当中間連結会計期間において、新たな事業等のリスクの発生、または前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについての重要な変更はありません。
文中の将来に関する事項は、当中間連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。
当中間連結累計期間(自 2025年1月1日 至 2025年6月30日)における我が国経済は、内需及びインバウンド需要拡大により社会経済活動が進んでおります。
当社グループについて、主たる事業領域であるPHR(パーソナル・ヘルス・レコード)関連業界においては、いわゆる「団塊の世代」がすべて75歳以上となり超高齢社会を迎える「2025年問題」を見据え、給付と負担のバランスを図りながら制度の持続可能性を確保するための医療制度改革が進む一方、高齢化に伴い慢性疾患罹患率が増加し、日常生活の中で生活の質(QOL)の維持・向上を図っていく必要性が高まるなど医療に対するニーズの変化が着実に進みました。
また、医療資源の不足等により医療機関による患者への遠隔モニタリングや平時から災害に備えたPHRを利用した地域住民の健康管理情報の活用の必要性の理解が高まっており、当社グループが進めるPHRサービスが社会的課題の解決策の一つとして認識されております。
このような事業環境の下、当社グループは「Empower the Patients」を事業ミッションとして掲げ、医療関係者をはじめ、製薬企業、医療機器メーカー等とともにPHRプラットフォームサービスの普及に取り組みました。
PHRプラットフォームサービスにおいては、政府が運営するマイナポータルに接続し、予防接種歴、薬剤情報及び特定健診情報の取得・閲覧が可能となりました。これにより、患者(個人)はもとより、保険者(健康保険組合・市町村国保・共済組合・協会けんぽ)など健康維持改善を支援する団体や医療機関等が様々な保健医療情報(健診・予防接種情報、レセプト・処方箋情報、電子カルテ・検査情報など)とライフログデータ(日々の食事の内容やカロリー、血圧や血糖値など)にシームレスにアクセスでき、運動管理、健康維持、服薬管理、医療従事者による患者の健康状態や治療状況の把握・介入などの目的で活用することができるようになります。
また、PHRサービス事業を展開する企業と共に多様なステークホルダー間の協調を促進し、PHRサービス産業の発展を通じて、国民の健康寿命の延伸や豊かで幸福な生活(Well-being)に貢献することを目的として「PHRサービス事業協会」に参画しております。本協会の執行役として、またPHRサービスのリーディングカンパニーとして、さらなる利便性を追求し、患者の同意を前提とした上での医療データポータビリティを促進するため、ステークホルダー(医療機関関係者・学術機関・行政など)との対話を重ね、患者の皆様にいっそう安心してご利用いただける医療環境の構築を目指しております。
当社、中部電力株式会社及び株式会社スズケンは、当社が持つPHRサービスを中心として、各社が保有するサービスを掛け合わせ、中部地区の地域住民への利用提案をはじめ、医療機関への診療効率向上につながるソリューション提案の自治体向けの提供を目指すとともに、中部電力株式会社のお客さまとの接点や株式会社スズケンの医療機関・医療介護従事者との接点を最大限活用し、三位一体となった「地域医療プラットフォーム」の構築による新たな価値の提供を目指して資本業務提携に基づく事業を推進しております。
・疾患ソリューションサービス
当社グループの疾患ソリューションサービスの売上高は製薬企業から受注を受けた既存PHRサービスの改修や機能追加による売上計上があったものの、前年同期にて大型案件計上があった反動により134,706千円と、前年同期と比べて27,948千円(17.2%)の減収となりました。製薬業界全体のDX(Digital Transformation)は継続しており、顧客の需要は高いため、売上パイプライン拡充への取組を継続して実施します。
従来からの取り組みであるPHRを製薬企業の新薬プロモーションにおけるPSP(Patient Support Program)や臨床研究に必要なePRO(Patient Reported Outcome)データ収集ツールとして利用するなどの事業を、従前からの生活習慣病領域に加えて自己免疫疾患、オンコロジー、慢性疼痛等の多岐にわたる疾患領域において継続展開することにより、売上パイプライン及びPHRを利用する医療機関が全国で拡大しています。また、大学病院等と連携した臨床研究を推進するとともに、さらなるPHRの臨床実装を拡大しております。
オンコロジー領域においては、医療機関等へマイカルテONCの普及活動を行うことにより契約医療機関等は増加し、臨床実装は拡大しております。患者や医療従事者を含む、がん治療に関わるステークホルダーがマイカルテONCを利用することにより、患者の記録した日々の症状日誌や医療従事者の記録した治療データがPHRとして蓄積され、がん治療領域におけるリアルワールドデータとして今後の治療・研究等の推進に利用されることを見込んでいます。
PHRプラットフォームを利用した疾患領域横断のPHRソリューションを展開することで、新たなマーケットを創出し、更なる売上パイプライン拡充を行います。当該PHRプラットフォームは複数案件で運用を開始しており、毎月安定的な収益を実現できております。
・Welbyマイカルテサービス
当社グループのWelbyマイカルテサービスの売上高は、メディカルデータカード株式会社の子会社化に伴う売上計上及びPHRプラットフォームの要件定義及び開発等の売上計上により153,100千円と、前年同期と比べて130,410千円(574.7%)の増収となりました。基盤提供については、案件の大型化により受注リードタイムが長期化しておりますが、自社でPHRサービスを展開したい顧客の需要は高まっており、引き続き収益の拡大を見込んでおります。具体策としては、従来の生命保険会社や健保組合のみならず、ヘルスケア事業に新規参入する企業へのアプローチとして、定期的なWebinarを開催して新規顧客の発掘に努めております。
サービス普及の観点からは、広範な顧客網を有する株式会社スズケン、フクダ電子株式会社などのパートナー企業との協業を重点地域においてより強化することや、大学病院や学会等との協業だけではなく、提携先である中部電力株式会社及び株式会社NTTドコモとサービス普及を推進しております。地域の内科診療所を中心としたかかりつけ医体制を強化し、重症化予防に貢献するために、新たに一般社団法人東京内科医会との連携に合意しております。中部電力株式会社とは、特に中部圏でのPHRの社会実装の加速、株式会社NTTドコモとはPHRを活用した各疾病領域における予防および重症化防止を目的としたサービス提供を行っております。引き続き、新たな医療機関への普及を積極的に行いながら、これまでに導入を完了した医療機関を対象に実臨床におけるPHRの利用価値の訴求・情報提供を推進しました。また、糖尿病領域向けには株式会社三和化学研究所やアボットジャパン合同会社等の各血糖測定器メーカーとの連携により、糖尿病専門医に特化した普及や利用促進が加速しております。また、PHRと電子カルテ及び検査値データ等の連携推進を通じて医療の質的向上に寄与すると見込んでおり、PHRのデータポータビリティ実現に向けて更なる普及に取り組んでおります。具体的には、子会社であり、広範な検査会社とデータ連携機能を有するメディカルデータカード株式会社との協業を強化しております。加えて、生活習慣病の治療におけるPHR活用をさらに強化し、院内業務である診療報酬請求に必要な療養計画書を効率的に作成できる機能を追加しております。この機能により、医師の療養指導の効率が大幅に向上し、患者さんに精度の高いケアが可能となり一層の生活習慣改善指導の効率化に貢献できる見込みです。Welbyマイカルテ利用者が登録したかかりつけ医療機関は2025年6月末時点で32,167施設(無料利用施設を含み、重複を除く)となっています。なお、2025年6月末時点で各アプリの合計ダウンロード数は約121万回に達しております。
更なるサービス普及のために、Welbyマイカルテのフルリニューアルを実施しました。本リニューアルでは、すでに広く活用されているPHRデータ管理機能に加え、ユーザーインターフェースと操作性の設計を根本から見直し、より洗練されたUI/UXを実現しています。さらに、国際標準HL7 FHIRへの準拠やクラウド連携の本格導入を通じて、個人と医療をつなぐデータ基盤としての信頼性・拡張性を大幅に高めています。また、マイカルテにおいてもWelbyのPHRデータ管理基盤である「WPDP(Welby PHR & Data Portability Platform)」を利用することにより、WPDP上で運用されている他の疾患サービスと連携ができるようになり、PHRデータ利活用の新たな標準的な基盤サービスとしての役割も担っていきます。マイカルテのデータがWPDP上で管理され、本人の電子的な同意に基づき利活用範囲を管理できるようになることで、医療機関、製薬企業、保険者、自治体、保険会社向けのサービスを更に拡張していきます。
パーソナライズ化されたヘルスケア事業を継続して推進するため、子会社である株式会社Welbyヘルスケアソリューションズにおいて、未病・予防を含む生活習慣病領域におけるPHRサービス利用の拡大とPHRを活用したサービス開発を推進しております。具体的には、保険者(健康保険組合・市町村国保・共済組合・協会けんぽ)向けソリューションの事業化に向けた活動を実施しております。既に複数の健康保険組合の参画が決定しており、今後は自治体も含めて参画する保険者数は拡大していく見込みです。また、中長期的には普及拡大とサービス開発の進展及び他社とのアライアンス等によりWelbyマイカルテが生活習慣病領域における業界標準となることを目指しております。
アライアンスの一環として、当社グループは日本生命保険相互会社との資本業務提携により、かかりつけ医ネットワークを活用したPHRソリューションの普及を推進し、未病・予防から医療現場に至る生活習慣病領域において双方が有するノウハウや資源を活用して、保険者(自治体・市町村国保・共済組合・協会けんぽ)、企業における健康経営・データヘルス推進に向けた課題解決を図っております。具体的には、産業保健領域における産業医(企業内診療所を含む)におけるPHRを活用した医療機関連携モデルの構築、保険者領域におけるかかりつけ医ネットワークを活かしたPHR活用による保健事業の効果的・効率的推進、及び医療機関領域におけるWelbyマイカルテの医療機関普及の推進によるかかりつけ医ネットワークの構築を行っております。
また、当社は株式会社NTTドコモとPHRを活用した各疾病領域における予防および重症化防止を目的に、業務提携契約を締結しております。本業務提携契約を通じて、①各種疾病の予防・治療効果向上に向けたキャンペーン施策、②高血圧症およびその他疾病領域における協業の検討、③当社と株式会社NTTドコモがそれぞれ保有するPHR基盤を活用したヘルスケア事業の検討を推進してまいります。業務提携の第一弾として、高血圧治療中のお客さまの継続的な家庭での血圧測定をサポートするため、dポイントを進呈する家庭血圧測定キャンペーンを日本高血圧協会監修のもと、実施しました。
これらの結果、当中間連結累計期間の売上高は287,806千円(前年同期比55.3%増)、売上総利益については、売上増加に伴い、200,083千円(前年同期比59.4%増)となりました。
販売費及び一般管理費については、メディカルデータカード株式会社の子会社化に伴うコスト増及び業容拡大のための開発投資を行ったこと等により449,893千円(前年同期比3.9%増)となりました。開発投資の内、プラットフォーム開発投資は、共通基盤での各種ガイドラインへの適用拡大、疾患治療向けPHRの患者UXナレッジの標準化、マイナポータルや予約決済システム連携などの機能整備、セキュリティー強化など、PHRプラットフォーム基盤の継続強化のための開発投資となります。当該投資により関連プロダクトにおける売上総利益率は向上しております。今後、当該投資の促進により売上総利益率の更なる向上及び基盤提供商材の充実による収益貢献を見込んでおります。
営業損失は249,810千円(前年同期は営業損失307,315千円)、経常損失は250,779千円(前年同期は経常損失308,032千円)、親会社株主に帰属する四半期純損失は243,647千円(前年同期は親会社株主に帰属する四半期純損失303,131千円)となりました。この内、マイカルテやプラットフォーム開発などへの先行投資額は82,354千円となりました。
なお、当社グループは、PHRプラットフォームサービス事業の単一セグメントであるため、セグメント毎の記載はしておりません。
2022年12月期、2023年12月期及び2024年12月期における四半期別の売上高は、次のとおりであります。
(注) 2023年12月期第2四半期より連結財務諸表を作成しております。
(2) 財政状態の状況
当中間連結会計期間末の流動資産の残高は、前連結会計年度末に比べ258,274千円減少し、715,020千円となりました。主な増減内訳は、現金及び預金が172,595千円、売掛金が60,814千円、その他流動資産が23,827千円減少したことによるものであります。
固定資産の残高は、前連結会計年度末に比べ57,302千円増加し、251,250千円となりました主な増減内訳は無形固定資産が52,974千円、投資その他の資産が4,327千円増加したことによるものであります。
当中間連結会計期間末の流動負債の残高は、前連結会計年度末に比べ19,039千円増加し、347,942千円となりました。主な増減内訳は、契約負債が44,838千円、1年内返済予定の長期借入金が17,508千円増加し、その他流動負債が38,131千円減少したことによるものであります。
固定負債の残高は前連結会計年度末に比べ17,492千円増加し、17,492千円となりました。主な増減内訳は、長期借入金が17,492千円増加したことによるものであります。
当中間連結会計期間末の純資産の残高は、前連結会計年度末に比べ237,503千円減少し、600,836千円となりました。主な増減内訳は、利益剰余金が243,647千円減少したことによるものであります。
当中間連結会計期間における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前事業年度末に比べ172,595千円減少し、567,830千円となりました。当中間連結会計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。
① 営業活動によるキャッシュ・フロー
営業活動によるキャッシュ・フローは138,952千円の支出となりました。主な要因は、税金等調整前中間純損失の計上236,282千円により資金が減少した一方で、売上債権の減少60,814千円により資金が増加したことによるものであります。
投資活動によるキャッシュ・フローは68,531千円の支出となりました。主な要因は、無形固定資産の取得による支出64,203千円であります。
財務活動によるキャッシュ・フローは34,888千円の収入となりました。主な要因は、借入による収入235,000千円により資金が増加した一方、借入金の返済による支出200,000千円により資金が減少したことによるものであります。
当中間連結会計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。
該当事項はありません。
該当事項はありません。
該当事項はありません。