文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。当社グループはユーザーの嗜好をとらえ、他社との競合において比較優位に立ち、持続的に成長するため、以下の内容を対処すべき課題としてとらえ、その対応に取り組んでまいります。
当社グループは、「いい未来をつくる」を企業理念としており、単純に「未来」とするのではなく「いい未来」とすることで "誠実さ" や "社会的責任" を表現しました。ここで言う「いい未来」とは、お客様、株主、経営陣、従業員、そしてその家族など、企業活動に関わるすべての人のための「いい未来」を意味しています。「つくる」という言葉には、"積極性" や "情熱" を表現しており、未来を創造するのは自分たち一人ひとりであると自覚する姿勢を表しています。当社グループの企業活動が、人間にとって明るくより良い未来につながることを理念としています。
また「OPEN DATA, OPEN SCIENCE!」を経営理念としており、POSデータのオープン化を通じた収益性の向上を目指し、データ・ドリブン経営で社内の生産性を向上させることを目指します。
当社グループは、継続的な成長性を重視しており、売上高及びARR(年間経常収益)の対前期増加率を重要な経営指標としております。
当社グループは、長期ビジョン「VISION2031」を2024年9月に改定し、これまで目標として掲げていたアクティブ店舗数30万店舗をARR300億円へ変更しました。最重要KPIと長期目標のベクトルを合わせ、POS市場において国内トップを目指しております。ARRの計画達成の戦略となる契約件数の増大と顧客単価の拡大を実現するため、中期経営計画においてARRの計画値及びARRの増大計画を以下のように策定しております。
2024年4月期 55.9億円(実績:59.3億円)
2025年4月期 72.7億円(実績:86.7億円)
2026年4月期 94.6億円
新規ユーザーの獲得のため、以下の3つの施策を実施します。
・中大型案件への注力
エンタープライズに特化した営業体制の確立と自社サービスと基幹システムとの連携開発強化を図り、安心感・信頼性・実績が求められる中大規模顧客層に対して、スマレジの高い実績と拡張性、多機能性を武器にリプレイス需要の獲得を目指します。
・S&M投資の継続
CMの放映や食フェスへの協賛などの認知獲得や、オンラインマーケティングや展示会などのリードナーチャリング、ショールームの増床やオンライン商談窓口の増設などのインサイドセールス及びフィールドセールスの強化により、新規顧客の獲得を目指します。
・EC事業者へのアプローチ
リアル店舗とEC店舗の在庫を連動することで、POSレジの枠を超えたEC時代の店舗ツールとして、EC事業者にスマレジ利用を促進します。
・決済サービスの強化
GMVを源泉とした収益モデルの拡大とPOSサービスとのセット販売を中心としたスマレジとのクロスセル展開により顧客単価の向上を目指します。
・アプリマーケットの活性化
開発パートナーとの連携強化によりアプリ数を増やし、業種に特化したニッチ機能の提供により、顧客単価向上とカスタマーエクスペリエンス(CX)向上を目指します。
・タイムカードの機能強化
スマレジが得意とする小売・アパレル・飲食向けの機能強化に加え、従業員管理や勤怠給与管理全般を強化することで、業種を問わないCV獲得を目指します。
・EC関連サービスの強化
オムニチャネル機能の強化を目的とし、株式会社ネットショップ支援室を子会社化いたしました。POSサービスであるスマレジとのクロスセルにより、受注・在庫管理、CRM機能を組み込んだ高単価提案の実現と、EC強化を目指す店舗事業者・オムニチャネル化ニーズを獲得し、顧客単価の向上を目指します。
自社サービスのユーザーは毎年増加を続けております。ユーザーの潜在的ニーズやユーザーが自社サービスを使用して生じた新たなニーズを抽出し、自社サービスの機能に反映させていくことが当社グループの強みであり、これが競合他社との差別化の要因となっております。お客様のニーズを迅速かつ的確に抽出できるようお客様の意見を取り入れる機会を増加させ、自社サービスの機能に適時に反映できるように、当社グループの技術力の強化に努めてまいります。
② 技術者(ソフトウェアエンジニア)の確保について
自社サービスの安定稼働のためには、日常的なメンテナンスと社内でのテスト運用が必要であり、それらを運用する技術者の確保は、必要不可欠であると認識しております。一方で、サービスの継続的なバージョンアップや、新規サービスの開発も並行して進められるよう、引き続き優秀な技術者の確保に努めてまいります。
ITソリューションの成長スピードに反して、技術を支えるエンジニアの数は慢性的に不足しています。そこで当社は「スマレジ・テックファーム」を立ち上げ、IT人材の発掘・育成を行い、技術者全体の数の増加及び優れた技術者の育成にも注力してまいります。
販売部門をはじめとした全部門を対象に、積極的な採用活動を実施し、新入社員に対するオンボーディングを強化することで、事業の拡大と企業の成長スピードに耐えうる組織の構築に努めてまいります。
④ コンプライアンス体制の強化
企業活動においては高い倫理観が求められており、コンプライアンス上の問題は経営基盤に重大な影響を及ぼすものであると考えております。ユーザーや社会からの信頼向上のため、今後もコンプライアンス体制の強化を図っていく方針であります。当社グループでは、従業員に向けての定期的なインサイダー取引の防止に関する研修の実施や、内部通報制度の整備等、コンプライアンス体制の強化に引き続き対応してまいります。
当社グループは、2024年7月の代表取締役の交代を機に、企業としての存在意義と中長期的な方向性を明確にするため、2024年10月にミッション・ビジョン・バリュー(以下、MVV)を新たに策定いたしました。
ミッション:お店を元気に、街を元気に!
ビジョン:①販売データの保有量で日本一 ②キャッシュレス化の推進 ③中小企業様におけるICT利用の促進
このMVVは、当社グループの事業活動が地域経済の活性化や中小企業の生産性向上、社会全体のデジタル化の推進といった社会課題の解決に資するものであり、サステナビリティの観点とも密接に関連しております。今後も、企業としての持続的成長と、社会における当社グループの存在意義を両立させるべく、以下の領域においてサステナビリティ対応を強化してまいります。
なお、文中の将来に関する記載は、当連結会計年度末時点において当社グループが合理的と判断した見通しに基づくものであります。
当社グループにおけるサステナビリティ関連のリスクおよび機会の監視・管理体制は、コーポレート・ガバナンス体制のもとで推進しております。取締役会が監督責任を担い、重要な課題については経営陣が適宜協議を行う体制を継続しております。
今後は、サステナビリティ推進体制の明確化を進めるとともに、経営における重要事項としての位置づけを強化すべく、必要に応じて社内横断的な対応体制の整備や、取締役会への定期的な報告プロセスの構築も検討してまいります。当社グループのコーポレート・ガバナンスの状況の詳細については、「
・人材戦略の位置づけと多様性の尊重
当社グループでは、「人財」の育成を経営上の重要課題と位置づけ、性別・年齢・国籍・ライフスタイルなどの多様な背景を持つ人材が能力を最大限に発揮できる組織づくりに取り組んでいます。多くの社員が多様な経験や専門性を有する中途採用人材で構成されており、その継続的な増員が当社の競争力の源泉の一つとなっています。
・IT人材の採用・育成と新卒戦略
販売・決済・勤怠・ECといった幅広いソリューションを提供するSaaS企業として、高度IT人材の確保と育成を重点戦略としています。新卒採用はエンジニア職に限定し、単なる書類選考や面接ではなく、実務経験・対話・育成を通じた相互理解に基づく採用を基本方針としております。具体的には、通年でのインターンシップ受け入れを通じて長期的な母集団を形成し、適切なタイミングで新卒としての採用につなげるモデルを構築しております。
・社内環境の整備
公正・透明な評価制度、副業制度、フレックスタイム、育児・介護支援制度などを通じて、社員一人ひとりの個性と強みを尊重したキャリア形成を支援しています。有給休暇取得率向上や男性の育児参加を推進し、すべての社員が働きがいや挑戦意欲を持ち続けられる環境整備に注力しています。
・サステナビリティ
当社グループのサステナビリティ方針および取組事例については、当社ウェブサイトにて公開しており、今後、重要課題(マテリアリティ)の特定や、社会的インパクトの定量化など、情報開示の充実に向けた体制整備を進めてまいります。
(
当社は、「リスク管理規程」に基づき、事業運営上の様々なリスクを網羅的に把握・管理する体制を整えております。
サステナビリティに関連するリスクについても、従来の財務・事業リスクと同様に、経営リスクとして捉え、必要な監視・対応を実施しております。気候変動や人的資本、サプライチェーン等に関する新たなリスク領域についても、今後の外部環境変化を踏まえて適切に評価し、開示の高度化を図ってまいります。
当社では、人的資本戦略の成果を可視化すべく、以下の数値目標を設定しております。
・インターンシップ受入人数:
2025年4月期末時点のインターン受け入れ人数は累計で10名となり、2030年4月期には年間80名程度の受け入れ規模を見込んでおります。実務経験を伴うインターンを起点とした育成・採用モデルの確立により、質の高いIT人材の安定的な確保を図ってまいります。
・有給休暇取得率及び男性の育児休業取得率
多様な人材が活躍できる社内環境整備方針の指標として、有給休暇取得率は60%以上、男性の育児休業取得率は50%以上を目標としております。
2025年4月期においては、有給休暇取得率は79.1%、男性の育児休業取得率は90.9%となりました。男性の育児休業取得率は、2025年4月期において配偶者が出産した総数に対して育児休業を取得した男性の人数から算出しておりますが、一部の社員が期をまたいで育児休業を取得していることから、その実績を考慮すると対象となる男性すべてが育児休業を取得しております。
今後も、人的資本に関する開示・目標管理の高度化を図りつつ、企業の持続的成長を支える基盤として取り組みを強化してまいります。
当社グループの事業の状況、経理の状況に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のあるリスク要因について次のとおり記載しております。また、必ずしも以下に記載するリスク要因に該当しない事項につきましても、投資判断上、重要であると考えられる事項につきましては、投資者に対する積極的な情報開示の観点から、以下に記載しております。当社グループにおきましては、これらのリスク発生の可能性を十分に認識した上で、発生の回避及び万が一発生した場合の迅速な対処に努める方針ではありますが、当社グループの株式に関する投資判断は、本項並びに本書における本項以外の記載内容も併せて慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであり、不確実性を内在しているため、実際の結果とは異なる可能性があります。
当社が運営するクラウド型POSレジ「スマレジ」におけるレジ機能は、Apple Inc.が展開するiOS(アイオーエス)上で稼働するアプリであり、本書提出日現在、当該アプリはiOS上でのみ動作いたします。現在、日本国内でのiOS端末のシェアはスマートフォン及びタブレット双方において上位に位置しておりますが、iOSを採用するタブレット等のシェアが下落した場合は当社の事業及び業績に影響を及ぼす恐れがあります。
また、クラウドサービス事業の基本となるアプリについては、Apple Inc.の規定の審査プロセスを通過してその配信を行っておりますが、プラットフォーム事業者であるApple Inc.の事業戦略の転換並びに動向によっては、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、自社サービスのユーザー確保及び事業拡大を図るに当たって、国内の企業を自社サービスの販売代理店として販売代理契約を締結し、販売促進に向けた協業を行っております。
販売代理店と当社グループとの関係は良好でありますが、今後取引の継続が困難になった場合、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、商品の保管、入出庫等に係る業務を株式会社マキシマム・アンド・アドバンテージへ委託しております。同社とは通信回線にてデータの授受を行っており、何らかのシステム障害にて通信回線が不能となった場合、入出荷業務に影響を及ぼす可能性があります。また地震やその他不可抗力等、仮に何らかの理由により同社からのサービスの提供の中断・停止が生じた場合、または同社との基本契約が終了し、もしくは変更され、当社がこれに適切な対応ができない場合等には、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、市場動向を注視し、顧客需要の変動に合わせた商品の仕入を行っており、急激な変動への対応を行うとともに余剰在庫の発生を抑制するよう努めておりますが、経済状況や市場動向の急激な変化により、需要が予想を大幅に下回る事態となった場合には、在庫が余剰となり、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、取引先各社との売掛取引に際しては、十分な与信管理の下で販売を行っておりますが、予期せぬ取引先の倒産等により貸倒れが発生した場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループは提供するサービスに係る利用料金について、クレジットカード決済及び銀行口座振替を利用できるようになっており、一部の決済代行会社に売掛金残高が集中する傾向があります。したがって、相手先のシステム不良等、何らかの事情によりサービス利用料金の決済に支障が生じた場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
クラウドサービス事業では、自社サービスの既存機能の向上や追加及びユーザーのニーズに合わせた継続的な商品開発を行っておりますが、技術革新や他社における既存のサービスを上回る新規サービスの出現があり、それらに対応若しくは差別化を図ることが困難な場合、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは主に、ウェブサイトを中心に集客活動(アカウント作成、問い合わせ、ショールーム予約等)を行っており、SEO対策(検索エンジン対策)やインターネット広告によりウェブサイトへの来訪者を増やすよう努めております。現在当社グループのSEO対策が功を奏しておりますが、検索エンジンやインターネット広告事業者等の何らかの問題により、検索結果順位の低下等が発生した場合や、インターネット広告による費用対効果が悪化した場合、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは成長戦略の一環として、自社サービスの強化及びスタートアップ企業の育成・支援を目的として「スマレジ・ベンチャーズ」の運営を行っております。投資等の対象としては、店舗向けソリューション全般を対象としており、IT関連で当社グループとの事業シナジーが見込まれる企業に投資しております。投資に関しては、投資リスク等を勘案したうえで決定しておりますが、投資先の経営環境・前提条件の変化等により投資先の財政状態及び経営成績が悪化した場合は、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
また、投資等に伴い計上される資産については、今後の事業計画との乖離や市場の変化等によって、期待されるキャッシュ・フローが生み出せない場合、減損損失を計上する可能性があります。
当社グループのクラウドサービス事業は、インターネットを介して商品を販売し、また自社サービス自体がインターネットの活用を前提としていることから、ブロードバンド環境の普及によりインターネット利用環境が今後も拡大していくことが事業展開の基本条件であると考えております。
今後モバイルとPCの両面でより安価で快適にインターネットを利用できる環境が整い、情報通信や商業利用を含むインターネット関連市場は拡大するものと見込んでおりますが、仮に新たな法的規制の導入、技術革新の遅れ、利用料金の改訂を含む通信事業者の動向など、予期せぬ要因によりインターネット関連市場の発展が阻害される場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは様々な業界にクラウドサービスの提供及びレジ周辺機器等の販売を行っておりますが、景気の変動により、顧客企業の倒産、新規出店の減少や店舗の閉鎖、また、インターネット関連市場の拡大に伴い、顧客の動向が変化し小売店等の衰退が生じた場合、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループは決済サービスの強化に取り組んでおります。電子決済市場は需要の高まりやEC市場の拡大に伴い順調に成長しておりますが、景気動向等を要因とした経済活動の縮小に伴う決済額や加盟店舗の減少等が起きた場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、クラウドサービス事業を主たる事業として展開しておりますが、当該分野においては参入障壁が低く、多くの企業が事業展開をしております。当社グループは、適切なユーザビリティを追求したサービスの提供、ユーザーの要望や常に最適な利用目的をかなえるための機能の改善や追加、更にはカスタマーサポートの充実等に取り組み、競争力の向上を図っております。また、決済サービスに関しても、複数の競合他社が存在しておりますが、「スマレジ」との連携により、包括的なサービス提供と品質管理の徹底に取り組んでおり、今後もスピーディーな事業展開と、開発体制の強化を進めていくことで他社との差別化を図ってまいります。
しかしながら、当社グループと同様のサービスを提供する他社との競争激化や、充分な差別化を図れなかった場合、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、サービス及びそれを支えるシステム、並びにインターネット接続環境の安定した稼働が、事業運営の前提であると認識しております。
当社グループの提供する自社サービスは、外部クラウドサーバー(Amazon Web Services、以下「AWS」といいます。)にてユーザーの企業情報及び個人情報をはじめとする情報や、自社サービスに関するシステムの全てを一括で管理することによってサービスを提供しており、AWSの安定的な稼働が当社の業務遂行上必要不可欠な事項となっております。そのため、当社グループではAWSが継続的に稼働しているかを監視するために、当該監視業務を外部委託しており、障害が発生した場合には当社グループの役職員に連絡が入り、早急に復旧するための体制を整えております。
また、AWSは、世界中に点在する複数の地理的リージョン(注1)及びアベイラビリティゾーン(注2)で運用されており、FISC安全対策基準(注3)を満たす安全性を備えております。さらに、社内では自社サービスの操作権限者の制限、ウィルス対策等、様々な危機対策を講じて運用を行っております。
しかしながら、AWSの不備や人為的な破壊行為、役職員の過誤、自然災害等、当社グループの想定していない事象の発生によるサービスの停止により収益機会の逸失等を招く恐れがあります。
このような事態が発生した場合には当社グループが社会的信用を失うこと等が想定され、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
前述のAWSは、AWSのコンサルティングパートナーであるクラスメソッド株式会社との契約により、利用をしておりますが、何らかの理由により、同社との利用に関する契約の解消や、契約内容の重大な部分に変更があり、自社サービスの提供に困難が生じた場合、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、自社サービスの提供のほか、他社システムとの連携によって業績及び認知の向上を図っております。システムの安定稼働のため、社内でのテスト運用をはじめとする品質管理を行っており、運用の安全性を確保していますが、万が一、想定していない範囲での作動により、自社サービスの稼働に問題を生じた場合や、他社システムとの連携に支障が生じた場合は、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
クラウドサービス事業は、電気通信事業法及び個人情報の保護に関する法律(以下「個人情報保護法」といいます。)等の規制を受けております。当社グループでは、顧問弁護士等を通じて新たな規制の情報を直ちに入手し対応するための体制を整えておりますが、今後、新たに当社グループのクラウドサービス事業に関する規制等の制定等又は改正が実施された場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループによる第三者の知的財産権侵害の可能性については、専門家と連携を取り可能な範囲で調査対応を行っておりますが、当社グループの事業に関する第三者の知的財産権の完全な把握は困難であり、当社グループが認識せずに他社の知的財産等を侵害してしまう可能性は否定できません。この場合、損害賠償請求や使用差止請求等により、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループは商標権を所有しており、第三者から侵害されないよう保護に努めておりますが、第三者による当社グループの権利に対する侵害等により、企業・ブランドイメージの低下、商品開発への悪影響等を招いた場合や、その対応のために多額の費用が発生した場合、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、提供するサービスに関連して多数の顧客企業の機密情報や個人情報を取り扱っております。これらの情報資産を保護するため情報セキュリティ基本方針を定め、この方針に従って情報資産を適切に管理、保護しております。また、当社は2018年11月にプライバシーマークを取得し、以後2年毎に登録を更新しており、従業員への教育、アクセス権限の設定、アクセスログの管理等、情報漏洩のリスクの回避を図っております。このような対策にもかかわらず重要な情報資産が外部に漏洩した場合には、当社グループの社会的信用の失墜、損害賠償請求の発生等により、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは持続的な成長のために、継続的に優秀な人材を確保することが必須であると認識しております。当社グループの競争力向上にあたっては、それぞれの部門について高い専門性を有する人材が要求されることから、一定以上の水準を満たす優秀な人材を確保し、人材育成に積極的に努めていく方針であります。また当社グループは、優秀な技術者を確保することがビジネスにおける重要課題であり、ソフトウエア開発の外部委託等も視野に入れながら人員の確保に努めております。しかしながら、優秀な人材の確保が困難となった場合や人材育成が計画通りに進まなかった場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、未だ成長途上にあると考えており、今後の事業及び経営成績を予測する上で必要な経験等が十分に蓄積されていないものと考えております。このため、今後の事業運営及び事業拡大に対応するため、内部管理体制について一層の充実を図る必要があると認識しておりますが、事業規模に適した内部管理体制の構築に遅れが生じた場合は、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、クラウドサービス事業、機器販売事業等を行っておりますが、将来何らかの事由の発生により、訴訟提起を受ける可能性があります。その訴訟の内容及び結果によっては当社グループの事業及び業績並びに企業としての社会的信用に影響を及ぼす可能性があります。
(注1)地理的リージョン
地理的に独立したサーバーの設置エリアのことをいいます。各リージョン同士は完全に独立しているため1つのリージョンで障害が発生しても他のリージョンには影響が出ない設計となっております。
(注2)アベイラビリティゾーン
リージョンの中の個々の独立したデータセンターの名称のことをいいます。
(注3)FISC安全対策基準
金融庁が金融機関のシステム管理体制を検査する際に使用する基準のことをいいます。
当社グループは、当連結会計年度より連結財務諸表を作成しているため、前連結会計年度との比較・分析の記載はしておりません。
(1) 経営成績等の状況の概況
当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
販売高前年同期比
(単位:千円)
※当第3四半期連結会計期間より四半期連結財務諸表を作成しているため、前事業年度は個別財務諸表における販売高を記載しております。
ARR推移
(単位:百万円)
※ARR:Annual Recurring Revenue(年間経常収益)は、各期末月のMRR(Monthly Recurring Revenue:月間経常収益)を12倍して算出しております。
※2025年4月のARRには、連結子会社の数値も含まれております。
当連結会計年度(2024年5月1日から2025年4月30日まで)における我が国経済は、高止まりする物価、国際情勢の不確実性など、様々な要因が複合的に作用し、全体として景気の力強さに欠ける状況が続きました。
当社POSシステムのメインユーザーである飲食等のサービス業界や小売業界におきましては、旺盛なインバウンド需要等がプラス要因となったものの、物価高による消費者心理の冷え込みと、人手不足による事業活動への制約が課題となっており、全体としては厳しい状況が続いております。
このような状況のなか、当社グループは、中期経営計画の最重要指標であるARR増大を目指し、積極的なM&Aを実行してまいりました。2024年5月には株式会社リグアより「レセONEプラス」事業を譲り受け、接骨院業界へのアプローチを強化しました。また、現場の真のニーズを知り、サービス開発に反映させることを目的として2024年6月にはドーナツの製造・販売を行う「TSUBAME DONUT」事業を譲り受けました。さらに、2024年12月にはオムニチャネル強化やEC事業者への販路拡大を目的として、株式会社ネットショップ支援室を子会社化いたしました。
その結果、当連結会計年度の連結売上高は110億円、中期経営計画の最重要指標であるARRは86億円を突破いたしました。
売上高については、商談時の積極的なクロスセル施策の実施による顧客単価の向上や新ショールーム移転開設や出張ショールーム施策による顧客との接触回数の増加、テレビCMをはじめとした多岐にわたるチャネルでの広告宣伝活動が奏功し、有料店舗数が増加したこと等により堅調に推移いたしました。
販売費及び一般管理費については、組織力の増強を目的とした積極的な採用活動による人件費の増加、ショールームの増設や拠点の移転に伴う賃借料等の増加、さらにM&Aの実行に伴うのれん償却費の計上などにより、全体として費用は増加しています。一方で、採用活動における採用費の効率化の推進や、拠点移転時に発生した資産除去債務の戻し入れが費用圧縮に寄与したことから、営業利益および経常利益は堅調に推移しております。
また、当第3四半期連結会計期間において連結子会社となった、株式会社ネットショップ支援室においても、売上高、利益が堅調に推移しており、グループ全体の業績に貢献しております。
以上の結果、当連結会計年度の業績につきましては、売上高は11,066百万円、営業利益は2,375百万円、経常利益は2,358百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は1,639百万円となりました。
なお、当社グループはクラウドサービス事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載は省略しております。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、5,912百万円となりました。
当連結会計年度末における各キャッシュ・フローの状況とそれらの増減要因は以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果獲得した資金は2,465百万円となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益2,358百万円の計上、預り金の増加額477百万円及び減価償却費の計上314百万円等により増加した一方で、法人税等の支払483百万円及び売上債権の増加額285百万円等により減少したものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は1,919百万円となりました。これは主に、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出904百万円及び有形固定資産の取得による支出515百万円等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果獲得した資金は82百万円となりました。これは主に、短期借入金の増加100百万円等によるものであります。
③ 生産、受注及び販売の実績
当社グループは、受注生産形態をとる事業を行っていないため、生産規模及び受注規模を金額及び数量で示す記載をしておりません。
また、販売の実績については、「①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。これらの連結財務諸表の作成にあたっては、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告数値に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、過去の実績等を勘案して合理的な見積りを行っておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果は、これらの見積りと異なる場合があります。
また、当社グループの連結財務諸表の作成に際して用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
② 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
(売上高)
当連結会計年度における売上高は、11,066百万円となりました。この主な要因は、クラウドサービス事業が継続的な成長を果たし、当社グループのサービス「スマレジ」のユーザー数の増加に加え、クロスセル施策の積極的な実施による顧客単価の向上等によるものであります。
(売上原価、売上総利益)
当連結会計年度における売上原価は、4,304百万円となりました。この主な要因は、売上高増加に伴う機器仕入高及びサーバー費用の増加に加え、労務費をはじめとした製造原価の増加によるものであります。
この結果、当連結会計年度における売上総利益は、6,761百万円となりました。
(販売費及び一般管理費、営業利益)
当連結会計年度における販売費及び一般管理費は、4,386百万円となりました。この主な要因は、組織力の増強を目的とした積極的な採用活動やショールームの増設及び拠点の移転に伴う賃借料等の増加、M&Aの実行に伴うのれん償却費の計上等によるものであります。
この結果、当連結会計年度の営業利益は、2,375百万円となりました。
(経常利益)
当連結会計年度における経常利益は、2,358百万円となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度における親会社株主に帰属する当期純利益は、1,639百万円となりました。
(資産)
当連結会計年度末における資産合計は、10,671百万円となりました。その主な内訳は、現金及び預金5,912百万円、無形固定資産1,360百万円であります。
(負債)
当連結会計年度末における負債合計は、3,004百万円となりました。その主な内訳は、預り金596百万円、未払法人税等575百万円、未払金481百万円であります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産合計は、7,667百万円となりました。その内訳は、資本金1,156百万円、資本剰余金1,184百万円、利益剰余金5,923百万円、自己株式597百万円であります。
④ 資本の財源及び資金の流動性について
当社グループの資金需要のうち主なものは、商品仕入やソフトウエア開発に係る人件費の他、販売費及び一般管理費(主に、人件費とそれに伴う営業経費等)であります。
経常的な運転資金や事業規模拡大による設備投資等につきましては、営業活動によるキャッシュ・フローを財源としますが、流動性リスクをコントロールするために、複数の金融機関との間で当座貸越契約を締結しております。
キャッシュ・フローの分析につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概況 ②キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。
経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」をご参照ください。
当社グループでは、現在の事業環境及び入手可能な情報に基づき最善の経営戦略を立案し、実行するよう努力しておりますが、当社グループの属するクラウドサービス事業は、開発技術のライフサイクルが早く、内容も多様化しております。また、提供するサービスについても、先端技術や市況の変化を捉え柔軟な事業展開が必要となり、競合他社との競争が激化することも予想されます。
そのような事業環境の中で、当社グループは、優秀な人材の確保と育成、商品力の強化等をもって、提供先数を拡大するとともに、サービスのクオリティも向上させるよう努力してまいります。
当社は、2024年12月13日開催の取締役会において、株式会社ネットショップ支援室の株式を100%取得し子会社化することを決議し、2024年12月18日付で株式譲渡契約を締結いたしました。また、2024年12月27日付で株式を取得いたしました。
詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(企業結合等関係)」に記載のとおりであります。
当社グループは、多様化する顧客要望へ対応するため、主にクラウドPOSレジ「スマレジ」を中心とした既存サービスの大幅な機能追加や、既存サービスに関連する新たなサービスの開発に取り組んでおります。
その結果、当連結会計年度における研究開発費の総額は
なお、当社グループはクラウドサービス事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載は省略しております。