第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)会社の経営の基本方針

当社グループは、「元気な街、心豊かな暮らし」を経営理念としております。「私たちが住み、働く街を元気にする、活性化する。そして私たちが関わる全ての人に幸せになってもらう、心豊かな暮らしを送ってもらう。そんな社会を実現したい」これが当社グループの経営理念の根幹であります。この経営理念の下、“ライフスタイルに合った良質な「すまい」を提供し、持続的に発展する「まち」を作る”をミッションとし、本社のある北九州市を中心に、マンション事業は沖縄県を除く九州全域と山口県で事業を展開、また住宅事業は福岡県全域と山口県・佐賀県・熊本県の一部にて事業を展開し、お客様一人ひとりに寄り添った「すまい」の提供を行っております。

また、当社の誇りは働く従業員です。お客様の想いを預かる大切な仕事だからこそ、いつも元気で溌溂とした対応にて、お客様や取引業者、そして一緒に働いている仲間を大切にしながら業務を遂行し、従業員個々人の日々成長へと繋げたいと考えております。

以上のような経営理念、ミッションを基に持続的な会社の成長を続け、株主、お客様、取引先、地域社会から愛され、必要とされる企業となることを目指しております。

 

(2)経営環境ならびに中長期的な会社の経営戦略及び会社の対処すべき課題

当社グループが属する不動産業界におきましては、依然として金融緩和による低金利が続いており、コロナ禍の厳しい経済環境の中でも急激な市況下落には陥っておりません。しかしながら、今後、地政学的問題や新型コロナウイルス感染状況によっては、大きく経営環境が変化する可能性がございます。

このような劇的な経営環境の変化が予測される中、当社グループは、経営資源の効率化と多種多様な「すまい」提供に邁進し、各エリアでの地元企業としての確立を目指します

 

①マンション事業

マンション分譲事業におきましては、プロジェクト用地の取得、建物の原価の抑制が当面の課題です。マンション分譲の建設するエリアや立地条件が、マンション分譲事業に大きく影響します。ここでいう立地条件とは、一概に駅に近いという条件だけではなく、学校区や住環境など、お客様が利便性、環境を含め、住みやすい場所を指しております。マンション分譲業者において、立地条件が追求されるがゆえの事業用地取得の競争が激化し、公開入札による取得用地の価格高騰へと繋がっております。

また、コンクリートや鉄筋などの主要部分の値上がりや、労務人員費用の高騰の影響による建築費の高止まり状態も依然続いており、販売価格の抑制が難しい状況であります。

今後は土地の情報網拡大、マーケティングを駆使した用地選定基準の厳格化により、周辺相場より販売価格が高くてもお客様に選んでいただける好立地の用地を仕入れられる体制の構築に努めてまいります。

 

②住宅事業

分譲住宅事業におきましては、販売価格の抑制と志向の多様化によるデザイン性の向上が当面の課題です。コロナ禍でも土地仕入価格や建築費の高騰は収まっておらず、依然、販売価格は上昇しております。そのような中、一般消費者にとってはコロナ禍から来る将来不安によって、低価格で住宅取得を検討するケースが増加しており、供給価格と需要価格のバランスが難しくなってきております。当社グループでは子会社である株式会社大英工務店にて大工工事を行うなど建築原価の内製化に努め、出来る限りの原価圧縮に努めながら、お客様ニーズにあった住宅提供ができるような商品ラインナップを整えることが必須であると考えております。

 

不動産流通事業におきましては、仕入れの安定確保が当面の課題です。当事業は自社で仕入れた物件をリフォームして付加価値を付けた上で転売するものであるため、仕入れ価格を抑制することが粗利の確保に直結します。競合他社が多い中、価格を抑制し仕入れを行うことは容易ではありません。今後は自社の強みを生かした仕入れルートを強化し事業拡大を目指してまいります。

 

新たに発足した街づくり事業におけるタウンハウス事業は、タウンハウスの認知度が当面の課題です。タウンハウスの事例自体が多くないため、生活イメージが想起しづらく、購入意欲を喚起できていない状況にあります。またタウンハウスも他の建築物同様に建築費が高騰しております。タウンハウス内のコミュニティや価格帯など、マンション・戸建てと差別化を図り、明確に打ち出していきより顧客の住まいイメージを現実化しやすい状況で販売に挑む体制を図ってまいります。

 

③既存事業による収益基盤の維持強化と経営体質の向上

現状では、マンション事業及び住宅事業が当社グループの総売り上げの9割を占めておりますが、好不調の激しい不動産業界においては、長期的な安定経営を行うことが重要となります。大きな景気変動下でも揺るがない経営体質の保持のため、マンション事業、分譲住宅事業の安定的な売り上げの確保、また、第三の柱となる事業の成長として街づくり事業を確固たる事業に成長させ、急速な時代の変化に対応出来得る新たな事業の創生を行い、経営の安定化と拡大化を目指してまいります。

 

(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

企業を継続的に安定成長させるためには、利益の確保が重要であることから、当社は売上高経常利益率を重要な経営指標として認識しております。また、総資産から効率的な利益を生み出す指標として、総資産利益率(ROA)も重要視しております。

 

2【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)不動産市況等の影響について

 当連結会計年度において不動産業界におきましては、新型コロナウイルス感染症の拡大によって大きな影響を受けることとなりました。緊急事態宣言により正常な営業活動ができなくなり、不動産業界に大きな影響を与えることとなり、事業への警戒感が高まってまいりました。当社グループは北九州市を中心に沖縄県を除く九州全域と山口県を基盤とした地域密着型の事業を展開しているため、同エリアにて経済環境、地価及び資材の高騰や自然災害等、業績に影響を受ける可能性があります

 

(2)新型コロナウイルス感染症に関するリスク

 本書提出日現在において、当社グループの主要な事業セグメントへの影響としては、主要事業における商品完成への影響、販売に伴う影響の2点と分析しております。

 まず、主要事業における商品完成への影響としましては、海外、国内共に住宅設備等の工場において、感染が拡大し工場の機能が停止した場合、各住宅設備の納品の遅れが発生し、分譲マンションや一戸建ての竣工が遅れ売上計上できない可能性があります。

 また、販売に伴う影響としましても、景気の中長期的な低迷により、企業の人件費削減等の施策による住宅購入のマインドの低下、住宅ローンの審査の厳格化により売上が低迷する可能性があります。

 なお、当該リスクについては、収束時間が不確実であり予想困難ですが、当社グループにおいては、新型コロナウイルス感染症の収束、また景気の下振れは一定期間続くと考えており、その予想する影響は業績に織り込んでおります。

 

(3)業績の偏重について

 不動産業界においては、一般に、物件の引渡し(売上計上)時期は3月頃に集中する傾向があり、また、マンション分譲事業においては、その性質上、竣工時に当該マンションのほとんどの住戸が引き渡されるため、月次または四半期等で見た場合、売上が特定の時期に偏る傾向があります。今後は特定の時期に偏らないよう仕入や工期を調整するように進めてまいりますが、調整が想定通り進まない場合、四半期毎の業績が不安定になる可能性があります。

 

(4)有利子負債について

 当社グループは、原則として、プロジェクト案件ごとに用地の取得資金と開発費用等そのプロジェクトの推進に必要な資金を、プロジェクトの期間に応じた金融機関からの借入金により調達しており、下表のとおり有利子負債依存度が高い水準で推移しております。なお、当社グループにおいて、「短期借入金」、「1年内償還予定の社債」、「1年内返済予定の長期借入金」、「リース債務」、「社債」、「長期借入金」が有利子負債に該当いたします。

 

決算期

総資産(百万円)

有利子負債(百万円)

有利子負債依存度(%)

第48期事業年度

23,814

15,024

63.1

第49期事業年度

27,983

17,515

62.6

第50期連結会計年度

25,997

16,428

63.2

第51期連結会計年度

29,676

15,585

52.5

第52期連結会計年度

32,302

17,967

55.6

 また、運転資金については、原則として手許資金で賄うこととしておりますが、資金繰り弾力化のため、一部金融機関からの借入を実施しております。近年においては、低金利の継続により、金利負担は比較的低水準で推移しておりますが、将来において金利が上昇した場合、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、今後の金融政策の方針が変更した場合、プロジェクトの進捗や業績に影響を及ぼす可能性があります

 

(5)法的規制について

 当社グループの属する不動産業界は、「宅地建物取引業法」「建築基準法」「国土利用計画法」「都市計画法」等、不動産取引や建築に関わる多数の法令、及び各自治体で定められる建築に関する条例等の法的規制を受けております。また、連結子会社の株式会社リビングサポートにおきましては、「マンションの管理の適正化の推進に関する法律」等による法的規制を受けております。このため、将来におけるこれらの法的規制の改廃、新法の制定等により、事業計画を見直す必要が生じる場合や、これらの法的規制等に定める事項に抵触した場合には、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります

 また、当社グループの事業活動における必要不可欠な免許として、当社においては宅地建物取引業免許が、株式会社リビングサポートにおいては管理業務主任者免許があります。現時点では、免許または登録の取消事由・更新欠格事由(※下表枠外に記載)に該当する事実は存在しておりませんが、今後、何らかの理由により免許及び登録の取消・更新欠格による失効等があった場合には、当社グループの主要な事業活動に支障をきたし、業績等に影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループの有する免許、許可及び登録については、以下のとおりであります。

会社名

法令名

免許・許可・登録等

有効期限

大英産業㈱

宅地建物取引業法

宅地建物取引業免許

国土交通大臣免許(2)

第008700号

宅地建物取引主任士(147名)

2024年11月11日

大英産業㈱

建築士法

一級建築士事務所登録

福岡県知事登録

第1-60140号

一級建築士(3名)

二級建築士(16名)

2025年12月12日

大英産業㈱

建設業法

特定建設業許可

福岡県知事許可

(特-2)第98911号

一級施工管理技士(5名)

二級施工管理技士(8名)

2027年9月10日

㈱リビングサポート

マンションの管理の適正化の推進に関する法律

国土交通大臣(3)

第093710号

管理業務主任者(4名)

2025年12月16日

※許認可等の取消事由について

a.宅地建物取引業者免許の取消事由は、宅地建物取引業法第66条に定められております。

b.一級建築士事務所登録の取消事由は、建築士法第26条に定められております。

c.建設業許可の取消事由は、建設業法第29条に定められております。

d.マンション管理業者登録の取消事由は、マンションの管理の適正化の推進に関する法律第83条に定められております。

 

(6)融資について

 当社グループの事業については、多額の資金が必要になります。多額の資金を自己資金で賄うことは現実的ではなく、金融機関等の借入金により、各事業のプロジェクトを遂行しております。経済環境の変化により、金融機関の融資条件等がより一層厳しくなった場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(7)土地仕入について

 当社グループでは、主要事業が全て土地に関連する事業のため、事業用地の仕入が各プロジェクトの成否において生命線となります。立地条件、地積、地盤、周辺環境、権利関係、収支計画等について事前に調査・検討し、その結果を踏まえた上で仕入を行っております。しかし、競合等により仕入価格が上がった場合、プロジェクトの収益が計画どおりに確保できない、あるいは仕入中止によりプロジェクトを断念する等、当社グループの事業展開や業績に影響を及ぼす可能性があります。

 また、用地取得時に予想できない土壌汚染や地中埋設物が発見された場合や、工事進捗に影響する近隣住民との問題が解決できなかった場合、プロジェクトの遅れや追加費用の発生により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(8)原材料・資材価格等の高騰について

 建築コストは売上原価の主要項目であり、国内外市場の動向等により原材料・資材・物流等の価格が上昇した場合は、上昇分に応じて販売価格に転嫁しております。しかしながら、想定を上回って建築コストが上昇し、販売価格へ転嫁することが難しい場合は、当社グループの業績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(9)災害等によるリスクについて

 当社グループは、震災等による社員の安全・当社建築等に係るビジネスパートナーの安全等を確保するため、大地震対応マニュアルの作成や緊急連絡・安否確認システムの構築、災害備蓄品の設置を実施しております。しかしながら、当社グループ事業エリアにおける震災、また広域で被害予測される南海トラフ地震等の災害が発生した場合には、当社グループの業績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。

 また、ウイルス感染症においても、新型コロナウイルス感染症を機に感染マニュアルを作成しておりますが、受注減及びサプライチェーンの不安定化による建築物件の設備等の納品遅れや、それに伴う工期の遅延等が起こることがあれば、当社グループの業績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(10)契約不適合責任について

 当社グループの不動産事業については、「住宅の品質確保の促進等に関する法律」により、新築住宅(分譲マンション含む)の構造上主要な部分及び雨水の浸水を防止する部分について住宅の引渡しから10年間、その他の部分については、「宅地建物取引業法」により住宅の引渡日から最低2年間について契約不適合責任を負っております。(2020年4月1日民法改正により「瑕疵担保責任」に変わり「契約不適合責任」が制定。)

 当社グループは建築工事の工程管理、品質管理に万全を期しておりますが、何らかの事情により当社グループが責任を負うことにより、想定外の補償工事費用の計上や当社の信用力の低下が発生した場合、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(11)完成工事補償引当金について

 お客様へ物件を引き渡した後に補修工事を行う場合や、完成工事の瑕疵担保責任に備える目的の引当金を計上しております。販売棟数の増加に伴い必然的に利益圧縮に繋がることに加え、不測の施工不良等により実際に多額の補修工事が発生した場合、引当金の計上額(販売費及び一般管理費)が増加し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(12)建築の外部委託及び工程監理について

 当社グループの事業における建築工事は、一部または全部を外部に委託しております。このことは、自社の固定人件費の抑制に繋がっており、不況時においては、経営リスクを軽減する反面、好況時においては、外部委託先の確保が十分にできなくなり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 また、住宅建築工事においては、外部に分離発注する形態にて工事委託を行っておりますが、一部、連結子会社の大英工務店が携わっております。将来の住宅業界における工事職人不足は顕在化しており、当社委託先の職人が減少した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。各現場工程監理につきましては、各事業担当者にて、より慎重を期して行っておりますが、不測の事態等により工事の遅延等が発生した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(13)販売の外部委託について

 当社グループは、一部物件の販売活動を外部業者に委託しております。これにより、当社グループのみで販売する場合に比べて、より多くの物件を同時に販売できる反面、販売手数料等の増加により利益率が悪くなります。今後外部業者への委託割合が増加した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(14)個人情報の漏洩について

 当社グループでは、事業の性質上、常時多数のお客様の個人情報をお預かりしている状況にあります。個人情報については、プライバシーマークを取得し、個人情報保護基本規程等に基づいて厳重に管理しております。また、社内では個人情報保護委員会を設け、当社グループの従業員等に対する定期的な教育・研修等により情報管理の重要性の周知徹底を行っております。しかし、これらの対策にもかかわらず個人情報が外部に漏洩した場合には、社会的信用が著しく低下する上に、多額の損害賠償金等が発生し、当社グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(15)人材の確保及び育成について

 当社グループでは、継続的な成長を達成するために、優秀な人材の採用と教育が重要であると考えております。当社グループとしては、積極的な事業展開により求職者にとって魅力的な企業となるべく努力をしてまいりますが、必要な人材の確保及び育成が計画通りに進まない場合や当社グループの予想を大幅に上回るような退職者が発生した場合、当社グループの事業展開や業績に影響を及ぼす可能性があります

 

(16)現金及び預金残高の増減について

 マンション事業においては、その性質上、竣工引渡時に一斉に売上代金を回収するため、一時的に現金及び預金の残高が大幅に増加し、その後の数ヶ月間で工事代金の最終金決済やプロジェクト資金の返済が行われるため、大幅に減少いたします。竣工時期に偏りがないような用地仕入、ならびにゼネコンとの工事請負契約締結のスケジュール組みに着手しておりますが、想定通り進まない場合、当社グループの財政状態に大きく影響を及ぼす可能性があります。

 

(17)競合について

 当社グループは、沖縄県を除く九州全域で事業展開しております。首都圏等に比較すると少ないものの、大手マンションデベロッパー・ハウスメーカーから個人事業者に至るまで大小様々な競合他社が多数存在しており、大変厳しい競争にさらされております。今後においても新規大手の参入や異業種からの参入も増える可能性があり、さらに競争が激化することが想定されます。これにより、物件の仕入価格の上昇(原価の高騰)や、販売価格の下落(売上の減少)が発生し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります

 

(18)人口動向について

 当社グループの事業エリアである九州・山口エリアは、総人口の減少と少子高齢化が進んでおり、今後、その傾向はますます強くなることが想定されます。このことにより、特に住宅事業の主な購入者層である20~30代の子育て世代は、減少していくことが確実視されます。今後は、従来の北九州近郊から事業エリアを広げて顧客を確保することや、多様な家族構成に合わせた商品開発を展開するなどの対策を中長期的に検討しなければなりませんが、対策がうまくいかなかった場合、売上が低下し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります

 

(19)住宅業界の技術革新について

 近年、耐震・耐火・省エネなどの高付加価値を持つ住宅に対するニーズが高まっています。特に「スマートハウス」は、IT技術と連動することで快適な住空間を制御できる住宅であり、大手ハウスメーカーを中心に、様々な新商品が市場に投入される傾向にあります。少子高齢化の構造的な問題を抱える住宅業界においては、高付加価値商品の提供が生存競争上の大きなポイントとなりますが、業界またはお客様の望む技術革新のスピードに当社グループが対応できなかった場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(20)棚卸資産の評価損処理について

 当社グループでは事業の性質上、棚卸資産が総資産に占める割合は2020年9月期において62.47%と非常に高い水準にあります。会社方針により竣工在庫を抑制するよう努めており、完成在庫である販売用不動産だけであれば、総資産の23.12%と比較的少ない水準ではありますが、何らかの理由により不動産の市場価値が下落した場合は、評価損処理が発生し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

① 経営成績の状況

 当連結会計年度におけるわが国経済は、日本政府の経済政策や日本銀行による大規模な金融緩和の継続により、企業収益や雇用・所得環境に改善がみられ、経済状況も緩やかな回復基調を推移しておりました。しかし、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、経済活動の停滞等により、景気動向は急速に悪化し、極めて厳しい経済環境となりました。海外経済につきましても、新型コロナウイルス感染症の拡大や終息時期不透明な状況により停滞している状況であります。また、米中貿易問題や英国のEU離脱など、わが国の景気を更に押し下げる可能性がある状況にあります。

 当社グループが属する不動産業界におきましては、2019年10月の消費税増税や建築労働者の不足・建築資材の高騰による建築費上昇により住宅取得需要の落ち込みが懸念されつつも、政府による住宅ローン減税やすまい給付金、長期優良住宅の優遇措置等の各種住宅取得支援政策と住宅ローンの低金利及び融資条件等の拡充により、住宅取得者の購入意欲は堅調に推移しておりました。しかし、2020年4月の新型コロナウイルス感染症による緊急事態宣言に伴い、外出自粛及び営業自粛による制限が行われ、一時的に販売数の低下が見られました。

 緊急事態宣言の解除後におきましては、「働き方改革」の影響も受け、テレワーク(在宅勤務)の普及に伴い、住まいの見直し需要が喚起され、特にリーズナブルな価格帯の分譲住宅契約件数が増加し、住宅取得需要は回復しつつあります。

 当社グループにおきましては、新型コロナウイルス感染症対策のため販売活動の一時停止や、来場顧客数の制限を余儀なくされましたが、緊急事態宣言後には新型コロナウイルス感染症対策を十分に行い、事前予約システムによるモデルルームの案内や、インターネットを活用した顧客面談や重要事項説明書の試験実施等、あらゆる販売手法を用い、事業活動を推進いたしました。

 そのような状況下、新型コロナウイルス感染症によるテレワーク(在宅勤務)が定着し、自宅にワーキングスペースを求める顧客の需要が増えたことにより、郊外でも居住スペースがとれ、且つリーズナブルな住宅の販売やリフォーム工事の受注が好調となりました。加えて、中古マンションや分譲マンションでは、利便性の良い物件の販売が、堅調に推移したため、新型コロナウイルス感染症の長期化を見込んだ5月の通期業績予想発表数値より上振れいたしました。

 しかしながら、前期と比べ、緊急事態宣言時に販売活動の一時停止や分譲マンションにおけるソーシャルディスタンスを考慮した引渡方法の変更により引渡しまでの期間の延長、更に新型コロナウイルス感染症拡大による中長期的な景気の下振れを考慮し、手許資金を確保することを目的として在庫を早期完売するために、販売価格の値下げ等を行ったことにより、売上総利益が大きく下回っております

 一方で、従来までの広告活動等と異なり、インターネット等が主軸となったことにより、広告宣伝費を削減することが出来、加えて、社内でもテレビ会議等を利用した会議による移動費の削減や社内外のペーパーレス化に取り組んだ結果、販売経費を削減することが出来ました。

 これらの結果、当連結会計年度における経営成績は、売上高28,879百万円(前期比4.4%減)、営業利益1,168百万円(同41.0%減)、経常利益1,003百万円(同50.6%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は626百万円(同50.3%減)となりました。

 セグメント別の経営成績は次のとおりであります。

(マンション事業)

 マンション事業につきましては、ファミリー層を中心とした「サンパークシリーズ」と単身者及びDINKS層向けの「サンレリウスシリーズ」のマンション分譲等の開発・販売を行いました。

 マンション事業におきましては、2019年11月より「サンパーク諫早中央イクシア(長崎県諫早市、総戸数72戸)」を始めとして、全7棟の竣工を行いました。また「サンパーク延岡中央レジデンス(宮崎県延岡市、総戸数55戸)」を始めとした竣工在庫全6棟52戸を完売、引渡しを行うことが出来ました。特に2019年2月に販売を開始した、北九州市随一の文教区でもある小倉南区守恒に「ザ・サンパークシティ守恒(福岡県北九州市、総戸数200戸)」を2020年9月に竣工し、竣工時には約98%の販売が終了、同月に引渡しが開始され、当期には141戸の引渡しが完了しております。また、大分市大分駅南に建設した「サンパーク大分駅南グラッセ(大分県大分市、総戸数39戸)」は、2020年8月には竣工・完売及び引渡が完了しております

 しかしながら、新型コロナウイルス感染症の影響等により、前期は571戸の引渡しに対し、当期におきましては492戸と14%減少しております。

 一方で、新規の分譲マンション販売に関しては、ファミリー層向けの「サンパーク箱崎駅前グラッセ(福岡県福岡市、総戸数40戸)」や単身及びDINKS層向けの「サンレリウス黒崎駅前(福岡県北九州市、総戸数54戸)」の販売が好調に推移しております

 また、子会社であるマンション総合管理会社「株式会社リビングサポート」は、親会社の分譲マンション供給増加に伴い、分譲マンション等の管理戸数は2,772戸(前期比21.8%増)となりました。

 これらの結果、マンション事業セグメントの売上高は14,304百万円(前期比10.6%減)、セグメント利益は1,378百万円(同27.2%減)となりました。

 

(住宅事業)

 住宅事業におきましては、当社ブランド分譲建売住宅「サンコート」と室町時代から続く家具の生産地である福岡県大川市のインテリア総合メーカー「関家具」様とコラボレーションした新たなライフスタイルを提案した住宅等の供給を進め、北九州市及び北九州市周辺地区を中心とした分譲建売住宅の販売を推進した結果、388戸の引渡しを行いました。また、不動産流通事業におきましては、北九州市を中心とした福岡県にて、中古不動産の買取再販を行っておりましたが、新たに熊本市内へ展開した結果、166戸の引渡し、その他土地分譲事業100区画、注文住宅事業7戸、タウンハウス分譲事業26戸の引渡しを行いました。

 分譲住宅事業にて、竣工在庫の販売強化による販売価格の値引き・サービス等の増加により、売上総利益が低下した結果、住宅事業セグメントにおきましては、売上高14,518百万円(前期比2.5%増)、セグメント利益は741百万円(同32.6%減)となりました。

 なお、住宅事業セグメントにおきましては、2020年4月にSDGsの概念や当社の経営理念に基づく「元気な街、心豊かな暮らし」を実現すべく、街の再生化や土地・物件の有効利用を推進すべき事業として「街づくり事業本部」を立ち上げました

 

(その他事業)

 鹿児島県鹿児島市や福岡県中間市における水道供給事業や自社保有不動産の不動産賃貸事業につきましては、水道供給に対する施設の老朽化に備えた設備の交換や、自社保有不動産の安全性を考慮した老朽物件の退去、解体等もあり、売上高は56百万円(前期比1.9%減)、セグメント利益は16百万円(同39.9%減)となりました。

 

② 財政状態の状況

(資産)

 当連結会計年度末における資産合計は32,302百万円となり、前連結会計年度末に比べ2,626百万円増加いたしました。これは、分譲マンション竣工が第4四半期に集中した上に、新型コロナウイルス感染症対策による分散引渡を行った結果、契約済未引渡物件が増加致しました。これらと竣工在庫物件の増加により、販売用不動産が前連結会計年度末に比べ、2,951百万円増加7,469百万円に、仕掛販売用不動産が169百万円減少12,689百万円になったことなどによるものです。

 

(負債)

 当連結会計年度末における負債合計は25,924百万円となり、前連結会計年度末に比べ2,104百万円増加いたしました。これは、1年内返済予定の長期借入金が2,720百万円増加6,023百万円に、短期借入金が1,430百万円増加7,071百万円に、長期借入金が1,745百万円減少4,598百万円になったことなどによるものです。

 

(純資産)

 当連結会計年度末における純資産合計は6,377百万円となり、前連結会計年度末に比べ521百万円増加いたしました。親会社株主に帰属する当期純利益626百万円計上による利益剰余金の増加が主な変動要因であります。

 

③ キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ215百万円減少し、9,550百万円となりました。

 

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度において、営業活動による資金の減少は、2,256百万円(前期は3,778百万円の増加)となりました。これは主にたな卸資産の増加額2,796百万円、法人税等の支払額962百万円によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度において、投資活動による資金の減少は、235百万円(前期は376百万円の増加)となりました。これは主に有形固定資産取得よる支出196百万円によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度において、財務活動による資金の増加は、2,277百万円(前期は476百万円の減少)となりました。これは主に短期借入れによる収入13,919百万円及び短期借入金の返済による支出12,488百万円、長期借入れによる収入8,449百万円及び長期借入金の返済による支出7,473百万円によるものであります。

 

④ 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当社グループが営むマンション事業、住宅事業及びその他事業では生産実績を定義することが困難であるため、「生産実績」は記載しておりません。

 

b.契約実績

 前連結会計年度及び当連結会計年度の契約実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

前連結会計年度

(自 2018年10月1日

 至 2019年9月30日)

当連結会計年度

(自 2019年10月1日

 至 2020年9月30日)

件数

金額(千円)

件数

金額(千円)

マンション事業

442

12,876,385

447

12,109,411

住宅事業

595

12,299,216

721

14,713,054

合計

1,037

25,175,601

1,168

26,822,465

 (注)上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

c.販売実績

 前連結会計年度及び当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

前連結会計年度

(自 2018年10月1日

 至 2019年9月30日)

当連結会計年度

(自 2019年10月1日

 至 2020年9月30日)

件数

金額(千円)

件数

金額(千円)

マンション事業

571

15,999,351

492

14,304,275

住宅事業

676

14,163,062

687

14,518,543

その他

58,022

56,918

合計

1,247

30,220,436

1,179

28,879,737

 (注)上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計上の見積もり及び当該見積もりに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づき作成され、連結財務諸表の作成にあたっては連結決算日における資産・負債及び当連結会計年度における収益・費用に影響を与える事項について、過去の実績や現在の状況に応じ合理的と考えられる様々な要因に基づき見積りを行った上で継続して評価を行っています。ただし、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、見積りと異なる場合があります。

 なお、当社グループの連結財務諸表において採用する重要な会計方針及び見積りは、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項 4.会計方針に関する事項」に記載しております。

 

 a.完成工事補償引当金

 完成工事補償引当金は、過去の完成工事に係る補償工事費用の実績を基準にした金額及び特定の物件については補償工事費用の個別見積額を計上しております。そのため、実際の結果が、前提条件と異なる場合、または前提条件が変更された場合、完成工事補償引当金に影響を及ぼす可能性があります。

 

 b.訴訟損失引当金

 係争中の訴訟に係る損失に備えるため、訴訟損失引当金は類似の訴訟判決を参考に見積りを行っております。

 なお、訴訟の進行状況等が見積りと異なる場合、適宜損失見込額の見直しを実施して損失に備えております。

 

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 a.経営成績

 当社グループの経営成績の分析は次のとおりです。

 

 

前連結会計年度

(自 2018年10月1日

 至 2019年9月30日)

当連結会計年度

(自 2019年10月1日

 至 2020年9月30日)

差額

金額(千円)

金額(千円)

金額(千円)

売上高

30,220,436

28,879,737

△1,340,6994.4%減

売上総利益

6,463,066

5,577,582

△885,48413.7%減

営業利益

1,979,752

1,168,563

△811,18841.0%減

経常利益

2,031,356

1,003,140

△1,028,21650.6%減

親会社株主に帰属する当期純利益

1,259,286

626,465

△632,82050.3%減

 

(売上高・売上総利益)

 当連結会計年度の売上高は、28,879百万円(前期比4.4%減、売上総利益は5,577百万円(前期比13.7%減となりました。

 売上高減少につきましては、経営成績等の状況の概要で触れたとおり、新型コロナウイルス感染症により、一時販売活動の停止や時短営業を行ったこと、また、顧客の購入意欲の低下もあり、販売が停滞したことによるものです。また、新型コロナウイルス感染症による中長期的な景気の下振れを考慮し、手許資金を確保する手法として在庫の早期完売のため販売価格の値下げ等を行ったことにより、売上総利益が減少しております。

(営業利益)

 当連結会計年度の販売費及び一般管理費につきましては4,409百万円(前期比1.7%減)となったものの、売上高及び売上総利益の減少により、営業利益は1,168百万円(同41.0%減)となりました。

 

(営業外損益及び経常利益)

 当連結会計年度の営業外収益につきましては、受取手数料等により、147百万円(前期比58.6%減)となりました。営業外費用につきましては支払利息の増加により313百万円(同2.5%増)となり、経常利益は1,003百万円(同50.6%減)となりました。

 

(特別損益及び親会社株主に帰属する当期純利益)

 当連結会計年度の特別損失は6百万円(前期比45.6%減)となりました。以上の結果、親会社に帰属する当期純利益は626百万円(同50.3%減)となりました。

 

③ 経営成績に重要な影響を与える要因について

 当社グループの主要事業がすべて土地に関連する事業のため、土地価格の上昇や土地需要の高まりによる各プロジェクト用地の確保が困難になった場合には、経営成績に重要な影響を及ぼす可能性があります。そのため、

地場不動産会社や金融機関との連携した土地情報収集力をさらに強化し、立地条件等良質な土地収集に努めております。

 

④ 資本の財源及び資金の流動性についての分析

 当社グループの資金需要の主なものは、土地及び物件仕入に加え、各種プロジェクト建設費用等があります。いずれも、金利コスト等を勘案しながら、自己資金又は金融機関からの借入金により調達しております。

 

⑤ 経営者の問題認識と今後の方針について

 当社グループの経営陣は、地元に愛され継続性のある優良な企業となるため、安定した収益を確保することが重要であるという認識より、売上高経常利益率を重要視しております。また、総資産から効率的な利益を生み出す指標として、総資産利益率(ROA)も重要視しております。売上高経常利益率は10%の達成を目標とし、総資産利益率は5%以上の達成を目標としております。

 しかしながら、新型コロナウイルス感染症の終息が未だに見えない中、安定した収益の確保も重要ではありますが、企業が安全且つ継続的に運営さえれる事こそが最重要だと捉え、直近年度では滞留資金の長期化を避け、資金の回転率を速めることに努め、各事業における利益を確保し、資金の有効的且つ効率化を鑑み、目標達成に努めてまいります。

 

4【経営上の重要な契約等】

 該当事項はありません。

 

5【研究開発活動】

 該当事項はありません。