第2【事業の状況】

1【事業等のリスク】

 当中間会計期間において、前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクからの重要な変更のあった事項は以下の通りであります。本項目に含まれている将来に関する事項は、当半期報告書提出日現在において判断したものです。

 

リスク分類

リスクの内容

主な取り組み

②財務状況へ

 の悪影響

「M&Aの実施によるリスク」

当社は成長戦略の一環として、M&Aを推進しております。M&Aの実施においては市場動向や顧客ニーズ、相手先企業の業績、財政状況及びM&Aに伴うリスク分析等の結果を考慮し進めるよう努めて参りますが、買収後の偶発債務等の何らかの理由により、買収した事業が計画通りに展開する事ができず、投下した資金の回収ができない場合には、追加的費用の発生やのれんの減損等により、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

M&Aに際しては、対象となる企業についてデューデリジェンスを慎重に行い、買収後の事業計画を検証することによりリスクの低減に努めるとともに、買収後もPMIを通じて、円滑な事業遂行を阻害する要因の早期洗い出しなど適切な対処を行いリスクの軽減に努めて参ります。

 

2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 文中の将来に関する事項は、当中間会計期間の末日現在において判断したものであります。

(1)財政状態及び経営成績の状況

 当中間会計期間における我が国経済は、雇用・所得環境の改善やインバウンド需要に支えられ景気は緩やかな回復基調を辿って参りました。一方で、資源高及び人手不足の継続によるインフレ圧力等により消費活動の停滞が懸念され、先行き不透明な状況が続くことが見込まれます。

 当中間会計期間における当社の属するソフトウエア業界は、人手不足に伴う業務効率化ニーズや事業のデジタル化に向けた戦略的投資など、企業業績の拡大に伴うIT投資の継続が期待されます。当社は今後も経営を取り巻く環境の変化を注視しながら、国内企業のシステム投資意欲の高まりを商機と捉え事業の拡大を目指して参ります。

 当中間会計期間における各事業分野の事業の状況と取り組みについて、以下に記載いたします。

1)組込み関連事業におきましては、我が国の主力産業である自動車業界の大手自動車メーカーが掲げるソフトウエアファーストの推進やSDV(ソフトウエア・デファインド・ビークル)が注目される中、今後車載組込みソフトウエア開発に大規模な投資と大きな質的変化が予測されます。当社は、CASE(繋がる車・自動運転・カーシェア・電動化)分野を中心に更なるスキル習得と開発体制強化を進め、今後も自動車産業向け車載組込みソフトウエアの受注拡大を進めて参ります。また、国内外の民生・産業機器メーカーにおきましてもデジタル家電メーカーの次世代製品開発は、企業の中長期の競争力の要である製品力強化を目的とする製品開発・改良に係る開発需要は活況になることが期待され、当社の民生・産業機器向け組込みソフトウエア関連の開発についても高度化・複雑化する顧客の要求に応えるべく、開発要員のマルチスキル化を推進し今後の受注拡大を進めて参ります。

2)製造・流通及び業務システム関連事業におきましては、国内製造業・物流業の競争力強化や業務効率化を目的とした事業のデジタル化のためのシステム投資は継続して活発な状況にあり、今後も事業のデジタル化とSDGsの関心の高まりによる企業の取り組みは更に加速し、未来を見据えたDX関連の投資は高い水準を保っていくと思われます。当社は現在の事業環境を商機と捉え、DX支援ソリューション「PlusFORCE」の活用等、提案活動の強化と、当該関連開発の開発体制の強化と集中により、業績の拡大を目指して参ります。

3)公共関連開発におきましては、引き続き公共関連開発を1次受けする国内大手SIerと当社の良好な関係を軸に、これまで関わった大型案件の機能強化や改修に加え、2021年9月に新設されたデジタル庁が推進する「行政のデジタル化(デジタル・ガバメント実行計画等)」の関連案件を視野に、顧客やパートナー企業との信頼関係を築きながら安定的・継続的な受注・売上を確保して参ります。

4)ソフトウエア業界の明るい見通しの一方で懸念されているのがIT人材の不足であります。労働集約型の産業であるソフトウエア業にとって人材の確保は不可欠であります。当社は人材を資本と捉え、持続的成長を支える人材への教育投資、また人材確保のための新卒・経験者採用やM&Aに対する投資を強化すると共にパートナー企業との関係性強化及び成長分野への人材シフトや事業環境の変化・新しい技術の流れへの対応を目的とした開発者のリスキリング等の教育投資強化に引き続き努めて参ります。また人材確保や人材育成のためには働きやすい職場環境の整備が重要と考えており、社員の安全・健康・ウェルビーイングを重視した働き方改革と業績拡大の両立を進めて参ります。また、昨今注目を集めている生成型AIにつきましては、IT業界へのインパクトが少なくないと予想され、当社も社内業務の効率化やソフトウエア開発業務への活用について、前向きかつ慎重に検討を重ねながらその活用を目指して参ります。

 なお、当社はソフトウエア開発事業の単一セグメントであるため、当社事業区分別の経営成績について、以下に記載いたします。

<組込み関連事業>

 事業環境は引き続き堅調に推移している中、民生・産業機器に係る組込み関連開発において製品開発・改良に係

る開発需要は活発な状況にあり、組込み関連事業の売上高は、1,717,247千円(前年同期比16.0%増)となりました。

<製造・流通及び業務システム関連事業>

 国内の製造・流通業における設備投資や関連する製造関連業務システム開発は、事業のデジタル化のためのシス

テム投資は継続して堅調な状況を維持し、製造・流通及び業務システム関連事業の売上高は、2,168,226千円

(前年同期比5.2%増)となりました。

<金融・公共関連事業>

 公共関連開発に係る受注及び売上は継続して堅調を維持し、パートナー活用の拡大を含めた受注・開発体制も適切に対応できた結果、金融・公共関連事業の売上高は、874,045千円(前年同期比26.4%増)となりました。

 

 この結果、当中間会計期間における経営成績は、売上高4,759,518千円(前年同期比12.4%増)、営業利益584,431千円(前年同期比21.6%増)、経常利益585,715千円(前年同期比21.6%増)、中間純利益398,733千円(前年同期比23.5%増)となりました。

 

(資産)

 当中間会計期間末における総資産は、前事業年度末に比べ1,549,820千円増加の9,941,779千円となりました。これは主に、現金及び預金が1,330,068千円増加、受取手形、売掛金及び契約資産が317,992千円増加した一方、

電子記録債権が76,260千円減少したことによるものであります。

(負債)

 当中間会計期間末における負債は、前事業年度末に比べ1,338,388千円増加の4,424,818千円となりました。これは主に、短期借入金が80,000千円増加、1年内返済予定の長期借入金が250,287千円増加、長期借入金が

887,705千円増加したことによるものであります。

(純資産)

 当中間会計期間末における純資産合計は、前事業年度末に比べ211,432千円増加の5,516,961千円となりました。これは主に、中間純利益の計上により利益剰余金が398,733千円増加、その他有価証券評価差額金が17,541千円増加した一方、配当金の支払いにより利益剰余金が224,240千円減少したことによるものであります。

 

(2)キャッシュ・フローの状況

 当中間会計期間における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前事業年度末に比べ

1,330,068千円増加し、3,029,384千円となりました。

 当中間会計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次の通りであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 当中間会計期間において営業活動の結果獲得した資金は、346,755千円(前年同期は228,582千円の収入)となりました。これは主に、税引前中間純利益が585,715千円あった一方で、売上債権及び契約資産の増加額が

241,732千円あったことによるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 当中間会計期間において投資活動の結果使用した資金は、8,550千円(前年同期は29,621千円の支出)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出4,965千円、無形固定資産の取得による支出1,359千円があったことによるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 当中間会計期間において財務活動の結果獲得した資金は、991,864千円(前年同期は309,481千円の支出)となりました。これは主に、短期借入れによる収入が80,000千円、長期借入れによる収入が1,300,000千円あった一方で、長期借入金の返済による支出が162,008千円、配当金の支払額224,156千円があったことによるものであります。

 

(3)経営方針・経営戦略等

 当中間会計期間において、経営方針・経営戦略等について、重要な変更はありません。

 

(4)事業上及び財務上の対処すべき課題

 当中間会計期間において、事業上及び財務上の対処すべき課題について、重要な変更はありません。

 

(5)研究開発活動

 当中間会計期間における研究開発活動の金額は、2,095千円であります。

なお、当中間会計期間において、当社の研究開発活動の状況に重要な変更はありません。

 

3【経営上の重要な契約等】

(取得による企業結合)

 当社は、2024年11月18日に開催の取締役会において、AJ・Flat株式会社との間で株式譲渡契約を締結する決議を行い、同日に、同社の全株式を取得し子会社化する契約を締結しました。当該株式の取得は、2024年12月2日に完了しております。

 詳細は、「第4  経理の状況  1  中間財務諸表  注記事項(重要な後発事象)」に記載のとおりであります。

 

(資金の借入)

 当社は、AJ・Flat株式会社の株式取得を目的に、金融機関と金銭消費貸借契約を締結いたしました。