第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 当社の経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下の通りであります。なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。

 

(1)会社の経営の基本方針

 当社は、「東海ソフトは顧客に信頼される誠実な企業である」、「東海ソフトは技術・商品を常に研く企業である」、「東海ソフトは社員に信頼される誠実な企業である」を経営理念とし、日本の製造業をソフトウエア技術で支えることを経営の中心として、以下の経営方針を掲げて事業を進めております。

1.顧客に価値を提供し続けるために、

・新しい技術への挑戦と提案を行います。

・トレンドを先取りしたビジネス展開を目指します。

・提案から開発・運用までのワンストップソリューションを提供します。

2.顧客・社員・社会すべてに信頼される会社であるために、

・高品質な製品と高信頼なサービスを提供します。

・良好な労働環境と安定雇用に努めます。

・コンプライアンス・セキュリティ・環境保全へ真摯に対応します。

 

(2)目標とする経営指標

 当社が目標とする経営指標は、営業利益率10%以上、自己資本当期純利益率(ROE)10%以上としております。当社事業であるソフトウエア受託開発及びソフトウエア開発に係る役務の提供は、開発に係る人材と営業利益が非常に強い関係を持っております。優秀な人材による高付加価値の開発案件の受注とプロジェクト管理力・品質管理力の向上が利益を生み、将来の利益につながる人材教育と新技術習得の余裕を生み出します。以上のことから、当社では利益の社員への還元と株主の皆様への還元を図るためにも収益力の向上を目標として、営業利益率を重要な経営指標としております。また、株主価値の最大化のため、強固な財務体質の維持に注力することを目標として、自己資本当期純利益率(ROE)を重要な経営指標としております。

 

(3)中長期的な会社の経営戦略

 ソフトウエア業を含む情報サービス業は、コンピュータ技術の劇的な進化と共に日本及び世界のあらゆる産業と共に拡大・成長し、また成長した産業のニーズに牽引される形で更に拡大・成長するという好循環の下に、発展を続けて参りました。当社事業のソフトウエア受託開発及びソフトウエア開発に係る役務の提供は、日本の製造業を支えることを目的に、製造業のお客様の製品開発、製造設備、生産システムの開発・導入に係るソフトウエア開発を行って参りました。日本の製造業はこの度の新型コロナウイルス感染症の拡大による厳しい事業環境の中予想を超える回復を果たし、今後はポストコロナを見据えた事業のデジタル化とりわけ製造現場におけるDXの対応に関心が移ってきております。当社は、全社を挙げてこれまで培った製造業向けの技術やソリューションノウハウに加えAI等の新しい技術の習得とこれを支える人材の採用と育成に努め、技術・品質・コストのあらゆる面で、日本の製造業を支えると共に国際社会が目指すSDGsの実現の一翼を担う企業としての自覚を持って社会に貢献して参ります。

 当社は、中期経営計画における中期経営目標として、「変革に挑み新たな安定と成長のステージへ」をスローガンに掲げ、以下の経営戦略の下、事業活動を進めております。

 

1.既存事業の強化・拡大(収益性・効率性の追求)

①組込み主要顧客と中核技術への更なる選択と集中

②公共関連事業での業種・業務分野の選択と集中

③製造・流通及び業務システム関連事業の拡大と効率化

2.新たな事業基盤の確立(新たな事業モデルの創造)

①製造業向けパッケージメーカーとの技術連携と協業

②IoT事業を起点とした産業界のDXの推進

③車載SPFをベースとした車載関連開発へのシフト

④関東地区への組込み開発・産業向け開発の事業展開

 

3.新技術・新事業の開拓と創出(中長期の成長)

①CASE関連開発による組込み事業の価値向上

②政府の掲げる「デジタルガバメント実行計画」へのチャレンジ

③トータルソリューションによる高付加価値なシステムの提案

4.生産体制の強化(品質と効率性の追求)

①ソフトウエア開発技術の競争力向上

②開発パートナーの開拓と協力関係の強化

③積極的な採用活動と社内教育体制の強化

 

(4)会社の優先的に対処すべき課題

 当社ソフトウエア開発事業の顧客を取り巻く経営環境は、製品の製造・販売から利用価値を売るサービス化(モノからコト)へと収益構造を変化させており、この変化は海外企業を先行者としグローバルな潮流となって、当社ソフトウエア開発事業の受注環境も大きく変化しております。

 なお、新型コロナウイルス感染症、ウクライナ侵攻等の地域紛争、中国の景気低迷、円安、物価高等の影響は、景気に左右されにくい当社の分野構成と多様な顧客構成により、その影響は軽微でありました。今後も引き続きその動向を注視して参りますが、世の中の流れはこうしたリスクに対処するため、生成AI、RPA(自動化ツール)、クラウド、AGV・AMR等のロボット技術へのシフトがより一層加速すると思われます。現在、製造業を中心に多くの企業はDXを活用した新たな事業環境の構築を活発化させておりますが、今後はこういった先端技術を取り入れながら、以下の取り組みにより中長期に業績拡大を図ると共に省人・省エネ・省資源を支えるソフトウエアシステム開発を通じて、持続可能な社会(SDGs)の実現に寄与して参ります。

 

①労働集約型企業から顧客事業協業型企業へ

 取引高の大きい既存・定常の顧客からの安定受注を継続すると共に、新規顧客からの受注拡大に必要な開発要員を確保するために技術者教育に注力し、新技術の習得と合わせリスキリングにより保有技術の多様化を図り、様々な開発案件に開発人材を柔軟かつ機動的に配置できるよう努めて参ります。また、新規顧客を開拓するために、当社のDX支援ソリューション「PlusFORCE」を強化し、営業と技術が一体となった受注体制の強化を図って参ります。加えて、既存の保守・準委任業務においてもシステムの開発・維持だけでなく、顧客の課題に広く目を向け、自社製品だけでなく他社の製品サービスを組み合わせた提案を実施し、顧客事業の成長をIT技術でサポートする企業を目指して参ります。

 

②人材育成と組織力向上

 各々の社員の力の総和が企業力です。売上100億円企業が目前に迫った今、この壁を超え更に高みを目指すためにも、今一度原点に立ち返り社員のキャリアパスと当社のビジョン・方針を合致させ、共に成長していく風土の再構築が必要となります。そのためにグループ制を採用しプロジェクトや個人の課題の把握とサポートをきめ細かく実施して参ります。

 また上記の人材育成のためには、その範となる上長の更なる成長が欠かせません。予算達成に向けての短期的な施策だけでなく、中長期的に部下と組織の成長を両立させるべく、ヒューマンスキル教育を強化し組織力の向上を目指すと共に、女性管理職の育成にも注力して参ります。

 

③生産体制の強化

 昨今のIT人材不足に対応するため、新卒はもとより第2新卒採用とキャリア採用を強化した結果、年間採用数の25%程度を占めるまでとなり、今後も更に強化して参ります。一方、パートナー活用においては、外注加工費が前期比27%増となり業績拡大に大きく貢献しました。今後更なる拡大のために重点パートナー施策にてWinWinの関係を構築し、請負パートナーの拡大を図って参ります。しかしながら昨今のシステムの大規模化・高度化・複雑化の流れに対応するには、量だけでなく質(スキル)の向上も喫緊の課題であり、技術者のマルチスキル化を早急に図り、顧客の要求に即座に対応できる機動力を培って参ります。

 またM&Aについても広く情報を収集すると共に実行体制の増強を図り、早急に実現させる様努めて参ります。

 

④BO(バックオフィス)機能強化

 ここ数年、新基幹システムの刷新、社内インフラの整備、人事制度の改訂、品質保証と社員教育の強化に取り組んで参りましたが、従来の定型業務に囚われずゼロベースで業務の効率改善を図ると共に、社員が働きやすい環境整備と内部統制の充実に努めて参ります。

 

⑤新技術の実用化に向けた取り組み

 昨今は、IoT・AI・クラウドコンピューティング・自動運転等の既に実用化された技術が、DXという広がりを持ったコンセプトとして社会の仕組みまでを変えてしまうような状況が進みつつあります。特に産業界DXの拡大は、当社のソフトウエア開発事業にとって大きなビジネスチャンスと捉えております。

 こうした時代の要請に応え事業の拡大を目指して、今後も新技術の習得に向け積極的な人材育成と共に、先ずは自社内で生成AIやRPA等の活用を図り、顧客への開発提案を加速して参ります。

 

⑥働き方改革の実践

 当社の従業員に対しては、政府の働き方改革の方針を受けた心身の健康とワーク・ライフ・バランスに配慮した労務管理を進めており、人的資本経営やSDGsを重視した経営の根幹を成すものと捉えております。具体的には、ノー残業dayの実施とその浸透、衛生委員会を通じた職場・労務環境の管理と整備、プロジェクトマネジメントの強化による工程遅れやトラブルに起因する残業の増加防止等の施策について全社を挙げて進めると共に、コロナ禍の下で試行し一定の成果を見ましたテレワークにつきましても、介護・育児等の諸事情に配慮し、新しい時代の働き方の可能性の一つとして、今後も進化させて参ります。

 

⑦サステナビリティへの対応

 当社は、国際的な取り組みであるSDGs(持続可能な2030年までの開発目標)の実現に向けて、社内でできることは当然のことながら、長年にわたる産業向けソフトウエア開発の経験とノウハウを活かし、「人が安全・安心して働ける製造現場」、「製造に係るエネルギーの削減」、「製造に必要な資源のムダの排除」等をお客様のシステム開発に適用し、製造業のお客様のSDGs実現を支えて参りました。また当事業年度におきましては、災害義援金、こども食堂への寄付等も実施し、今後も継続・強化して参ります。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取り組み】

 当社は、

「東海ソフトは顧客に信頼される誠実な企業である」

「東海ソフトは技術・商品を常に研く企業である」

「東海ソフトは社員に信頼される誠実な企業である」

を経営理念とし、日本の製造業をソフトウエア技術で支えることで、人々が豊かで幸せに生活できる社会と社会が持続的に発展する未来の実現を目指して事業を推進しております。

 当社では、2022年6月にサステナビリティ戦略室を発足し、サステナビリティ社会の実現に向け当社が取り組むべき経営の方針を取り纏め、2023年7月に「サステナビリティ基本方針」として制定、ホームページへ公開いたしました。以下に、当社のサステナビリティに関する考え方及び取り組みを記載いたします。なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。

 

(1)ガバナンスとコンプライアンス

①ガバナンス

 当社の経営理念を実現するためのコーポレート・ガバナンスの強化として、社外取締役である監査等委員で構成される監査等委員会による取締役会の監督機能の強化及び独立した組織である内部監査室による、業務執行の有効性、違法性のチェック・管理を通して、経営の効率化、組織の健全化に取り組むと共に、経営管理本部経営企画室が経営の透明性を高めるために、株主や投資家に対して決算や経営政策の迅速かつ正確な公表や開示に取り組んでおります。なお、当社コーポレート・ガバナンスの詳細につきましては、「第4 提出会社の状況 4コーポレート・ガバナンスの状況等」に記載の通りであります。

 

②コンプライアンス

 当社は、上場来「東海ソフトCSRガイドライン」を定め、企業の社会的責任について、社員が守るべき事項と行動の指針を明らかにし、ホームページへ公開しております。また、公平公正な取引を行うための指針としてより具体的な事項を掲げた「東海ソフトコンダクトガイドライン」を定め、社内ホームページに掲載し、社員へ周知しております。

 

(2)戦略

 当社は、ソフトウエア開発事業を通じて、製造・流通業を中心に自動車産業や社会インフラを支える様々なお客様へ最適なソリューションを提供し続けることで、社会への価値の提供と省エネ・省資源を中心とした持続可能な社会の実現に貢献しております。

①人材育成

 ソフトウエア開発事業において、経営の最重要課題は人材育成であります。当社は、採用の段階から、優秀かつ当社事業に合った人材の確保に力を入れており、当社事業に関する情報を正確かつ丁寧に応募者へ伝え、入社後のやりがいや自身の成長の助けとしております。社員教育におきましては、入社前の自習教材の提供、入社後のオリエンテーション及び社会人研修、プログラミング技術教育(2か月)を実施し、配属後は配属先ごとのプログラミング技術・業務知識の教育を行い、事業ドメインに合ったスキルの獲得に力を入れております。また、ビジネススキル・ヒューマンスキルの向上を目的として、全社員が自主的に受講できる外部教育も導入し、社員の総合力を高めることに努めております。一定の経験を積んだ中堅のエンジニアについては、必要に応じクロスススキリングの機会を設け、個人の能力と経験の幅を広げると共に、組織の開発力の向上にも努めております。

 人材の育成は、教育に加え人事制度の役割が重要であるとの観点から、賃金を含む人事制度の見直しを進め、人事制度を通じ会社が目指す方向と人材像を明らかにし、社員のエンゲージメント向上に役立てて参ります。

 

②人権と多様性の尊重

 当社は、上場来「東海ソフトCSRガイドライン」を定め、人権尊重を盛り込み全社員に周知しておりますが、今後は社員と当社と関係のある皆様の人権と個性を大切にするという「サステナビリティ方針」に基づき、LGBTQ+や障がいのある方々等への合理的配慮、男女共同参画の推進等、すべての社員にとって働きやすい環境づくりを確立し、ダイバーシティ社会の実現に向け取り組みます。

 

③健康経営

 当社は、社員の健康を重要な経営方針の一つであると捉え、ワークライフ・バランス推進等により、社員の健康の保持・増進と生産性向上を推進します。ワークライフ・バランス推進の施策としまして、コロナ禍により導入されたリモートワークはその有効性を評価しつつ働き方改革の一つとして今後も試行を続けます。子育て支援や介護支援のための時短勤務、完全週休2日制の導入、ノー残業デー(週1日)の実施等、社員及び家族の健康課題に即した取り組みを推進しております。

 

④協力会社との連携

 ソフトウエア開発事業における生産体制の強化として、ソフトウエア開発の協力会社の開発協力は不可欠であります。当社は、当社社員同様、協力会社社員の教育・研修等の施策を実施し協力会社との協力関係をより強固なものにするために努めて参ります。

 

⑤セキュリティ

 当社は、情報産業に属する企業の責務として、自社及びお客様についても、個人情報をはじめとする企業情報漏洩についてリスクと対応の重要さを認識しております。万一の重大な事故を防ぐ目的で社内のセキュリティインシデントについて、軽重に関わらず報告と評価を行い、リスクの洗出しと対策に努めております。また、社内のネットワークインフラに関しましては、サイバーセキュリティとデータセキュリティの両面について社内有識者による委員会を開催し自主点検を行うと共に、外部機関によるセキュリティ診断(年1回)を受け、情報技術に関わる企業として、セキュリティ面で信頼される企業であるよう努めております。

 なお、当社が取得済みの認証は次の通りであります。

  ・プライバシーマーク

  ・ISO9001(品質マネジメントシステム)

  ・ISO/IEC27001(情報セキュリティマネジメントシステム)

 

⑥気候変動対策

 政府は2050年までにカーボンニュートラルを目指すことを宣言し、2030年度の温室効果ガスの削減目標を表明しました。当社は、ソフトウエア受託開発という事業の特性上、当社事業が直接気候変動へ与える影響は現時点で軽微であると判断し、現時点では温室効果ガス排出量の把握を行っておりません。一方、当社事業である産業界のお客様向けソフトウエア開発におきましては、お客様製品の省エネ・省資源、お客様の製造現場の省エネ・省資源に関する開発を数多く手掛けており、お客様事業を通じて温室効果ガスの削減に努め、気候変動対策の一翼を担わせていただいております。今後は、自社が排出する温室効果ガスの計測も視野に、継続して排出量削減に向けた取り組みを検討して参ります。

 

(3)リスク管理

 当社は、サステナビリティに関する事項を含むリスク管理が経営の重要課題であることを認識し、「リスク管理規程」を定め、規程の下、リスク・コンプライアンス委員会を設置し、当社事業に係るリスクについて、適宜評価を行い社会、経済環境、当社事業の変化に合わせ見直しを続けております。識別・分析・評価された具体的なリスクは都度対策が検討され実施されており、重要なリスクについては取締役会で報告されております。特に「人的資本」に関する項目への対応の重要性を高く捉えており、今後も積極的に取り組んで参ります。

 

(4)指標及び目標

 当社として、気候変動に関するリスク及び機会に関する実績を長期的に評価、管理及び監視するために用いられる重要な指標や目標は、当社の事業に直接的重大な影響を及ぼすことは少ないと考えているため、現時点では特に定めておりません。引き続き当社の中長期的な検討課題と捉え、事業環境の変化や年次で行っているリスク項目の見直しにおいて必要と認められた場合には、適時に必要な指標及び目標等を定めるものとしております。

 

<人的資本に関する指標>

 当社における現時点の女性管理職の人数は0人でありますが、今後多くの女性が当社の中核人材として活躍することを実現するため取り組みを進めており、女性社員の比率向上に加え、リーダーや管理職を担う社員も増加してきております。取り組みについては、多様性の確保と女性を含む様々な特性を持つ人材が活躍できるフィールドの提供として、男女の区別なく当社事業に貢献できる人材の採用、また、女性活躍の推進と性別に関わらず柔軟な働き方を選択できる環境づくりとして、男性の育児休業取得を奨励しております。

 当社の指標及び目標と、実績は以下の通りであります。

指標

目標

実績(%)

管理職に占める女性労働者比率

2025年度期初までに3

新卒採用に占める女性比率

毎年25

20.9

男性労働者の育児休業取得率

毎年30

42.9

 

3【事業等のリスク】

 当社の事業その他に関するリスクについて、投資家の判断に影響を及ぼす可能性があると考えられる主なものとしては、以下の内容が挙げられます。また、必ずしもそのようなリスク要因に該当しない事項についても、投資家に対する積極的な情報開示の観点から、以下に開示しております。なお、すべてのリスクを網羅している訳ではありません。また各リスク以外にも、現時点では予測できないリスクの発生により、当社の経営成績等が影響を受ける可能性があります。当社では、下記で各リスクに関する記載の中の対応等を講じておりますが、それらの対策が当社の意図する通りに実現できない可能性もあります。

 当社では、リスク・コンプライアンス委員会にて事業その他に関する様々なリスクを抽出して「発生頻度・影響度」にて重要性を評価し「重要リスク一覧表」として明確化した上で、対応策を策定し取り組んでおります。

 リスク分類はリスクが与える影響として、①事業活動への悪影響、②財務状況への悪影響、③信用の失墜、④損害賠償を識別しております。

 なお、本項においては、将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は当事業年度末現在において当社が判断したものであります。

 

リスク分類

リスクの内容

主な取り組み

①事業活動への悪影響

②財務状況への悪影響

「景気変動によるリスク」

 当社事業であるソフトウエア受託開発及びソフトウエア開発に係る役務の提供は、景気の影響を受けやすい傾向にあります。国内外の政治・経済の大幅な変動及び地震等の広域大規模災害・パンデミック等による国内外景気の大幅な悪化により、顧客企業における事業縮小・撤退及び設備投資・製品開発・情報システム等の計画見直しや縮小による受注・売上の減少は、当社の業績や財政状態に影響を与える可能性があります。

 

 当社では、営業及び技術部門が収集した情報や政府発表の景気動向指数等指標から景気情勢の的確な把握に努め、景気悪化に迅速かつ的確な対応をとることで当社の業績や財政状態に与える影響の抑制に努めております。また組込み関連事業、製造・流通及び業務システム関連事業、金融・公共関連事業の3つの事業分野を有しており、事業領域を分散しバランスをとることにより業績の安定化を図っております。

①事業活動への悪影響

②財務状況への悪影響

「大口顧客依存に関するリスク」

 当社の各事業部門には、それぞれ大口取引先が存在します。大口取引先の事業方針及びソフトウエア開発投資計画の変更など、何らかの理由により、大口取引先との取引が終了又は大幅に縮小した場合には、当社の業績や財政状態に影響を与える可能性があります。

 

 当社では、大口取引先との取引関係を継続するために、顧客の開発及び品質手法の習熟に努め、品質・コスト・納期等に対する顧客満足度の向上を通して信頼関係の維持に努めると共に、新規顧客開拓を進めることにより顧客基盤の拡大に努めております。

①事業活動への悪影響

「協力会社依存に関するリスク」

 当社は、生産性向上及び外部企業の持つ専門性の高いノウハウ活用等の目的で、受託したシステム開発における一部プログラム作成業務を協力会社(外注先)に外部委託又は派遣による役務の提供を受けることがあります。また、協力会社への委託は、受注の機会損失を無くし顧客要請への迅速な対応を可能にすることから、当社の事業拡大において協力会社の確保や良好な取引関係の維持は不可欠であります。今後、協力会社技術者の需給バランスの変化による、協力会社の要員の確保難や発注価格の高騰等が、当社の業績に影響を与える可能性があります。

 

 当社では、協力会社社員の教育・研修等の施策を実施し協力会社との協力関係をより強固なものにするために努めております。また新規協力会社の開拓に取り組むための専門の部署を設けて、既存の取引先との関係強化及び新規取引先の開拓を進め、優秀な技術者の確保に努めております。

①事業活動への悪影響

「人材確保のリスク」

 当社事業の継続、拡大、及び付加価値向上において、一定水準以上のスキルを有する優秀な技術者の確保は不可欠なものであります。しかし、こうした技術者の獲得競争は年々厳しさを増し、収益の要となるプロジェクトマネジメント技術を有する技術者の育成にも時間がかかるのが現状であります。こうした中で、景気変動をはじめ諸般の事情により採用人員が計画数を大きく下回った場合及びプロジェクトマネジメントやプロジェクトを支える技術の要となる従業員が離職した場合には、ソフトウエア開発力の低下を招き、当社の業績に影響を与える可能性があります。

 

 当社では、新人・中途採用を問わず計画的かつ継続的に人材の採用と育成を行い技術者の要員確保及び技術レベルの向上に努めております。また、優良な協力会社の開拓と関係維持に努め外部人材の活用にも積極的に取り組んでおります。

 

 

リスク分類

リスクの内容

主な取り組み

①事業活動への悪影響

「価格競争に関するリスク」

 当社の属する受託ソフトウエア開発業界は、価格による差別化が競争優位を確保する大きな要因の一つであります。今後はソフトウエア開発のグローバル化による海外企業を交えた価格競争や開発効率の向上による価格競争が激化することが予想されます。こうした競合相手との価格競争による受注の減少や収益性の低下等が当社の業績に影響を与える可能性があります。

 

 当社では、価格競争に対して継続的なプロジェクト管理や品質管理の強化を通じて、開発効率の向上に努め開発コストの低減を進めると共に、価格競争に左右されない新しく高度なソフトウエア技術の習得等により、常に収益性の向上に努めております。

②財務状況への悪影響

③信用の失墜

「不採算プロジェクト及びトラブル・クレーム発生に関するリスク」

 ソフトウエアによるシステム開発においては、開発規模の大型化、顧客の要求の高度化、複数のメーカーのソフトウエア製品を組み合わせて活用するソフトウエアのオープン化の進展等によるシステムの複雑化が進み、開発の難易度がますます高くなっております。顧客の要求するシステムに係る開発は、社会的にも重要性が高く、納期厳守と高い品質の確保が要求されるため、これらシステム開発における品質や納期遅延の問題は、顧客の信頼を失うと共に大きな赤字を計上するだけでなく、顧客との間でトラブル・クレームとなり訴訟や商流の喪失・風評被害につながる可能性があり、結果として当社の業績に影響を与える可能性があります。

 

 当社では、PMBOK等の工程管理手法を活用し、商談発生時から納品、検収までのプロジェクトの進行を監視することで、品質の保持、生産性の維持に努めております。またプロジェクトの振り返りにより品質改善や生産性向上に取り組み、システム開発における品質不良や納期遅延による赤字計上の業績への影響や顧客満足度の低下の抑制に努めております。

①事業活動への悪影響

③信用の棄損

「労務管理のリスク」

 ソフトウエアによるシステム開発は、知識集約型かつ労働集約型の業務であります。また、顧客の要求するシステムに係る開発は、社会的な重要性が高く、納期厳守と高い品質の確保が要求されるため、ソフトウエア開発に当たるエンジニアへの負担が増加するケースが多く、精神的なストレスや長時間労働による健康問題につながる可能性があります。

 また、予想外のトラブルや開発環境等の変化により、一時的に特定の従業員に業務負荷がかかるリスクがあります。こうした状況が労務問題に発展した場合には、他の従業員の士気の低下をはじめ、風評被害を含む社会的・法的問題につながり、結果として当社の業績に影響を与える可能性があります。

 

 当社では、政府の掲げる働き方改革の方針を受け、過重労働の撲滅を最重要課題とし、総務人事部主催による各部門の部長以上が参加する衛生委員会を毎月開催し、残業時間をはじめ常に従業員の健康に配慮した労働環境の整備に努めております。

①事業活動への悪影響

②財務状況への悪影響

③信用の棄損

④損害賠償

「法的規制に関するリスク」

 当社は、法令等を遵守しておりますが、法的規制の変更があった場合や法令に違反した場合等において、当社が的確に対応できなかった場合には、当社の事業活動が制限されると共に、社会的な信用の失墜や損害賠償等により当社の業績や財務状況に影響を与える可能性があります。

 

 当社では、顧客先に社員を派遣してシステム開発等を行う場合があります。当社は「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律」を遵守し、労働者派遣事業者として監督官庁への必要な届出を行っております。前記の他法令等を遵守する取り組みの一つとして、内部統制を確立させることで、法令他、その他独自のルール違反について未然に防ぐ仕組みを整備し、運用しております。また、社員の行動指針において法令遵守と違反時の罰則を明記し内部通報制度を設け、内部監査室、監査等委員、社外顧問弁護士等と連携して、法令遵守に努めております。

①事業活動への悪影響

②財務状況への悪影響

③信用の棄損

④損害賠償

「知的財産権に関するリスク」

 近年のソフトウエア開発は、多様化・複雑化しており、商業用に開発されたものではなく、比較的自由に参照・利用できるソフトウエアであるオープンソースの利用等により、当社の認識の範囲外で他者の所有する著作権及び特許権を侵害する可能性があります。このように、第三者の知的財産権を侵害してしまった場合、多額の費用負担の発生や損害賠償請求を受けるなど、当社の業績や財政状態に影響を与える可能性があります。

 

 当社では、ソフトウエア開発等において、他社の所有する著作権及び特許権を侵害しないように、著作権管理規程を整備した上で開発者に対し十分な啓蒙活動を行うと共に、営業会議・幹部会議等においても該当する事案がないか常に注意を払っております。

 

 

リスク分類

リスクの内容

主な取り組み

①事業活動への悪影響

「自然災害に関するリスク」

 気候変動に伴う大型台風や洪水、大型地震などの大規模な自然災害により、当社や当社の主要顧客が被災した場合、

①当社顧客事業所や当社及び当社開発担当者の被災による、顧客のIT投資計画及び製品開発計画の延伸や中止による受注・売上の減少

②開発関連資料やソースコードの棄損による既受注案件の納期遅延や開発スケジュールの混乱によるトラブルの発生

③当社及び協力会社社員が被災した場合における、新規開発受注の機会損失及び既受注案件の納期遅延や開発スケジュールの混乱によるトラブルの発生

が当社の業績や財務状態に影響を与える可能性があります。

 

 当社では、営業会議・幹部会議・取締役会におきまして平時より顧客及び業界を取り巻く環境について広く情報を集め議論しており、災害発生時におきましても同様の手段により顧客、協力会社と当社の被害状況について共有・議論を行って参ります。また災害により移動が困難な場合におきましても十分なコミュニケーションが保てるようリモートアクセス環境を整えております。個別の対応につきまして、災害によるプログラムコード等の重要なデータにつきましては、2拠点間の相互バックアップを行いデータの安全性を確保しております。また、従業員の安全を確保する目的で大規模災害時の対応マニュアルを整備し、社内に周知しております。

①事業活動への悪影響

②財務状況への悪影響

③信用の棄損

「不適切な会計処理に関するリスク」

 当社は、顧客の情報システムや顧客の製品開発等に係るソフトウエア開発の受託開発及び開発に係る技術者の派遣(役務の提供)を事業としており、その成果物は一般にソフトウエアプログラムという無形物であります。当社は上場企業として会計監査人の監査により当社会計処理の評価・指導を受けると共に、社内におきましても内部統制制度の整備・運用に努めておりますが、個々のソフトウエア開発案件におきまして、原価が正しく賦課されていない場合や収益認識に関する会計基準に従わない売上等の計上が行われこれが看過された場合には、有価証券報告書の虚偽記載等の事案を引き起こし当社の信用を損ない、当社の事業や資金調達等に影響を与える可能性があります。

 

 当社では、当社事業がソフトウエア開発という無形物を成果とし、その開発工程が可視化されにくいという特性を十分に理解し、工程及び原価管理システムを自社開発し長年にわたり個々のソフトウエア開発案件の個別原価や工程進捗の可視化に努めて参りました。また内部統制制度の整備・運用におきましても事業の特性を意識した統制を行い、ソフトウエア開発事業に係る適切な会計処理に努めております。なお、2022年5月期の期首から適用されております「収益認識に関する会計基準」につきましても、社内関係部署への周知と教育を行い適切に対応できる体制を整えております。

①事業活動への悪影響

②財務状況への悪影響

③信用の棄損

④損害賠償

「情報等漏洩のリスク」

 当社は、顧客の情報システムや顧客の製品開発等に係るソフトウエア開発を行うに当たり、顧客の個人情報、機密情報、及び重要な顧客情報等を含んだ情報資産を取り扱っております。万が一にも、当社又はその協力会社(外注先)より顧客情報資産の漏洩が発生した場合は、顧客からの損害賠償請求や当社の信用失墜等により、当社の業績や財政状態に影響を与える可能性があります。

 

 当社では、顧客情報資産の漏洩、紛失、破壊のリスクに対処するために、ISMSの認証やプライバシーマークの認定を取得すると共に外部機関に当社ネットワーク等のセキュリティ診断を依頼しセキュリティに係るリスク低減に努めております。また、社内においては各部門担当者と管理者で構成される情報セキュリティ委員会を設置し、従業員教育及び各種の情報セキュリティ対策を講じ常に情報漏洩のリスクの回避に努めております。

①事業活動への悪影響

「情報システムに関するリスク」

 当社は、業務効率化や社内情報共有のため、情報システムを構築・運用しておりますが、外部からの予期せぬ不正アクセスやコンピュータウイルス侵入、自然災害・事故等による情報システムの深刻なトラブルが発生した場合には、業務効率性の低下を招く他、被害の規模によっては、当社事業の継続に影響を与える可能性があります。

 

 当社では、顧客情報資産の漏洩、紛失、破壊のリスクに対処するために、ISMSの認証やプライバシーマークの認定を取得すると共に外部機関に当社ネットワーク等のセキュリティ診断を依頼しセキュリティに係るリスク低減に努めております。また、社内においては各部門担当者と管理者で構成される情報セキュリティ委員会を設置し、従業員教育及び各種の情報セキュリティ対策を講じ常に情報漏洩のリスクの回避に努めております。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次の通りであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況

 当事業年度の我が国経済につきましては、新型コロナウイルス感染症がほぼ収束したことから、経済社会活動の正常化が進み景気は底堅く推移して参りました。一方で、ロシアによるウクライナ侵攻長期化による原材料・エネルギー価格の高騰が輸入物価や消費者物価に影響を与え、世界的にはインフレ抑制のための金融引き締めに舵を切る中での海外景気の動向及び日本経済への影響に対し引き続き注視する必要があります。

 当事業年度における当社の属するソフトウエア業界は、競争力の強化を狙う製品開発や設備投資のデジタル化(DX)の動きは継続し、顧客企業のSDGsの関心の高まりと合わせて今後も大きく増加する傾向にあり、関連する当社事業分野におけるソフトウエア開発に係る需要は、当事業年度末まで旺盛な状況を維持し当社事業への追い風となってきました。当社は今後も経営を取り巻く環境の変化を注視しながら、国内企業のシステム投資意欲の高まりを商機と捉え事業の拡大を目指して参ります。

 当事業年度における各事業分野の事業の状況と取り組みについて、以下に記載いたします。

1)組込み関連事業につきましては、大手自動車メーカーが掲げるソフトウエアファーストの推進(内製化)により、車載向け組込み関連開発の需要は一時的に鈍化に転じましたが、CASE(繋がる車・自動運転・カーシェア・電動化)分野開発は国内自動車メーカーにとっては最重要テーマであるため、当事業年度に入り再び拡大する動きを見せております。今後はCASE分野を中心に更なるスキル習得と開発体制強化を進め、主要顧客の開発計画や予算の執行状況等に十分な注意を払いながら業績拡大を目指して参ります。民生・産業機器に係る組込み関連開発においては、デジタル家電メーカーの次世代製品開発が大きく拡大し、車載向け組込み開発の伸び悩みを補うだけでなく、組込み関連事業全体の業績拡大に大きく貢献しました。今後は高度化・複雑化する顧客の要求に応えるべく、開発要員のマルチスキル化を推進し、更なる業績拡大を目指して参ります。

2)製造・流通及び業務システム関連事業については、国内製造業・物流業の競争力強化や業務効率化を目的とした事業のデジタル化のためのシステム投資は継続して活発な状況にあり、当該関連開発の売上は順調に推移いたしました。今後も事業のデジタル化とSDGsの関心の高まりによる企業の取り組みは更に加速し、未来を見据えたDX関連の投資は高い水準を保っていくと思われます。当社は現在の事業環境を商機と捉え、DX支援ソリューション「PlusFORCE」の活用等、提案活動の強化と、当該関連開発の開発体制の強化と集中により、業績の拡大を目指して参ります。

3)金融・公共関連事業については、引き続き公共関連開発を一次請けする国内大手SIerと当社の良好な関係を軸に、大型案件の機能強化や改修を積極的に受注したことにより、開発案件の売上は大幅に伸長しました。今後も既開発案件の改修・強化や2021年9月に新設されたデジタル庁が推進する「行政のデジタル化(デジタル・ガバメント実行計画等)」の関連案件等、顧客やパートナー企業との信頼関係を築きながら安定的・継続的な受注・売上を確保して参ります。

4)全社的取り組みについては、品質管理に関しまして、引き続き手法の進化と体制強化によるトラブルの再発防止・未然防止に努めたことで、生産性向上と収益面の改善に効果が得られました。また、労働集約型の産業であるソフトウエア業にとって課題であるIT人材の不足については、人材確保のための新卒・キャリア採用やM&Aに対する投資強化、パートナー企業との関係性強化及び成長分野への人材シフトや事業環境の変化・新しい技術の流れへの対応を目的とした開発者のリスキリング等の教育投資強化に引き続き努めて参ります。

 当社はソフトウエア開発事業の単一セグメントであるため、当社事業区分別の業績について、以下に記載いたします。

 

<組込み関連事業>

 事業環境は引き続き堅調に推移している中、民生・産業機器に係る組込み関連開発において製品開発・改良に係る開発需要は活発な状況にあり、組込み関連事業の売上高は、3,152,938千円(前期比20.3%増)となりました。

<製造・流通及び業務システム関連事業>

 国内の製造・流通業における設備投資や関連する製造関連業務システム開発は、事業のデジタル化のためのシステム投資は継続して活発な状況にあり、製造・流通及び業務システム関連事業の売上高は、4,080,204千円(前期比2.9%増)となりました。

<金融・公共関連事業>

 公共関連開発に係る受注及び売上は堅調を維持し、前事業年度の不採算案件の影響が解消され、かつパートナー活用の拡大により、金融・公共関連事業の売上高は、1,505,400千円(前期比33.2%増)となりました。

 以上の結果、当事業年度の売上高は8,738,542千円(前期比13.2%増)、営業利益は1,004,514千円(前期比16.2%増)、経常利益は1,006,360千円(前期比16.6%増)、当期純利益は736,310千円(前期比18.0%増)となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況

 当事業年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前事業年度末に比べ223,765千円増加し、1,699,315千円となりました。

 当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次の通りであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 当事業年度において営業活動の結果獲得した資金は、737,053千円(前事業年度は12,716千円の収入)となりました。これは主に、税引前当期純利益が1,006,360千円あった一方で、売上債権及び契約資産の増加額が378,394千円、法人税等の支払額が210,880千円あったことによるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 当事業年度において投資活動の結果使用した資金は、36,958千円(前事業年度は33,534千円の支出)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出が31,285千円、無形固定資産の取得による支出が3,366千円あったことによるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 当事業年度において財務活動の結果使用した資金は、476,329千円(前事業年度は385,389千円の支出)となりました。これは主に、長期借入金の返済による支出が329,580千円、配当金の支払額が142,806千円あったことによるものであります。

 

③生産・受注及び販売の実績

a.生産実績

 当社は、ソフトウエア開発事業の単一セグメントでありますので、セグメント別の記載に代えて、当社事業戦略上の事業区分別に記載しております。

 

事業区分

当事業年度

(自 2023年6月1日

  至 2024年5月31日)

前年同期比(%)

組込み関連事業(千円)

2,404,856

119.1

製造・流通及び業務システム関連事業(千円)

2,979,834

104.1

金融・公共関連事業(千円)

1,163,609

133.9

合計(千円)

6,548,301

113.9

(注)上記の金額は製造原価によっております。

 

b.受注実績

 当社は、ソフトウエア開発事業の単一セグメントでありますので、セグメント別の記載に代えて、当社事業戦略上の事業区分別に記載しております。

 

当事業年度(自 2023年6月1日 至 2024年5月31日)

事業区分

受注高(千円)

前年同期比(%)

受注残高(千円)

前年同期比(%)

組込み関連事業

3,148,236

118.5

452,756

106.5

製造・流通及び

業務システム関連事業

3,971,008

92.2

1,098,157

92.0

金融・公共関連事業

1,464,749

126.8

214,700

97.0

合計

8,583,995

105.7

1,765,614

96.0

(注)上記の金額は、「収益認識に関する会計基準」等によらず、ソフトウエア開発又はソフトウエア開発に係る役務提供が完了した時点での金額を記載しております。

 

c.販売実績

 当社は、ソフトウエア開発事業の単一セグメントでありますので、セグメント別の記載に代えて、当社事業戦略上の事業区分別に記載しております。

事業区分

当事業年度

(自 2023年6月1日

  至 2024年5月31日)

前年同期比

(%)

組込み関連事業(千円)

3,152,938

120.3

製造・流通及び業務システム関連事業(千円)

4,080,204

102.9

金融・公共関連事業(千円)

1,505,400

133.2

合計(千円)

8,738,542

113.2

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次の通りであります。なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。

 

①重要な会計方針及び見積り

 当社の財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成に当たりまして、経営者により、一定の会計基準の範囲内で、かつ合理的と考えられる見積りが行われている部分があり、資産・負債、収益・費用の金額に反映されております。これらの見積りについては、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、見積りには不確実性が伴うため、実際の結果はこれらの見積りと異なる場合があります。

 なお、財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載の通りであります。

 

②当事業年度の経営成績の分析

 「(1)経営成績等の状況の概況 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載の通りであります。

 

③経営成績に重要な影響を与える要因について

 当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性のあるリスクにつきましては、「3 事業等のリスク」に記載の通りであります。

 

④資本の財源及び資金の流動性についての分析

a.資金需要

 当社の主な資金需要は、運転資金、借入の返済及び利息の支払い、並びに法人税等の支払等であります。

 

b.資金の源泉

 当社は、必要な資金を主として営業活動によるキャッシュ・フローである自己資金により充当し、負債と資本のバランスに配慮しつつ必要に応じて金融機関からの借入を実施しております。

 

c.キャッシュ・フロー

 「(1)経営成績等の状況の概況②キャッシュ・フローの状況」に記載の通りであります。

 当社の事業活動により生じた利益につきましては、手元資金、成長投資、株主還元の順に優先順位を置きながら当社の事業環境や成長ステージを考慮しつつバランスよく運用・活用して参ります。当社事業の運営及び維持拡大に必要な運転資金となる手元資金と研究開発や設備に必要な成長投資につきましては、原則的に営業キャッシュ・フローの範囲で賄っておりますが、資金需要の季節性に配慮し金融機関からの借入も併せて対応しております。

 なお、事業拠点の取得等の高額な設備投資やM&A等の資金につきましては、内部留保に加え増資や金融機関からの借入等により賄って参ります。

 株主還元につきましては、手元資金、成長投資を優先させた上で配当性向の目標を20~30%とし、安定的な株主還元に努めて参ります。

 

⑤経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社事業におきましては、事業の効率性・収益性が営業利益率と非常に強い関係があることから、営業利益率を重要な経営指標としております。2024年5月期の営業利益率は11.5%であり、2023年5月期の11.2%に比べ0.3ポイント増加しました。また、株主価値の最大化のため強固な財務体質の維持に注力することとし、自己資本当期純利益率(ROE)を重要な経営指標としておりますが、2024年5月期の自己資本当期純利益率は14.7%であり、2023年5月期の14.2%に比べ0.5ポイント増加しました。

 主な理由として、国内製造業・物流業の競争力強化や業務効率化を目的とした事業のデジタル化のためのシステム投資は継続して活発な状況であること、また民生・産業機器に係る組込み関連開発において、企業の中長期的な競争力の要である製品力強化を目的とする製品開発・改良に係る開発需要が活発な状況にあることが、収益性に影響したと考えております。

 

⑥当事業年度末の財政状態の分析

(資産)

 当事業年度末における総資産は、前事業年度末に比べ605,757千円増加の8,391,959千円となりました。これは主に、受取手形、売掛金及び契約資産が385,883千円増加、現金及び預金が223,765千円増加したことによるものであります。

(負債)

 当事業年度末における負債は、前事業年度末に比べ2,847千円減少の3,086,429千円となりました。これは主に、買掛金が76,034千円増加、未払費用が56,453千円増加、未払法人税等が99,754千円増加、流動負債のその他に含めて表示している未払消費税等が71,892千円増加した一方、長期借入金が318,464千円減少したことによるものであります。

(純資産)

 当事業年度末における純資産は、前事業年度末に比べ608,605千円増加の5,305,529千円となりました。これは主に、当期純利益の計上により利益剰余金が736,310千円増加した一方、配当金の支払いにより利益剰余金が142,834千円減少したことによるものであります。

 

5【経営上の重要な契約等】

 該当事項はありません。

 

6【研究開発活動】

 当社事業であるソフトウエア受託開発においては、一般の製造業等とは異なり、販売を目的として製品を事前に研究開発することはありません。

 但し、以下のような場合においては研究開発を行っております。

(a) 当社事業に関連して受託開発したソフトウエアにおいて、再利用可能な技術・ノウハウやソフトウエアの製作物が明らかになった場合には、当該技術・ノウハウ及びソフトウエアの製作物に対し、研究開発行為を成して再利用可能なソフトウエアモジュールを製品化する。

(b) 当社事業に関連して、新技術・新手法及び他社製品の利用技術等の習得を目的として当該技術・手法・製品に関する調査・研究を行う。

 

a.研究開発体制

 当社の研究開発は、研究開発専任の部署を置かず、当社事業の発展・拡大を目指す上で業務上必要とされる事案について、当該研究開発を実施する必要のある部門からの提案申請に基づき、未来投資委員会(注)による稟議・審査の上実施が決定され、その都度申請部門において必要な研究開発体制を整えて実施しております。

(注)未来投資委員会は、当社事業の中長期の発展を目的とした研究開発や教育に関する投資事案、新しい事業モデルの検討及び他社との事業提携事案等を審議・審査する機関として、社長を委員長とし本部長及び社内有識者を委員として、原則月1回(事案がないときは不開催)経営企画室が招集・運営しています。なお、本委員会で承認された事案は、稟議書による決裁、又は必要に応じて取締役会による承認の後、実行されます。

 

b.研究開発方針

 当社では、当社事業が受託ソフトウエア開発という性格上、会社主導で先行して研究開発を行っているものではありませんが、業務部門が中長期の事業予算を達成する目的で、必要に応じ研究開発予算の申請を行うボトムアップ方式で研究開発を行っております。なお、年間の開発予算は20,000千円を未来投資予算として計上し、申請された開発事案につきまして、社長・本部長・有識者等が出席する未来投資委員会において、当社中長期の事業戦略にとって有効なものかどうかを審議・判断の上、決裁いたしております。

 

 なお、当事業年度における研究開発費の総額は、31,858千円であります。

 以下に当事業年度における研究開発の内容について記載します。当社は、ソフトウエア開発事業の単一セグメントでありますので、全社を一括して記載しております。

 

(1)生産管理システム・倉庫管理システムの研究開発

当社の産業向け開発技術とノウハウをまとめた製造業向けDXを支援するソリューション「PLUSFORCE」に関連して、生産管理システムの実現化検討、倉庫管理システムの市場調査、アーキテクチャ検討に取り組みました。なお、生産管理システム・倉庫管理システムの研究開発に係る研究開発費は23,003千円であります。

(2)製造業向け自社ソリューションの研究開発

当社の製造業向け自社ソリューションについて、スクラッチ開発及び他社システムを活用した形での提供における課題に対し、再整理と見直しを行い顧客にスムーズに提供できるよう市場調査、アーキテクチャ検討に取り組みました。なお、製造業向け自社ソリューションの研究開発に係る研究開発費は6,192千円であります。

(3)FlexSignalバージョンアップ開発等

2017年5月期に開発したFlexSignalについて、市場競争力を高めるための機能アップ開発に取り組みました。なお、FlexSignalバージョンアップ開発等に係る研究開発費は2,662千円であります。