第2 【事業の状況】

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものです。

 

当社は、在宅医療をサポートする企業として、マッサージ事業を主たる事業として展開しております。

現在の我が国は、国民の4人に1人以上が65歳以上の高齢者(出所:内閣府「平成30年版高齢社会白書」)という世界保健機関(World Health Organization:WHO)が定義する「超高齢社会」を迎えております。これに伴い医療費のうち入院費を含む診療費は、年間30兆円を超える規模にまで膨らみ(出所:厚生労働省「平成29年度 医療費の動向」)、我が国は、社会保障費等の増加による財政の悪化に直面しております。

このような状況下、入院費の削減を目的とした医療機関の病床数の削減が政府目標として掲げられるとともに、在宅医療と在宅介護の充実化により医療機関における診療から在宅医療への転換を図る地域医療構想(「地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律(医療介護総合確保推進法)」及び「医療法」第30条の4第2項)が政府の方針として打ち出されております。

また、団塊の世代が75歳以上の後期高齢者に達する2025年頃には、国民の3人に1人が65歳以上の高齢者、5人に1人が75歳以上の後期高齢者になるといういわゆる「2025年問題」が到来し(出所:厚生労働省 広報誌「厚生労働」2017年2月号)、多くの医療難民、介護難民の発生への対応が社会問題となることを見込んでおります。

このような経営環境下、当社は「人と人とのふれあいを大切にし社会貢献すると共に、社員の物心の幸せを追求する」という会社理念のもと、「全国津々浦々に一人でも多くの方に速やかにフレアスのサービスを提供し、日本の在宅事情を明るくする。」という経営ビジョンを掲げ、事業を通じて「超高齢社会」における社会問題の解決に資する企業となることを目指しております。

このような経営方針及び経営環境の下、当社が対処すべき課題は、主として、以下の項目と認識しております。

 

(1)人材の定着と採用の強化について

当社は、さらなる事業の拡大を図っていくためには、あん摩マッサージ指圧師及び看護師等の専門職をはじめとした人材の定着と採用の強化が重要であると認識しております。

そのため、当社では、待遇の改善、労務に焦点をあてたコンプライアンス委員会の開催、全事業所規模での安全衛生委員会の開催、メンタル面での悩み相談が可能な外部相談窓口の設置、定期的に実施される従業員満足度調査に基づく会社に対する満足度の把握及び従業員等が共感できる会社理念や経営ビジョンの策定と共有化等を通じて、離職率の低下等、人材の定着に向けた全社的な取り組みを実施しております。また、人材採用の専門部署の設置、あん摩マッサージ指圧師を育成する専門学校における定期的な会社説明会の実施等を通じて、採用の強化を図っております。

今後もこれらの施策等を継続的に実施し、人的経営資源の維持と確保に努めて参ります。

 

(2)人材の育成について

当社は、適切な事業の遂行と事業の持続的な成長を実現していくためには、人材の育成が重要であると認識しております。

当社の主力事業であるマッサージ事業においては、利用者の療養生活に資する高品質なサービス提供を継続的に実施していくことこそが、事業の発展につながるものと考えております。また、あん摩マッサージ指圧師は、独立開業が可能な有資格者となります。そのため、優秀な人材を確保し続けていくためには、成長実感を得られるような職場環境の提供により当社での就労意欲を高めていくことが必要となります。

これらの観点から、当社は、より高度で充実した教育研修体制の構築を図り、人材の育成に一層、注力していくことが重要であると認識しております。当社は、サービス品質の維持及び向上を図る専門部署を設置するとともに、年間70万件を超えるサービス提供実績に基づく症例データを蓄積し、これらのノウハウを教育研修に活用しておりますが、今後につきましても、品質管理体制の向上と教育研修制度の充実に積極的に取り組んで参ります。

 

 

(3)安定的な事業基盤の確立について

当社は、国民健康保険法及び健康保険法に定められた医療保険制度並びに介護保険法等に定められた介護保険制度を利用した事業を展開しており、利用者の多くは高齢者であるとともに、利用者からの収入の多くは、保険制度に基づく収入となっております。そのため、永続的に事業を通じた社会的な使命を果たしていくためには、特定の制度や利用者層に過度に依存することを回避することが重要であると考えております。

当社は、保険適用外サービスの拡充、とりわけ高級宿泊施設等でのサービス提供といったラグジュアリー分野への事業展開とそれに伴う当社と当社サービスの認知度の向上、利用者層の多様化等を通じて、安定的な事業基盤の確立に努めて参ります。

 

 

2 【事業等のリスク】

本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。

なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。

 

(1)法的規制に関するリスク

①マッサージ事業に係るリスク

当社のマッサージ事業においては、「あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律」(以下、「あはき法」といいます。)その他の関連法令により、構造設備等の要件を充足した事業所を施術所として開設し、所定の事項を届け出ること等が義務付けられております。また、利用者から受け取るサービス提供料については、国民健康保険法、健康保険法及びそれらの関連法令により、請求内容及び請求手続等が定められております。

当社では、事業所の開設や請求業務に関する社内規程やマニュアルを整備するとともに、定期的な教育研修の実施により法令を遵守した事業運営に努めております。

しかしながら、これらの法令に違反した場合、業務の停止の処分を受けたり、マッサージサービス提供料が回収できなくなるといった可能性があり、この場合、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

②訪問看護事業に係るリスク

当社の訪問看護事業においては、国民健康保険法及び健康保険法に基づく指定訪問看護事業者の指定並びに介護保険法に基づく指定居宅サービス事業者の指定を受けており、これらの指定を受けるためには、人員基準、設備基準及び運営基準を充足する必要があります。

当社では、これらの基準の充足のために細心の注意を払っておりますが、万一、これらの基準を遵守できなかった場合は、指定の取消しまたは業務の停止処分を受けたり、訪問看護サービス提供料を回収できなくなる可能性があり、この場合、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

③療養費及び介護報酬の改定に伴うリスク

当社のマッサージ事業及び訪問看護事業における売上収入の多くは、医療保険制度や介護保険制度といった公的制度の利用に基づく収入であるため、安定的な収入を確保することができる反面、医療保険制度における療養費等は概ね2年ごと、介護保険制度における介護報酬は概ね3年ごとに改定がなされます。

当社は、これらの制度改定に十分に留意して事業運営を行っておりますが、今後、高齢化社会のさらなる進展に伴い社会保障制度が見直され、施術料金等の下方的な改定が実施された場合、サービス提供単価の低下による売上高の減少が生じ、当社の経営成績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。

 

④主治医の同意及び指示等に係るリスク

当社が提供するマッサージサービスは、利用者の主治医の同意に基づき提供され、また、訪問看護サービスは、利用者の主治医の指示に基づき提供されるものであり、利用者の主治医の同意または指示が得られなければ、当社はサービス提供を実施することができません。

当社は、法令に基づき事業活動を行っておりますが、何らかの事情により主治医の同意または指示が得られない場合や主治医の同意等が得られても何らかの事情により保険者からサービス提供料が支給されなかった場合には、当社の経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります

 

あはき法による広告規制及び景品表示法

当社の主力事業であるマッサージ事業においては、あはき法の定めにより広告内容に関する規制が存在します。

また、当社の提供するマッサージサービスは、国家資格を有するあん摩マッサージ指圧師により提供されますが、あん摩、マッサージ若しくは指圧は医業類似行為であり、医療行為ではありません。

当社は、社内規程やマニュアルの整備と教育研修の実施等を通じて、当該広告規制を遵守するとともに、当社の提供サービスが医療行為であるとの誤認を与えるような表示等を防止し、景品表示法に違反することのないよう細心の注意を払っておりますが、万一、これらに違反した場合、事業の継続が困難となるおそれがあり、この場合、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)人材の確保について

当社のマッサージ事業におけるマッサージサービス及び訪問看護事業における訪問看護サービスは、あん摩マッサージ指圧師や看護師等の国家資格を有する者によるサービスの提供が義務付けられ、当社事業の維持と拡大のためには、これらの人材の確保が不可欠となります。

当社では、労働環境や待遇面での改善を図るとともに、教育研修の充実化や表彰制度の導入による働きがいのある企業文化の醸成、業務委託制度の導入を通じて、人材の定着と採用の強化を図っておりますが、国家資格を有する専門的な人材の確保は通常の人材の採用と比べて一般的に困難であり、万一、これらの人材を十分に確保することができなかった場合や、何らかの理由によりこれらの人材が大量に社外流出した場合には、当社の経営成績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。

 

(3)競争の激化について

高齢化社会の一層の進展や医療機関における病床数の減少等により在宅医療ニーズのさらなる増加が見込まれる中、当社の属する在宅マッサージ業界や訪問看護業界には、異業種からの新規参入や同業他社の事業規模の拡大が予想されます。

当社は、あん摩マッサージ指圧師等の有資格者の直接雇用を重視するとともに、教育研修制度の充実化を通じて、提供サービスの品質の向上とそれに伴う他社との差別化に努めておりますが、他の事業者との競争の激化が生じた場合、当社の経営成績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

(4)事業展開について

当社は、出店計画等に基づき事業展開を実施しております。しかしながら、あん摩マッサージ指圧師や事業所の管理者等の必要な人材の確保ができない等の理由により、想定どおりに事業展開できないおそれがあります。この場合、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5)保険制度を利用した事業への依存について

当社は、国民健康保険法及び健康保険法に定められた医療保険制度並びに介護保険法に定められた介護保険制度を利用して事業を展開しており、利用者からの収入の多くは、保険制度に基づく収入となっております。

当社は、特定の制度及び事業に過度に依存することを回避するために、株式会社星野リゾートとの業務提携をはじめとしたBtoBビジネスの開始及び医療保険制度に依拠しない保険適用外サービスの提供開始等を通じて、サービス内容と利用者層の多様化に取り組んでおります。

しかしながら、2019年3月期における医療保険制度等を利用した保険適用サービスに係る売上高の全社売上に占める割合は96.2%と依然として高く、当社にとって不利な療養費等の改定がなされた場合や競争の激化が深刻化した場合には、当社の経営成績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(参考)保険適用サービスに係る売上高と保険適用外サービスに係る売上高の構成割合の推移

会計期間

2015年

3月期

2016年

3月期

2017年

3月期

2018年

3月期

2019年

3月期

保険適用サービスに係る

売上高の構成割合

96.7%

96.6%

96.9%

96.2%

96.2%

保険適用外サービスに係る売上高の構成割合

3.3%

3.4%

3.1%

3.8%

3.8

 

 

(6)業務提携契約及び業務委託契約の継続について

当社は、株式会社星野リゾート及び株式会社星野リゾートのグループ法人との間で、保険適用外マッサージサービス及びSPA(スパ)サービスに係る業務提携契約及び業務委託契約を締結しており、このうち保険適用外マッサージサービスにつきましては、排他的業務提携契約を締結しております。

当該契約により、当該企業グループが展開する「界」ブランドの宿泊施設において、当社は独占的にマッサージサービスを提供できる一方、国内の温泉付宿泊施設においては、当該企業による事前の承諾を受けることなく、当該企業以外の第三者からマッサージサービスを受託できないこととなっております。

また、当社はこれまで当該企業とは良好な関係を築いており、今後も関係継続に努めて参りますが、当該企業の方針の変更その他何らかの理由により当該契約が解消された場合や、契約条件の大幅な変更等により当該企業との取引が大きく減少するような場合には、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(7)訴訟リスクについて

①サービス提供時の事故等

当社が提供するマッサージサービス及び訪問看護サービスは、ともに主治医の同意または指示に基づき提供されるものでありますが、利用者の多くは高齢者であるため、サービスの提供時においては体調が急変する可能性や、介助による体位変換や施術に際して関節等を損傷する事故が発生する危険性も否定できません。

当社は、社内規程やマニュアルを整備するとともに、品質管理室を設置し、技術レベルの向上だけではなく利用者に対して安全にサービス提供するための研修を実施しておりますが、利用者の体調急変等について過失責任を問われるような事態が生じた場合、当社の経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

②個人情報の保護について

当社の保険適用マッサージサービス及び訪問看護サービスの提供対象者は、主として自宅等で療養している高齢者であり、業務上、利用者の氏名等の個人情報や病歴等の要配慮個人情報を取り扱っております。

当社は、個人情報保護法その他の関連法令を遵守し、個人情報及び要配慮個人情報の取り扱いには細心の注意を払うとともに、個人情報等の保護に関する社内規程やマニュアルの整備、教育研修の定期的な実施、JAPHIC(ジャフィック)マーク制度(注1)及びJAPHIC(ジャフィック)メディカル制度(注2)の認定取得等、個人情報等の漏洩を防止するための必要な対策を講じております。

しかしながら、万一、外部からの不正アクセスや社内管理上のミス等により個人情報等の漏洩が生じた場合、利用者等より損害賠償請求を受ける可能性があり、この場合、当社の経営成績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。

(注1)JAPHIC(ジャフィック)マーク制度は、「個人情報の保護に関する法律」(平成15年5月30日法律第57号)に準拠して、個人情報について適切な保護措置を講ずる体制を整備し運用している事業者を認定して、その旨を示すJAPHICマークを付与し、事業活動に関してJAPHICマーク等の使用を認める制度です。

(注2)JAPHIC(ジャフィック)メディカル制度は、医療・介護・福祉関係事業者を対象とし、「個人情報の保護に関する法律」(平成15年5月30日法律第57号)に基づき作られた「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイドライン」(平成16年10月22日厚生労働省・経済産業省告示第4号)に準拠して、個人情報について適切な保護措置を講ずる体制を整備し運用している事業者を認定して、その旨を示すJAPHICメディカルマークを付与し、事業活動に関してJAPHICメディカルマークの使用を認める制度です。

 

(8)風評等に関するリスク

当社は、利用者の自宅等を訪問してサービス提供するため、利用者やその家族、地域住民等との信頼関係の構築が不可欠となります。また、利用者の紹介元であるケアマネジャー、同意書等を交付する医師及び当社に対してサービス提供料を支払う保険者等と信頼関係を構築することを重要な経営課題の一つと位置付けております。

そのため、当社は会社理念、経営ビジョン及び行動規範を当社創業時より定め、従業員に対してこれらの浸透を図り、遵法精神を培って参りました。

しかしながら、個人情報等の漏洩や従業員による不祥事その他何らかのコンプライアンス違反が発生し、当社にとって不利益な情報や風評が流れた場合、利用者やその家族、地域住民、ケアマネジャー、医師及び保険者等からの社会的な信頼を失墜し、事業の継続に影響を及ぼすおそれがあります。この場合、当社の経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(9)組織について

①代表取締役社長への依存

当社の代表取締役社長である澤登拓は、当社の創業者であり、創業以来、経営者として当社の経営方針や経営戦略を決定するとともに、営業面、技術面の両面において重要な役割を担っております。

当社は、取締役の増員や経営会議の設置、事業規模の拡大に応じた権限の委譲や人員の拡充等を通じて、澤登拓に過度に依存しない経営体制の構築を進めており、また、本書提出日現在、澤登拓の離脱は想定されておりませんが、万一、澤登拓による職務の執行が困難となるような事態が生じた場合、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

②内部管理体制

当社は、事業の持続的な成長を図るためには、コーポレート・ガバナンス体制のさらなる充実が不可欠であると認識しております。そのため、当社では、法令等の遵守、適正な財務報告、資産の保全及び経営効率の向上を担保するために、内部管理体制の継続的な強化や企業倫理の一層の浸透に努めております。

しかしながら、急速な事業の拡大等により十分な内部管理体制の構築ができない事態が生じた場合には、円滑な事業展開や事業成長が阻害され、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(10)財務について

①資金繰り

当社がサービス提供料を回収するためには、国民健康保険組合等の保険者に対して療養費支給申請書(以下、「レセプト」といいます。)等を提出しなければなりませんが、レセプトの作成事務手続は複雑であるとともに、保険者に対するレセプトの提出後、実際に入金を受けるまでには、一定の期間を要します。また、レセプトの記載事項に不備等が認められたときは、保険者より当該請求が差し戻される返戻扱いとなる場合もあります。

当社は、マニュアル等の整備やシステムの活用により、レセプトの提出業務の正確性と迅速性の確保に努めており、また、法令等を遵守しておりますが、何らかの理由によりレセプトの提出が大幅に遅延したり、返戻が大幅に増加した場合、入金サイトの著しい長期化により当社の資金繰りが悪化し、当社の財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

②有利子負債

当社は、営業収入の入金サイトが営業支出の支払いサイトに比して長く、事業規模が拡大した場合、運転資本の増加に伴い金融機関からの借入れや社債の発行による資金調達の実施が必要となり、有利子負債に依存する可能性があります。

当社は、レセプト提出業務の迅速化と経費削減等を通じた収益性の向上に取り組み、有利子負債の増加の抑制に努めておりますが、金融情勢の変化等により有利子負債による調達が困難となる場合や金利の上昇により資金調達コストが増大した場合には、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

③配当政策

当社は、経営基盤の安定に向けた財務体質の強化や事業拡大のための投資資金の確保の観点から、内部留保の充実を図ることを重視し、現在までのところ配当を実施しておりませんが、今後は株主に対する利益還元を重要な経営課題の一つと位置づけ、業績の推移、財務状況及び投資資金の必要性等を勘案し、内部留保とのバランスを図りながら配当の実施を検討していくことを基本方針として参ります。

しかしながら、経営環境の変化等に伴い業績や財政状態が悪化した場合には、当該基本方針どおりに配当を実施することができなくなる可能性があります。

 

④ストック・オプションの行使による株式価値の希薄化

当社は、取締役及び従業員に対してストック・オプションとしての新株予約権を付与しております。本書提出日現在、ストック・オプションによる潜在株式総数は130,000株であり、発行済株式総数2,328,600株の5.58%に相当しております。

これらは、当社事業の発展と企業価値の向上を目的として、優秀な人材の確保のためのインセンティブとして付与されたものであり、既存株主の利益を損なうものではないと考えておりますが、当社の株価が行使価額を上回り、かつ権利行使についての条件が満たされ、これらの新株予約権が行使された場合は、当社株式の一株当たりの株式価値が希薄化することになります。

 

(11)資金使途について

2019年3月の株式上場時における公募増資の資金使途については、事業所展開に伴う敷金及び保証金、採用教育費、人件費、借入金の返済資金、社債の償還資金及びその他事業成長のための運転資金に充当する予定であります。

しかしながら、当社を取り巻く経営環境の変化に対応するため、調達資金を計画以外の使途に充当する可能性があります。上記資金使途とは異なる使途に充当する必要が生じた場合には、速やかに開示いたします。また、計画どおりに資金を使用した場合であっても、期待どおりの効果をあげられない可能性もあります。これらの場合、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(12)システム障害について

当社は、売上管理や請求管理等に関してシステムを利用しており、システムの安定的な稼働のために、システム管理の専門部署を設置するとともに、社内規程やマニュアルを整備し施策を講じております。

しかしながら、何らかの事情によりシステム障害が発生した場合、適切な売上請求等を行うことができず、売上債権の回収ができなくなるおそれがあります。この場合、資金繰りが悪化し、当社の財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(13)災害及び感染症等の発生について

当社の事業所は、全国的に展開されておりますが、当社は、利用者の自宅等への訪問を通じてサービス提供を実施しており、訪問活動に影響を及ぼすような自然災害が発生した場合や、地震等の大規模な災害の発生により、当社の従業員、利用者、ケアマネジャー等の関係先及び事業所等が被災した場合は、サービス提供の継続が困難となり、事業活動上の制約を受けることになるため、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

また、当社は感染症対策として、安全衛生に関するマニュアルを整備するとともに、安全衛生に関する教育研修を定期的に実施しておりますが、新型インフルエンザその他の感染症が流行し当社の従業員が感染した場合や、利用者が感染して体調不良等となった場合には、訪問活動を通じたサービス提供が実施できなくなり、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況

イ 経営成績の分析

当事業年度における我が国経済は、企業収益や雇用・所得環境の改善を背景に緩やかな回復基調が続いているものの、米国の保護主義的姿勢の高まり等の影響により依然として不透明な状況が続いております。

当社が属する在宅マッサージ業界及び訪問看護業界におきましては、少子高齢化が加速する一方で、医療機関における病床数の減少が見込まれるとともに、特別養護老人ホーム等の介護施設の待機者数は、年々増加傾向にあり、政府による地域包括ケアシステムの構築の推進活動と相俟って、在宅療養の重要性がますます高まってきております。

このような状況のもと、当社では、主要事業であるマッサージ事業において、新たに横浜あさひ事業所、久留米事業所及び我孫子事業所を開設することでサービス提供エリアの拡充を図るとともに、既存の事業所においても提供サービスの品質の向上を図るために、人材の育成に注力して参りました。また、株式会社星野リゾートとの業務提携につきましては、同社が運営するホテルブランドである「界」において、新たに「界 仙石原」、「界 出雲」及び「界 遠州」でのサービス提供を開始するなど、サービス提供施設数の増加に取り組んで参りました。

他方で、損益面につきましては、利用者数の増加に対応するためにあん摩マッサージ指圧師の増員を実施したこと、及び前事業年度の期中に実施した事業所の管理者の増員の影響により、これらの人件費が増加いたしました。

以上の結果、当事業年度の売上高は3,711,638千円(前期比13.0%増)、営業利益は276,277千円(前期比67.9%増)、経常利益は313,003千円(前期比61.5%増)、当期純利益は176,563千円(前期比60.6%増)となりました。

 

セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。

(マッサージ事業)

マッサージ事業においては、事業所の新規開設のほか、前事業年度において開設した事業所の早期収益化や既存の事業所の一層の収益力向上を図るために、ケアマネジャーへの営業訪問を通じた当社サービスの認知度の向上に努めて参りました。これにより、当事業年度末における利用者数は8,958名(前期比4.0%増)、利用回数は742,813回(前期比6.1%増)となりました。また、利用者のニーズに応えるべく、医師の同意を得た上で、通常のマッサージに加え変形徒手矯正術(関節可動域訓練)の施術サービスを提供した結果、施術1回あたりの売上高が増加いたしました。

以上の結果、売上高は3,403,852千円(前期比13.9%増)、営業利益は829,830千円(前期比13.1%増)となりました。

 

(その他の事業)

その他の事業セグメントに含まれる主な事業である訪問看護事業においては、人材の定着化を図り、安定的な事業運営に取り組んで参りました。また、地域のケアマネジャーに対する営業の強化を通じて、当社サービスの認知度向上に努めて参りました。

以上の結果、売上高は307,785千円(前期比3.7%増)、営業利益は36,913千円(前期比35.3%増)となりました。

 

 

ロ 財政状態の分析

(資産)

 当事業年度末における流動資産は、2,363,649千円となり、前事業年度末に比べ507,549千円増加いたしました。これは主に、公募増資による株式の発行等に伴い現金及び預金が446,626千円増加したことによるものであります。

 固定資産は、127,974千円となり、前事業年度末に比べ10,138千円増加いたしました。これは主に、社内システム用のサーバー機の取得等に伴い工具、器具及び備品が7,202千円増加したことによるものであります。

 この結果、総資産は2,491,623千円となり、前事業年度末に比べ517,687千円増加いたしました。

(負債)

 当事業年度末における流動負債は681,792千円となり、前事業年度末に比べ155,685千円増加いたしました。これは主に、未払法人税等が153,064千円増加したことによるものであります。

 固定負債は502,673千円となり、前事業年度末に比べ240,061千円減少いたしました。これは主に、長期借入金が222,707千円減少したことによるものであります。

 この結果、負債合計は1,184,465千円となり、前事業年度末に比べ84,376千円減少いたしました。

(純資産)

 当事業年度末における純資産合計は1,307,158千円となり、前事業年度末に比べ602,063千円増加いたしました。これは、公募増資による株式の発行等に伴い資本金及び資本剰余金がそれぞれ212,750千円増加したこと、及び当期純利益を176,563千円計上したことによるものであります。

 

②キャッシュ・フローの分析

当事業年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、公募増資による株式の発行に伴う収入が425,500千円となったことなどにより、前事業年度末に比べ446,226千円増加し、1,358,764千円となりました。

当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)
 営業活動の結果獲得した資金は、292,433千円(前年同期は39,574千円の支出)となりました。主な増加要因は、税引前当期純利益314,029千円を計上したこと、及び法人税等の還付額19,864千円が生じたことなどによるものであります。一方で、主な減少要因は、売上債権の増加額97,311千円によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)
 投資活動の結果使用した資金は、14,278千円(前期比75.0%減)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出7,940千円、及び無形固定資産の取得による支出5,238千円によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)
 財務活動の結果獲得した資金は、168,071千円(前期比55.7%減)となりました。主な増加要因は、公募増資に伴う新株の発行による収入425,500千円によるものであります。一方で、主な減少要因は、長期借入金の返済による支出224,477千円によるものであります。

 

 

③生産、受注及び販売の実績

イ 生産実績

生産に該当する事項がありませんので、生産実績については記載しておりません。

 

ロ 受注実績

当社の事業は、提供するサービスの性格上、受注状況の記載になじまないため、当該記載を省略しております。

 

ハ 販売実績

当事業年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(千円)

前期比(%)

マッサージ事業

3,403,852

+13.9

その他

307,785

+3.7

合計

3,711,638

+13.0

 

 (注)上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。

 

①重要な会計方針及び見積り

当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている企業会計の基準に基づいて作成されております。この財務諸表の作成にあたっては、当事業年度末における財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与えるような見積り、予測を必要としております。当社は、過去の実績値や状況を踏まえ合理的と判断される前提に基づき、継続的に見積り、予測を行っております。そのため実際の結果は、見積り特有の不確実性があるためこれらの見積りと異なる場合があります。

 

②当事業年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

当事業年度の売上高は3,711,638千円(前期比13.0%増)、営業利益は276,277千円(前期比67.9%増)、経常利益は313,003千円(前期比61.5%増)、当期純利益は176,563千円(前期比60.6%増)となりました。

また、総資産は2,491,623千円(前期比517,687千円増)、負債合計は1,184,465千円(前期比84,376千円減)、純資産合計は1,307,158千円(前期比602,063千円増)となりました。

上記の他、当事業年度における経営成績等の状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載しております。

 

③資本の財源及び資金の流動性

当社における資金需要は、主として運転資金及び新規出店の際の設備投資資金であります。これらの財源については、自己資金の効率的な運用に加え、金融機関からの資金調達を基本としております。なお、事業活動を円滑に実行できるよう、適正な水準の資金の流動性の維持及び確保を最優先しております。

 

④経営成績に重要な影響を与える要因について

「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

 

4 【経営上の重要な契約等】

 

相手先の名称

相手先の
所在地

契約品目

契約
締結日

契約期間

契約内容

株式会社星野リゾート

日本

マッサージサービス

2017年
4月1日

2017年4月1日から
2020年3月31日まで

宿泊施設「界」ブランドにおけるマッサージサービスの提供に係る業務提携(注)

 

(注)2018年2月1日付で、相手先の企業グループが展開する「界」ブランドの宿泊施設において、当社は独占的にマッサージサービスを提供できる一方、国内の温泉付宿泊施設においては、当該企業による事前の承諾を受けることなく、当該企業以外の第三者からマッサージサービスを受託できない旨の覚書を締結しております。

 

5 【研究開発活動】

 

該当事項はありません。