当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(経営方針)
当社グループは、「日本を代表するプロデュースカンパニー」となることを目標に掲げ、MX事業及びEX事業を展開しております。
MX事業では、顧客の企業としてのブランド価値や商品・サービスのブランド価値を高めるべく、ワンストップでソリューションを提供し、既成概念を打ち破るクリエイティブとビジネスソリューション、さらには、それらを実現するテクノロジーを駆使したアイデアを実装することを通じて、クライアントに貢献してまいります。
EX事業では、エンターテインメント業界をアップデートするべく、アーティストのマネジメント及びプロデュース、マーチャンダイジング及びコンサートやイベントの企画・制作・運営、ファンクラブ運営、さらには、デジタルコンテンツの企画・制作・販売・配信を推進し、当社グループのクリエイティブやデジタル・テクノロジーを駆使した新しいエンタメの形を創出することで、ファンに貢献してまいります。
(経営戦略等)
当社グループは、MX事業及びEX事業の2事業体制となっており、事業ごとに利益管理を行っておりますが、個々のプロジェクトは単発のものも多く、年度ごとの業績は比較的大きく変動します。事業ごとに利益率の差はありますが、次の経営方針を定めております。
MX事業は、既存のマーケティング支援領域に加え、DX、Web3といったデジタルマーケティング支援領域を拡張します。また、アーティスト/イベントと連携した当社グループならではのタイアップ企画等、エンタメを組み込んだ提案力の強化でクライアントを獲得してまいります。
EX事業は、ライブ収入、グッズ販売収入、ファンクラブ収入等の収入の創出と利益率の向上に努めます。また、デジタルマーケティングの知見を活かして、当社グループと契約するアーティストのファンの拡大、国内外を問わず新たなアーティストの獲得、さらには、他のエンタメ企業とのアライアンス推進による新規事業を創出します。
MX事業及びEX事業は事業間のシナジーも生みやすく、当社グループとしてさらなる成長を目指します。
(経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等)
当社グループは、安定的な事業成長を通じて企業価値を向上することが重要であると考え、「(売上高-外注費)/売上高」で算定される利益率を、経営の重点指標としております。事業拡大により売上高のさらなる成長を図ると同時に、案件利益率の向上やクリエイターの稼働管理の徹底、ツアーやイベントの収益性を改善することにより、指標の向上を図ってまいります。
(経営環境)
当社グループを取り巻く経営環境は、IT等を中心とした技術革新を背景にしたスマートフォンや動画メディアの普及により変化しており、テレビ・新聞・雑誌・ラジオ等の既存広告媒体への広告出稿が伸び悩みを見せております。一方で、2023年の日本の総広告費は約7.3兆円であり、そのうちインターネット広告は約3.3兆円と日本の総広告費の約46%を占めており、さらなる拡大が予想されます(出所:株式会社電通)。5Gの商用化により通信速度が向上することで情報量が急激に増加し、さらに顧客ニーズが多様化している中で、消費者から選ばれる商品・サービスとなるためには、既存広告媒体を中心とした広告手法にとらわれないマーケティング活動を行い、商品やサービスのブランド価値を高めていく必要があります。
2023年のライブ市場規模は5,140億円であり、前年との比較では129.0%と増加し、コロナ禍前である2019年との比較では140.2%となりました。また、2023年の動員数は5,632万人であり、前年との比較では116.6%と増加し、コロナ禍前である2019年との比較では113.7%となっております(出所:一般社団法人コンサートプロモーターズ協会)。
(優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題)
生活者の情報接点は、IT等を中心とした技術革新を背景にしたスマートフォンや動画メディアの普及により変化しております。テレビ・新聞・雑誌・ラジオ等の既存広告出稿が伸び悩みを見せる中、情報量が急激に増加したことにより顧客ニーズが多様化しております。
このような環境の中、継続的な成長と中長期的な企業価値向上を目指し、次の課題に対処してまいります。
(1)優秀な人材の育成及び確保と事業領域の拡大
当社グループは、これまで適任な人材を採用し、サービスラインナップを増やすことで事業領域を拡大してまいりました。サービスラインナップを充実させることで、多様な顧客ニーズに対応した最適な提案が可能になり、顧客から高い評価が得られると考えております。しかしながら、顧客が顧客自身や商品・サービスの認知・販売促進のために求めるサービスは、当社グループのサービスラインナップの枠を越えた領域にも及んでおり、当社グループがさらに顧客ニーズに合ったサービス提案を行うためには、より一層サービスラインナップを充実させ、事業領域を拡大することが必要であると認識しております。
当社グループが提供するサービスの品質は、サービスを提供する人材に依存する部分があるため、当社グループのサービス力の源泉は、発想豊かな優秀な人材により支えられていると認識しております。優秀な人材にとって魅力のあるプロジェクトの提供を続けることで人材流出の防止を図るとともに、新卒・中途採用を積極的に展開し、併せて既存従業員の育成に努めてまいります。
(2)アーティストの発掘・拡充
引き続き、日本に限らずグローバルに活躍するアーティストの発掘を行い、当社グループの主力事業領域であるクリエイティブやデジタル・テクノロジーを駆使することで、次世代アーティストがファンや企業との新たなコミュニケーションや関係性を構築し、スターになるためのプラットフォームの実現に努めてまいります。
(3)エンターテインメントコンテンツの開発
IT等を中心とした技術革新を背景にしたスマートフォンや動画メディアの普及による生活者の情報接点の変化や顧客ニーズの多様化、さらには、新型コロナウイルス感染症の流行に伴う生活様式の変化により、エンターテインメントの新たな楽しみ方の提案が求められております。このような環境の変化に対応したマーケティング機能の向上と、エンターテインメントコンテンツの開発に努めてまいります。
(4)コーポレート・ガバナンスの強化
当社グループは、今後もより一層の事業拡大を見込んでおり、人材や子会社等が増加することが想定され、事業の拡大、継続的な成長のためには、コーポレート・ガバナンスの一層の強化が重要な課題であると認識しております。当社グループの事業規模に応じた適切な体制の構築が必要となり、経営の透明性、効率性及び健全性を確保するとともに経営責任を明確にすることが重要と認識しております。今後においては、内部管理体制のさらなる強化を図るとともに、より一層のコーポレート・ガバナンスの強化に努めてまいります。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組みは、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)ガバナンス
当社グループは、持続的な成長及び企業価値向上のため、効率性の優れた透明性の高い経営に努め、監査等委員会の監督のもと、法令遵守の徹底、適切な資源配分及び意思決定の迅速化等を図っていくことで、中長期的な企業価値の向上を目指しております。経営環境の変化に迅速に対応できる組織体制及び株主重視の公正で透明性のある経営システムを構築し、維持していくことが重要であると考えております。
また、急速に変化し続ける経営環境に即応するため、外部環境の変化によるリスク及び機会を把握し、取締役会で対応策について協議しております。社会・環境の変化に伴うサステナビリティに関する取組みについても、今後取締役会で取組内容を共有し、活動の推進を行ってまいります。
(2)戦略
当社グループは、持続可能な社会への貢献及び自らの発展を実現させるため、人材を優先すべき資本の一つと位置付け、年齢、学歴、性別及び国籍等にとらわれず、各個人の能力に基づく採用を進めております。また、多様な人材が活躍できるように、働きやすい環境づくり及び人事制度の構築に継続的に取り組んでおります。当社グループでは以下の施策を講じておりますが、今後さらに多様性の確保に向けた社内環境整備を行ってまいります。
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働きやすい環境づくり |
人材育成・福利厚生 |
健康管理・促進 |
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・柔軟な働き方の提供 (テレワークやフレックス制度等) |
・新入社員研修の実施 |
・健康診断の実施 |
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・男性の育児休業取得の推進 |
・リスキリング等、自分磨きに対する手当の支給 |
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・有給休暇取得の推進 |
・コミュニケーション促進を目的としたランチ代に対する手当の支給 |
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・社内通報窓口の設置 |
・上記以外の多様な福利厚生 |
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(3)リスク管理
当社グループは、「リスク管理規程」等に基づき、取締役会やその他の社内会議等を通じてリスクの識別・評価・管理を行うためのプロセスを整備し、リスクの未然防止及び損失の最小化に努めております。また、必要に応じて弁護士、公認会計士、弁理士、税理士及び社会保険労務士等の外部専門家からアドバイスを受けられる体制を構築するとともに、内部監査及び監査等委員会監査を通じて、潜在的なリスクの早期発見に努めております。そのほか、サステナビリティ関連のリスクも把握し、取締役会において方針の立案及び施策の進捗状況管理を行っていく方針であります。
(4)指標及び目標
当社グループは、業務の質を高め、会社組織を強くするため、年齢、学歴、性別及び国籍等を区別することなく、従業員が自ら業務の進め方を適宜見直すことを推奨しており、それにより従業員一人ひとりの成長を促すことで、意欲と能力のある従業員が平等に活躍でき、管理職に登用される機会が得られるような働きやすい環境づくり及び人事制度の構築に努めております。最大限の能力を発揮できるように意欲と能力のある従業員を育成し、適切な人材を管理職として登用していく方針でありますが、現状、人材の多様性の確保を含む人材の育成方針や社内環境の整備方針に関する具体的な指標及び目標については定めておりません。
また、優秀な従業員が安定的に働けるように有給休暇取得率及び男性の育児休業取得率の向上を目指し、働きやすい環境づくりの構築等に努めております。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。また、必ずしもそのようなリスク要因に該当しない事項についても、投資家の投資判断上、重要であると考えられる事項については、投資家に対する積極的な情報開示の観点から以下に開示しております。当社グループは、これらのリスク発生の可能性を十分に認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針ではありますが、当社株式に関する投資判断は、有価証券報告書の記載事項を慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)景気の変動
企業の広告宣伝・広報関連予算は企業の景況に応じて調整されやすく、景気動向に影響を受けやすい傾向にあります。当社グループの売上高は、当該予算に依拠する傾向が強いことから、今後景況感が悪化した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当該リスクへの対応策として、短期的な不況に耐えうる財務体質の強化を目指しております。
(2)災害・事故等に関わるリスク
企業の広告宣伝・広報関連予算は、自然災害、電力その他の社会的インフラの障害、通信・放送の障害、流通の混乱、大規模な事故、伝染病、戦争、テロ、政情不安、社会不安等が発生した場合、その影響を受けやすい傾向にあります。そのため、これらの災害・事故等が発生した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。また、予期せぬ事態や複合的災害、感染症等が発生した場合も、当社グループの事業展開及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
当該リスクへの対応策として、当社グループは、情報収集体制を整え、従業員に対するテレワークの導入、原則出張の禁止、従業員の安全と健康を最優先した対応を徹底することにより、リスクの最小化を図っております。
(3)特定の取引先への依存
当社グループは成長過程にあり、大型案件の受注や取引規模の拡大に至った際等、特定の取引先への依存度が高い状態になる傾向があります。そのため、大型取引先の方針の変更によっては、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当該リスクへの対応策として、当社グループは、特定の取引先からの受注や失注が業績に大きな影響を及ぼすことのないよう、さらなる新規顧客を獲得する努力をしております。
(4)大規模コンサートの開催による業績の変動
大規模なコンサートを開催した場合、その期間の売上高が急増します。想定通りに開催できた場合は、売上高が急増しますが、予測が困難なビジネスのため、計画的な投資回収ができなかった場合は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。また、コンサートが中止された場合も、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当該リスクへの対応策として、ファンの皆様に満足いただけるアーティストの出演やコンサートの運営により、影響の軽減に努めております。
(5)業績の変動要因
当社グループは、顧客ニーズに応じて価格や利益率の異なる複数のサービスを組み合わせて提案しており、受注する案件ごとに提供するサービスや収益性が異なります。そのため、実際の受注案件の内容によっては、当社グループの売上高や売上総利益率が想定した水準から乖離する可能性があります。
また、顧客のニーズによっては、収益性の低いサービスの提供を余儀なくされる場合があります。そうしたケースが多く発生した場合、想定した売上高から十分な売上総利益を確保できず、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当該リスクへの対応策として、当社グループは、利益の確保を重視した営業活動を展開しており、目標の売上総利益を確保できるよう案件の組成に努めております。
(6)広告業界における取引慣行
当社グループでは、一定期間にわたって取引先の営業活動を支援するリテナー取引においては、業務受託時に契約文書を締結しております。一方、スポット業務の受注等においては、業界慣習上、引合いから活動開始に至るまでの時間が極めて短期間で進行する場合があり、契約文書を締結しないまま業務を遂行する案件もあります。そのため、取引先との認識の食い違い等により当社グループの業務に対し取引先との取引が成立しない事態が発生した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当該リスクへの対応策として、当社グループは、契約文書を締結しない場合においても、注文書や受注に関するメールログ等の受注記録を必ず保存することにより取引先との間で受注内容の齟齬を生じさせない対応を徹底しております。
(7)人材の確保
当社グループは、サービス領域の拡大により多様な顧客ニーズに対応した最適な提案が可能になり、顧客からの高い評価を得られております。顧客への迅速な対応と顧客にとってのコストメリットを得られるため、サービス領域を内製化する方針であることから、人材が最も重要な経営資源であると認識しております。そのため、当社グループが今後も事業を拡大し、成長を続けていくためには、優秀な人材のさらなる確保や定着が重要課題となります。しかしながら、人材マーケットの環境変化等により、優秀な人員の適時確保が困難になった場合や、人材が流出してしまう場合、当社グループの事業展開及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
当該リスクへの対応策として、当社グループでは、新卒採用・中途採用を積極的に実施するとともに、社内教育に注力することで、優秀な人材の確保や定着に努めております。
(8)内部管理体制の構築
当社グループは成長過程にあり、業容拡大や新規事業展開に比して施策が順調に推移しない場合、不祥事や不測の事態の発生等により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当該リスクへの対応策として、業容拡大に伴う従業員の増加や新規事業展開に伴うリスク管理強化のため、コーポレート・ガバナンス及び内部管理体制の強化に努めております。
(9)知的財産権
当社グループは社歴が浅く、万が一、当社グループが事業推進において第三者の知的財産権を侵害した場合、当該第三者から損害賠償請求や使用差止請求等の訴訟を提起される可能性があり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当該リスクへの対応策として、社内教育の実施や顧問弁護士等による調査・チェックを実施し、第三者の知的財産権を侵害しない体制を構築しております。
(10)情報管理
当社グループは、事業を推進していく中で、顧客の機密情報や個人情報を扱う機会があり、不測の事態によりこれらの情報が流出した場合、社会的信用やブランドイメージの低下、発生した損害に対する賠償金の支払い等により、当社グループの財政状態や業績に影響を与える可能性があります。
当該リスクへの対応策として、情報管理について必要な措置を講じており、その一環として2015年11月にプライバシーマークを取得しております。
(11)新規事業展開
当社グループは現在までの事業活動を通して培ったノウハウを生かし、さらなる成長を目指して事業コンセプトそのものの検討から行う事業開発事業やアジアを中心としたインバウンド・アウトバウンドに関するブランディングサービスを中心とした海外事業等の関連・周辺事業への積極展開を推進していく予定であります。しかしながら、当該事業を取り巻く環境の変化等により、当初の計画通りの成果が得られない場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当該リスクへの対応策として、新規事業展開に当たっては慎重な検討を重ねた上で取り組んでまいります。
(12)新株予約権の付与
当社は、当社グループの役職員に対して新株予約権(ストック・オプション)を付与しており、将来的にも役職員のさらなるモチベーションの向上及び優秀な人材の確保のため、同様のインセンティブプランを実行することを検討しております。また、資金調達を目的として新株予約権を発行しております。そのため、既に付与されている新株予約権及び将来的に付与される新株予約権の行使がなされた場合、当社の1株当たりの株式価値が希薄化する可能性があります。2024年6月30日現在これらの新株予約権による潜在株式数は1,904,100株であり、発行済株式総数6,522,300株の29.2%に相当しております。
(13)継続企業の前提に関する重要事象等
当社グループは、当連結会計年度において、業績の大幅な悪化等により、営業損失1,840,223千円、経常損失2,021,554千円、親会社株主に帰属する当期純損失3,028,783千円及び営業キャッシュ・フローのマイナスを計上した結果、1,446,953千円の債務超過となり、当面の資金繰りにも懸念が生じていることから、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在しております。
なお、詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(継続企業の前提に関する事項)」に記載のとおりであります。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用関連会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
なお、MX事業は、顧客ニーズに応じて複数のサービスを組み合わせて提供をしており、サービスごとに売上高や売上総利益率は大きく異なっているため、売上総利益の確保を重視しております。例えば、テレビCM枠の購入やタレントのキャスティング等の外注を要するテレビCM案件は、売上高は大きいものの、利益率が比較的低くなる傾向にあります。
また、EX事業は、アーティストのマネジメント及びプロデュース、マーチャンダイジング及びコンサートやイベントの企画・制作・運営、ファンクラブ運営、さらには、デジタルコンテンツの企画・制作・販売・配信等のサービスを提供しており、同様にサービスごとに売上高や売上総利益率は大きく異なっているため、売上総利益の確保を重視しております。
以上より、当社グループは、売上総利益の確保のために、MX事業においては、案件利益率の向上やクリエイターの稼働管理の徹底、EX事業においては、マーチャンダイジング及びツアーやイベントの利益率改善を推進しております。
① 経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、ウクライナ情勢の長期化及び急速に進む円安に加え、年始の能登半島地震等により、依然として景気の先行きが不安定な状況が続きましたが、インバウンド需要の順調な回復傾向から、人の動きによって社会経済活動が正常化に向かっていくことが期待され、消費増加に伴うマーケティング活動や国内外におけるライブの活性化が見込まれております。
このような状況下において、マーケティング・トランスフォーメーション事業(以下、「MX事業」という。)では、前連結会計年度から継続して、案件獲得能力の組織的強化、各案件の収益性向上及び従業員の生産性向上に取り組みました。従業員数を抑えつつ、社外パートナーと協力体制を構築することにより、サービスを提供しております。
エンターテインメント・トランスフォーメーション事業(以下、「EX事業」という。)では、昨年から続く「7ORDER LIVE [ONE,]- DUAL Endroll」を2024年1月1日開催の東京国際フォーラムホール公演にて無事に終了しました。また、日本発・韓国を中心としたアジアで世界を眺望し飛躍するアーティストが一堂に会する「K-Pop Masterz×KROSSvol.3」を2024年1月2日にバンテリンドームナゴヤで開催しました。
また、ライブの開催に留まらず、2023年10月12日から当社グループが制作協力した韓国のエンターテインメント情報が満載の番組「K-POP HOUSE」の放映を開始し、好評を博したことで、当初の2クール(6ヶ月)の放映予定からさらに2クール放映延長となりました。当番組内でデビューまでを追った当社独自IPである「Celest1a(セレスティア)」は、2024年2月14日のメンバーの発表を皮切りに、ファンとのイベントを開催したり、大型音楽イベントへ出演したりと、順調に活動を展開しております。理想的なMX事業及びEX事業のシナジーの一環として、「Celest1a(セレスティア)」が、MX事業が受託する複数の大手メーカーの商品プロモーションへ起用されたことにより、当社グループならではの事業展開が形成されてきております。
さらに、新規事業として、2024年3月より「Birdman Digital Entertainment」プロジェクトが始動し、当社独自IPの輩出に向けて新人発掘オーディションを行っております。我が国においても、知的財産立国の戦略に沿ったコンテンツ産業の推進が国策として進められていることもあり、IP・知的財産が次のリーディング産業として注目され、その作り手が強く求められており、大きな需要が見込めると考えております。
以上のとおり、単に短期の利益追求だけではなく、長期的な利益追求も考慮した新たな取り組みをしております。また、EX事業の次なる戦略として、「Celest1a(セレスティア)」を育成しております。
当連結会計年度は、MX事業で大型案件の受注や新規案件の獲得が減少したことに加え、EX事業でイベント開催によるチケット収入が減少したこと、初期費用や品質を維持するための費用が増加したこと、資本増強に関する一時的な費用負担が発生したこと、収益性の低下により投資額の回収が見込めなくなったため減損損失493,421千円及びイベントの中止により債権の回収が不能となったため貸倒損失535,597千円を計上したことに伴い、当社グループの売上高は2,085,456千円(前連結会計年度比53.5%減)、営業損失は1,840,223千円(前連結会計年度は営業利益56,006千円)、経常損失は2,021,554千円(前連結会計年度は経常利益42,997千円)、親会社株主に帰属する当期純損失は3,028,783千円(前連結会計年度は親会社株主に帰属する当期純損失7,863千円)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
a.MX事業
MX事業では、顧客の企業としてのブランド価値や商品・サービスのブランド価値を高めるべく、一般消費者へのイメージアップや認知度・購買意欲の向上等を図るためのソリューションを提供しております。そのため、顧客の顕在化したニーズだけではなく潜在的なニーズも引き出し、各ニーズに合うような様々なサービスを組み合わせた提案を行い、元請から下請に至る多段階構造ではなくワンストップでソリューションを提供し、既成概念を打ち破るクリエイティブとビジネスソリューション、それらを実現するテクノロジーを駆使したアイデアを実装していきます。MX事業では、コンサルティング会社・広告会社・PR会社等縦割りで進めていたビジネスを内製化により一気通貫することで、迅速な対応及び顧客へコストメリットを創出することができ、企業や社会の挑戦に伴走します。
なお、売上高は1,199,106千円(前連結会計年度比32.9%減)、セグメント利益は98,234千円(前連結会計年度比54.0%減)となりました。
b.EX事業
EX事業とは、エンターテインメント・トランスフォーメーション事業の略語で、エンターテインメント業界をアップデートするべく、当社グループの主力事業領域であるクリエイティブやデジタル・テクノロジーを駆使し、新進気鋭のアーティストやクリエイターと連携しながら新しいエンタメの形を創出する事業であります。わが国においては、通信やデジタル・テクノロジーの発達で、リアル空間からデジタル空間をストレスなく、シームレスに行き来できるようになってきており、新しいエンターテインメントの形や次世代のエンターテイナーが次々と生まれようとしております。このような状況下において、当社グループが従来から有するブランディング・広告プロモーションやデジタル・テクノロジーの知見を駆使して、型にとらわれずジャンルレスに生きる次世代アーティスト・クリエイターがファンとの新たなコミュニケーションや関係を構築でき、スターになるためのプラットフォームを実現します。
なお、売上高は886,349千円(前連結会計年度比67.1%減)、セグメント損失は1,654,513千円(前連結会計年度はセグメント利益173,176千円)となりました。
② 財政状態の状況
(資産)
当連結会計年度末における資産合計は375,940千円となり、前連結会計年度末に比べ2,536,345千円の減少となりました。これは主に、現金及び預金が1,081,012千円、前渡金が398,209千円、立替金が252,806千円減少し、流動資産の貸倒引当金が380,079千円増加したことによるものであります。
(負債)
当連結会計年度末における負債合計は1,822,893千円となり、前連結会計年度末に比べ576,836千円の減少となりました。これは主に、短期借入金が308,994千円増加したものの、契約負債が494,126千円、長期借入金が331,548千円減少したことによるものであります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産合計は△1,446,953千円となり、前連結会計年度末に比べ1,959,508千円の減少となりました。これは主に、新株の発行等により資本金が520,749千円、資本剰余金が520,749千円増加したものの、親会社株主に帰属する当期純損失の計上により利益剰余金が3,028,783千円減少したことによるものであります。
③ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ1,081,012千円減少し、115,844千円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、2,122,786千円の支出(前連結会計年度は157,299千円の支出)となりました。これは主に、税金等調整前当期純損失3,026,704千円、貸倒引当金の増加額414,805千円、前渡金の減少額398,209千円、立替金の減少額252,806千円、契約負債の減少額494,126千円によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、51,404千円の収入(前連結会計年度は35,737千円の収入)となりました。これは主に、投資有価証券の売却による収入101,640千円、貸付けによる支出55,750千円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、990,369千円の収入(前連結会計年度は612,938千円の収入)となりました。これは主に、株式の発行による収入1,037,858千円によるものであります。
④ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
該当事項はありません。
b.受注実績
当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
受注高(千円) |
前年同期比(%) |
受注残高(千円) |
前年同期比(%) |
|
MX事業 |
890,504 |
61.4 |
190,724 |
38.2 |
|
EX事業 |
- |
- |
- |
- |
|
合計 |
890,504 |
61.4 |
190,724 |
38.2 |
(注)EX事業は、受注生産を行っていないため、受注実績は記載しておりません。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
販売高(千円) |
前年同期比(%) |
|
MX事業 |
1,199,106 |
67.1 |
|
EX事業 |
886,349 |
32.9 |
|
合計 |
2,085,456 |
46.5 |
(注)1.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
|
相手先 |
前連結会計年度 (自 2022年7月1日 至 2023年6月30日) |
当連結会計年度 (自 2023年7月1日 至 2024年6月30日) |
||
|
金額(千円) |
割合(%) |
金額(千円) |
割合(%) |
|
|
株式会社ローソンエンタテインメント |
1,063,288 |
23.7 |
481,724 |
23.1 |
|
株式会社ウエス |
717,451 |
16.0 |
- |
- |
2.当連結会計年度の株式会社ウエスに対する販売実績は、当該販売実績の総販売実績に対する割合が100分の10未満のため記載を省略しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、本項に記載した将来事象に関する予測・見通し等は、当連結会計年度末現在において判断したものであり、それらには不確実性が内在し将来の結果とは大きく異なる可能性があります。
① 当連結会計年度の財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.経営成績の分析
(売上高)
売上高は2,085,456千円となり、前連結会計年度に比べ2,399,027千円の減少(前連結会計年度比53.5%減)となりました。これは主に、MX事業で大型案件の受注や新規案件の獲得が減少したこと、EX事業でイベント開催によるチケット収入が減少したことに伴うものであります。
(売上原価、売上総損失)
売上原価は2,533,031千円となり、前連結会計年度に比べ1,230,686千円の減少(前連結会計年度比32.7%減)となりました。また、売上総損失は447,575千円(前連結会計年度は売上総利益720,765千円)となりました。これは主に、初期費用や品質を維持するための費用が増加したこと、イベント開催に伴い発生する会場費や演出等に要する費用が当初の想定よりも高額となったことに伴うものであります。
(販売費及び一般管理費、営業損失)
販売費及び一般管理費は1,392,648千円となり、前連結会計年度に比べ727,889千円の増加(前連結会計年度比109.5%増)となりました。その主な内訳は、貸倒引当金繰入額384,555千円、販売促進費248,616千円、業務委託費216,320千円であります。
この結果、営業損失は1,840,223千円(前連結会計年度は営業利益56,006千円)となりました。
(経常損失)
営業外収益は3,154千円となり、前連結会計年度に比べ495千円の増加(前連結会計年度比18.6%増)となりました。また、営業外費用は184,486千円となり、前連結会計年度に比べ168,817千円の増加(前連結会計年度は営業外費用15,668千円)となりました。これは主に、資本増強に関する一時的な費用負担が発生したことに伴うものであります。
この結果、経常損失は2,021,554千円(前連結会計年度は経常利益42,997千円)となりました。
(親会社株主に帰属する当期純損失)
親会社株主に帰属する当期純損失は3,028,783千円(前連結会計年度は親会社株主に帰属する当期純損失7,863千円)となりました。これは主に、収益性の低下により投資額の回収が見込めなくなったため減損損失493,421千円及びイベントの中止により債権の回収が不能となったため貸倒損失535,597千円を計上したことに伴うものであります。
b.財政状態の分析
「(1)経営成績等の状況の概要 ② 財政状態の状況」に記載のとおりであります。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況は、「(1)経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
当社グループの資金需要のうち主なものは、売上原価並びに販売費及び一般管理費等の営業費であります。売上原価の主な内容は、原価部門における外注費及び労務費であります。販売費及び一般管理費の主な内容は、販売促進費、業務委託費及び人件費であります。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。短期運転資金の調達は、役員借入及び金融機関からの短期借入を基本とし、長期運転資金の調達は、金融機関からの長期借入を基本としております。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものはありません。
(金銭消費貸借契約)
(1) 株式会社豊崎会計事務所との金銭消費貸借契約
① 資金の使途 運転資金
② 借入先 株式会社豊崎会計事務所
③ 借入金額 500,000千円
④ 利率 年12%(年365日の日割計算)
⑤ 借入実行日 2024年2月28日
⑥ 返済期日 2024年3月31日
⑦ 担保等の有無 無
(2) 当社代表取締役社長 伊達 晃洋(注)との2024年2月13日付の金銭消費貸借契約
① 資金の使途 番組制作費用
② 借入先 当社代表取締役社長 伊達 晃洋
③ 借入金額 299,994千円
④ 利率 無利息
ただし、本金銭消費貸借契約の締結に当たり行われた伊達晃洋氏による借入で発生した利息及び諸経費3,724千円は当社負担とする。
⑤ 借入実行日 2024年2月13日
⑥ 返済期日 2025年2月12日(予定)
⑦ 担保等の有無 無
(3) 当社代表取締役社長 伊達 晃洋(注)との2024年5月31日付の金銭消費貸借契約
① 資金の使途 運転資金
② 借入先 当社代表取締役社長 伊達 晃洋
③ 借入金額 102,000千円
④ 利率 無利息
⑤ 借入実行日 2024年5月31日
⑥ 返済期日 2025年5月31日(予定)
⑦ 担保等の有無 無
(4) 当社代表取締役社長 伊達 晃洋(注)との2024年6月27日付の金銭消費貸借契約
① 資金の使途 運転資金
② 借入先 当社代表取締役社長 伊達 晃洋
③ 借入金額 40,000千円
④ 利率 無利息
⑤ 借入実行日 2024年6月27日
⑥ 返済期日 2025年6月27日(予定)
⑦ 担保等の有無 無
(5) 当社代表取締役社長 伊達 晃洋(注)との2024年6月28日付の金銭消費貸借契約
① 資金の使途 運転資金
② 借入先 当社代表取締役社長 伊達 晃洋
③ 借入金額 20,000千円
④ 利率 無利息
⑤ 借入実行日 2024年6月28日
⑥ 返済期日 2025年6月28日(予定)
⑦ 担保等の有無 無
(注)伊達晃洋氏は、2024年9月26日開催の定時株主総会の終結の時をもって当社代表取締役社長を退任しております。
(借入金の返済条件の変更)
株式会社豊崎会計事務所との準金銭消費貸借契約
当社は、2024年4月11日開催の取締役会において、「(金銭消費貸借契約)(1)株式会社豊崎会計事務所との金銭消費貸借契約」に記載の株式会社豊崎会計事務所との金銭消費貸借契約について、資金の借入の返済期日の延長及び利率の変更のための契約(以下、「準金銭消費貸借契約」という。)を締結することを決議し、同日付で準金銭消費貸借契約を締結いたしました。
① 条件変更の目的 運転資金の確保のため
② 借入先 株式会社豊崎会計事務所
③ 条件変更の内容 利率を年12%(年365日の日割計算)から年6%(年365日の日割計算)に変更
※ 変更後の利率は2024年4月1日より遡及適用
返済期日を2024年3月31日から2024年6月30日に変更
④ 損益に及ぼす影響 当該条件変更が損益に及ぼす影響は軽微であります
(株式取得契約)
当社は、2024年5月22日開催の取締役会において、物販システム事業を営む株式会社ADOLOGIの株式を取得し、同社を持分法適用関連会社とすることを決議し、2024年6月14日付で株式取得契約を締結いたしました。なお、株式取得の実行日は、クロージング条件が充足されていないため、未定であります。
(グロースパートナーシップ契約の終了)
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契約会社名 |
相手方の名称 |
契約締結日 |
契約内容 |
契約期間 |
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株式会社Birdman(当社) |
7ORDER |
2021年9月14日 |
アーティスト活動に関するグロースパートナーシップ契約 |
2021年9月14日から1年間。ただし、書面により契約を終了する旨の通知がない場合は、契約終了日から1年間更新可能。 |
(注)2024年3月19日付で終了しております。
該当事項はありません。