文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
当社グループは、「日本に安心・安全な木構造を普及させる。」「日本に資産価値のある住宅を提供する仕組みをつくる。」ことを目標としております。その上で、この国の木造住宅の資産価値を維持向上させることを当社グループの取り組む課題と捉え、その解決に向け次の5つのテーマを掲げております。
・住宅の安全性の確保(大地震発生時の安全性)
・住宅の耐久性の確保(経年劣化に対する対策)
・住宅の利用価値の確保(間取りの可変性)
・住宅の品質に対する第三者による証明(流通価値の確保)
・住宅のデザイン品質の確保(時代の変化に耐えられる普遍的デザインの追求)
これらのテーマを当社グループのみでは解決が困難であることから、全国の住宅供給会社とのネットワークを形成し、その問題解決を図り、社会の仕組みとして築き上げてまいります。
(2)経営戦略等
当社グループは、以下の事項を成長戦略と位置づけ、事業の拡大を図ってまいります。
① 大規模木造建築(非住宅)分野での事業拡大
これまでの実績とノウハウを活用し大規模木造建築の構造計算数と構造加工品出荷棟数が増加することを見込んでおります。そのために、大規模木造建築(非住宅)分野での生産体制の強化を図り、全国の協力構造加工工場を、2018年12月末時点の9拠点(北海道、栃木、千葉、神奈川、岐阜、京都、大阪、岡山、宮崎)から2020年3月期中に10拠点体制とする予定です。
② 温熱計算サービスの事業拡大
住宅の資産価値向上、ゼロエネルギー住宅の普及に向けて2010年から温熱エネルギー計算サービスを提供を行っており、2020年以降に予定されている省エネ計算義務化に向けて、市場ニーズの高まりと積極的な営業活動により市場シェアの拡大を目指してまいります。
③ 住宅分野の安定的な成長
住宅分野のネットワーク展開においては、高付加価値住宅ブランドの拡大により安定的な成長を見込んでおります。また、OEM供給先であるハウスメーカーにおける採用率の向上及びOEM提供先の増加による市場シェアの拡大を目指してまいります。
(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループでは主な経営指標として、企業の事業活動の成果を示す営業利益を注視し、収益性の指標に営業利益率を掲げているほか、資本及び資産の効率性判断の指標にROE(自己資本利益率)、財務の安定性判断の指標に自己資本比率を掲げております。達成状況につきましては、月次の取締役会及び月1回以上の執行役員会等で定期的にモニタリングを行ってまいります。
(4)経営環境
当社グループが属する住宅市場においては、雇用・所得環境が改善していることに加え、政府による住宅取得支援策の効果もあり、ここ数年の新設住宅着工戸数は増加傾向にあったものの、低金利の環境が長く続いていることなどにより新たな住宅購入需要の喚起が鈍化したため、2018年の持家にかかる新設住宅着工戸数は前期比0.4%減の28万3,235戸となりました(出所:国土交通省「建築着工統計調査報告 平成30年計」)。しかし、2011年3月に発生した東日本大震災や2016年4月に発生した熊本地震により、住宅の耐震性に関する意識は高まっており、当社の提供する耐震性の高い住宅には引き続き一定の需要があるものと考えております。
(5)事業上及び財務上の対処すべき課題
当社グループにおける経営方針、経営戦略を実現するための対処すべき課題は以下のとおりであります。
① 木造耐震設計事業住宅分野の収益の拡大
当社グループは、木造耐震設計事業を主力事業としておりますが、この事業の安定的・継続的な発展が収益基盤の基礎として必要であると考えております。そのためには、登録施工店ネットワークの継続的な拡大に向けて、工務店を中心とした新規顧客の開拓を着実に進めていくことが必要不可欠であり、人材採用・育成体制の整備等により、営業体制の強化を進めてまいります。高付加価値の工務店ブランドである「重量木骨の家」についても、パートナー工務店の拡大とともに、WEBプロモーションを推進し、ブランド化を進めてまいります。今後も、登録施工店ネットワークを通じたSE構法の更なる普及により、住宅分野の収益基盤の拡大を図ってまいります。
② 木造耐震設計事業大規模木造建築(非住宅)分野での収益の拡大
当社グループは、これまで木造住宅へのSE構法の提供を主力にしておりますが、今後は、集合住宅や病院・保育園等の非住宅分野への展開にも注力してまいります。特に国内における木材利用の促進政策として、2010年10月に公共建築物等木材利用促進法が施行されたことにより、国や地方自治体の関与する公共建築物への木材利用が促進されております。これら住宅よりも規模の大きい木造建築においては、当社グループがこれまで培った構造計算ノウハウが必要となるため、当社グループが今後事業拡大できる分野であると考えており、受注活動を進めております。今後、大規模木造建築に対応した設計システム等の技術研究開発や、構造加工品等の生産・供給体制を強化して、非住宅分野における収益の拡大を図ってまいります。
③ 資材の調達
当社グループは、安定的な資材調達体制の構築を重要課題と位置付けております。
当社グループとしましては、木材原産国の国策事情等により、世界的に木材資源の安定確保が難しくなっていることに加え、建材市場の競争が激化するなか、複数の建材商社からの調達ルートを確保するなど、より安定的な資材調達体制を構築してまいります。
④ 人材の確保
当社グループが今後更に事業を拡大していくためには、優秀な人材の確保と育成が必要不可欠であると考えております。特に木造構造計算や温熱計算に関わる設計・技術系スタッフの採用においては、他社との獲得競争が激しい状況であり、今後も安定した人材確保には厳しい状況が続くものと思われます。
当社グループとしましては、採用における競争力の強化を図るとともに、魅力ある職場環境を構築することで、当社グループの事業及び経営理念に共感する人材の確保に努めてまいります。
⑤ 内部管理体制の強化
当社グループは、更なる事業拡大、継続的な成長を遂げるためには、確固たる内部管理体制構築を通じた業務の標準化と効率化の徹底を図ることが重要であると考えております。
当社グループといたしましては、内部統制の環境を適正に整備し、コーポレート・ガバナンスを充実させることによって、内部管理体制の強化を図り、企業価値の最大化に努めてまいります。
⑥ コンプライアンス体制の強化
当社グループは、法令、定款及び社内規程等の遵守は勿論のこと、日々の業務を適正かつ確実に遂行し、クリーンで誠実な姿勢を企業行動の基本として、顧客の信頼を得ると同時に事故やトラブルを未然に防止する取り組みを強化してまいります。
今後、更なる事業拡大と企業価値の向上に向けて、引き続き日常業務における関連法令の遵守を徹底し、各種取引の健全性の確保、情報の共有化等を行うとともに、社内啓蒙活動を実施し、透明性のある管理体制の構築を図ってまいります。
本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1)住宅市況及び金利状況、経済情勢の変動について
当社グループが属する住宅業界は、景気動向、金利動向、地価動向並びに住宅税制等の影響を受けやすいため、景気見通しの悪化や大幅な金利上昇、地価の上昇並びに住宅税制等の諸情勢に変化があった場合には、住宅購入者の購入意欲を減退させる可能性があります。また、人口動態及び世帯数の推移の影響も受けるため、国内における人口及び世帯数が減少する局面においては、国内における住宅需要の減少要因となる可能性があります。これら経済情勢等が変動した場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(2)消費税等の増税について
当社グループが属する住宅業界は、消費税率の動向によって需要が大きく左右される性格を持っており、2014年4月に消費税等がそれまでの5%から8%に引き上げられた際には、増税前に駆け込み需要が発生した一方、需要の先食いにより増税後には需要が大幅に減退いたしました。今後、2019年10月に消費税等が10%に引き上げられることが予定されており、消費税等増税前の一時的な需要の先食いは見込まれるものの、中長期的には住宅着工が低迷する可能性があり、その場合には、当社グループの受注が減少し、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(3)法的規制等について
当社グループの事業は、建築基準法、建設業法、建築士法及び関連する各種法令により規制を受けております。
当社グループでは、事業継続のため、これらの法令等を含めたコンプライアンスが遵守されるよう、役職員に対して研修等を通じて周知徹底を図ることで、これらの適用法令等に対応できる体制を構築しており、現時点で事業継続に支障をきたす事項はありませんが、今後、何らかの理由により適用法令等の違反が発生した場合には、処罰、処分その他の制裁を受け、当社グループの社会的信用やイメージが毀損することにより、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
また、建設業法や建築士法等をはじめ有資格者の選任・配置が義務づけられている場合については、適法に事業活動ができるようその確保に努めており、現時点では必要な有資格者を確保できておりますが、今後、何らかの理由によりそれらが十分に確保できなかった場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
さらに、これらの適用法令等の改廃や、新たな法的規制が設けられた場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
なお、適用法令等について、その有効期間やその他の期限が法令等により定められているものは下表のとおりであります。
|
許認可等の名称 |
許認可登録番号 |
有効期間 |
関係法令 |
許認可等の取消事由 |
|
一級建築士事務所 |
東京都知事登録 第53779号 |
2015年7月8日~ 2020年7月7日 |
建築士法 |
同法第26条 |
|
特定建設業許可 |
国土交通大臣許可 (特22)第23620号 |
2015年7月9日~ 2020年7月8日 |
建設業法 |
同法第29条 |
|
宅地建物取引業免許 |
東京都知事(1) 第101790号 |
2018年7月8日~ 2023年3月23日 |
宅地建物取引業法 |
同法第66条 |
(4)国や地方自治体の施策による影響について
当社グループの事業に関連する国の施策として、2010年10月に「公共建築物等木材利用促進法」が施行され、公共建築物における木材利用が推進されており、今後住宅だけでなく公共建築物における木材利用や構造設計に関する市場が拡大することが予想されます。
また、2013年12月に「国土強靭化基本法」が施行され、2014年6月には「国土強靭化基本計画」が閣議決定されました。さらに、取り組むべき具体的な個別施策等を示した「国土強靭化アクションプラン」が策定され、国土強靭化の取り組みは本格的な実行段階にあります。2018年6月5日に公表された「国土強靭化アクションプラン2018」では、2008年に約79%であった住宅の耐震化率を2020年までに約95%まで引き上げることが重要業績指標とされており、今後当社グループが提供する耐震性の高いSE構法に対するニーズが増加していくことが予想されます。
しかしながら、今後において、これらの施策が変更された場合には、市場の成長が鈍化し、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(5)原材料価格の変動について
当社グループでは、SE構法の材料として、集成材、木材及び合板を使用しております。集成材、木材及び合板は、主に国内のメーカーから調達していますが、伐採量、消費量等需給バランスの変化によって相場が変動することにより、流通価格が変化します。これらの事象が生じた場合、販売価格への転嫁により適切な利益を確保するよう努めますが、急激な原材料価格の上昇等により、販売価格への転嫁がタイムリーに行えない場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(6)競合について
当社グループは、工務店を中心とした登録施工店ネットワークを通じて、当社が独自に開発した木造建築用の建築システムであるSE構法を提供しております。SE構法では、構造計算から構造加工品の供給・温熱計算・施工・検査・性能保証等まで一括管理することにより、木造建築の耐震性等において他社に対する優位性を確保していると考えておりますが、同業他社の資本力、営業力及びブランド力等に優れる企業との競合の結果、当社グループが想定どおりの事業拡大を図れない場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(7)構造加工工場への依存について
当社グループが提供するSE構法では、構造加工工場で加工した構造加工品を利用するため、加工能力、工期、コスト及び品質等を勘案し、一定の技術を有する全国の構造加工工場へ原材料(集成材)の加工を委託しておりますが、構造加工工場の予期せぬ業績不振や事故等により事業を継続できなくなるなどの不測の事態が発生した場合は、構造加工品の提供遅延等によりお客様及び登録施工店等への損害賠償等が発生する可能性があり、その場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(8)物件着工時期の遅れによる業績への影響について
当社グループの木造耐震設計事業においては、大半の売上が構造加工品の納品時に売上計上されますが、天災地変、事故、その他予期し得ない要因により、物件の着工遅延等の不測の事態が発生した場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(9)システムについて
当社グループでは、建築図面のデータ入力や構造計算、温熱計算並びに構造加工工場との連携など、事業の基幹となる部分に各種システムを活用しております。当社グループでは、今後とも業務の効率化による生産性向上等に向けて、新しいシステムを自社開発又は他社への委託、もしくは他社からのシステム購入等により確保していく方針でありますが、新システムの開発、購入等には多額の費用が必要となる可能性があり、その結果、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループは、システムの冗長化及びデータベースのバックアップを行っておりますが、当該システムの障害、大規模広域災害、もしくはコンピュータウイルス等によるデータベースへの影響又はシステムサービスの中断等により、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(10)構造設計及び品質保証等について
当社グループが提供するSE構法による建物については、すべての建物について構造計算を行っておりますが、構造等に関する法改正が行われた場合や、何らかの理由により構造計算書の偽装等、建物の構造に係わる問題が発生した場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
また、SE構法による住宅については、当社独自のSE住宅性能保証による長期保証システムを提供し、耐震性及び品質管理に万全を期しておりますが、長期にわたるサポート期間の中で、予期せぬ事情により重大な品質問題が発生した場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(11)特定人物への依存及び人材確保に係るリスクについて
当社グループでは、事業拡大に伴い優秀な人材の確保とその育成は重要な課題となっており、人材採用と人材育成に関する各種施策を継続的に講じております。しかしながら、十分な人材確保が困難になった場合や、人材が外部に流出した場合には、当社グループの今後の事業展開に影響を及ぼす可能性があります。
また当社では、代表取締役社長執行役員である田鎖郁夫の木材業界及び住宅業界並びに建築業界における長年の経験と豊富な知見に依存している面があります。このため当社グループでは、特定の人物に過度に依存しない体制を構築すべく経営組織及び各部門の専門的なスキルを有するスタッフの強化を図っておりますが、これらの役職員が何らかの理由で退任、退職し、後任者の採用が困難になった場合には、当社グループの業績及び今後の事業展開に影響を及ぼす可能性があります。
(12)訴訟等の可能性について
当社グループは、事業展開において建築基準法、建設業法、建築士法及び関連する各種法令を遵守し、事業活動を推進しておりますが、お客様又は登録施工店との認識の齟齬その他に起因して、クレーム・トラブル等が発生する可能性があります。当社グループにおいては、弁護士等の関与の下、必要な協議・対応・手続を行っており、現在、重大な訴訟事件等は生じておりません。
しかしながら、今後において、これらクレーム・トラブル等に起因して重大な訴訟等が提起された場合には、当社グループに対するお客様からの信頼低下、並びに損害賠償請求訴訟の提起等により、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(13)個人情報等の漏洩等について
当社グループは、営業活動に伴い個人情報を取り扱う場合があり、慎重な対応と厳格な情報管理の徹底が求められております。当社グループは、これらの重要な情報の漏洩、紛失、誤用、改ざん等を防止するため、システムを含めて情報管理に対して適切なセキュリティ対策を実施しております。しかしながら、これらの対策にもかかわらず重要な情報が外部に漏洩した場合には、当社グループの社会的信用等に影響を与え、その対応のための多額の費用負担やブランド価値の低下により当社グループの業績及び今後の事業展開に影響を及ぼす可能性があります。
(14)知的財産権について
当社グループは、当社グループの提供するサービスの基礎をなす技術について特許権を出願し取得するとともに、各種の商標を登録しております。しかし、現時点で権利取得に至っていない権利について、今後これらの権利を取得できるという確実性はありません。また、特許申請の必要性について社内検討し、弁護士や弁理士と連携の上、速やかに特許申請を行う方針ですが、特許申請をしない方が競争優位に立てると判断した場合は特許申請を行わない場合もあります。慎重に判断を行い権利保護に努めておりますが、他社による模倣を効果的に防ぐことができない可能性もあります。一方で、当社グループの事業分野において、国内外の各種事業者等が特許その他の知的財産権を取得した場合、その内容次第では、当社グループに対する訴訟やクレーム等が発生し、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループでは、第三者に対する知的財産権を侵害することがないよう慎重に事業活動を行っておりますが、当社グループの事業分野における知的財産権の現状を完全に把握することは困難であり、万一当社グループが第三者の知的財産権を侵害した場合には、損害賠償又は使用差止めなどの請求を受ける可能性があります。これらの事態が発生した場合、当社グループの業績及び今後の事業展開に影響を及ぼす可能性があります。
(15)ソフトウエアの資産計上に伴う費用化についての影響
当社グループは、「研究開発費等に係る会計基準」(企業会計審議会 平成10年3月13日)に従い、自社利用のソフトウエアについて、適切に資産計上及び減価償却を行っております。しかしながら、各事業の事業収益が悪化した場合には、減損会計の適用による減損処理が必要となる場合があり、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(16)新株予約権の行使による株式価値の希薄化について
当社グループは、従業員に対するインセンティブを目的に、2016年2月18日開催臨時株主総会決議に基づき新株予約権を付与しております。これら新株予約権が行使された場合、当社の株式が新たに発行され、既存の株主が有する株式の価値及び議決権の割合が希薄化する可能性があります。本書提出日現在におけるこれらの新株予約権による潜在株式数は35,500株であり、発行済株式総数3,192,000株の1.11%に相当しております。
(17) 事業投資及び子会社株式の評価に係るリスク
当社グループでは、グループシナジーのある事業への投資を今後も継続してまいりますが、投資先企業の業績が悪化し子会社株式、投資有価証券について減損損失の適用対象となった場合には、これら資産の評価切り下げにより損失が発生し、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(1)経営成績等の状況の概要
① 経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、企業収益や雇用・所得環境の改善が続く中、政府の各種政策効果もあり、景気は緩やかな回復基調で推移しました。しかしながら、海外経済の不確実性や金融資本市場の変動等の影響により、その先行きは依然として不透明な状況にあります。
住宅業界においては、雇用・所得環境が改善したことに加え、低水準の住宅ローン金利や政府による継続的な住宅取得支援策等の効果により新設住宅着工戸数は堅調に推移しました。
当社グループはこのような経営環境のなか、木造耐震設計事業(住宅分野)では高付加価値の工務店ブランドである「重量木骨の家(注)」の販売が堅調に推移しました。また、木造耐震設計事業(非住宅分野)では、2010年10月に施工された「公共建築物等木材利用促進法」により、国や地方自治体の関与する公共建築物への木材利用が促進されていることに加え、病院や保育園など住宅より規模の大きい建築物にも木造化に伴う受注が増加しております。さらに、住宅に使われるエネルギーを減らす「ゼロエネルギー住宅」が推奨されており、その基本となる住宅の一次エネルギー消費量を計算するサービス(以下、省エネ計算)を前期より本格的にスタートさせております。
これらの結果、当連結会計年度における売上高は6,516百万円(前期比7.1%増)となりました。利益につきましては、営業利益261百万円(前期比41.6%増)、経常利益316百万円(前期比38.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益242百万円(前期比43.4%増)となり、連結ベースの営業利益率は4.0%、ROE(自己資本利益率)は17.7%となりました。
(注) 重量木骨の家
重量木骨の家とは、SE構法を使用した住宅ブランドです。地域の気候や環境を熟知した地域密着の工務店・住宅会社に設計・施工を依頼するメリットと、第三者機関による現場検査、完成保証、長期優良住宅認定等の性能・品質・保証を併せ持つ家です。
なお、当社グループの事業セグメントは、木造耐震設計事業及びその他の事業でありますが、木造耐震設計事業の全セグメントに占める割合が高く、その他の事業の重要性が乏しいため、セグメント別の記載を省略しております。
② 財政状態の状況
当連結会計年度末における資産合計は4,828百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,090百万円増加いたしました。これは主に現金及び預金が860百万円、有償支給未収入金が93百万円、無形固定資産が106百万円増加する一方、売掛金が23百万円減少したこと等によるものです。
当連結会計年度末における負債合計は3,102百万円となり、前連結会計年度末に比べ410百万円増加いたしました。これは主に買掛金が291百万円増加したことによるものです。
当連結会計年度末における純資産合計は1,725百万円となり、前連結会計年度末に比べ680百万円増加いたしました。これは主に新株の発行等による資本金250百万円、資本剰余金250百万円の増加の他、親会社株主に帰属する当期純利益242百万円等を計上したことによる利益剰余金187百万円の増加によるものです。
この結果、連結ベースの自己資本比率35.4%(前年同期比7.9ポイント増加)となりました。
③ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、売上債権及びたな卸資産の増加、無形固定資産の取得による支出等のほか、税金等調整前当期純利益が89百万円(前年同期比39.2%増)増加したこと等により、前連結会計年度末に比べ860百万円増加し、当連結会計年度末には2,671百万円となりました。
[営業活動によるキャッシュ・フロー]
営業活動の結果得られた資金は552百万円となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益が316百万円、減価償却費が57百万円及び、法人税等の支払額69百万円等によるものであります。
[投資活動によるキャッシュ・フロー]
投資活動の結果使用した資金は138百万円となりました。これは主に、無形固定資産の取得による支出131百万円等によるものであります。
[財務活動によるキャッシュ・フロー]
財務活動の結果得られた資金は445百万円となりました。これは主に、新株発行による収入500百万円のほか、配当金の支払額55百万円によるものであります。
④ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社グループの事業セグメントは、木造耐震設計事業及びその他の事業でありますが、木造耐震設計事業の全セグメントに占める割合が高く、その他の事業は開示情報としての重要性が乏しいため、生産実績のセグメント別の記載を省略しております。
なお、当社グループにおける生産は、構造計算、一次エネルギー消費量計算等であり、当連結会計年度の実績は次のとおりであります。
|
|
当連結会計年度 (自 2018年4月1日 至 2019年3月31日) |
前年同期比(%) |
|
生産実績(千円) |
250,735 |
106.0 |
(注) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
b.受注実績
当社グループの事業セグメントは、木造耐震設計事業及びその他の事業でありますが、木造耐震設計事業の全セグメントに占める割合が高く、その他の事業は開示情報としての重要性が乏しいため、受注実績のセグメント別の記載を省略しております。
なお、当社グループにおける当連結会計年度の受注実績は、次のとおりであります。
|
|
当連結会計年度 (自 2018年4月1日 至 2019年3月31日) |
|||
|
受注高 (千円) |
前年同期比 (%) |
受注残高 (千円) |
前年同期比 (%) |
|
|
受注実績 |
6,597,267 |
109.5 |
743,197 |
120.4 |
(注)上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
c.販売実績
当社グループにおける当連結会計年度の販売実績は、次のとおりであります。
|
|
当連結会計年度 (自 2018年4月1日 至 2019年3月31日) |
前年同期比(%) |
|
木造耐震設計事業(住宅分野)(千円) |
5,777,985 |
104.0 |
|
木造耐震設計事業(非住宅分野)(千円) |
435,282 |
175.4 |
|
その他(千円) |
303,167 |
107.6 |
|
合計(千円) |
6,516,436 |
107.1 |
(注)1.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
|
相手先 |
前連結会計年度 (自 2017年4月1日 至 2018年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2018年4月1日 至 2019年3月31日) |
||
|
金額(千円) |
割合(%) |
金額(千円) |
割合(%) |
|
|
㈱MUJI HOUSE |
1,152,328 |
18.9 |
1,173,573 |
18.0 |
|
㈱アールシーコア |
1,202,686 |
19.8 |
1,116,492 |
17.1 |
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループに関する財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析・検討内容は、原則として連結財務諸表に基づいて分析した内容であります。文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。その作成には、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額並びに開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りについて過去の実績や現状等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積りによる不確実性があるため、これらの見積りとは異なる場合があります。
② 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a 財政状態
財政状態の概況につきましては、「第2 事業の状況 3.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ② 財政状態の状況」に記載しております。
b 経営成績
当社グループでは、2010年10月に施工された「公共建築物等木材利用促進法」により、国や地方自治体の関与する公共建築物への木材利用が促進されたことに加え、老健施設や保育園など住宅より大規模な非住宅建築物にも木造化の受注が増加しております。また、2013年に導入された「改正省エネルギー基準」により1次エネルギーの消費量が評価基準に加わり、2020年以降の省エネ基準適合住宅が義務化されることを見越して、ゼロエネルギー住宅の普及に向け、温熱計算サービス提供を行っております。
当事業におていは人員の拡充や協力工場の拡充をはじめとした事業体制の強化を通じて業績拡大をすることができたと考えております。
また、引き続き安定的な成長が見込まれる住宅分野においても、登録施工店とのリレーション強化等を通じ堅調な成長を達成することがと考えております。
c キャッシュ・フローの状況
キャッシュ・フローの概況につきましては、「第2 事業の状況 3.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
d 資本の財源及び資金の流動性
当社グループの資本の財源及び資金の流動性につきましては、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。運転資金需要のうち主なものは、売上原価に係るもののほか、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。運転資金は自己資金を基本としており、金融機関からの借入は行っておりません。
将来の成長のための内部留保については、成長分野におけるシェア拡大及び新技術の開発のための投資に資源を優先的に充当してまいります。また各事業のさらなる強化のため社内業務システムや設計ソフトウェアの開発投資を継続していきます。
当連結会計年度においては、基幹業務システム及び設計ソフトウェアへの開発投資を実施いたしました。この結果、当連結会計年度における無形固定資産の取得による支出は131,996千円となりました。これらの投資資金は、上場時に取得した資金と自己資金にて賄っております。
③ 経営成績に重要な影響を与える要因について
経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 2.事業等のリスク」に記載のとおりであります。また、今後の経営成績に影響を与える課題につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおり、事業環境、法的規制等、様々なリスク要因が当社グループの経営成績に重要な影響を与える可能性があると認識しております。そのため、当社は常に市場動向に留意しつつ、内部管理体制の強化や、人材の確保と育成等に力を入れ、経営成績に重要な影響を与えるリスク要因を分散・低減し、適切な対応に努めてまいります。
④ 経営者の問題意識と今後の方針について
経営者の問題意識と今後の方針については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりでありますが、今後収益を拡大するためには、既存の事業の更なる拡大、新たなシステム及びサービスの開発、事業規模の拡大に合わせた人材の確保等が必要であると認識しており、これらの課題に対して最善の事業戦略を立案するよう、努めてまいります。
(1)構造加工(プレカット加工)委託契約
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相手方の名称 |
契約名称 |
契約締結日 |
契約内容 |
契約期間 |
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㈱タツミ |
売買取引基本契約 |
2003年10月26日 |
当社が知的財産権を有するSE構法用金物の資材供給及び加工委託、完成品の買取に関する契約 |
2003年10月26日から 2004年10月25日まで 以後1年ごとの自動更新 |
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セブン工業㈱ |
プレカット加工契約書 |
1997年12月25日 |
SE構法によるプレカット資材供給及び加工委託、完成品の買取に関する契約 |
1997年12月25日から 2002年12月24日まで 以後1年ごとの自動更新 |
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㈱カナモク |
プレカット加工契約書 |
1996年4月1日 |
SE構法によるプレカット資材供給及び加工委託、完成品の買取に関する契約 |
1996年4月1日から 1997年3月31日まで 以後1年ごとの自動更新 |
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㈱岡本銘木店 |
プレカット加工契約書 |
2000年7月19日 |
SE構法によるプレカット資材供給及び加工委託、完成品の買取に関する契約 |
2000年7月19日から 2001年7月18日まで 以後1年ごとの自動更新 |
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マルコマ㈱ |
プレカット加工契約書 |
2004年12月1日 |
SE構法によるプレカット資材供給及び加工委託、完成品の買取に関する契約 |
2004年12月1日から 2005年11月30日まで 以後1年ごとの自動更新 |
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㈱大三商行 |
プレカット加工契約書 |
2003年3月31日 |
SE構法によるプレカット資材供給及び加工委託、完成品の買取に関する契約 |
2003年3月31日から 2004年3月30日まで 以後1年ごとの自動更新 |
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ランバー宮崎協同組合 |
プレカット加工契約書 |
2009年8月3日 |
SE構法によるプレカット資材供給及び加工委託、完成品の買取に関する契約 |
2009年8月3日から 2010年8月2日まで 以後1年ごとの自動更新 |
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院庄林業㈱ |
プレカット加工契約書 |
2017年3月1日 |
SE構法によるプレカット資材供給及び加工委託、完成品の買取に関する契約 |
2017年3月1日から 2022年2月28日まで 以後1年ごとの自動更新 |
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物林㈱ |
プレカット加工契約書 |
2017年9月1日 |
SE構法によるプレカット資材供給及び加工委託、完成品の買取に関する契約 |
2017年9月1日から 2022年8月31日まで 以後1年ごとの自動更新 |
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銘建工業㈱ |
プレカット取引基本契約書 |
2018年4月1日 |
SE構法によるプレカット資材供給及び加工委託、完成品の買取に関する契約 |
2018年4月1日から 2023年3月31日まで 以後1年ごとの自動更新 |
(2)資材仕入に係る取引基本契約
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相手方の名称 |
契約名称 |
契約締結日 |
契約内容 |
契約期間 |
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双日建材㈱ |
売買取引基本契約 |
2005年12月26日 |
相互の商品売買取引に関する基本契約 |
2005年12月1日から 2006年11月30日まで 以後1年ごとの自動更新 |
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住友林業㈱ |
商取引基本契約 |
2003年12月15日 |
相互の商取引に関する基本契約 |
契約期間の定めなし |
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㈱ダイロック |
売買取引基本契約 |
2009年6月1日 |
相互の商品売買取引に関する基本契約 |
2009年6月1日から 2010年5月31日まで 以後1年ごとの自動更新 |
当社グループにおける主たる研究開発部門は、当社技術開発部であり、「SE構法」における安全な商品提供を目指すため、構造計算ソフトウエア開発、製造用機械及びプログラム開発、金物等の接合部の開発等、木造の構造に関する研究開発を手がけております。当社グループにとって研究開発活動は、事業継続と発展に対して重要なものであると認識しており、今後も市場性を把握し、経営状況とのバランスに留意しながら積極的に研究開発を行っていく考えであります。
当連結会計年度における研究開発活動の概況と成果は次のとおりであり、研究開発費総額は
(1)SE構法Ver.3に向けての接合部開発及びソフト開発(開発完了目標時期:2020年3月)
新技術による金物による接合部によるフレーム実験及び接合部の評価実験を完了し、実際に運用するためにCADソフトを開発しております。
(2)立体解析構造計算ソフト(WOLF-3)の開発
住宅・非住宅の分野における建物の平面・立面形状の多様なニーズに対応するため、建物形状の制限が無い一貫構造計算ソフトの開発をしております。
(3)地震シミュレーションソフトの開発
構造計算を行った建築物の耐震性能を建築主に解りやすく伝えるためのツールとして、過去の地震で計測された地震波を用いた応答解析を行い、その状況を動画で表示する事ができるシミュレーションソフトの開発をしております。
(4)木造住宅用BIMの開発
主にビルや大規模建築物の設計に使われているBIMについて、株式会社MAKE HOUSEにて、SE構法を活用した木造住宅用にカスタマイズする研究開発を行っております。