第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)会社の経営の基本方針

 当社は、企業理念体系を踏まえ、2023年3月期から2027年3月期を最終年度とした中期経営計画「コプロ・グループ Build the Future 2027」の策定にあたり、経営理念に基づき、当社グループのパーパス(存在意義)を『最高の「働き方」と最高の「働き手」を。』と定めました。

 本中期経営計画期間においては、パーパスの示す方向性に沿って、エンジニア一人ひとりのキャリアアップと、それを応援する幅広いサービスや仕組みを具備した「エンジニア応援プラットフォーム」の構築を軸に、機械設計開発技術者派遣・請負サービス及びSESの拡大、組織能力の強化、組織の活性化を図る各種施策や制度設計を計画的に進めることで、持続的な成長、並びに中長期的な企業価値の向上に努めてまいります。

 

 

「コプロ・グループの経営理念体系図」

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(2)目標とする客観的な指標等

 当社グループは、売上高、営業利益、Non-GAAP営業利益(注)の中期的な成長を重視しております。また、事業子会社の技術者派遣事業においては、売上高の構成要素である技術者の在籍人数、稼働率、定着率を客観的な非財務指標として重視しており、開示を継続しております。

 なお、2022年5月に公表した中期経営計画「コプロ・グループ Build the Future 2027」(2023年3月期から2027年3月期)においては、最終年度である2027年3月期の財務目標として売上高400億円、Non-GAAP営業利益50億円を掲げております。

(注)Non-GAAP営業利益は、営業利益に減価償却費、のれん償却費、株式報酬費用を足し戻した金額を計算しています。

 

(3)中期的な会社の経営戦略

①「エンジニア応援プラットフォーム」の構築

中期経営計画「コプロ・グループ Build the Future 2027」(2023年3月期から2027年3月期)における中期経営戦略の核として、派遣元である当社グループが技術者のキャリアパス形成を能動的に支援する「エンジニア応援プラットフォーム」の構築を推進し、業界経験者だけでなく、新卒や業界未経験者がエンジニアとしての将来を見据え安心して長く経験を積むことのできるビジネスモデルを構築します。

 

 

②技術者の採用

人材サービスを営む当社グループにおいて、持続的な事業拡大を図るためには、技術社員数の増加が重要な要素となります。

少子高齢化を背景とした若手人材を中心とする構造的な人手不足により、タイトな労働需給が続くことが予測される中、優秀な人材を顧客企業へ供給できるかどうかが派遣会社に最も求められる本質的サービスであり、採用力が同業他社との優勝劣敗を左右するものとなります。当社グループでは、経験者はもちろんのこと、業界未経験者の採用を積極的に行っており、技術の領域や事業会社の特徴に適した多様なチャネルで採用を推進しております。特に当社グループの強みとする自社採用においては、自社求人サイト「ベスキャリ建設」「ベスキャリIT」「ベスキャリ機電」や広告媒体を通した求職者の集客から面接・入社に至るまでの採用プロセスのアップデートを常時行っており、人材紹介会社に頼らない自前での採用に集中することで、採用数の拡大に加え、採用コストの適正な運営を図っております。

 

③技術者の定着

人材サービスを営む当社グループにおいて、持続的な事業拡大を図るためには、技術社員数の増加が重要な要素であり、採用した技術者がやりがいを持って当社グループで就業を続けていける環境を整えることが重要となります。

当社グループは派遣技術社員向けの入社時研修を開催し、当社グループにおける派遣技術社員としての自覚や心構えなどの確認を徹底しています。また、派遣法などに係わるコンプライアンスの遵守と共に、勤怠管理、就業規則、情報セキュリティ、労働安全衛生、労働災害発生時の対応、危険予知など、多岐にわたる教育を行っております。配属されてからのアフターフォローにも注力しており、健康管理、メンタルヘルス管理等の質の高いサポート活動を行うことで、定着率の向上に取り組んでいます。

 

④事業ポートフォリオ方針

グループの屋台骨である建設技術者派遣・紹介サービスの更なる市場シェア拡大に向けた成長投資を行いながら、付加価値の高いエンジニアに特化した人材サービス領域において、第二の主力事業・収益源の育成に向けて、市場性の高い事業への投資を推進します。

 

⑤M&A方針・投資戦略

コア事業を中心とした既存事業のオーガニックな高い成長に加え、非連続な成長を実現するため、積極的にM&Aを推進し、中期経営計画で掲げた業績目標の前倒し達成を目指します。

成長余力が大きく、付加価値の高いエンジニアに特化した人材サービス領域において、優秀なエンジニアが在籍する企業、及びエンジニア応援プラットフォームの構築に際して必要となるリソースを有する企業をターゲットとし、WACC(加重平均資本コスト)8%程度をハードルレートとして設定し、当該レートを上回るM&A投資についてのみ検討を行っていく方針です。

 

(4)経営環境

当社グループの主要顧客先である建設業界においては、都市開発プロジェクト関連工事や、既存インフラ老朽化に伴う再整備、半導体工場の新設など、引き続き堅調な建設需要が見込まれております。また、他業界に比べて顕著な高齢化と若手不足の構造的な問題に加え、「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律」により改正された労働基準法により、2024年4月より残業時間の上限に罰則規定が設けられており、今までは1名の人材で完結していた業務が細分化されるなど、人材不足が一層深刻となり、企業における派遣人材の活用は今後も加速していくと予測しております。

他方、国内における雇用情勢については、少子高齢化に伴う近年の労働人口の減少を背景に人材の採用マーケットは非常にタイトであるため、業界経験者のみならず業界未経験者を含めた人材確保のハードルが上昇しており、人材を確保するための採用力、また採用した人材の育成と定着がより一層求められております。

 

(5)対処すべき課題

当社グループは、以下の事項を主要な課題として認識し、事業展開を図る方針であります。

①人材確保及び育成

人材の確保は当社グループの成長の礎であり、いかに付加価値の高いエンジニアとなり得る人材を獲得していくか、また、いかに在籍する派遣技術社員の定着を促しながらスキルを高めていくかが重要となります。技術者の採用については、売り手市場が継続する見通しであるため、自社求人サイト「ベスキャリ建設」「ベスキャリIT」「ベスキャリ機電」の更なる集客強化・機能性向上を図るとともに、広告媒体、在籍する社員からの紹介、並びに新卒採用にも注力し、採用チャネルの多様化を進めてまいります。また、業界未経験人材の採用を強化するにあたり、中期経営戦略の核として、派遣元である当社グループが技術者のキャリアパス形成を能動的に支援する「エンジニア応援プラットフォーム」の構築を推進し、新卒や未経験者がエンジニアとしての将来を見据え安心して長く経験を積むことのできるビジネスモデルの構築を目指してまいります。

 

②労働者派遣事業の適切な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律(以下、労働者派遣法)の改正への対応

労働者派遣法は1986年の施行から2024年現在までに多くの改正を繰り返しており、2007年までは需要に応じた派遣業の規制緩和、2012年以降は派遣労働者保護のための規制強化が大きな流れとなっております。これは、日雇い派遣が問題となった2007年、リーマンショックが起こった2008年頃に突然の派遣切りや雇止めにより苦境に立たされる派遣労働者が増えたこと、違法派遣が社会問題化したことなどが影響していました。2012年の改正では、派遣労働者の保護を目的とした法律であることが、法律名に明示もされることとなりました。

近年の改正も、2012年以降に行われてきた派遣労働者の保護と支援をさらに具体的に推し進めることを目的になされており、2020年の改正は、同一企業で働く正規雇用労働者と非正規雇用労働者との間にある不合理な格差の解消を目指す「同一労働同一賃金」の実現に向けた重要な改正となっております。2021年の改正においては、書面による作成が必要であった派遣契約書について電磁記録での作成が認められたほか、派遣労働者に対し、キャリア支援に関する説明や雇用安定措置に関わる希望聴取を行うことが派遣事業を行う上で義務付けられることとなりました。

当社グループは「労使協定方式」に基づき派遣労働者の待遇を決定することで、計画的な教育訓練や職務経験による人材育成を経て、段階的に賃金含む待遇の改善の実施等、派遣労働者の長期的なキャリア形成に配慮した雇用管理を行っております。

このような法改正への当社グループの適切な対応は、我が国が目指す「派遣労働者を適切に保護し、適切な管理の下で労働者派遣を行う」方針に基づいており、当社グループの持続的な成長にも繋がるものと認識しております。

労働者派遣法は、今後も社会状況や課題に対応する形で改正が行われることが想定されます。当社グループは、今後も法改正に伴う経営環境の変化に適切に対応しつつ、引き続き事業の安定・拡大に努めてまいります。

 

③営業力強化

継続的な成長のためには、既存取引の維持・新規顧客の開拓に加え、顧客企業の新たなニーズを引き出すことで取引件数を増加させる必要があります。

このために当社グループは、重点企業へのアプローチを集中して行い、多くの案件を獲得することを目指してまいります。また、営業プロセスの再構築、マッチングの強化、ツール導入による業務効率化を進め、顧客・案件情報の集約・分析することで、100%近い稼働率を維持し、中長期的に継続する就業先へのシフトが臨機応変に実施できるよう取り組んでまいります。

建設技術者派遣においては、重点企業への取引拡大に向けて更に取り組んでまいります。また未経験者からの就業者が増加する事を踏まえてチーム派遣の推進を行い定着率、成熟度を向上させます。

また、業務提携により付加価値の高い建設業界向けDX人材を育成する事で同業他社と差別化を図ります。

機械設計開発技術者派遣においては、引き続き機械設計、電気電子設計、生産技術領域の拡大を進めてまいります。

SESにおいては、新規顧客の開拓に注力した結果、取引企業は順調に増加したため、大手SIerやメーカーと直接取引ができるよう商流改善に努めてまいります。

半導体事業においては、業界の成長に起因した人材不足に対応するため、「辞めないエンジニアの育成」をテーマとしたセミコンテクノラボを中心に他社との差別化を図ってまいります。

 

④長時間労働の抑制

昨今の労働行政においては、働き方改革関連法案の施行により長時間労働に対する指導・監督が強化されており、企業側に従業員へのきめ細かな労務管理と安全配慮を求めるものとなっております。派遣元である当社グループは、派遣先に対して当社グループ派遣技術社員が当社グループの36協定の範囲を超えて時間外労働を行うことがないよう、IT端末貸与によりリアルタイムに勤怠状況が把握できる体制を整備しており、派遣先に対して段階的な改善を要請する通知を提示する等、適宜適切な措置を講じております。

今後も引き続き労働環境の改善、適正な労働時間の管理や時間外労働の抑制等に継続的に取り組んでまいります。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)サステナビリティ

①ガバナンス

 当社では、気候変動対応を含むサステナビリティ課題について、今後リスク管理委員会にて審議・検討を行うこととしております。リスク管理委員会は、委員長を代表取締役社長とし、当社及び当社子会社の常勤取締役及び常勤監査役、当社法務部長で構成され、原則として年に1回開催しています。

 また、リスク管理委員会にて気候変動対応を含むサステナビリティ課題に関わる重要事項について審議された場合、委員長は取締役会に対し、当該事項について報告することとしています。取締役会において必要な報告、審議、指示、監督が行われることで、気候変動対応を含むサステナビリティ課題に関わる重要事項が適切に実施される体制としています。

 

②リスク管理

 当社グループは、事業運営において土地や生産設備等を保有する必要がないため、気候変動による直接的影響は僅少であると認識しております。しかし、政府による炭素税の導入や再生エネルギー政策、次世代環境技術の進歩・革新が顧客の技術に影響を与える可能性があります。これにより、当社グループに対する顧客ニーズが変化し、当社グループがこの顧客ニーズの変化に対応できない場合、当社グループの業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。

 また、「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」提言に対しては、当社グループの気候変動対応の適切さを検証するベンチマークとして活用し、持続可能な成長に向けて、成長機会の取込み及びリスクへの対応を行ってまいります。

 当社では、気候変動対応を含むサステナビリティ課題の識別、評価及び管理につきましても、今後リスク管理委員会にて行うこととしております。

 

(2)人的資本

①人的資本経営に対する当社グループ見解

 当社グループは創業以来、人間力を最重要視した組織風土の醸成に努めており、経営理念から事業戦略まで、人にフォーカスをした経営を推進しております。また、2022年5月に公表した中期経営計画「コプロ・グループ Build the Future 2027」(2023年3月期から2027年3月期)においても、パーパスを『最高の「働き方」と最高の「働き手」を。』と定めており、人を尊重し可能性を最大限に引き出すことによる継続的な企業価値向上に努めております。

 なお、今後当社グループは人的資本に関する開示項目を拡充すると同時に、人的資本の重要性を再認識する機会と捉え、さらなる企業価値向上を目指します。また、人材戦略のモニタリングや多様な個性を発揮する環境整備等、人と組織を活性化させる経営についても継続して取り組んでまいります。

 

②人的資本経営に向けた取組概要

 人的資本経営を推進するために、人材育成の方針と一人ひとりが自律し挑戦しつづけられる環境整備の方針が、揺るぎない軸として必要不可欠であると考えております。

 加えて、当社グループの今後の方針としては、さらなる人間力向上と組織力強化に向け、改めて組織と人材の変革に注力するとともに、具体的な指標や実行施策を明示し、ステークホルダーの皆様との建設的な対話を通じた企業成長の実現を目指しております。

 

(a)多様性の確保を含む人材育成の方針について

「自ら考動し、多様な価値創出ができる人材の育成」

 当社グループは、管理社員の平均年齢が30.3歳と、業界水準と比較をしても若い傾向にあります。このような背景から、新卒入社社員を除いた研修では、業務遂行において基礎となる管理能力や問題解決能力を主として行っております。また、2022年5月より、新たに女性向けのキャリアアップ研修も取り入れるなど、女性が活躍できる環境の整備を進めております。

 技術社員においては、新卒や中途採用の業界未経験が安心して技術者としてのキャリアを始められるよう、それぞれの分野の専門性に特化した研修制度の構築を進めております。特に中期経営計画「コプロ・グループ Build the Future 2027」(2023年3月期から2027年3月期)では、経営戦略の核として、派遣元である当社グループが技術者のキャリアパス形成を能動的に支援する「エンジニア応援プラットフォーム」構築を推進し、新卒や未経験者がエンジニアとしての将来を見据え安心して長く経験を積むことのできるビジネスモデルの構築を目指していきます。

 

(人材育成方針の主な指標)

項目

詳細

現状

目標(2026年3月期

研修受講者数の増加

研修に参加した

社員の人数を増加させる

受講割合:41.0

 ※1

受講割合:60

※1 2024年3月期に在籍していた社員のうち、研修を受講した社員数の割合

 

(b)社内環境整備の方針について

「社員一人ひとりが志を持ち、イキイキと働ける環境の整備」

 当社グループでは、社員一人ひとりが心身ともに健康で、やりがいを感じながら仕事に取り組むことが重要であると考えております。そのため、健康経営をはじめとした社員の健康増進に加え、「労働環境」と「やりがい」に着目した人材戦略のもと、働きやすい社内環境づくりに取り組んでいます。

 今後は、DXの推進や残業時間の削減等を通して、さらなる労働環境の改善を推進するとともに、従業員エンゲージメントの向上については、指数の測定方法の選定を進め、改めて目標の設定を行ってまいります。

 

(社内環境整備の主な指標)

項目

詳細

現状

目標(2026年3月期

ワークライフバランスの推進

残業時間の削減

月平均残業時間

19.9h ※2

月平均残業時間:

17.5

エンゲージメント向上

エンゲージメント指数

を定め、向上させる

(予定)※3

※2 2024年3月期実績

※3 働きがいに関する項目を測定する予定

 

3【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)経営環境について

①建設業界への依存について

当社グループは、主要顧客が属する建設業界を中心とした人材派遣・紹介事業を行っており、当社グループの業績は官需・民需を問わず国内の建設投資動向に影響を受けます。当連結会計年度における我が国経済は、春季労使交渉での30年ぶりの賃上げや新型コロナウイルス感染症の5類感染症への移行、企業の価格設定行動の変化を映じた企業収益改善等、経済正常化が大幅に進み、賃上げや価格転嫁が加速した、日本経済にとって前向きな変化が多くみられた一年となりました。一方、物価高に賃上げが追い付かず、実質賃金は前年比マイナスで推移し、中東情勢やウクライナ情勢が緊迫し国際情勢が一段と不安定化する中、世界的な物価上昇、金融引き締め等による世界経済の減速等、我が国の景気を下押しするリスクに引き続き留意が必要な状況にあります。

このような経済環境の中、当社グループの主要顧客が属する建設業界においては、堅調な公共投資と共に、民間投資も設備投資の再開の傾向にあり、建設投資が全体として増加傾向にある中、技術者の高齢化及び若手不足の構造的な問題は依然として続いており、技術者派遣事業の足もとの受注状況は前年を大きく上回る水準で推移しましたが、今後、景気変動や経済情勢の悪化に伴い公共事業の大幅な削減や民間工事の落ち込み等により建設投資動向が著しく変動した場合、或いは、「働き方改革を推進するための関係法令の整備に関する法律」により改正された労働基準法による建設業界への時間外労働の上限規制の適用等何らかの影響により建設業界における人材派遣業に対する需要に構造的な変化をもたらされた場合には、受注等に影響を及ぼす可能性があります。その結果、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは中期的な経営戦略として「事業ポートフォリオの最適化」を掲げており、日本の建設業界の「ベストパートナー企業」として更なる市場シェア拡大に向けた成長投資を行いながら、付加価値の高いエンジニアに特化した人材サービス領域において、建設業界以外の新たな分野への展開としてプラント業界向けの人材派遣・紹介や子会社を通じた機械設計開発技術者派遣や半導体製造装置保全技術者派遣、請負サービス、上場企業を含むクライアント企業へのシステムエンジニアリングサービスの提供など、建設業界における豊富な経験を糧に、第二の主力事業・収益源の育成に向けて、市場成長性の高い事業への投資を推進するとともに、特定の企業や地域への派遣が集中しないようリスク分散を図り、ポートフォリオを構築することとしております。しかしながら、かかるリスクは当社グループのリスク管理施策によって完全に排除できる性格のものではないことから、市場の急変等の場合においては、その時期・規模に応じた影響度をもってリスクが顕在化する可能性があると認識しております。

 

②業界の競争の激化、競合について

当社グループが属する人材派遣・紹介事業の領域では、同業他社の営業の強化や、買収・合併等により規模拡大を目指す動きも見られます。当社グループにおきましても、既存顧客のシェア拡大、新規顧客の開拓、同業の買収・合併等により積極的な事業拡大を目指してまいりますが、競争の激化に加え、物価高による消費下押しと人手不足による設備投資の遅延、米中貿易摩擦による影響、中東情勢の混乱やウクライナ紛争の長期化等による資源価格の高騰等により、想定どおり事業が進まない可能性や派遣料金に影響を及ぼす可能性があります。その結果、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは、他社動向等を緊密にモニタリングすることで、かかる事象の顕在化リスクの早期把握に努めておりますが、かかるリスクは、当社グループ独自で軽減・排除できる性格のものではないことから、顕在化の時期・影響度について確定的な予測を行うことは困難であると認識しております。

 

 

(2)事業運営について

①人材の確保について

付加価値の高いエンジニアとなり得る人材の獲得は当社グループの成長の推進力であり、採用力等人材の確保は当社グループの強みであります。付加価値の高いエンジニアを確保するために建設業界、機械設計エンジニア、ITエンジニアの経験者だけでなく未経験者もターゲットとして有料媒体で積極的に募集を行っております。

近年、国内における施工管理技術者及び機械設計エンジニアやITエンジニア等の需要は逼迫しており、経験者を中心とした労働需給はタイト化していますが、当社グループは、取引先からの月間の取得案件数が3,300件を超える等旺盛な人材需要に対して、事業成長の礎である技術者を確保する体制の構築を重点課題に掲げ、採用費を前期に続き積極的かつ費用対効果を重視し効率的に投下するとともに、採用の入口となる面接数の拡大に向け、応募管理システムを導入し、面接設定の自動化によるリードタイムの短縮等、採用活動の強化に取り組んでおります。また、2023年3月にITエンジニア向け案件紹介サイト「ベスキャリIT」、2023年11月に「ベスキャリ機電」のオープンに続き、2024年3月には「ベスキャリ建設」をリニューアルオープンさせて当社グループの採用サイトを統一し、更なる集客強化に取り組む等採用活動の強化を推進しております。

しかしながら、今後の技術者採用市場の動向によっては、人材の確保に難航するおそれや採用コストが増加する可能性もあり、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは、技術者採用市場の動向を緊密にモニタリングすることで、かかる事象の顕在化リスクの早期把握に努めておりますが、かかるリスクは当社グループのリスク管理施策によって完全に排除できる性格のものではないことから、市場の急変等の場合においては、その時期・規模に応じた影響度をもってリスクが顕在化する可能性があると認識しております。

 

②代表者への依存について

当社グループの創業者であり代表取締役社長である清川甲介は、当社の株式を直接、又は資産管理会社を通じて間接的に所有する、創業以来の最高経営責任者であります。同氏は、当社グループの主要顧客先である建設業界向けの建設技術者派遣に加えて、機械設計開発技術者派遣、半導体製造装置保全技術者派遣、システムエンジニアリングサービスに関する豊富な経験と知識を有しており、経営方針や事業戦略の決定、遂行において極めて重要な役割を果たしております。

当社グループでは、取締役会や中期経営計画推進会議等における役員及び幹部社員の情報共有や経営組織の強化を図り、同氏に過度に依存しない経営体制の整備を進めておりますが、何らかの理由により同氏が当社グループの業務を継続することが困難になった場合、経営方針や事業戦略の決定、遂行に影響を及ぼす可能性があります。その結果、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは、取締役会をはじめとした特定の人物に依存しないガバナンス体制に基づく事業運営を行っており、また、最高経営責任者の後継者についても、経営状況や対処すべき課題に応じて最適な後継者を選定できるよう、指名・報酬委員会にて審議検討を予定している事等、現状体制に特記すべき問題は認めていないことから、かかるリスクが顕在化する可能性は低いものと認識しております。

 

③買収・合併、業務提携、新規事業等について

当社グループは今後、人材ビジネス事業及びその周辺事業等の事業拡大や新規事業分野の開拓のため、買収・合併、新会社設立、業務提携等を進めていく方針であります。これらの施策については十分な事前調査及び検討を実施してまいりますが、当該事業が当初想定した収益計画と大きく乖離した場合には、のれんの減損損失等の発生により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3)労務リスクについて

①就業環境について

当社グループでは3,929人の派遣技術社員を雇用しております(2024年3月期)。また毎年多数の派遣技術社員を採用していることから、採用時の人物評価及びスキル・保有資格確認等による人材品質確保、コンプライアンスを重視した労務管理を含む派遣技術社員の管理の充実、教育研修体制の強化、従業員満足度向上等の取組みを実践しております。

しかしながら、労働安全衛生や雇用関係等に関して派遣技術社員との間で紛争が発生し、事業活動に影響を及ぼす可能性があります。その結果、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

また、当社グループが派遣する派遣技術社員が派遣先で業務中又は通勤途上において負傷・疾病・障害・死亡となった場合は、使用者である当社グループに災害補償義務が課せられます。これらの労災事故に関しても当社グループは、派遣技術社員からの定期的なヒアリングにより、派遣先の就業環境におけるリスクの未然防止に努めておりますが、当該事象が発生した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは、法令遵守を徹底するとともに、内部管理体制を整備することにより、派遣技術社員の紛争・労災事故を惹起することのない事業運営に努めており、かかるリスクが顕在化する可能性は低いものと認識しております。

 

②長時間労働・過重労働について

当社グループは労働環境の改善、適正な労働時間の管理や時間外労働の抑制等に継続的に取り組んでおりますが、長時間労働・過重労働に起因する休職、人材の流出、重大な事故等が発生し当社グループの信用に著しい低下がみられた場合、当社グループの事業活動、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

また、当社グループの主要顧客が属する建設業界においては、2024年3月までは時間外労働の上限規制の適用が猶予・除外されていましたが、2024年4月以降は猶予・除外がなくなり上限規制が適用されるため、時間外労働や休日に係る規制が強化された場合、事業活動に影響を及ぼす可能性があります。その結果、当社グループの経営成績及び財政状態にも影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは、法令遵守を徹底するとともに、長時間労働削減プロジェクトの推進や、社員へのIT端末貸与による勤務状況の把握などの内部管理体制を整備することにより、長時間労働・過重労働に起因する休職、人材の流出、重大な事故等を惹起することのない事業運営に努めており、かかるリスクが顕在化する可能性は低いものと認識しております。

 

③労働基準法・労働安全衛生法その他関係法令

昨今の労働行政の動きでは、適切な勤怠管理や長時間労働に対する指導・監督の強化が行われており、企業側に従業員へのきめ細やかな労務管理と安全配慮を求めるものとなっております。派遣元である当社は、派遣先に対して、当社グループの36協定の範囲を超えて時間外労働を当社グループ派遣技術社員が行うことがないよう、各派遣技術社員の時間外労働時間の累計に応じ、段階的に派遣先に対し改善を要請する通知を提示するなど、適時必要と考える措置を講じるよう努めております。しかしながら、派遣元である当社グループの労務管理と安全配慮の取組みが派遣先にて十分に反映されない場合、事業活動、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは、法令遵守を徹底するとともに、内部管理体制を整備することにより、派遣元である当社グループの労務管理と安全配慮の取組みが派遣先にて十分に反映されない事象を惹起することのない事業運営に努めており、かかるリスクが顕在化する可能性は低いものと認識しております。

また、今後の規制強化及び労働基準法をはじめとする法適応の動向によっては、契約の解除による売上減少や労働問題の発生、有給休暇取得の義務化などに伴うコストの増加、建設業界における時間外労働の上限規制の適用等により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは、労働基準法をはじめとする法的規制の変更等の外部要因に起因するリスクについては、関連法令の改正等の動向をモニタリングすることにより顕在化リスクを早期に把握し体制の整備を行う方針でありますが、かかる外部要因によるリスクについては、その顕在化の内容、時期等を当社グループが制御できるものではないことから、その影響度を事前に見積ることは困難であると認識しております。

 

(4)機密情報、個人情報等の管理について

当社グループの派遣技術社員は、業務上、顧客の機密情報を知り得る可能性があります。また、派遣事業の遂行にあたり、派遣技術社員の氏名・住所・電話番号等の個人情報を取り扱っております。そのため、情報セキュリティに関する各種規程を整備・運用し、プライバシーマークの取得や役職員への教育研修等を通じて、情報及び情報機器の適正な取扱いを徹底させております。

当社グループでは、ネットワークセキュリティ等を強化することで、当社グループ情報システムのデータ損失や漏洩への対策を進めております。

以上のような対策にも関わらず、当社グループが保有する機密情報や個人情報が外部流出した場合、当社グループへの損害賠償請求等により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループ情報システムにおけるデータ損失や漏洩により、当社グループの事業運営に支障が生じる可能性があります。

当社グループは、個人情報管理体制の適切な運用に努めており、かかるリスクが顕在化する可能性は低いものと認識しております。

 

(5)訴訟について

当社グループでは、従業員に対して必要に応じた教育機会を設けるなどして法令遵守を徹底し、取引先等との関係においても訴訟リスクを低減するよう努めておりますが、不測の事態により当社グループに関連する訴訟、紛争が発生した場合において、訴訟や損害賠償等による費用等の発生や社会的な信用低下により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは、法令遵守を徹底するとともに、内部管理体制を整備することにより、訴訟、紛争を惹起することのない事業運営に努めておりますが、かかる外部要因によるリスクについては、その顕在化の内容、時期等を当社グループが制御できるものではないことから、その影響度を事前に見積もることは困難であると認識しております。

 

(6)自然災害・感染症・事故等について

当社グループは、全国に営業拠点を有しており、地震、津波、台風などの自然災害が発生した場合に対して迅速かつ的確な対応をしてまいりますが、想定外の大規模災害が起きた場合、一定の事業運営が困難になる可能性があります。また人材ビジネスの事業性質上、多数の技術者及び顧客基盤を有していることから、派遣技術社員の安否確認や契約内容の調整など、多大な業務負荷を要することが想定されるため、当社グループの事業運営に影響を与えるとともに、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

また、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のように未知の感染症が世界的に流行した場合には、取引先である建設会社等が感染症予防のため工事現場の稼働を長期にわたり中断や建設工事が減少する等、事業活動に大きな損失が発生するほか、貴重な人的資源に重大な影響を与え、当社グループの事業、業績及び財政状況に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは、当該リスクの低減に努めておりますが、かかるリスクは当社グループ独自のリスク管理施策のみをもって軽減・回避出来るものではなく、リスクが顕在化した場合には、その頻度・規模等に応じた影響を被る可能性がありますが、その影響度について確定的な見積りを行うことは困難であると認識しております。

 

(7)許認可及び法規制について

当社グループは、労働者派遣事業者及び有料職業紹介事業者として、厚生労働大臣の許可等を受け事業を行っております。本書提出日現在における当社グループの許可・届出状況については下記のとおりであります。

取得・登録者名

許可名称及び

所管官庁

許可番号

取得年月

有効期限

株式会社コプロコンストラクション

労働者派遣事業許可

厚生労働省

派23-301486

2015年5月

2028年4月30日

株式会社コプロコンストラクション

有料職業紹介事業許可

厚生労働省

23-ユ-301317

2015年5月

2028年4月30日

株式会社コプロテクノロジー

労働者派遣事業許可

厚生労働省

派23-301816

2017年3月

2025年2月28日

株式会社コプロテクノロジー

有料職業紹介事業許可

厚生労働省

23-ユ-300624

2008年9月

2026年8月31日

上記の許可・届出について、事業停止、許可取消及び事業廃止となる事由は労働者派遣法第14条並びに職業安定法第32条に定められております。当社グループは、法令違反等の未然防止に取り組んでおり、本書提出日現在、当該許可等の取消し、又は事業の停止等となる事由は発生しておりません。しかしながら、派遣先の指示により労働者派遣法で禁止されている適用除外業務にあたる建設業務を行う等、何らかの要因で当該事業許可等の取消し、又は事業の停止等を命じられるようなことがあれば、当社グループの事業活動に支障をきたすとともに経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは、法令遵守を徹底するとともに、内部管理体制を整備することにより、事業停止、許可取消及び事業廃止となる事由を惹起することのない事業運営に努めており、かかるリスクが顕在化する可能性は低いものと認識しております。

一方で、当社グループの主要顧客が属する建設業界においては、技術者の高齢化及び若手不足の構造的な問題は依然として続いており、 派遣技術社員の無期雇用への転換の増加及び当社グループの顧客による派遣契約の縮小や、直接雇用契約への切り替えの増加などが、当社グループの対応を上回る速度で推移した場合、受注等に影響を及ぼす可能性があります。その結果、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

また、2020年4月1日に施行された改正労働者派遣法は、派遣先に雇用される通常の労働者(無期雇用フルタイム労働者)と派遣労働者との不合理な待遇差を解消すること等を目的とし、(ⅰ)派遣先均等・均衡方式、あるいは、(ⅱ)派遣元労使協定方式のいずれかの方式を選択することとなっており、当社グループは「派遣元労使協定方式」を選択しております。

本改正への対応は、我が国が目指す「派遣労働者の同一労働同一賃金」の方針に基づいており、当社グループは、この改正に対応するとともに、取引先に対して適切なチャージアップ(派遣技術社員一人当たりの契約単価の向上)の交渉を推進し、利益の確保・積み上げを図ってまいりますが、当社グループの対応を上回る速度でコストが増加した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは、法的規制の変更等の外部要因に起因するリスクについては、関連法令の改正等の動向をモニタリングすることにより顕在化リスクを早期に把握し体制の整備を行う方針でありますが、かかる外部要因によるリスクについては、その顕在化の内容、時期等を当社グループが制御できるものではないことから、その影響度を事前に見積ることは困難であると認識しております。

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①経営成績の状況

当連結会計年度におきましては、当社グループの主要顧客が属する建設業界では、技術者の高齢化及び若手不足の構造的な問題は依然として続いており、当社グループにおいても技術者派遣事業の足もとの受注状況は前期を大きく上回る水準で推移しています。加えて、「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律」により改正された労働基準法により、建設業界への時間外労働の上限規制が2024年4月に適用されており、技術者派遣に対する需要は旺盛に推移しております。

 

このような事業環境のもと、当社グループは2022年5月に公表した中期経営計画「コプロ・グループ Build the Future 2027」(2023年3月期から2027年3月期)の実現に向け、中長期の成長を見据えた取組みを推進しております。

当社グループのコアサービスである建設技術者派遣を展開する株式会社コプロコンストラクションでは、2024年4月からの時間外労働の上限規制適用に伴い拡大する需要を確実に獲得するために、事業成長の礎である技術者を確保する体制の構築を重点課題に掲げ、採用活動の強化に係わる取組みを推進いたしました。採用面においては、採用費を前期に続き積極的かつ費用対効果を重視し効率的に投下するとともに、採用の入口となる応募数及び面接数の拡大に向け、自社求人サイト「ベスキャリ建設」を2024年3月にオープンさせたほか、応募管理システムを導入し、面接設定の自動化によるリードタイムの短縮等、採用活動の強化に取組みました。また、2023年4月には前年実績より100人多い154人の新卒技術者が入社し、中途採用以外の採用チャネルの構築を推進いたしました。この結果、当連結会計年度における採用人数は2,024人と前期比552人(同37.5%増)の増加となりました。これらの取組みにより、当連結会計年度末における技術者数は前期比791人増加(同28.5%増)し、3,568人(前連結会計年度末2,777人)となりました。

なお、株式会社コプロコンストラクションは、2023年10月1日付で商号を株式会社コプロ・エンジニアードから変更いたしております。

 

機械設計開発技術者派遣・請負サービス及びSES(システムエンジニアリングサービス)においては、2023年10月1日をもって株式会社アトモスとバリューアークコンサルティング株式会社を合併し、株式会社コプロテクノロジーへ商号を改め、営業及び採用体制の統一、及び管理部門の純粋持株会社への集約を図りました。特に採用面においては、2023年3月にオープンしたITエンジニア向け案件紹介サイト「ベスキャリIT」に続き、2023年11月に「ベスキャリ機電」をオープンさせ、自社採用サイトの一層の強化に取組みました。また、WEB・ソフトウェア開発及びシステムコンサルティング事業を展開する株式会社ピー・アイ・シーより、派遣及び準委任契約を伴うSES事業を2023年11月30日付で譲受いたしました。高スキルのITエンジニアを受け入れたほか、同社の持つ元請けSIerを始めとした顧客網を譲り受けたことにより、事業拡大に向けた基盤構築が前進いたしました。加えて、2024年2月に半導体製造装置の保守点検を担うエンジニアの育成に特化した半導体技術者研修センター「セミコンテクノラボ」を開設し、新たな事業分野への進出に着手いたしました。経済安全保障リスクへの対応等を背景に半導体の国産化が進む中、半導体デバイスメーカー及び半導体製造装置メーカーのエンジニア不足に応えるため、半導体製造装置の機械メンテナンスやフィールドエンジニア業務等を行える人材を育成してまいります。これらの結果、当連結会計年度末における技術者数は前期比102人増加(同39.4%増)し、361人(前連結会計年度末259人)となりました。

 

これらの結果、当連結会計年度における業績につきましては、建設技術者派遣の株式会社コプロコンストラクションの技術者数が増加したことに加え、株式会社コプロテクノロジーにおいても技術者数が伸長し、当連結会計年度末の連結技術者数が前期比893人増加(同29.4%増)の3,929人(前連結会計年度末3,036人)と増加したため、売上高が24,098,199千円(前期比28.2%増)となりました。利益面につきましては、採用費のほか、主に建設技術者派遣における2024年4月以降の需要拡大に向けた営業・採用部門の増強による人件費等の増加による販売費及び一般管理費の増加を、売上高の増加に伴う売上総利益の増加で吸収したことにより、営業利益は2,141,767千円(同62.0%増)となりました。また、保険契約の解約返戻金の計上により、経常利益は2,211,838千円(同67.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は1,463,461千円(同69.3%増)、1株当たり当期純利益77円68銭(同67.0%増)となりました。

なお、当社グループは技術者派遣事業の単一セグメントであるため、セグメントごとの記載を省略しております。

 

②財政状態の状況

(資産の部)

当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度末に比べ2,155,399千円増加し、12,150,639千円となりました。これは流動資産が2,138,164千円増加、固定資産が17,234千円増加したことによるものであります。

流動資産の増加は主に、現金及び預金が1,542,749千円増加、売掛金が625,071千円増加したことによるものであります。

固定資産の増加は主に、有形固定資産が2,422千円増加、無形固定資産が86,957千円増加、投資その他の資産が72,145千円減少したことによるものであります。

 

(負債の部)

当連結会計年度末における負債合計は、前連結会計年度末に比べ1,151,279千円増加し、4,034,347千円となりました。これは、流動負債が1,132,152千円増加、固定負債が19,127千円増加したことによるものであります。

流動負債の増加は主に、未払金が559,352千円増加、未払法人税等が245,944千円増加、未払消費税等が230,440千円増加したことによるものであります。

固定負債の増加は主に、資産除去債務(固定負債)が8,622千円増加、その他の固定負債が6,368千円増加したことによるものであります。

 

(純資産の部)

当連結会計年度末における純資産合計は、前連結会計年度末に比べ1,004,119千円増加し、8,116,291千円となりました。

これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益を1,463,461千円計上したことにより、利益剰余金が810,148千円増加したことによるものであります。

 

③キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、5,912,043千円となり、前連結会計年度末に比べ1,542,228千円増加いたしました。

各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果得た資金は2,328,050千円(前期は1,011,233千円の収入)となりました。これは主に税金等調整前当期純利益2,213,048千円、売上債権の増加額625,071千円、未払金の増加額614,298千円及び法人税等の支払額471,742千円によるものです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果使用した資金は321,750千円(同291,898千円の支出)となりました。これは主に無形固定資産の取得による支出366,846千円によるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果使用した資金は464,810千円(同372,185千円の支出)となりました。これは主に配当金の支払額654,893千円、ストックオプションの行使による収入191,481千円によるものです。

 

④生産、受注及び販売の実績

当社グループは、技術者派遣事業の単一セグメントであるため、セグメント情報の記載を省略しておりますが、派遣先の業種別に示すと次のとおりであります。

 

a.生産実績

当社グループは、生産活動を行っておりませんので、該当事項はありません。

 

b.受注実績

当社グループは、受注生産活動を行っておりませんので、該当事項はありません。

 

c.販売実績

当連結会計年度の販売実績をサービス別に示すと、次のとおりであります。

サービス

当連結会計年度

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

金額(千円)

前連結会計年度比(%)

派遣

建設

21,815,076

124.8

機械設計開発

934,345

182.6

紹介

建設

68,704

89.3

請負

機械設計開発

500,818

98.3

SES

779,255

354.3

合計

24,098,199

128.2

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

当社グループの当連結会計年度の財政状態に関する認識及び分析・検討内容については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②財政状態の状況」に記載のとおりであります。

 

当社グループの当連結会計年度の経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

(売上高)

当連結会計年度の売上高は、24,098,199千円(前期比28.2%増)となりました。

建設技術者派遣の株式会社コプロコンストラクションの技術者数が増加したことに加え、株式会社コプロテクノロジーにおいても技術者数が伸長し、当連結会計年度末の連結技術者数が3,929人(前連結会計年度末3,036人)と増加したため、売上高が伸長いたしました。

 

(売上原価、売上総利益)

売上原価は、17,323,842千円(同31.1%増)となりました。売上高の増加に伴う増加であります。この結果、売上総利益は6,774,357千円(同21.5%増)となりました。また、売上総利益率は28.1%となりました。

 

(販売費及び一般管理費、営業利益)

販売費及び一般管理費は、4,632,589千円(同8.9%増)となりました。これは採用費のほか、主に建設技術者派遣における2024年4月以降の需要拡大に向けた営業・採用部門の増強による人件費等の増加によるものであります。販売費及び一般管理費の増加を、売上高の増加に伴う売上総利益の増加で吸収したことにより、営業利益は2,141,767千円(同62.0%増)となりました。

 

(営業外収益、営業外費用及び経常利益)

営業外収益は保険契約の解約返戻金の計上等により73,111千円(同1,685.8%増)、営業外費用は3,040千円(同92.4%増)となり、この結果、経常利益は2,211,838千円(同67.0%増)となりました。

 

(特別利益、特別損失及び親会社株主に帰属する当期純利益)

特別利益として関係会社整理益884千円及び新株予約権戻入益325千円を計上した結果、税金等調整前当期純利益は2,213,048千円(同67.7%増)となりました。

また、法人税、住民税及び事業税が255,612千円増加した結果、親会社株主に帰属する当期純利益は1,463,461千円(同69.2%増)となりました。

 

当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおり、事業環境に由来するリスク、事業内容に由来するリスク等様々なリスク要因が当社グループの経営成績に重要な影響を与える可能性があると認識しております。これらの経営成績に重要な影響を与えるリスクに対応するため、組織体制の更なる強化等を行ってまいります。

 

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローは、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、当社グループの資金需要の主なものは、事業規模拡大に伴い必要となる運転資金、及び当社グループが将来に向けた更なる付加価値向上を図るための設備投資であります。これらの資金需要は手許資金で賄うことを基本としております。余裕資金の運用は定期預金を中心とした安全で流動性の高い金融資産であり、流動性を確保しております。

 

③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

④経営者の問題認識と今後の方針について

当社グループは、現在の経営環境及び予測や取得可能な情報に基づき、企業価値を最大限に向上させるよう経営戦略の見直し及び再検討を随時行っております。

また、関連法規制の遵守は経営上最も重要な課題と位置付けており、法令遵守に対する一層の意識向上と体制強化を図るため、社内教育や継続的な施策を実施し、社会的信用をより一層得ることに努めてまいります。

 

5【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6【研究開発活動】

該当事項はありません。