文中の将来に関する事項は 当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針・経営戦略
当社は「進化する技術を用いて、豊かな未来社会の創造に貢献する」ことを基本理念としております。
当社の社名である“WITZ”とは、ドイツ語で“賢い”を意味する言葉です。私たちは、豊かで快適な社会を築くために必要な技術を世界に先駆けて習得・提供し、社名があらわす“賢い”企業としての活動を実現したいと考えております。
“Creating Life of Your Dreams~半歩先の技術で人々の生活を豊かに~”をキャッチフレーズに掲げ、来るべきIoTやCPS/DXの進展を支え、快適で便利な近未来社会の実現を支援してまいります。
この基本理念を実現するため、当社は”次世代事業の創生”と”収益性の向上”を経営戦略としております。持続的な"収益性の向上"のためには、"次世代事業の創生"が不可欠であり、また、"次世代事業の創生"に必要な研究開発資金を生み出すためには、"収益性の向上"が不可欠であります。両戦略に基づき着実に成果を出すことが、当社の持続的な成長につながり、ひいては豊かな未来社会の創造に貢献するものと考えております。
(2)目標とする経営指標
当社は安定的な経営を実現するために目標とする経営指標として、売上総利益率を重要な経営指標として位置づけ、高付加価値事業の比率を高めるとともに、品質管理及びコスト管理を徹底し、利益率の向上に努めてまいります。
(3)経営環境、優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社グループを取り巻く環境は、全世界規模で組込システムの大きな変革期を迎えており、人工知能、IoT、自動運転、DX、MaaS サービスプラットフォームなど当社が注力している技術が今まで以上に重要になると予見されます。その変革を追い風に当社技術を提供する自律化システムの開発市場は広がっております。これらの市場に的確なタイミングで的確な技術を提供することが重要であると考えております。そのための技術習得・調査・研究に注力するとともに、現在提供できる技術を適切なタイミング・質・価格で提供し、組込セキュリティ、モデルベース開発、自動運転・先進安全向けのシミュレーション技術、人工知能、オペレーティングシステム、自動車制御技術、DX、MaaSに関する事業拡大を実現いたします。
なお、当連結会計年度においては新型コロナウイルス感染症により、当社グループの業績に影響があった他、研究開発についても活動自粛等により遅延している状況であります。しかし、CASE関連事業や新分野の事業である半導体検査装置等はコロナ禍においても堅調に推移しており、引き続き注力していく計画です。また、当社の持続的な成長を実現するためにも、新型コロナウイルス感染症の今後の経過を注視しつつ、積極的に研究開発活動を推進してまいります。
このような経営環境の下、当社グループは以下のものを課題として認識し、対処してまいります。
①経営基盤の強化
当社グループは、自動車向け制御ソフトウェアを中核とした組込ソフトウェア開発や自動運転の実用化を加速する仮想環境シミュレーションの提供並びに電子制御機器の安全を立証するための機能安全コンサルティングサービスを提供しております。今後、既存の組込ソフトウェア開発や基盤ソフトウェア開発の収益性を向上させるとともに、さらに成長が見込まれる人工知能の安全活用技術や自動運転技術から派生する各種センシング(センサーを用いて距離や画像などを認識することや認識技術を示します)、セマンティックセグメンテーション技術などの成長分野に経営資源を集中させることにより、中長期的な成長を目指しております。
イ.IoT/CPSに関する組込技術と自律化技術の強化について
組込システム事業では、サプライヤー、メーカ及び既存顧客企業と信頼関係を築くと同時に、当該顧客の課題解決を実現することにより、顧客企業からの信頼と安心に基づく事業展開を実現しております。同時に、当社の優位技術である組込セキュリティ技術、機能安全支援技術やAUTOSARに代表されるリアルタイムオペレーティングシステム技術は技術的難易度が高く、かつ、新たな課題に対処する技術だけに、他社の参入が難しい事業分野です。当社はこれらの優位技術を融合させ、ワンストップで提供することにより安定的な規模拡大と収益を確保しております。
システムズエンジニアリング事業では、自動運転車両開発や電気自動車(EVカー)に対して顧客企業が活発に技術開発を行っていることに伴い、当該事業の柱である仮想環境シミュレーション、HIL-S/SIL-S/MIL-Sに代表される制御シミュレーション技術などの提供を拡大しております。さらに、自動車制御システム開発が従来型のソフトウェア開発からモデルベース開発へと移行が急速に進み、モデルベース開発技術も拡大しております。今後は当該技術の技術者育成に取り組み、さらなるサービスの向上、提供規模の拡大を図ります。
機能安全開発事業では、自動車・建設機械をはじめとする装置のSafety & Securityコンサルティングを実施しております。2010年頃より開始した我が国における機能安全規格への対応に先駆けて、当社はそれより前の2009年からコンサルティング事業を開始しております。初期は自動車メーカ、大手電装部品サプライヤーが機能安全対応の中心プレーヤでしたが、現在は徐々に対応の裾野が広がり中小企業の機能安全対応が進んでおります。当社は機能安全コンサルティングのサービスだけでなく、人材不足が深刻な顧客企業に対し、当社技術者による機能安全開発支援サービスを一気通貫で提供しております。対応の中心となる企業が大企業から中小企業に移行しているため、要望される件数は多くなるものの、1件当たりの事業規模は小さくなる傾向にあります。そのため、機能安全開発事業の大規模な事業展開が難しくなりつつあります。そこで、セキュリティなどのコンサルティングサービスと合わせたサービスを進めるなどの対応により、売上規模の維持・拡大を図ります。
また、中長期的な成長と制御製品の自律化(自動運転や自律ロボットなど)を見込み、自律化に必須となる技術の支援サービスの展開を目指しております。
具体的な取組みとして、自律化システムの中核となる人工知能の安全活用と自動運転技術に必要なセマンティックセグメンテーション技術に関する取組みがあります。
従来、人工知能は購買予測、嗜好品推測などに活用されておりますが、現在は自動運転や生活支援ロボットなどの自律化に活用されつつあります。一方で、人工知能への教育を誤ると、危険な結果をだす人工知能を作ることになります(事実、一部の人工知能の発言が問題となった事例もあります)。制御機器への活用は、前述のような人工知能の暴走により重篤なインシデントが発生する恐れがあり、人工知能の安全活用は大変重要な意味を持つことになります。残念ながら人工知能研究は、機能向上・性能向上が優先されるあまり、安全性の観点からの研究事例は少ないのが現状です。そのため、今後、人工知能の制御機器への活用においては障害となることが予想されます。
セマンティックセグメンテーション技術は、人工知能技術と組み合わせて使用される、自動運転技術の実現に向けた環境認識技術であり、カメラなどから取得した情報から車や人、樹木、路面など人や物の認識をつかさどります。当社では特に積雪環境におけるセマンティックセグメンテーション技術の高度化を進めており、雪道自動運転を実現するための技術提供を試みます。さらに、当該技術は多分野への応用(除雪車両、道路工事用重機などの自律化など)も視野に入れております。
これら技術の組み合わせにより、当社中長期事業の中核技術とするように積極的な投資と技術集積を行っております。
ロ.管理体制の強化
当社は設立以来、少人数の管理部門で運営しておりました。しかし今後の事業運営及び事業拡大に対応するため、内部管理体制について一層の充実を図る必要があると認識しております。
当社は2016年8月期より、管理体制の強化を行い、経理・人事部門を設立、内部監査室の設置を行いました。
更なる事業規模の拡大に備え、管理体制を今以上に強化してまいります。
ハ.情報システムの充実
今後、事業規模の拡大に伴い、業務処理量、管理コストが増加していくものと予想しております。当社グループは、そのような経営環境の変化に対応する情報システムの充実を図ることを重要な経営課題の一つとして、情報システムの拡充による業務処理の効率化を推進しております。
業容の拡大を支え成長戦略を推進するうえで、変化に強く柔軟な対応が可能となる情報システムの機能性を強化するとともに、業務効率の改善に努めてまいります。
ニ.セキュリティ対策の強化
顧客が要求する組織単位(部署)でのセキュリティ対策(セキュリティルーム、入退室管理、データへのアクセス制限など)を実施しております。
社員教育を含めた、セキュリティインフラの対策を強化し、顧客及び一般社会に影響を及ぼすことのないセキュリティ対策強化を実施いたします。
②営業力強化と新規事業の開拓
当社グループは、1.営業組織の強化 2.顧客との関係強化 3.新たな事業分野への事業開拓 を積極的に推進し、強固な事業基盤の構築と拡大を図ることが当社グループの事業収益の改善・拡大につながるものと考えております。
当社の営業組織は、2015年から営業グループとして活動を開始しております。それ以前は、営業組織は存在せず、当社グループの売上は、既存顧客からの継続的かつ安定的な注文と、当社Webサイトへの問い合わせをきっかけとした新規顧客からの依頼によるものでした。当社Webサイトへの主な問い合わせは、リアルタイムオペレーティングシステム技術や、機能安全開発、組込セキュリティ技術に関するものであり、同種のサービスを提供する国内企業が極端に少ない当社に優位性のあるサービスです。この営業スタイルにおいても成長を実現してまいりましたが、企業規模も大きくなり、かつ、不況時への備えとして営業を組織化しております。2016年に新設した戦略営業室を中心に、半導体等の商社との連携、展示会への積極的な出展、新技術に関するプレスリリースや新聞及びテレビニュースなどを積極的に活用し、営業活動を強化しております。また、2017年より営業支援ツールを導入し、全社で営業状況の確認ができる環境を整えております。
顧客が抱える課題を把握し、課題解決のための活動を強化する、また、将来顧客が直面するであろう技術課題を、当社が得意とする先行研究にて解決方法を模索し、研究成果を活用した支援を行うことにより、強固な信頼と信望を勝ち取ることができると考えております。
自動車分野は電動自動車、Connected Carと呼ばれるネットワーク連携自動車、自動運転技術などの製品化に向けて盛んな研究投資と製品化のためのコストダウンが進んでおります。また、自動車分野で利活用される技術は多くの分野で活用可能であり、これらの技術を一般モデル化して多分野に応用することは効果的です。当社は自動車で蓄積した技術を多分野へ適応する提案を積極的に行い、新たな事業分野に進出して当社グループの事業規模の拡大を狙ってまいります。
③コーポレート・ガバナンスの充実と内部管理体制の強化
当社グループは、持続的な成長と企業価値の向上のためには、コーポレート・ガバナンスの充実が不可欠であると認識しております。また、子会社経営及び関連会社の管理、当社運営管理のためには体制強化が必要であり、人員増強とともに、教育研修を行ってまいります。当社社外役員には大手企業役員及び大学教授を選任しております。さらに、監査役は大手企業の経営担当者、金融機関、ソフトウェア開発企業経営等を経験し、専門的な知識と豊富な実務経験を持つ者を選任しており、独立した視点から経営の監査を行っております。今後も、内部管理体制の拡充を進め、健全で成長力のある経営を目指してまいります。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。また、必ずしも事業上のリスクに該当しない事項についても、投資家の投資判断において重要であると考えられる事項については積極的に開示しております。
当社グループは、これらのリスクの発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針ではありますが、本株式に関する投資判断は、以下の記載事項及び本項目以外の記載事項を、慎重に検討したうえで行われる必要があると考えられます。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社が判断したものであり、当社グループの事業又は本株式の投資に関する全てのリスクを網羅するものではありません。
(1)関連市場及び顧客経営状態に関連するリスクについて
(リスクが顕在化した場合に当社グループの経営成績等の状況に与える影響の内容)
当社グループの顧客層は、自動車、デジタル家電メーカ、産業機械メーカ、建設機械メーカなど様々な分野に及んでおります。
大幅な為替変動や、グローバルな政策要因、地政学的要因等によって、それらの産業全体が業績に悪影響を被った場合、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループが提供するサービスは、顧客企業の数年先に発売される製品に関連するため顧客企業の研究事業や未来製品に関する投資計画に影響を与えるほどの事象が発生した場合、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(リスクが顕在化する可能性の程度や時期)
当該リスクは毎期顕在化する可能性があるものと認識しております。
(リスクへの対応策)
当社グループは、これら顧客企業の個別の経営状態の変動に関しては、様々な産業セクターへの営業活動を行ってその影響をできるだけ小さくすることによって、関連市場及び顧客経営状態に関するリスクの低減に努めております。
(2)特定取引先及び特定産業分野への依存について
(リスクが顕在化した場合に当社グループの経営成績等の状況に与える影響の内容)
当社グループの主たる売上は自動車分野であり、その多くは主要取引先からの受注となっております。この自動車関連市場は自動運転技術の革新などにより今後も拡大していくと考えており、革新技術への対応として、当社グループは自動運転関連技術、仮想化技術、人工知能安全活用技術などの研究事業に注力し、革新技術の提供サービスの準備を進めております。このような活動を通じ、自動車関連市場の当社技術への需要はさらに高まると考えており、当該技術分野は最重要市場と位置付けております。このように当社グループは特定の取引先及び特定の産業分野への依存が高い状態となっており、当該取引先及び産業からの受注が減少した場合、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(リスクが顕在化する可能性の程度や時期)
自動車産業が大きな変革期を迎えており、当面の間、当該リスクが顕在化する可能性は低いと考えておりますが、20~30年程度後にはメーカの役割も変化し当該リスクが顕在化する可能性があると認識しております。
(リスクへの対応策)
当社グループは、特定の取引先及び特定の産業分野に依存する事業構造から脱却するよう、他の産業分野への展開や顧客開拓に尽力することによって、特定取引先及び特定産業分野への依存に関するリスクの低減に努めております。
(3)品質不良による損害賠償のリスクについて
(リスクが顕在化した場合に当社グループの経営成績等の状況に与える影響の内容)
組込システム事業のエンジニアリングサービス、リアルタイムオペレーティングシステム販売などにおいて、品質不良や納期遅延による損害賠償が発生する可能性があります。特に自動車向けは品質や納期に関する要求が厳密であり、場合によっては瑕疵対応や損害賠償を求められる可能性があります。万が一にも当社グループの責による品質不良や納期遅延による損害賠償請求が発生し、当社の加入しているIT賠償保険では損害賠償額を十分にカバーできなかった場合、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(リスクが顕在化する可能性の程度や時期)
当該リスクに常に晒されておりますが、顕在化する可能性は低いものと認識しております。
(リスクへの対応策)
当社グループは、業務受注時から受注審議会、開発途中におけるプロジェクト評価会を実施しており、品質不良による損害賠償のリスクの低減に努めております。
(4)不採算プロジェクトの発生について
(リスクが顕在化した場合に当社グループの経営成績等の状況に与える影響の内容)
当社グループのエンジニアリングサービスで不採算プロジェクトが発生する可能性があり、当社の管理不良などにより不採算プロジェクトが発生した場合、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(リスクが顕在化する可能性の程度や時期)
当該リスクに常に晒されておりますが、顕在化する可能性は低いものと認識しております。
(リスクへの対応策)
当社グループは、受注前にプロジェクトに内在するリスク(技術的、採算的、人材リソース的)について十分に検討する受注審議会を設け、可能な限り受注前に内在するリスクを解決し、また、リスクが取り除けない場合には事業の将来性などを勘案し受注可否を判断しております。さらに受注後は全プロジェクト個別に品質管理、予算管理、スケジュール管理を実施することによって、不採算プロジェクトの発生リスクの低減に努めております。
(5)人材の確保と人件費、外注費の高騰について
(リスクが顕在化した場合に当社グループの経営成績等の状況に与える影響の内容)
当社グループの事業継続及び拡大においては、来るべきIoT/CPS関連技術の革新に対応しうる技術者、管理体制強化に伴う管理部門、当社技術を広く提供するための営業部門への有能な人材確保が必要であります。しかしながら、計画どおりの採用が実現できない場合、技術者の確保が十分にできない場合、働き方改革への対策や優秀な人材確保に関する経費増、外注費やオフショア費用高騰、在籍人材の流出などにより、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(リスクが顕在化する可能性の程度や時期)
当該リスクは数年単位で顕在化する可能性があると認識しております。
(リスクへの対応策)
当社グループでは、有能な技術者及び次世代経営幹部の採用を進めており、また、組織活性化と優秀な人材の定着への対策を図ることによって人材の確保と人件費、外注費の高騰に関するリスクの低減に努めております。
(6)法令違反、法的規制に関するリスクについて
(リスクが顕在化した場合に当社グループの経営成績等の状況に与える影響の内容)
当社グループの事業において、税制や商取引、労働問題、知的財産権など様々な法的規制を受けており、万が一これらの法規制、ルールを遵守できなかった場合、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(リスクが顕在化する可能性の程度や時期)
当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期につきましては、現時点では予測困難であると認識しております。
(リスクへの対応策)
当社グループは、コンプライアンス重視のもと、これらの法規制やルールを遵守した経営を行うことによって、法令違反、法的規制に関するリスクの低減に努めております。
(7)その他訴訟等による損害賠償責任に関するリスクについて
(リスクが顕在化した場合に当社グループの経営成績等の状況に与える影響の内容)
当社グループの提供するエンジニアリングサービスは、ソフトウェアの開発が主たるサービスとなります。そのため、他社から何らかの知的財産権の侵害についての申し立てを受ける可能性は否定できません。当社グループが保有している個人情報や組込ソフトウェア開発に関する仕様、顧客企業が保持する技術情報などが社外に流出するリスクが存在します。また安全衛生上や労務上の問題により訴訟が発生する可能性があります。何らかの事由によって訴訟となる事案が発生し、当社が賠償を求められた場合、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(リスクが顕在化する可能性の程度や時期)
当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期につきましては、現時点では予測困難であると認識しております。
(リスクへの対応策)
当社グループは、セキュリティ委員会を設置し、各種情報の管理体制を強化すると同時に、セキュリティ教育、eラーニングによる教育などを行っております。また労働安全や労働災害に関しても従業員のワークライフ・バランスを重視した経営を行うことによって、訴訟等による損害賠償責任に関するリスクの低減に努めております。
(8)新型コロナウイルス感染症に関するリスクについて
(リスクが顕在化した場合に当社グループの経営成績等の状況に与える影響の内容)
新型コロナウイルス感染症の影響により、新たな開発案件において計画縮小や中止、開始時期の延期などが発生する可能性があります。また、当社グループ内で感染者が確認された場合には開発リソースが不足する可能性があり、これらのリスクが顕在化した場合、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(リスクが顕在化する可能性の程度や時期)
有効なワクチンや治療薬等が開発され普及するまでは当該リスクが顕在化する可能性は高いものと認識しております。
(リスクへの対応策)
当社グループの従業員及びその家族の健康に配慮し、マスク着用やアルコール消毒、手洗いうがいの徹底、毎日の体調報告、テレワークの実施やテレビ会議の活用等の感染防止策に取り組むことによって、事業への影響を最小限に抑えるよう日々努めております。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 経営成績の状況
当連結会計年度における我が国経済は、米中貿易問題や英国のEU離脱問題等を巡る世界経済の先行き不透明感に加え、新型コロナウイルスのパンデミックにより、生産活動の停滞、個人消費の失速、雇用環境の悪化など経済活動は大幅に落ち込み、厳しい状況が続きました。
このような経済環境の悪化により、当連結会計年度における当社グループの経営成績は、主たる事業分野である自動車関連の組込ソフトウェアが影響を受けた他、下半期においては新たな開発案件の計画縮小や中止、開始時期の延期などが発生しました。
しかし、当社が優位性を発揮するCASE(Connected, Autonomous, Shared & Services, Electric)は、自動車技術変革のキーテクノロジーであり、各種開発の需要は高止まりの状況にあります。そのため、自動運転/先進安全シミュレータ開発や組込セキュリティサービス等の先進・高付加価値な事業分野は好調に推移しておりましたが、他の分野における減収分を吸収しきれず、売上高は前年同期比減収となりました。
一方で、営業利益及び経常利益においては、外注施策の厳格化、不採算案件の発生を防止する体制の強化などによる売上総利益率の改善の他、コロナ禍による研究開発活動の時期調整・出張や採用活動の抑制、前連結会計年度に実施した保険解約による保険料の減少などが寄与し、前年同期比増益となりました。
また、親会社株主に帰属する当期純利益においては、前期発生した特別利益(一部取締役から役員退職慰労金の辞退を受けたことによる役員退職慰労金戻入額)がなく前年同期比減益となりました。
この結果、当連結会計年度の業績は、売上高2,222,802千円(前年同期比3.4%減)、営業利益336,760千円(前年同期比33.7%増)、経常利益331,091千円(前年同期比8.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益221,977千円(前年同期比3.8%減)となりました。
セグメント別の経営成績は、次のとおりであります。
a.組込システム事業
当セグメントにおいては、自動車・産業製品向けの制御ソフトウェア、リアルタイムオペレーティングシステムなどのソフトウェアプラットフォーム提供、組込セキュリティなどの受託を行っております。経営成績の状況としましては、前述した経済環境の悪化により、自動車関連の組込ソフトウェアが影響を受けた他、下半期においては新たな開発案件の計画縮小や中止、開始時期の延期などが発生したため、売上高は前年同期比減となりましたが、前期上半期において抱えていた不採算案件が解消されたことや外注施策の厳格化、コロナ禍による研究や出張の抑制などによりセグメント利益は改善されました。
この結果、売上高は1,227,953千円(前年同期比1.7%減)、セグメント利益(営業利益)は314,585千円(前年同期比33.1%増)となりました。
b.システムズエンジニアリング事業
当セグメントにおいては、自動車関連のシミュレーション及びモデルベース開発技術の提案・開発・提供とデジタルコンシューマ機器向けの基盤技術提供を行っております。経営成績の状況としましては、先進・高付加価値な事業分野が好調に推移したものの、期初における人事異動等により当セグメント内の一部のプロジェクトが組込システム事業に移管したため売上高は前年同期比減となりましたが、高付加価値案件の増加による利益率の改善が寄与し増益となりました。
この結果、売上高は748,078千円(前年同期比1.0%減)、セグメント利益(営業利益)は260,520千円(前年同期比7.6%増)となりました。
c.機能安全開発事業
当セグメントにおいては、近年の電子機器装置の安全性を担保するために必要なコンサルティング・安全性分析支援と安全性の高いソフトウェア開発を行うためのソフトウェア開発プロセス作成の支援を行っております。経営成績の状況としましては、当セグメントの事業が市場経済の悪化の影響を先行的に受けやすいことに伴い、受注に至るまでの期間の長期化や受注規模の縮小などの影響を受けたため、前年同期比で減収減益となりました。
この結果、売上高は169,428千円(前年同期比30.6%減)、セグメント利益(営業利益)は55,474千円(前年同期比46.8%減)となりました。
d.その他
当セグメントにおいては、株式会社アトリエ、株式会社ヴィッツ沖縄が含まれております。主に株式会社ヴィッツ沖縄における工作機械向け案件の受注増のため前年同期比で増収となりましたが、一方で、両子会社において、将来のグループ全体の収益性向上に向けて人材の育成・増強や業務体制の改善コストを増加させており減益となりました。
この結果、売上高は156,234千円(前年同期比13.7%増)、セグメント利益(営業利益)は22,280千円(前年同期比30.8%減)となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、1,594,855千円(前期比34,061千円減)となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの主な要因は次のとおりであります。
a.営業活動によるキャッシュ・フロー
営業活動の結果獲得した資金は220,571千円(前連結会計年度は244,570千円の獲得)となりました。この主な要因は、保険解約返戻金の計上12,395千円、売上債権の増加額48,560千円、仕入債務の減少額11,859千円、法人税等の支払額88,573千円等による資金の減少があったものの、税金等調整前当期純利益の計上324,687千円、減価償却費の計上18,111千円、退職給付に係る負債の増加額13,401千円、賞与引当金の増加額11,860千円、たな卸資産の減少額12,965千円等の資金の増加があったことによるものであります。
b.投資活動によるキャッシュ・フロー
投資活動の結果減少した資金は214,714千円(前連結会計年度は62,946千円の獲得)となりました。この主な要因は、保険積立金の解約による収入25,283千円等による資金の増加があったものの、定期預金の預入による支出200,000千円、有形固定資産の取得による支出14,631千円、保険積立金の積立による支出22,610千円等による資金の減少があったことによるものであります。
c.財務活動によるキャッシュ・フロー
財務活動の結果減少した資金は39,918千円(前連結会計年度は953,475千円の獲得)となりました。この主な要因は、長期借入金の返済による支出1,008千円、市場変更費用の支払額22,157千円、配当金の支払額16,189千円等による資金の減少があったことによるものであります。
③ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2019年9月1日 至 2020年8月31日) |
前年同期比(%) |
|
組込システム事業 (千円) |
879,832 |
92.1 |
|
システムズエンジニアリング事業 (千円) |
482,191 |
98.5 |
|
機能安全開発事業 (千円) |
78,283 |
72.2 |
|
報告セグメント計 (千円) |
1,440,307 |
92.7 |
|
その他 (千円) |
37,011 |
167.3 |
|
合計 (千円) |
1,477,318 |
93.8 |
(注)1.金額は製造原価によっております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
b.受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2019年9月1日 至 2020年8月31日) |
|||
|
受注高(千円) |
前年同期比(%) |
受注残高(千円) |
前年同期比(%) |
|
|
組込システム事業 (千円) |
1,165,630 |
102.6 |
88,473 |
58.7 |
|
システムズエンジニアリング事業 (千円) |
755,402 |
100.9 |
177,275 |
104.3 |
|
機能安全開発事業 (千円) |
165,241 |
66.7 |
22,995 |
84.6 |
|
報告セグメント計 (千円) |
2,086,274 |
97.8 |
288,744 |
83.0 |
|
その他 (千円) |
83,342 |
140.8 |
14,000 |
175.0 |
|
合計 (千円) |
2,169,617 |
99.0 |
302,744 |
85.1 |
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.金額は販売価格によっております。
3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
c.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2019年9月1日 至 2020年8月31日) |
前年同期比(%) |
|
組込システム事業 (千円) |
1,227,953 |
98.3 |
|
システムズエンジニアリング事業 (千円) |
748,078 |
99.0 |
|
機能安全開発事業 (千円) |
169,428 |
69.4 |
|
報告セグメント計 (千円) |
2,145,460 |
95.4 |
|
その他 (千円) |
77,342 |
151.0 |
|
合計 (千円) |
2,222,802 |
96.6 |
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
|
相手先 |
前連結会計年度 (自 2018年9月1日 至 2019年8月31日) |
当連結会計年度 (自 2019年9月1日 至 2020年8月31日) |
||
|
金額(千円) |
割合(%) |
金額(千円) |
割合(%) |
|
|
トヨタ自動車㈱ |
291,737 |
12.7 |
424,350 |
19.1 |
|
アイシン精機㈱ |
369,784 |
16.1 |
280,563 |
12.6 |
3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 財政状態
a.資産
当連結会計年度末における資産合計は、2,439,164千円(前連結会計年度末比9.2%増)となり、流動資産合計2,161,599千円(前連結会計年度末比9.7%増)、固定資産合計277,565千円(前連結会計年度末比5.8%増)となりました。
流動資産の主な内訳は、現金及び預金1,794,855千円(前連結会計年度末比10.2%増)、受取手形及び売掛金197,135千円(前連結会計年度末比32.7%増)、仕掛品133,832千円(前連結会計年度末比8.8%減)であります。
固定資産の主な内訳は、有形固定資産29,803千円(前連結会計年度末比26.6%増)、無形固定資産10,276千円(前連結会計年度末比26.4%減)、保険積立金121,924千円(前連結会計年度末比16.4%増)、繰延税金資産85,287千円(前連結会計年度末比8.2%増)であります。
b.負債
当連結会計年度末における負債合計は、545,697千円(前連結会計年度末比0.7%減)となり、流動負債合計325,619千円(前連結会計年度末比5.1%減)、固定負債合計220,077千円(前連結会計年度末比6.5%増)となりました。
流動負債の主な内訳は、買掛金50,554千円(前連結会計年度末比19.0%減)、未払法人税等68,901千円(前連結会計年度末比10.8%増)、未払消費税等48,342千円(前連結会計年度末比39.4%増)、賞与引当金102,079千円(前連結会計年度末比13.1%増)であります。
固定負債の主な内訳は、長期未払金91,495千円(前連結会計年度末比7.9%増)、退職給付に係る負債126,500千円(前連結会計年度末比11.8%増)であります。
c.純資産
当連結会計年度末における純資産合計は、1,893,467千円(前連結会計年度末比12.5%増)となりました。主な内訳は、資本金583,789千円(前連結会計年度末同額)、資本剰余金518,278千円(前連結会計年度末同額)、利益剰余金769,914千円(前連結会計年度末比36.5%増)であります。
② 経営成績
a.売上高、売上原価及び売上総利益
当連結会計年度の売上高は2,222,802千円(前年度同期比3.4%減)であり、前連結会計年度より77,790千円減少いたしました。主な要因としましては、、当社が優位性を発揮するCASE(Connected, Autonomous, Shared & Services, Electric)など先進・高付加価値な事業分野が好調に推移したものの、前述したパンデミック等に伴う経済環境の悪化により、自動車関連の組込ソフトウェアの減収、新たな開発案件の計画縮小や中止又は開始時期の延期などが発生したことによるものであります。
また、売上原価は1,477,066千円(前年同期比5.6%減)、売上総利益は、745,736千円(前年同期比1.3%増)となりました。これは、外注施策の厳格化、不採算案件の発生を防止する体制の強化などによる売上総利益率の改善の他、コロナ禍による出張抑制等が寄与したこと等によるものであります。
以上により、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な経営指標に掲げている売上総利益率は、前連結会計年度の32.0%に対して当連結会計年度は33.5%と1.5ポイント上昇しており、当社の経営戦略の1つである“収益性の向上”に向けた施策が奏功しているものと認識しております。
なお、当社が認識している経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載したとおりであります。
b.販売費及び一般管理費並びに営業利益
当連結会計年度の販売費及び一般管理費は408,975千円(前年同期比15.5%減)であり、前連結会計年度より74,972千円減少いたしました。主な要因としましては、コロナ禍による研究開発活動の時期調整・出張や採用活動の抑制、前連結会計年度に実施した保険解約による保険料の減少などが寄与したことによるものであります。この結果、営業利益は336,760千円(前年同期比33.7%増)となり、前年連結会計年度より84,844千円増加いたしました。
c.営業外損益及び経常利益
当連結会計年度の営業外収益は16,583千円であります。また、当連結会計年度の営業外費用は22,252千円であります。この結果、経常利益は331,091千円(前年同期比8.8%増)となり、前連結会計年度より26,642千円増加いたしました。主な要因としましては、営業利益が84,844千円増加した一方で、前期計上した営業外収益(役員退職用積立保険等の整理による保険解約返戻金)が発生しなかったことによるものであります。
d.親会社株主に帰属する当期純利益
当連結会計年度の特別利益にて固定資産売却益を127千円、特別損失にて投資有価証券評価損を6,530千円計上しております。また、法人税等を97,825千円、非支配株主に帰属する当期純利益を4,884千円計上しております。この結果、親会社株主に帰属する当期純利益は221,977千円(前年同期比3.8%減)となり、前連結会計年度より8,682千円減少いたしました。
主な要因としましては、経常利益が26,642千円増加した一方で、前期計上した特別利益(一部の取締役から役員退職慰労金の辞退を受けたことによる役員退職慰労金戻入額)が発生しなかったこと、また、当期において新たに特別損失(投資有価証券評価損)が発生したことによるものであります。
③ キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当連結会計年度における資金の増減額は34,061千円の減少(前年同期は1,260,992千円の増加)であり、前連結会計年度より1,295,054千円減少いたしました。主な要因としましては、定期預金の預入による支出の増加及び保険積立金の解約による収入の減少等により投資活動によるキャッシュ・フローが277,660千円減少したこと、株式の発行による収入の減少等により財務活動によるキャッシュ・フローが993,393千円減少したこと等によるものであります。
以上の結果、当連結会計年度末における資金の残高は1,594,855千円(前期比34,061千円減)となりましたが、当面事業を継続していく上で十分な流動性を確保しております。また、当社の経営戦略の1つである“次世代事業の創生”のための研究開発資金を十分に確保できているものと認識しております。
また、当社グループは、事業上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としており、営業活動によるキャッシュ・フローのほか、一部資金を銀行借入等により調達しております。
④ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表はわが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成しております。この連結財務諸表の作成には、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者はこれらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性が含まれているため、予測不能な前提条件や仮定の変化により経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針及び新型コロナウイルス感染症拡大の影響を踏まえた会計上の見積りについては、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)及び(追加情報)」に記載しておりますが、特に次の事項における会計上の見積りの判断が経営成績及び財政状態に重要な影響を及ぼすと考えております。
(繰延税金資産)
当社グループは、過去及び当期の課税所得の発生状況と、合理的に見積りをした将来の課税所得をもって回収可能性があると判断した将来減算一時差異等について、繰延税金資産を計上しております。
見積りの前提とした将来の仮定に変動が生じ課税所得が減少した場合、繰延税金資産の減額が必要となる可能性があります。
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契約会社名 |
相手方の名称 |
契約書名 |
契約内容 |
契約期間 |
|
㈱ヴィッツ |
トヨタ自動車㈱ |
業務委託取引基本契約書 |
業務委託取引の基本契約 |
2003年4月1日から 2004年3月31日まで 以後1年ごとの自動更新 |
当社グループは、組込ソフトウェアに係る産業分野横断型共通課題を解決するための研究活動を実施しております。
近年、IoT/CPSなどと呼ばれるデジタル情報社会において、人々の生活を支える機器(IoTデバイス)が情報収集ばかりでなく、便利な支援装置・ロボットなどとして活用されております。
これらの製品における組込ソフトウェアの重要性は増しており、急速な技術の進歩に伴い、自律化・ネットワーク接続などに関連した課題が大きな問題となりつつあります。当社はこれらの課題解決に向けた研究開発を実施しております。
また、気候変動等により多発・大規模化する自然災害の発生や新型コロナウィルス感染拡大防止の対策など、従来の方式では対応できない課題が浮き彫りとなり、人々の生活様式、事業環境、生産現場である工場等において、新しい生活、新しい普通 (New Normal) へ対応することが必要となりました。当社は特に工場の高度化をこれまでと異なるアプローチで支援したいと考えております。そこで DX や DXの考えを取り入れたデジタルツインを新たな研究項目と位置付けて、New Normal に対応できる技術獲得に努めてまいります。
さらに、高齢化が進む我が国で、高齢者の移動と地域公共交通の維持は重要な課題であります。当社は北海道北広島市と連携し地域に密着した地域課題の解決のための実証実験を実施しており、今後、MaaS事業を当社の新たなサービスに加えていきたいと考えております。
当連結会計年度の研究活動は以下の項目を重点項目として研究開発を実施しております。
当連結会計年度における研究開発費の総額(当社グループ研究費用と公的資金の合算)は、
(1)地域密着型Town MaaS
地方都市の高齢化率は高く、高齢者の移動支援は地方自治体の重要な住民サービスであります。しかし、地方都市の公共交通は交通料金だけでは維持管理が難しく、多くの公金を投入して維持しているのが現状です。
一方、MaaS (Mobility as a Service ) として、デマンド型移動支援 (乗車したい場所まで迎えがくるなど、要求に応じる形式での移動サービス) などとして、多くの地域で高齢者移動の新しいサービスとして実証実験が行われております。しかし、これらのサービスは今まで以上にサービス維持費用がかかり、現在の状況では採算がとれず、継続性に課題があります。
当社グループは、デマンド型移動支援とエンターテイメントを掛け合わせ、充実した移動時間・情報提供サービスにより、利用者からの課金を公共交通の維持費用に還元する利益循環型 地域密着 Town MaaS の研究事業を北海道北広島市と連携し実施しております。採算性・継続性のある地域移動サービスを実現し、他地域へも展開していきたいと考えております。
(2)DX および デジタルツイン
製造現場のデジタル化が進み新しいサービスが次々に提案されております。また、IoT機器の導入やサービスの活用により新しい価値を提供するデジタルトランスフォーメーション(DX)も加速的に進んでおります。当社グループは、製造現場にデジタルツインを導入し、安全化と効率化を両立した次世代工場の実現を支援する「SF Twin」の研究開発を推進しております。
「SF Twin」は当社の中核技術であるIoT技術、シミュレーション技術および機能安全技術を活用し、工場の稼働を連携させるソリューションであります。10秒先の危険を予測することで、工場の生産効率を落とすことなく稼働し続けるという、新しい価値を提供いたします。
あわせて、自動運転システムを評価する仮想環境である「WARXSS」、交通リスクを予測する「リスクポテンシャルシンセサイザ―」を高度化する研究開発を引き続き推進いたします。
(3)人工知能の安全活用技術
自動運転技術・自律ロボットなどの技術進化には、人工知能の利活用が必要不可欠です。しかし、人工知能の高度化は世界各国の研究者により進められておりますが、人工知能の安全活用研究に関する論文発表は少なく、活発に研究が実施されている状況ではありません。
そもそも、人工知能は判断結果を導き出す方法が明確でなく、一般的なソフトウェアなどに求められる安全分析は実施できません(安全分析はソフトウェアの構造が明確であり、明確な構造を順次破壊した場合の挙動を分析します。人工知能は内部構造が不明な巨大なブラックボックスであるため、従来型の内部構造が明確であることを前提としている安全分析では解析できません)。
そのため従来型の分析手法を利用した方法での人工知能の安全立証は困難であります。
本研究では、従来分析とは異なる方法(期待する動作を前提とする分析モデルなど)で人工知能の判断結果を評価できる研究を実施しております。
(4)組込セキュリティ
CASEやMaaSと言った時代となり自動車などの組込システムもインターネットに接続されるようになり、セキュリティ対策も必須となってきました。当社グループは組込セキュリティの重要性を認識し、2013年より組込セキュリティに関する研究を実施し、ISO/SAE21434、WP29(自動車基準調和世界フォーラム)に対応する為のコンサル、プロセス構築、脅威分析/脆弱性分析等の技術支援、SIRTの支援等の事業化をしておりますが、セキュリティに対しては常に新しい攻撃が生み出されるため、継続的に研究活動を実施しております。
(5)自動運転技術
当社グループは積雪路面での自動運転研究を行ってきました。これまでの研究成果を活用して特殊環境での環境認識技術や特殊環境でのリスク予測や検知に関する研究を継続実施いたします。
(6)基盤ソフトウェア
組込システムが利用する基本ソフトウェア(RTOS)の研究を継続して実施しております。組込装置は常に進化しており、その進化に合わせて新たな機能が求められます。今後は、自律化システムに必要な機能への対応を進めてまいります。