文中の将来に関する事項は 当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営理念及び経営方針
Creating Life of Your Dreams~半歩先の技術で人々の生活を豊かに~
当社は進化する技術を用いて、豊かな未来社会の創造に貢献したいと考えております。
当社の社名である“WITZ”とは、ドイツ語で“賢い”を意味する言葉です。私たちは、豊かで快適な社会を築くために必要な技術を世界に先駆けて習得・提供し、社名があらわす“賢い”企業としての活動を実現したいと考えております。
そのために、設立以来、「ヴィッツの“新しい”は、世の中の“新しい”」、「半歩先の技術で人々の生活を豊かにする」などのキャッチフレーズのもと、知識集積を試みてまいりました。
今後は、“Creating Life of Your Dreams”を新たなキャッチフレーズとして、来るべきIoT(Internet of Things)やCPS(Cyber-Physical System)の進展を支え、快適で便利な近未来社会の実現を支援することが私たちの使命であると信じております。
当社グループは着実に成長しており、今後も同様な成長を維持したいと考えております。また、平成28年8月期から利益改善の対策を行い、利益改善を実現しております。この期よりプロジェクトリーダが主体となるプロジェクト毎の売上総利益管理を導入し、製造原価の管理を適時に行うことにより、大幅な利益改善を実現いたしました。さらに、設立当初より“次の事業は研究から事業化を実現する”を当社の基本的な経営方針の一つとしており、平成29年からは“積雪環境下で実用可能な自動運転技術”と“人工知能の安全活用技術”の研究事業を開始し、その成果を活用した事業化を計画しております。
当社が安定成長をするための要となる“利益管理”と“次世代事業の創生”を当社の経営方針としております。
(2)目標とする経営指標
当社は安定的な経営を実現するために、目標とする経営指標として自己資本比率、売上総利益率を重要な経営指標として位置づけ、付加価値が高く高収益が見込める、組込セキュリティサービス・Safety & Securityコンサルティング、リアルタイムオペレーティングの販売及びインテグレーションなどの事業比率を高め、更なる成長を実現したいと考えております。
(3)中長期的な会社の経営戦略
当社の基本事業戦略は、近未来社会に必要なソフトウェア技術をいち早く導入し、多分野にわたる組込IoT分野の進化を支援し、当社事業の発展を進めるものであります。そのために、当社は多くの分野で活用できる基礎技術、具体的には、リアルタイムオペレーティングシステム、機能安全、組込セキュリティなどの技術を提供してまいりました。
また、現在注力している技術分野として、「自律化」に必要な人工知能を安全に活用できる技術を習得し、提供する計画です。その具体的な事例として、人工知能を活用した自動運転技術の研究に注力しております。これらの研究事業成果が当社の将来を支える事業基盤となると確信しております。すでに過去の研究成果を活用した農業機械の自動化、自律化は事業化を実現しております。
また、これまでは「ものづくり」の事業活動が中心でしたが、徐々にサービス事業の比率を高めたいと考えております。具体的には、MaaS ( Mobility as a Service ) の発達と自動運転技術の高度化により、人々の移動時間を有効に活用するためのサービス事業を模索したいと考えております。
(4)経営環境及び対処すべき課題、経営改善施策
当社グループを取り巻く環境は、全世界規模で組込システムの大きな変革期を迎えており、人工知能、IoT、自動運転など当社が注力している技術が今まで以上に重要になると予見されます。その変革時期を追い風に当社技術を提供する市場は広がっております。これらの市場に的確なタイミングで的確な技術を提供することが重要であると考えております。そのための技術習得・調査・研究に注力するとともに、現在提供できる技術を適切なタイミング・質・価格で提供し、組込セキュリティ、モデルベース開発、自動運転・先進安全向けのシミュレーション技術、人工知能、オペレーティングシステム、自動車制御技術に関する事業拡大を実現いたします。具体的には以下の対策を行います。
①経営基盤の強化
当社グループは、自動車向け制御ソフトウェアを中核とした組込ソフトウェア開発や自動運転の実用化を加速する仮想環境シミュレーションの提供並びに電子制御機器の安全を立証するための機能安全コンサルティングサービスを提供しております。今後、既存の組込ソフトウェアや基盤ソフトウェアの収益性を向上させるとともに、今後さらに成長が見込まれる人工知能の安全活用技術や自動運転技術から派生する各種センシング(センサーを用いて距離や画像などを認識することや認識技術を示します)、セマンティックセグメンテーション技術などの成長分野に経営資源を集中させることにより、中長期的な成長を目指しております。
イ.IoT/CPSに関する組込技術と自律化技術の強化について
組込システム事業では、サプライヤー、メーカ及び既存顧客企業と信頼関係を築くと同時に、当該顧客の課題解決を実現することにより、顧客企業からの信頼と安心に基づく事業展開を実現しております。同時に、当社の優位技術である組込セキュリティ技術、機能安全支援技術やAUTOSARに代表されるリアルタイムオペレーションシステム技術は技術的難易度が高く、かつ、新たな課題に対処する技術だけに、他社の参入が難しい事業分野です。当社はこれらの優位技術を融合させ、ワンストップで提供することにより安定的な規模拡大と収益を確保しております。
システムズエンジニアリング事業では、自動運転車両開発や電気自動車(EVカー)への顧客企業の活発な技術開発に伴い、当該事業の柱である仮想環境シミュレーション、HIL-S/SIL-S/MIL-Sに代表される制御シミュレーション技術などの提供を拡大しております。さらに、自動車制御システム開発が従来型のソフトウェア開発からモデルベース開発へと移行が急速に進み、モデルベース開発技術も拡大しております。今後は当該技術の技術者育成に取り組み、さらなるサービスの向上、提供規模の拡大により、売上拡大を図ります。
機能安全開発事業では、自動車・建設機械をはじめとする装置の機能安全コンサルティングを実施しております。平成22年頃より開始した我が国における機能安全規格への対応に先駆けて、当社はそれより前の平成21年からコンサルティング事業を開始しております。初期は自動車メーカ、大手電装部品サプライヤーが機能安全対応の中心プレーヤでしたが、現在は徐々に対応の裾野が広がり中小企業の機能安全対応が進んでおります。当社は機能安全コンサルティングのサービスだけでなく、人材不足が深刻な顧客企業に対し、当社技術者による機能安全開発支援サービスを一気通貫で提供しております。対応の中心となる企業が大企業から中小企業に移行しているため、要望される件数は多くなるものの、1件当たりの事業規模おりますは小さくなる傾向にあります。そのため、機能安全開発事業の大規模な事業展開が難しくなりつつあります。そこで、セキュリティなどのコンサルティングサービスと合わせたサービスを進めるなどの対応により、売上規模の維持・拡大を図ってまいります。
また、中長期的な成長と制御製品の自律化(自動運転や自律ロボットなど)を見込み、自律化に必須となる技術の支援サービスの展開を目指しております。
具体的な取組みとして、自律化システムの中核となる人工知能の安全活用と自動運転技術に必要なセマンティックセグメンテーション技術に関する取組みがあります。
従来、人工知能は購買予測、嗜好品推測などに活用されておりますが、現在は自動運転や生活支援ロボットなどの自律化に活用されつつあります。一方で、人工知能への教育を誤ると、悪意のある結果をだす人工知能を作ることになります(事実、一部の人工知能の発言が問題となった事例もあります)。制御機器への活用は、前述のような人工知能の暴走により重篤なインシデントが発生する恐れがあり、人工知能の安全活用は大変重要な意味を持つことになります。残念ながら人工知能研究は、機能向上・性能向上が優先されるあまり、安全性の観点からの研究事例は少ないのが現状です。そのため、今後、人工知能の制御機器への活用においてはボトルネックとなることが予想されます。
セマンティックセグメンテーション技術は、人工知能技術と組み合わせて使用される、自動運転技術の実現に向けた環境認識技術であり、カメラなどから取得した情報から車や人、樹木、路面など物質の認識をつかさどります。当社では特に積雪環境におけるセマンティックセグメンテーション技術の高度化を進めており、雪道自動運転を実現するための技術提供を試みます。さらに、当該技術は多分野への応用(除雪車両、道路重機などの自律化など)も視野に入れております。
これら技術の組み合わせにより、当社中長期事業の中核技術とするように積極的な投資と技術集積を行っております。
ロ.管理体制の強化
当社は設立以来、少人数の管理部門で運営しておりました。しかし今後の事業運営及び事業拡大に対応するため、内部管理体制について一層の充実を図る必要があると認識しております。
当社は平成28年8月期より、管理体制の強化を行い、経理・人事部門を設立、内部監査室の設置を行いました。
更なる事業規模の拡大に備え、管理体制を今以上に強化してまいります。
ハ.情報システムの充実
今後、事業規模の拡大に伴い、業務処理量、管理コストが増加していくものと予想しております。当社グループは、そのような経営環境の変化に対応する情報システムの充実を図ることを重要な経営課題の一つとして、情報システムの拡充による業務処理の効率化を推進しております。
業容の拡大を支え成長戦略を推進するうえで、変化に強く柔軟な対応が可能となる情報システムの機能性を強化するとともに、業務効率の改善に努めてまいります。
ニ.セキュリティ対策の強化
顧客が要求する組織単位(部署)でのセキュリティ対策(セキュリティルーム、入退室管理、データへのアクセス制限など)を実施しております。
社員教育を含めた、セキュリティインフラの対策を強化し、顧客及び一般社会に影響を及ぼすことのないセキュリティ対策強化を実施いたします。
②営業力強化と新規事業の開拓
当社グループは、1.営業組織の強化 2.顧客との関係強化 3.新たな事業分野への事業開拓 を積極的に推進し、強固な事業基盤の構築と拡大を図ることが当社グループの事業収益の改善・拡大につながるものと考えております。
当社の営業組織は、平成27年から営業グループとして活動を開始しております。それ以前は、営業組織は存在せず、当社グループの売上は、既存顧客からの継続的かつ安定的な注文と、当社Webサイトへの問い合わせをきっかけとした新規顧客からの依頼によるものでした。当社Webサイトへの主な問い合わせは、リアルタイムオペレーティングシステム技術や、機能安全開発、組込セキュリティ技術に関するものであり、同種のサービスを提供する国内企業が極端に少ない当社に優位性のあるサービスです。この営業スタイルにおいても成長を実現してまいりましたが、企業規模も大きくなり、かつ、不況時への備えとして営業を組織化しております。平成28年に新設した戦略営業室を中心に、半導体等の商社との連携、展示会への積極的な出展、新技術に関するプレスリリースや新聞及びテレビニュースなどを積極的に活用し、営業活動を強化しております。また、平成29年より営業支援ツールを導入し、全社で営業状況の確認ができる環境を整えております。
顧客が抱える課題を把握し、課題解決のための活動を強化する、また、将来顧客が直面するであろう技術課題を、当社が得意とする先行研究にて解決方法を模索し、研究成果を活用した支援を行うことにより、強固な信頼と信望を勝ち取ることができると考えております。
自動車分野は電動自動車、Connected Carと呼ばれるネットワーク連携自動車、自動運転技術などの製品化に向けて盛んな研究投資と製品化のためのコストダウンが進んでおります。また、自動車分野で利活用される技術は多くの分野で活用可能であり、これらの技術を一般モデル化して多分野に応用することは効果的です。当社は自動車で蓄積した技術を多分野へ適応する提案を積極的に行い、新たな事業分野に進出して当社グループの事業規模の拡大を狙ってまいります。
③コーポレート・ガバナンスの充実と内部管理体制の強化
当社グループは、持続的な成長と企業価値の向上のためには、コーポレート・ガバナンスの充実が不可欠であると認識しております。また、子会社経営及び関連会社の管理、当社運営管理のためには体制強化が必要であり、人員増強とともに、教育研修を行ってまいります。当社社外役員には大手企業役員及び大学教授を選任しております。さらに、監査役は大手企業の経営担当者、金融機関、ソフトウェア開発企業経営等を経験し、専門的な知識と豊富な実務経験を持つ者を選任しており、独立した視点から経営の監査を行っております。今後も、内部管理体制の拡充を進め、健全で成長力のある経営を目指してまいります。
当社グループの経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性のあるリスクには以下のようなものがあります。また、必ずしも事業上のリスクに該当しない事項についても、投資家の投資判断において重要であると考えられる事項については積極的に開示しております。
当社グループは、これらのリスクの発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針ではありますが、本株式に関する投資判断は、以下の記載事項及び本項目以外の記載事項を、慎重に検討したうえで行われる必要があると考えられます。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社が判断したものであり、当社グループの事業又は本株式の投資に関する全てのリスクを網羅するものではありません。
(1)関連市場及び顧客経営状態に関連するリスクについて
当社グループの顧客層は、自動車、デジタル家電メーカ、産業機械メーカ、建設機械メーカなど様々な分野に及んでおります。これら顧客企業の個別の経営状態の変動に関しては、様々な産業セクターへの営業活動を行ってその影響をできるだけ小さくするように努力しております。しかしながら大幅な為替変動や、グローバルな政策要因、地政学的要因等によって、それらの産業全体が業績に悪影響を被る場合があります。当社グループが提供するサービスは、顧客企業の数年先に発売される製品に関連するため顧客企業の研究事業や未来製品に関する投資計画に影響を与えるほどの事象が発生した場合、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(2)特定取引先及び特定産業分野への依存について
当社グループの主たる売上は自動車分野であり、その多くは主要顧客からの受注となっております。
自動車関連市場は自動運転技術の革新などにより今後も拡大していくと考えております。革新技術への対応として、当社グループは自動運転関連技術、仮想化技術、人工知能安全活用技術などの研究事業に注力し、革新技術の提供サービスの準備を進めております。このような活動を通じ、自動車関連市場の当社技術への需要はさらに高まると考えており、当該技術分野は最重要市場と位置付けております。
当社グループの方針として、特定の取引先及び産業分野に依存する事業構造から脱却するよう、他の産業分野への展開や顧客開拓に尽力してまいりたいと考えております。しかし他産業分野への展開が計画通り進まず、かつ、当社グループの主要産業及び顧客からの受注が減少した場合、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(3)品質不良による損害賠償のリスクについて
組込システム事業のエンジニアリングサービス、リアルタイムオペレーティングシステム販売などにおいて、品質不良や納期遅延による損害賠償が発生する可能性があります。特に自動車向けは品質や納期に関する要求が厳密であり、場合によっては瑕疵対応や損害賠償を求められる可能性があります。当社グループは業務受注時から受注審議会、開発途中におけるプロジェクト評価会を実施しておりますが、万が一にも当社グループの責による品質不良や納期遅延による損害賠償請求が発生し、当社の加入しているIT賠償保険では損害賠償額を十分にカバーできなかった場合、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(4)不採算プロジェクトの発生について
当社グループのエンジニアリングサービスで不採算プロジェクトが発生する可能性があります。当社グループでは受注前にプロジェクトに内在するリスク(技術的、採算的、人材リソース的)について十分に検討する受注審議会を設け、可能な限り受注前に内在するリスクを解決し、また、リスクが取り除けない場合には事業の将来性などを勘案し受注可否を判断しております。さらに受注後は全プロジェクト個別に品質管理、予算管理、スケジュール管理を実施しております。しかし、それにもかかわらず当社の管理不良などにより不採算プロジェクトが発生した場合、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(5)人材の確保と人件費、外注費の高騰について
当社グループの事業継続及び拡大においては、来るべきIoT/CPS関連技術の革新に対応しうる技術者、管理体制強化に伴う管理部門、当社技術を広く提供するための営業部門への有能な人材確保が必要であります。
当社グループでは、有能な技術者及び次世代経営幹部の採用を進めております。また、組織活性化と優秀な人材の定着を図っております。しかしながら、計画どおりの採用が実現できない場合、技術者の確保が十分にできない場合、働き方改革への対策や優秀な人材確保に関する経費増、外注費やオフショア費用高騰、在籍人材の流出などにより、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(6)法令違反、法的規制に関するリスクについて
当社グループの事業において、税制や商取引、労働問題、知的財産権など様々な法的規制を受けております。当社グループはコンプライアンス重視のもと、これらの法規制やルールを遵守した経営を行っておりますが、万が一これらの法規制、ルールを遵守できなかった場合、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(7)その他訴訟等による損害賠償責任に関するリスクについて
当社グループの提供するエンジニアリングサービスは、ソフトウェアの開発が主たるサービスとなります。そのため、他社から何らかの知的財産権の侵害についての申し立てを受ける可能性は否定できません。当社グループが保有している個人情報や組込ソフトウェア開発に関する仕様、顧客企業が保持する技術情報などが社外に流出するリスクが存在します。また安全衛生上や労務上の問題により訴訟が発生する可能性があります。当社グループは、セキュリティ委員会を設置し、各種情報の管理体制を強化すると同時に、セキュリティ教育、eラーニングによる教育などを行っております。また労働安全や労働災害に関しても従業員のワークライフ・バランスを重視した経営を行っております。しかしながら、何らかの事由によって訴訟となる事案が発生し、当社が賠償を求められた場合、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
a 財政状態
(資産)
当連結会計年度末における資産合計は、2,233,018千円(前連結会計年度末比102.8%増)となり、流動資産合計1,970,764千円(前連結会計年度末比141.9%増)、固定資産合計262,254千円(前連結会計年度末比8.5%減)となりました。
流動資産の主な内訳は、現金及び預金1,628,916千円(前連結会計年度末比342.7%増)、受取手形及び売掛金148,574千円(前連結会計年度末比14.5%増)、仕掛品146,747千円(前連結会計年度末比40.7%減)であります。
固定資産の主な内訳は、有形固定資産23,543千円(前連結会計年度末比24.6%減)、無形固定資産13,966千円(前連結会計年度末比35.1%減)、保険積立金104,780千円(前連結会計年度末比11.1%減)であります。
(負債)
当連結会計年度末における負債合計は、549,633千円(前連結会計年度末比13.3%減)となり、流動負債合計343,018千円(前連結会計年度末比17.9%減)、固定負債合計206,614千円(前連結会計年度末比4.7%減)となりました。
流動負債の主な内訳は、買掛金62,414千円(前連結会計年度末比53.9%減)、未払法人税等62,169千円(前連結会計年度末比4.4%減)、賞与引当金90,219千円(前連結会計年度末比22.5%増)であります。
固定負債の主な内訳は、平成30年11月29日開催の第22期定時株主総会の終結の時をもって、当社の役員退職慰労金制度を廃止したことにより、前連結会計年度まで計上しておりました役員退職慰労引当金から振替えた長期未払金84,767千円、役員退職慰労引当金5,287千円(前連結会計年度末比95.4%減)、退職給付に係る負債113,098千円(前連結会計年度末比14.1%増)であります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産合計は、1,683,384千円(前連結会計年度末比260.6%増)となりました。主な内訳は、資本金583,789千円(前連結会計年度末比559.0%増)、資本剰余金518,278千円(前連結会計年度末比2145.7%増)、利益剰余金564,153千円(前連結会計年度末比64.8%増)であります。
b 経営成績
当連結会計年度における我が国の経済は、企業収益や雇用情勢、個人消費の改善が見られ、堅調な景気が続きましたが、世界で広がる保護主義的な動きやそれに関連した米中貿易摩擦が世界経済へ影響し一部の企業においては事業計画の縮小が始まり、国内企業への影響が出てきております。
当社グループの主力である自動車分野の組込みソフトウェア関連は、自動車技術の変革に伴う研究や製品開発(特にコネクテッドカー(つながる車)、自動運転、MaaS ( Mobility as a Service ) ) に注目が集まり、引き続き堅調に推移しております。
また、自動運転車両の実用化を加速する技術である、モデルベース開発、仮想環境シミュレータ開発などの需要は高止まりの状況にあり、さらに、自律化製品を支える人工知能の安全活用技術に関する関心や要望が急速に高まっております。
このような事業環境を背景に、当連結会計年度におきましても、自動車関連企業へのソフトウェア開発及び組込セキュリティの技術提供強化や自動運転に関する仮想環境の積極的な提案を実施するとともに、その他既存事業の継続的な営業を強化いたしました。
一方、前期より発生した不採算プロジェクトの対応等により売上高が伸び悩みましたが、外注政策の見直しと高収益事業へのシフトを進めることにより、営業利益率は大幅に向上いたしました。また、役員退職慰労金制度廃止及び株式上場に伴い、役員退職用積立保険等を整理し解約返戻金が発生したことに加えて、一部取締役から役員退職慰労金の辞退を受けたことにより、営業外収益及び特別利益が増加いたしました。
この結果、当連結会計年度の経営成績は、売上高2,300,593千円(前年同期比3.2%減)、営業利益251,915千円(前年同期比13.9%増)、経常利益304,449千円(前年同期比36.1%増)、親会社株主に帰属する当期純利益230,659千円(前年同期比70.2%増)となりました。
セグメント別の経営成績は、次のとおりであります。
1.組込システム事業
当セグメントにおいては、自動車・産業製品向けの制御ソフトウェア、リアルタイムオペレーティングシステムなどのソフトウェアプラットフォーム提供、組込セキュリティなどの受託案件などを行いました。なお、第2四半期連結累計期間に終結した不採算プロジェクトの影響により、売上高は1,249,314千円(前年同期比16.1%減)、セグメント利益(営業利益)は236,396千円(前年同期比10.2%減)となりました。
2.システムズエンジニアリング事業
当セグメントにおいては、自動車関連のシミュレーション及びモデルベース開発技術の提案・開発・提供とデジタルコンシューマ機器向けの基盤技術提供を行っており、売上高は755,966千円(前年同期比12.7%増)、セグメント利益(営業利益)は242,107千円(前年同期比24.4%増)となりました。
3.機能安全開発事業
当セグメントにおいては、近年の電子機器装置の安全性を担保するために必要なコンサルティング・安全性分析支援と安全性の高いソフトウェア開発を行うためのソフトウェア開発プロセス作成の支援を行っており、売上高は244,103千円(前年同期比35.5%増)、セグメント利益(営業利益)は104,239千円(前年同期比59.0%増)となりました。
4.その他
当セグメントにおいては、株式会社アトリエ、株式会社ヴィッツ沖縄が含まれており、売上高は137,366千円(前年同期比6.8%増)、セグメント利益(営業利益)は32,189千円(前年同期比3.3%減)となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、1,628,916千円(前期比1,260,992千円増)となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの主な要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果獲得した資金は244,570千円(前連結会計年度は136,941千円の獲得)となりました。この主な要因は、役員退職慰労引当金の減少額108,620千円、保険解約返戻金の計上68,173千円、仕入債務の減少額73,095千円、法人税等の支払額119,664千円等による資金の減少があったものの、税金等調整前当期純利益の計上334,396千円、減価償却費の計上20,573千円、退職給付に係る負債の増加額13,968千円、賞与引当金の増加額16,582千円、たな卸資産の減少額101,101千円、長期未払金の増加額84,767千円等による資金の増加があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果獲得した資金は62,946千円(前連結会計年度は50,827千円の支出)となりました。この主な要因は、有形固定資産の取得による支出6,648千円、差入保証金の差入による支出6,314千円、保険積立金の積立による支出18,505千円等による資金の減少があったものの、保険積立金の解約による収入96,178千円による資金の増加があったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果獲得した資金は953,475千円(前連結会計年度は35,767千円の支出)となりました。この主な要因は、長期借入金の返済による支出7,658千円、上場関連費用の支払額8,882千円、配当金の支払額8,802千円等による資金の減少があったものの、株式の発行による収入979,375千円による資金の増加があったことによるものであります。
③ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 平成30年9月1日 至 令和元年8月31日) |
前年同期比(%) |
|
組込システム事業 (千円) |
955,055 |
89.4 |
|
システムズエンジニアリング事業 (千円) |
489,739 |
110.5 |
|
機能安全開発事業 (千円) |
108,436 |
127.2 |
|
報告セグメント計 (千円) |
1,553,231 |
97.3 |
|
その他 (千円) |
22,128 |
137.9 |
|
合計 (千円) |
1,575,359 |
97.7 |
(注)1.金額は製造原価によっております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
b.受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 平成30年9月1日 至 令和元年8月31日) |
|||
|
受注高(千円) |
前年同期比(%) |
受注残高(千円) |
前年同期比(%) |
|
|
組込システム事業 (千円) |
1,136,213 |
78.1 |
150,796 |
57.1 |
|
システムズエンジニアリング事業 (千円) |
748,384 |
101.0 |
169,952 |
95.7 |
|
機能安全開発事業 (千円) |
247,605 |
136.3 |
27,182 |
114.8 |
|
報告セグメント計 (千円) |
2,132,203 |
89.7 |
347,930 |
74.8 |
|
その他 (千円) |
59,208 |
132.7 |
8,000 |
86.0 |
|
合計 (千円) |
2,191,412 |
90.5 |
355,930 |
75.0 |
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.金額は販売価格によっております。
3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
c.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 平成30年9月1日 至 令和元年8月31日) |
前年同期比(%) |
|
組込システム事業 (千円) |
1,249,314 |
83.9 |
|
システムズエンジニアリング事業 (千円) |
755,966 |
112.7 |
|
機能安全開発事業 (千円) |
244,103 |
135.5 |
|
報告セグメント計 (千円) |
2,249,385 |
96.1 |
|
その他 (千円) |
51,208 |
145.0 |
|
合計 (千円) |
2,300,593 |
96.8 |
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
|
相手先 |
前連結会計年度 (自 平成29年9月1日 至 平成30年8月31日) |
当連結会計年度 (自 平成30年9月1日 至 令和元年8月31日) |
||
|
金額(千円) |
割合(%) |
金額(千円) |
割合(%) |
|
|
アイシン精機㈱ |
330,012 |
13.9 |
369,784 |
16.1 |
|
パナソニック㈱オートモーティブ社 |
349,949 |
14.7 |
300,854 |
13.1 |
|
トヨタ自動車㈱ |
257,297 |
10.8 |
291,737 |
12.7 |
3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たりまして、経営者により、一定の会計基準の範囲内で、かつ、合理的と考えられる見積りが行われている部分があり、資産・負債、収益・費用の金額に反映されております。これらの見積りについては、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、見積りには不確実性が伴うため、実際の結果はこれらの見積りと異なる場合があります。
詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりであります。
②経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.財政状態
当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末に比べ、1,131,907千円増加の2,233,018千円となりました。これは主に、現金及び預金1,260,992千円の増加、仕掛品100,621千円の減少等によるものであります。また負債の合計は、前連結会計年度末に比べ84,679千円減少の549,633千円となりました。これは主に、長期未払金の84,767千円の増加、役員退職慰労引当金108,620千円の減少、買掛金73,095千円の減少等によるものであります。純資産の合計は、前連結会計年度末に比べ、1,216,587千円増加の1,683,384千円となりました。これは主に、資本金495,200千円の増加、資本剰余金495,200千円の増加、利益剰余金221,857千円の増加等によるものであります。
以上により、自己資本比率は、前連結会計年度末の41.2%に対して当連結会計年度末は74.6%と33.4ポイント上昇しております。
b.経営成績
(売上高、売上原価及び売上総利益)
当連結会計年度の売上高は2,300,593千円(前年度同期比3.2%減)であり、前連結会計年度より75,222千円減少いたしました。主な要因としましては、組込システム事業において不採算案件の発生により受注機会の損失が生じたことに加え、下期において一部顧客の予算削減により受注が予想以上に減少したことによるものであります。また、売上原価は1,564,729千円(前年同期比7.5%減)、売上総利益は、735,864千円(前年同期比7.4%増)となり、高収益案件の獲得に注力したことや外注費抑制により売上総利益率は、前連結会計年度の28.8%に対して当連結会計年度は32.0%と3.2ポイント上昇しております。
(販売費及び一般管理費並びに営業利益)
当連結会計年度の販売費及び一般管理費は483,948千円(前年同期比4.4%増)であり、前連結会計年度より20,226千円増加いたしました。主な要因としましては、新入社員や管理部門の採用費用の増加などによるものであります。この結果、営業利益は251,915千円(前年同期比13.9%増)となり、前年連結会計年度より30,674千円増加いたしました。
(営業外損益及び経常利益)
当連結会計年度の営業外収益は72,713千円であります。また、当連結会計年度の営業外費用は20,180千円であります。この結果、経常利益は304,449千円(前年同期比36.1%増)となり、前連結会計年度より80,694千円増加いたしました。主な要因としましては、役員退職慰労金制度廃止に伴い役員保険解約等によります。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
特別利益にて役員退職慰労金戻入額を30,000千円、特別損失にて固定資産除却損を52千円計上しております。また、法人税等を98,850千円、非支配株主に帰属する当期純利益を4,886千円計上しております。この結果、親会社株主に帰属する当期純利益は230,659千円(前年同期比70.2%増)となり、前連結会計年度より95,132千円増加いたしました。
c.キャッシュ・フローの状況
キャッシュ・フローの分析につきましては「(1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
d.経営成績に重要な影響を与える要因について
経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
e.資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社グループは、事業上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としており、営業活動によるキャッシュ・フローのほか、一部資金を銀行借入等により調達しております。なお、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は1,628,916千円となっており、当面事業を継続していくうえで十分な流動性を確保しております。
|
契約会社名 |
相手方の名称 |
契約書名 |
契約内容 |
契約期間 |
|
㈱ヴィッツ |
アイシン精機㈱ |
労働者派遣基本契約書 |
労働者派遣の基本契約 |
平成25年3月5日から 平成26年3月4日まで 以後1年ごとの自動更新 |
|
㈱ヴィッツ |
パナソニック㈱オートモーティブ社 |
開発委託基本契約書 |
開発委託の基本契約 |
平成29年9月1日から 平成30年3月31日まで 以後1年ごとの自動更新 |
|
㈱ヴィッツ |
トヨタ自動車㈱ |
業務委託取引基本契約書 |
業務委託取引の基本契約 |
平成15年4月1日から 平成16年3月31日まで 以後1年ごとの自動更新 |
当社グループの研究活動は、組込ソフトウェアに係る産業分野横断型共通課題を解決するための活動としております。
近年、IoT/CPSなどと呼ばれるデジタル情報社会において、人々の生活を支える機器(IoTデバイス)が情報収集ばかりでなく、便利な支援装置・ロボットなどとして活躍しております。
これらの製品における組込ソフトウェアの重要性は急速に増しております。この急速な技術の進歩に伴い、自律化・ネットワーク接続などに関連した課題が大きな問題となりつつあります。当社はこれらの課題解決に向けた研究開発を実施しております。
当連結会計年度の研究活動は以下の項目を重点項目として研究開発を実施しております。
当連結会計年度における研究開発費の総額(当社グループ研究費用と公的資金の合算)は、
(1)人工知能の安全活用技術研究
自動運転技術・自律ロボットなどの技術進化には、人工知能の利活用が必要不可欠です。しかし、人工知能の高度化は世界各国の研究者により進められておりますが、人工知能の安全活用研究に関する論文発表は少なく、活発に研究が実施されている状況ではありません。
そもそも、人工知能は判断結果を導き出す方法が明確でなく、一般的なソフトウェアなどに求められる安全分析は実施できません(安全分析はソフトウェアの構造が明確であり、明確な構造を順次破壊した場合の挙動を分析します。人工知能は内部構造が不明な巨大なブラックボックスであるため、従来型の内部構造が明確であることを前提としている安全分析では解析できません)。
そのため従来型の分析手法を利用した方法での人工知能の安全立証は困難であります。
本研究では、従来分析とは異なる方法(期待する動作を前提とする分析モデルなど)で人工知能の判断結果を評価できる研究を実施しております。
(2)積雪路面での自動運転技術研究
世界的な自動運転技術の動向として、高精度な三次元地図情報を活用した自動運転技術の研究が盛んに実施されております。これらの研究は路面状況が理想に近い環境で自動運転車両の早期市場投入を目的として研究されております。
しかし、路面状況は積雪路面をはじめ過酷な環境が多々あります。特に、積雪路面は雪が路面を覆い、三次元地図情報が利用する人工構造物(白線、路肩、信号、標識など)が認識できない場合も考えられます。このような場合には、自動運転サービスが機能しない状況に陥ります。
当社グループは、積雪路面環境下で三次元地図情報を利用せずに、車両が搭載するセンサーで周辺環境を認識して走行できる自動運転技術の高度化を研究しております。
三次元地図情報を用いたものと比較し、低速での走行になりますが、積雪路面などの特殊環境では低速であっても自動運転を利用したいとの要望も多く、本研究を実施しております。
(3)組込セキュリティ研究
これまで自動車などの組込システムはインターネットなどに繋がっておらず、セキュリティ対策は実施されていない製品群でした。しかし近年、一部の研究者(米国ワシントン大学Dr. Kono教授など)により組込システム向けの攻撃に関する論文が発表され、組込セキュリティの重要性が叫ばれております。
当社グループは上記論文発表から組込システムにおける重要性を認識し、平成25年より組込セキュリティに関する研究を開始しており、技術提供事業を実施しております。
セキュリティに対しては常に新しい攻撃が生み出されるため、継続的に研究活動を実施しております。
(4)基盤ソフトウェア研究
当社グループで最も古くから実施している研究になります。
組込システムの基盤ソフトウェアであるリアルタイムオペレーションシステム(RTOS)を研究し、組込システムに関する新たな課題や脅威を、RTOSの機能として取り入れる研究を実施しております。
これまでに機能安全対応、組込セキュリティ対応のRTOSを研究し提供しております。