第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)経営方針

 当社グループは、企業理念として「共存共栄の精神で世の中に新たな価値と笑顔を創出します」を掲げ、中堅・中小企業の経営者に対して真摯に向き合う事業推進パートナーとして当社グループと一緒に事業を推進していくことで、「自社の可能性を理解することができ、強みを生かすための経営戦略や事業を拡大するためのアイデアがひらめく。」ような存在になり、常に顧客の想いに応える心強い存在であり続けることを目指しております。

 その実現のため「その想いを、たしかな未来へ」をブランドメッセージとして、顧客の様々な“想い”に対しソリューションをもって実現し、共に成長しながら長期的に支援していくことを宣言し、以下に記載する「ブランドファースト」というフレームワークの考え方を追求しております。

 

 [ブランドファーストの考え方]

企業活動の根幹にはブランドがあります。企業にとってブランドとは、存在意義や存在価値、独自の強み、ミッション・ビジョン・バリューなど、企業が真っ直ぐ成長していくための軸となる重要なものです。つまり、ブランドを明確にしたうえでブランドを起点に経営を行うことで、一貫した企業経営が行えると考えております。当社ではブランドを起点に企業活動を展開していくことを、「ブランドファースト」と呼んでおります。

 

ブランドを広く浸透させていく取り組みとしては、社内に対する「インナーブランディング」、お客様やお取引先、社会等に対する「アウターブランディング」に大別されます。

 

インナーブランディングの推進により、「採用」「教育」「考課」に一貫性が生まれ、ブランドという一本の軸の通ることで「組織力」が強化されると考えております。アウターブランディングの推進により、「広告・PR」「事業・商品」など対社外に向けた活動に一貫性が生まれ、「営業力」が強化されると考えております。インナー・アウター双方のブランディングを強化していくことで、企業自体のブランド力が向上し「採用力」が強化されると考えております。

 

当社の推進する「ブランドファースト」とは、ブランドを軸に一貫した企業経営を行うことで企業ブランドを向上させ、中長期的な企業成長へと導く考え方となります。

 

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(2)目標とする経営指標

 当社グループは、適時・適確な判断による事業展開を可能にし、事業を継続的に発展させていくためには、収益力を高め、適正な利益確保を図っていくことが重要と認識しております。具体的には売上高、営業利益及び経常利益を重要な経営指標と位置付けており、中期的な経営指標として、連結売上高営業利益率7%以上の達成を目標に掲げております。

 

(3)経営環境及び中長期的な会社の経営戦略

 当社が主力事業を展開するインターネット広告市場が引き続き成長し、2019年におけるインターネット広告費は2,104,800百万円(前年比119.7%)となり、6年連続で2桁成長を達成しました。テレビメディア広告費を超えており、今後も市場規模の拡大が予想されております。(注1)
 しかしながら、当年度に発生した新型コロナウイルス感染症は多数の業界で消費者需要の落ち込みを引き起こしており、旅行会社やイベント組織が受けている打撃は、広告業界全体に急速に広まりつつあります。(注)2.

 感染拡大の影響が長期化した場合には、当社グループの顧客の財政状況が悪化し、事業の縮小や事業の継続が困難となる状況が予想され、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 当社グループは、中長期的な企業価値向上に向け、当面は既存のサービスにおいて、継続して収益構造改革に取り組み、収益力を高め、安定的かつ継続的な収益基盤を強化・発展させてまいります。

 

(4)事業上及び財務上の対処すべき課題

 中小企業白書2020年版によると、日本の中小企業の数は約358万社となっており、日本の企業の99.7%が中小企業であります。

 当社グループでは、中小企業市場に対してマーケティングソリューションを通じて顧客企業の成長を支援しております。当社グループのサービスにより中小企業が発展することで、新たな雇用が創出され、海外需要を取り込み、所得水準が引き上げられ、内需が活性化し、日本の経済を活発にしていきたいと考えております。当該目的の達成のために、以下の課題があることを認識しております。

 

① 市場変化への対応

 インターネット関連市場は、今後も技術革新や新たなサービスモデルにより、既存サービスの陳腐化、代替サービス、類似サービスの登場により競争の激化が起こると考えております。これらの変化に対応するために、市場動向を把握し、顧客企業にとって最適なソリューションを提供し続けられるよう努めております。今後も市場のニーズを先取りした商品・サービスを開発し、市場の変化に対応していくため、優秀な人材の確保、迅速な意思決定のできる経営体制の構築を図っていく方針であります。

 

② 収益基盤の継続的強化

 当社グループは、中堅・中小企業を対象にマーケティングソリューションを提供し、営業展開を行っており、全体で3,000社を超える顧客基盤を築いております。当社グループが継続的に安定した成長をするためには、顧客に対するサポート体制を強化し、顧客の声を収集する等により、顧客との信頼関係を強化し、より付加価値の高いサービスを必要な時に提供していくことで強固な顧客基盤の構築を図っていく方針であります。

 

③ 優秀な人材確保と育成

 当社グループは、継続的に事業拡大を行うために、優秀な人材を十分に確保することが課題と考えております。今後は、営業、制作、管理等の幅広い分野で、高い専門性を有した管理職を育成することで、当社グループが市場の変化に耐えうる組織基盤を構築する考えであります。そのため、新卒採用の強化と市場経験者の中途採用を継続的に行うと同時に、社内外の研修など教育制度を整備し、同時に人事評価制度の改善や、イノベーションを奨励する労働環境を作ることで従業員のモチベーションを高め、優秀な人材の確保と定着を促進していく方針であります。

 

④ 内部管理体制の強化

 当社グループでは、今後継続的に事業が拡大していく中で、効率的な経営を行うために、内部管理体制についてより一層の強化が求められていくものと認識しております。これに対応するため、当社グループでは、各分野に専門性を有した人員を配置し、社内管理体制の強化を図っており、今後においても引き続き充実させていく方針であります。

 

 

⑤ 新型コロナウイルス感染症の影響について

 当社グループは、2020年3月期末時点において、現金及び預金913百万円を保有しており、この先短期間で手元流動性に問題が生じる恐れはないと判断しております。しかしながら、当社グループの予想を超えて感染拡大の影響が長期化した場合、継続的な資金流出が予想されることから、当社グループの財政状態が大きく悪化する可能性があります。また、感染拡大の影響が長期化した場合には、当社グループの顧客の財政状況が悪化し、事業の縮小や事業の継続が困難となる状況が予想され、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。本感染症の拡大及び長期化に備え、手元資金を厚くすることを目的とした長期借入による資金調達を行うことを決定しております。

 

(注)1.出典:株式会社電通「2019年 日本の広告費 インターネット広告費」

2.出典:DIGIDAY「アフターコロナ に向けて、「長期不況」へ備える 広告業界」

 

2【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。また、リスク要因に該当しない事項についても、投資者の投資判断上重要であると考えられる事項については、投資者に対する積極的な情報開示の観点から以下の通り記載しております。当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針であります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、将来において発生の可能性があるすべてのリスクを網羅するものではありません。

 

(1)事業内容に関するリスク

① 当社グループの事業を取り巻く環境について

 当社グループは、中堅・中小企業を中心に、インターネット関連のサービスを販売する事を主たる事業領域としております。とりわけ、現在の収益については運用型広告、オウンドメディア、コンテンツマーケティングのように検索エンジンに連動したマーケティング支援が中心であるため、検索エンジンの技術革新や利用方法の変化は当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。そして、インターネット関連市場は今後も拡大すると考えておりますが、企業等における利用方法の変化や今後の市場動向等は不透明な部分が多く、今後、企業等におけるインターネットの重要性の低下、予期せぬ技術革新もしくは規制の実施または市場動向の変化に対応できず当社グループの商品・サービスが陳腐化し市場ニーズに対応できない等、今後の当社のインターネット関連サービスの拡大を阻害する要因が発生した場合、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 また、当社グループの顧客は中堅・中小企業といった比較的資本力が弱い企業が多いことから、景気の後退や消費税のさらなる増税、業界の事故や不祥事などにより、消費者の利用が減少し、それにともない顧客企業の業績が悪化する可能性があります。その場合には、成功報酬額の減少や債権の回収が困難となり、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 外注業者の活用について

 当社グループでは、専門業務分野毎に特定のパートナー企業を選定し、相互協力してサービスを提供しております。そのため、当社グループと協力関係にあるパートナー企業に不測の事態が生じまたは市場の逼迫等によりパートナー企業への発注費用が上昇すると、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 また、当社グループはパートナー企業の選定を業績、業界での評判、従前の当社グループとの取引関係等を勘案して慎重に行っており、これに加えて、パートナー企業選定後も、パートナー企業の業務運営の監督ならびにその提供する成果物の検収および品質レベル評価を厳正に行っております。しかし、パートナー企業の提供する成果物に隠れた瑕疵が存在する可能性がないとはいえず、当該瑕疵によって当社グループの顧客が損害を蒙った場合、当社グループに対する損害賠償請求その他の責任追及または当社グループの社会的信用の失墜等によって当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

※パートナー企業アライアンス・外注先/媒体運営社・ツールベンダー(第1 企業の概況 3 事業の

         内容[事業系統図])を指します。

 

③ 検索エンジンへの依存について

 当社グループの提供するインターネットを通じたマーケティング支援サービスのうち、ネット広告やコンテンツマーケティング、オウンドメディア運用保守などの主要なものは、Yahoo!やGoogle等の他社が運営する検索サイトの検索結果に依存したサービスを提供しております。そのため、検索サイトの運営会社の事業戦略の転換等によって、当社グループが検索結果を利用できなくなり、当社サービスが展開できなくなった場合、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループのサービスに関係のある検索サイトの利用者数減少や市場ニーズの変化、技術革新による代替サービスの登場、検索ユーザーの用途の変化や、検索ユーザーの減少等によるマーケティング媒体としての価値の低下が生じた場合、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

④ 競合について

 当社グループの提供するデジタルマーケティング事業については、複数の競合他社が存在しております。当社グループでは独自のフレームワークを使用する等により、企画力および提案力の強化や、企画から制作、保守運用、広告、コンサルティングに至るまでをワンストップで提供できる体制の構築等、競合優位性の確保に努めておりますが、競争の激化等により顧客の減少、単価の低下等が生じた場合、収益性の低下を招き、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤ システムリスクについて

 当社グループは、安定的に商品・サービスを提供できる環境と社内インフラを構築するために、社内リソースだけに頼らず積極的に外部の商品・サービスも取り入れシステム環境を構築しております。また、ウィルスや不正侵入対策を中心としたセキュリティ対策についても積極的に行っております。しかしながら、想定を超えたシステム障害、自然災害、テロ等によりコンピューターシステムが停止し、またはインターネット回線の接続が不能となった場合、当社グループの業務遂行に支障を来たすリスクがあり、当該リスクが顕在化すると、機会損失の発生、代金の返還、損害賠償の支払、社会的信用の失墜等により当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑥ 情報資産の管理について

 当社グループは、事業推進にあたり顧客企業等の機密情報および個人情報を入手する場合があります。そのため当社グループは、「個人情報の保護に関する法律」が定める個人情報取扱事業者としての義務が課せられており、これらの情報資産の管理を事業推進上の重要事項と認識しております。そこで当社グループは、「個人情報管理規程」等を制定し、個人情報を厳格に管理するとともに、コンプライアンス研修等を通じて継続的に社員教育を行う等、管理体制の構築に積極的に取組んでおります。しかしながら、今後、顧客情報の流出等の問題が生じた場合には、損害賠償請求その他の責任追及や当社グループに対する信用低下等により、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑦ 法的規制の変化について

 現在のところ、当社グループにおける事業の直接的な法的規制または業界の自主規制はありませんが、インターネット関連分野においては「特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律」、「不正アクセス行為の禁止等に関する法律」、「特定商取引に関する法律」等が存在しております。インターネット取引やソーシャルメディアが普及する一方で、インターネットやソーシャルメディアを悪用した犯罪が頻発する等、社会情勢が大きく変化し、インターネットやソーシャルメディアの事業に係る法的規制または自主規制の強化等がなされた場合、当社グループの事業において何らかの制約を受け、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 また、インターネット広告関連分野においては、「景品表示法」、「著作権法」、「医療法」、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」等が存在しております。当社では、上記の各種法的規制に抵触しないように、「広告取扱規程」を定めるほか具体的な注意点を記した法令チェックリストを整備し、広告制作担当者やその上長、必要に応じて経営管理本部の担当者が慎重に確認を行っております。広告主がこれらの法律に違反しても直ちに当社の広告取引が違法となるわけではございませんが、当社が広告主の違法行為を助長させているとみなされた場合は、当社の社会的信用が失墜する等、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑧ 知的財産権について

 当社グループは、当社が構築するオウンドメディアによる第三者の知的財産権侵害の可能性については調査可能な範囲で対応を行っており、現在に至るまで知的財産権の侵害を理由とするクレームを受けたり、訴訟を提起されたりしたことはありません。しかしながら、日々刻々と発生する知的財産権全てを網羅的に調査することは不可能であり、当該侵害リスクを完全に排除する事は極めて困難と考えます。このため、当社グループにおいて、第三者が保有する知的財産権の侵害が生じた場合、当該第三者より、損害賠償請求、差止請求、あるいは使用料支払要求等を受けた場合、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 また、当社グループは前述のとおり、多数のパートナー企業と相互協力してサービスを提供しており、当社グループでも、パートナー企業から納品された成果物の検収の際には、前記の知的財産権侵害の有無の調査を行っております。しかしながら、万が一、納品された成果物が第三者の知的財産権を侵害した場合、当社グループが当該第三者からの損害賠償請求を含むクレームを受けるほか、Yahoo!やGoogle等の他社が運営するサービスを使用できなくなる場合があり、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

⑨ 新規事業について

 当社グループが属するデジタルマーケティング市場は、インターネット広告市場を中心に拡大を期待することができ、市場トレンドに合わせ、新サービス及び新規事業に取り組んでまいります。これによりシステムへの投資や人件費等、追加的な支出が発生し、利益率が低下する可能性があります。また、新規事業の拡大・成長が当初の予定どおりに進まない場合、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑩ 深刻な感染症に関わるリスク

 今般の新型コロナウイルス感染症のように感染症の拡大が深刻化し、政府から外出の自粛要請等がなされた場合、広範囲にわたる広告需要が長期間消失し、当社グループの業績及び財政状態に甚大な影響を及ぼします。なお、対応策については、1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (4)事業上及び財務上対処すべき課題 ⑤「新型コロナウイルス感染症の影響について」をご参照ください。

 

(2)経営体制に関するリスク

① 人材の確保・維持について

 当社グループが今後事業の拡大を行うにあたり、優秀な人材を獲得・育成することが重要な課題と考えております。このため、採用活動および研修制度、人事制度の強化に努めておりますが、業務上必要とされる人材を確保・育成できない場合や、退職者の増加等により必要な人材が維持できない場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 代表取締役社長への依存について

 当社の代表取締役社長は、木村裕紀であります。同氏は、専門的な知識、技術及び経験を数多く有しており、経営方針や経営戦略の決定等の事業運営において重要な役割を果たしております。

 当社グループとしては、特定の役職員に依存しない組織的な経営体制の構築に努めておりますが、専門的な知識、技術及び経験を有する同氏に、何らかの理由によって不測の事態が生じた場合、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

③ 事業の拡大に伴う内部管理体制の充実について

 当社グループは事業の適切で効率的な運営のため、内部管理体制の一層の充実を図っておりますが、事業の急拡大により必要な人材を確保出来ない場合、取引実施状況に関する管理体制の整備に遅れが生じてしまった場合、内部管理体制の充実を図れない場合には、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

(3)その他

① 新株予約権の行使による株式価値の希薄化について

 当社グループは役員及び従業員に対するインセンティブを目的とし、新株予約権(以下「ストック・オプション」という。)を付与しております。これらのストック・オプションが権利行使された場合、1株当たりの株式価値が希薄化する可能性があります。なお、本書提出日現在におけるストック・オプションによる潜在株式数は58,000株であり、発行済株式総数1,609,400株の約3.6%に相当しております。

 

② 為替の変動について

 当社は、子会社としてシンガポールにBranding Technology Asia PTE.LTD.及びベトナムにVieTry CO.,LTD.を有しております。両社に対しては、当社が業務の一部を委託しており、コスト削減、業務の効率化等の点で当社グループに寄与しております。両社ともに国内情勢および経済情勢の変化、著しい為替変動により、現時点で想定している為替レートと実勢レートに大幅な乖離がある場合には、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

③ 配当政策について

 当社グループは、成長過程の途上にあり、経営基盤の長期安定に向けた財務体質の強化及び事業の継続的な拡大・発展を目指すため、内部留保を充実させることが必要であると考えており、これまでに配当を実施したことはなく、また、今後も当面の間は配当を実施する予定はありません。

 しかしながら、株主利益の最大化を重要な経営目標の一つとして認識しており、今後の株主への剰余金の配当につきましては、業績の推移、財務状況、今後の事業への投資計画等を総合的に勘案し、内部留保とのバランスをとりながら検討していく方針です。

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)当期の経営成績の概況

 当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」をいう。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 経営成績の状況

 当連結会計年度における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響により急速に悪化しており、極めて厳しい状況にあります。今後の見通しについても、感染症が内外経済をさらに下振れさせるリスクに十分注視する必要があり、とりわけ、中堅中小企業の影響は甚大です。当社グループは、この有事に屈することなく、企業理念「共存共栄の精神で世の中に新たな価値と笑顔を創出します」に立ち返り、中堅・中小企業の経営者に対して真摯に向き合う事業推進パートナーとして、常に顧客の想いに応える心強い存在であり続けるために全身全霊を尽くしてまいります。

 翌期の連結財務諸表の作成に当たっては、新型コロナウイルスの感染拡大により、一定の売上高減少の影響が上期まで継続するものの、下期以降は翌事業年度末に向けて回復するとの仮定も考慮して見積り及び予測を行っておりますが、現時点で、全ての影響について合理的に見積り及び予測を行うことは困難な状況であるため、収束時期等によって変動する可能性があります。

 当社の主要事業領域である国内インターネット広告市場につきましては、株式会社電通が公表した「2019年 日本の広告費」によれば、6年連続2桁成長で2兆円を突破し、テレビメディア広告費を超え、デジタルを起点にした既存メディアとの統合ソリューションも進化しており、今後も広告技術の発展と市場の成長が見込まれます。
 また、2019年6月28日に株式会社ミック経済研究所が公表した「ネット広告&Webソリューション市場の現状と展望2019年度版」によれば、Webソリューション市場についても、2020年度には2,000億円を突破する見込みであり、今後も市場の成長が見込まれております。
 このような環境におきまして、当社グループは、企業活動の基点としてCI(コーポレートアイデンティティ)があるという「ブランドファースト」の考え方を啓蒙し、「戦略企画、クリエイティブ、経営サポート、広告、コンサルティング」という5つの強みを活かして、ワンストップで高品質なサービスを中堅・中小企業を中心に提供しております。

 なお、当社は2019年6月21日に東京証券取引所マザーズ市場への上場を果たし、上場関連費用が生じております。
 この結果、当連結会計年度の売上高は5,161,101千円(前年同期比3.4%増)、営業利益は63,933千円(前年同期比56.8%減)、経常利益は57,572千円(前年同期比62.1%減)、親会社株主に帰属する当期純利益42,257千円(前年同期比55.8%減)となりました。

 

 セグメント別の経営成績を示すと、次のとおりであります。

 

a.ブランド事業
 当該事業においては、顧客の”ブランド”を明確にし、顧客が抱える収益拡大課題、人材および育成課題に合わせたソリューションを提供しております。当社独自の「ブランドファースト」のフレームワークを活用した上で、初めにブランドを明確にし、ブランドを経営の起点に置き、メディア制作、コンテンツ制作、および運用支援を提供するモデルとなっております。
 なお、当社は、業務の一部をグループ会社である株式会社アザナおよびVieTry CO.,LTD.に委託することで、適切な分業による効率的な制作体制を整備しております。
 当連結会計年度におきましては、第4四半期において、新型コロナウィルス感染症の影響により、打合せの中止等の案件獲得機会の減少や納期遅延が発生しております。
 この結果、当連結会計年度における売上高は1,470,312千円(前年同期比2.7%減)、セグメント利益は286,128千円(前年同期比11.6%減)となりました。

 

b.デジタルマーケティング事業
 当該事業においては、主に中堅・中小企業に対してインターネット上の総合マーケティング支援を展開しております。専門特化したマーケティングの責任者がおらず、十分な予算やリソースが不足しているために大手広告代理店に依頼することが難しい中堅・中小企業に対し、現状分析から戦略立案・実行、効果測定までワンストップで提供しております。
 当社が独自に育成した「フロント人材」がマーケティング戦略を立案し、各種インターネット広告を中心としたツールを活用することによってサイトのアクセス数を増加させるとともに、サイトの分析を通じて課題を明確にし、継続的に改善策を実施していくことで、中堅・中小企業の収益機会の拡大に貢献しております。運用面ではグループ会社の株式会社アザナがきめ細やかな運用を行い、作業はAIや外部パートナーを活用することで効率的な運用体制を構築しております。
 当連結会計年度におきましては、新規大口顧客の獲得や既存顧客の取引額が伸長したものの、第4四半期において、新型コロナウイルス感染症の影響により、取引先がインターネット広告の出稿を停止する等の事象が発生しております。
 この結果、当連結会計年度における売上高は3,557,594千円(前年同期比6.4%増)、セグメント利益は244,581千円(前年同期比24.8%増)となりました。

 

c.オフショア関連事業
 当該事業においては、株式会社アザナおよびVieTry CO.,LTD.と連携し、Webサイトの制作および運用・開発サービスを提供しております。オフショア・ニアショア体制を強化することによって、ブランド事業およびデジタルマーケティング事業の顧客が求めるサービスを、安価かつ効率的に提供しております。
 また、当事業で培ったノウハウを活かし、沖縄県(株式会社アザナ)およびベトナム(VieTry CO.,LTD.)でサービスを提供することで、アジア圏に事業所を持つ日系企業や現地企業に対して、オウンドメディアの構築および保守運用、デジタル領域における総合マーケティング支援を展開しております。
 当連結会計年度におきましては、グループ会社アザナのオウンドメディア構築を中心に販売してまいりましたが、新型コロナウィルス感染症の影響により、打合せの中止等の案件獲得機会の減少や納期遅延が発生しております。また、大口顧客の売上債権に関する貸倒が発生しております。

 この結果、当連結会計年度における売上高は133,194千円(前年同期比4.2%減)、セグメント利益は12,970千円(前年同期比82.4%増)となりました。
 

② 経営成績の分析

(売上高)

 当連結会計年度の売上高は前連結会計年度に比べ168,615千円増加し、5,161,101千円(前年同期比3.4%増)となりました。この主な要因は、これは主にインターネット広告の大口顧客の獲得や既存顧客の取引額が増加したこと等によるものであります。

 

(売上原価、売上総利益)

 当連結会計年度の売上原価は前連結会計年度に比べ197,826千円増加し、3,920,669千円(前年同期比5.3%増)、売上総利益は29,211千円減少し、1,240,431千円(前年同期比2.3%減)となりました。これは主にオウンドメディア構築案件において顧客対応に注力し、予定労務工数が超過したこと等によるものであります。

 

(販売費及び一般管理費、営業利益)

 当連結会計年度の販売費及び一般管理費は前連結会計年度に比べ54,726千円減少し、1,176,498千円(前年同期比4.9%増)、営業利益は83,937千円減少し、63,933千円(前年同期比56.8%減)となりました。これは主に制作用のシステムのライセンス費用が増加したこと等によるものであります。

 

(経常利益)

 当連結会計年度の経常利益は、前連結会計年度に比べ94,462千円減少し、57,572千円(前年同期比62.1%減)となりました。これは主に上場関連費用および株式交付費が発生したこと等により増加したものであります。

 

(親会社株主に帰属する当期純利益)

 当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に比べ53,283千円減少し、42,257千円(前年同期比55.8%減)となりました。

 

 ③当期の財政状態の概況

 当社グループの当連結会計年度末における財政状態は、資産1,845,593千円(前連結会計年度末比205,890千円増)、負債739,108千円(前連結会計年度末比30,417千円減)純資産1,106,484千円(前連結会計年度末比236,307千円増)となりました。

 

(流動資産)
 当連結会計年度末における流動資産は、現金及び預金および未収消費税等の増加等により、1,601,421千円(前連結会計年度末比237,204千円の増加)となりました。

 

(固定資産)
 当連結会計年度末における固定資産は、無形固定資産の減少等により、244,171千円(前連結会計年度末比31,314千円の減少)となりました。

 

(流動負債)
 当連結会計年度末における流動負債は、1年内返済予定の長期借入金および未払法人税等ならびに前受金の減少等により、634,354千円(前連結会計年度末比124,923千円の減少)となりました。

 

(固定負債)
 当連結会計年度末における固定負債は、長期預り保証金の増加等により、104,754千円(前連結会計年度末比94,506千円の増加)となりました。

 

(純資産)
 当連結会計年度における純資産は、資本金および資本剰余金等の増加等により、1,106,484千円(前連結会計年度末比236,307千円の増加)となりました。
 

 

 ④ キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ94,303千円増加し、908,967千円となりました。
 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は以下のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)
 当連結会計年度において営業活動の結果支出した資金は81,177千円となりました。(前連結会計年度は143,824千円の獲得)この主な内訳は、税金等調整前当期純利益が80,190千円、長期預り保証金の増加94,600千円があった一方で、未払又は未収消費税等の増減額132,692千円、売上債権の増加52,073千円、法人税等の支払額53,442千円等があったことによるものです。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)
 当連結会計年度において投資活動の結果獲得した資金は22,260千円となりました。(前連結会計年度は130,436千円の獲得)この主な内訳は、有形固定資産の取得による支出21,935千円、無形固定資産の取得による支出5,150千円があった一方で、保険積立金の解約による収入52,593千円等があったことによるものです。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)
 当連結会計年度において財務活動の結果獲得した資金は153,216千円となりました。(前連結会計年度は106,195千円の支出)この主な内訳は、長期借入金の返済による支出30,000千円等があった一方で、株式の発行による収入110,828千円、自己株式の処分による収入88,684千円等があったことによるものです。

 

 ⑤ 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当社グループのサービス提供は、生産実績の記載になじまないため、生産実績に関する記載は省略しております。

 

b.受注実績

 当社グループで行う事業は、提供するサービスの性格上、受注実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。

 

c.販売実績

 連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2019年4月1日

 至 2020年3月31日)

金額(千円)

前年同期比(%)

ブランド事業

1,470,312

97.3

デジタルマーケティング事業

3,557,594

106.4

オフショア関連事業

133,194

95.8

合計

5,161,101

103.4

 (注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.上記金額には、消費税等は含まれておりません。

3.最近2連結会計年度において、主な相手先の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合について、売上高の10%以上を占める相手先がないため、記載を省略しております。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。

 

 ① 重要な会計方針及び見積り

 当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。

 連結財務諸表の作成にあたり、資産及び負債または損益の状況に影響を与える会計上の見積りは、過去の実績等連結財務諸表作成時に入手可能な情報に基づき合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積りによる不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

 当社グループの連結財務諸表の作成にあたって採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。

 

 ② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 経営成績の分析については、前述の「(1)経営成績等の状況の概要」、経営成績に重要な影響を与える要因については、前述の「2 事業等のリスク」に含めて記載しております。

 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等については、次のとおりです。

 当社グループは、中期的な経営指標として、連結売上高営業利益率7%以上の達成を目標に掲げております。

 当連結会計年度における営業利益率は1.2%となり、前連結会計年度の3.0%から1.7ポイント減少しました。これは、前連結会計年度と比較して、連結売上高総利益率が減少し、売上原価が顧客注力対応により増加したことにより、連結売上総利益率が抑制されたことが主な要因です。

 引き続き、これらの経営指標の改善に努めてまいります。

 

 ③ 資本の財源及び資金の流動性

 当社グループの資金の流動性は、主に営業活動による純現金収入によります。営業活動による純現金収入により、外部からの多額の借入や、その他の資金調達手段に頼らずに、大部分の運転資金の確保や設備投資の支払が可能となっております。仮にいずれかの子会社において借入が不可能になったとしても、当社からグループの各社に対して資金を供給することが可能であると考えております。また、資金需要について大きな季節変動はありません。

 以上から、現状の事業運営に必要な運転資金は長期、短期とも十分であると考えております。

 

(3)経営成績に重要な影響を与える要因について

 当社の事業に重要な影響を与える要因の詳細につきましては、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

 

4【経営上の重要な契約等】

 該当事項はありません。

 

 

5【研究開発活動】

 該当事項はありません。