独立監査人の監査報告書

 

 

 

2021年8月31日

Sansan株式会社

 

 

取締役会 御中

 

 

 

有限責任 あずさ監査法人

 

 

東京事務所

 

 

 

指定有限責任社員

業務執行社員

 

公認会計士

中村宏之

 

 

指定有限責任社員

業務執行社員

 

公認会計士

鶴 彦太

 

監査意見

 当監査法人は、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づく監査証明を行うため、「経理の状況」に掲げられているSansan株式会社の2020年6月1日から2021年5月31日までの第14期事業年度の財務諸表、すなわち、貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書、重要な会計方針、その他の注記及び附属明細表について監査を行った。

 

 当監査法人は、上記の財務諸表が、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して、Sansan株式会社の2021年5月31日現在の財政状態及び同日をもって終了する事業年度の経営成績を、全ての重要な点において適正に表示しているものと認める。

 

監査意見の根拠

 当監査法人は、我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準に準拠して監査を行った。監査の基準における当監査法人の責任は、「財務諸表監査における監査人の責任」に記載されている。当監査法人は、我が国における職業倫理に関する規定に従って、会社から独立しており、また、監査人としてのその他の倫理上の責任を果たしている。当監査法人は、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手したと判断している。

 

強調事項

 重要な後発事象に記載されているとおり、会社は2021年7月14日開催の取締役会決議に基づき、会社が保有する株式の一部を2021年7月20日に売却した。

 当該事項は、当監査法人の意見に影響を及ぼすものではない。

 

監査上の主要な検討事項

 監査上の主要な検討事項とは、当事業年度の財務諸表の監査において、監査人が職業的専門家として特に重要であると判断した事項である。監査上の主要な検討事項は、財務諸表全体に対する監査の実施過程及び監査意見の形成において対応した事項であり、当監査法人は、当該事項に対して個別に意見を表明するものではない。

 

関係会社株式(SATORI株式会社に対する投資持分)の評価損計上の要否に関する判断の妥当性

監査上の主要な検討事項の内容及び決定理由

監査上の対応

 Sansan株式会社の貸借対照表に計上されている関係会社株式2,858,159千円には、注記事項「(重要な会計上の見積り)投資有価証券及び関係会社株式の評価」に記載されているとおり、時価を把握することが極めて困難と認められる非上場の関連会社であるSATORI株式会社に対する投資2,054,346千円が含まれており、総資産の8.3%を占めている。

 Sansan株式会社は、非上場会社に対する投資等、時価を把握することが極めて困難と認められる株式について、当該株式の発行会社の財政状態の悪化により実質価額が著しく低下したときには、回復可能性が十分な証拠によって裏付けられる場合を除いて、投資の評価損を認識する方針としている。また、実質価額には会社の超過収益力や経営権等を反映して評価される場合もあり、事業の業績が、投資時の評価の前提とした事業計画を下回り超過収益力等が見込めなくなった場合にも、投資の評価損の認識が必要となる。

 SATORI株式会社への投資については、投資時に将来の事業計画に基づき超過収益力等を見込んで投資しており、実質価額は超過収益力等を反映した評価を行っているため、超過収益力等が毀損していないと判断し、投資の評価損を認識していない。

 実質価額に反映された超過収益力等の毀損の有無の判断は、投資先関連会社の事業計画を基礎として行われるが、広告施策等による受注増を前提とした増収計画には不確実性を伴うため、これらの経営者による判断が実質価額に反映された超過収益力等の毀損の有無の判断に重要な影響を及ぼす。

 以上から、当監査法人は、関係会社株式(SATORI株式会社に対する投資持分)の評価損計上の要否に関する判断の妥当性が、当事業年度の財務諸表監査において特に重要であり、「監査上の主要な検討事項」に該当すると判断した。

 当監査法人は、関係会社株式(SATORI株式会社に対する投資持分)の評価損計上の要否に関する判断の妥当性を評価するため、主に以下の監査手続を実施した。

(1) 内部統制の評価

 関係会社株式の評価に関連する内部統制の整備及び運用状況の有効性を評価した。

 評価に当たっては、特に、超過収益力等の毀損の有無の判断に使用する投資先関連会社の事業計画について、当該関連会社の業績推移や外部データ等が示す成長率等を参照して推定値を算出し、計画値との比較や推定値との重要な差異に関する調査を通じて事業計画の信頼性を評価する統制に焦点を当てた。

(2) 評価損計上の要否に関する判断の妥当性の評価

 SATORI株式会社への投資持分の実質価額に反映された超過収益力等の毀損の有無の判断の合理性を評価するため、主に以下の手続を実施した。

・ 実質価額が著しく低下した状態にあるかどうかの検証を行うため、SATORI株式会社より入手される純資産持分額を基礎として、これに超過収益力等を加味して実質価額が算定されていることを確認のうえ、帳簿価額との比較を行った。

・ SATORI株式会社の事業計画の作成に当たって採用された主要な仮定の合理性を評価するため、投資時の事業計画の精度及び合理性について、同社の営む事業に関する当監査法人の理解や評価と比較するとともに、販売実績を踏まえた売上高成長率、販促実績を踏まえた広告施策による受注確度等の主要な仮定に基づく事業計画であることの確認を行った。

 また、主要な仮定の合理性についての評価結果や、過去の事業計画の達成状況及び差異の原因についての検討結果等を踏まえて、一定の不確実性を織り込んだ場合の事業計画を独自に見積った。そのうえで、経営者による見積額との比較や実質価額に反映された超過収益力等の毀損の有無の判断に与える影響について検討した。

 

 

財務諸表に対する経営者及び監査等委員会の責任

 経営者の責任は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して財務諸表を作成し適正に表示することにある。これには、不正又は誤謬による重要な虚偽表示のない財務諸表を作成し適正に表示するために経営者が必要と判断した内部統制を整備及び運用することが含まれる。

 

 財務諸表を作成するに当たり、経営者は、継続企業の前提に基づき財務諸表を作成することが適切であるかどうかを評価し、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づいて継続企業に関する事項を開示する必要がある場合には当該事項を開示する責任がある。

 

 監査等委員会の責任は、財務報告プロセスの整備及び運用における取締役の職務の執行を監視することにある。

 

財務諸表監査における監査人の責任

 監査人の責任は、監査人が実施した監査に基づいて、全体としての財務諸表に不正又は誤謬による重要な虚偽表示がないかどうかについて合理的な保証を得て、監査報告書において独立の立場から財務諸表に対する意見を表明することにある。虚偽表示は、不正又は誤謬により発生する可能性があり、個別に又は集計すると、財務諸表の利用者の意思決定に影響を与えると合理的に見込まれる場合に、重要性があると判断される。

 

 監査人は、我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準に従って、監査の過程を通じて、職業的専門家としての判断を行い、職業的懐疑心を保持して以下を実施する。

 

・不正又は誤謬による重要な虚偽表示リスクを識別し、評価する。また、重要な虚偽表示リスクに対応した監査手続を立案し、実施する。監査手続の選択及び適用は監査人の判断による。さらに、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手する。

 

・財務諸表監査の目的は、内部統制の有効性について意見表明するためのものではないが、監査人は、リスク評価の実施に際して、状況に応じた適切な監査手続を立案するために、監査に関連する内部統制を検討する。

 

・経営者が採用した会計方針及びその適用方法の適切性、並びに経営者によって行われた会計上の見積りの合理性及び関連する注記事項の妥当性を評価する。

 

・経営者が継続企業を前提として財務諸表を作成することが適切であるかどうか、また、入手した監査証拠に基づき、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況に関して重要な不確実性が認められるかどうか結論付ける。継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められる場合は、監査報告書において財務諸表の注記事項に注意を喚起すること、又は重要な不確実性に関する財務諸表の注記事項が適切でない場合は、財務諸表に対して除外事項付意見を表明することが求められている。監査人の結論は、監査報告書日までに入手した監査証拠に基づいているが、将来の事象や状況により、企業は継続企業として存続できなくなる可能性がある。

 

・財務諸表の表示及び注記事項が、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠しているかどうかとともに、関連する注記事項を含めた財務諸表の表示、構成及び内容、並びに財務諸表が基礎となる取引や会計事象を適正に表示しているかどうかを評価する。

 

 監査人は、監査等委員会に対して、計画した監査の範囲とその実施時期、監査の実施過程で識別した内部統制の重要な不備を含む監査上の重要な発見事項、及び監査の基準で求められているその他の事項について報告を行う。

 

 監査人は、監査等委員会に対して、独立性についての我が国における職業倫理に関する規定を遵守したこと、並びに監査人の独立性に影響を与えると合理的に考えられる事項、及び阻害要因を除去又は軽減するためにセーフガードを講じている場合はその内容について報告を行う。

 

 監査人は、監査等委員会と協議した事項のうち、当事業年度の財務諸表の監査で特に重要であると判断した事項を監査上の主要な検討事項と決定し、監査報告書において記載する。ただし、法令等により当該事項の公表が禁止されている場合や、極めて限定的ではあるが、監査報告書において報告することにより生じる不利益が公共の利益を上回ると合理的に見込まれるため、監査人が報告すべきでないと判断した場合は、当該事項を記載しない。

 

利害関係

 会社と当監査法人又は業務執行社員との間には、公認会計士法の規定により記載すべき利害関係はない。

 

以 上

 

 (注)1.上記は監査報告書の原本に記載された事項を電子化したものであり、その原本は当社(有価証券報告書提出会社)が別途保管しております。

2.XBRLデータは監査の対象には含まれていません。

 

E34960-000 2021-08-31 jpcrp_cor:Row1Member E34960-000 2021-08-31