第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

  文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)会社の経営の基本方針

当社グループは、「元気な街、心豊かな暮らし」を経営理念としております。本社のある北九州市を中心に、マンション事業は沖縄県を除く九州全域と山口県、住宅事業は福岡県全域と山口県・佐賀県の一部を商圏とし、お求めやすい価格と高い品質の両立を実現した住宅の販売とアフターサポートを通して、お客様の暮らしにおける物心両面の充実と、街づくりを通して地域の活性化をもたらす地域密着型経営を基本として事業を展開しております。

上記方針を活かしながら、持続的な成長へ結びつけるため収益性の向上及び財務体質の強化を推進し、株主・顧客・取引先・地域社会から真に信頼され、必要とされる企業となることを目指しております。

 

(2)経営環境ならびに中長期的な会社の経営戦略及び会社の対処すべき課題

当社グループが属する不動産業界におきましては、金融緩和による低金利が続いており、堅調な市況となっております。しかしながら、土地価格は上昇基調が続き、人件費も含めた建築コストは依然として高い水準を推移しております。また、2019年10月より消費税増税も加わり、不動産販売価格の上昇は避けられず、購入者の購買意欲の減退も懸念されております。

このような環境の中で、当社グループは、今後の安定的な成長を推進する上で、下記の項目を重要な経営課題と認識しており、対処に努めていく所存であります。

 

①マンション事業

 マンション分譲事業におきましては、プロジェクト用地の安定的な確保と原価圧縮が当面の課題です。土地価格の上昇により、マンション用地の取得が厳しさを増しております。プロジェクト用地は土地価格の上昇により、競合他社との良質なマンション用地の争奪戦に激しさを増し、土地価格の上昇に拍車が掛かっている状況にあります。また、土地の仕入価格の上昇は、昨今の建築費高騰と合わせ、原価の上昇に繋がっております。原価上昇に伴い、利益確保のために販売価格へ転嫁すると、顧客購入価格ニーズとの乖離が出てくる可能性が高くなります。

 今後は、顧客購入価格ニーズに合わせた土地の選別と原価構成をバランスよく行い、当社グループに蓄積されたノウハウと新たな企画商品等を開発し、訴求性を出したマンション企画に注力してまいります。

 賃貸マンション販売事業におきましては、投資マンション融資問題により賃貸マンションに対する金融機関融資が極めて厳しい状況下にあり、現在、賃貸マンション販売事業の積極的な展開を控えております。今後につきましても、市況的に金融機関の融資環境や原価圧縮等に投資効率の改善がみられた場合に事業計画の再考を検討したいと考えております。

 タウンハウス事業におきましては、商品特性の認知向上と原価圧縮が当面の課題です。当社グループが展開する九州エリアでは、木造建築物のタウンハウス自体の開発事例が少なく、タウンハウスという住まいの形態をイメージしづらく、顧客の購買意欲を刺激するまでには至っていない状況であります。また、タウンハウスも他の建築物同様に建築費が上昇致しております。マンション分譲価格と分譲住宅価格との間の価格帯を目指しているタウンハウスにとっては、原価上昇は競合商品との差別化を不明瞭にする可能性があります。今後につきましては、マンション分譲や分譲住宅とは異なり、建物完成間近に販売を開始し、顧客の住まいのイメージを現実化しやすい状況で販売に臨み、供給数を増やすことにより認知の向上に努めます。また、原価上昇につきましては、第52期より住宅事業に業務管轄を移管することにより、分譲住宅事業での下請業者を総合的に発注することにより原価圧縮に努めてまいります。

 マンション総合管理事業におきましては、自社開発物件のみの管理であることが当面の課題です。マンション管理業界は大手管理会社の九州進出により、既存管理組合よりの管理争奪が激しくなっております。自社開発物件のみの管理では、大手管理会社よりの管理争奪に巻き込まれ、管理数を減らす可能性があります。今後につきましては、自社開発物件のみの管理に満足せず、他社の管理組合への管理受注を目指す人員及び体制の充実を図り、顧客満足度や管理サービス内容の向上に努めてまいります。

 

②住宅事業

 分譲住宅事業につきましては、原価圧縮と既存顧客との関係構築が当面の課題です。分譲住宅事業も他不動産商品と同じく土地価格の上昇や建築費高騰により、顧客への販売価格の転嫁が厳しい状況にきております。原価圧縮の為、現在の企画商品を安全性とデザイン性を保ちつつ、販売価格のバランスを考慮し、多方面より、設計・施工等の見直しを行っております。加えて、連結子会社大英工務店で木工事を行うことにより、原価圧縮が出来るものと考え、同社の大工育成に努めております。既存顧客との関係構築につきましては、長期設備保証の導入や引渡し後の定期訪問などのアフターサービス体制を充実し、将来的なリフォーム受注を見据えた体制としております。また、顧客が希望する場合には将来売却希望時の実勢価格に基づく買取を提案するなど、持続可能な建物として当社グループ建築した商材を将来に渡り管理していく体制の構築中であります。

 注文住宅事業につきましては、規格型注文住宅の知名度の向上、受注体制の再構築が当面の課題です。規格型注文住宅ならではの価格メリットとプランの選択肢の広さ、バランスの良さをより訴求することで、分譲住宅ではご満足いただけないお客様を獲得いたします。また、規格型注文住宅では通常の分譲住宅販売と異なり、販売員の設計、インテリア知識を要します。そのために規格型注文住宅の適正な価格帯を設定することと専門知識を有する人材育成に努めてまいります。

 不動産流通事業におきましては、仕入不動産の安定確保が当面の課題です。当事業は、自社で買い取った物件をリフォームし、付加価値をつけてうえで転売させるものであるため、仕入価格を抑えることが粗利の確保に繋がります。周辺相場を反映した値付けと粗利確保を両立させるために、安定的に仕入れできる物件情報網の整備と、リフォーム企画・施工・販売と事業を一気通貫したマネジメントの出来る人材の育成を行っております。また、北九州のみならず福岡都市圏、熊本市内までエリアを広げた当期は、より一層の基礎基盤を成立させ、今後はその他エリアへの進出を視野に入れた仕入や人材育成を行ってまいります。

 土地分譲事業におきましては、取引先の確保が当面の課題です。当事業は、原則として同価格帯の競合他社ではなく、大手ハウスメーカーや地元工務店などの建設会社で注文住宅を予定しているお客様へ、土地の販売を行っております。大手ハウスメーカーや地元工務店に限定する販売を行うと、販売領域が広がらず、相手の受注状況に左右される可能性があるため、今後はより様々な取引先と密接な関係を構築し、課題の解消に努めてまいります。

 

 現状では、マンション事業及び住宅事業の中でも、マンション分譲事業と分譲住宅事業が当社グループの総売り上げの約9割を占めております。今後は、大きな景気変動下でもゆるぎない経営体質の保持の為、これらの分譲2事業の他に第3の柱となる事業の育成に注力するとともに、新規事業へ模索を行いながら経営の更なる安定化を目指してまいります。

 

(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

企業を継続的に安定成長させるためには、利益の確保が重要であることから、当社は売上高経常利益率を重要な経営指標として認識しております。また、総資産から効率的な利益を生み出す指標として、総資産利益率(ROA)も重要視しております。

 

2【事業等のリスク】

 本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)不動産市況等の影響について

 当社グループの事業は全て不動産に関連する事業であることから、不動産市況、住宅関連税制、住宅ローン金利水準等による購買者の需要動向ならびに建築資材等の原材料の価格動向等により業績において強い影響を受けております。

 また、当社グループは北九州市を中心に、沖縄県を除く九州全域と山口県を地盤とした地域密着型の事業展開を行っており、今後においても、当該地域における営業エリア拡大により業績の向上を図る方針であります。このことから、同地域の経済環境、雇用環境、地価の動向及び自然災害等により業績に影響を受ける可能性があります。

 

(2)有利子負債について

 当社グループは、原則として、プロジェクト案件ごとに用地の取得資金と開発費用等そのプロジェクトの推進に必要な資金を、プロジェクトの期間に応じた金融機関からの借入金により調達しており、下表のとおり有利子負債依存度が高い水準で推移しております。なお、当社グループにおいて、「短期借入金」、「1年内償還予定の社債」、「1年内返済予定の長期借入金」、「リース債務」、「社債」、「長期借入金」が有利子負債に該当いたします。

 

決算期

総資産(百万円)

有利子負債(百万円)

有利子負債依存度(%)

第47期事業年度

17,011

10,745

63.2

第48期事業年度

23,814

15,024

63.1

第49期連結会計年度

27,983

17,515

62.6

第50期連結会計年度

25,997

16,428

63.2

第51期連結会計年度

29,676

15,585

52.5

 また、運転資金については、原則として手持資金で賄うこととしておりますが、資金繰り弾力化のため、一部金融機関からの借入を実施しております。

 近年においては、低金利の継続により、金利負担は比較的低水準で推移しておりますが、将来において金利が上昇した場合、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、今後の金融政策の方針が変更した場合、プロジェクトの進捗や業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3)業績の偏重について

 不動産業界においては、一般に、物件の引渡し(売上計上)時期は3月頃に集中する傾向があります。また、マンション分譲事業においては、その性質上、竣工時に当該マンションのほとんどの住戸が引き渡されるため、月次または四半期等で見た場合、売上が特定の時期に偏る傾向があり、当社グループにおいては現状それが9月にあたります。今後は特定の時期に偏らないよう仕入や工期を調整するように進めてまいりますが、調整が想定通り進まない場合、四半期毎の業績が不安定になる可能性があります。

 

(4)法的規制について

 当社グループの属する不動産業界は、「宅地建物取引業法」「建築基準法」「国土利用計画法」「都市計画法」等、不動産取引や建築に関わる多数の法令、及び各自治体で定められる建築に関する条例等の法的規制を受けております。また、連結子会社の株式会社リビングサポートにおきましては、「マンションの管理の適正化の推進に関する法律」等による法的規制を受けております。このため、将来におけるこれらの法的規制の改廃、新法の制定等により、事業計画を見直す必要が生じる場合や、これらの法的規制等に定める事項に抵触した場合には、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。

 また、当社においては宅地建物取引業免許が、株式会社リビングサポートにおいては管理業務主任者免許が、各々の事業活動において必要不可欠な免許です。現時点では、免許または登録の取消事由・更新欠格事由(※下表枠外に記載)に該当する事実は存在しておりませんが、今後、何らかの理由により免許及び登録の取消・更新欠格による失効等があった場合には、当社グループの主要な事業活動に支障をきたし、業績等に影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループの有する免許、許可及び登録については、以下のとおりであります。

会社名

法令名

免許・許可・登録等

有効期限

大英産業㈱

宅地建物取引業法

宅地建物取引業免許

国土交通大臣免許(2)

第008700号

宅地建物取引主任士(138名)

2024年11月11日

大英産業㈱

建築士法

一級建築士事務所登録

福岡県知事登録

第1-60140号

一級建築士(4名)

二級建築士(18名)

2020年12月12日

大英産業㈱

建設業法

一般建設業許可

福岡県知事許可

(般-28)第98911号

一級施工管理技士(3名)

二級施工管理技士(5名)

2022年2月16日

㈱リビングサポート

マンションの管理の適正化の推進に関する法律

国土交通大臣(2)

第937105号

管理業務主任者(6名)

2020年12月16日

※許認可等の取消事由について

a.宅地建物取引業者免許の取消事由は、宅地建物取引業法第66条に定められております。

b.一級建築士事務所登録の取消事由は、建築士法第26条に定められております。

c.建設業許可の取消事由は、建設業法第29条に定められております。

d.マンション管理業者登録の取消事由は、マンションの管理の適正化の推進に関する法律第83条に定められております。

 

(5)瑕疵担保責任について

 当社グループの不動産事業については、「住宅の品質確保の促進等に関する法律」により、新築住宅(分譲マンション含む)の構造上主要な部分及び雨水の浸水を防止する部分について住宅の引渡しから10年間の瑕疵担保責任を負っております。その他の部分については、「宅地建物取引業法」により住宅の引渡日から最低2年間について瑕疵担保責任を負っております。加えて「特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律」により、住宅の瑕疵担保責任履行のための資金の確保が義務付けされております。万が一、当社グループの販売した物件に重大な瑕疵があるとされた場合には、その直接的な原因が当社グループ以外の責任によるものであっても、当社グループは、売主としての瑕疵担保責任を負うことがあります。完成工事補償引当金の計上や保証制度の活用など対策は打っておりますが、何らかの事情により当社グループが責任を負うことにより、想定外の補償工事費用の計上や当社の信用力の低下が発生した場合、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6)完成工事補償引当金について

 お客様へ物件を引き渡した後に補修工事を行う場合や、完成工事の瑕疵担保責任に備える目的の引当金を計上しております。販売棟数の増加に伴い必然的に利益圧縮に繋がることに加え、不測の施工不良等により実際に多額の補修工事が発生した場合、引当金の計上額(販売費及び一般管理費)が増加し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(7)個人情報の漏洩について

 当社グループでは、事業の性質上、常時多数のお客様の個人情報をお預かりしている状況にあります。個人情報については、プライバシーマークを取得し、個人情報保護基本規程等に基づいて厳重に管理しております。また、社内では個人情報保護委員会を設け、当社グループの従業員等に対する定期的な教育・研修等により情報管理の重要性の周知徹底を行っております。しかし、これらの対策にもかかわらず個人情報が外部に漏洩した場合には、社会的信用が著しく低下する上に、多額の損害賠償金等が発生し、当社グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(8)人材の確保及び育成について

 当社グループでは、継続的な成長を達成するために、優秀な人材の採用と教育が重要であると考えております。

 当社グループとしては、積極的な事業展開により求職者にとって魅力的な企業となるべく努力をしてまいりますが、必要な人材の確保及び育成が計画通りに進まない場合や当社グループの予想を大幅に上回るような退職者が発生した場合、当社グループの事業展開や業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(9)土地仕入について

 当社グループでは、主要事業が全て土地に関連する事業のため、事業用地の仕入が各プロジェクトの成否において生命線となります。立地条件、地積、地盤、周辺環境、権利関係、収支計画等について事前に調査・検討し、その結果を踏まえた上で仕入を行っております。しかし、競合等により仕入価格が上がった場合、プロジェクトの収益が計画どおりに確保できない、あるいは仕入中止によりプロジェクトを断念する等、当社グループの事業展開や業績に影響を及ぼす可能性があります。

 また、用地取得時に予想できない土壌汚染や地中埋設物が発見された場合や、工事進捗に影響する近隣住民との問題が解決できなかった場合、プロジェクトの遅れや追加費用の発生により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(10)建築費用等について

 当社グループの分譲マンションはほとんどがRC構造です。RC造は耐震性・耐火性・防音に優れる反面、他の工法より建築費用がかかる傾向があります。元々、近年の建築需要の増加により建築費用が上昇していることも重なり、当社グループの物件の建築費用は高騰しております。建築費用の大部分はゼネコンとの工事請負契約時に確定しているため、その点も考慮した上で収支計画は立案されておりますが、基本的に物件価格に転嫁されるため、購入者の購入検討価格が周辺相場を大幅に上回る結果となる場合は、計画通りに販売が進まない、または値引き等により販売価格が低くなるなど、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 分譲住宅や注文住宅においては、主材料に木材を使用していることから、木材相場の急騰や、想定通りの調達が順調に行かない場合、当社グループの事業展開や業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(11)建築の外部委託及び工程監理について

 当社グループは、マンションや住宅を新築しております。また、中古住宅を購入の上、リフォーム工事を行っております。マンション及び中古住宅のリフォームの建築工事は自社で行わず、全面的に外部に委託しております。このことは、自社の固定人件費の抑制に繋がっており、不況時においては、経営リスクを軽減する反面、好況時においては、外部委託先の確保が十分にできなくなり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 また、住宅建築工事においては、外部に分離発注する形態にて工事委託を行っておりますが、一部、連結子会社の大英工務店が携わっております。将来の住宅業界における工事職人不足は顕在化しており、当社委託先の職人が減少した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 各現場工程監理につきましては、各事業担当者にて、より慎重を期して行っておりますが、不測の事態等により工事の遅延等が発生した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(12)販売の外部委託について

 当社グループは、一部物件の販売活動を外部業者に委託しております。これにより、当社グループのみで販売する場合に比べて、より多くの物件を同時に販売できる反面、販売手数料等の増加により当社グループのみで販売するケースに比べ、利益率が悪くなります。今後外部業者への委託割合が増加した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(13)現金及び預金残高の増減について

 マンション事業においては、その性質上、竣工引渡時に一斉に売上代金を回収するため、一時的に現金及び預金の残高が大幅に増加し、その後の数ヶ月間で工事代金の最終金決済やプロジェクト資金の返済が行われるため、大幅に減少いたします。現時点での中期経営計画においては、マンションの竣工時期が特定月に偏っているため、特にその変動額が大きくなっております。

 このことは、当社グループも熟知しておりますが、直近2~3年間での竣工計画は確定しているため、改善は難しい状況です。既に、竣工時期に偏りがないような用地仕入、ならびにゼネコンとの工事請負契約締結のスケジュール組みに着手しておりますが、想定通り進まない場合、当社グループの財政状態に大きく影響を及ぼす可能性があります。

 

(14)競合について

 当社グループは、現在マンション事業については、福岡県を中心に沖縄県を除く九州全域で、住宅事業については、福岡県全域と山口県・佐賀県・熊本県の一部で事業展開しております。首都圏等に比較すると少ないものの、大手マンションデベロッパー・ハウスメーカーから個人事業者に至るまで大小様々な競合他社が多数存在しており、大変厳しい競争にさらされております。今後においても新規大手の参入や異業種からの参入も増える可能性があり、さらに競争が激化することが想定されます。これにより、物件の仕入価格の上昇(原価の高騰)や、販売価格の下落(売上の減少)が発生し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(15)人口動向について

 当社グループの事業エリアである九州・山口エリアは、総人口の減少と少子高齢化が進んでおり、今後、その傾向はますます強くなることが想定されます。このことにより、特に住宅事業の主な購入者層である20~30代の子育て世代は、減少していくことが確実視されます。今後は、従来の北九州近郊から事業エリアを広げて顧客を確保することや、高齢者向けの事業を展開するなどの対策を中長期的に検討しなければなりませんが、対策がうまくいかなかった場合、売上が低下し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(16)住宅業界の技術革新について

 近年、耐震・耐火・省エネなどの高付加価値を持つ住宅に対するニーズが高まっています。特に「スマートハウス」は、IT技術と連動することで快適な住空間を制御できる住宅であり、大手ハウスメーカーを中心に、様々な新商品が市場に投入される傾向にあります。少子高齢化の構造的な問題を抱える住宅業界においては、高付加価値商品の提供が生存競争上の大きなポイントとなりますが、業界またはお客様の望む技術革新のスピードに当社グループが対応できなかった場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(17)大規模自然災害について

 地震、暴風雨、洪水等の自然災害、戦争、テロ、火災等の人的災害が発生した場合、当社グループが所有する棚卸資産の価値が著しく低下、または過去に竣工した物件に対する予想外の補償工事費用等が発生し、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(18)棚卸資産の評価損処理について

 当社グループでは事業の性質上、棚卸資産が総資産に占める割合は2019年9月期において58.6%と非常に高い水準にあります。会社方針により竣工在庫を抑制するよう努めており、完成在庫である販売用不動産だけであれば、総資産の15.2%と比較的少ない水準ではありますが、何らかの理由により不動産の市場価値が下落した場合は、評価損処理が発生し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

① 経営成績の状況

 当連結会計年度におけるわが国経済は、日本政府による経済対策や日本銀行の継続的な金融政策等を背景として、企業業績や雇用状況に改善がみられ、景気は緩やかな回復基調で推移いたしました。しかしながら、米国の通商政策や米中貿易摩擦、隣接諸国の動向などの懸念材料もあり、経済への影響が不透明な要素も顕在化してまいりました。

 当社グループが属する不動産業界におきましては、金融緩和による低金利が続いており、堅調な市況となっておりますが、土地価格も上昇基調が続き、人件費も含めた建築コストは依然として高い水準を推移し、消費税増税を含めた不動産販売価格の上昇による購入意欲の減退も懸念されております。

 このような事業環境のもと、マンション分譲と分譲住宅の販売を継続して行うとともに、中古マンションの仕入を熊本県下でも行い、不動産流通事業のエリア拡大の足掛かりといたしました。

 この結果、当連結会計年度における経営成績は、売上高30,220百万円(前年同期比8.6%増)、営業利益1,979百万円(同67.3%増)、経常利益2,031百万円(同109.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は1,259百万円(同115.9%増)と増収・増益となりました。

 セグメント別の経営成績は次のとおりであります。

(マンション事業)

 マンション事業につきましては、ファミリー層を中心とした「サンパークシリーズ」と単身者及びディンクス層向けの「サンレリウスシリーズ」のマンション分譲等の開発・販売を行いました。

 マンション分譲事業では、サンパークシリーズの九州・山口各県下での供給に努め、北九州市小倉南区文教地区である守恒地区に大型分譲マンション「ザ・サンパークシティ守恒(総戸数200戸:2020年9月竣工予定)」や大分県下で14棟目となる「サンパーク大分駅南グラッセ(総戸数39戸:2020年6月竣工予定)」など新規販売9棟計601戸の販売を開始いたしました。引渡物件につきましては、2017年より販売しておりました北九州市八幡西区の八幡西区役所跡地を再開発した、多世代共生型分譲マンション「ザ・サンパークシティ黒崎(総戸数256戸:2019年9月竣工)」をはじめとして、「サンパーク長者原グラッセ(総戸数55戸:2019年9月竣工)」、「サンパーク鳥栖中央テラス(総戸数58戸:2019年3月竣工)」が竣工時には完売するなど順調に推移し、上記物件を含め、13棟552戸を引渡しすることができました。

 また、新たな市場の発掘として単身者及びディンクス層向けの「サンレリウスシリーズ」は、「サンレリウス黒崎駅前(総戸数54戸:2020年12月竣工予定)」など2棟の新規販売を開始いたしました。引渡物件につきましては、同シリーズ1棟目となる「サンレリウス徳力(総戸数20戸:2019年9月竣工)」の販売が順調に推移し、17戸の引渡しを行いました。

 賃貸マンション販売事業については、賃貸マンション及び賃貸アパート業界の諸問題の影響を受けたため、開発を一時的に見送り、開発予定土地2開発地を土地のみで売却いたしました。

 タウンハウス分譲事業については、当社の第一号物件である「サンヴェルシア黒原(総戸数10戸:2018年9月竣工)」の引渡しと新規販売として北九州市八幡西区に「サンヴェルシア鷹ノ巣(総11戸:2019年10月竣工)」の販売を行いました。

 マンション総合管理事業については、連結子会社である株式会社リビングサポートが当社のマンション分譲、タウンハウスの管理を行い、新たに9組合588戸(世帯)の管理物件を増やし、累計管理組合数49組合2,275戸(世帯)となりました。

 その結果、マンション事業セグメントの当連結会計年度の売上高は16,049百万円(前年同期比9.6%増)、セグメント利益は1,855百万円(同49.5%増)となりました。

 

(住宅事業)

 住宅事業につきましては、福岡・山口県下において分譲住宅ブランド「サンコート」の開発・供給を中心として、中古不動産のリフォーム販売に注力してまいりました。

 分譲住宅事業については、関東大手ハウスビルダーの九州圏内への積極的な事業展開に伴い、競争が激化しております。そのような中、当社がサテライト店舗としての「住まいの情報館」での不動産の情報収集力を活かし、福岡・山口県下で「サンコート」の企画販売を進めた結果、引渡戸数は438戸となりました。

 注文住宅事業については、モデルハウス併設型店舗「CASASTUDIO」を起点とし、自社ブランド「ラクイエ」や「フォカーサ」を受注した結果、引渡戸数は23戸となりました。

 

 土地分譲事業においては、関東大手ハウスビルダーの参入により、土地のみ流通が活発化しているため、地元の工務店も含めて土地のみの販売活動を行い、引渡区画数は62区画となりました。

 不動産流通事業については、北九州都市圏を中心に、当社でリフォームを行った中古マンション・中古戸建の販売を積極的に展開しつつ、福岡エリアと熊本エリアの仕入を強化し、今後の事業拡大を見据えた活動を積極的に行い、引渡戸数151戸となりました。

 その結果、住宅事業セグメントの当連結会計年度の売上高は14,112百万円(前年同期比7.5%増)、セグメント利益は1,137百万円(同31.0%増)となりました。

 

(その他事業)

 その他事業として、鹿児島県と福岡県で温泉水及び上下水道の管理を行う水道事業と、当社が保有する賃貸不動産の収益管理を行いましたが、温泉事業の設備老朽化の復旧工事費が嵩み、結果、売上高は58百万円(前年同期比1.0%減)、セグメント利益は27百万円(同3.9%減)となりました。

 

② 財政状態の状況

(資産)

 当連結会計年度末における資産合計は29,676百万円となり、前連結会計年度末に比べ3,678百万円増加いたしました。これは前連結会計年度末に比べ、現金及び預金が3,443百万円増加10,085百万円になったことなどによるものです。

 

(負債)

 当連結会計年度末における負債合計は23,820百万円となり、前連結会計年度末に比べ2,039百万円増加いたしました。これは前連結会計年度末に比べ、1年内返済予定の長期借入金が901百万円増加3,302百万円に、支払手形及び買掛金が2,506百万円増加5,193百万円に、長期借入金が1,574百万円減少6,343百万円になったことなどによるものです。

 

(純資産)

 当連結会計年度末における純資産合計は5,856百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,638百万円増加いたしました。これは前連結会計年度末に比べ、上場に伴う公募増資等により資本金が219百万円、資本剰余金が219百万円増加したこと及び利益剰余金が親会社株主に帰属する当期純利益で1,259百万円増加及び配当より57百万円減少し、純額で1,201百万円増加したことなどによるものです。

 

③ キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ3,678百万円増加し、9,766百万円となりました。

 

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度において、営業活動による資金の増加は、3,778百万円(前年同期は407百万円の増加)となりました。これは主に仕入債務の増加額2,506百万円及び税金等調整前当期純利益2,020百万円ならびにたな卸資産の増加額351百万円によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度において、投資活動による資金の増加は、376百万円(前年同期は300百万円の減少)となりました。これは主に定期預金の払戻による収入492百万円及び保険積立金の解約による収入456百万円及び有形固定資産の取得による支出284百万円ならびに定期預金の預入による支出257百万円によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度において、財務活動による資金の減少は、476百万円(前年同期は1,101百万円の減少)となりました。これは主に長期借入金の返済による支出7,568百万円及び長期借入れによる収入6,895百万円によるものであります。

 

④ 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当社グループが営むマンション事業、住宅事業及びその他事業では生産実績を定義することが困難であるため、「生産実績」は記載しておりません。

 

b.契約実績

 前連結会計年度及び当連結会計年度の契約実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

前連結会計年度

(自 2017年10月1日

 至 2018年9月30日)

当連結会計年度

(自 2018年10月1日

 至 2019年9月30日)

件数

金額(千円)

件数

金額(千円)

マンション事業

513

14,648,302

442

12,876,385

住宅事業

656

13,120,284

595

12,299,216

合計

1,169

27,768,586

1,037

25,175,601

 (注)上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

c.販売実績

 前連結会計年度及び当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

前連結会計年度

(自 2017年10月1日

 至 2018年9月30日)

当連結会計年度

(自 2018年10月1日

 至 2019年9月30日)

件数

金額(千円)

件数

金額(千円)

マンション事業

430

14,639,465

573

16,049,537

住宅事業

650

13,133,875

674

14,112,876

その他

58,631

58,022

合計

1,080

27,831,972

1,247

30,220,436

 (注)上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計方針及び見積り

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づき作成され、連結財務諸表の作成にあたっては連結決算日における資産・負債及び当連結会計年度における収益・費用に影響を与える事項について、過去の実績や現在の状況に応じ合理的と考えられる様々な要因に基づき見積りを行った上で継続して評価を行っています。ただし、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、見積りと異なる場合があります。

 なお、当社グループの連結財務諸表において採用する重要な会計方針及び見積りは、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項 4.会計方針に関する事項」に記載しております。

 

 a.完成工事補償引当金

 完成工事補償引当金は、過去の完成工事に係る補償工事費用の実績を基準にした金額及び特定の物件については補償工事費用の個別見積額を計上しております。そのため、実際の結果が、前提条件と異なる場合、または前提条件が変更された場合、完成工事補償引当金に影響を及ぼす可能性があります。

 

 b.訴訟損失引当金

 係争中の訴訟に係る損失に備えるため、訴訟損失引当金は類似の訴訟判決を参考に見積りを行っております。

 なお、訴訟の進行状況等が見積りと異なる場合、適宜損失見込額の見直しを実施して損失に備えております。

 

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 a.経営成績

 当社グループの経営成績の分析は次のとおりです。

 

 

前連結会計年度

(自 2017年10月1日

 至 2018年9月30日)

当連結会計年度

(自 2018年10月1日

 至 2019年9月30日)

差額

金額(千円)

金額(千円)

金額(千円)

売上高

27,831,972

30,220,436

2,388,464(  8.6%増

売上総利益

5,551,558

6,463,066

911,50816.4%増

営業利益

1,183,324

1,979,752

796,42767.3%増

経常利益

971,848

2,031,356

1,059,508109.0%増

親会社株主に帰属する当期純利益

583,248

1,259,286

676,038115.9%増

 

(売上高・売上総利益)

 当連結会計年度の売上高は、30,220百万円(前年同期比8.6%増)、売上総利益は6,463百万円(同16.4%増)となりました。

 売上高につきましては、経営成績等の状況の概要で触れたとおり、ザ・サンパークシティ黒崎の引渡により、マンション事業の引渡戸数が大幅に増加したことによるものですが、加えて今期売上物件に関しては、マンションプロジェクトのスタート時点での土地価格や建築費等が現状より安価であったため、売上総利益の増加にも大きく寄与いたしました。

 

(営業利益)

 当連結会計年度の販売費及び一般管理費につきましては4,483百万円(前年同期比2.6%増)となったものの、売上総利益の増加により、営業利益は1,979百万円(同67.3%増)となりました。

 

(営業外損益及び経常利益)

 当連結会計年度の営業外収益につきましては、保険解約返戻金195百万円等を計上したことにより、357百万円(前年同期比205.7%増)となりました。営業外費用につきましては支払利息を減少させたことにより305百万円(同6.9%減)となり、経常利益は2,031百万円(同109.0%増)となりました。

 

(特別損益及び親会社株主に帰属する当期純利益)

 当連結会計年度の特別損失は11百万円(前年同期比83.1%減)となりました。その主な減少要因は、前連結会計年度において和解金及び訴訟損失引当金繰入額で67百万円を計上したことによるものです。以上の結果、親会社に帰属する当期純利益は1,259百万円(同115.9%増)となりました。

 

③ 経営成績に重要な影響を与える要因について

 当社グループの主要事業がすべて土地に関連する事業のため、土地価格の上昇や土地需要の高まりによる各プロジェクト用地の確保が困難になった場合には、経営成績に重要な影響を及ぼす可能性があります。そのため、

地場不動産会社や金融機関との連携した土地情報収集力をさらに強化し、立地条件等良質な土地収集に努めております。

 

④ 資本の財源及び資金の流動性についての分析

 当社グループの資金需要の主なものは、土地及び物件仕入に加え、各種プロジェクト建設費用等があります。いずれも、金利コスト等を勘案しながら、自己資金又は金融機関からの借入金により調達しております。

 

⑤ 経営者の問題認識と今後の方針について

 当社グループの経営陣は、地元に愛され継続性のある優良な企業となるため、安定した収益を確保することが重要であるという認識より、売上高経常利益率を重要視しております。また、総資産から効率的な利益を生み出す指標として、総資産利益率(ROA)も重要視しております。売上高経常利益率は10%の達成を目標とし、総資産利益率は5%以上の達成を目標としております。

 そのような中、当連結会計年度の売上高経常利益率は6.7%、総資産利益率は4.5%となっております。各事業における利益率向上、生産性の高い経費構造の見直し等により、継続的な目標達成に努めてまいります。

 

4【経営上の重要な契約等】

 該当事項はありません。

 

5【研究開発活動】

 該当事項はありません。