第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

(1)経営方針

 当社グループは、「日本に安心・安全な木構造を普及させる。」「日本に資産価値のある住宅を提供する仕組みをつくる。」ことを目標としております。その上で、この国の木造住宅の資産価値を維持向上させることを当社グループの取り組む課題と捉え、その解決に向け次の5つのテーマを掲げております。

・住宅の安全性の確保(大地震発生時の安全性)

・住宅の耐久性の確保(経年劣化に対する対策)

・住宅の利用価値の確保(間取りの可変性)

・住宅の品質に対する第三者による証明(流通価値の確保)

・住宅のデザイン品質の確保(時代の変化に耐えられる普遍的デザインの追求)

    これらのテーマを当社グループのみでは解決が困難であることから、全国の住宅供給会社とのネットワークを形成し、その問題解決を図り、社会の仕組みとして築き上げてまいります。

 

(2)経営戦略等

 当社グループは、以下の事項を成長戦略と位置づけ、事業の拡大を図ってまいります。

 

① 住宅分野での事業拡大

 2020年3月期末時点の登録施工店は519社であります。耐震性の高い木造住宅の更なる普及に向け、2021年3月期末までに、新規登録工務店50社の獲得を目指します。

 また、高付加価値の工務店ブランドである「重量木骨の家」についても、注目度・認知度を更に上昇させるべく、サイトコンテンツの充実やSNSを活用した情報発信などのプロモーションを積極的に推進し、ブランディングを強化します。

 

② 大規模木造建築(非住宅)分野での事業拡大

 2010年10月の公共建築物等木材利用促進法施行以後、大規模木造建築(非住宅)の建築需要が高まり、当社グループの受注は堅調に増加しております。これを受け、これまでのSE構法に加え、SE構法以外の大規模木造建築(非住宅)の構造計算及び生産設計を事業化すべく、2020年2月に株式会社ネットイーグルとの合弁会社として「株式会社木構造デザイン」を設立しました。

 今後は大規模木造建築(非住宅)の分野においても、耐震性の高い建築供給を拡大すべく事業化を推進してまいります。

 

③ 新分野への投資の拡大

 2019年12月に、世界中の新たな暮らしの調査研究・メディア運営、小屋・可動産活用による遊休地の企画・開発、まちづくり支援を手掛けるYADOKARI株式会社と資本業務提携を行いました。今後は、「住」の視点からこれからの豊かさを考えた、新たなライフスタイルを提案していきます。

 また、2019年9月に地方創生への貢献として、千葉県いすみ市にオープンしたグランピング施設「いすみフォレストリビング」にSE構法によるアウトドアデッキを提供するとともに、同施設内に持分法適用関連会社である株式会社MUJI HOUSEの新商品「陽の家」のモデルハウスを併設しました。

 今後も新たな分野への投資を継続し事業規模の拡大を推進してまいります。

 

(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社グループでは主な経営指標として、企業の事業活動の成果を示す営業利益を注視し、収益性の指標に営業利益率を掲げているほか、資本及び資産の効率性判断の指標にROE(自己資本利益率)、財務の安定性判断の指標にネットキャッシュ(注1)及び、流動資産構成比率(注2)を掲げております。達成状況につきましては、月次の取締役会及び月1回以上の執行役員会等で定期的にモニタリングを行ってまいります。

(注1)ネットキャッシュは以下の方法にて算定しております。

ネットキャッシュ=現金及び預金-預り保証金

(注2)流動資産構成比率は以下の方法にて算定しております。

流動資産構成比率=流動資産÷総資産

 

(4)経営環境

 当社グループが属する住宅業界においては、2019年10月からの消費税増税に対し、低水準の住宅ローン金利や政府による継続的な住宅取得支援策等の一定の効果はありましたが、2019年(1月~12月)の新設住宅着工戸数は90万5千戸と前年比4%減となりました。2020年1月以降は消費増税によるマイナス効果が大きく、1月は前年同期比13.7%減、2月は同12.3%減、3月は同7.6%減と低調に推移いたしました。

 

(5)事業上及び財務上の対処すべき課題

 当社グループにおける経営方針、経営戦略を実現するための対処すべき課題は以下のとおりであります。

 

① 木造耐震設計事業住宅分野の収益の拡大

 当社グループは、木造耐震設計事業を主力事業としておりますが、この事業の安定的・継続的な発展が収益基盤の基礎として必要であると考えております。そのためには、登録施工店ネットワークの継続的な拡大に向けて、工務店を中心とした新規顧客の開拓を着実に進めていくことが必要不可欠であり、人員の配置転換等により営業体制の強化を進めてまいります。

 また、高付加価値の工務店ブランドである「重量木骨の家」についても、パートナー工務店の拡大とともに、WEBプロモーションを推進し、ブランド化を進めてまいります。

 今後も、登録施工店ネットワークを通じたSE構法の更なる普及により、住宅分野の収益基盤の拡大を図ってまいります。

 

② 木造耐震設計事業大規模木造建築(非住宅)分野での収益の拡大

 国内における木材利用の促進政策として2010年10月に公共建築物等木材利用促進法が施行されたことにより、国や地方自治体の関与する公共建築物への木材利用が促進されております。また集合住宅や病院・保育園等においても木造建築のニーズが高まっております。これら住宅よりも規模の大きい木造建築においては、当社グループがこれまで培った構造計算ノウハウが必要となることから、当事業年度においても順調に受注を増やし売上を伸ばしております。

 また、SE構法以外の木造構造計算ニーズの高まりに対応し、SE構法以外の大規模木造非住宅建築物の構造設計と生産設計をおこなう「株式会社木構造デザイン」をネットイーグル株式会社との合弁会社として2020年2月に設立いたしました。

 今後は、大規模木造非住宅建築に対応した設計システム等の技術研究開発や、構造加工品等の生産・供給体制を更に強化し、当社グループとして非住宅分野における収益の拡大を図ってまいります。

 

③ 構造加工品の供給体制の強化

 当社グループは全国10か所の構造加工工場に集成材等の加工を委託しております。今後の住宅分野及び非住宅分野の拡大に対応して構造加工工場の増設を行うとともに、M&Aによる構造加工の内製化も視野に、供給体制の強化を図ってまいります。

 

④ SE構法中古住宅物件の買取再販事業創設に向けて

 当社グループは「日本に資産価値のある住宅を提供する仕組みをつくる」ことを目標の一つとして掲げております。この目標は、当社グループがこれまでの25年間で出荷してきたSE構法構造計算累積出荷2万4千棟について、中古住宅物件としての買取再販を事業化することで実現されると考えております。

 この中古住宅物件マーケットへの参入に際しては、その前に、中古住宅物件に対するメンテナンスサービスや構造躯体・環境性能についての検査サービスの充実が必要であり、今後、これらのサービスの事業化に向けて、必要な施策を実行してまいります。

 

⑤ 内部管理体制の強化

 当社グループが更なる事業拡大、継続的な成長を遂げるためには、確固たる内部管理体制構築を通じた業務の標準化と効率化の徹底が重要であると考えております。

 当社グループとしましては、内部統制の環境を適正に整備し、コーポレート・ガバナンスを充実させることによって、内部管理体制の強化を図り、企業価値の最大化に努めてまいります。

 

⑥ コンプライアンス体制の強化

 当社グループは、法令、定款及び社内規程等の遵守は勿論のこと、日々の業務を適正かつ確実に遂行し、クリーンで誠実な姿勢を企業行動の基本として、顧客の信頼を得ると同時に事故やトラブルを未然に防止する取り組みを強化してまいります。

 今後、更なる事業拡大と企業価値の向上に向けて、引き続き日常業務における関連法令の遵守を徹底し、各種取引の健全性の確保、情報の共有化等を行うとともに、社内啓蒙活動を実施し、透明性のある管理体制の構築を図ってまいります。

 

⑦新型コロナウイルス感染症の影響

 当社グループは、関係者の皆様、従業員の安全・健康を最優先に考えた対策を実施します。新型コロナウイルス感染症の影響が長期化した場合、当社グループ全体の事業運営及び業績に影響が及ぶことが予想されます。当社グループといたしましては、関係各所と緊密に連携し市場環境を注視しながら今後の事業運営に取り組んでまいります。

 

2【事業等のリスク】

 本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。

 なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)住宅市況及び金利状況、経済情勢の変動について

 当社グループが属する住宅業界は、景気動向、金利動向、地価動向並びに住宅税制等の影響を受けやすいため、景気見通しの悪化や大幅な金利上昇、地価の上昇並びに住宅税制等の諸情勢に変化があった場合には、住宅購入者の購入意欲を減退させる可能性があります。また、人口動態及び世帯数の推移の影響も受けるため、国内における人口及び世帯数が減少する局面においては、国内における住宅需要の減少要因となる可能性があります。これら経済情勢等が変動した場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)法的規制等について

当社グループの事業は、建築基準法、建設業法、建築士法及び関連する各種法令により規制を受けております。

当社グループでは、事業継続のため、これらの法令等を含めたコンプライアンスが遵守されるよう、役職員に対して研修等を通じて周知徹底を図ることで、これらの適用法令等に対応できる体制を構築しており、現時点で事業継続に支障をきたす事項はありませんが、今後、何らかの理由により適用法令等の違反が発生した場合には、処罰、処分その他の制裁を受け、当社グループの社会的信用やイメージが毀損することにより、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

また、建設業法や建築士法等をはじめ有資格者の選任・配置が義務づけられている場合については、適法に事業活動ができるようその確保に努めており、現時点では必要な有資格者を確保できておりますが、今後、何らかの理由によりそれらが十分に確保できなかった場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

さらに、これらの適用法令等の改廃や、新たな法的規制が設けられた場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

なお、適用法令等について、その有効期間やその他の期限が法令等により定められているものは下表のとおりであります。

許認可等の名称

許認可登録番号

有効期間

関係法令

許認可等の取消事由

一級建築士事務所

東京都知事登録

第53779号

2017年8月18日~

2022年8月14日

建築士法

同法第26条

特定建設業許可

国土交通大臣許可

(特22)第23620号

2015年7月8日~

2020年7月7日

建設業法

同法第29条

宅地建物取引業免許

東京都知事(1)

第101790号

2018年3月24日~

2023年3月23日

宅地建物取引業法

同法第66条

 

(3)国や地方自治体の施策による影響について

 当社グループの事業に関連する国の施策として、2010年10月に「公共建築物等木材利用促進法」が施行され、公共建築物における木材利用が推進されており、今後住宅だけでなく公共建築物における木材利用や構造設計に関する市場が拡大することが予想されます。

 また、2013年12月に「国土強靭化基本法」が施行され、2014年6月には「国土強靭化基本計画」が閣議決定されました。さらに、取り組むべき具体的な個別施策等を示した「国土強靭化アクションプラン」が策定され、国土強靭化の取り組みは本格的な実行段階にあります。「建築物の耐震改修の促進に関する法律(耐震改修促進法)」に基づく国の基本方針においては、南海トラフ地震防災対策推進基本計画及び首都直下地震緊急対策推進基本計画、住生活基本計画(平成28年3月閣議決定)における目標を踏まえ、住宅の耐震化率について、平成32年までに少なくとも95パーセントにすることを目標とするとともに、平成37年までに耐震性が不十分な住宅をおおむね解消することを目標とし、耐震化の促進を図っています。平成25年時点の住宅の耐震化率は、約82%となっており、今後当社グループが提供する耐震性の高いSE構法に対するニーズが増加していくことが予想されます。

 しかしながら、今後において、これらの施策が変更された場合には、市場の成長が鈍化し、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

(4)原材料価格の変動について

 当社グループでは、SE構法の材料として、集成材、木材及び合板を使用しております。集成材、木材及び合板は、主に国内のメーカーから調達していますが、伐採量、消費量等需給バランスの変化によって相場が変動することにより、流通価格が変化します。これらの事象が生じた場合、販売価格への転嫁により適切な利益を確保するよう努めますが、急激な原材料価格の上昇等により、販売価格への転嫁がタイムリーに行えない場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5)競合について

 当社グループは、工務店を中心とした登録施工店ネットワークを通じて、当社が独自に開発した木造建築用の建築システムであるSE構法を提供しております。SE構法では、構造計算から構造加工品の供給・省エネ計算・施工・検査・性能保証等まで一括管理することにより、木造建築の耐震性等において他社に対する優位性を確保していると考えておりますが、同業他社の資本力、営業力及びブランド力等に優れる企業との競合の結果、当社グループが想定どおりの事業拡大を図れない場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6)構造加工工場への依存について

 当社グループが提供するSE構法では、構造加工工場で加工した構造加工品を利用するため、加工能力、工期、コスト及び品質等を勘案し、一定の技術を有する全国の構造加工工場へ原材料(集成材)の加工を委託しておりますが、構造加工工場の予期せぬ業績不振や事故等により事業を継続できなくなるなどの不測の事態が発生した場合は、構造加工品の提供遅延等によりお客様及び登録施工店等への損害賠償等が発生する可能性があり、その場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(7)物件着工時期の遅れによる業績への影響について

 当社グループの木造耐震設計事業においては、大半の売上が構造加工品の納品時に売上計上されますが、天災地変、事故、その他予期し得ない要因により、物件の着工遅延等の不測の事態が発生した場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(8)システムについて

 当社グループでは、建築図面のデータ入力や構造計算、温熱計算並びに構造加工工場との連携など、事業の基幹となる部分に各種システムを活用しております。当社グループでは、今後とも業務の効率化による生産性向上等に向けて、新しいシステムを自社開発又は他社への委託、もしくは他社からのシステム購入等により確保していく方針でありますが、新システムの開発、購入等には多額の費用が必要となる可能性があり、その結果、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 また、当社グループは、システムの冗長化及びデータベースのバックアップを行っておりますが、当該システムの障害、大規模広域災害、もしくはコンピュータウイルス等によるデータベースへの影響又はシステムサービスの中断等により、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(9)構造設計及び品質保証等について

 当社グループが提供するSE構法による建物については、すべての建物について構造計算を行っておりますが、構造等に関する法改正が行われた場合や、何らかの理由により構造計算書の偽装等、建物の構造に係わる問題が発生した場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 また、SE構法による住宅については、当社独自のSE住宅性能保証による長期保証システムを提供し、耐震性及び品質管理に万全を期しておりますが、長期にわたるサポート期間の中で、予期せぬ事情により重大な品質問題が発生した場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(10)特定人物への依存及び人材確保に係るリスクについて

 当社グループでは、事業拡大に伴い優秀な人材の確保とその育成は重要な課題となっており、人材採用と人材育成に関する各種施策を継続的に講じております。しかしながら、十分な人材確保が困難になった場合や、人材が外部に流出した場合には、当社グループの今後の事業展開に影響を及ぼす可能性があります。

 また当社では、代表取締役社長執行役員である田鎖郁夫の木材業界及び住宅業界並びに建築業界における長年の経験と豊富な知見に依存している面があります。このため当社グループでは、特定の人物に過度に依存しない体制を構築すべく経営組織及び各部門の専門的なスキルを有するスタッフの強化を図っておりますが、これらの役職員が何らかの理由で退任、退職し、後任者の採用が困難になった場合には、当社グループの業績及び今後の事業展開に影響を及ぼす可能性があります。

 

(11)訴訟等の可能性について

 当社グループは、事業展開において建築基準法、建設業法、建築士法及び関連する各種法令を遵守し、事業活動を推進しておりますが、お客様又は登録施工店との認識の齟齬その他に起因して、クレーム・トラブル等が発生する可能性があります。当社グループにおいては、弁護士等の関与の下、必要な協議・対応・手続を行っており、現在、重大な訴訟事件等は生じておりません。

 しかしながら、今後において、これらクレーム・トラブル等に起因して重大な訴訟等が提起された場合には、当社グループに対するお客様からの信頼低下、並びに損害賠償請求訴訟の提起等により、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(12)個人情報等の漏洩等について

 当社グループは、営業活動に伴い個人情報を取り扱う場合があり、慎重な対応と厳格な情報管理の徹底が求められております。当社グループは、これらの重要な情報の漏洩、紛失、誤用、改ざん等を防止するため、システムを含めて情報管理に対して適切なセキュリティ対策を実施しております。しかしながら、これらの対策にもかかわらず重要な情報が外部に漏洩した場合には、当社グループの社会的信用等に影響を与え、その対応のための多額の費用負担やブランド価値の低下により当社グループの業績及び今後の事業展開に影響を及ぼす可能性があります。

 

(13)知的財産権について

 当社グループは、当社グループの提供するサービスの基礎をなす技術について特許権を出願し取得するとともに、各種の商標を登録しております。しかし、現時点で権利取得に至っていない権利について、今後これらの権利を取得できるという確実性はありません。また、特許申請の必要性について社内検討し、弁護士や弁理士と連携の上、速やかに特許申請を行う方針ですが、特許申請をしない方が競争優位に立てると判断した場合は特許申請を行わない場合もあります。慎重に判断を行い権利保護に努めておりますが、他社による模倣を効果的に防ぐことができない可能性もあります。一方で、当社グループの事業分野において、国内外の各種事業者等が特許その他の知的財産権を取得した場合、その内容次第では、当社グループに対する訴訟やクレーム等が発生し、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループでは、第三者に対する知的財産権を侵害することがないよう慎重に事業活動を行っておりますが、当社グループの事業分野における知的財産権の現状を完全に把握することは困難であり、万一当社グループが第三者の知的財産権を侵害した場合には、損害賠償又は使用差止めなどの請求を受ける可能性があります。これらの事態が発生した場合、当社グループの業績及び今後の事業展開に影響を及ぼす可能性があります。

 

(14)ソフトウエアの資産計上に伴う費用化についての影響

 当社グループは、「研究開発費等に係る会計基準」(企業会計審議会 平成10年3月13日)に従い、自社利用のソフトウエアについて、適切に資産計上及び減価償却を行っております。しかしながら、各事業の事業収益が悪化した場合には、減損会計の適用による減損処理が必要となる場合があり、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(15)事業投資及び子会社株式の評価に係るリスク

当社グループでは、グループシナジーのある事業への投資を今後も継続してまいりますが、投資先企業の業績が悪化し子会社株式、投資有価証券について減損損失の適用対象となった場合には、これら資産の評価切り下げにより損失が発生し、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(16)新型コロナウイルス感染拡大について

世界的な新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響により、当企業集団においても、事業を取り巻く環境について先行き不透明な状況が生じております。国内のみならず、各国で経済活動が強く制限され感染収束時期が見通せないなかで、順調に正常化に向かうのか予断を許さない状況です。感染症の拡大により、都市封鎖、外出制限等が実施された場合、当社グループの事業活動が一時的に停止するもしくは計画どおりに進捗しない可能性があります。これらの事態が発生した場合、当社グループの業績及び今後の事業展開に影響を及ぼす可能性があります。

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

① 経営成績の状況

 当社グループが属する住宅業界においては、2019年10月からの消費税増税に対し、低水準の住宅ローン金利や政府による継続的な住宅取得支援策等の一定の効果はありましたが、2019年(1月~12月)の新設住宅着工戸数は90万5千戸と前年比4.0%減となりました。2020年1月以降は消費増税によるマイナス効果が大きく、1月は前年同期比10.1%減、2月は同12.3%減、3月は同7.6%減と低調に推移いたしました。

 当社グループはこのような経営環境のなか、住宅分野では売上高5,580百万円となり、前年同期比3.4%減となりました。一方、非住宅分野では、2010年10月に施工された「公共建築物等木材利用促進法」により、国や地方自治体の関与する公共建築物への木材利用が促進され、住宅より規模の大きい建築物にも木造化に伴う受注が増加しており、売上高720百万円(前年同期比65.6%増)となりました。

 また、SE構法以外の木造構造計算のニーズの高まりを受け、SE構法以外の非住宅木造建築物の構造設計と生産設計をおこなう「株式会社木構造デザイン」を木造プレカットCAD開発トップシェアのネットイーグル株式会社(福岡県福岡市 代表取締役社長 祖父江久好)との合弁会社として設立いたしました。

 その他(新規事業部門)におきましては、住宅の省エネルギーを表示する基準となる「BEI値基準」が国土交通省より発表され、BEI値(住宅の一次エネルギー消費量)を計算するサービスを本格的にスタートさせました。

 これらの結果、当連結会計年度における売上高は6,610百万円(前年同期比1.4%増)となりました。利益につきましては、広告宣伝費、人件費の増加により、営業利益229百万円(前年同期比12.3%減)、経常利益258百万円(前年同期比18.4%減)、親会社株主に帰属する当期純利益181百万円(前年同期比25.2%減)となり、売上高営業利益率は3.5%、ROE(自己資本当期純利益率)は10.3%となりました。

 なお、当連結会計年度における親会社株主に帰属する当期純利益181百万円には、連結損益計算書に記載の通

り、過年度法人税等9百万円が含まれております。本金額を控除した後の親会社株主に帰属する当期純利益は190百万円(前年同期比21.4%減)となります。

 

② 財政状態の状況

 当連結会計年度末における資産合計は4,713百万円となり、前連結会計年度末に比べ115百万円減少いたしました。これは主に投資有価証券が25百万円増加する一方、現金及び預金が64百万円、有償支給未収入金が75百万円減少したこと等によるものです。
 当連結会計年度末における負債合計は2,865百万円となり、前連結会計年度末に比べ237百万円減少いたしました。これは主に電子記録債務が450百万円増加する一方、買掛金が633百万円減少したことによるものです。
 当連結会計年度末における純資産合計は1,847百万円となり、前連結会計年度末に比べ121百万円増加いたしました。これは主に親会社株主に帰属する当期純利益181百万円等を計上したことによる利益剰余金101百万円の増加によるものです。
 この結果、連結ベースの自己資本比率38.3%となりました。

 

③ キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、売上債権及びたな卸資産の増加、無形固定資産の取得による支出等のほか、税金等調整前当期純利益が258百万円(前年同期比18.4%減)であったこと等により、前連結会計年度末に比べ64百万円減少し、当連結会計年度末には2,607百万円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果得られた資金は74百万円となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益258百万円、減価償却費が59百万円、下請法への対応に係る一部支払サイトの変更による買掛金の減少84百万円を含む仕入債務の減少による支出183百万円及び、法人税等の支払額97百万円等によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果使用した資金は84百万円となりました。これは主に、無形固定資産の取得による支出66百万円等によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果使用した資金は53百万円となりました。これは主に、配当金の支払額79百万円によるものであります。

④ 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当社グループの事業セグメントは、木造耐震設計事業及びその他の事業でありますが、木造耐震設計事業の全セグメントに占める割合が高く、その他の事業は開示情報としての重要性が乏しいため、生産実績のセグメント別の記載を省略しております。

 なお、当社グループにおける生産は、構造計算、一次エネルギー消費量計算等であり、当連結会計年度の実績は次のとおりであります。

 

当連結会計年度

(自 2019年4月1日

至 2020年3月31日)

前年同期比(%)

生産実績(千円)

257,411

102.66

 (注) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

b.受注実績

 当社グループの事業セグメントは、木造耐震設計事業及びその他の事業でありますが、木造耐震設計事業の全セグメントに占める割合が高く、その他の事業は開示情報としての重要性が乏しいため、受注実績のセグメント別の記載を省略しております。

 なお、当社グループにおける当連結会計年度の受注実績は、次のとおりであります。

 

当連結会計年度

(自 2019年4月1日

至 2020年3月31日)

受注高

(千円)

前年同期比

(%)

受注残高

(千円)

前年同期比

(%)

受注実績

6,539,090

99.1

732,174

98.5

 (注)上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

c.販売実績

 当社グループにおける当連結会計年度の販売実績は、次のとおりであります。

 

当連結会計年度

(自 2019年4月1日

至 2020年3月31日)

前年同期比(%)

木造耐震設計事業(住宅分野)(千円)

5,580,220

96.58

木造耐震設計事業(非住宅分野)(千円)

720,890

165.61

その他(千円)

309,271

102.01

合計(千円)

6,610,382

101.44

 (注)1.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自 2018年4月1日

至 2019年3月31日)

当連結会計年度

(自 2019年4月1日

至 2020年3月31日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

㈱MUJI HOUSE

1,173,573

18.0

1,015,014

15.4

㈱アールシーコア

1,116,492

17.1

1,213,984

18.4

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 当社グループに関する財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析・検討内容は、原則として連結財務諸表に基づいて分析した内容であります。文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。

 

① 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a 財政状態

 財政状態の概況につきましては、「第2 事業の状況 3.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ② 財政状態の状況」に記載しております。

 

b 経営成績

 当社グループでは、2010年10月に施工された「公共建築物等木材利用促進法」により、国や地方自治体の関与する公共建築物への木材利用が促進されたことに加え、老健施設や保育園など住宅より大規模な非住宅建築物にも木造化の受注が増加しております。また、住宅の省エネルギーを表示する基準となる「BEI値基準」が国土交通省より発表され、BEI値(住宅の一次エネルギー消費量)を計算するサービスを推進しております。

 当社グループにおいては人員の拡充や協力工場の拡充をはじめとした事業体制の強化を通じて業績拡大をすることができたと考えております。

 また、引き続き安定的な成長が見込まれる住宅分野においても、登録施工店とのリレーション強化等を通じ堅調な成長を達成することが重要であると考えております。

 なお、当連結会計年度における新型コロナウイルス感染症による影響については、感染症発生以前に受注した案件が多いことから、影響は軽微なものと判断しております。

 

c キャッシュ・フローの状況

 キャッシュ・フローの概況につきましては、「第2 事業の状況 3.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載しております。

 

d 資本の財源及び資金の流動性

 当社グループの資本の財源及び資金の流動性につきましては、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。運転資金需要のうち主なものは、売上原価に係るもののほか、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。運転資金は自己資金を基本としており、金融機関からの借入は行っておりません。

 将来の成長のための内部留保については、成長分野におけるシェア拡大及び新技術の開発のための投資に資源を優先的に充当してまいります。また各事業のさらなる強化のため社内業務システムや設計ソフトウェアの開発投資を継続していきます。

 当連結会計年度においては、基幹業務システム及び設計ソフトウェアへの開発投資を実施いたしました。この結果、当連結会計年度における無形固定資産の取得による支出は66,599千円となりました。これらの投資資金は、上場時に取得した資金と自己資金にて賄っております。

 

e 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、米国において一般に認められた会計基準に準拠して作成されております。これらの財務諸表の作成にあたっては、当社グループは重要な見積りや仮定を行う必要があります。会計方針の適用にあたり、特に重要な判断を要する項目は以下のとおりであります。

 なお、新型コロナウイルス感染症の拡大は、経済や企業活動に広範な影響を与える事象であり、現時点で当社グループに及ぼす影響及び当感染症の収束時期を予測することは困難ですが、顧客企業及びその他外部からの情報等から、一定期間にわたり当感染症の影響が継続するという一定の仮定に基づいて、会計上の見積りを行っております。

 

貸倒引当金

 当社グループは、売掛債権等について貸し倒れの可能性を予測する必要があります。これらの債権の回収可能性を検討するにあたっては、各相手先の業績、債権残高、財政状況等を考慮して個別に信用リスクを判断する等、重要な判断が必要であります。相手先の財政状態が悪化した場合は貸倒引当金を積み増すことがあり、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を与える可能性があります。

 

有価証券の評価損

 その他有価証券について、時価が取得原価に比べて著しく下落した場合、回復する見込みがあると認められるものを除き、合理的な基準に基づいて減損処理を行うこととしております。今後、株式市場等の状況によっては、有価証券評価損を計上する可能性があります。

 

② 経営成績に重要な影響を与える要因について

 経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 2.事業等のリスク」に記載のとおりであります。また、今後の経営成績に影響を与える課題につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおり、事業環境、法的規制等、様々なリスク要因が当社グループの経営成績に重要な影響を与える可能性があると認識しております。そのため、当社は常に市場動向に留意しつつ、内部管理体制の強化や、人材の確保と育成等に力を入れ、経営成績に重要な影響を与えるリスク要因を分散・低減し、適切な対応に努めてまいります。

 

③ 経営者の問題意識と今後の方針について

 経営者の問題意識と今後の方針については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりでありますが、今後収益を拡大するためには、既存の事業の更なる拡大、新たなシステム及びサービスの開発、事業規模の拡大に合わせた人材の確保等が必要であると認識しており、これらの課題に対して最善の事業戦略を立案するよう、努めてまいります。

 

4【経営上の重要な契約等】

(1)構造加工(プレカット加工)委託契約

相手方の名称

契約名称

契約締結日

契約内容

契約期間

㈱タツミ

売買取引基本契約

2003年10月26日

当社が知的財産権を有するSE構法用金物の資材供給及び加工委託、完成品の買取に関する契約

2003年10月26日から

2004年10月25日まで

以後1年ごとの自動更新

セブン工業㈱

プレカット加工契約書

1997年12月25日

SE構法によるプレカット資材供給及び加工委託、完成品の買取に関する契約

1997年12月25日から

2002年12月24日まで

以後1年ごとの自動更新

㈱カナモク

プレカット加工契約書

1996年4月1日

SE構法によるプレカット資材供給及び加工委託、完成品の買取に関する契約

1996年4月1日から

1997年3月31日まで

以後1年ごとの自動更新

㈱岡本銘木店

プレカット加工契約書

2000年7月19日

SE構法によるプレカット資材供給及び加工委託、完成品の買取に関する契約

2000年7月19日から

2001年7月18日まで

以後1年ごとの自動更新

マルコマ㈱

プレカット加工契約書

2004年12月1日

SE構法によるプレカット資材供給及び加工委託、完成品の買取に関する契約

2004年12月1日から

2005年11月30日まで

以後1年ごとの自動更新

㈱大三商行

プレカット加工契約書

2003年3月31日

SE構法によるプレカット資材供給及び加工委託、完成品の買取に関する契約

2003年3月31日から

2004年3月30日まで

以後1年ごとの自動更新

ランバー宮崎協同組合

プレカット加工契約書

2009年8月3日

SE構法によるプレカット資材供給及び加工委託、完成品の買取に関する契約

2009年8月3日から

2010年8月2日まで

以後1年ごとの自動更新

院庄林業㈱

プレカット加工契約書

2017年3月1日

SE構法によるプレカット資材供給及び加工委託、完成品の買取に関する契約

2017年3月1日から

2022年2月28日まで

以後1年ごとの自動更新

物林㈱

プレカット加工契約書

2017年9月1日

SE構法によるプレカット資材供給及び加工委託、完成品の買取に関する契約

2017年9月1日から

2022年8月31日まで

以後1年ごとの自動更新

銘建工業㈱

プレカット取引基本契約書

2018年4月1日

SE構法によるプレカット資材供給及び加工委託、完成品の買取に関する契約

2018年4月1日から

2023年3月31日まで

以後1年ごとの自動更新

 

(2)資材仕入に係る取引基本契約

相手方の名称

契約名称

契約締結日

契約内容

契約期間

双日建材㈱

売買取引基本契約

2005年12月26日

相互の商品売買取引に関する基本契約

2005年12月1日から

2006年11月30日まで

以後1年ごとの自動更新

住友林業㈱

商取引基本契約

2003年12月15日

相互の商取引に関する基本契約

契約期間の定めなし

㈱ダイロック

売買取引基本契約

2009年6月1日

相互の商品売買取引に関する基本契約

2009年6月1日から

2010年5月31日まで

以後1年ごとの自動更新

 

5【研究開発活動】

 当社グループにおける主たる研究開発部門は、当社技術開発部であり、「SE構法」における安全な商品提供を目指すため、構造計算ソフトウエア開発、製造用機械及びプログラム開発、金物等の接合部の開発等、木造の構造に関する研究開発を手がけております。当社グループにとって研究開発活動は、事業継続と発展に対して重要なものであると認識しており、今後も市場性を把握し、経営状況とのバランスに留意しながら積極的に研究開発を行っていく考えであります。

 

 当連結会計年度における研究開発活動の概況と成果は次のとおりであり、研究開発費総額は96百万円です。なお、当社グループの事業セグメントは、木造耐震設計事業及びその他の事業でありますが、木造耐震設計事業の全セグメントに占める割合が高く、その他の事業は開示情報としての重要性が乏しいため、研究開発活動の概要と成果は、研究開発の項目別に記載しております。

 

(1)SE構法Ver.3に向けての接合部開発及びソフト開発

 新技術による金物による接合部のフレーム実験及び接合部の評価実験を完了し、実際に運用するためにCADソフトを開発しております。

 

(2)立体解析構造計算ソフト(WOLF-3)の開発

 住宅・非住宅の分野における建物の平面・立面形状の多様なニーズに対応するため、建物形状の制限が無い一貫構造計算ソフトの開発をしております。

 

(3)地震シミュレーションソフトの開発

 構造計算を行った建築物の耐震性能を建築主に解りやすく伝えるためのツールとして、過去の地震で計測された地震波を用いた応答解析を行い、その状況を動画で表示する事ができるシミュレーションソフトの開発をしております。

 

(4)木造住宅用BIMの開発

 主にビルや大規模建築物の設計に使われているBIMについて、株式会社MAKE HOUSEにて、SE構法を活用した木造住宅用にカスタマイズする研究開発を行っております。