第一部 【企業情報】

 

第1 【企業の概況】

 

1 【主要な経営指標等の推移】

(1) 連結経営指標等

 

回次

第10期

第11期

第12期

第13期

第14期

決算年月

2020年12月

2021年12月

2022年12月

2023年12月

2024年12月

売上高

(千円)

575,496

528,043

経常損失(△)

(千円)

438,840

655,726

親会社株主に帰属する
当期純損失(△)

(千円)

505,288

804,603

包括利益

(千円)

505,288

819,751

純資産額

(千円)

1,117,813

838,339

総資産額

(千円)

1,205,338

1,167,243

1株当たり純資産額

(円)

142.71

91.80

1株当たり
当期純損失(△)

(円)

64.51

98.61

潜在株式調整後
1株当たり当期純利益

(円)

自己資本比率

(%)

88.2

65.1

自己資本利益率

(%)

株価収益率

(倍)

営業活動による
キャッシュ・フロー

(千円)

174,325

603,625

投資活動による
キャッシュ・フロー

(千円)

114,387

235,844

財務活動による
キャッシュ・フロー

(千円)

341,251

696,537

現金及び現金同等物
の期末残高

(千円)

883,358

740,426

従業員数

(名)

53

54

(外、平均臨時
雇用者数)

(―)

(―)

(―)

(4)

(8)

 

(注) 1.第13期より連結財務諸表を作成しているため、それ以前については記載しておりません。

2.潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、1株当たり当期純損失であるため記載しておりません。

3.自己資本利益率及び株価収益率については、親会社株主に帰属する当期純損失を計上しているため記載しておりません。

 

 

(2) 提出会社の経営指標等

 

回次

第10期

第11期

第12期

第13期

第14期

決算年月

2020年12月

2021年12月

2022年12月

2023年12月

2024年12月

売上高

(千円)

864,644

1,139,189

1,050,994

575,133

486,546

経常利益又は
経常損失(△)

(千円)

237,404

109,671

73,641

404,965

417,091

当期純利益又は
当期純損失(△)

(千円)

353,093

130,675

33,909

471,268

580,602

持分法を適用した
場合の投資利益

(千円)

資本金

(千円)

916,650

916,650

916,650

916,650

1,167,250

発行済株式総数

(株)

7,832,800

7,832,800

7,832,800

7,832,800

8,275,582

純資産額

(千円)

1,357,539

1,259,278

1,274,118

801,834

745,256

総資産額

(千円)

1,520,139

1,394,108

1,395,516

885,565

1,041,668

1株当たり純資産額

(円)

173.32

160.77

162.67

102.37

83.97

1株当たり配当額

(円)

(1株当たり中間配当額)

(―)

(―)

(―)

(―)

(―)

1株当たり当期純利益又は当期純損失(△)

(円)

45.18

16.68

4.33

60.17

71.16

潜在株式調整後
1株当たり当期純利益

(円)

4.33

自己資本比率

(%)

88.3

86.9

89.3

87.4

66.7

自己資本利益率

(%)

2.8

株価収益率

(倍)

84.1

配当性向

(%)

営業活動による
キャッシュ・フロー

(千円)

110,970

95,947

114,112

投資活動による
キャッシュ・フロー

(千円)

19,485

34,557

7,043

財務活動による
キャッシュ・フロー

(千円)

19,996

7,140

8,739

現金及び現金同等物
の期末残高

(千円)

1,098,361

960,716

830,820

従業員数

(名)

45

45

40

49

44

(外、平均臨時雇用者数)

(5)

(0)

(0)

(3)

(4)

株主総利回り

(%)

54.6

31.9

16.5

30.2

15.3

(比較指標:TOPIX)

(%)

(107.4)

(121.1)

(118.1)

(151.5)

(182.5)

最高株価

(円)

2,510

1,655

720

745

729

最低株価

(円)

880

676

362

353

310

 

 

(注) 1.第10期、第11期、第13期及び第14期の自己資本利益率及び株価収益率については、当期純損失を計上しているため記載しておりません。

2.第10期、第11期、第13期及び第14期の潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、新株予約権の残高はありますが、1株当たり当期純損失であるため記載しておりません。

3.1株当たり配当額及び配当性向については、配当を実施していないため、記載しておりません。

4.最高株価及び最低株価は、2022年4月3日以前は東京証券取引所マザーズにおけるものであり、2022年4月4日以降は東京証券取引所グロース市場におけるものであります。

5.「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を第12期の期首から適用しており、第12期以降に係る主要な経営指標等については、当該会計基準等を適用した後の指標等となっております。

6.第13期より連結財務諸表を作成しているため、第13期以降の持分法を適用した場合の投資利益、営業活動によるキャッシュ・フロー、投資活動によるキャッシュ・フロー、財務活動によるキャッシュ・フロー及び現金及び現金同等物の期末残高は記載しておりません。

7.第10期、第11期及び第12期の持分法を適用した場合の投資利益は、関連会社がないため記載しておりません。

 

 

2 【沿革】

年月

事項

2011年9月

東京都渋谷区に株式会社ウェルビー設立(資本金3,400千円)

2014年8月

東京都千代田区に本社移転

2015年6月

徳島大学と共同で、2型糖尿病患者のためのセルフモニタリングシステムを開発

2015年8月

医療機器製造販売業第二種免許取得

2015年8月

Welbyデータマネジメントツールを臨床試験に提供開始

2016年4月

情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)認証取得

2016年9月

シニア層向けスマートフォン端末に「Welbyマイカルテ」プリインストール提供開始

2017年2月

東京都中央区日本橋本町三丁目に本社移転

2017年12月

株式会社デジタルガレージ、日本郵政グループへ第三者割当増資及び業務提携

2018年5月

臨床研究向け新サービス「Welby RWEソリューション」提供開始

2018年10月

社名を株式会社ウェルビーから株式会社Welbyへ変更

2019年3月

東京証券取引所マザーズに株式を上場

2019年7月

当社ePROシステムを利用した聖マリアンナ医科大学の胃がん領域の臨床研究が開始

2019年9月

日本結節性硬化症学会と共同で 結節性硬化症患者のための「レジストリJTSRIM」の構築開始

2019年10月

株式会社ベネフィット・ワンと企業・健保向け健康管理サービスで業務提携

2019年11月

東京都中央区日本橋本町二丁目に本社移転

2019年11月

株式会社スズケンと医療機関へのPHR普及等を目的に資本業務提携

2019年12月

がん向けPHRプラットフォーム「WelbyマイカルテONC」リリース

2020年4月

新型コロナウイルス対策 WEBチェック・情報共有ツールを提供開始

2020年5月

フクダ電子株式会社と医療機関向けデータ管理で業務提携

2020年5月

株式会社インテージヘルスケアとPHR及びePRO事業の拡大を目的に業務提携

2020年6月

アストラゼネカ株式会社とPHRをベースにしたデジタル活用を推進する戦略的パートナーシップ契約を締結

2020年8月

大同生命保険株式会社と新商品サービス開発等を目的とした業務提携

2020年10月

PHR利用者向けショッピングサービス「Welbyマイカルテモール」サービス開始

2020年10月

がん患者向けサポートを目的としてアフラック生命保険株式会社と業務提携

2021年2月

徳島大学と AI を活用した糖尿病自己管理支援システムの共同研究を開始

2021年2月

PHRやePROにおいてさらなるデータ活用などを推進することを目的として株式会社インテージヘルスケアと資本業務提携

2021年3月

新型コロナワクチン接種前後の症状管理・共有を担うPHRプラットフォームを提供

2021年4月

ISO27017(ISMSクラウドセキュリティ認証)を取得

2021年5月

富士通Japan株式会社の電子カルテシステムと新型コロナワクチン接種管理サービスの連携を開始

2021年8月

PHRを基点としたヘルスケアサービス創出を目指し株式会社電通と業務提携

2022年4月

東京証券取引所の市場区分の見直しにより、東京証券取引所のマザーズからグロース市場へ移行

2022年5月

個人及び医療機関向けのPHRデータポータビリティ機能をスマートシティ向けに提供開始

2022年5月

PHRを活用した糖尿病治療の多施設共同研究でHbA1c改善効果 日本糖尿病学会にて発表

2022年6月

PHR事業者15社による「PHRサービス事業協会(仮称)」設立に参画

2022年7月

東京都中央区京橋一丁目に本社移転

2022年8月

株式会社スズケンと保険薬局向け「処方箋情報送信サービス」の共同展開を開始

2023年4月

「オンコロジーPHRコンソーシアム」を設立し、がん診療連携拠点病院と共同プロジェクトを開始

2023年6月

Welbyヘルスケアソリューションズを100%出資子会社として設立

2023年8月

政府が運営するマイナポータルとPHRプラットフォームの連携を開始

2023年8月

リハビリテーション領域でのPHR活用での協業を目的として株式会社リハサクと資本業務提携

2023年11月

株式会社スズケンとの資本業務提携にて、資本関係を強化し更なる協業加速に合意

2023年12月

産業保健・保険者向けソリューションの開発・提供を通じて、PHRの広範な社会実装を加速することを目的に日本生命保険相互会社と業務提携

2024年2月

PHRを活用した「みなし健診」サービスの提供開始

2024年4月

中部電力株式会社とPHRサービス普及促進に向けた資本業務提携に合意

2024年4月

株式会社NTTドコモとPHRを活用した疾病領域における協業に合意

 

 

3 【事業の内容】

当社グループは、「Empower the Patients」を事業ミッションに掲げ、糖尿病・高血圧症などの生活習慣病をはじめとする様々な疾患の治療分野において患者の自己管理をサポートするPHR※(Personal Health Record)プラットフォームサービス※を展開しております。

※「PHR」とは、個人によって電子的に管理される自らの健康・医療情報のことを指します。また、個人のスマートフォン経由で記録された血圧、体重、血糖値等の数値情報や生活情報、医療機関と連携して取得された検査数値、薬剤処方記録など、システム上で収集された健康情報も含めたうえで、これを広義のPHRと表現することも近年では一般的となっており、当社グループはこの考え方を援用し「PHR」を定義しています。

※「プラットフォーム」とは、当社グループが構築・運営する各疾患別のアプリを経由して、患者から提供された症状その他の医療情報等の記録、医療情報のデータベースへの保存・管理、Webサービスを利用した医療情報の医療機関等との共有などを可能にする、当社グループが運営する一連サービスのこと。

 

当社グループが構築・運営する各疾患別のアプリを、主に医療者もしくは医療機関が患者に対してパンフレットを通じて当社グループのサービスであることを紹介し、患者が自らの意思により、アプリストア等から該当アプリをダウンロードして頂き、当社グループの利用規約等に同意した上で、自らの健康・医療情報等を当社グループのプラットフォームに保存して頂いております。当該プロセスにおいて、患者が不明点等生じる場合は、パンフレットに記載の当社カスタマーサポート部門にて、電話もしくはメールにてサポートしています。

 

医療者と患者がPHRプラットフォーム上で患者の健康・医療情報等を共有することで、本PHRプラットフォームサービスは疾病管理ツールとして機能します。具体的には、患者がアプリに記録したデータを医療者が定期的に確認し、またアプリを通じて、医療者が患者へメッセージ送信を行なうことができるなど、双方向のコミュニケーションをもって患者の治療継続の支援と行動変容を促進することで、治療による臨床上の効果を高めることが可能となります。

当社グループが提供するPHRプラットフォームは、患者の「治療継続の支援」や「自己健康管理の促進」にフォーカスしたものであり、医療者によるアプリの推奨のほか、医療機器メーカーや医薬品卸事業者との提携、製薬企業との連携、ウェブマーケティングの実施等、様々なチャネルを活用して拡大施策を講じており、2024年12月末時点で、各アプリの合計ダウンロード数は、約118万回に達しております。

 

当社グループは、医療分野におけるPHRプラットフォームの構築を目的とする事業並びにこれに付随する業務の単一セグメントであるため、セグメント情報は記載せず、個別サービスについて記載しております。

 

① 疾患ソリューションサービス

製薬企業からの依頼によるPHRプラットフォームの開発等となります。具体的には、当社グループは、生活習慣病領域、がん及び特定慢性疾患領域において、製薬企業からの依頼を受けて、主に新薬の上市に伴う医薬品の適正使用促進と疾患啓発のために、当該疾患に関わる医療従事者や患者からの意見を頂きながら、当該疾患領域の患者及び医療従事者向けに、疾患治療における自己管理や治療継続を支援、また医療機関や臨床研究との連携を促進するためのPHRプラットフォームサービスを開発・運営しております。製薬企業にとっては当該プラットフォームサービスを活用した活動を通じて、自社医薬品の医療従事者間における知名度の向上と、患者の治療継続へのサポートによる医薬品の売上増加等の効果が期待されます。また、最近はPHRプラットフォームを臨床研究のためのPRO※情報収集ツール(ePRO)として活用する製薬企業も増えています。

PHRプラットフォームサービスの構築に際しては、当社グループは当該分野の患者及び医療従事者の実臨床上の意見を頂きながら開発・運営しており、製薬企業よりプラットフォームのサービス構築費用(開発費用)及び利用料を頂いております。また、開発されたPHRプラットフォームは主に製薬企業のブランド名で患者及び医療従事者に提供されることとなりますが、プラットフォームサービスの保守、運用、カスタマーサポートなどの運営は当社グループで担っております。

疾患ソリューションサービスの売上高は製薬企業からのサービス構築費用を中心に、当社グループの売上高の約8割を占める状況となっており、プラットフォームサービスの導入製薬企業数、疾患数等と連動して、収益が変動する仕組みとなっております。

また、当社グループは疾患ソリューションサービスの各PHRプラットフォームサービスを通じて蓄積した患者のPRO※データについては、患者と医療従事者間の臨床上の情報共有のため当該患者の個別同意を前提に医療従事者へ提供しております。

製薬企業向けには、共同開発した対象サービスから取得された情報をマーケティング目的や臨床研究目的に、患者からの適切な同意取得を行ったうえで提供しています。

 

※ 「PRO」(Patient Reported Outcome)とは、医師による評価ではなく、患者自らが生活・健康状態・治療について、主に自記式質問票により、患者又は被験者から直接得られる情報を指します。

なお、当社グループが提供してきた(サービス終了含む)主なPHRプラットフォームサービスは以下のとおりです。

 

(生活習慣病領域)

サービス名

概要

Welby血糖値ノート

主に1型糖尿病患者の治療への取り組みをサポートするアプリケーションです。血糖値のほか、インスリン注射量、ブドウ糖の摂取量等1型糖尿病治療に関連する各データの記録管理をサポートします。

塩分と血圧管理ノート

食事の塩分量と血圧を一緒に計測する事が出来るアプリです。高血圧には塩分の影響を受けやすいタイプとそれ以外の2タイプが存在する事が判明しています。本アプリは食事の写真から塩分量を測定し血圧と合わせて記録をつける事ができるため、塩分の影響を受けやすい高血圧の方にお勧めのアプリになっています。

 

 

(がん領域)

サービス名

概要

WelbyマイカルテONC

がん患者向け治療支援プラットフォームです。通院時の医師からの説明のメモ、レントゲンやCTの画像記録、症状や食事、運動の記録とその振り返り、がんに関する疾患啓発情報の提供などを通して、医師と患者の情報ギャップの緩和、コミュニケーションを向上させ、がん診療及び治療体験の改善を図ります。

Tダイアリー

肺がん治療薬であるタグリッソ®(一般名:オシメルチニブ、以下、タグリッソ)による治療を受ける患者の治療管理をサポートするアプリです。服薬状況、体調の変化、症状などをアプリ上で一元管理できるとともに、症状に対するセルフケア法など、タグリッソによる治療を継続するにあたり必要となるさまざまなサポート情報をアプリから直接得ることが可能となります。

NyuPage

乳がん治療薬であるベージニオ®(一般名:アベマシクリブ、以下、ベージニオ)による治療を受ける患者が日々の体調を記録することで、ご自身で副作用の状況を把握し、対処することをサポートするアプリです。気になる症状や日々の体調の記録、体調データのグラフ化による振り返り、日々の記録内容の共有などを通して、ベージニオによる治療のサポートを図ります。

 

 

(その他の疾患領域)

サービス名

概要

リウマチダイアリー

関節リウマチ患者のための症状チェック、服薬管理、診察をサポートするアプリケーションです。服薬の習慣化や症状・体調の管理、診察時における医師とのコミュニケーションなどに役立てることができます。

AOZORA

成人期の注意欠陥・多動性障害(ADHD)当事者のためのスマートフォンアプリケーションです。日々の服薬サポート、通院などのスケジュールの管理、仕事や対人関係、日常生活をセルフチェックするなどの機能を備え、注意欠如・多動性障害等の症状による悩みをサポートします。

いたみ連絡帳

慢性的な肩・腰・膝の日々の痛みの状況をご自身でチェックし、治療や服薬をサポートするサービスです。痛みがあっても目標を設定、その活動状況を記録、データを見える化・レポート化して、病院で医師に見せて体調を共有できます。

こころケア

「こころケア」は、日々の服薬をサポートする機能と、睡眠状況や統合失調症の再発に関わる症状の自己管理をサポートする機能で、当事者のみなさんのリカバリーをサポートするスマートフォンアプリケーションです。

 

 

サービス名

概要

IBDサプリ

潰瘍性大腸炎やクローン病などの炎症性腸疾患(IBD)患者のためのスマートフォンアプリケーションです。排便状況などの症状を見える化し、在宅時の状態・経過を、アプリケーションを介して医療従事者に伝えることで、医師=患者間の適切なコミュニケーションを促すことが期待されます。

PAHケアノート

肺動脈性肺高血圧症(PAH)の患者が、日々の症状(息切れ、だるさ、痛み、むくみ、めまい等)や服薬状況の記録・振り返りに、また診察時に治療医とのコミュニケーションツールとしてご活用頂けるアプリケーションです。服薬アドヒアランス向上や問診の効率化などに役立てることができます。

リハビリ日誌

パーキンソン病患者のリハビリテーションの継続や、日常の気になる症状を記録できる、パーキンソン病の治療をサポートするアプリケーションです。患者がご自身の症状に合わせたリハビリ活動の計画や進捗管理、ウォーキングの歩数管理等をアプリケーションを通じて行うことができ、また気になる症状の記録や振り返り、服薬記録と通院管理もできます。

HAEノート

遺伝性血管性浮腫(HAE)患者の症状の記録及び撮影サービスを提供するアプリケーションで、患者ご自身の症状をより具体的に把握できるようになり、受診しなかった時の症状を医療者に見せることで、医療者は患者の症状を的確に把握することができ、円滑なコミュニケーションにつながります。また、未診断を減らし、患者のご家族・ご親族を守ることを意図した「HAEを伝える」、「ファミリーツリーを作成する」の機能があります。

アトピーノート

アトピー患者の治療継続をサポートするスマートフォン用アプリです。かゆみ度合いの記録と患部の写真記録、グラフでの振り返り、患者向け疾患啓発ウェブサイトとの連動等により患者のスキンケアをサポートし、アトピー治療の質を向上します。

LupusPRO

全身性エリテマトーデス(SLE)の評価を目的としたPRO問診票の収集が可能な患者向けシステムとそれを診療の中で閲覧可能な医療者向けシステムをあわせて提供しています。

ユーサポ

過活動膀胱(OAB)患者の「生活習慣改善をサポート」するため、食事の画像解析、改善アドバイスに加え、症状チェックや尿検査からの塩分推計などの把握、OABに関する情報等を提供しています。「夜間頻尿診療ガイドライン[第2版]」では、夜間多尿を伴う夜間頻尿患者に対する塩分制限の推奨について新たにCQ(Clinical Question)が作成され、その中で「ユーサポ」は「食生活の改善サポート」が期待できるスマートフォンアプリとして掲載されています。

日本結節性硬化症レジストリ(JTSRIM)

JTSRIMは結節性硬化症(TSC)の医療の質を向上し、各々の患者がより適切に検査・治療を受けられる様にすべく、Personal Health Record(PHR)を活用して構築したレジストリシステムです。患者・ご家族向け及び医療者のサービスより構成されており、「睡眠・てんかん発作」「TANDチェック」「服薬状況」を記録することができます。また、医療者サービスと連携することにより、医療者が記録した診察時の「検査記録」「医師の診療所見」を振り返ることが可能になるほか、医療者にタイムリーに記録した情報を共有することができます。患者・ご家族の方が連携した医療者同士は情報を共有することができます。

心房細動ノート

心房細動患者の治療についての理解を助け、日々の服薬忘れを防ぐリマインダー機能や、血圧・脈拍・症状を記録する機能があります。記録した内容は診察時に医師に提示することで、患者それぞれの症状に合わせた適切な治療継続をサポートします。

痛レコ日記

痛みを記録するアプリです。ヘルニアやがん性疼痛等治療が難しい痛みに対し痛みの種類や強さを記録することで医師による適切な治療へとつなげます。

また歩数連携等も実装し自身でも気が付かない行動の変化等にも気が付けるような仕掛けもあります。

LTFUポケット

造血細胞移植を行った患者を対象に造血細胞移植後の長期フォローアップ外来ツールである「LTFU問診票」をデジタル化した医療サポートツールです。デジタル化することで医療従事者が問診票の内容を事前に確認することができ、受診時のコミュニケーションの質向上や診療の最適化を支援します。

サイログ

甲状腺疾患患者の健康管理を支援するために開発されたアプリです。甲状腺疾患に関する症状の記録や、写真を通じた顔貌の変化の追跡を可能にする機能を備えており、病状の進行を患者自身が把握しやすくすることを目的としています。また、薬剤管理、検査値記録、通院管理といった総合的なサポート機能を備え、患者の日常的な健康管理を支援します。

 

 

 

② Welbyマイカルテサービス

Welbyマイカルテサービスは、糖尿病や高血圧症等生活習慣病全般、及び生活習慣病予備軍の患者の自己管理をサポートする当社グループ自社構築・運営のクラウドサービスです。通信機能を持つ血圧計、血糖測定器、及びウェアラブル機器等とのデータ連携により、血糖値・血圧・体重などの測定値や、食事、運動、睡眠やIHB(不規則脈波)などの疾患治療に必要なデータの記録を簡単にできます。また、患者が記録したデータを、ご自身の家族や、登録医療機関とデータを共有し、医師による治療サポートを受けることも可能です。2020年年初からの新型コロナウイルス感染症の蔓延に対応して、体温、風邪の症状、倦怠感、息苦しさなど、新型コロナウイルス感染が疑われる症状の有無を記録し、医療機関や企業と情報連携できる機能も付与されています。

Welbyマイカルテサービスの売上高は、PHR基盤プラットフォームのOEM提供、健康保険組合、自治体の生活習慣病重症化予防ツールとしての利用料課金、製薬会社、機器メーカー及び検査会社等医療関連企業への月額利用料課金、及び有料機能を利用する医療機関へ利用料課金によって構成されています。PHR基盤プラットフォームのOEM提供の継続した案件受注により、当社グループの売上高の約2割を占める状況となっています。

健康保険組合、自治体及び一般企業向けには、近年、生活習慣病重症化予防におけるICT化の推進と各自治体、企業の地域住民及び従業員等への健康維持に対する意識の向上により、運動・血圧・食事・体重等記録データの自己モニタリング及び管理栄養士、保健師等の指導による生活習慣病の重症化予防サービス、及び重症化した場合に患者と医療機関をデータ連携して治療を受けるサービス、受診している医療機関から特定健診と同項目の検査結果を入手することで特定健診を受診したとみなす「みなし健診」サービスを提供しており、自治体及び一般企業にとっては、対象者の健診・生活習慣病重症化予防から治療まで一気通貫のサービスを住民及び従業員等へ提供することができます。

製薬会社、機器メーカー及び検査会社等医療関連企業向けには、当該企業がWelbyマイカルテのプラットフォームを利用することで、マーケティング上において、広告等を通じて医療機関や患者へ生活習慣病の治療に役立つ情報の提供、及び当該企業の計測機器と検査データ等をWelbyマイカルテに連携し、医療機関及び患者と共有することで、自社製品の利便性を向上しております。

医療機関向けには、大学病院や一般内科クリニックを中心に、「患者の継続治療への支援」、「患者治療アウトカム※の改善」、及び「診療業務の効率化」を主要な目的として導入を進めており、Welbyマイカルテを活用した治療事例が「日本糖尿病学会」や「日本高血圧学会」等の国内主要学会で紹介されております。また、徳島大学や福島県喜多方医師会等においては、地方公共団体及び医師会と共同して、市民を対象とした患者に血圧計を貸出し、糖尿病や高血圧症等の生活習慣病の自己管理、及びWelbyマイカルテを通じて担当医師に共有する地域連携のツールとしても導入されております。

※ 「治療アウトカム」とは、治療や予防などの医学的介入から得られるすべての結末のことを指します。臨床研究においては、介入効果によって得られる判定項目をアウトカムといいます。

 

上記のような活動を通して普及が進むことにより、Welbyマイカルテのユーザーが登録したかかりつけ医療機関は31,309施設(無料利用施設を含み、重複を除く)あり、Welby各アプリの合計ダウンロード数は約118万回となっております。

 

Welbyアプリの普及状況

項目

2020年12月

2021年12月

2022年12月

2023年12月

2024年12月

Welbyアプリダウンロード数

(千回)

832

924

988

1,040

1,180

 

 

Welbyマイカルテを通じて蓄積した各種患者PROデータについては、患者と医療従事者間の臨床上の情報共有のために当該患者の個別同意を前提に医療従事者へ提供しているほか、自治体・一般企業向けには生活習慣病重症化予防の効果検証としての利用患者数、記録データ(血圧、体重の平均値等)の統計情報の提供、及び患者の個別同意を取得した上で、学術利用目的に限定して学会、大学病院、医療機関、研究機関等向けに情報を提供しております。

また、当社グループは学会、大学病院、医療機関、研究機関等からの依頼を受けて、学術利用目的に限定した臨床研究専用のPHRプラットフォームを構築・運営しており、患者の個別同意を取得した上で、患者PROデータを学会、大学病院、医療機関、研究機関等向けに情報を提供しております。

当社グループの事業系統図は、次のとおりであります。


 

4 【関係会社の状況】

 

名称

住所

資本金
(百万円)

主要な事業
の内容

議決権の所有(又は被所有)
割合(%)

関係内容

(連結子会社)

 

 

 

 

 

㈱Welbyヘルスケアソリューションズ
(注)2

東京都中央区

225

PHRプラットフォームサービス事業

93.4

役員の兼任

当社の営業支援

メディカルデータカード㈱

東京都中央区

10

健康・医療情報管理サービス事業

50.0

 

(その他の関係会社)

 

 

 

 

 

㈱スズケン(注3)

愛知県名古屋市東区

13,546

医薬品卸売
事業関連

被所有

20.0

業務提携

出向者の受入

 

(注) 1.「主要な事業の内容」欄には、セグメント情報に記載された名称を記載しております。

2.特定子会社であります。

3.有価証券報告書を提出しております。

 

 

5 【従業員の状況】

(1) 連結会社の状況

2024年12月31日現在

セグメントの名称

従業員数(名)

全社(共通)

54

(8)

合計

54

(8)

 

(注) 1.従業員数は就業人員であり、臨時雇用者数(アルバイト及び派遣社員を含みます。)は、年間の平均人員を( )外数で記載しております。

2.当社グループの事業セグメントは、PHRプラットフォームサービス事業の単一セグメントであるため、セグメント別の従業員数の記載はしておりません。

 

(2) 提出会社の状況

2024年12月31日現在

従業員数(名)

平均年齢(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(千円)

44

41.6

2.9

8,202

(4)

 

(注) 1.従業員数は就業人員であり、臨時雇用者数(アルバイト及び派遣社員を含みます。)は、年間の平均人員を( )外数で記載しております。

2.平均年間給与は、基準外賃金を含んでおります。

3.当社の事業セグメントは、PHRプラットフォームサービス事業の単一セグメントであるため、セグメント別の従業員数の記載はしておりません。

 

(3) 労働組合の状況

当社の労働組合は、結成されておりませんが、全従業員の互選により労働者代表が選出されております。なお、労使関係については円滑な関係にあり、特記すべき事項はありません。