度末比4,749,080千円増)、負債は6,259,761千円(前連結会計年度末比868,662千円増)、純資産は6,052,410千円(前連結会計年度末比3,880,417千円増)となりました。
(資産)
流動資産は、前連結会計年度末に比べて3,664,743千円増加し、8,582,003千円となりました。これは、公募及び第三者割当増資による新株式の発行などにより現金及び預金が3,055,348千円増加したこと及び受取手形及び売掛金が478,371千円増加したことなどによります。
固定資産は、前連結会計年度末に比べて1,096,797千円増加し、3,715,835千円となりました。これは、投資有価証券が296,467千円、ソフトウエア及びソフトウエア仮勘定が505,227千円それぞれ増加したことなどによります。
繰延資産は、前連結会計年度末に比べ12,460千円減少し、14,332千円となりました。
この結果、総資産は、前連結会計年度末に比べて4,749,080千円増加し、12,312,171千円となりました。
(負債)
流動負債は、前連結会計年度末に比べて1,232,448千円増加し、4,639,466千円となりました。これは、借入金及び社債が718,608千円、未払法人税等が102,472千円、買掛金が127,956千円それぞれ増加したことなどによります。
固定負債は、前連結会計年度末に比べて363,785千円減少し、1,620,295千円となりました。これは、借入金及び社債が370,008千円減少したことなどによります。
この結果、負債合計は、前連結会計年度末に比べて868,662千円増加し、6,259,761千円となりました。
(純資産)
純資産合計は、前連結会計年度末に比べて3,880,417千円増加し、6,052,410千円となりました。これは、公募及び第三者割当増資による新株式の発行により資本金及び資本準備金がそれぞれ1,689,856千円増加したこと、親会社株主に帰属する当期純利益の計上により利益剰余金が389,613千円増加したことなどによります。
③ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における連結ベースの現金及び現金同等物は、6,193,288千円(前連結会計年度末比3,055,348千円増)となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは680,058千円の収入(前連結会計年度は148,741千円の収入)となりました。これは、税金等調整前当期純利益742,736千円(前連結会計年度は626,671千円)、減価償却費492,925千円(前連結会計年度は258,894千円)等の増加要因、売上債権の増加額484,473千円(前連結会計年度は増加額244,448千円)、法人税等の支払額370,816千円(前連結会計年度は251,583千円)等の減少要因の影響によります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは1,419,675千円の支出(前連結会計年度は1,063,858千円の支出)となりました。これは、ソフトウエア開発による無形固定資産の取得による支出1,012,490千円(前連結会計年度は981,923千円)、投資有価証券の取得による支出376,642千円(前連結会計年度は39,801千円)、本社移転に伴う事務所設備等の有形固定資産の取得による支出186,988千円(前連結会計年度は13,112千円)などの影響によります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは3,797,163千円の収入(前連結会計年度は1,320,743千円の収入)となりました。これは、公募及び第三者割当増資などによる株式の発行による収入3,378,844千円(前連結会計年度は490,000千円)、借入金及び社債の純収入額348,600千円(前連結会計年度は830,743千円の純収入)などの影響によります。
④ 生産、受注及び販売の実績
a. 生産実績
当社グループは生産活動を行っておりませんので、該当事項はありません。
b. 受注実績
当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2018年10月1日 至 2019年9月30日) |
|||
|
受注高(千円) |
前年同期比(%) |
受注残高(千円) |
前年同期比(%) |
|
|
テスト運営・受託事業 |
2,075,663 |
139.7 |
469,152 |
54.9 |
(注)1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2.e-Testing/e-Learning事業については事業の性格上、受注実績の記載に馴染まないため、記載しておりません。
c. 販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2018年10月1日 至 2019年9月30日) |
|
|
金額(千円) |
前年同期比(%) |
|
|
e-Testing/e-Learning事業 |
3,428,672 |
121.8 |
|
テスト運営・受託事業 |
2,469,202 |
238.6 |
|
合計 |
5,897,874 |
153.2 |
(注)1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
|
相手先 |
前連結会計年度 (自 2017年10月1日 至 2018年9月30日) |
当連結会計年度 (自 2018年10月1日 至 2019年9月30日) |
||
|
金額(千円) |
割合(%) |
金額(千円) |
割合(%) |
|
|
文部科学省 |
- |
- |
1,607,389 |
27.3 |
|
公益財団法人日本英語検定協会 |
1,125,897 |
29.2 |
1,289,577 |
21.9 |
|
株式会社 教育デジタルソリューションズ |
1,037,633 |
27.0 |
1,137,389 |
19.3 |
(注)前連結会計年度の文部科学省に対する販売実績はないため、記載を省略しております。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表はわが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成しております。その作成には経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額並びに開示に影響を与える見積り・仮定設定を必要としております。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績や状況に応じて合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性が存在するため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a. 経営成績
(売上高)
当連結会計年度の売上高は5,897,874千円(前年同期比53.2%増)となりました。これはe-Testing/e-Learning事業の売上高が3,428,672千円(前年同期比21.8%増)、テスト運営・受託事業の売上高が2,469,202千円(前年同期比138.6%増)となったことによります。
(売上原価、売上総利益)
当連結会計年度の売上原価は2,919,594千円(前年同期比90.7%増)となりました。その結果、売上総利益は2,978,279千円(前年同期比28.4%増)となりました。
(販売費及び一般管理費、営業利益)
当連結会計年度の販売費及び一般管理費は1,960,615千円(前年同期比20.3%増)となりました。これは人件費や地代家賃が増加したこと等によります。その結果、営業利益は1,017,664千円(前年同期比47.7%増)となりました。
(営業外収益、営業外費用及び経常利益)
当連結会計年度の営業外収益は投資有価証券売却益68,261千円等により77,472千円となり、営業外費用は投資事業組合管理費93,817千円、為替差損74,141千円、支払利息37,149千円等により352,400千円となりました。その結果、経常利益は742,736千円(前年同期比18.9%増)となりました。
(特別利益、特別損失及び親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益389,613千円(前年同期比15.4%増)となりました。
b. 財政状態
財政状態の状況の分析については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ② 財政状態の状況」をご参照ください。
③ キャッシュ・フローの状況の分析
キャッシュ・フローの状況の分析については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。
④ 資本の財源及び資金の流動性
当社グループの運転資金需要につきましては、売上原価並びに販売費及び一般管理費等の営業費用であります。
設備資金需要の主なものは、テスト及びラーニングツール開発のためのソフトウエア開発及びコンテンツ開発費であります。当連結会計年度においては、これらに加えて本社移転に係る事務所設備新設に伴い、その設備投資は1,199,478千円となりました。
また、翌連結会計年度の資金需要については、引き続きソフトウエア開発及びコンテンツ開発による設備投資を中心に12億円を予定しております。
運転資金につきましては、自己資金を基本としており、必要に応じて金融機関から短期借入を実施しております。設備投資資金につきましては、自己資金を基本としており、必要に応じて長期借入の実施、社債発行を行っております。
なお、2018年12月21日の東京証券取引所マザーズ市場への上場に伴い、公募(ブックビルディング方式による募集)により2,743,808千円、第三者割当増資(オーバーアロットメントによる売出しに関連した第三者割当増資)による新株式の発行により635,904千円の資金調達を行いました。
今後も収益構造の強化と成長性の維持のため継続的な設備投資が必要となりますので、安定的な自己資金の確保を目指してまいります。
⑤ 経営成績に重要な影響を与える要因について
経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおり、事業環境、事業内容、事業運営体制等、様々なリスク要因が当社グループの経営成績に重要な影響を与える可能性があると認識しております。
そのため、当社グループは常に市場動向に留意しつつ、内部管理体制を強化し、優秀な人材を確保し、市場のニーズにあったサービスを展開していくことにより、経営成績に重要な影響を与えるリスク要因を分散・低減し、適切に対応を行っていく予定でおります。
⑥ 経営戦略の現状と見通し
当社グループの今後の中期的な基本戦略は、次のとおりです。
① 英語学習の4技能化、民間の英語資格・検定試験の活用を契機とする商品及びサービスの開発
② ラーニングツールの拡充
③ 英ナビ会員をベースとする多教科プラットフォームの確立
④ 各種テストの実施及び実施インフラの拡充
⑤ AI-OCR・アダプティブエンジン等のAI技術を軸とするEdTech投資と新しい事業領域の拡大
当社グループが属する教育ビジネス市場は、小学校の英語の必修化、英語学習の4技能化等、英語等の語学需要が高まるなど、今後も堅調な成長を維持する見込みです。このような環境下、当社グループは、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおり、各施策を通じて収益拡大を図り、社会貢献を目指してまいります。
⑦ 経営者の問題認識と今後の方針について
国内教育市場においては、英語教育の低年齢化、大学入試制度改革における民間の英語資格・検定試験の活用は延期となったものの4技能評価に対する需要は引き続き強く、教育及びテストの両面においてICT化が不可欠となっております。当社グループはこれを事業機会と捉え、的確に対応してまいります。
海外においては、アジアの人口増加及び経済発展により教育市場が拡大する一方で、最大である米国市場においても教育ICT化が大きく進む等変革の流れを加速させております。当社グループはこれを事業機会と捉え、アジア及び米国の拠点開設を積極的に行って事業拡大を図ります。
経営者の問題認識については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりです。