第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において、当社が判断したものであり、その達成を保証するものではありません。

 

(1)経営方針

当社では、経営理念として「より良い働きを通じて 全従業員の物心両面の幸せを創造し 社会へ貢献する。」を掲げております。

また、「我々の果たすべき役目(MISSION)」として「お客さまの販促・マーケティング活動を支え、日本社会、地域社会の発展に貢献し続ける。」を、「実現させる将来の姿(VISION)」として「挑戦と創造の心を大切にし、企業の永続的発展と働きがいあふれる会社になる。」を、「組織の共通の価値観(VALUE)」として「1.誠実をきわめた信頼性 2.本質をきわめた独創性 でまわりの人々に感動を与え、幸せにする。」を掲げております。

この経営理念と企業理念のもと、インクジェットプリント事業を軸に、保有するノウハウを隣接分野で多角化し、「リアル領域」と「デジタル領域」を融合させたビジネスモデルを構築することにより、さらなる成長と企業価値の向上を目指します。

 

(2)経営戦略

当社はお客さまからの受注に基づき、業務用の大判インクジェットプリンターを使用し、プリント・加工・納品までを一貫して行うインクジェットプリント事業を主要な事業としております。主として、広告代理店、広告制作会社、印刷会社、デザイン会社等から発注される「販売促進用広告物の制作」、及びゲーム機メーカーが取り扱うプリントシール機の外装カーテン、並びにインテリアメーカーやインテリア専門商社が取り扱う内装壁紙や床材等の「生活資材・製品制作」を行っております。大阪、東京、横浜、名古屋、福岡に拠点を置き、得意先様からの様々な要望にお応えするため、プリンターや加工マシンの新規導入や更新による生産体制の拡大と顧客・販路の拡大をこれまで行ってまいりました。24時間生産体制にて、短納期の注文や緊急案件にも対応できることが当社の強みでもあります。「短納期」と「ワンストップサービス」をキーワードに、他社よりも質の高いサービス、付加価値の高いサービスを提供することが、当社の主たる経営戦略であり、以下の二つを成長方針として掲げております。

 

①基幹事業の拡大・強化

基幹事業であるインクジェットプリント事業を拡大・強化する。

 

②新規事業の積極的展開

インクジェットプリント事業を軸に、デジタルサイネージ事業とデジタルプロモーション事業(インターネット通販サポートから名称変更)を成長させる。

 

(3)経営上の目標達成状況を判断するための客観的な指標等

当社は、継続的な事業拡大及び、持続的な利益成長の観点から成長性や効率性の向上に取り組んでおり、「売上高」と「売上高成長率」及び「売上高経常利益率」を重要な経営指標として位置づけ、継続的な利益体質を構築することで売上高成長率10%を目標としております。

 

(4)経営環境

今後の見通しにつきましては、いまだ新型コロナウイルス感染症は収束に至っておらず、新たな変異株の発生が報じられる中、国内企業の販売促進活動は抑制的であり、イベント・展示会関係に対しても一定の制限が継続し、完全な回復には時間を要すことが考えられます。そうした中でも国内経済は回復基調にあり、当社の事業領域である販売促進用広告の分野においても状況が好転するものと考えております。

しかしながら、当社を取り巻く環境は、引き続き、他社との受注獲得競争が続き、それに伴う価格競争の激化などの影響を受け、経営環境は厳しさを増すものと考えます。こうした課題に向けて、当社は従来のインクジェットプリント事業を軸としつつ、2021年10月期より開始したデジタルサイネージ事業とインターネット通販サポート事業(2022年10月期よりデジタルプロモーション事業に名称変更)を成長させることにより、「リアル領域」と「デジタル領域」の融合を進めてまいります。

また、今後の当社のさらなる成長および企業価値の向上を実現させるには、M&A戦略が非常に重要と考えており、M&Aに関する各種調査を積極的に行い、具体的に計画を進めてまいります。

 

 

(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

このような経営方針の下、当社が優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題は、以下の項目と認識しております。

 

①内部管理体制の強化

当社事業の継続的な発展のためには、コーポレート・ガバナンス機能の強化は重要な問題であり、財務報告の信頼性を確保するため、内部統制システムの適切な運用が重要であると認識しております。コーポレート・ガバナンスに関しては、ステークホルダーに対して経営の適正性や健全性を確保しつつも、さらに効率化された組織体制の構築に向けて内部管理体制の強化に取り組んでまいります。

 

②コンプライアンス体制の強化

当社は、法令、定款及び社内規程等の遵守は勿論のこと、日々の業務を適正かつ確実に遂行しており、誠実な姿勢を企業行動の基本として、事故やトラブルを未然に防止する取り組みを強化してまいります。今後、さらなる事業拡大と企業価値の向上に向けて、引き続き日常業務における関連法令の遵守を徹底するとともに、定期的なコンプライアンス研修の開催、各種取引の健全性の確保、情報の共有化、再発防止策の策定などを行い、また、厳正な管理による社会の「公器」としての責任を重視した透明性のある管理体制の構築を図ってまいります。

 

③認知度の向上

当社が今後も成長を続けていく上では、当社の認知度を向上させていくことが必要不可欠であると考えております。展示会の出展や参加、SNSやWeb広告を活用した露出、自社サイトのリニューアル等の活動を積極的に実施していく方針です。

 

④営業力の強化

当社が、事業拡大を進めていくにあたっては営業体制の強化が欠かせません。社内の営業人員の育成を加速させつつ、有能な人員の採用を強化していきます。また、協業先(得意先・仕入先)とのビジネス提携も積極的に行い、販売チャネルの拡充及び、営業活動により、より多くの新規顧客の獲得と既存顧客を深耕していくことで事業規模の大幅な拡大を図ってまいります。

なお、当事業年度において、東京本社を移転し、東京事業部の営業部門とニコール事業部の営業部門を新東京本社に統合し、首都圏エリアにおける営業機能の強化を行いました。

 

⑤生産体制・技術力の強化

当社が、事業拡大を進めていくにあたっては生産体制の強化と技術力の向上が欠かせません。社内の制作人員の育成を加速させると同時に、高度かつ専門的な知識を有する職種に関しては、有能な専門職の採用を強化してまいります。また、「アナログからデジタル化」を積極的に進めていくため、最新鋭機器を調査し、加工の機械化・高速化を図ると同時に、ソフトウエアによるオートメーション化を加速させてまいります。

当事業年度において、首都圏エリアでの生産体制を横浜ファクトリー(ニコール事業部を増床のうえ改称)に集約いたしました。横浜に国内最大規模のインクジェットプリントによる生産体制を持つことにより、自由度が高くなり、従来よりもさらに高いサービスを提供することが実現できると考えております。

 

⑥人材の確保と育成

当社は創業以来、優秀な人材を継続的に確保し、人格形成を育成することが最も重要な他社との差別化と認識しております。そのために当社では、従業員のプロフェッショナル化としてインクジェットやデジタル分野に関する専門知識の習得を求めるだけでなく、すべての業務に携わる従業員に対し、自己研鑽を重ね、高い専門性を身に付けること、自律的に行動していくことを求めております。これにより、従業員個々の能力向上を図り、当社の人材レベルの向上、ひいてはサービスの向上、維持に繋げていきたいと考えております。その実現には、人材に対する投資が必要不可欠であると考え、毎年策定する人員計画に教育研修を盛り込み、継続して人材のレベルアップに取り組んでおります。また併せて、経営理念やコンプライアンスに基づいた業務運営体制の徹底のため、リスク認識などに対する全社員の意識向上にも努めてまいります。

 

2【事業等のリスク】

本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある主な事項には、以下のものがあります。

なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。

 

(1)特定取引先への依存度が高いことについて

当社の顧客構成において、取引先10社の売上が売上高の40%を占めております。当社では、特定取引先へ依存しない経営方針をとり売上高の取引先による偏りを低減させるよう努めております。今後も取引先との良好な関係を継続してまいりますが、当該顧客企業の経営方針に変更が生じた場合、販売状況に影響が生じ、当社の経営成績に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)競合について

当社の主要事業であるインクジェットプリント事業は、特殊な技術や特許が不要であり、比較的参入障壁が低い事業です。こうしたことから、多数の競合会社が存在し今後一層の競争激化が生じる可能性があります。当社においては、1985年10月から事業運営している経験とノウハウの蓄積を活かしながら競争力の維持向上に努めております。しかしながら、競合他社に対する優位性が確立できる保証はなく、競合の結果、当社の経営成績に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

(3)情報漏洩について

インクジェットプリント事業はデジタル化の進展等により情報システムの重要性が高まっており、当社ではセキュリティの充実及び守秘義務の徹底を図ってきました。個人情報保護に関しては、2010年にプライバシーマーク認証を取得し、適切な管理の徹底、内部監査によるチェック等を行い、厳格な管理体制の構築が行われております。しかしながら、不測の事態により、個人情報が外部に流出した場合には、当社に対する損害賠償の請求や信用力の失墜により、当社の経営成績に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

(4)人材の確保について

国内において少子高齢化による労働力人口の減少が進む中、あらゆる業界で就業者不足となっており、今後も人材不足が継続すると予測されております。当社の人事部門は、人材の確保に努めておりますが、しかしながら、人材の確保が充分に行えない場合、生産力の低下による納期遅延や品質低下が生じ、顧客からの信用低下などで当社の経営成績に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

(5)新型コロナウイルス感染症による影響その他の経済動向による影響について

当社の経営成績は、日本国内市場における広告宣伝活動の需要に大きく影響を受けます。国内経済の低迷が長期化した場合は、企業収益の減少に伴い、企業は広告宣伝活動を縮小する傾向にありますので、当社ではこれらの経済動向を注視し適時対策を講じております。新型コロナウイルス感染症の影響につきましては、今後国内経済の回復傾向は続くものの、当社の事業領域である販売促進用広告の分野においては新型コロナウイルス感染症の影響から完全に回復するには至らないものと仮定して業績予想の作成や会計上の見積りを行っておりますが、その影響が長期化あるいはさらに拡大する場合、国内企業の販売促進活動の停滞が続き、それにより当社の経営成績は変動する可能性があります。

 

(6)法令規制について

法令の遵守を基本として事業を進めておりますが、廃棄物処理責任、環境・個人情報保護関連、税制関連等において、さまざまな法的規制を受けております。当社といたしましては各主管部門と管理部門が連携し、関連諸法規の順守に万全の体制で臨んでおりますが、今後さらにその規制が強化されることも考えられます。そのような場合、事業活動に対する制約の拡大やコストの増加も予想され、当社の事業活動に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

(7)M&Aにおけるリスク

当社は、さらなる成長及び企業価値の向上を実現させるため、当社の事業内容と一致し、かつ成長が見込まれる会社とのM&Aを推進してまいります。M&Aの実施に当たっては、市場動向や顧客のニーズ、相手先企業の経営成績、財務状況、市場競争力等を十分に考慮しておりますが、事前の調査・検討に不足や見落としがあったり、買収した事業が計画通りに展開することができず、投下した資金の回収ができない場合や追加的費用が発生した場合等において、当社の経営成績や成長見通し及び事業展開等に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

(8)新株予約権の行使による株式価値の希薄化について

当社は長期的な企業価値向上のため、役員及び従業員に対しインセンティブとして新株予約権を付与しております。当事業年度末現在、新株予約権による潜在株式総数は68,600株であり、発行済株式総数2,300,000株の2.9%に相当します。これらの新株予約権の行使可能期間は2021年10月21日から2028年9月20日までであり、この期間内に行使された場合、当社株式が新たに発行され、既存の株主が有する株式の価値及び議決権割合が希薄化する可能性があります。

 

(9)材料費の上昇に係るリスク

当社が製造で使用するインクやインクジェット用紙は、気候変動や原油価格の高騰により価格が上昇することがあります。当社では、取引先材料メーカーを1社に限定せずに、複数社との取引を継続しており、材料価格の見直しを適宜行っております。しかしながら、これら原材料の価格上昇分を製品価格に十分に転嫁できない場合、あるいは材料転換による採算の改善が困難な場合、当社の経営成績及び財務状況に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

(10)自然災害等のリスク

当社は災害による生産体制への影響を最小化するため、大阪・横浜・名古屋・福岡に生産拠点を構え、その分散化によりリスクの低減を図っておりますが、災害による影響を完全に防止できる保証はありません。自然災害等により、設備や従業員に大きな被害を受け、その一部又は全部の操業が中断し、生産及び出荷が遅延する可能性があります。また、被害を被った設備等の修復のために多額の費用が発生し、結果として、当社の事業活動、経営成績及び財務状況に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次の通りであります。

 

①財政状態の状況

(流動資産)

 当事業年度末における流動資産の残高は、2,930,504千円(前事業年度末は2,778,008千円)となり、152,496千円増加いたしました。その主な要因といたしましては、営業活動によるキャッシュ・フローの収入が投資活動と財務活動によるキャッシュ・フローの支出を上回ったことにより現金及び預金が66,989千円、売上の増加により売上債権が90,897千円それぞれ増加したことによるものであります。

 

(固定資産)

 当事業年度末における固定資産の残高は、261,139千円(前事業年度末は247,304千円)となり、13,834千円増加いたしました。その主な要因といたしましては、東京本社の移転や旧ニコール事業部(現横浜ファクトリー)増床等により敷金が15,746千円増加したためであります。

 

(流動負債)

 当事業年度末における流動負債の残高は、309,917千円(前事業年度末は284,454千円)となり、25,462千円増加いたしました。その主な要因といたしましては、仕入の増加により買掛金が12,222千円、期末間際に市場変更を行ったことに伴い関連費用を未払計上したため未払金が18,572千円それぞれ増加したことによるものであります。

 

(固定負債)

 当事業年度末における固定負債の残高は、128,747千円(前事業年度末は126,883千円)となり、1,864千円増加いたしました。その主な要因といたしましては、繰入により役員退職慰労引当金が6,163千円増加したものの、返済によりリース債務が4,349千円減少したことによるものであります。

 

(純資産)

 当事業年度末における純資産の残高は、2,752,979千円(前事業年度末は2,613,975千円)となり、139,004千円増加いたしました。これは、剰余金の配当50,600千円の減少要因はあったものの、当期純利益189,604千円を計上したことによるものであります。

 

 

②経営成績の状況

当事業年度における我が国経済は、引き続き新型コロナウイルス感染症の影響が継続しており、一部の地域において緊急事態宣言の発出やまん延防止等重点措置が適用されました。ワクチン接種が進んでおり経済の回復が期待されますが、一方で、海外における感染拡大、半導体不足、原油価格の上昇といった問題もあり、いまだ先行きが不透明な状況が続いております。

このような状況の中、当社は引き続き従業員の安全を確保し、柔軟な時差出勤の実施、在宅勤務の一部実施等の各種感染防止策を実行した上で、お客様からの信頼にお応えするべく、営業体制・制作体制の両方の維持継続を図ってまいりました。

販売促進用広告制作については、第1四半期会計期間においては新型コロナウイルス感染症の影響による売上落ち込みが続きましたが、第2四半期に入ってからは回復基調となりました。また、生活資材・製品制作については、ホテルの壁紙の受注等により順調に売上を伸ばすことができました。

一方、「リアル領域」と「デジタル領域」を融合させたビジネスモデルへの挑戦として、当事業年度より新たにデジタルサイネージ事業、インターネット通販サポート事業を開始いたしました。デジタルサイネージについては、大阪本店と東京本社にショールームを開設し、第2四半期会計期間から販売を開始いたしました。さらに、3月には株式会社ピースリーと業務提携契約を締結し、インテリア市場に向けたデジタルサイネージの展開への道筋がつきました。今後の事業拡大に向けて引き続きお客様に積極的な提案を行ってまいります。インターネット通販サポートについては、第3四半期会計期間から営業を開始し、来期からの本格展開に向けて積極的な営業活動を行っております。

また、生産のオートメーション化を推進するためのソフトウエアを導入し、生産の効率化に向けて取り組みました。

8月には東京本社を移転し、東京事業部の営業部門とニコール事業部の営業部門を新東京本社に統合いたしました。また、東京事業部の生産部門とニコール事業部の生産部門を横浜ファクトリー(ニコール事業部を増床のうえ改称)に集約しました。これにより首都圏エリアにおける営業機能の強化と生産体制の効率化が実現し、今後の事業拡大と収益性向上を図ります。

さらに、10月29日付けで当社株式の上場市場が東京証券取引所マザーズ市場から東京証券取引所市場第二部へ市場変更されました。「リアル領域」と「デジタル領域」を融合させたビジネスモデルを構築することにより、さらなる成長と企業価値の向上を目指します。

以上の結果、売上高は2,549,241千円(前年同期比4.4%増加)となり、営業利益は、市場変更に関連する一時的な費用が発生したものの、コスト意識が定着し経費削減に努めたため、222,122千円(前年同期比6.9%増加)となりました。経常利益は、東京本社の移転に係る補償金41,250千円や新型コロナウイルス感染症対策関連の補助金を営業外収益に計上したことにより、271,291千円(前年同期比28.2%増加)となり、当期純利益は189,604千円(前年同期比35.0%増加)となりました。

売上高につきましては、第2四半期以降は回復基調となり、第3四半期まではほぼ想定通りに進捗しましたが、第4四半期については緊急事態宣言の延長等により当初想定していたほどの回復には至りませんでした。この結果、売上高、営業利益については期初想定を下回りましたが、経常利益、当期純利益については期初想定を上回る結果となりました。

なお、当社はインクジェットプリント事業を主要な事業としており、他の事業セグメントの重要性が乏しいため、セグメント別の経営成績の記載はしておりません。

 

 

③キャッシュ・フローの状況

 当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は、2,331,333千円となり、前事業年度末から66,989千円増加いたしました。

 当事業年度における各キャッシュ・フローの状況は、次の通りです。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動による資金の増加は196,422千円(前年同期比26.0%減少)となりました。これは主に、売上債権の増加額90,897千円の資金減少要因があったものの、税引前当期純利益268,827千円の資金増加要因があったことによるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動による資金の減少は70,328千円(前年同期は29,384千円の減少)となりました。これは主に、敷金の回収による収入が44,453千円あったものの、有形固定資産の取得による支出が55,050千円、敷金の差入による支出が51,784千円あったことによるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動による資金の減少は59,104千円(前年同期は126,152千円の減少)となりました。これは主に剰余金の配当によるものであります。

 

 

 

④生産、受注及び販売の実績

当社はインクジェットプリント事業を主要な事業としており、他の事業セグメントの重要性が乏しいため、セグメント情報に関連付けた記載はしておりません。

イ.生産実績

当社の事業は、提供する商品の性格上、生産実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。

 

ロ.受注実績

当社は受注生産を行っておりますが、受注から販売までの期間が短いため、記載を省略しております。

 

ハ.販売実績

区分

第36期事業年度

(自 2020年11月1日

  至 2021年10月31日)

金額(千円)

前年同期比(%)

販売促進用広告制作

2,043,627

1.7

生活資材・製品制作

505,613

17.1

合計

2,549,241

4.4

(注)1.金額は販売価額によっており、消費税等は含まれておりません。

2.当事業年度より、販売区分を一部見直し、従来販売促進用広告制作に区分していたアミューズメント施設等への売上を生活資材・製品制作に区分しております。なお、前年同期比については前事業年度を変更後の区分に組み替えて算出した数値を記載しております。また、デジタルサイネージ及びインターネット通販サポートについては売上が僅少であるため、販売促進用広告制作に含めております。

3.主な相手先の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次の通りであります。

相手先

第35期事業年度

(自 2019年11月1日

至 2020年10月31日)

第36期事業年度

(自 2020年11月1日

至 2021年10月31日)

販売高(千円)

割合(%)

販売高(千円)

割合(%)

フリュー㈱

292,281

11.9

360,966

14.2

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次の通りであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。

 

①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社の財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されています。当社の財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 財務諸表等(1)財務諸表 注記事項 (重要な会計方針)」に記載しております。

この財務諸表の作成にあたっては、過去の実績や状況に応じ合理的と考えられる様々な要因に基づき見積り及び判断を行っておりますが、不確実性が内在しているため、将来生じる実際の結果と異なる可能性があります。

財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下の通りであります。

イ.固定資産の減損

固定資産のうち減損の兆候のある資産又は資産グループについて、当該資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。過年度の損益実績や事業計画に基づき減損の兆候の有無を検討しておりますが、市場環境の変化等により、事業計画の前提条件に変更が生じた場合には、減損損失の計上が必要となる可能性があります。

ロ.繰延税金資産の回収可能性

過年度の課税所得の実績や事業計画に基づく課税所得の見積りに基づき、回収可能性があると判断した将来減算一時差異について繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積りの前提条件に変更が生じた場合には、繰延税金資産を取り崩し税金費用の計上が必要となる可能性があります。

なお、新型コロナウイルス感染症に関する会計上の見積りに係る仮定は、「第5 経理の状況 1財務諸表等(1)財務諸表 注記事項(追加情報)」に記載しております。

 

②当事業年度の経営成績の分析

当事業年度の経営成績は、第1四半期は新型コロナウイルス感染症の影響を大きく受けましたが、第2四半期以降は回復基調となり、通期では前年同期と比較して増収増益となりました。

イ.売上高

当事業年度の売上高は、2,549,241千円となり、前年同期と比較して4.4%増加しました。第1四半期は新型コロナウイルス感染症の影響を受けたため、影響がなかった前年同四半期と比較して27.2%減少しましたが、第2四半期以降は回復基調となりました。この結果、通期では4月以降新型コロナウイルス感染症の影響を受けた前年同期と比較して増収となりました。

ロ.売上原価、売上総利益

当事業年度の売上原価は、1,548,126千円となり、前年同期と比較して3.8%増加しました。主な要因は、売上高の増加により材料費が18,472千円増加したことや、取引量の増加や旧東京本社の生産部門を横浜ファクトリーへ移転する特殊業務があり労務費が16,599千円増加したことによるものであります。

この結果、当事業年度の売上総利益は、1,001,115千円となり、前年同期と比較して5.4%増加しました。

ハ.販売費及び一般管理費、営業利益

当事業年度の販売費及び一般管理費は、778,993千円となり、前年同期と比較して5.0%増加しました。主な要因は、東京証券取引所市場第二部への市場変更に関連して上場料金、審査料、アドバイザリー報酬等が発生したことや、東京本社移転関連の費用が発生したことによります。

この結果、当事業年度の営業利益は、222,122千円となり、前年同期と比較して6.9%増加しました。

ニ.営業外収益、営業外費用、経常利益

当事業年度の営業外収益は東京本社移転に係る補償金41,250千円や新型コロナウイルス感染症対策関連の補助金により49,489千円、営業外費用は支払利息で320千円となりました。

この結果、当事業年度の経常利益は、271,291千円となり、前年同期と比較して28.2%増加しました。

ホ.特別損益、税金費用、当期純利益

前事業年度、当事業年度ともに特別利益は発生しておりません。特別損失は、前事業年度は機械及び装置を除却したことに伴う固定資産除却損50千円が発生しました。当事業年度は、機械及び装置を除却したことに伴う固定資産除却損1,429千円と東京本社移転に係る固定資産除却損1,035千円の合わせて2,464千円が発生しました。また、課税所得の増加により、税金費用は79,223千円となり、前年同期と比較して11.3%増加しました。

以上の結果、当期純利益は、189,604千円となり、前年同期と比較して35.0%増加しました。

 

③キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

キャッシュ・フローの状況の分析につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」をご参照ください。

当社の運転資金及び設備投資資金は原則として自己資金で賄う方針でありますが、必要に応じて借入の実行も検討いたします。

当社は、資金の源泉と流動性を安定的に確保することを基本方針としております。営業活動によるキャッシュ・フロー及び2019年7月に実施した増資により、当事業年度末の現金及び預金は2,331,333千円となっており、これを主として設備投資資金・成長のための投資資金に充当する予定であります。

 

④経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社は、重要な経営指標として「売上高」と「売上高成長率」及び「売上高経常利益率」を掲げ、売上高成長率10%を目指しております。当事業年度の売上高は2,549,241千円となり、新型コロナウイルス感染症による影響により前年同期に対して4.4%の増加にとどまりました。売上高経常利益率は10.6%となり、前年同期と比べて1.9ポイント増加しました。新型コロナウイルス感染症の収束には至っておらず、先行き不透明な状況が続いておりますが、「リアル領域」と「デジタル領域」を融合させたビジネスモデルを推進してこの状況を改善し、今後もこの3つの指標を重視しつつ、自己資本利益率を意識した経営を行うことにより、企業の成長性及び効率性の確保を図ってまいります。

 

⑤経営成績に重要な影響を与える要因について

当社の経営成績は、新型コロナウイルス感染症や、特定取引先への依存、同業他社との競合、人材の確保等、様々な要因の変動による影響を受ける可能性があります。このため、当社事業を取り巻く環境に注視し、内部統制システムの強化等によりこれらのリスク要因に対応してまいります。

 

⑥経営者の問題意識と今後の方針について

今後の見通しにつきましては、いまだ新型コロナウイルス感染症は収束に至っておらず、新たな変異株の発生が報じられる中、国内企業の販売促進活動は抑制的であり、イベント・展示会関係に対しても一定の制限が継続し、完全な回復には時間を要すことが考えられます。そうした中でも国内経済は回復基調にあり、当社の事業領域である販売促進用広告の分野においても状況が好転するものと考えております。

しかしながら、当社を取り巻く環境は、引き続き、他社との受注獲得競争が続き、それに伴う価格競争の激化などの影響を受け、経営環境は厳しさを増すものと考えます。こうした課題に向けて、当社は従来のインクジェットプリント事業を軸としつつ、2021年10月期より開始した新規事業を成長させることにより、「リアル領域」と「デジタル領域」の融合を進めてまいります。

当社の主力事業であるインクジェットプリント事業においては、事業拠点である大阪、東京、横浜の各エリアの営業部門において顧客対応・目標達成・育成・管理の各面での営業力の強化を図ります。名古屋、福岡の両拠点では、景気の回復に合わせて新規顧客の開拓を加速させるとともに、設備の増設による生産体制の強化を行います。また、インテリア内装分野を強化するべく、デジタル壁紙やガラスフィルム等の商材を全国に展開いたします。さらに、対面営業での受注に加えてWEBによる全国からの受注に応えるため、ECサイトを全面リニューアルし、売上拡大を図ります。

生産体制については、高利益体質を構築するべく、原価低減や設備導入、業務の自動化による生産性向上に取り組みます。

2021年10月期より開始した新規事業のうち、デジタルサイネージ事業については、2022年10月期に入り大型受注を獲得することができ、また、従来のハード機器の販売に加えてCMSによる映像配信システムの導入提案を積極的に進め、売上拡大を目指します。インターネット通販サポート事業については、ネットショップの運営サポートに加えて、インクジェットプリント事業の既存顧客に対してWEBプロモーションの支援を開始し、売上拡大を目指します。これに伴い、インターネット通販サポート事業の名称をデジタルプロモーション事業に変更いたします。

また、今後の当社のさらなる成長および企業価値の向上を実現させるには、M&A戦略が非常に重要と考えており、M&Aに関する各種調査を積極的に行い、具体的に計画を進めてまいります。

 

4【経営上の重要な契約等】

相手先の名称

契約の名称

契約の内容

契約期間

株式会社ピースリー

業務提携契約

デジタルサイネージ関連商品の販売企画立案

2021年3月9日から

2024年3月8日まで

(以降1年毎自動更新)

 

 

5【研究開発活動】

特記すべき事項はありません。